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Myリストに登録 第Ⅰ節 新規事項

最終更新 2010.6

Myリストに登録1. 関係条文

「…明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、…願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(…)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。」

補正が上記の要件を満たしていないときは、拒絶理由(第49条第1号参照ウィンドウに表示)又は無効理由(第123条第1項第1号参照ウィンドウに表示)となり、最後の拒絶理由通知に応答する補正又は拒絶査定不服審判請求時の補正については、上記要件を満たしていない場合には、補正却下の対象となりうる。(第53条参照ウィンドウに表示第159条第1項参照ウィンドウに表示第163条第1項参照ウィンドウに表示

(説明)

第17条の2第3項参照ウィンドウに表示は、明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)の補正について、欧米と同様に新規事項の追加を不可とする趣旨でPCTガイドラインに沿って運用が行われている特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(以下「国際出願法」という。)第11条の規定ぶりを参考に規定されたものである。

Myリストに登録2. 補正制限の制度の趣旨

第17条の2第3項参照ウィンドウに表示は、補正について「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項(以下、「当初明細書等に記載した事項」という。)の範囲内において」しなければならないと定めることにより、出願当初から発明の開示が十分に行われるようにして、迅速な権利付与を担保し、出願当初から発明の開示が十分にされている出願とそうでない出願との間の取扱いの公平性を確保するとともに、出願時に開示された発明の範囲を前提として行動した第三者が不測の不利益を被ることのないようにし、先願主義の原則を実質的に確保しようとしたものである。

Myリストに登録3. 基本的な考え方

「当初明細書等に記載した事項」の範囲を超える内容を含む補正(新規事項を含む補正)は、許されない。「当初明細書等に記載した事項」とは、技術的思想の高度の創作である発明について、特許権による独占を得る前提として、第三者に対して開示されるものであるから、ここでいう「事項」とは明細書等によって開示された発明に関する技術的事項であることが前提となるところ、「当初明細書等に記載した事項」とは、当業者によって、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項である。したがって、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該補正は、「当初明細書等に記載した事項」の範囲内においてするものということができる。

(参考:知財高判平20.5.30(平成18年(行ケ)第10563号審決取消請求事件)「ソルダーレジスト」大合議判決)

Myリストに登録3.1 新規事項を含む補正か否かの具体的な判断手法

(1)

「当初明細書等に明示的に記載された事項」だけではなく、明示的な記載がなくても、「当初明細書等の記載から自明な事項」に補正することは、新たな技術的事項を導入するものではないから、許される。

(a)

補正された事項が、「当初明細書等の記載から自明な事項」といえるためには、当初明細書等に記載がなくても、これに接した当業者であれば、出願時の技術常識に照らして、その意味であることが明らかであって、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する事項でなければならない(注1~3)。

(b)

周知・慣用技術についても、その技術自体が周知・慣用技術であるということだけでは、当初明細書等の記載から自明な事項とはいえない。

(c)

当業者からみて、当初明細書等の複数の記載(例えば、発明が解決しようとする課題についての記載と発明の具体例の記載、明細書の記載と図面の記載)から自明な事項といえる場合もある。

例:

明細書には、特定の弾性支持体について開示されることなく、弾性支持体を備えた装置が記載されているが、図面の記載及び技術常識からみて、当業者であれば、「弾性支持体」とされているものは当然に「つるまきバネ」を意味しているものと理解するという場合は、「弾性支持体」を「つるまきバネ」にする補正が許される。

(2)

4.25.2の各論において新たな技術的事項を導入するものではないので補正が許されるとされた類型も考慮して、新規事項を含む補正か否かを判断する。

 
(注1)

東京高判平15.7.1(平成14年(行ケ)第3号審決取消請求事件)「ゲーム、パチンコなどのネットワーク伝送システム装置」

「『願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項』とは、願書に最初に添付した明細書又は図面に現実に記載されているか、記載されていなくとも、現実に記載されているものから自明であるかいずれかの事項に限られるというべきである。そして、そこで現実に記載されたものから自明な事項であるというためには、現実には記載がなくとも、現実に記載されたものに接した当業者であれば、だれもが、その事項がそこに記載されているのと同然であると理解するような事項であるといえなければならず、その事項について説明を受ければ簡単に分かる、という程度のものでは、自明ということはできないというべきである。」

この判決は、「当初明細書等の記載から自明な事項」という表現自体の意味を理解する上で参考となる。

(注2)

PCTガイドライン 20.12

当初の出願に明示的に存在(expressly present)しておらず、又、当初の出願に本来的に存在していた(inherently present)ともいえない情報を導入する補正は、当初の出願の内容を超える主題事項を追加する補正と判断される。ここで、「inherently present」とは、明示的な記載はないが、当初の開示に接した当業者であれば、欠けている事項の意味するところが必然的に明らかとなる場合を意味する。単に、その意味であるらしい、というだけでは足りない。

(注3)

特許協力条約(PCT)第33条との関係

PCT第33条の訳文においても、「自明」の用語が使われているが、この場合の「自明」は米国特許法でも用いられる「obviousness」を訳したものであり、我が国の「容易」に相当するものである(同条(1)に「進歩性を有するもの(自明のものではないもの)」と記載されていることからも明らか)。

これに対して、本審査基準で用いている「自明」は、裁判例などにおいて用いられている意味内容と同様の通常の日本語としての「何らの証明を要せず、それ自身ですでに明白なこと(例えば、広辞苑第五版)」の意味で用いている。

 

Myリストに登録3.2 留意事項

(1)

優先権証明書(第43条第2項参照ウィンドウに表示及び第43条の2参照ウィンドウに表示に規定するパリ条約優先権等の場合の優先権証明書及び第41条参照ウィンドウに表示に規定する国内優先権の場合の先の出願の出願書類をいう。)は、明細書等に含まれないので、新規事項が追加されているか否かの判断の基礎とすることはできない。

(2)

分割・変更出願の明細書等が、原出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であるか否かの判断についても、この基準が適用される。

 

Myリストに登録4. 特許請求の範囲の補正

Myリストに登録4.1 一般原則

補正後の特許請求の範囲に記載された発明特定事項が、当初明細書等に記載した事項の範囲を超える内容を含む場合は、補正は許されない。

Myリストに登録4.2 各論

(1)

上位概念化、下位概念化等

(a)

請求項の発明特定事項を概念的に上位の事項に補正する(発明特定事項を削除する場合を含む)場合であって当初明細書等に記載した事項以外のものが追加されることになる場合や、概念的に下位の事項に補正する(発明特定事項を付加する場合を含む)場合であって当初明細書等に記載した事項以外のものが個別化されることになる場合は、当初明細書等に記載した事項の範囲内でする補正とはいえず、補正は許されない。

(b)

請求項の発明特定事項を変更することにより当初明細書等に記載した事項以外のものが追加されることになる場合も、当初明細書等に記載した事項の範囲内でする補正とはいえず、補正は許されない。

(c)

請求項の発明特定事項の一部を削除して概念的に上位の事項に補正する場合や、請求項の発明特定事項の一部を限定する補正であって限定した事項が当初明細書に記載された事項の概念的に上位の事項に該当する場合において、補正事項が、当初明細書等に明示的に記載された事項、当初明細書等の記載から自明な事項のいずれにも該当しない場合であっても、この補正により新たな技術上の意義が追加されないことが明らかな場合は新たな技術的事項を導入するものではないので、補正は許される。

[補正が許されない例]

例1:

発明特定事項を変更する補正

請求項の「制御手段が正常に実行されない場合」という記載を「制御手段が正常に実行されない場合の否信号に基づき」とする補正

(説明)

この例では、当初明細書等には、制御手段が正常に実行されない場合、正信号がない状態が一定時間持続し、リセット信号を発生するものしか記載されていない。この補正により、無信号状態とは異なる「否信号」に基づいてリセット信号を発生させるものも追加されることになるが、このようなものは当初明細書等に記載されていない。

(参考:東京高判平13.11.06(平成12年(行ケ)第221号取消決定取消請求事件「パチンコ機の制御装置」))

[補正が許される例]

例2:

発明特定事項の一部を削除する補正

ダブルへテロ型化合物半導体装置に関する発明の請求項の「ソース、ドレインを構成する不純物拡散領域」という記載を「ソース、ドレインを構成する不純物領域」とする補正

(説明)

この例では、出願に係る発明の内容は、活性領域の半導体層を特定の構造と材料で構成することにあり、当初の請求項では、たまたま、ソース、ドレインは「不純物拡散領域」で構成されると限定されているが、ソース及びドレインは拡散によるものに限定されず不純物領域でありさえすればよいことが明細書の記載から自明であり、補正は発明の技術上の意義になんら変更をもたらさない。

(参考:欧州特許庁技術抗告部審決T802/92(OJ 1995,379))

例3:

発明特定事項の一部を限定する補正

請求項の「記録又は再生装置」という記載を「ディスク記録又は再生装置」とする補正

(説明)

この例では、当初明細書等に具体例として記載されているのはCD-ROMを対象とする再生装置であるが、明細書のその他の記載内容(記録及び/又は再生装置が動作指令を受けない場合の給電を調節することによりバッテリの電力消費を低減するための技術である等)に照らせば、CD-ROMを対象とする再生装置だけでなく、どのようなディスク記録及び/又は再生装置であっても、適用が可能であることが極めて明らかである。

(参考:東京高判平14.02.19(平成10年(行ケ)第298号取消決定取消請求事件「バッテリによる給電回路」))

例4:

発明特定事項の一部を限定する補正

請求項の「ワーク」という記載を「矩形ワーク」とする補正

(説明)

この例では、当初明細書等には本願発明のコーティング装置の塗布対象がガラス基板、ウエハ等の「ワーク」であることが明示されている。具体例として記載されているのは、ほぼ正方形のワークのみであるが、「矩形」は代表的なガラス基板の代表的な形状であることが明らかであるので、「矩形ワーク」とする補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内でするものである。

(参考:東京高判平13.05.23(平成11年(行ケ)第246号審決取消請求事件「コーティング装置」))

(2)

マーカッシュ形式のクレーム

(a)

①マーカッシュ形式などの択一形式で記載された請求項において、一部の選択肢を削除する補正は、残った発明特定事項で特定されるものが、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである場合は、許される。

(b)

②当初明細書等に化学物質が多数の選択肢群の組み合わせの形で記載されている場合に、当初明細書等に記載された多数の選択肢の範囲で特定の選択肢の組み合わせを請求項に追加するとき、あるいは選択肢を削除した結果として特定の選択肢の組み合わせが請求項に残るときに、その特定の選択肢の組み合わせが当初明細書等に記載されていたとは認められない場合がある。とりわけ、補正の結果、出願当初に複数の選択肢を有していた置換基について選択肢が唯一となり、選択の余地がなくなる場合には、そのような特定の選択肢の組み合わせを採用することが当初明細書等に記載されている場合(下記(c)の例を参照)を除き、選択肢としての当初記載は特定の選択肢の採用を意味していたとは認められないので、その補正は許されない。

(c)

③一方、選択肢の削除が実施例の記載を伴った選択肢が残るように行われることにより、このようにして残った選択肢が、実施例等の当初明細書等全体の記載をもとに判断した場合には当初明細書等に記載されていた事項と認められる場合がある。例えば、当初明細書等に複数の選択肢を有する置換基の組み合わせの形で化学物質群が記載されていた場合には、出願当初の明細書中の実施例等で記載されていた「単一の化学物質」に対応する特定の選択肢の組み合わせからなる化学物質(群)の記載のみを請求項に残す補正は許される。

(3)

数値限定

数値限定を追加する補正は、その数値限定が、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである場合は、許される。

例えば、発明の詳細な説明中に「望ましくは24~25℃」との数値限定が明示的に記載されている場合には、その数値限定を請求項に導入することができる。

また、24℃と25℃の実施例が記載されている場合は、そのことをもって直ちに「24~25℃」の数値限定の補正が許されることにならないが、当初明細書等の記載全体からみて24~25℃の特定の範囲についての言及があったものと認められる場合(例えば、24℃と25℃が、課題・効果等の記載からみて、ある連続的な数値範囲の上限・下限等の境界値として記載されていると認められるとき)もある。このような場合は、実施例のない場合と異なり、数値限定の記載が当初からなされていたものと評価でき、新たな技術的事項を導入するものではないので、補正は許される。

(明細書の複数箇所の記載から補正に係る数値が導かれるとされた例:東京高判平13.12.11(平成13年(行ケ)第89号審決取消請求事件「ディープ紫外線リソグラフィー」))

また、補正により、例えば、請求項に記載された数値範囲の最小値を変更して新たな数値範囲とした場合、新たな数値範囲の最小値が当初明細書等に記載されており、かつ、補正後の数値範囲が当初明細書等に記載された数値範囲に含まれている場合は、当該補正は許される。

(4)

除くクレーム

「除くクレーム」とは、請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、請求項に係る発明に包含される一部の事項のみを当該請求項に記載した事項から除外することを明示した請求項をいう。

補正前の請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、補正により当初明細書等に記載した事項を除外する「除くクレーム」は、除外した後の「除くクレーム」が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである場合には、許される。

次の(ⅰ)、(ⅱ)の「除くクレーム」とする補正は、新たな技術的事項を導入するものではないので、補正は許される。

(ⅰ)請求項に係る発明が、先行技術と重なるために新規性等(第29条第1項第3号参照ウィンドウに表示第29条の2参照ウィンドウに表示又は第39条参照ウィンドウに表示)を失う恐れがある場合に、補正前の請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、当該重なりのみを除く補正。

(説明)

上記(ⅰ)における「除くクレーム」とは、補正前の請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、特許法第29条第1項第3号参照ウィンドウに表示第29条の2参照ウィンドウに表示又は第39条参照ウィンドウに表示に係る先行技術として頒布刊行物等又は先願の明細書等に記載された事項(記載されたに等しい事項を含む)のみを当該請求項に記載した事項から除外することを明示した請求項をいう。

上記(ⅰ)の「除くクレーム」とする補正は、引用発明の内容となっている特定の事項を除外することによって、補正前の明細書等から導かれる技術的事項に何らかの変更を生じさせるものとはいえない。したがって、このような補正は、新たな技術的事項を導入しないものであることが明らかである。

なお、「除くクレーム」とすることにより特許を受けることができるのは、先行技術と技術的思想としては顕著に異なり本来進歩性を有する発明であるが、たまたま先行技術と重なるような場合である。先行技術と技術的思想としては顕著に異なる発明ではない場合、「除くクレーム」とすることによって進歩性欠如の拒絶の理由が解消されることはほとんどないと考えられる。

また、「除く」部分が請求項に係る発明の大きな部分を占めたり、多数にわたる場合には、一の請求項から一の発明が明確に把握できないことがあるので、留意が必要である。

(ⅱ)請求項に係る発明が、「ヒト」を包含しているために、特許法第29条第1項柱書参照ウィンドウに表示の要件を満たさない、あるいは、同法第32条参照ウィンドウに表示に規定する不特許事由に該当する場合において、「ヒト」が除かれれば当該拒絶の理由が解消される場合に、補正前の請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、当該「ヒト」のみを除く補正。

(説明)

上記(ⅱ)における「除くクレーム」は、補正前の請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、「ヒト」のみを当該請求項に記載した事項から除外することを明示した請求項をいう。

「ヒト」を発明対象から除外することによって、当該拒絶の理由を解消する上記(ⅱ)の「除くクレーム」とする補正は、補正前の明細書等から導かれる技術的事項に何らかの変更を生じさせるものとはいえない。したがって、このような補正は新たな技術的事項を導入しないものであることが明らかである。

(具体的事例)

(ⅰ)の例:

補正前の特許請求の範囲が「陽イオンとしてNaイオンを含有する無機塩を主成分とする鉄板洗浄剤」と記載されている場合において、先行技術に「陰イオンとしてCO3イオンを含有する無機塩を主成分とする鉄板洗浄剤」の発明が記載されたものがあり、その具体例として、陽イオンをNaイオンとした例が開示されているときに、特許請求の範囲から先行技術に記載された事項を除外する目的で、特許請求の範囲を「陽イオンとしてNaイオンを含有する無機塩(ただし、陰イオンがCO3イオンの場合を除く)……」とする補正は、許される。

(ⅱ)の例:

補正前の特許請求の範囲が、「配列番号1で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチドが体細胞染色体中に導入され、かつ該ポリヌクレオチドが体細胞中で発現している哺乳動物」と記載されている場合、発明の詳細な説明で「哺乳動物」についてヒトを含まないことを明確にしている場合を除き、「哺乳動物」には、ヒトが含まれることになる。しかし、ヒトをその対象として含む発明は、公の秩序、善良の風俗を害する恐れがある発明に該当し、特許法第32条に違反するものである。このような場合に、特許請求の範囲からヒトを除外する目的で、特許請求の範囲を「……非ヒト哺乳動物」とする補正は、出願当初の明細書等にヒトを対象外とすることが記載されていなかったとしても許される。

Myリストに登録5. 発明の詳細な説明の補正

Myリストに登録5.1 一般原則

補正後の発明の詳細な説明に記載された事項が、当初明細書等に記載した事項の範囲を超える内容を含む場合は、補正は許されない。

Myリストに登録5.2 各論

(1)

先行技術文献の内容の追加

《出願日(分割・変更出願等については、現実の出願日)が平成21年1月1日以降の出願に適用》

特許法第36条4項2号参照ウィンドウに表示の規定により、先行技術文献情報(その関連する発明が記載されていた刊行物の名称、その他のその文献公知発明に関する情報の所在)の記載が求められるところ、先行技術文献情報を発明の詳細な説明に追加する補正及び当該文献に記載された内容を発明の詳細な説明の【背景技術】の欄に追加する補正は新たな技術的事項を導入するものではないので許される。しかし、出願に係る発明との対比等、発明の評価に関する情報や発明の実施に関する情報を追加する補正や、先行技術文献に記載された内容を追加して特許法第36条第4項第1号参照ウィンドウに表示の不備を解消する補正は新たな技術的事項を導入するものであるので許されない。

《出願日(分割・変更出願等については、現実の出願日)が平成20年12月31日以前の出願に適用》

特許法第36条4項2号参照ウィンドウに表示の規定により、先行技術文献情報(その関連する発明が記載されていた刊行物の名称、その他のその文献公知発明に関する情報の所在)の記載が求められるところ、発明の詳細な説明の【背景技術】の欄に先行技術文献情報を追加する場合に、当該文献に記載された内容を併せて【背景技術】の欄に追加する補正は、新たな技術的事項を導入するものではないので許される。しかし、出願に係る発明との対比等、発明の評価に関する情報や発明の実施に関する情報を追加する補正や、先行技術文献に記載された内容を追加して特許法第36条第4項第1号参照ウィンドウに表示の不備を解消する補正は新たな技術的事項を導入するものであるので許されない。

(2)

具体例の追加

一般に、発明の具体例を追加したり、材料を追加したりすることは、当初明細書等に記載した事項の範囲を超えた補正となる。例えば、複数の成分から成るゴム組成物に係る特許出願において、「特定の成分を追加することもできる」という情報を追加する補正は許されない。同様に、当初明細書等において、特定の弾性支持体を開示することなく、弾性支持体を備えた装置が記載されていた場合において、「弾性支持体としてつるまきバネを使用することができる」という情報を追加する補正は許されない。

(3)

発明の効果の追加

一般に、発明の効果を追加する補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲を超えた補正となる。しかしながら、当初明細書等に発明の構造や作用・機能が明示的に記載されており、この記載から当該効果が自明な事項である場合は、補正は許される。

(4)

無関係・矛盾する事項の追加

当初明細書等に記載した事項と関係のない事項や矛盾する事項を追加する補正が許されないことはいうまでもない。

(参考:東京高判平13.12.17(平成12年(行ケ)第396号審決取消請求事件「中通し釣竿」))

(5)

不整合記載の解消/明りょうでない記載の補正

明細書等の中に矛盾する二以上の記載がある場合であって、そのうちのいずれが正しいかが、当初明細書等の記載から、当業者にとって明らかな場合は、当該正しい記載に整合させる補正が許される。

また、それ自体では明りょうでない記載であっても、その本来の意味が、当初明細書等の記載から、当業者にとって明らかな場合は、これを明りょう化する補正が許される。

Myリストに登録6. 図面の補正

図面の補正であっても、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであれば許される。しかし、補正後の図面は、一般に、当初明細書等に記載した事項の範囲を超えた内容を含むことが多いことに留意すべきである。特に、図面に代えて願書等に添付した写真を、出願後に差し替える場合には留意が必要である。また、図面の記載は必ずしも現実の寸法を反映するものとは限らない。

Myリストに登録7. 出願人による説明

(1)

出願人は、補正をしようとするときは、下線を施すことより補正箇所を明示し、自発補正の場合にあっては上申書において、拒絶の理由の通知に対応するための補正の場合にあっては意見書において、補正の根拠となった当初明細書等の記載箇所を示した上で、補正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることを説明することが求められる。

(説明)

出願人は、当初明細書等に記載した事項の内容や補正内容を知っているのであるから、補正をするときは、上申書や意見書において、補正が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであることを十分に説明することが要請される。当初明細書等に記載した事項の範囲内のものか否かについて疑義が解消しないときは、当該補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはされない。

例えば、3.1(1)(c)の「弾性支持体」の例において、出願人が、図面等の記載も参酌すると当業者であれば「弾性支持体」は「つるまきバネ」の意味であると当然に理解するであろうことを十分に示し、それにより当初明細書等に記載した事項の範囲内のものか否かについて疑義が解消した場合は、補正は許される。疑義が解消しないときは、当該補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはされない。

(2)

出願人は、当初明細書等に記載した事項の範囲を超えた内容で特許された場合、当該特許は無効事由を含むこととなることに留意すべきである。

(3)

出願人による説明がなく、補正内容と当初明細書等に記載した事項との対応関係が分からない場合は、審査官は、当該補正が当初明細書等に記載した事項の範囲を超えた内容を含むものとして拒絶理由通知等をすることができる。また、(a) 3.1(1)の「当初明細書等に明示的に記載された事項」又は「当初明細書等の記載から自明な事項」であるとして補正が許される場合、及び、(b) 4.25.2の各論に記載された補正が許される場合、のいずれにも該当しないときは、審査官は、当該補正が当初明細書等に記載した事項の範囲を超えた内容を含むものとして拒絶理由通知等をすることができる。

Myリストに登録 第Ⅱ節 発明の特別な技術的特徴を変更する補正

Myリストに登録1. 関係条文

前項に規定するもののほか、第一項各号に掲げる場合において特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第三十七条参照ウィンドウに表示の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。

特許法第37条参照ウィンドウに表示

二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。

特許法施行規則第25条の8

特許法第三十七条参照ウィンドウに表示の経済産業省令で定める技術的関係とは、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係をいう。

2 前項に規定する特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいう。

3 第一項に規定する技術的関係については、二以上の発明が別個の請求項に記載されているか単一の請求項に択一的な形式によって記載されているかどうかにかかわらず、その有無を判断するものとする。

補正が第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を満たしていないときは、拒絶理由(第49条第1号参照ウィンドウに表示)となる。また、第50条の2参照ウィンドウに表示の規定に基づく通知が併せてなされた拒絶理由通知に応答する補正、最後の拒絶理由通知に応答する補正又は拒絶査定不服審判請求時の補正が上記要件を満たしていない場合には、補正却下の対象となりうる(第53条参照ウィンドウに表示第159条第1項参照ウィンドウに表示第163条第1項参照ウィンドウに表示)。

Myリストに登録2. 第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の規定の趣旨

一の願書で特許出願することができる発明は、発明の単一性の要件を満たす範囲に制限されている(第37条参照ウィンドウに表示)。しかしながら、拒絶理由を通知した後に、特許請求の範囲についてこのような制限を超える自由な補正が認められると、拒絶理由通知後の審査において、それまでに行った先行技術調査・審査の結果を有効に活用することができず、先行技術調査・審査のやり直しとなるような補正がされる場合がある。このような補正がされると、迅速・的確な権利付与に支障が生じるばかりでなく、出願間の取扱いの公平性も十分に確保されないこととなるため、拒絶理由通知後の特許請求の範囲についての補正に関しても、一の願書で特許出願することができる発明の範囲についての制限と同様の制限を設けることとした。

Myリストに登録3. 基本的な考え方

第17条の2第4項参照ウィンドウに表示は、補正前の特許請求の範囲の発明のうち拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、拒絶理由通知後に補正された発明とが、同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しないことにより、発明の単一性の要件を満たさなくなるような補正(以下、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」という。)を禁止する規定であり、発明の単一性の要件を補正後の特許請求の範囲の発明にまで拡張するものである。

このことから、発明の特別な技術的特徴を変更する補正であるか否かは、補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、補正後の特許請求の範囲のすべての発明とが、全体として発明の単一性の要件を満たすか否かにより判断する。

また、補正前に拒絶理由通知が複数回なされている場合には、一回目の拒絶理由通知を含めその補正前までになされたすべての拒絶理由通知において新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、当該補正後の特許請求の範囲のすべての発明とが、全体として発明の単一性の要件を満たすか否かにより判断する。

Myリストに登録4. 審査の進め方

Myリストに登録4.1 基本的な審査の進め方

(1)

発明の特別な技術的特徴を変更する補正であるか否かの判断は、補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、補正後の特許請求の範囲のすべての発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しているか否かにより行う。同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しているか否かの判断は、第Ⅰ部第2章「発明の単一性の要件」に従う。ただし、補正前の特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合は、下記4.3に従って審査を進める。

補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、補正後の特許請求の範囲のすべての発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有している場合には、当該補正後のすべての発明について、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示以外の要件についての審査対象(以下、本節において、「第17条の2第4項参照ウィンドウに表示以外の要件についての審査対象」を単に「審査対象」という。)とする。

一方、補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と、補正後の特許請求の範囲のすべての発明との間に同一の又は対応する特別な技術的特徴を見出すことができない場合には、補正後の特許請求の範囲の中で、補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明(補正前の特許請求の範囲の最初に記載された発明との間で同一の又は対応する特別な技術的特徴を有する発明に限る。)と同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しない発明(以下、「特別な技術的特徴が変更された発明」という。)については、審査対象とせず、それ以外の発明については審査対象とする。この場合には、審査対象となった発明についての審査結果とともに、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件違反の拒絶理由を通知する。

(2)

上記(1)の判断において、特別な技術的特徴は、明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「明細書等」という。)の記載、出願時の技術常識並びに補正前の拒絶理由通知で引用された先行技術に基づいて把握することとする。

(説明)

補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明及び補正後の特許請求の範囲のすべての発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有するかどうかを、明細書等の記載、出願時の技術常識及び補正前の拒絶理由通知で引用された先行技術に加えて、補正前に出願人に提示していなかった先行技術に基づいて判断できることとすると、拒絶理由通知を受けた出願人が補正を検討する際に、発明の特別な技術的特徴を変更する補正とならない範囲について十分に予測することができなくなる。このような状況下で補正がなされると、「第Ⅸ部 審査の進め方」に従って発明の特別な技術的特徴を変更する補正である旨の最後の拒絶理由通知がなされ、結果的に本来特許されるべきであった発明への補正の途が閉ざされてしまう場合がある。したがって、上記のとおり取り扱うこととする。

Myリストに登録4.2 基本的な審査の進め方の例

例1:

[補正前の特許請求の範囲]

請求項1 : TV放送受信手段と、受信TV放送データを圧縮して記録する記録手段を有する携帯電話機

[補正後の特許請求の範囲]

請求項① :

TV放送受信手段と、受信TV放送データを放送内容に応じて圧縮率を変えて記録する記録手段を有する携帯電話機

請求項② :

TV放送受信手段と、待機時にTV放送受信手段に間欠的に電源を供給する電源制御手段を有し、緊急警報放送を受信可能とした携帯電話機

引用文献1には、TV放送受信手段を備えた携帯電話機が記載されており、引用文献2には、画像データを圧縮して記録する記録手段を備えた携帯情報機器が記載されている。よって、一回目の拒絶理由通知において引用文献1及び2により進歩性欠如の拒絶理由が通知された。上記拒絶理由通知の後の補正により、補正前の請求項1の「受信TV放送データを圧縮して記録する記録手段」を「受信TV放送データを放送内容に応じて圧縮率を変えて記録する記録手段」へと減縮した請求項①に係る発明、緊急警報放送の受信を可能とする請求項②に係る発明へと変更されている。

(説明)

補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項①に係る発明に共通する技術的特徴のうち、「TV放送受信手段を有する携帯電話機」は、引用文献1に照らして先行技術に対する貢献をもたらさないが、「TV放送受信手段と、受信TV放送データを圧縮して記録する記録手段を有する携帯電話機」は、出願時の技術常識及び引用文献1、2に照らして先行技術に対する貢献をもたらすため、特別な技術的特徴である。よって、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項①に係る発明は発明の単一性の要件を満たす。

一方、補正後の請求項②に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項①に係る発明とが共通して有する前記特別な技術的特徴を有しないため、補正前の請求項1に係る発明との間で発明の単一性の要件を満たさない。

したがって、補正後の請求項①に係る発明のみを審査対象とし、二回目の拒絶理由通知(最後の拒絶理由通知)において第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件違反の拒絶理由、及び請求項①に係る発明についての審査結果を通知する。

例2:

[補正前の特許請求の範囲]

請求項1 : 特定成分Xを含む速乾性のインクジェットプリンター用インク

請求項2 : インク滴量を調節することが可能な特殊形状のノズルを有することを特徴とするインクジェットプリンター

[補正後の特許請求の範囲]

請求項① :

インク滴量を調節することが可能な特殊形状のノズルを有することを特徴とするインクジェットプリンター

補正前の請求項1に係る発明は「特定成分X」という特別な技術的特徴を有しているが、補正前の請求項2に係る発明は当該特別な技術的特徴を有していないため、補正前の請求項1、2に係る発明は発明の単一性の要件を満たさない。このため、本案件については、補正前の請求項1に係る発明のみを審査対象とし、一回目の拒絶理由通知において進歩性欠如の拒絶理由とともに発明の単一性の要件違反の拒絶理由が通知された。上記拒絶理由通知の後の補正により、補正前の請求項1が削除され、補正前の請求項2が補正後の請求項①に繰り上がっている。

(説明)

補正後の請求項①に係る発明は、一回目の拒絶理由通知で既に示されているとおり、補正前に新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われた請求項1と発明の単一性の要件を満たしていない。したがって、補正後の請求項①に係る発明は審査対象とせずに、二回目の拒絶理由通知(最後の拒絶理由通知)において第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件違反の拒絶理由のみを通知する。

Myリストに登録4.3 補正前の特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合の審査の進め方

補正前の特許請求の範囲の最初に記載された発明が特別な技術的特徴を有しない場合には、当該発明と補正後の発明との間で、同一の又は対応する特別な技術的特徴を見出すことができず、したがって、補正前の特許請求の範囲において新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われたすべての発明と補正後の特許請求の範囲のすべての発明との間で、発明の単一性の要件を満たすとはいえない。

しかしながら、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の規定が、特許請求の範囲について補正をすることができる範囲を第37条参照ウィンドウに表示が規定する範囲と同様の範囲とするものであることから、このような場合であっても、「第Ⅰ部第2章 発明の単一性の要件」の4.2において出願人等の便宜を考慮して例外的に第37条参照ウィンドウに表示の要件を問わずに審査対象となる範囲を定めたのと同様、補正後の特許請求の範囲の発明が下記4.3.1又は4.3.2に掲げる一定の範囲の発明となっている場合には、例外的に、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を問わずに審査対象とする。

Myリストに登録4.3.1 補正前の特許請求の範囲において審査対象とされた発明に特別な技術的特徴を有する発明が見出された場合

補正前の特許請求の範囲の新規性・進歩性等の特許要件についての審査が行われた発明に、第Ⅰ部第2章「発明の単一性の要件」の4.2[審査対象の決定手順]①~③に従って特別な技術的特徴を有する発明が見出された場合には、補正後の特許請求の範囲において、当該補正前の特別な技術的特徴を有する発明の発明特定事項をすべて含む(注)同一カテゴリーの発明については、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を問わずに審査対象とする。一方、補正後の特許請求の範囲において、当該補正前の特別な技術的特徴を有する発明の発明特定事項の少なくとも一部を含まない発明については、審査対象とせずに、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件違反の拒絶理由を通知する。

また、併せて、上記審査対象について審査を行った結果、審査が実質的に終了している他の発明、及び補正前に行った審査により、審査が実質的に終了している発明についても、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を問わずに審査対象に加える。

(注)

発明の「発明特定事項をすべて含む」場合には、当該発明に別の発明特定事項を付加した場合に加え、当該発明について一部又は全部の発明特定事項を下位概念化した場合や、当該発明について発明特定事項の一部が数値範囲である場合に、それをさらに限定した場合等も含まれる。

例:

補正前の請求項2、3に係る発明は、それぞれ請求項1、2に係る発明の発明特定事項をすべて含む同一カテゴリーの発明である。補正前の請求項1、2に係る発明には特別な技術的特徴が無く、補正前の請求項3に係る発明に特別な技術的特徴が発見された。この出願に対しては、請求項1、2に係る発明に新規性欠如、請求項3に係る発明に進歩性欠如の一回目の拒絶理由通知がなされている。当該拒絶理由通知後の補正により、補正前の請求項3の発明特定事項のすべてを含む請求項①~④、及び請求項3の発明特定事項の一部を含まない請求項⑤が特許請求の範囲に記載された発明となった。

STF1

(説明)

この例では、補正前の請求項3に係る発明が特別な技術的特徴を有しているため、当該請求項3の発明特定事項をすべて含んだ補正後の請求項①~④に係る発明は、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を問わずに審査対象とする。また、補正後の請求項⑤に係る発明は、補正前の請求項3に係る発明の発明特定事項の一部を含まないため、審査対象としない。 この出願については、二回目の拒絶理由通知において、補正後の請求項⑤に係る発明についての第17条の2第4項参照ウィンドウに表示違反の拒絶理由、及び補正後の請求項①~④に係る発明についての審査結果を通知する。

Myリストに登録4.3.2 補正前の特許請求の範囲において審査対象とされたすべての発明が特別な技術的特徴を有していなかった場合

補正前の特許請求の範囲において、第Ⅰ部第2章「発明の単一性の要件」の4.2[審査対象の決定手順]に従って審査対象とされたすべての発明が特別な技術的特徴を有していなかった場合には、引き続き補正後の特許請求の範囲の各請求項に係る発明について、次の[補正後の審査対象の決定手順]により特別な技術的特徴の有無を判断し、審査対象を決定する。

[補正後の審査対象の決定手順]

第Ⅰ部第2章「発明の単一性の要件」の4.2の審査対象の決定手順に従って、最後に特別な技術的特徴の有無を判断した補正前の発明の発明特定事項をすべて含む同一カテゴリーの補正後の請求項に係る発明のうち、請求項に付した番号の最も小さい請求項に係る発明について、特別な技術的特徴の有無を判断する。

既に特別な技術的特徴の有無を判断した請求項に係る発明が特別な技術的特徴を有しない場合には、次に、直前に特別な技術的特徴の有無を判断した請求項に係る発明の発明特定事項をすべて含む同一カテゴリーの請求項に係る発明のうち、請求項に付した番号の最も小さい請求項に係る発明を選択して、特別な技術的特徴の有無を判断する。

②の手順を特別な技術的特徴を有する発明が発見されるまで繰り返し、特別な技術的特徴を有する発明が発見されれば、補正後の特許請求の範囲の中でそれまでに特別な技術的特徴の有無を判断した発明、及び当該特別な技術的特徴を有する発明の発明特定事項をすべて含む同一カテゴリーの発明を審査対象とする。

①、②の手順において、次に特別な技術的特徴の有無を判断しようとする請求項に係る発明が、直前に特別な技術的特徴の有無を判断した発明(補正前の特許請求の範囲の発明の中で最後に特別な技術的特徴の有無を判断した発明を含む。)に技術的な関連性の低い技術的特徴を追加したものであり、かつ当該技術的特徴から把握される、発明が解決しようとする具体的な課題も関連性の低いものである場合には、更に特別な技術的特徴の有無を判断することなく、それまでに特別な技術的特徴の有無を判断した発明を審査対象とする。

③又は④で審査対象とした発明について審査を行った結果、審査が実質的に終了している他の発明(例えば、カテゴリー表現上の差異があるだけの発明)についても審査対象に加える。

更に、補正前に行った審査により、審査が実質的に終了している発明についても審査対象に加える。

上記手順において、請求項において発明特定事項が選択肢で表現されている場合(多数項引用形式の場合を含む)には、選択肢ごとに把握される発明が、当該選択肢の順序でそれぞれ別の請求項として記載されているものとして取り扱う。発明特定事項をすべて含むか否かの判断においては、請求項が形式的に独立形式であるか引用形式であるかにとらわれずに判断する。

以上の手順により審査対象となる補正後の特許請求の範囲の発明については、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を問わずに審査対象とし、審査対象とならない発明が含まれる場合には、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件違反の拒絶理由を通知する。

例:

補正前の請求項2、3に係る各発明は、それぞれ請求項1、2に係る発明の発明特定事項をすべて含む同一カテゴリーの発明である。補正前の請求項1~3に係る発明には特別な技術的特徴が無く、この出願に対しては、請求項1~3に係る発明に新規性欠如の一回目の拒絶理由通知がなされている。当該拒絶理由通知後の補正により、特許請求の範囲は、補正前の請求項3の発明特定事項をすべて含む請求項①~④へと補正された。補正後の請求項②及び請求項③は、補正後の請求項①の発明特定事項をすべて含む請求項である。補正後の請求項①に係る発明に追加された技術的特徴は、補正前の請求項3に係る発明と技術的に密接に関連している。

STF2

(説明)

この例では、まず、補正前の請求項3に係る発明の発明特定事項をすべて含み、請求項の番号の最も小さい請求項である、補正後の請求項①について、特別な技術的特徴の有無を判断する。当該請求項①に特別な技術的特徴が発見されたため、当該請求項①の発明特定事項をすべて含む請求項②、③に係る発明については、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を問わずに審査対象とする。補正後の請求項④は、特別な技術的特徴を有しない補正前の請求項3の発明特定事項をすべて含む請求項の中で、請求項の番号が最も小さい請求項ではなく、かつ発明の特別な技術的特徴を有する補正後の請求項①の発明特定事項の一部を含まないため、上記の手順に従って審査対象としない。

この出願については、二回目の拒絶理由通知において、補正後の請求項④に係る発明についての第17条の2第4項参照ウィンドウに表示違反の拒絶理由、及び補正後の請求項①~③に係る発明についての審査結果を通知する。

Myリストに登録5. 留意事項

(1)第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件は、発明の単一性の要件を補正後の特許請求の範囲の発明にまで拡張するものであり、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を満たすか否かの判断は、補正後の特許請求の範囲の中での発明の単一性の要件を満たすか否かの判断を包含しているため、一回目の拒絶理由を通知した後は、第37条参照ウィンドウに表示の要件についての判断を省略することができる。

(2)上記4.1又は4.3に示したところに照らして、審査対象とならない請求項に係る発明がある場合には、その発明を拒絶理由通知において明示するとともに審査対象とならない理由を記載する。

(3)補正後の特許請求の範囲に記載された発明について、補正前に通知した拒絶の理由が依然として解消していないことが明らかである場合には、「4. 審査の進め方」にかかわらず、拒絶の査定をすることができる。

(4)発明の技術的特徴を変更する補正(第17条の2第4項参照ウィンドウに表示)は、拒絶理由(第49条参照ウィンドウに表示)ではあるが、無効理由(第123条参照ウィンドウに表示)とはされていない。これは、発明に実質的に瑕疵があるわけではなく、補正後の発明について審査を受けるためには二以上の特許出願とすべきであったという手続き上の瑕疵があるのみで、そのまま特許されたとしても直接的に第三者の利益を著しく害することにはならないからである。このような事情に鑑み、4.1に示したところに照らして審査対象となる発明について審査を行った結果、審査が実質的に終了している他の発明や、補正前に行った審査により、審査が実質的に終了している発明、及び特別な技術的特徴が変更された発明であるか否かが簡単には判別できない発明については、第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の要件を必要以上に厳格に適用することがないようにする。

Myリストに登録 第Ⅲ節 最後の拒絶理由通知後の特許請求の範囲についての補正

Myリストに登録1. 基本的考え方

第17条の2第5項参照ウィンドウに表示の規定は、発明の保護を十全に図るという特許制度の基本目的を考慮しつつ、迅速・的確な権利付与を確保する審査手続を確立するために、最後の拒絶理由通知に対する補正は、既に行った審査結果を有効に活用できる範囲内で行うこととする趣旨で設けられたものである。そして、この規定に違反する補正は、新規事項を追加するものとは異なり、発明の内容に関して実体的な瑕疵をもたらすものではないことから、それが看過されて拒絶査定又は特許査定がされた後は、遡って補正を却下することはしないこととされており、第17条の2第5項参照ウィンドウに表示の規定は第3項の規定とは性格を異にすると解される。したがって、第5項の規定の適用にあたっては、その立法趣旨を十分に考慮し、本来保護されるべきものと認められる発明について、既に行った審査結果を有効に活用して最後の拒絶理由通知後の審査を迅速に行うことができると認められる場合についてまでも、必要以上に厳格に運用することがないようにする。

Myリストに登録2. 具体的運用

Myリストに登録2.1 新規事項の追加禁止(第17条の2第3項参照ウィンドウに表示

「…明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、…願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(…)に記載した事項の範囲内においてしなければならない」

補正が第17条の2第3項参照ウィンドウに表示の規定を満たすものであるか否かは、「第Ⅰ節 新規事項」に従って判断する。

Myリストに登録2.2 発明の特別な技術的特徴を変更する補正の禁止(第17条の2第4項参照ウィンドウに表示

「…第一項各号に掲げる場合において特許請求の範囲について補正をするときは、その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と、その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第三十七条参照ウィンドウに表示の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。」

補正が第17条の2第4項参照ウィンドウに表示の規定を満たすものであるか否かは、「第Ⅱ節 発明の特別な技術的特徴を変更する補正」に従って判断する。

Myリストに登録3. 請求項の削除(第17条の2第5項第1号参照ウィンドウに表示

Myリストに登録3.1 趣旨

特許請求の範囲に記載された複数の請求項のうちの一部の請求項を削除する補正は、再度の審査・審理を必要としないことから、許容することとしたものである。

Myリストに登録3.2 具体的運用

請求項を削除する補正のみならず、請求項を削除する補正に伴い、他の請求項を形式的に補正することも、請求項の削除を目的とする補正として扱う。

具体例:

請求項の削除に伴って必然的に生じる、

削除された請求項を引用する他の請求項の引用番号の変更

従属形式から独立形式への変更

Myリストに登録4. 請求項の限定的減縮(第17条の2第5項第2号参照ウィンドウに表示及び第6項参照ウィンドウに表示

Myリストに登録4.1 趣旨

特許請求の範囲の減縮に相当する補正のうち、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更しないで発明特定事項を限定する補正は、審査・審理の対象を大幅に変更するものではなく、一般的には従前の審査結果を利用できるものと考えられることから、このような補正を許容することとしたものである。

ただし、このような補正であっても、出願に係る発明が特許を受けることができないものである場合には、再度の拒絶理由通知が必要となる場合もあり、その後に補正がなされると再度の審査・審理が必要となることもあるため、審査の迅速性及び出願間の取扱いの公平性の確保の観点から、特許を受けることができるようにする補正に限って認めることとしたものである。

Myリストに登録4.2 限定的減縮に適合する要件

特許請求の範囲の補正が第17条の2第5項第2号参照ウィンドウに表示に該当するためには、次の要件を満たさなければならない。

(1)

特許請求の範囲の減縮であること。

(2)

補正前の請求項に記載された発明(以下「補正前発明」という)の発明特定事項の限定であること。

(3)

補正前と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であること。

(説明)

第2号の括弧書きは、補正前発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である発明となるように補正前発明の発明特定事項を限定する補正でなければならない、すなわち、補正前後の発明の利用分野及び課題が同一でなければならないことを規定するものである。

Myリストに登録4.3 具体的運用

Myリストに登録4.3.1 特許請求の範囲の減縮であること

特許請求の範囲の拡張に該当するものは、特許請求の範囲の減縮に当たらないとして、括弧書きの要件を満たすか否かを判断することなく第17条の2第5項第2号参照ウィンドウに表示に該当しないものとする。

 なお、特許請求の範囲は、特許を受けようとする発明について記載した請求項の集合したものであることから、「特許請求の範囲の減縮」についての判断は、基本的には、各請求項について行うものとする。

(1)

特許請求の範囲の減縮に該当しない具体例:

直列的に記載された発明特定事項の一部の削除

択一的記載の要素の付加

請求項数を増加する補正(下記(2)⑤に該当する場合を除く)

(2)

特許請求の範囲の減縮に該当する具体例:

択一的記載の要素の削除

発明特定事項の直列的付加

上位概念から下位概念への変更

多数項引用形式請求項の引用請求項を減少

例:

特許請求の範囲の記載「A機構を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエアコン装置」を「A機構を有する請求項1又は請求項2に記載のエアコン装置」とする補正。

n項引用形式請求項をn-1以下の請求項に変更

例:

特許請求の範囲の記載「A機構を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエアコン装置」を「A機構を有する請求項1記載のエアコン装置」と「A機構を有する請求項2記載のエアコン装置」の二つの請求項に変更する補正。

Myリストに登録4.3.2 発明を特定するための事項の限定であること

(1)

「発明を特定するための事項」の解釈

第2号で規定する「発明を特定するための事項」は、補正前の請求項に記載された事項であるから、その把握は、補正前の請求項の記載に基づいて行う必要がある。

また、第36条第4項第1号参照ウィンドウに表示の運用においては、発明の実施に必要な場合には、発明の詳細な説明中に発明を特定するための事項の作用(働き/役割)を記載すべきこととされている。

したがって、第17条の2第5項第2号参照ウィンドウに表示における「発明を特定するための事項」は、補正前の請求項の記載に基づき、明細書及び図面の記載を考慮して、その作用と対応して把握する。

(2)

「限定する」の解釈

「発明を特定するための事項」を「限定する」補正とは、以下のことをいう。

①補正前の請求項における「発明を特定するための事項」の一つ以上を、概念的により下位の「発明を特定するための事項」とする補正。

なお、作用で物を特定しようとする記載を用いた発明特定事項(機能実現手段等)に対し、その作用とは別個の作用を有する発明特定事項は、通常、概念的に下位のものとは認められない。

②マーカッシュクレーム等、発明を特定するための事項が選択肢として表現されている請求項においては、その選択肢の一部を削除する補正。

(3)

判断手法

発明を特定するための事項の限定であるかどうかの判断は、補正前の請求項に係る発明と補正後の請求項に係る発明のそれぞれの発明特定事項を把握し、両者を対比することにより行う。

Myリストに登録4.3.3 補正前と補正後の発明の解決しようとする課題と産業上の利用分野が同一であること

(1)

「解決しようとする課題」および「産業上の利用分野」の認定

発明の解決しようとする課題および産業上の利用分野の認定にあたっては、発明の詳細な説明中の課題および発明の属する技術分野についての記載を勘案しつつ、請求項の記載に基づいて把握した「発明を特定するための事項」に基づいて、課題・利用分野を具体的に特定する。なお、発明の課題は、未解決のものである必要はない。

(2)

解決しようとする課題の同一について

補正前後の発明の課題が一致する場合のほか、補正後の発明の課題が補正前発明の課題と技術的に密接に関連している場合(課題の同一性の判断においては、「技術的に密接に関連する」とは、補正後の発明の課題が補正前発明の課題をより概念的に下位にしたものであるとき、又は補正前後の発明の課題が同種のものであるとき等をいうものとする。)にも、発明の課題は同一であるとする。(例えば、「強度向上」と「引っ張り強度向上」、「コンパクト化」と「軽量化」)

そして、補正前発明の一以上の発明特定事項の補正によって発明の課題が同一でない発明となった場合には、本要件を満たす補正ではないとする。

なお、第36条第4項第1号参照ウィンドウに表示の委任省令の運用では、従来の技術と全く異なる新規な発想に基づき開発された発明又は試行錯誤の結果の発見に基づく発明等のように、もともと解決すべき課題が想定されていないと認められる場合には、課題の記載は求めない。この場合には、解決しようとする課題にかかわらずそれまでの審査がなされていると考えられることから、本要件は満たされているものとする。

(3)

産業上の利用分野の同一について

補正前後の発明の産業上の利用分野が同一であるとは、補正前後の発明の技術分野が一致する場合及び補正前発明の技術分野と補正後の発明の技術分野とが技術的に密接に関連する場合をいう。

(説明)

上記(2)及び(3)において、補正前後の発明の課題及び産業上の利用分野が同一であることを要件とした理由は、補正前発明と上記のような関係にある補正後の発明については、最後の拒絶理由通知以前の審査の結果を有効に活用して、更なる審査に大きな負担を要することなく手続きを進めることができると考えられるためである。

Myリストに登録4.3.4 独立して特許可能

第17条の2第5項第2号参照ウィンドウに表示に該当する補正と認められても、補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許可能なものでなければならない。

この要件が課されるのは限定的減縮に相当する補正がなされた請求項のみであり、これに相当しない「誤記の訂正」又は「明りょうでない記載の釈明」のみの補正がなされた請求項及び補正されていない請求項については、独立して特許を受けることができない理由が存在する場合において、それを理由として補正を却下してはならない。

独立して特許可能かどうかについて適用される条文は、第29条参照ウィンドウに表示第29条の2参照ウィンドウに表示第32条参照ウィンドウに表示第36条第4項第1号参照ウィンドウに表示又は第6項(第4号は除く)参照ウィンドウに表示、及び第39条第1項から第4項参照ウィンドウに表示までとする。その他の取扱いは「第Ⅸ部 審査の進め方 第2節 各論」の6.2.3による。

Myリストに登録4.4 最後の拒絶理由通知後に複数回の補正がされた場合の留意事項

最後の拒絶理由通知に対する応答期間内に数回にわたり明細書、特許請求の範囲又は図面の補正がされる場合、第2回目以降の補正が第17条の2第5項参照ウィンドウに表示及び第6項に規定する要件を満たしているかどうかを判断するときの基準となる明細書、特許請求の範囲又は図面は、当該第2回目以降の補正の直前に適法に補正がなされた明細書、特許請求の範囲又は図面とする。ただし、第17条の2第3項参照ウィンドウに表示については、当初明細書、特許請求の範囲又は図面である。

Myリストに登録5. 明りょうでない記載の釈明(第17条の2第5項第4号参照ウィンドウに表示

Myリストに登録5.1 趣旨

最後の拒絶理由通知で記載不備を指摘した場合において、その不備を是正するための軽微な補正については、審査・審理の対象を変更するものではなく、またこれを認めることとしなければ出願人は拒絶理由に対応することが困難であり、これを認めないとすると発明の保護の観点からも適切でない。したがって、「明りょうでない記載の釈明」であって、最後の拒絶理由通知で指摘された「拒絶の理由に示す事項についてする」補正を認めることとしたものである。

Myリストに登録5.2 「明りょうでない記載の釈明」の意味

「明りょうでない記載」とは、文理上は、それ自体意味の明らかでない記載など、記載上の不備を生じている記載である。

特許請求の範囲について「明りょうでない記載」とは、請求項の記載そのものが、文理上、意味が不明りょうであること、請求項自体の記載内容が他の記載との関係において不合理を生じていること、又は、請求項自体の記載は明りょうであるが請求項に記載した発明が技術的に正確に特定されず不明りょうであること等をいう。「釈明」とは、それらの不明りょうさを正して、「その記載本来の意味内容」を明らかにすることである。

したがって、請求項の記載自体が明確であり、発明も技術的に明りょうに特定されている場合に、新規性・進歩性欠如等の拒絶理由通知を受け、新規性・進歩性等を明らかにする補正は、「明りょうでない記載の釈明」に該当しない。

たとえば、新規性・進歩性欠如等に係る拒絶理由を解消するための補正であって、課題を変更せずに請求項に記載された発明特定事項を限定するもの、又は新たな課題を解決するための新たな技術的事項を請求項に記載するもの等と認められる場合には、当該補正は「明りょうでない記載の釈明」に該当しない。

こうした補正は、「請求項の限定的減縮」等の第5項各号のいずれか他のものに該当するかどうか等を更に審査すべきこととなる。

Myリストに登録5.3 拒絶の理由に示した事項との関係

拒絶理由通知で指摘していなかった事項についての補正によって、既に審査・審理した部分が補正され、新たな拒絶理由が生じることを防止するため、「明りょうでない記載の釈明」は、拒絶理由通知で指摘された拒絶の理由に示す事項についてするものに限られている。

第36条参照ウィンドウに表示に基づく最後の拒絶理由通知で指摘された特定個所の記載不備の拒絶理由を解消するための補正は、第4号括弧書きの「拒絶の理由に示す事項についてするもの」に該当する。

これに対し、最後の拒絶理由通知で指摘された特定個所の記載不備とは無関係に、請求項に記載された発明特定事項を限定する補正や、新たな課題を解決するための新たな技術的事項を請求項に記載する補正等は、「拒絶の理由に示す事項についてするもの」に該当しない。

Myリストに登録6. 誤記の訂正(第17条の2第5項第3号参照ウィンドウに表示

Myリストに登録6.1 趣旨

最後の拒絶理由通知に対応する場合において、記載不備についての軽微な補正は、これを認めても審査・審理の対象を変更するものではなく、またこれを認めることとしなければ出願人は拒絶理由に対応することが困難であり、発明の保護の観点からも適切でない。したがって、「誤記の訂正」と認められる補正を許容することとしたものである。

Myリストに登録6.1.1 「誤記の訂正」の意味

「誤記の訂正」とは、「本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな字句・語句の誤りを、その意味内容の字句・語句に正す」ことである。

Myリストに登録7. 判断手順

第17条の2参照ウィンドウに表示の各項に規定する要件に関する審査手順については、「第Ⅸ部 審査の進め方 第2節 各論」の6.2による。

Myリストに登録 第Ⅳ節 明細書、特許請求の範囲又は図面の補正に関する事例集

Myリストに登録1. 新規事項の判断に関する事例

新規事項の判断に関する事例1

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

移動体通信システム

特許請求の範囲
【請求項1】

携帯端末機と、この携帯端末機と通信する基地局とを備え、前記携帯端末機の位置座標及びユーザ情報を、前記携帯端末機を識別する識別番号とともに、複数の専用物理チャネルのうち空いている専用物理チャネルを使用して通信する移動体通信システムにおいて、

………………移動体通信システム。

発明の詳細な説明の抜粋
【背景技術】

………………。現在、国際標準化委員会○○では、基地局セル内に存在する各携帯端末機の位置情報に応じた情報提供方法として以下のようなものが提案されている。

まず、携帯端末機で位置を測定し、この位置情報とユーザ情報を、個別の携帯端末機を識別する識別番号とともに所定の専用物理チャネルを用いて携帯端末機から基地局へ送信する。………………………………。

 

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

………………前記携帯端末機の位置座標[削除]を、前記携帯端末機を識別する識別番号とともに、複数の専用物理チャネルのうち空いている専用物理チャネルを使用して通信する移動体通信システムにおいて、

………………。

発明の詳細な説明の抜粋
【背景技術】

………………

【発明が解決しようとする課題】

しかし、上述のような移動体通信システムでは、一旦、携帯端末機が特定の物理チャネルを選択すると、その通信状態が悪化した場合には、回復するまで通信できないという問題があった。

この発明は、個別の専用物理チャネルの通信状態に関わらず、位置情報を取得することのできる移動体通信システムに関するものであり、所定のプロトコルで「再割り当て指示信号」を送信し、チャネルの切替をすることにより、上述の問題を解決するものである。

【発明が解決しようとする課題】

………………

図面

………………

図面
jire1

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

この補正は、当初の請求項においては、携帯端末機から基地局に最初に情報を送信する際に「位置座標及びユーザ情報を識別番号とともに通信する」としていたものを、「ユーザ情報」を削除し、「位置座標を識別番号とともに通信する」とするものである。

「位置座標及び識別番号」を基地局へ通信することは、当初明細書等のいずれの箇所にも記載されていない。しかしながら、本願の発明が解決しようとする課題は、個々の専用物理チャネルの通信状態にかかわらず位置情報を取得して、位置情報に応じた情報を提供することを可能とすることであり、課題を解決するための手段は、所定のプロトコルで「再割り当て指示信号」を送信し、チャネルの切替をすることである。そして、最初に携帯端末機から基地局へ送信するステップは、チャネルを確立するために当然に必要なものであるところ、「ユーザ情報」は発明による課題の解決には関係がなく、この場合において「ユーザ情報」は任意の付加的な事項であることが明らかである。

そうすると、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものということができる。

新規事項の判断に関する事例2

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

ロータリースイッチ

特許請求の範囲
【請求項1】

複数の固定端子9a~9dを備えた端子板8に回動可能にセレクタ12を保持させ、上記セレクタ12として固定端子9a~9dと接触する摺動軌跡上に多数の透孔15を設けた一枚の導電板14をこの透孔15より突出する絶縁突出部16を設けた絶縁板13に貼りつけてなるロータリースイッチ。

 

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………多数の透孔15を設けた一枚の銅板14を………………。

発明の詳細な説明の抜粋

合成樹脂などの絶縁体よりなる端子板8の一端部には、弾性体よりなる固定端子9が4本リベット10などによって固着されている。端子板の中央には、ロータリーシャフト11に結合されて回動するセレクタ12が配置されている。セレクタ12は、合成樹脂などの絶縁板13の表面に一枚の導電板14を貼り付けて構成されている。この導電板14の固定端子9b~9dが接触する面の摺動軌跡上には透孔15が形成され、この透孔15からは、絶縁板13と一体に形成した透孔15の形状とほぼ相似形の絶縁突出部16が突出している。

発明の詳細な説明の抜粋

………………銅板14を貼り付けて構成されている。この銅板14の固定端子9b~9dが接触する面の摺動軌跡上には透孔15 ………………。

図面
jire2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

導電板として銅板を用いることは、普通に知られていることではあるが、当初明細書等のいずれの箇所にも「銅板」についての記載はない。そして、出願時の技術常識に照らせば、一般に、ロータリースイッチのセレクタの表面に貼り付けられる導電板には、目的に応じて銅、銅合金、銀などの金属板が使われ、金めっきされることもある。そうすると、当初明細書等に記載した「導電板」が「銅板」を意味することが当業者にとって自明であるとはいえないから、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

新規事項の判断に関する事例3

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

熱可塑性樹脂組成物

特許請求の範囲
【請求項1】

熱可塑性樹脂100重量部に対して、リン酸エステル50~200重量部配合した、難燃性に優れた熱可塑性樹脂組成物。

発明の詳細な説明の抜粋

本願におけるリン酸エステルは熱可塑性樹脂の難燃性を改善するのに有効である。熱可塑性樹脂としてはポリエステル、ポリアミド等が例示される。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

縮合系の熱可塑性樹脂100重量部に対して、リン酸エステル50~200重量部配合した、難燃性に優れた熱可塑性樹脂組成物。

発明の詳細な説明の抜粋

………………。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

[説明]

当初明細書等のいずれの箇所にも「縮合系の熱可塑性樹脂」の記載はない。また、「ポリエステル、ポリアミド等」は単に「熱可塑性樹脂」の例示として説明されているのみで、当初明細書に記載した「ポリエステル、ポリアミド等」が「縮合系熱可塑性樹脂」を意味するものとして記載されていたとはいえない。そして補正後の特許請求の範囲は、「ポリエステル、ポリアミド等」以外の当初明細書等に記載されていない「縮合系熱可塑性樹脂」という事項を追加することとなる。そうすると、「縮合系の熱可塑性樹脂」とする補正により、当初明細書等に記載されていない新たな事項を追加することとなる。

新規事項の判断に関する事例4

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

電子制御式ゲーム機

特許請求の範囲
【請求項1】

………………電子式ゲーム機。

発明の詳細な説明の抜粋

……………従来ゲーム用の遊技媒体(たとえばコイン、球等)を遊技者が投入することに基づいてゲームを行いその結果遊技媒体を賞として排出するゲーム機が知られている。

……………本願発明の遊技機は遊技媒体(例えばコイン等)を投入し、……………遊技媒体としてコインを使用するコインゲーム機を例に挙げて説明したが、遊技媒体として球を使用するものであってもよい。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

………………。

発明の詳細な説明の抜粋

………………遊技媒体としてコインを使用するコインゲーム機を例に挙げて説明したが、遊技媒体として球を使用するもの、あるいはコイン数又は金額が記憶された遊技カードを使用するものであってもよい。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

[説明]

出願当初の明細書には、「遊技媒体」と上位概念で記載されており、遊技媒体の例示として、コイン、球については記載されているものの、「遊技カード」を用いる点については記載されておらず、当初明細書に接した当業者にとって、「遊技媒体」が「コイン数または金額が記憶された遊技カード」を意味することが明らかであると言える根拠はないから、補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

新規事項の判断に関する事例5

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

コンバインの走行装置におけるローリング制御装置

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………………

 

特許請求の範囲
【請求項1】

クローラー式の走行装置を機体の左右に有するコンバインにおいて、右及び左の走行装置に個別に作動する一対の油圧シリンダーの一端を取付け、該油圧シリンダーのもう一端を機体に取付けたローリング制御装置。

特許請求の範囲
【請求項1】

クローラー式の走行装置を機体の左右に有するコンバインにおいて、右及び左の走行装置に個別に作動する一対の流体圧シリンダーの一端を取付け、該流体圧シリンダーのもう一端を機体に取付けたローリング制御装置。

 

発明の詳細な説明の抜粋

コンバインが凸凹のある田畑で走行する際に機体が傾斜することを防止するローリング制御装置に関する。

発明の詳細な説明の抜粋

……………………………………。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

「油圧シリンダー」を上位概念の表現である「流体圧シリンダー」に補正しようとするものである。

「流体圧シリンダー」には、「空気圧シリンダー」のような圧縮性流体シリンダーも想定されるが、当初明細書等には、ローリング制御装置に「油圧シリンダー」を用いたものが発明として記載されているに止まる。そして両者は圧縮性流体、非圧縮性流体という差があることから、特性、付属機構さらには制御態様も異なっている。そうすると、当初明細書等に接した当業者が、ローリング装置に「流体圧シリンダー」を用いることが記載されているのと同然と理解するとはいえない。

新規事項の判断に関する事例6

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

消化器疾患治療剤

特許請求の範囲
【請求項1】

化合物Aを有効成分とする消化器疾患治療剤

発明の詳細な説明の抜粋

本願発明の薬剤は、消化管粘膜の保護作用を有する。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

化合物Aを有効成分とする膵炎治療剤

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

当初明細書等のいずれの箇所にも、膵炎治療剤の記載はなく、当初明細書等全体の記載および出願時の技術常識を考慮しても、消化管粘膜の保護作用を有する消化器疾患治療剤が膵炎治療剤を意味することが当業者に自明であるとはいえない。

新規事項の判断に関する事例7

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

あん

特許請求の範囲
【請求項1】

ゆで小豆、甘味料及びグリセリンを含有するあん

発明の詳細な説明の抜粋

……従来のあんにグリセリンを添加することにより、保存性に優れ、しかも冷凍時に凍結しないという効果が奏せられる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

アイスクリーム用あん

特許請求の範囲
【請求項1】

ゆで小豆、甘味料及びグリセリンを含有するアイスクリーム用あん

発明の詳細な説明の抜粋

……………………………………奏せられ、特にアイスクリーム用に最適である

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

出願当初の明細書中に「冷凍時に凍結しない」という記載があるが、当初の明細書等のいずれの箇所にも、「アイスクリーム用」に用途を特定した発明についての記載はなく、また、冷凍時に凍結しないあんは種々の用途が想定され、「アイスクリーム用」に特定した発明が記載されているのも同然とも理解されない。

新規事項の判断に関する事例8

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

集中応力部分布測定方法

特許請求の範囲
【請求項1】

測定試料に任意の荷重を負荷し、この荷重の負荷により前記測定試料に応力集中部を生じさせ、前記荷重の負荷状態を維持しつつ、前記応力集中部周辺における応力分布を波動照射により試料から得られる信号を分析することによって測定する方法。

発明の詳細な説明の抜粋

応力負荷治具によって測定試料に任意の荷重を負荷した状態で、微小X線法又は超音波顕微鏡法を適用して、集中応力分布の測定をすることができる。

図面
jirei8
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

測定試料に任意の荷重を負荷し、この荷重の負荷により前記測定試料に応力集中部を生じさせ、前記荷重の負荷状態を維持しつつ、前記応力集中部周辺における応力分布を微小X線照射により試料から得られる信号を分析することによって測定する方法。

発明の詳細な説明の抜粋

応力負荷治具によって測定試料に任意の荷重を負荷した状態で、微小X線法を適用して、集中応力分布の測定をすることができる。

図面

…………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

補正により特許請求の範囲に記載された発明が、「波動照射による応力分布測定方法」(上位概念)から「微小X線照射による応力分布測定方法」(下位概念)に補正された。「微小X線法を適用すること」は出願当初の明細書の発明の詳細な説明に記載されていた事項であるから、この補正は認められる。

新規事項の判断に関する事例9

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

パチンコ機

特許請求の範囲
【請求項1】

…………からなる可変表示器を備えたパチンコ機

発明の詳細な説明の抜粋

パチンコ機を…(発明の詳細な説明では、一貫してパチンコ機について記載されている。)

補正後の明細書等
【発明の名称】

遊技機

特許請求の範囲
【請求項1】

…………からなる可変表示器を備えた遊技機

発明の詳細な説明の抜粋

遊技機を…

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

出願当初の明細書等においては、一貫して「パチンコ機」のみについて説明されており、パチンコ機が遊技機の一例示にすぎないと認識できるような記載や、当該可変表示器が「遊技機」一般に適用されるものである旨の示唆すらもない。したがって、出願時の技術常識からみて当該可変表示器を「パチスロ機」等他の遊技機に適用することは容易であるとしても、当初明細書等の記載において、当該可変表示器が「遊技機」一般に適用されるものと理解できる手がかりが全くない以上、当業者にとって「…からなる可変表示器を備えた遊技機」が当初明細書等に記載されているのと同然であるとはいえないから、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

新規事項の判断に関する事例10

類型:上位概念化・下位概念化

出願当初の明細書等
【発明の名称】

弾球遊技機

特許請求の範囲
【請求項1】

……枠部分から光を放つ、第1のランプ(15a、15b)と第2のランプ(29)を含み、………

発明の詳細な説明の抜粋

……各々L字型をした第1のランプが取り付けられており、第1のランプは装飾部材としての機能を果たす。

(第2のランプの機能については記載なし)

図面
jirei10
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………

特許請求の範囲
【請求項1】

……枠部分から光を放つ、第1のランプと第2のランプを含み、前記第1のランプと第2のランプとは異なった機能のランプであり、………

発明の詳細な説明の抜粋及び図面

…………………………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

出願当初の明細書等には、第1のランプが装飾部材としての機能を有することは記載されているが、第2のランプの機能についての記載はない。また、この技術分野におけるランプの機能としては、目的に応じて、装飾以外に、報知、照明等種々の機能があることは周知であるとしても、出願当初の明細書等の記載に接した当業者からみて、第1のランプと第2のランプが異なる機能を有することが記載されているのと同然であると理解する事項であるとはいえない。

新規事項の判断に関する事例11

類型:マーカッシュ形式のクレーム

出願当初の明細書等
【発明の名称】

ホスファン誘導体

特許請求の範囲
【請求項1】
jirei11_1

X=アルキル、アルケニル

Y=フェニル、アルコキシ

 

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………

発明の詳細な説明の抜粋

好ましくは、

jirei11_2
発明の詳細な説明の抜粋

好ましくは、

……………………

又は、

jirei11_3

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

当初明細書には、X、Yの置換位置として具体的に3-X、5-Yのホスファン誘導体が記載されているだけであり、3-X、4-Yのものは記載されていない。置換位置の特定されていない出願当初の特許請求の範囲に記載された事項は、X、Yの位置配置の組み合わせにおいて、13種の可能性を含む不特定のものを意味していたに過ぎず、3-X、4-Yという特定の位置関係のものがそこに記載されているのと同然ということはできない。

新規事項の判断に関する事例12

類型:マーカッシュ形式のクレーム

出願当初の明細書等
【発明の名称】

ホスファン誘導体

特許請求の範囲
【請求項1】
jirei12_1

X=アルキル、アルケニル、アミノ、アラルキル、ハロゲン、シクロアルキル

Y=アルキル、フェニルアルコキシ

発明の詳細な説明の抜粋

実施例として、

jirei12_2

(一方、X=アルキル、Y=フェニルに相当する化合物に関する記載はない。)

【補正1】
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】
jirei12_3

X=アルキル

Y=アルコキシ


【補正2】
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】
jirei12_4

X=アルキル

Y=フェニル

[結論]

【補正1】については、補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

【補正2】については、補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

[説明]

【補正1】、【補正2】ともに、補正後の特許請求の範囲に記載した化学物質は、当初明細書等に記載されていた選択肢のみで構成されている。

また、【補正1】の場合は、補正後の化合物については、置換基X=アルキル及び置換基Y=アルコキシという特定の組み合わせからなる選択肢が唯一のものとなるが、当初明細書の発明の詳細な説明における、置換基X=エチル(アルキルの下位概念)及び置換基Y=メトキシ(アルコキシの下位概念)の化学物質に関する実施例の記載と特許請求の範囲の記載とを総合すれば、X=アルキル及びY=アルコキシという上記特定の組み合わせを採用することは、当初明細書等に記載されていた事項といえる。

したがって、【補正1】の場合、補正後の特許請求の範囲に記載された化学物質は、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。

一方、【補正2】の場合、補正後の特許請求の範囲に記載した化学物質は、X=アルキル及びY=フェニルという特定の組み合わせが唯一の選択肢となるが、このような特定の組み合わせを採用することは出願当初の明細書等のいずれの箇所にも記載されておらず、また、記載されているのと同然ともいえない。

 したがって、【補正2】の場合には、補正後の特許請求の範囲に記載された化学物質は、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものとはいえない。

新規事項の判断に関する事例13

類型:マーカッシュ形式のクレーム

出願当初の明細書等
【発明の名称】

シクロブタンジオン化合物類

特許請求の範囲
【請求項1】
jirei13_1

Z=硫黄、酸素またはメチレン

m=1~3

n=1~2

R=アルキル、アルケニル、フェニル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロゲンアミノ

補正後の明細書等
【発明の名称】

…………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】
jirei13_2

Z=硫黄、酸素またはメチレン

m=1~3

n=1~2

R=アルキル、アルケニル、フェニル、アルコキシ、シクロアルキル

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

補正後の特許請求の範囲に記載した化学物質は、当初明細書等に記載されていた選択肢のみで構成されており、かつ補正後の選択肢の組み合わせに関しても当初明細書等に記載のない特定の選択肢の組み合わせに変更したものでもなく、選択肢に係る記載には何等の新たな事項が加わっていない。

したがって、補正後の特許請求の範囲に記載した事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。

新規事項の判断に関する事例14

類型:マーカッシュ形式のクレーム

出願当初の明細書等
【発明の名称】

置換ベンジルアルコール

特許請求の範囲
【請求項1】
jirei13_2

……nは2~5の整数……

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………

特許請求の範囲
【請求項1】
jirei13_2

……nは3~5の整数……

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

「n=2~5の整数」という記載と「nは2、3、4或いは5」という記載、及び「n=3~5の整数」という記載と「nは3、4或いは5」という記載は表現上の差異があるだけであって、その意味することは完全に同一である。

したがって、「nは2、3、4或いは5」という記載を「nは3、4或いは5」とする補正は、選択肢の一部を削除したに過ぎず、削除の補正後の事項は当初明細書等に記載された事項の範囲内のものである。

新規事項の判断に関する事例15

類型:数値限定

出願当初の明細書等
【発明の名称】

遠赤外線利用の籾乾燥方法

特許請求の範囲
【請求項1】

遠赤外線を籾に照射して乾燥させる遠赤外線利用の籾乾燥方法であって、前記遠赤外線の波長が3μmもしくは9μmである遠赤外線利用の籾乾燥方法。

発明の詳細な説明の抜粋

遠赤外線の吸収度は、波長が3μm及び9μmのときにピーク値をとり、この波長の選赤外線が籾の乾燥に最も有効である。

図面
jirei15_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

………………………2~3.5μmもしくは8~9.5μmである…………………。

発明の詳細な説明の抜粋

遠赤外線の吸収度が0.3を越える、2~3.5μmもしくは8~9.5μmの波長の遠赤外線であれば籾の乾燥に有効である。

図面

…………………………………

注)吸収度が0.3を越える波長が2~3.5μm、8~9.5μmであることは図面から読みとることができる。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

当初明細書等には、籾の乾燥に有効な吸収度の下限を0.3と設定することについての記載はなく、また、当初明細書等の記載が、籾の乾燥に有効な吸収度の下限が0.3であることを意味していたことが当業者にとって明らかとも認められないから、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

新規事項の判断に関する事例16

類型:数値限定

出願当初の明細書等
【発明の名称】

安定化されたレゾルシン配合剤

特許請求の範囲
【請求項1】

粘土鉱物をベースとするレゾルシン配合剤に乳酸を0.001~2質量%添加してなる安定化されたレゾルシン配合剤。

発明の詳細な説明の抜粋

乳酸の配合剤としては、0.05~2質量%が好ましい。(0.1質量%、1質量%という値は記載されていない。)

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

粘土鉱物をベースとするレゾルシン配合剤に乳酸を0.1~1質量%添加してなる安定化されたレゾルシン配合剤。

発明の詳細な説明の抜粋

……………………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

0.1質量%、1質量%という数値のいずれも出願当初の明細書等に記載されておらず、また、ほかに、数値範囲を「0.1~1質量%」とすることが記載されていると認定するに足りる記載がない。

新規事項の判断に関する事例17

類型:数値限定

出願当初の明細書等
【発明の名称】

中空微小体

特許請求の範囲
【請求項1】

200~10000μmの実質的に均一な直径を有し、…………………中空ガラス微小球。

発明の詳細な説明の抜粋

ガラス微小球は、望まれる最終用途に依存して、種々の直径とすることができ、直径は200~10000μm、好ましくは500~6000μmである。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………

特許請求の範囲
【請求項1】

200~6000μmの実質的に均一な直径を有し、…………………中空ガラス微小球。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

この補正は、当初の特許請求の範囲に記載されていた直径の数値範囲「200~10000μm」のうち、最大値を変更して「200~6000μm」とするものであるが、補正後の数値範囲(200~6000μm)は、当初明細書に記載された数値範囲(直径200~10000μm)内のものであり、補正後の数値範囲を特定する数値(6000μm)は当初明細書において好ましい範囲を示す数値として記載されている。そうすると、補正後の数値範囲は当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。

新規事項の判断に関する事例18

類型:数値限定

出願当初の明細書等
【発明の名称】

仮止め用接着剤

特許請求の範囲
【請求項1】

HLB値9~11のポリグリセリンの脂肪酸エステル、ポリグリセリンのエチレンオキサイド付加物又はポリグリセリンのプロピレンオキサイド付加物の1種又はこれらの混合物を有効成分とする水に難溶で温水に容易に溶解することを特徴とする仮止め用接着剤。

発明の詳細な説明の抜粋

【実施例】

 
HLB軟化点接着強さ洗浄時間
 (℃)(Pa)(60℃温水)
11500.011840秒
10600.014750秒
9.5500.011840秒
9600.01961分10秒
8.5650.02941分40秒
8720.04902分15秒
7.5850.07843分20秒

上記接着剤の有効成分は、そのHLB値が、7.5~11である。

また、HLB値9~11のものが特に好ましい。…………………

【補正1】
補正後の明細書等
【発明の名称】

…………………

特許請求の範囲
【請求項1】

HLB値7.5~11のポリグリセリンの脂肪酸エステル、ポリグリセリンのエチレンオキサイド付加物又はポリグリセリンのプロピレンオキサイド付加物の1種又はこれらの混合物を有効成分とする水に難溶で温水に容易に溶解することを特徴とする仮止め用接着剤。


【補正2】
補正後の明細書等
【発明の名称】

…………………

特許請求の範囲

HLB値9.5~11のポリグリセリンの脂肪酸エステル、ポリグリセリンのエチレンオキサイド付加物又はポリグリセリンのプロピレンオキサイド付加物の1種又はこれらの混合物を有効成分とする水に難溶で温水に容易に溶解することを特徴とする仮止め用接着剤。

(注)HLB値  界面活性剤の分子内にもつ親水基と親油基のつり合いを数量的に表したもの

[結論]

【補正1】、【補正2】のいずれも、補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

【補正1】の場合、当該補正は、当初の特許請求の範囲に記載されたHLB値に関する数値範囲「9~11」の内、最小値を変更して「7.5~11」とするものである。

本事例において、補正後の特許請求の範囲に記載された数値範囲(HLB値7.5~11)は、上記当初明細書の発明の詳細な説明に記載されていた事項である。

一方、【補正2】の場合、当該補正は、HLB値に関する数値範囲の内、最小値を変更して「9.5~11」とするものであるが、補正後の数値範囲(HLB値9.5~11)は、当初明細書に記載された数値範囲(HLB値7.5~11)に含まれているものである。

そして、本事例では、補正後の数値範囲を特定する数値(HLB値9.5及びHLB値11)が、上記当初明細書において、実施例の数値として記載されている。

これらの記載を含めて本事例の記載を総合的に判断すると、【補正2】における補正後の数値範囲(HLB値9.5~11)は、当初明細書等に記載されていた事項の範囲内のものであるといえる

新規事項の判断に関する事例19

類型:除くクレーム

出願当初の明細書等
【発明の名称】

感光性平版印刷版

特許請求の範囲
【請求項1】

親水化処理したアルミニウム板上に、ケン化度60~80モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルとエチレン性不飽和結合を1個以上有する光重合性モノマーからなる感光層を設けた感光性平版印刷版において、該感光層に含窒素複素環カルボン酸を当該部分ケン化ポリ酢酸ビニルに対して、1~100質量%含有させたことを特徴とする感光性平版印刷版。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

親水化処理したアルミニウム板上に、ケン化度60~80モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニルとエチレン性不飽和結合を1個以上有する光重合性モノマーからなる感光層を設けた感光性平版印刷版において、該感光層に含窒素複素環カルボン酸(ニコチン酸を除く)を当該分ケン化ポリ酢酸ビニルに対して、1~100質量%含有させたことを特徴とする感光性平版印刷版。

発明の詳細な説明の抜粋

本発明に用いられる含窒素複素環カルボン酸には、ピコリン酸、イソニコチン酸等が含まれている。(「含窒素複素環カルボン酸」が「ニコチン酸」である発明を記載した先行技術文献が発見された。)

発明の詳細な説明の抜粋

本発明に用いられる含窒素複素環カルボン酸には、ピコリン酸、イソニコチン酸等が含まれている。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

補正後の特許請求の範囲の記載の一部を「含窒素複素環カルボン酸(ニコチン酸を除く)」とした補正は、先行技術として文献に記載された事項のみを除外することを明示したものであるので、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえる。

「除くクレーム」とすることにより特許を受けることができるのは、先行技術と技術的思想としては顕著に異なり本来進歩性を有する発明であるが、たまたま先行技術と重複するような場合である。

新規事項の判断に関する事例20

作用・効果の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

食品容器

発明の詳細な説明の抜粋

食品容器1の凹部5に小容器2を嵌合させて着脱自在に保持する。食品容器1と小容器2とを一体的に組込むことができ、持運びに便利である。

図面
jirei15_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

…………

発明の詳細な説明の抜粋

……………………。

更に、支持棒3を台板4と容器体6に対してそれぞれ偏心位置で連結しているので、支持棒3を支点として台板4と容器体6とは上下方向にたわみ易く、小容器2を容易に取り外すことができる。

図面

……………………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

出願当初の図面の記載から、支持棒3を台板4と容器体6に対してそれぞれ偏心位置で連結していることは明らかであるが、追加記載された作用・効果(台板4と容器体6とが上下方向にたわみ易く、小容器2を容易に取り出すことが可能となる)は、当初明細書等のいずれの箇所にも明示的には記載されていない。偏心位置で連結しているために上下方向にたわみ易いかどうかは、構造や材質に依存し、また、そのために小容器を取り出しやすくなるかどうかは、更に小容器との位置関係に大きく依存する。そうすると、補正により追加された作用・効果は、当初明細書等に接した当業者に自明な事項であるとはいえない。したがって、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

新規事項の判断に関する事例21

類型:効果の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

シフトブーツの固定構造

発明の詳細な説明の抜粋

シフトブーツの上端開口部に装着された硬質プラスチックからなる座部材がシフトレバーの球面部に支持されて位置決めされるため、シフトレバーの作動位置の変化に対して、シフトブーツの上端開口部の追従性が向上する。

図面
jirei21_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………

発明の詳細な説明の抜粋

…………………。

さらに、シフトブーツ上端開口部が座部材によって補強されるとともに、シフトブーツ上端開口部の形状を維持することができる。

図面

……………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

当初明細書の記載によれば、シフトブーツ上端開口部に装着された硬質プラスチックからなる座部材によりシフトブーツはシフトレバーに対して位置決めされ、それによりシフトレバーの変化に対するシフトブーツの追従性が向上するのであるから、当該座部材は、位置決め及び追従性向上に必要な強度を有するものである。そして、そのような強度を有する座部材であれば、当該座部材は、シフトブーツ開口部を補強すると共に開口部の形状を維持するものであることは、当初明細書等に接した当業者にとって、記載されているのと同然といえる事項である。

新規事項の判断に関する事例22

類型:効果の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

内燃機関の出力制御装置

発明の詳細な説明の抜粋

吸気管内においてメインスロットルと直列に設けられたサブスロットルを開閉制御して、エンジン出力を制御するものにおいて、長期にわたってサブスロットルを作動させる機会がないと、サブスロットルが固着してしまい、作動不良になることがある。

そこで、エンジン作動中、サブスロットルを開閉駆動しても機関の作動状態に影響を与えないときを選んで定期的にサブスロットルを揺動させ、サブスロットルの固着を防止する。

図面
jirei22_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………

発明の詳細な説明の抜粋

…………………。

更に、冬季においては、アイシングによるサブスロットルの作動不良も防止できる。

図面

………………………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

長期不使用によるサブスロットルの固着と、アイシングによるサブスロットルの固着とは、固着の生じる条件が異なり、固着を防止するのに必要なサブスロットルの揺動時期は本来異なると考えられる。したがって、長期不使用に基づくサブスロットルの固着を防止する手段が、アイシングによるサブスロットルの固着を防止できるとは限らないから、当初明細書の記載事項が、この効果を意味していたことが明らかとはいえない。

新規事項の判断に関する事例23

類型:効果の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

転写写真法

特許請求の範囲
【請求項1】

感光乳剤を有する支持体を露光し、次いで現像定着剤を塗布し、これに受像層を重ね、拡散転写を行って、陰画像を得る方法。

発明の詳細な説明の抜粋

実施例

……………………………

  現像定着剤の処方

   ………………

   CMC(糊剤)

   ………………

1は支持体、2は感光乳剤、3は現像定着剤、4は受像層

図面
jirei23_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………次いで糊剤を有する現像定着剤を塗布し、…………………。

発明の詳細な説明の抜粋

 ……………………………………

……………………

  ………………

   ………………

   ………………

糊剤を含む現像定着剤はペースト状であるから層を厚くできる。したがって画像の濃度を充分にすることができる。

図面

………………………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

出願当初の明細書等には「現像定着剤」と記載されていたのに対し、この補正により「糊剤を有する現像定着剤」と補正するとともに、その効果が記載された。

出願当初の明細書の実施例中に定着剤として「糊剤」を使用することが記載されているが、その効果については、当初明細書等に記載されていない。

当業者からみて、定着剤がペースト状であれば結果的に層を厚くできるであろうということは理解でき、層を厚くして定着剤を増量すれば充分な画像濃度を得ることができるが、当初明細書等には定着剤の層を厚くして充分な画像濃度を得ることについては記載されておらず、当初明細書等に接した当業者が、そのことがそこに記載されているのと同然と理解する事項とはいえない。

新規事項の判断に関する事例24

類型:効果の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

X線発生管用ターゲット

特許請求の範囲
【請求項1】

………基体(1)と………ターゲット膜(2)と、前記ターゲット膜(2)の表面に形成された導電性薄膜(3)とを有するX線発生管用ターゲット。

発明の詳細な説明の抜粋

導電性薄膜(3)により基体(1)と電気的に接続されているので、表面が帯電することなく、出力が安定している。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………。導電性薄膜(3)が補強部材の役割も果たすのでターゲットの変形も防ぐことができるため、X線を均等に発生させることができる。

図面
jirei24_1

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

[説明]

当初明細書には、導電性薄膜が帯電することのないものと記載されているにとどまる。そして、導電性薄膜がターゲットの変形を防ぐ程度の意味のある補強部材として機能するか否かは、その材質・厚さに依存する。そうすると、この記載に接した当業者が、「導電性薄膜が補強部材の役割も果たす」効果についてもそこに記載されているのと同然と理解するとはいえない。

新規事項の判断に関する事例25

類型:効果の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

アンテナ付き自動車用ウインドガラス

特許請求の範囲
【請求項1】

ウインドガラスの略全面にわたってアンテナとして機能する透明導電性薄膜が設けられており、この透明導性薄膜は、アンテナアンプを介して自動車用音響装置および電源に接続されていることを特徴とするアンテナ付き自動車用ウインドガラス。

発明の詳細な説明の抜粋

………………以上の如く、本実施例の透明導電性薄膜はアンテナとヒータの機能を兼ね備える。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………。

発明の詳細な説明の抜粋

………………以上の如く、本実施例の透明導電性薄膜はアンテナとヒータと熱線遮蔽の機能を兼ね備える。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

補正によって、透明導電性薄膜が熱線遮蔽の機能も有することを追加した。しかし、たとえ透明導電性薄膜に熱線遮蔽機能があることが周知であったとしても、熱線遮蔽機能との関係を示唆するような記載はなく、当初明細書等に接した当業者が、そこに熱線遮断の機能も兼ね備えることが記載されているのと同然と理解するとはいえない。

新規事項の判断に関する事例26

類型:効果の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

パチンコ玉計数装置

特許請求の範囲
【請求項1】

パチンコ玉の直径より一回り大きな内径を有する円筒の一部に設けた小穴に、パチンコ玉が上記円筒内を移動するたびに押し下げられる部材を挿入し、上記部材の押し下げ回数を計数する機構によりパチンコ玉の計数をする装置。

発明の詳細な説明の抜粋

本願発明は、パチンコ玉の直径より一回り大きな内径を有する円筒内に、パチンコ玉を通過させるので、パチンコ玉1個の通過に対応して、押し下げ部材が1回押し下げられるので、正確に計数することができる。実施例によれば、押し下げ部材の頂部が斜面に形成されているので、パチンコ玉が傷つきにくい。

図面
jirei26_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

パチンコ玉の直径より一回り大きな内径を有する円筒の一部に設けた小穴に、パチンコ玉と接触する頂部が斜面に形成されパチンコ玉が上記円筒内を移動するたびに押し下げられる部材を挿入し、上記部材の押し下げ回数を計数する機構によりパチンコ玉の計数をする装置。

発明の詳細な説明の抜粋

本願発明は、パチンコ玉の直径より一回り大きな内径を有する円筒内にパチンコ玉を通過させるので、パチンコ玉1個の通過に対応して、押し下げ部材が1回押し下げられるので、正確に計数することができ、さらに、押し下げ部材の頂部が斜面に形成されているので、パチンコ玉が傷つきにくい。

図面

………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

実施例として記載されていた事項を発明として特許請求の範囲に記載した。また、実施例の効果についての記載に基づいて、発明の効果を補正したが、この発明の効果は、当初明細書に記載されていた事項である。したがって、この補正は認められる。

新規事項の判断に関する事例27

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

電子鍵盤楽器の鍵スイッチ

特許請求の範囲
【請求項1】

……………アクチュエータ12によって圧電フィルム7の各鍵11に対応する接点パターン3上の部分が押圧されるようにしたことを特徴とする電子鍵盤楽器の鍵スイッチ。

発明の詳細な説明の抜粋

鍵スイッチ10を、図3に示すように鍵盤フレーム1に装着される多数の鍵11の配列方向に沿って形成し各鍵11の下面に凸設したアクチュエータ12の先端凸部12a(図2参照)によって、圧電フィルムの各鍵11に対応する接点パターン3上の部分が押鍵時に押圧されるように配置する。押鍵と同時に圧力Fが加わり、接点パターン5などを通して図示しない電子回路に入力し、押鍵及びその強さあるいは変化が検出される。

【図面の簡単な説明】の抜粋

図2は鍵及びアクチュエータとともに示す断面図、図3は鍵スイッチを形成した鍵盤フレームに鍵を装着した状態を示す斜視図、図4は押鍵時に鍵スイッチの圧電フィルムのアクチュエータによって押圧される部分に加わる圧力とそれによって発生する電圧の例を示す線図である。

1…鍵盤フレーム、2…絶縁体層、3…接点パターン、7…圧電フィルム、10…鍵スイッチ、11…鍵、12…アクチュエータ

図面
jirei27_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………アクチュエータ12が非押鍵状態で圧電フィルムに接触しており、アクチュエータ12によって圧電フィルム7の各鍵11に対応する接点パターン3上の部分が押圧されるようしたことを特徴とする電子鍵盤楽器の鍵スイッチ。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………。

鍵11は水平な非押鍵状態で圧電フィルム7に軽く接触させられている。押鍵と同時に圧力Fが加わり、接点パターン5などを通して図示しない電子回路に入力し、押鍵及びその強さあるいは変化が検出される。各鍵毎に、その操作開始から終了まで、その操作圧力に応じた鍵操作情報を連続的に得ることができる。

【図面の簡単な説明】の抜粋

……………………………。

……………………………

図面

……………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

図2には、アクチュエータ12の先端凸部12aが圧電フィルムに接触している様子は示されているが、これが「水平な非押鍵状態で軽く接触していること」を意味していることが明らかとは認められない。また、明細書等におけるその他の当初記載事項が、このことを意味しているとも認められない。

新規事項の判断に関する事例28

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

コンピュータ装置

特許請求の範囲
【請求項1】

本体とキーボードを接続するRS232Cインターフェースケーブルの中程に信号分配器を設け、該分配器に他の入出力装置を接続したことを特徴とするコンピュータ装置。

発明の詳細な説明の抜粋

本体とキーボードを接続するRS232Cインターフェースケーブルの中程に、信号分配器を設ける。 この分配器に他の入出力装置、例えばプリンターを接続する。これにより一つのインターフェースポートしか有しないパーソナル・コンピュータに於いてキーボードとプリンターの両方が接続可能となる。

【図面の簡単な説明】

1……本体

3、6、9…RS232Cケーブル

5……プリンター

8……キーボード

20……分配器

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………。

発明の詳細な説明の抜粋

……………………。

……………………。

また、分配器にはプリンターのほか、RS232Cインターフェースにより制御可能なマウスも接続できる。これによりパーソナル・コンピュータ本体に何等変更を加えることなくマウスの利用が可能となる。

【図面の簡単な説明】

………………………………

図面

【図1】

jirei28_1
図面

【図1】

…………………………

【図2】

jirei28_2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

当初明細書等には、「入出力装置」と上位概念で記載されており、信号分配器により、キーボードのほかに、RS232Cインターフェースにより制御可能な他の入出力装置を接続できるようにすることが記載されているが、具体例としては出力装置のプリンターが記載されているに止まっていた。「マウス」は、プリンター、CRT、ジョイスティック等と同様、キーボード以外の「他の入出力装置」としては周知であるが、当初明細書等に接した当業者にとって「他の入出力装置」が具体的な「マウス」を意味することが明らかとはいえない。

したがって、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものとはいえない。

新規事項の判断に関する事例29

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

緩衝部材

特許請求の範囲
【請求項1】

合成樹脂等の緩衝材料からなる押出成型品を折り曲げて所要形状とし、該所要形状を保つための折曲状態固定手段を設けた緩衝部材。

発明の詳細な説明の抜粋

軟質の合成樹脂からなる押出成型品1の折曲部4は折曲状態固定手段6によりその形状が保持される。

図面
jirei29_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

…………

特許請求の範囲
【請求項1】

………………、該折曲箇所を跨いで接着テープを接着した緩衝部材。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………折曲部4には、折曲箇所を跨いで接着テープ6が接着され、折曲部の形状が保持される。

図面

…………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

当初の明細書等においては「折曲状態固定手段」として具体的に何を用いるかの記載がない。一般に、接着テープが固定手段の一つとしてよく知られる慣用手段であったとしても、当初明細書等に記載された「折曲状態固定手段」が「接着テープ」を意味するものと当業者に理解されるとはいえない。

新規事項の判断に関する事例30

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

自動点滅装置

特許請求の範囲
【請求項1】

照明灯(1)の光の一部を受ける遅動性光導電素子(2)によって作動されるリレー(3)により接点(4)を駆動して照明灯(1)の回路を開閉することを特徴とする自動点滅装置。

発明の詳細な説明の抜粋

(Es)は直流電源である。バイメタルスイッチ等による点滅とは異なり、機械接点ではないから故障が少ない。また、光導電素子(2)あるいはリレー(3)の応答特性を変化させることにより明滅周期を変えることができる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………並列可変コンデンサ(5)を有するリレー(3)………………………。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………。また、可変コンデンサ(5)をリレー(3)に並列接続したから、この容量を加減して容易に調整ができる。

図面
jirei30_1
図面
jirei30_2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

明滅周期を変化させるための手段としてリレーに可変コンデンサを並列接続してその応答特性を変えることは周知であり、かつリレーに可変コンデンサを並列接続することにより、調整を容易とする効果は、上記周知技術それ自体の奏する効果である。

しかしながら、当初明細書等には、可変コンデンサを並列に接続することは記載されていない。また、当初明細書の「リレー(3)の応答特性を変化させることにより明滅周期を変えることができる」という記載では、これが、装置毎に個別に明滅周期を変えるという意味なのか、一の装置において連続的に明滅周期を変えるという意味なのか明らかでない。そして、後者の意味だとしても、リレーの応答特性を変化させる手段には他にさまざまなもの(例えばRC回路をリレーに直列に接続するもの)があるから、当初明細書等に接した当業者が、可変コンデンサを並列に接続して応答特性を変えたものがそこに記載されているのも同然と理解するともいえない。そうすると、可変コンデンサを並列に接続したものは当業者に自明な事項ということができないから、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

新規事項の判断に関する事例31

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

磁気記録再生装置

特許請求の範囲
【請求項1】

磁気記録再生装置において磁気テープを高速送りしながら再生する特殊再生時に、映像信号部分の欠落区間を検出する検出器の検出出力により、前記欠落区間には再生信号を抑制する方向に制御する手段を有したことを特徴とする磁気記録再生装置。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………………。

発明の詳細な説明の抜粋

………………上記の実施例では復調器の感度を切換えたが、復調器の復調レベルを切換えるようにしてもよい。この発明は上記のようにノイズの振幅の抑制若しくはノイズ位置の移動をおこなうことにより、映像情報の欠落により復調を生じるノイズ成分を軽減するという本願発明の目的を達成できる。

発明の詳細な説明の抜粋

……………………………おこなうか、あるいはこれら2つの機能、すなわち、復調器の感度の切り換えと、復調器のレベルの切り換えを共に行うようにすることにより、映像情報の欠落により復調を生じるノイズ成分を軽減するという本願発明の目的を達成できる。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

個別の機能が知られており、かつ、それらを共に備えるようにするのに障害がないとき、共に備えるようにして効果の向上を企てることが周知であったとしても、それだけでは、当初明細書等に接した当業者が、2つの機能を共に備えるようにすることが記載されていたのと同然と理解するとはいえない。

新規事項の判断に関する事例32

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

水琴窟

特許請求の範囲
【請求項1】

硬質材でもって中空上に形成され、上端に水滴孔が穿設されている水琴瓶と、この水琴瓶の底に配設され、かつ、上方が開口されるとともに、この開口部が水滴孔の下方に位置し、なおかつ、それ自体に所要量の水が貯えられる容器形状に形成され、しかも開口部に滴下された水がオーバーフローするオーバーフロー排水路を有する滴下水受からなり、適下孔から水琴瓶内に水滴が滴下して滴下水受の水面に落下し、落下時の衝撃音が水琴瓶内で共振して外部に音を出すように構成されてなる水琴窟。

発明の詳細な説明の抜粋

……滴下水受の外形が水琴瓶底部の内径よりも小さく、これが水琴瓶内に配設される。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………。また、滴下水受が水琴瓶の底部より大きく、水琴瓶が適下水受内におかれているように構成することもできる。

図面

【図1】

jirei32_1
図面

【図1】

………………………

【図2】

jirei32_2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

補正により、水琴瓶が滴下水受内におかれている実施例が追加された。

出願当初の明細書等に記載された水琴窟は水琴瓶内部に水受が置かれたものであり、その記載が滴下水受内に水琴瓶を置くことを意味していたことが明らかとは言えない。

新規事項の判断に関する事例33

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

ステロイドの製法

特許請求の範囲
【請求項1】

デルタ-メチルアンドロステン-17β-オール-3-オンに四酢酸鉛を反応させてデルタ-メチルアンドロステン-4-アセトキシ-17β-オール-3-オンを生成、分離し、これを酸又はアルカリで処理することを特徴とする4-オキシーメチル-テストステロンの製法。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………………反応させることを特徴とするデルタ-メチルアンドロステン-4-アセトキシ-17β-オール-3-オンの製法。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

出願当初の発明は第1及び第2工程よりなる製法であったのに対し、第1工程のみの発明に補正された。

第1工程は出願当初の明細書等に記載されているから、この補正事項は、出願当初の明細書等に記載した事項に該当する。

新規事項の判断に関する事例34

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

プロセスを制御する調節計

発明の詳細な説明の抜粋

比例制御により、プロセスを制御する調節計において、2つの相異なる設定値SV1、SV2とその値に線形に対応する比例ゲインK1、K2をあらかじめ定めておき、任意の設定値SVxに対応する比例ゲインKxをSV1、K1、SV2、K2により演算で求め制御を行う調節計である。

図面
jirei33_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………………

発明の詳細な説明の抜粋

………………………任意の設定値SVxに対応する比例ゲインKxを式(1)により求め制御を行う調節計である。

jirei33_2

…式(1)

図面

…………………………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

当初明細書のSVとKが線形に対応する旨の記載と図1に記載された設定値SVと比例ゲインKの関係図の記載とを総合すれば、これらの記載事項は、補正後の明細書に記載された(1)を意味していることが明らかである。

新規事項の判断に関する事例35

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

肥料袋の開封装置

特許請求の範囲
【請求項1】

袋詰めされている肥料を散布機のホッパに人手またはコンベヤで投入する位置に、肥料を詰めた肥料袋を運搬する運搬車の荷枠や荷台に肥料袋を滑り落とす樋を、角度保持手段と枢支手段からなる傾斜角度調節機構によって、保定支柱に対し、傾斜角度を調節可能に設置し、この樋の下端部に、樋を滑り落ちる肥料袋の重量により袋の下方を突き刺して開封する凸状の開封刃を設けたことを特徴とする肥料袋の開封装置。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………

符号1は肥料の入った袋である肥料袋2を開封するための開封装置で、この開封装置1は、肥料袋2を滑らせて落下させる樋3と保定支柱4との間に介装したアーム6により構成される角度保持手段と樋3を保定支柱4に対して回動可能に枢支するピン5により構成される枢支手段からなる傾斜角度調節機構によって、保定支柱4に対し、樋3の傾斜角度を調節可能にしている。この樋3の下端部上面に、樋3を滑り落ちる肥料袋2の重力により袋の下方を突き刺して開封する凸(山)状の開封刃7を固定ボルト7aにより着脱可能、かつ角度調節可能に取り付けている。

………………………………

図面の抜粋

1……開封装置

2……肥料袋

3……樋

4……保定支柱

4a…フック金具

5……ピン

6……アーム

7……開封刃

7a…固定ボルト

8……肥料散布機のホッパ

9……運搬車の荷枠

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

袋詰めされている肥料を散布機のホッパに人手またはコンベヤで投入する位置に、肥料を詰めた肥料袋を運搬する運搬車の荷枠や荷台に肥料袋を滑り落とす樋を、樋と保定支柱との間に介装したアームにより構成される角度保持手段と枢支手段からなる傾斜角度調節機構によって、保定支柱に対し、傾斜角度を調節可能に設置し、この樋の下端部に、樋を滑り落ちる肥料袋の重量により袋の下方を突き刺して開封する凸状の開封刃を設けたことを特徴とする肥料袋の開封装置。

発明の詳細な説明及び図面の抜粋

……………………………

jirei33_1

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

本事例では、肥料袋の開封装置の発明特定事項の1つである「傾斜角度調節機構」について、当初の特許請求の範囲には、「角度保持手段と枢支手段からなる傾斜角度調節機構」と記載されており、当初明細書の発明の詳細な説明には、実施例として「樋3と保定支柱4との間に介装したアーム6により構成される角度保持手段と樋3を保定支柱4に対して回動可能に枢支するピン5により構成される枢支手段からなる傾斜角度調節機構」と記載されている。すなわち、実施例の「樋を保定支柱に対して回動可能に枢支するピンにより構成される枢支手段」に対応して、当初の特許請求の範囲には、特定の構造に言及することなく、「枢支手段」と記載されている。

そして、本事例の当初明細書等において、「樋と保定支柱との間に介装したアームにより構成される角度保持手段と樋を保定支柱に対して回動可能に枢支するピンにより構成される枢支手段からなる傾斜角度調節機構」のみが記載されていたと解すべき特段の事情(たとえば、角度保持手段を上記アームにより構成する点と枢支手段を上記ピンにより構成する点に相互依存の関係、機能的結合関係がある場合等)は認められないので、当初明細書等には「樋と保定支柱との間に介装したアームにより構成される角度保持手段と枢支手段からなる傾斜角度調節機構」が記載されていたものと認められる。

したがって、補正後の特許請求の範囲に記載された事項は、当初明細書等に記載された事項といえる。

新規事項の判断に関する事例36

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

杭圧入引抜機

特許請求の範囲
【請求項1】

既設杭を挟持した状態で新たな杭を順次圧入して杭列を形成する本体と、前記杭列の進行方向と一致するように設定されたガイド面を有して前記本体に取り付けられ、前記ガイド面に沿って新たな杭の圧入を案内するガイド板とを備えている杭圧入引抜機。

発明の詳細な説明の抜粋

……………………………

この杭圧入引抜機の本体は、複数の既設杭Pを挟持する複数のクランプ1と、新たな鋼管杭POを圧入するチャック2とを備えており、更に、本体には、ガイド板10が取り付けられている。

このガイド板10は新たな杭POを圧入する際に案内を行うものであり、ガイド板10の一方の側面がガイド面11となっている。ガイド面11は施工すべき杭列のラインの進行方向に合わせて設定されるものであり、新たな杭POはこのガイド面11を摺動しながら地盤に圧入される。

また、上記ガイド板10上の先端部分には、レーザー発振器16が取り付けられており、そのレーザー発振器16からレーザー光が出射する。符号17は施工すべき杭列のラインであり、このライン17の終端にはレーザー光を受光する受光器等のターゲット18が配置されている。

かかる本実施例では、上記レーザー発振器16から出射したレーザー光がターゲット18に入射するように、ガイド板10の本体に対する取り付け位置を選定する。これによりガイド板10が杭列のライン17と一致するため、そのガイド面11が杭P及びPOを案内しながら圧入できる。

………………………………………

レーザー発振器から出射されるレーザー光線は直進する特性を有するので、この特性を利用することにより、ガイド板を常に杭列のラインに一致させて杭圧入の法線出しを、簡単かつ精度良く行うことができる。

………………………………………

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

特許請求の範囲
【請求項1】

既設杭を挟持した状態で新たな杭を順次圧入して杭列を形成する本体と、この本体に取り付けられ、新たな杭の圧入を案内するガイド面を有するガイド板と、前記ガイド板に取り付けたレーザー発振器とを備え、前記杭列のラインの終端に配置されたターゲットにレーザー光が入射するように、前記ガイド板の本体に対する取り付け位置を選定可能としたことを特徴とする杭圧入引抜機。

発明の詳細な説明及び図面の抜粋

……………………………

図面の抜粋
jirei36_1

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

当初明細書には、「上記ガイド板10上の先端部には、レーザー発振器16が取り付けられており」という記載があるが、他方で、「レーザー発振器から出射されるレーザー光線は直進する特性を有するので、この特性を利用することにより、ガイド板を常に杭列のラインに一致させて杭圧入の法線出しを、簡単かつ精度良く行うことができる。」と記載されている。そして、「レーザー光線は直進する特性を有するので、この特性を利用する」という説明と、これにより「ガイド板を常に杭列のラインに一致させて杭圧入の法線出しを、簡単かつ精度良く行なうことができる」という発明の技術上の意義からみて、レーザー発振器は、ガイド板上の先端に取り付けられている必要はないことが当業者に当然に理解される。そうすると、当初明細書等には、レーザー発振器の取り付け位置の限定のないものが記載されていたといえる。

したがって、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

なお、上記の例とは異なって、レーザー発振器の取り付け位置を、例えば「ガイド板上の後端」とする補正をしようとする場合は、当初明細書等には取り付け位置をこのように特定(選択)することは記載されておらず、このように特定(選択)することによって、当初明細書等に記載されていなかった事項が個別化されることになるので、補正は許されない。

新規事項の判断に関する事例37

類型:構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

ソフトウエアレンタル用カートリッジ

特許請求の範囲
【請求項1】

外部から所望のソフトウエアが格納される書き替え可能な記憶手段と、外部から設定されたレンタル期限情報または累積使用許可時間情報に基づいて前記記憶手段に格納された前記ソフトウエアの有効期限を管理し、レンタル期限または累積使用時間の超過時に自動的に前記ソフトウエアを無効化するレンタル期限管理手段と、前記レンタル期限までの残時間量またはレンタル開始からの経過時間量または累積使用時間量または前記レンタル期限の超過の少なくとも一つの状態を表示する表示手段とを備えたことを特徴とするソフトウエアレンタル用カートリッジ。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………………

本実施例のカートリッジによれば、内部に、レンタル対象のソフトウエアであるタイトルを記憶するとともに、当該タイトルのレンタル期限を自立的に管理する機構を備えているので、ユーザや販売者の双方における煩雑な手続を不要にして、レンタル期限を正確に管理することが可能になる。

また、レンタル期限を残量表示する文字表示機構126aやグラフ表示機構126bを備えているので、ユーザによるレンタル期限の確認や、レンタル期限超過後の誤認等の不具合を防止して、カートリッジの利便性を向上させることができる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

外部から所望のソフトウエアが格納される書き替え可能な記憶手段と、外部から設定されたレンタル期限情報または累積使用許可時間情報に基づいて前記記憶手段に格納された前記ソフトウエアの有効期限を管理し、レンタル期限または累積使用時間の超過時に自動的に前記ソフトウエアを無効化するレンタル期限管理手段とを備えたことを特徴とするソフトウエアレンタル用カートリッジ。

【請求項2】

前記レンタル期限までの残時間量またはレンタル開始からの経過時間量または累積使用時間量または前記レンタル期限の超過の少なくとも一つの状態を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のソフトウエアレンタル用カートリッジ。

発明の詳細な説明及び図面の抜粋

……………………………

図面の抜粋
jirei37_1
jirei37_2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

本事例の場合、当初明細書等には「記憶手段とレンタル期限管理手段及び表示手段とを備えたソフトウエアレンタル用カートリッジ」が記載されているが、「本実施例のカートリッジによれば、内部に、レンタル対象のソフトウエアであるタイトルを記憶するとともに、当該タイトルのレンタル期限を自立的に管理する機構を備えているので、ユーザや販売者の双方における煩雑な手続を不要にして、レンタル期限を正確に管理することが可能になる。」という、記憶手段とレンタル期限管理手段に基づいた記載があることから、カートリッジに対する表示手段の付加は任意であることが明らかである。

そうすると、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものということができる。

新規事項の判断に関する事例38

類型:作用の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

板状体の搬送方法

発明の詳細な説明の抜粋

吸着器1は上下動を2回行ったのち、吸着したシートを所定位置に搬送(E)する。吸着器1は、1回目の上下動(A→B)によって最上位のシート2を吸着保持する際に次位のシート3をも吸着してしまったとしても、2回目の上下動(C→D)を行うので、次位のシート3を振り落とすことができる。

図面
jirei38_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………………。

さらに1回目の上下動のストロークと2回目の上下動のストロークとは同じであり、吸着器1の1回目の下動Aで最上位のシート2の吸着保持に失敗した場合には、続く2回目の下動Cで再度吸着保持する機会が与えられる。

図面

…………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

補正によって、1回目と同じストロークで2回目の上下動ストロークを行うという作用及び1回目の下動で最上位のシートの吸着保持に失敗しても、続く2回目の上下動で再度吸着保持する機会が与えられるという効果についての記載を追加している。しかしながら、これに関しては、吸着器の効果についての当初明細書等の記載しかなく、この記載に接した当業者が、1回目と同じストロークで2回目の上下動ストロークを行うという作用及びこの作用に基づく上記効果まで記載されているのと同然と理解するとはいえない。

新規事項の判断に関する事例39

類型:図面に基づく補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

熱処理装置

特許請求の範囲
【請求項1】

熱処理室であるケーシング12を有する熱処理装置であって、送風装置を帯状物Fの幅方向の中心における上方及び下方に配し、複数個のノズルボックス24、26を帯状物の長手方向に所定の間隔を開けて配列させ、各ノズルボックス24、26を連結させたことを特徴とする熱処理装置。

発明の詳細な説明の抜粋

天井板のファン20で起こされた風は、上部ダクト34aの第1次フィルター38、熱交換機36、第2次フィルター40を通り、熱風となって下部ダクト34bに送られる。そして、その熱風は、ノズルボックス24の吹き出し口から帯状物Fの上面に吹き付けられる。 他方、底面側のファン22で起こされた風は、下部ダクト48aを経て、上部ダクト48bに送られ、ノズルボックス26の吹き出し口から帯状物Fの下面に吹き付けられる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………………送風装置の吸い込み口を、前記ケーシングの天井部及び底部における帯状物Fの幅方向の中心において水平にそれぞれ設け、天井部にある吸い込み口の吸い込み方向を下方に向け、底部にある吸い込み口の吸い込み方向を上方に向け、……………………。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………。

…………………………。

図面

【図1】

jirei39_1

【図2】

jirei39_2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

補正事項について、明細書に明示的な記載はないが、明細書に記載された装置の動作に関する記載内容を図面と併せて理解すれば、ファン20の下部にある羽根車の下方に下方に向いた水平な吸い込み口があること、ファン22の上部にある羽根車の上方に上方に向いた水平な吸い込み口があること、また、送風装置の吸い込み口が帯状物Fの幅方向の中心にあることがそれぞれ明らかである。したがって、補正しようとする事項は、当初明細書等に接した当業者に自明な事項である。

新規事項の判断に関する事例40

類型:図面の記載に基づく補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

飲料容器等の受台

発明の詳細な説明の抜粋

側部3は収容部Sの外側に中空部4を介して全周に設けられている。 例えば、ベッド上に受台1が置かれた際には、滑り止め部材5によって受台1の移動が阻止された上に、側部3の裏側のエッジ部6がベッドの表面に引っ掛かることにより、飲料容器の転倒が防止される。

図面
jirei40_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

発明の詳細な説明の抜粋

………………………。また、側部3の下端は収容部Sの裏側の位置と略同一にしており、収容部S内の飲料容器が安定する。

………………………。

図面

…………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

図面に記載された側部3の下端と収容部Sの裏側との位置関係と、受台1がベッドの上に置かれた際に側部3の裏側のエッジ部6がベッドの表面に引っ掛かるとの記載から、側部3の下端が収容部Sの裏側の位置と略同一であることは明らかであり、その結果、飲料容器の転倒が防止されるとの記載から、収容部S内の飲料容器が安定することは当業者にとって自明な事項である。

したがって、この補正しようとする事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえる。

新規事項の判断に関する事例41

類型:図面の記載に基づく構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

誤動作防止スイッチ

特許請求の範囲
【請求項1】

反転自在に保持された波動型のスイッチハンドル2と、スイッチハンドル2の外側に設けられた囲い壁5とこの囲い壁5の内側に係合する筒部7を有するカバー6と、カバー6の下面に設けられたスイッチのハンドル2の反転防止部8と、更に、前記筒部に設けられた下面に半分の区分されたオン、オフ表示の一方を塞ぐ盲板11とよりなる誤動作防止スイッチ。

発明の詳細な説明の抜粋

波動型ハンドル2の外側に本体1の囲い壁5を形成し、この囲い壁5の内側にカバー6の筒部7を係合させ、且つ筒部7にハンドル2の反転防止部8を形成したから、ハンドル2を走査してはいけないとき誤って操作されずしかもその反転防止カバー6にはオン、オフいずれかの半分を表示する盲板11を設けたから、特にそのオン、オフの判別が困難な反転型ハンドルのオン、オフ表示が確実となる効果がある。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………………とよりなり、カバー6の周辺には囲い壁5の開口縁との間にドライバーの先端部が挿入可能な切欠13を有してなる誤動作防止スイッチ。

発明の詳細な説明の抜粋

……………………………。

また、カバー6の周縁には囲い壁5の開口縁との間にドライバーの先端部が挿入可能な切欠13を有しており、カバー6の取外しが容易に行える。

図面
jirei41_1
jirei41_2
図面

図1

…………………

jirei41_3

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

溝は補正前の図面には示されているが、発明の詳細な説明では具体的な記載はない。ドライバーにてカバーを外す技術は周知であるとしても、上記切欠13がドライバー挿入用の溝であることを、当初明細書等の記載が意味していたことが明らかとは言えない。

新規事項の判断に関する事例42

類型:図面の記載に基づく構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

排紙装置

発明の詳細な説明の抜粋

一軸上に設けられたローラと、該ローラに相対するガイドとの間で用紙を挟持搬送する。 ガイドをローラの外周面よりも軸心方向に入り込ませるように配置することにより用紙を波打たせて腰付けを行う。

図面

【図1】

jirei42_1

【図2】

jirei42_2
補正後の明細書等
【発明の名称】

…………

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………………挟持搬送する。

ローラとガイドを軸方向において交互に配置するとともに、ガイドをローラの外周面よりも…………………………。

図面

……………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

当初の図面の図2の記載と明細書中の「ガイドをローラの外周面よりも軸心方向に入り込ませるように配置することにより用紙を波立たせ」る旨の記載とから、図2には「ローラとガイドを軸方向において交互に配置し」た点が記載されていると認められる。

新規事項の判断に関する事例43

類型:図面の記載に基づく構成の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

テーブルの位置制御装置

発明の詳細な説明の抜粋

…………テーブル(3)は送り機構を介してモータ(5)に接続され、このモータ(5)の回転制御により、テーブル(3)の位置制御は行われる。

図面
jirei43_2
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………

発明の詳細な説明の抜粋

…………テーブル(3)は、ネジ(1)の回転によりテーブル(3)を直線移動させるネジ送り機構を介してモータ(5)に接続され、このモータ(5)の回転制御により、テーブル(3)の位置制御は行われる。

図面

……………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

補正前明細書の「送り機構」との記載と、当初の図面の記載とによれば、図に記載されたものは明らかにネジの回転によりテーブルを直線移動させるネジ送り機構であると認められる。

新規事項の判断に関する事例44

類型:図面の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

ペダル装置

発明の詳細な説明の抜粋

ペダル軸3及び反射板取付枠4を有するクランクレバー本体1とチェーンギヤを取り付けるためのアーム2とを一体形成したクランクレバーにおいて薄板状の反射板5は反射板取付枠4の底面に、クランクレバー本体面から突出することがないようにはめ込まれる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………。

図面

【図1】

jirei44_1

【図2】

jirei44_2
図面

【図1】

jirei44_3

【図2】

jirei44_4

(出願人による補正の理由の説明)

出願当初の図面では、薄板状の反射板5について図示し忘れた。しかし、当初明細書における「薄板状の反射板5は反射板取付枠4の底面に、クランクレバー本体面から突出することがないようにはめ込まれる。」との記載から、当初図面の反射板取付枠4の底面に補正図面(図2)のように薄板状の反射板がはめ込まれていることは自明な事項である。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

当初明細書における「薄板状の反射板5は反射板取付枠4の底面に、クランクレバー本体面から突出することがないようにはめ込まれる」という記載から、当初図面の反射板取付枠4の底面に補正図面(図2)のように薄板状の反射板がはめ込まれていることを明らかにする補正は、当初明細書等に接した当業者が記載されているのと同然と理解する事項(当初明細書等の記載から自明な事項)といえる。

新規事項の判断に関する事例45

類型:図面の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

電磁弁装置

発明の詳細な説明の抜粋

電磁弁本体に形成した筒状の嵌合部は先端へ向かうにつれて順次小径となるように形成され、しかも切欠きにより半径方向の伸縮が可能である。

…………………………………………

嵌合部に設けられた突起部をコイル部に形成した固定部の凹溝に嵌合させたのち、固定具を押し込み、固定具の胴部のたわみにより該嵌合を確実にし、電磁弁本体とコイル部を固定する。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………………。

…………………………………

…………………………………。

図面

【図1】

jirei45_1
図面

【図1】

………………………

【図2】

jirei45_2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

当初明細書には嵌合部に切欠きを、また固定部に凹溝を設けることが開示されているが、補正により追加された図2に示されるような切欠きの数、長さ、凹溝が全周に設けられる点等については、当初明細書等のいずれにも記載されておらず、また、この点が当業者にとって当初明細書等の記載から自明な事項であるとする理由もない。

新規事項の判断に関する事例46

類型:図面の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

自動車のチェンジレバー装置

発明の詳細な説明の抜粋

チェンジレバー1をCD方向に揺動させると、第2摺動部4により従動体10が移動され、これと一体的に設けられたピン8と第2プレート5に設けられたカム溝9とにより、第2プレートがIJ方向に移動してシフト動作が行われる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

…………………………………

発明の詳細な説明の抜粋

………………………。

図面
【図1】
jirei46_1
図面
【図1】

……………………………

【図2】
jirei46_2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

当初の明細書等にカム溝9の存在は開示されているが、その形状までは記載されておらず、当初明細書等に接した当業者が、図2で明らかにされたカム溝の形状、第2プレートの形状等が、そこに記載されていたのと同然と理解するものということはできない。

新規事項の判断に関する事例47

類型:図面の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

水撃緩衝装置

発明の詳細な説明の抜粋

配管の途中に筒状のケーシングを設け、該ケーシング内に球状の衝撃吸収材を多数個設置して水撃を緩衝する。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

発明の詳細な説明の抜粋

……………………………………。

図面
jirei47_1
図面
jirei47_2
(出願人による補正の理由の説明)

出願当初の図面では、球状の衝撃吸収材の径が保持部材の孔の大きさと略同一に記載されており、吸収材が目詰まり又は流出するのではないかとの誤解を生じる恐れがある。しかし、この吸収材の径は、当初明細書に記載したそれが有する機能からみて、保持部材の孔より大きくなければならないことは自明な事項である。そこで、球状の衝撃吸収材の径が保持部材の孔よりも大きいという事実が図面上明らかになるよう、図面を補正した。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

図面のみからは、衝撃吸収材の径と保持部材の孔の大きさとの関係は必ずしも明らかではないが、当初明細書の記載を参酌すれば、球状の衝撃吸収材の径が保持部材の孔のそれよりも大きくなければならないことは当業者に自明な事項である。そうすると、この補正は、自明な事項を単に図面上明らかにするものにすぎないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえる。

新規事項の判断に関する事例48

類型:図面の補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

接触形レーザメスチップ

特許請求の範囲
【請求項1】

光導体から伝送されるレーザ光を受光し、その先端からレーザ光を治療対象部位に照射させる接触形レーザメスチップにおいて、前記チップは、円柱体もしくは略円錘体から形成されるとともに、該周体途中より先側にかけて求心方向に向かう傾斜部を設けて厚みを先向漸薄状となしたことを特徴とする接触形レーザメスチップ。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

………………………………。

図面

【図1】

jirei48_1
図面

【図1】

jirei48_2

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

(イ)におけるⅡ-Ⅱ′断面形状としては、いくつかのものが想定でき、Ⅱ-Ⅱ′断面図として追加記載された(ハ)がその一つの断面図でありうるとしても、出願当初の明細書等に接した当業者が、そこに記載されているのと同然と理解する事項とはいえない。

新規事項の判断に関する事例49

類型:誤記の訂正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

算盤用数字読取り器

特許請求の範囲
【請求項1】

低角α、βがそれぞれ約45度及び約130度の断面形状プリズム(1)を前面、後面の上部及び低面全部にそれぞれ細長窓孔(2)~(4)を有する筐枠(5)内に収めその箱枠(5)の前面下部を垂直面(6)に形成すると共に一対の下向L字杆(7)、(7)を前面に突設した算盤用数字読取り器。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………約110度…………………。

発明の詳細な説明の抜粋

低角α、βはそれぞれ約45度及び約130度に形成したことにより、射出光線は紙面と約40度(γ)の角度をなすから最も見易い。

図面
jirei49_1
発明の詳細な説明の抜粋

……………約110度…………………。

図面

……………………………

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

[説明]

出願当初の明細書等には角βは「約130度」と記載されていたが、射出光線が紙面に対し約40度(γ)となるためには計算上並びに図面の射出光線の工合いからみて、角βは当然約110度でなければならず、また、角βが約130度とすると射出光線は80度位となり算盤を使用しながらの文字の読取りが困難となることから、角βを「約130度」としたのは誤記であることも、また正しくは「約110度」であることも、当初明細書等の記載から明らかである。

新規事項の判断に関する事例50

類型:文献の引用に基づく補正

出願当初の明細書等
【発明の名称】

ゴルフボール

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………ゴルフボール。

発明の詳細な説明の抜粋

…………本発明のゴルフボールは、直径、重量が従来のゴルフボールと同じで、表層部、中間層部、及び中心部に3分割され、表層部はゴムと充填材もしくは特公昭52-32290号公報に開示されているような従来のゴルフボールと同一の組成物で構成され、………………………。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………ゴルフボール。

発明の詳細な説明の抜粋

…………本発明のゴルフボールは、直径、重量が従来のゴルフボールと同じで、表層部、中間層部、及び中心部に3分割されている。

公式のゴルフボールの組成物としては、従来から種々の組成が周知であり例えば特公昭52-32290号公報において開示されているように、高分子重合体、各種の合成ゴム、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、及びブタジエン・スチレンコポリマーなどを含むゴルフボールが知られている。要するに、本発明のゴルフボールの表層部には、上記のような従来周知の公式ゴルフボールに使用されている組成物を適宜選択して用いればよい。

[結論]

補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものといえない。

[説明]

出願当初の明細書において文献が引用されており、本発明の表層部には当該文献に記載されているような組成物を用いる点は記載されているが、当該文献中に具体的に記載されている組成物である「ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びブタジエン、スチレンコポリマー等」を追加する補正は、発明の実施に関する情報を追加するものであり許されない。

Myリストに登録2. 限定的減縮の判断に関する事例

限定的減縮の判断に関する事例1

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

予測式電子体温計

特許請求の範囲
【請求項1】

体温を電気信号に変換するセンサとセンサ出力の変化特性とから体温の安定温度を予測する演算回路を有する電子体温計。

発明の詳細な説明の抜粋

この発明は、測定時間の短い体温計を提供することを目的とする。

体温を電気信号に変換するセンサは例えば、感温磁気素子、測温抵抗体、熱電対等が挙げられる。センサ出力は、体温予測演算回路に導かれ、予想安定温度値に変換される。測定時間をできるだけ短くするためには、感度のよいセンサを使用する必要がある。実験の結果は、熱電対が最適であった。

図面
jirei1_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………熱電対からなるセンサと………………。

発明の詳細な説明の抜粋

この発明は、測定時間の短い体温計を提供することを目的とする。

センサ出力は、体温予測演算回路に導かれ、予想安定温度値に変換される。測定時間をできるだけ短くするためには、感度のよいセンサを使用する必要がある。

図面

…………………………

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

この補正は、補正前の請求項に記載された発明の発明特定事項、すなわち、課題解決手段の1つである「電子体温計において体温を電気信号に変換するセンサ」を概念的に下位のものにしたものである。また、補正によって、発明の解決しようとする課題や産業上の利用分野は変更されていない。

限定的減縮の判断に関する事例2

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

現像装置

特許請求の範囲
【請求項1】

静電潜像保持体に現像剤を供給する現像剤担持体2に層厚規制部材20を当接させて現像剤担持体上に現像剤の薄膜を形成し、当該薄膜の現像剤を静電潜像保持体上に付着させることによって、静電潜像を可視像化する現像装置において、上記層厚規制部材 20 の表面を粗面化することを特徴とする現像装置。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………粗面化することにより、均一の薄膜とするという本発明の課題が達成できる。その粗さとしては、現像剤の平均粒径をDとすると、0.5D~1.5D程度が望ましい。

図面
jirei2_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

…………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………現像装置において、上記層厚規制部材20の表面を粗面化し、その粗さを0.5D~1.5D(ただし、D:現像剤の平均粒径)とすることを特徴とする現像装置。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………。

図面

………………………………

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

この補正は、補正前の請求項に記載された発明の発明特定事項、すなわち課題解決手段の1つである「現像装置において層厚規制部材20の表面を粗面化すること」を概念的に下位のものにしたものである。また、補正によって、発明の解決しようとする課題や産業上の利用分野は変更されていない。

限定的減縮の判断に関する事例3

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

変速機の歯車箱

特許請求の範囲
【請求項1】

出力軸を回転可能に支持する軸受が装着される軽合金製歯車箱の周壁部に補強用のリングを鋳込んだ変速機の歯車箱。

発明の詳細な説明の抜粋

………歯車箱をアルミニウム合金製で………リングを鋼製で………………

図面
jirei3_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

…………………

特許請求の範囲
【請求項1】

出力軸を回転可能に支持する軸受が装着されるアルミニウム合金製歯車箱の周壁部に補強用の鋼製リングを鋳込んだ変速機の歯車箱。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………

図面

……………………

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

補正により、歯車箱の材質、補強用リングの材質をそれぞれ特定しており、これは補正前の発明の発明特定事項、すなわち課題解決手段である「変速機の歯車箱における軽合金製歯車箱」、「変速機の歯車箱における補強用のリング」をそれぞれ概念的に下位のものに限定したものとなっている。また、歯車箱を軽量化するとともに軸受箇所における歯車箱の強度を向上するという、発明が解決しようとする課題及び産業上の利用分野(変速機の歯車箱)は同一である。

限定的減縮の判断に関する事例4

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

出力回路

特許請求の範囲
【請求項1】

コレクタが接続手段を介して電源ラインに接続され、ベースが入力端子に接続された第1のトランジスタと、ベースが前記第1のトランジスタのエミッタに接続され、コレクタが出力端子に接続され、エミッタが基準電位源に接続された第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとのコレクタ間に、前記第1及び第2のトランジスタが導通したときに電流が流れかつ前記第1及び第2のトランジスタが遮断した時に電流が遮断されるように挿入されたダイオードを含むことを特徴とする出力回路。

補正後の明細書等
【発明の名称】

…………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………挿入されたトランジスタのベースとコレクタを短絡させた等価ダイオードとを含むことを特徴とする出力回路。

発明の詳細な説明の抜粋

………このダイオードとしては、図1に示す通常のp-nダイオードの他に、図2に示されるようなトランジスタのベースとコレクタを短絡した等価ダイオードを用いることもできる。

図面
jirei5_1
jirei5_2
発明の詳細な説明の抜粋

………このダイオードとしては、図2に示すトランジスタのベースとコレクタを短絡した等価ダイオードを用いると良い。

図面

……………………………………

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

補正により、補正前の「ダイオード」が「トランジスタのベースとコレクタを短絡した等価ダイオード」となった。ここで「ダイオード」とは、図1に示されるp-n接合ダイオードと図2に示される等価ダイオードの両者を具体的に含むものである。

したがって、この補正は、補正前の「ダイオード」を「等価ダイオード」に下位概念化したものであるから、発明特定事項の一部の限定であると認められ、また、発明の課題および利用分野が補正の前後で変更されないから、この補正は請求項の限定的減縮である。

限定的減縮の判断に関する事例5

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

ノブ

特許請求の範囲
【請求項1】

被開閉体に取り付けられて該被開閉体を開閉操作する際に把持する把持部を有するノブであって、該把持部表面の少なくとも一部に銅の微細粒子を表面に露出させ、露出させた微細粒子を表面の菌類が繁殖しないような間隔となるように多数混在させてなるノブ

補正後の明細書等
【発明の名称】

……

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………混在させ、微細粒子同志の間隔を100μm以下に設定させてなるノブ。

発明の詳細な説明の抜粋

………これら露出した銅の微細粒子同志の間隔が把持部の表面に付着した菌類がコロニーを形成して繁殖するために必要とされる領域の径より十分小さい値とされ、通常は、100μm以下に設定することが望ましい。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………。

図面
jirei5_2

1…被開閉体の一部を構成する扉板、2…ノブ

6…把持部、8…銅の微細粒子

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

補正後の特許請求の範囲は、微細粒子の間隔を限定しているが、当該限定は、補正前の請求項に記載された発明の発明特定事項の一部である「ノブにおいて表面の菌類が繁殖しないような銅の微細粒子の間隔」を限定したものであり、また当該補正前後の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。

限定的減縮の判断に関する事例6

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

シリアル型サーマルプリンター

特許請求の範囲
【請求項1】

ヘッド基板上の一側辺部にこれと平行に多数の発熱抵抗体が連設された発熱抵抗体群とを具備して成るサーマルプリントヘッドを熱転写リボン及び被転写紙または感熱紙を介在させてプラテンゴムに圧接して印字を行うサーマルプリンタにおいて、サーマルプリントヘッドがプラテンゴムに対しその摺動万向に斜めに配置されたことを特徴とするシリアル型サーマルプリンター。

発明の詳細な説明の抜粋

本発明のプリンタにおけるサーマルプリントヘッドはプラテンゴムに対し斜めに配置され、ヘッド基板のヘッド表面の摺動万向に対する適正な角度は1~15°である。

ここで、角度が1°未満の場合、ヘッド基板の上側辺部がプラテンゴムに圧接状態となるため本発明の目的が果たせなくなり、また15°を越えると、ヘッド基板の表面に被着形成された発熱抵抗体が熱転写リボンまたは感熱紙と接触しなくなり鮮明な印字、印画が望めなくなる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………サーマルプリントヘッドがプラテンゴムに対しその摺動方向に1~15°の角度で斜めに配置されたことを特徴とするシリアル型サーマルプリンター。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………。

…………………………。

図面
jirei5_2

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

補正後の特許請求の範囲は、ヘッドのプラテンゴムへの当接角度を特定しているが、当該補正は、補正前の特許請求の範囲に記載された発明の発明特定事項の一部である「サーマルプリンタにおいてヘッドを斜めに配置する」点について、角度を特定することにより概念的に下位のものにしたものにほかならない。また、当該補正前後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。

限定的減縮の判断に関する事例7

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

バケットコンベア

特許請求の範囲
【請求項1】

下部に供給口を上部に排出口を有する筒型ケースの上下に駆動プーリと従動プーリとを設け、前記駆動プーリと従動プーリとに複数のバケットを所定間隔に取り付けてなる無端ベルトを掛け回すとともに、前記従動プーリの上方部に該従動プーリの接線方向に向かって突出する吐出ノズルを有する送風機を設けたことを特徴とするバケットコンベア。

図面
jirei7_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

……………………………、前記従動ブーリの上方部に該従動プーリの接線方向に向かって開口部が縮径し突出する吐出ノズルを有する送風機を設けたことを特徴とするバケットコンベア。

図面

……………………………………

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

補正前発明と補正後発明において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題(従動プーリと無端ベルトとの間に落ち込んだ粉粒体を排出・除去する)は同一である。

また、吐出ノズルを開口部が縮径するよう補正する点は、吐出ノズルの形状を特定したものであって、補正前発明の発明特定事項(課題解決手段の1つである「バケットコンベアにおける吐出ノズル」)を概念的に下位のものにしたものである。

限定的減縮の判断に関する事例8

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

光信号の双方向伝送方法

特許請求の範囲
【請求項1】

光導波路を介して接続された2つのステーション間に光信号を双方向に伝送するため、信号がその都度ステーション内に配置された光送信器から放出され、光導波路によって形成される伝送区間の終端部では送信器と一体に構成された光受信器により受信されるようにした方法において、

a)送信器と受信器が一体構成部材として互いに結合され、

b)一方の送信方向の信号は他方の送信方向の送信休止期間中に光導波路を介して伝送され……………。

発明の詳細な説明の抜粋

………発光ダイオードとして構成された光送信部をフォトダイオードとして構成された光受信部孔に挿入した構造が有利である。発光ダイオードとしてはGaAs発光ダイオード、又はGaAlAs発光ダイオードが必要な場合バラス型として使用可能である。これに対し、フォトダイオードは例えばピン……………

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………方法において、

a)送信器として発光ダイオードが、受信器としてフォトダイオードが使用され、両者は一体構成部材として互いに結合され、

b)一方の送信方向の信号は他方の送信方向の送信休止期間中に光導波路を介して伝送され……………。

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

補正によって、「送信器」が「発光ダイオード」、「受信器」が「フォトダイオード」であると特定されたものであり、補正前の発明の発明特定事項の一部を概念的に下位にしたものにあたり、補正前後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題も同一である。

限定的減縮の判断に関する事例9

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

化合物Cの製造方法

特許請求の範囲
【請求項1】

化合物Aと化合物Bを反応させる化合物Cの製造方法。

発明の詳細な説明の抜粋

………反応温度は80℃以上が好ましい。

補正後の明細書等
【発明の名称】

………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

化合物Aと化合物Bを80℃以上で反応させる化合物Cの製造方法。

発明の詳細な説明の抜粋

……………………………………………。

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

この補正は、補正前の請求項に記載された発明の発明特定事項、すなわち、課題解決手段のいずれの事項の限定でもない。

なお、温度を特定することは、温度条件について言及せずに単に「化合物Aと化合物Bを反応させる」とした課題解決手段を概念的に下位のものにしたとは言えない。

限定的減縮の判断に関する事例10

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

異常運転防止装置

特許請求の範囲
【請求項1】

気液分離器の冷媒入口及び冷媒出口にそれぞれ気液状態検出手段を設け、この検出手段の検出値により冷凍装置内の冷媒の過不足を判定し、圧縮機を所定時間断続運転させる制御手段を備えることを特徴とした異常運転防止装置。

発明の詳細な説明の抜粋

……………所定時間圧縮機の断続運転を行うことにより、使用者は冷凍装置の異常状態である冷媒の過不足を容易に認知できる。また、過不足を判定したときにランプ、ブザー等の警報装置を用いて異常状態を訴える手段も有効である。

図面
jirei10_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………所定時間断続運転させるとともに警報装置を作動させる制御手段を備えることを特徴とした異常運転防止装置。

発明の詳細な説明の抜粋

……………所定時間圧縮機の断続運転を行うばかりでなく、ランプ、ブザー等の警報装置も作動するので使用者は冷凍装置の異常状態である冷媒の過不足を容易に認知できる。

図面

……………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

冷凍装置の異常状態である冷媒の過不足を使用者に容易に認知させるという、発明の解決しようとする課題は補正前後において変更はないが、補正後の特許請求の範囲に追加された「警報装置」は、補正前の発明の発明特定事項(課題解決手段)のいずれの限定とも認められない。(なお、「検出手段の検出値により冷凍装置内の冷媒の過不足を判定し、圧縮機を所定時間断続連転させる制御手段」を概念的に下位にしたものとは言えない。)

限定的減縮の判断に関する事例11

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

ドアの錠装置

特許請求の範囲
【請求項1】

錠の固定位置を一対の発光素子及び受光素子を用いて検知する盗難防止用の錠位置検知手段と、上記錠に対する鍵を持った人の手の接近を一対の発光素子及び受光素子を用いて検知する接近検知手段と、その錠を持った人の手が錠に接近した時に該錠を照明する照明手段を設けたことを特徴とするドアの錠装置。

発明の詳細な説明の抜粋

………一対の受光素子及び発光素子を用いて錠位置及び人の手の接近を検知するため、ドアノブを探す必要がなくなり、暗い場所でのキーシリンダーの開閉操作が容易となり、さらに検知手段の動作によりタイマー接点を所定時間オンするタイマー部を設け一定時間照明させることにより、電源の消費電力を小さくすることができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

1…ドア、3…キーシリンダ(錠)、9…キー(錠)、12…発光素子、13…受光素子、15…照明手段、17…タイマー部、18…受光素子

図面
jirei11_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

特許請求の範囲
【請求項1】

錠の固定位置を一対の発光素子及び受光素子を用いて検知する盗難防止用の錠位置検知手段と、上記錠に対する鍵を持った人の手の接近を一対の発光素子及び受光素子を用いて検知する接近検知手段と、その錠を持った人の手が錠に接近した時に該錠を照明する照明手段を設けるとともに、接近検知手段の作動によりタイマー接点が所定時間オンとなり、一定時間照明できるタイマー部を設けたことを特徴とするドアの錠装置。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………。

【図面の簡単な説明】

……………………………………………

図面

……………………………………………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

補正により追加された「タイマー部」は、補正前発明の課題解決手段、すなわち発明特定事項(例えば、「ドアの錠装置における錠位置検知手段」、「ドアの錠装置における照明手段」等)のいずれを概念的に下位にしたものともいえないから、発明特定事項の限定といえない。

また、補正前の発明の課題が「暗い場所でのキーシリンダーの開閉操作を容易とする」点にあるのに対して、補正後の課題には「電源の消費電力を小さくする」ことが追加されており、この補正後の課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、技術的に密接に関連しているとはいえないから、補正前後の発明の解決しようとする課題も同一ではない。

限定的減縮の判断に関する事例12

類型:発明特定事項の限定

補正前の明細書等
【発明の名称】

ガイダンス機能付き入力装置

特許請求の範囲
【請求項1】

表示画面上にタッチパネルを設け、表示画面の表示位置に対応した部分に触れることにより、必要とするデータを入力する入力装置において、次に入力すべき部分の表示箇所を点滅表示するガイダンス機能付き入力装置。

発明の詳細な説明の抜粋

………表示画面上にタッチパネルを設け、表示画面の表示位置に対応した部分に触れることにより、必要とするデータを入力する入力装置において、次に入力すべき部分の表示箇所を点滅表示することにより、操作者に入力すべき項目を的確に指示できる。さらに、音声による案内機構を付加すればさらに効果的である。

補正後の明細書等
【発明の名称】

……………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

表示画面上にタッチパネルを設け、表示画面の表示位置に対応した部分に触れることにより、必要とするデータを入力する入力装置において、次に入力すべき部分の表示箇所を点滅表示するとともに、スピーカーを設け、入力すべき項目を音声案内するガイダンス機能付き入力装置。

発明の詳細な説明の抜粋

………表示画面上にタッチパネルを設け、表示画面の表示位置に対応した部分に触れることにより、必要とするデータを入力する入力装置において、次に入力すべき部分の表示箇所を的確に指示でき、音声による案内機構を有しているからさらに効果的である。

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

この補正は、ガイダンス手段として音声による手段を付加することにより特許請求の範囲を減縮するものであるが、補正により追加された「スピーカー」は補正前の請求項に記載されたいずれの課題解決手段の下位概念化にも該当しないので、発明特定事項の限定に当たらない。(「次に入力すべき部分の表示箇所を点滅するガイダンス機能」の下位概念化とはいえない)

限定的減縮の判断に関する事例13

類型:発明特定事項の限定/解決しようとする課題の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

イカ煎餅

特許請求の範囲
【請求項1】

イカすり身に粉末状大豆蛋白、香辛料、調味料及び小麦粉を加えたものを材料とするイカ煎餅。

発明の詳細な説明の抜粋

…………材料を加え混練した後に、イカの形状に成形し、……………

補正後の明細書等
【発明の名称】

…………

特許請求の範囲
【請求項1】

イカすり身に粉末状大豆蛋白、香辛料、調味料及び小麦粉を加えたものを材料とするイカの形状をしたイカ煎餅。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

イカ煎餅の形状を限定することは、補正前の特許請求の範囲に記載された発明の発明特定事項、すなわち、課題解決手段(イカ煎餅の材料として採用されるイカすり身、粉末状大豆蛋白、香辛料、調味料、小麦粉等)のいずれを概念的に下位にするものでもない。したがって、課題解決手段の全部である「イカすり身に……イカ煎餅」を概念的に下位のものにしたとも言えない。(なお、「イカ煎餅」は、それ単独では課題解決手段とは言えないから、「イカ煎餅」の下位概念化であるとして限定に相当すると認めることもできない。)

さらに、発明が解決しようとする課題が、補正前の発明では食感の良好なイカ煎餅の提供であったのに対して、補正後の発明においてはイカが主原料であることがその形状から明確に見て取れることを追加している。この補正後の課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもなく、技術的に密接に関連しているとはいえないから、この補正は、発明が解決しようとする課題を変更するものでもある。

限定的減縮の判断に関する事例14

類型:発明特定事項の限定/解決しようとする課題の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

電動工具装置

特許請求の範囲
【請求項1】

ハウジング2にそれぞれ別個のハンドル(3、4)を設けた電動工具装置において、バッテリーパック(7、8)をハンドル(3、4)のそれぞれの自由端部(5、6)に設けたことを特徴とする電動工具装置。

発明の詳細な説明の抜粋

………重量バランスを図ることができる。………切替スイッチ回路…………

図面
jirei14_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………それぞれの自由端部(5、6)に設け、前記バッテリーパック(7、8)のうち最高の充電状態になっている方を電力供給用に選択する切替スイッチ回路を有することを特徴とする電動工具装置。

発明の詳細な説明の抜粋

………重量バランスを図ることができる。………切替スイッチ回路…………

図面

…………………………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

切り替えスイッチ回路は、補正前発明の課題解決手段、すなわち発明特定事項(例えば「電動工具装置においてハンドルのそれぞれの自由端部に設けたバッテリーパック」、「電動工具装置においてハウジングにそれぞれ個別に設けられたハンドル」等)のいずれを概念的に下位にしたものともいえないから、発明特定事項の限定といえない。

また、補正前の発明では、解決しようとする課題がバッテリーパックを分散配置することにより重量のバランスを図る点にあったが、補正後の発明では、充電状態の良好な方のバッテリーから電力を使用できるようにして、バッテリーの効率的利用が行えるようにする課題を有するようにしている。この課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、技術的に密接に関連するとはいえないから、この補正は、課題を変更するものである。

限定的減縮の判断に関する事例15

類型:発明特定事項の限定/解決しようとする課題の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

圧力式高度計付き電子腕時計

特許請求の範囲
【請求項1】

流体圧力を測定するために歪センサを形成した半導体ダイアフラムと、該歪センサの出力を高度信号に変換する演算回路と計時回路とを、ムーブメントに内蔵した電子腕時計。

発明の詳細な説明の抜粋

この発明は、潜水、登山、ハングライダー等をする際に便利な、計時情報と高度情報とを示す腕時計を提供することを目的とする。 半導体ダイアフラムに形成した歪センサにより、水中においては水圧を検出して水深を、陸上においては気圧を検出して高度を、知ることができる。半導体ダイアフラム上に、歪センサの出力信号を高度信号に変換する演算回路と計時回路とを、半導体薄膜回路で形成すれば、ムーブメントをより薄型軽量化できる。

図面
jirei15_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

…………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

流体圧力を測定するために歪センサを形成した半導体ダイアフラムと、該歪センサの出力を高度信号に変換する演算回路と計時回路とを該ダイアフラム上に半導体薄膜回路で形成し、ムーブメントに内蔵した電子腕時計。

発明の詳細な説明の抜粋

この発明は、潜水、登山、ハングライダー等をする際に便利な、計時情報と高度情報とを示す腕時計のムーブメントをより薄型軽量化することを目的とする。………

図面

………………………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

補正前の発明の解決しようとする課題は「計時情報と高度情報とを示す腕時計を提供すること」であったのに対し、補正後の発明の解決しようとする課題は「ムーブメントの薄型軽量化」であるから、補正後の課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、補正前後の課題は技術的に密接に関連しているとはいえない。したがって、補正前後の発明の解決しようとする課題は同一ではない。

また、「電子腕時計において演算回路と計時回路とを該ダイアフラム上に半導体薄膜回路で形成すること」は、補正前発明の発明特定事項のいずれを概念的に下位にしたものとも言えないから、発明特定事項を限定するものと認めることもできない。

限定的減縮の判断に関する事例16

類型:解決しようとする課題の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

カバーシート

特許請求の範囲
【請求項1】

蓄電池の充電器に接続された太陽電池が上面に張設された船艇を覆う、透光性素材で形成されたカバーシート。

図面
jirei16_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………太陽電池の上面に位置する部分以外を遮光性素材とした透光性素材で形成されたカバーシート。

図面

………………………………………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

補正前の発明では、解決しようする課題が「バッテリー上がりを防止するとともに風雨から太陽電池を保護する」ことであったのに対し、補正後には、「紫外線の影響から船艇のみを保護する」という新たな課題が加わっている。この課題は補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、技術的に密接に関連するものとはいえず、この補正は解決しようとする課題を変更するものである。

限定的減縮の判断に関する事例17

類型:解決しようとする課題の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

面状発光装置

特許請求の範囲
【請求項1】

ガラス基板上に、透明電極、発光層、誘導体層、背面電極を順次積層して成る発光素子を、防湿性のフィルムにて被覆した

ことを特徴とする面状発光装置。

図面の簡単な説明の抜粋

1…ガラス基板、2…透明電極、3a,3b,3c…発光層、4…誘導体層、5…背面電極、6…防湿性のフィルム

図面
jirei17_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………防湿性のフィルムにて被覆するとともに、前記発光層が異なる発光色を呈する複数の発光層からなることを特徴とする面状発光装置。

図面

……………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

解決しようとする課題が、補正前発明では防湿であったが、補正後においては、多色発光の実現を新たに加えたものとなっている。この補正後の課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、技術的に密接に関連しているとはいえない。したがって、この補正は解決しようとする課題を変更するものである。

限定的減縮の判断に関する事例18

類型:解決しようとする課題の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

フィルタ装置

特許請求の範囲
【請求項1】

エンジン排気ガスの通路に面して多数のセルをもつフィルタを設けるとともに、その上流にバーナを設けたエンジンのフィルタ装置において、フィルタをそのセル通過面積が中央部で小さく、外周に近づくほど大きくなるように形成したことを特徴とするエンジンのフィルタ装置。

図面

図1

jirei18_1

図2

jirei18_2
補正後の明細書等
【発明の名称】

………………

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………大きくなるように形成するとともに、フィルタの上流側端面に開口凹部を形成したことを特徴とするエンジンのフィルタ装置。

図面

図1

…………………………………

(図2は削除)

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

補正前の課題は、排気ガスの熱によるフィルタの熱分布を中央部から外周にわたって均一になるようにすることであるが、補正後の課題には、バーナの火炎吹出口付近におけるフィルタの局部加熱を防止することを新たに加えたものとなっている。この補正後の課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、技術的に密接に関連しているとはいえないものである。したがって、この補正は解決しようとする課題を変更するものである。

限定的減縮の判断に関する事例19

類型:解決しようとする課題の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

タップ

特許請求の範囲

シャンクにくびれを設けたタップ。

発明の詳細な説明の抜粋

タップに過負荷が作用した場合に、くびれ部分に応力集中を生じさせることによりシャンク部で破断させ、タップがワーク内で折れ込むことを防ぐ。 タップがくびれ部分で破断した後、残った部分の四角柱部をタップハンドルに把持させることにより、タップを容易に回転させて抜き出すことができる。

図面
jirei19_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

………

特許請求の範囲

シャンクにくびれを設け、シャンクの四角柱部をくびれの両側にわたって延在させたタップ。

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………。

…………………………。

図面

………………………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

発明の解決しようとする課題が、補正前の発明ではシャンクの任意箇所に設けたくびれ部分に応力集中を生じさせることによりくびれ部で破断させ、タップの刃部のみがワーク内で折れ込むことを防ぐ。すなわち、ワーク外部にタップの一部が飛び出した状態で破断するようになすことにより、折れたタップの突き刺さった不良品を容易に発見できることから、タップが折れ込んだことを容易に発見可能にすることであった。これに対して、補正後の発明においては、くびれをシャンクの四角柱部の中央付近に設けるようにすれば、タップがくびれ部分で破断した後、残った部分の四角柱部をタップハンドルに把持させることにより、タップを容易に回転させて抜き出すことができることから、破断したタップの把持と抜き取りの容易化という課題を追加するものとなっている。この補正後の課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、技術的に密接に関連しているとはいえないから、この補正は、発明が解決しようとする課題を変更するものである。

限定的減縮の判断に関する事例20

類型:解決しようとする課題の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

トランプ組み合わせゲーム装置

特許請求の範囲
【請求項1】

起動信号発生手段により制御回路を作動させて電動機回路を一時的に閉路しトランプ画紙を付着した複数個の表示ドラムを一時的に回転させ、表示ドラムと駆動軸とを一方向クラッチを介して駆動連結し、電動機の停止後も表示ドラムの慣性により遊転させ、表示ドラムの表示トランプを不規則に変化させることを特徴とするトランプ組み合わせゲーム装置。

発明の詳細な説明の抜粋

本発明は複数のドラム表示体を用いたトランプ組み合わせゲームにおいて、単一の駆動源を用いた場合でも複数のドラムの停止位置を各々独立にすることにより、表示トランプを不規則に変化させるものであり、従来のトランプ組み合わせゲームよりもより偶然性の大きなゲーム装置を提供することを目的とする。

なお、起動信号を発生する起動信号発生手段としては、起動スイッチのほかに、光センサーへの光入力を検出して、起動信号を発生するように構成することもできる。起動信号発生手段として光センサの検出信号を用いた場合には、光線銃の入射光を検出して起動することができるため、光線銃の的として使用することができる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

…………………………………

特許請求の範囲
【請求項1】

光線銃の入射光を検出することにより起動信号を発生する起動信号発生手段により…………………………。

発明の詳細な説明の抜粋

本発明は光線銃の光線の入射光を用いて、ドラムを駆動させることにより、光線銃の的として用いることができる新規なトランプ組み合わせゲーム装置を提供することを目的とする。

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

補正後の特許請求の範囲は、「起動信号発生手段」を「光線銃の入射光を検出することにより起動信号を発生する起動信号発生手段」と限定しているものであり、当該限定は補正前の請求項に記載された発明の発明特定事項の一部である「トランプ組み合わせゲーム装置における起動信号発生手段」を限定したものである。

しかし、当該補正により、発明の解決しようとする課題が補正前の「偶然性の大きなトランプ組み合わせゲーム装置を得ること」から、「光線銃の的として使用することができるトランプ組み合わせゲーム装置を得ること」に変更されている。補正後の課題は、補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、技術的に密接に関連するとはいえないから、この補正は課題を変更するものである。

限定的減縮の判断に関する事例21

類型:産業上の利用分野の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

クラッチ

特許請求の範囲
【請求項1】

回転軸と………………………………を特徴とするクラッチ

図面
jirei21_1
補正後の明細書等
【発明の名称】

自動変速機用クラッチ

特許請求の範囲
【請求項1】

回転軸と………………………………を特徴とする自動変速機用クラッチ

図面

………………………………

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

自動変速機は、クラッチが組み込まれる最も代表的なものの一つであるから、クラッチと自動変速機用クラッチとは技術的に密接に関連する発明の技術分野である。

また、この補正は、補正前の課題解決手段の全部である「回転軸と………を特徴とするクラッチ」を概念的に下位にしたものであるから、補正前の発明の発明特定事項を限定したものであり、さらに、補正前後で発明の解決しようとしている課題も同一である。

限定的減縮の判断に関する事例22

類型:産業上の利用分野の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

電気弦楽器用

特許請求の範囲
【請求項1】

鋳鉄からなる鋼線の上に青銅からなるメッキ層及びその上にニッケルからなるメッキ層からなる耐食性合金の皮膜を有する電気弦楽器用弦。

発明の詳細な説明の抜粋

……本発明の電気弦楽器用弦は、強い耐腐食性を持っているので、電気ギター、電気バイオリン等、手の汗等による腐食が問題となる電気弦楽器用弦として好適である。また、電気ピアノ用弦としても室内環境による腐食が少なく、やはり好適である。

補正後の明細書等
【発明の名称】

電気ギター用

特許請求の範囲
【請求項1】

…………………………電気ギター用弦

発明の詳細な説明の抜粋

……本発明の電気ギター用弦は、強い耐腐食性を持っているので、手の汗等による腐食が問題となる電気ギター用弦として好適である。

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

補正により、本願発明の技術分野が電気弦楽器用弦から電気ギター用弦となった。しかし、電気弦楽器の下位概念である各種楽器のうち、最も代表的なものの1つが電気ギターであるから、補正前の発明の技術分野と補正後の発明の技術分野は技術的に密接に関連するものと認められる。したがって、この補正前後の発明の産業上の利用分野は同一と認められる。また、この補正は、補正前発明の課題解決手段の全部である「鋳鉄からなる……皮膜を有する電気弦楽器用弦」を概念的に下位のものとしたものであるから、補正前発明の発明特定事項を限定したものである。さらに、補正前後で、発明の解決しようとする課題は変更されていない。

限定的減縮の判断に関する事例23

類型:産業上の利用分野の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

平面表示パネル

特許請求の範囲
【請求項1】

制御用端子と…………………………………を有してなる平面表示パネル

発明の詳細な説明の抜粋

……………なお、上述した例は、プラズマ・ディスプレイ・パネルに本発明を適用した場合であるが、他の各種平面表示パネルに本発明を適用しても同様の効果を奏しめることは明らかである。

補正後の明細書等
【発明の名称】

プラズマ・ディスプレイ・パネル

特許請求の範囲
【請求項1】

制御用端子と…………………………………を有してなるプラズマ・ディスプレイ・パネル

発明の詳細な説明の抜粋

………………上述したように、本発明は、プラズマ・ディスプレイ・パネルに適用すると優れた効果を奏する。

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

この補正により、「平面表示パネル」は「プラズマ・ディスプレイ・パネル」に補正された。

しかし、「プラズマ・ディスプレイ・パネル」は「平面表示パネル」の一つであるから、補正前の発明の技術分野と補正後の技術分野は技術的に密接に関連するものであると認められる。したがって、この補正の前後の発明の産業上の利用分野は同一であると認められる。

また、この補正は補正前発明の課題解決手段の全部である「制御用端子と………平面表示パネル」を概念的に下位にしたものであり、発明特定事項の限定である。さらに、発明の課題も補正前後で変更されていない。

限定的減縮の判断に関する事例24

類型:産業上の利用分野の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

化粧料

特許請求の範囲
【請求項1】

(a)多価アルコール

(b)尿素

(c)アニオン界面活性剤

(d)カチオン界面活性剤

の配合されている化粧料。

発明の詳細な説明の抜粋

……化粧料としては、例えば、乳液、クリーム、化粧水、整髪料、クレンジングクリーム、シャンプー、リンス等が含まれる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

化粧水

特許請求の範囲
【請求項1】

(a)多価アルコール

(b)尿素

(c)アニオン界面活性剤

(d)カチオン界面活性剤

の配合されている化粧水

発明の詳細な説明の抜粋

…………………………。

[結論]

限定的減縮に該当する。

[説明]

補正により、本願発明の技術分野が化粧料から化粧水となった。しかし、化粧料の下位概念である各種化粧料のうち、最も代表的なものの1つが化粧水であるから、補正前の発明の技術分野と補正後の発明の技術分野は技術的に密接に関連するものと認められる。したがって、この補正前後の発明の産業上の利用分野は同一と認められる。また、この補正は、補正前発明の発明特定事項の全部である「(a)多価アルコール………の配合されている化粧料」を概念的に下位にしたものであるから、補正前発明の発明特定事項を限定したものである。さらに、補正前後で、発明の解決しようとする課題は同一である。

限定的減縮の判断に関する事例25

類型:産業上の利用分野の同一性

補正前の明細書等
【発明の名称】

界面活性剤A

特許請求の範囲
【請求項1】

物質Aからなる界面活性剤

発明の詳細な説明の抜粋

この界面活性剤は洗剤、乳化剤、分散剤等、その界面活性作用を利用した通常の利用形態が考えられる。…………さらに、この界面活性作用を殺虫剤としても利用することができる。

補正後の明細書等
【発明の名称】

殺虫剤用界面活性剤A

特許請求の範囲
【請求項1】

物質Aからなる殺虫剤用界面活性剤

発明の詳細な説明の抜粋

………………………………………

[結論]

限定的減縮に該当しない。

[説明]

殺虫剤用界面活性剤は界面活性剤の特殊な用途であり、界面活性剤の代表的な用途ではない。また、「界面活性剤」の技術分野と「殺虫剤」の技術分野は、特に関連性を有しないので、「界面活性剤」の技術分野と「殺虫剤用界面活性剤」の技術分野は、技術的に密接に関連しているとはいえない。したがって、補正前後の発明の産業上の利用分野は同一ではない。

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