特開2016-218069(P2016-218069A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2016-218069地震発生予測装置、地震発生予測方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-218069(P2016-218069A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】地震発生予測装置、地震発生予測方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/00 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
   G01V1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-102597(P2016-102597)
(22)【出願日】2016年5月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-105039(P2015-105039)
(32)【優先日】2015年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
【住所又は居所】北海道札幌市北区北8条西5丁目
(71)【出願人】
【識別番号】515140358
【氏名又は名称】みらい地震予測株式会社
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区幸町2−593−4F
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(74)【代理人】
【識別番号】100113930
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 正洋
(72)【発明者】
【氏名】日置 幸介
【住所又は居所】北海道札幌市北区北8条西5丁目 国立大学法人北海道大学内
(72)【発明者】
【氏名】犬伏 裕之
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区幸町2−593−4F みらい地震予測株式会社内
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA03
2G105BB11
2G105EE02
2G105GG01
2G105GG02
2G105GG04
2G105MM03
(57)【要約】
【課題】 マグニチュード7クラス後半以上の地震の発生を予測し、アラートを出力する。
【解決手段】 任意の衛星から二種類以上の周波数の電波(L1,L2)を受信する一つ以上の受信局(3)と、その受信局(3)が受信した電波の周波数の違いに基づいて、当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、衛星ごとに算出するSTEC算出手段と、そのSTEC算出手段が算出したSTECが経時的に正への異常変化が生じたか否かを判断する異常判断手段と、その異常判断手段による判断結果に応じて地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手段と、を備える地震発生予測装置である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の衛星から二種類以上の周波数の電波を受信する一つ以上の受信局と、
その受信局が受信した電波の位相差に基づいて、当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、衛星ごとに算出するSTEC算出手段と、
そのSTEC算出手段が算出したSTECの変化率をもとに異常の有無を判断する異常判断手段と、その異常判断手段による判断結果に応じて地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手段と、
を備えたことを特徴とする地震発生予測装置。
【請求項2】
周波数が異なる二種類以上の電波を任意の衛星から受信する一つ以上の受信局が受信した電波に対して、位相差に基づいて当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、測位衛星ごとに算出するSTEC算出手段と、
そのSTEC算出手段が算出したSTECの変化率をもとに異常の有無を判断する異常判断手段と、
その異常判断手段による判断結果に応じて地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手段と、
を備えたことを特徴とする地震発生予測装置。
【請求項3】
前記の異常判断手段は、STECの経時的な変化を直線および二次以上の多項式にて近似し、前記の直線と前記の多項式との乖離の程度に基づいて、異常か否かを判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地震発生予測装置。
【請求項4】
前記の異常判断手段は、予め定められた少なくとも二つの受信局から算出されたSTECに対して、STECの変化率をもとに異常変化が生じているものを抽出して判断することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の地震発生予測装置。
【請求項5】
所定の距離が離れた二つの受信局によるペアを複数ペアとし、
前記の異常判断手段は、前記の複数ペアのうち少なくとも一ペアによる受信局から算出されたSTECに対して、STECの変化率に応じて判断することを特徴とする請求項4に記載の地震発生予測装置。
【請求項6】
前記のアラート出力手段がアラートを出力してから、所定時間を超えて地震が発生しなかった場合には、前記のアラートをキャンセルする旨のアラートキャンセルを外部機器へ出力するキャンセル出力手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の地震発生予測装置。
【請求項7】
前記の異常判断手段は、アラートを出力した場合であってもSTECの変化率に応じて判断を継続し、
STECの変化率をもとに異常判断を行いその変化が自然変動によると判断した場合には、前記のキャンセル手段へアラートをキャンセルする旨を出力することを特徴とする請求項6に記載の地震発生予測装置。
【請求項8】
前記の衛星は、測位衛星であり、
前記の異常判断手段には、前記のSTEC算出手段が算出したSTECを前記の受信局に鉛直な方向成分における全電子数であるVTECへ変換するSV変換手段を備えるとともに、前記異常判定手段は、前記STECに代えて、当該VTECの変化率をもとに異常の有無を判断することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の地震発生予測装置。
【請求項9】
任意の衛星から二種類以上の周波数の電波を受信する一つ以上の受信局が受信した電波に対して、その位相差に基づいて、当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、衛星ごとに算出するSTEC算出手順と、
そのSTEC算出手順にて算出したSTECの変化率に応じて判断する異常判断手順と、
その異常判断手順による判断結果に応じて地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手順と、
を実現する地震発生予測方法。
【請求項10】
地震発生予測装置にインストールされるコンピュータプログラムであって、
任意の衛星から二種類以上の周波数の電波を受信する一つ以上の受信局が受信した電波に対して、その位相差に基づいて、当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、衛星ごとに算出するSTEC算出手順と、
そのSTEC算出手順にて算出したSTECの変化率に応じて判断する異常判断手順と、
その異常判断手順による判断結果に応じて地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手順と、
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項11】
データ記録手段および内部時計を備えた情報端末に対して実行され、地震発生予告が可能な地域に関する地図および地震発生の予想時刻までの残り時間であるタイマーとともに地震の発生アラートを告知するコンピュータプログラムであって、
前記のタイマー表示のためのアプリケーションを前記のデータ記録手段へ予め蓄積するデータ記憶手順と、
発生予想時刻データおよび予想震源地を含むアラートデータを地震発生予測装置の出力手段から受信するアラート受信手順と、
受信した発生予想時刻データおよび前記の内部時計を用いて地震発生の予想時刻までのカウントダウンデータを演算するタイマー演算手順と、
そのタイマー演算手順にて演算したカウントダウンデータ、アラート受信手段にて受信した予想震源地、および地図データを用いて、予想震源地および発生までの残り時間を地図データへ反映させたアラート表示を作成するアラート作成手順と、
そのアラート作成手順が作成したアラート表示を前記の情報端末の出力手段へ出力させるアラート出力手順と、
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグニチュード7クラス後半以上の地震の発生に先行して現れる「電離圏全電子数変化」を測位衛星等の電波によって観測することで地震発生を予測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震の直前予知の手法は、理論や室内実験に基づく測地学的な手法(地震前地殻変動の検出)等が模索されていたが、実際の地震の前にそれらが検出されたことはない。
測地学的手法以外では電波の異常伝搬や地電流の観測に基づく地震の直前予知の可能性が研究対象となっている。ただし観測量と地震の発生時刻やマグニチュードを明確に示すアルゴリズムが論文等で明解に示された事例は極めて少なかった。また論文に示されていたとしてもその論文記載された方法が「実用レベル」に達しているとは言い難かった。
【0003】
一方、GPSを代表格とする測位衛星(GNSS)による測地が近年多用されている。測位衛星から衛星受信機(以下、「受信局」や「局」と略記する)に電波を受信する際に電離圏遅延と称する遅延が発生する。この電離圏遅延とは高度100km以上の上空に存在する電子が電波の進行を遅らせるために生じるものである。この遅延量は補正しないと10から15m程度の測位誤差を生じさせる可能性がある。このような誤差を補正するために周波数が相違する2つの電波を送信しており衛星受信機側で2つの電波の遅延差を計測することにより測位誤差を補正している。
周波数が相違する電波としては、L1(1575.42MHz)、L2(1227.60MHz)、L5(1176.45MHz)等が現在あり、これらのうちの2つ(一般にはL1およびL2)を用いている。
【0004】
全電子数TEC(Total Electron Content)は電離圏に存在する電子密度を電波伝搬経路に沿って積分した値でTEC(テック)と呼ばれている。TECは、測位衛星からL1とL2とが同時に発信された場合に、受信局への到達の遅延時間によって求めることができる。周波数が高いL1の電波は、周波数の低いL2の電波よりも電子の存在によって邪魔されにくいため、早く到達できるのである。なお、L1とL5の組み合わせによっても求めることはできる。
TECの単位は、TEC Unit(TECU)=1*(10の16乗)electron/平方m という形となる。電離圏に存在する電子の数が多いとその電子数に比例してTECが増加する。また電離圏における電子数は太陽の紫外線等の影響を受ける。このため日照を受ける日中は電子数が増え、夜間は減る傾向にある。また太陽の活動(太陽光と、太陽風すなわち電気を帯びた粒子(プラズマ)が放出されたもの)の影響を受ける。特に太陽風は全地球的に影響を及ぼすため、TECの変化も全地球的に変化する傾向がある。加えて大規模伝搬性電離圏擾乱 (LSTID)による北極(オーロラ帯)から南方向へ伝搬してゆく局所的な変化も存在する。この大規模伝搬性電離圏擾乱(LSTID)は磁気嵐時にオーロラ帯で大気が加熱され、大規模な波動となって赤道方向に伝搬する現象である。
【0005】
さて、地震電磁気学を研究している千葉大学の服部克巳教授らは、2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の1日前と3〜4日前にGPSで計測できる「TECの日変化」において異常を示していたことを報告している。
【0006】
一方、北海道大学の日置幸介教授は、非特許文献1において以下を報告している。
(1)2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の約40分前に震源上空に最大5TECUの「TEC増加」があった。
(2)この現象は2004年スマトラ・アンダマン地震、2010年チリ地震、1994年北海道東方沖地震においても確認された。
(3)「TEC増加」のタイミングが最も早期だったのは2004年スマトラ・アンダマン地震であった。その時期は「地震に対して約2時間弱のタイミング」であった。
【0007】
千葉大学 服部克巳教授らの研究も、北海道大学 日置幸介教授の研究も同じ「TEC」という物理量を扱っているが、変化の捉え方が「1日単位」と「分単位」と捉える時間軸が大きく相違している。このためこの両者は同じ手法というよりは全く別の手法と考えるべきである。このようなことは地震電磁気学の世界でもある。例えば、同じVLF帯の電磁波を扱っていても日本国内に複数の研究者が同時並行して研究しており予測の結果もさまざまであり、個々別々な手法として学会内でも認識されている。
【0008】
地震発生の約40分前のタイミングでTECの増加が発生することを世界で最初に発見し、論文発表したのは、前述の日置幸介教授である。特許文献1は、日置幸介教授が発表した非特許文献1の「TECの増加」に着目して出願されたと推定される。
この特許文献1では、予測モデルとTEC実測値(STEC;傾斜TEC)を比較して地震警告を発するとしている。そして、平常時の電離圏から取得されたTEC測定値に基づいて予測モデルを作成すると記載されている。しかし、予測の根幹ともいえる前記の予測モデルの作成については「平穏時データから求める」程度の記述に終始し、具体的作成方法には言及していない。
なお、TECの詳細は以下の非特許文献3 による。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2013/152200号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Heki, K., Ionospheric electron enhancement preceding the 2011Tohoku-Oki earthquake, Geophys. Res. Lett. 38, L17312, doi:10.1029/2011GL047908, 2011.
【非特許文献2】Akaike, H. (1974), A new look at the statistical model identification, IEEE Trans Auto Control, 19, 438 716-723, doi:10.1109/TAC.1974.1100705
【非特許文献3】測地学会誌 第 56 巻第 4 号, pp125-134, 2010 解説・入門講座,GPS-TEC 法による地球物理学,日置幸介,菅原守,大関優,岡崎郁也
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した電離圏における全電子数の地震直前の上昇をもとにして、地震発生を予測可能とすることが基本的な課題である。またこの課題の背景にはそもそも現状では地震予知/予測の実用化ができていないことがある。
【0012】
一般論であるが「地震予知/予測」が実用化されるためには大きく2つの点がポイントであると考えられる。
【0013】
第1のポイントは「予知/予測の精度が高いこと」、またはめったに起きない地震を対象とするのであれば「過去シミュレーションを実施して予知/予測の精度が高いことを示す」である。ここで、過去シミュレーションとは「過去の観測データに対して予測のアルゴリズムを適用して、どの程度の精度がでるかその性能を調べること」である。滅多に起きない巨大地震の予知/予測の場合には、むしろ次の巨大地震こそ予測/予知ができるべきであり、そうした場合にはこの過去シミュレーションでその精度を予め調べておくことが有効になる。
【0014】
第2のポイントは地震予知/予測の情報が、この情報を必要とする個人/法人のニーズに整合する運用ができることである。
【0015】
このため、少なくともマグニチュードが小さく実害の無いレベルの地震予知/予測は、むしろ不要でありニーズに整合しない。何故なら実害が無い地震の予測をしても個人や法人には全く影響がないと言えるからである。
逆に、マグニチュードが大きく被害が甚大な地震についてはほぼ確実に予知/予測できることが望まれる。しかしながらこの「被害甚大な地震の予測」の実現は現状では少なくとも「確実には出来ていない」と考えられる。
【0016】
更に、個人/法人のニーズに整合するためには情報を提供している側が「予測が誤りである」と認識した際にはただちにその点を通知する必要性がある。気象庁が提供する緊急地震速報の場合には「キャンセル報」と称して発表した緊急地震速報が誤りであった場合にはその旨を即時通知している。現在運用されている地震予知/予測情報を提供している法人にはまだこの考え方は浸透していないようである。これはもしかしたら情報提供の当事者として地震予知/予測情報自体の精度が必ずしも高くないと認識していることと関係があるのかもしれない(確率論的な予知/予測であることから自信を持って「キャンセル報」を出しにくい等)。
なお、緊急地震速報はあくまでも「地震動に先回り」しているだけで断層の物理的破壊を伴う地震現象に先立って情報を発震しているわけではない。念のためこの点を申し添えておく。
【0017】
近年、事業継続計画(BCP)や事業継続マネジメント(BCM)が普及してきており、本来ならばこれらを運用している企業であれば、地震予知/予測情報を積極的に導入していく可能性もあるかと思われるが法人のニーズに整合する運用としてキャンセル報は「必須情報」であると思われる。
【0018】
更に地震予知/予測の実用化を考えると地震予知の3要素に関連付けることができる。地震予知の3要素とは「どこで(場所)」、「どの程度の規模(マグニチュード)」、「いつ(タイミング)」と言われている。このうちどれか一つでも欠けると実用レベルでの有用性が極端に落ちた情報となる。
【0019】
実用化レベルに達しているような「どこで(場所)」についてはやはり地図上にできるだけ視覚的にわかりやすく伝えることが望ましいだろう。「どの程度の規模(マグニチュード)については「できるだけ正確に」というニーズがある。さらに「いつ(タイミング)であるが、数日以内とか数週間以内という言い方よりは○日から○日までといった形が望ましいと思われる。こうしたタイムゾーンを設けて予測情報を提供している先進的な法人も既にあるが、世間一般には浸透しているとは言いがたい。
【0020】
一方、予測技術面からの課題についても以下述べる。
測位衛星は、約2万kmの高度を周回している。測位衛星の中には、静止軌道にある衛星も存在する。日本が計画している準天頂衛星4機のうち1機は、この静止衛星軌道にある測位衛星となる。また国際的には、いくつかの国が測位衛星を静止衛星軌道に打ち上げてきている。これらの衛星のことを特に「測位静止衛星」と呼ぶこととする。こちらの高度は、約3万6000kmである。
静止軌道にはない測位衛星であっても、測位静止衛星であっても真空状態の上空を周回しているが、高度約100kmから約500kmの範囲には電子が存在する電離圏が地球を取り囲んでいる。地上にある受信局から見ると、衛星電波は電離圏を必ず通過してくることになる。
測位衛星が受信局の真上にあることは極めて稀であり、通常は角度がついている。したがって、受信局に対して鉛直に位置していない測位衛星が発する電波は、測位衛星の高度よりも長い距離を経て受信局へ到達する。その場合、電離圏を通過する距離も、電離圏の鉛直方向の距離よりも長くなり、結果的として「TEC値」も大きくなる。
測位衛星が受信局の真上にある時、測位衛星から発信された電波は電離圏を最も短く横切ることとなる。
ある測位衛星が水平線より上となり認識できた後に、天頂に近いところを通過し、やがて水平線の下へ移動する、という一般的な場面を想定すると、時間軸を横軸とし、測位衛星から発信された二種類の電波の速度差から算出した「TEC値」を縦軸とすれば、「TEC値」は、U字状のカーブを描くことになる。
高度約2万kmの測位衛星の場合は、地震前の「TEC増加」を捉えることは技術的に厳しいと考えられる。なぜならば、「地震発生の40分程度前に起きるTEC異常」なのか、U字状をなす見かけの変化の影響で「TEC異常のように見えているだけか」を識別しにくいためである。
【0021】
本願の発明者は、上述のかかる事情に鑑みて、本発明を提供する。本発明の目的は、一定の規模以上の地震発生を精度良く検出・予測をし、外部に通知する地震発生予測の技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の課題を解決するため、本発明者は大きく二つの考えを導入する。
一つ目の考えは、時間経過に伴う「TEC値」の増加について、グラフ上に現れるU字状の変化の影響をリアルタイムで処理して減少させて「地震40分程度前に起きるTEC異常」を識別しやすくする方法である。
二つ目の考えは、衛星が静止衛星ではなく測位衛星である場合、その測位衛星と受信局とを結んだ方向にて算出するTECである「STEC」ではなく、TECにおける受信局から鉛直方向の成分である「VTEC」へリアルタイムに変換して予測する、という考え方である。
【0023】
本願発明は、主に第一から第五の発明からなる。
第一の発明および第二の発明は、地震発生予測装置に係る。第三の発明は、地震発生予測方法に係る。第四の発明は、地震発生予測プログラムに係る。第五の発明は、第一の発明に係る地震発生予測装置からのアラートを受信して出力させる地震アラートプログラムに係る。
【0024】
(第一の発明)
第一の発明は、任意の衛星から二種類以上の周波数の電波(L1,L2)を連続して受信する一つ以上の受信局(3)と、 その受信局(3)が受信した電波の周波数の違いに基づいて、当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、衛星ごとに連続して算出するSTEC算出手段と、 そのSTEC算出手段が算出したSTECの変化率をもとに検出した異常(特に「プラス側の変化率が予め定めた閾値を超えるような場合」を以下「正への異常」と称する)の有無を判断する異常判断手段と、その異常判断手段による判断結果が異常変化を生じたとした場合には地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手段と、を備えた地震発生予測装置に係る。
【0025】
(用語説明)
ここにいう「衛星」とは、測位衛星(図1,2等)、および静止衛星(図15,16)の両方を含む。なお、測位衛星には周回型の米国GPSに代表されるものと、静止衛星軌道(赤道上)に配置される測位衛星と、日本独自となるが準天頂衛星などがある。いずれに衛星でもあってもその特性に応じた方法にて「STEC(またはVTEC)の折れ曲がり(正への異常変化)」が検知できるようになっている。
「二種類以上の周波数の電波」とは、STECを算出するためのものである。すなわち、周波数が高い電波は低い電波に比べて、電離圏の通過が速い。そのため、二種類以上の周波数の電波は、受信局へ到達する時間に差が生じる。そのため、受信された電波の位相差分によってSTECを算出できるのである。具体的には、現在では、L1(1575.42MHz)、L2(1227.60MHz)、L5(1176.45MHz)のいずれか二つ、ということとなる(後述する実施形態においては、L1およびL2を採用して説明している)。
「正への異常変化」とは、STECの経時的な変化を「最小自乗法で求めた直線」および「二次以上の多項式にて近似した曲線」とを比較することで検出する。前記の直線と前記の曲線との乖離の程度に基づいて、異常か否かを判断する。
「アラート」とは、判断結果に応じた信号や情報、その他全ての態様の出力形態を含むものであり、「アラート出力手段」が出力する「外部」とは、本願に係る「地震発生予測装置」とは物理的に異なりまたは離れた機器を含むほか、「地震発生予測装置」の空間的な外側の意味も含む。
【0026】
(作用)
天空の衛星が地上へ向けて二種類以上の周波数の電波(L1,L2)を連続して発信している。その任意の衛星から、受信局(3)は、二種類以上の周波数の電波(L1,L2)を連続して受信する。
波長の長い電波は波長の短い電波に比べて電離圏の通過が速い。そのため、二種類以上の周波数の電波は、受信局へ到達する時間に差が生じる。そのため、STEC算出手段は、STECを算出できる。
STECの算出は、連続して実行し、以上判断手段が経時的に正への異常変化が生じたか否かを連続的に判断する。異常判断手段による判断結果が異常変化を生じたとした場合には、アラート出力手段が地震発生のアラートを外部へ出力する。
【0027】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明にて必須構成要件としていた受信局を具備しない地震発生予測装置に係る。
すなわち、周波数が異なる二種類以上の電波を任意の衛星から受信する一つ以上の受信局が連続して受信した電波に対して、位相差に基づいて当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、測位衛星ごとに連続して算出するSTEC算出手段と、 そのSTEC算出手段が算出したSTECが経時的に正への異常変化が生じたか否かを判断する異常判断手段と、 その異常判断手段による判断結果が異常変化を生じたとした場合には地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手段と、を備えた地震発生予測装置に係る。
【0028】
(第一および第二の発明のバリエーション1)
第一および第二の発明は、以下のようにすることができる。
すなわち、前記の異常判断手段は、STECの経時的な変化を判断する。たとえば、STECの経時的な変化について、直線および二次以上の多項式にて近似し、前記の直線と前記の多項式との乖離の程度に基づいて、異常か否かを判断するなどの方法があるが、これに限定されるものではない。
【0029】
(用語説明)
STECの経時的な変化は、代表的には、時間経過を横軸としたグラフ上にて所定以上の「折れ曲がり」の有無による(他の発明において「VTEC」の経時的な変化も同様)。
「折れ曲がりの検出」の手法については、実施形態にて詳述する。
【0030】
(第一および第二の発明のバリエーション2)
第一および第二の発明は、前記の衛星として、静止衛星を採用することができる。
ここで「静止衛星」とは、たとえば、自転する地上から見て静止している衛星であり、天頂付近で一定時間静止している衛星も含む。
【0031】
(第一および第二の発明のバリエーション3)
第一および第二の発明は、前述した「二つ目の技術的思想」に基づいて、以下のようにすることもできる。
すなわち、前記の衛星は、測位衛星とする。加えて、前記の異常判断手段には、前記のSTEC算出手段が算出したSTECを前記の受信局に鉛直な方向成分における全電子数であるVTECへ変換するSV変換手段を備える。そして、そのSV変換手段が変換したVTECが経時的に正への異常変化が生じたか否かを判断するのである。
【0032】
(第一および第二の発明のバリエーション4)
第一および第二の発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、前記の受信局が複数存在する場合において、 所定の距離が離れた二つの受信局を一ペアとする。そして、前記の異常判断手段は、前記の一ペアの受信局から算出されたSTECに対して、経時的に正への異常変化が生じているものを抽出して判断することとするのである。
なお、受信局が受信する電波が測位衛星からのものである場合には、STECをVTECへ変換してから経時的に正への異常変化が生じているものを抽出して判断することは、当然含まれる。
【0033】
(第一および第二の発明のバリエーション5)
前述のバリエーション4に係る発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、所定の距離が離れた二つの受信局によるペアを複数設ける。そして、前記の異常判断手段は、前記の複数ペアのうち少なくとも一ペアによる受信局から算出されたSTECに対して、経時的に正への異常変化が生じているものを抽出して判断することとするのである。
【0034】
(第一および第二の発明のバリエーション6)
第一および第二の発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、 前記のアラート出力手段がアラートを出力した場合であって、所定時間を超えて地震が発生しなかった場合には、前記のアラートをキャンセルする旨のアラートキャンセルを外部機器へ出力するキャンセル出力手段と、を備えることとしてもよい。
【0035】
(用語説明)
「キャンセル出力手段」は、物理的に「アラート出力手段」と同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0036】
(第一および第二の発明のバリエーション7)
前述のバリエーション6に係る発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、前記の異常判断手段は、アラートを出力した場合であってもSTECが経時的に正への異常変化が生じたか否かの判断を継続し、 STECが経時的に正への異常変化が自然変動によると判断した場合には、前記のキャンセル手段へアラートをキャンセルする旨を出力することとしてもよい。
【0037】
(第三の発明)
第三の発明は、第一および第二の発明のカテゴリを変更したものである。
すなわち、任意の衛星から二種類以上の周波数の電波を連続して受信する一つ以上の受信局が受信した電波に対して、その位相差に基づいて、当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、衛星ごとに連続して算出するSTEC算出手順と、 そのSTEC算出手順にて算出したSTECが経時的に正への異常変化が生じたか否かを判断する異常判断手順と、 その異常判断手順による判断結果が異常変化を生じたとした場合には地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手順と、を実現する地震発生予測方法に係る。
【0038】
(第四の発明)
第四の発明もまた、第一および第二の発明のカテゴリを変更したものであって、地震発生予測装置にインストールされるコンピュータプログラムに係る。
すなわち、任意の衛星から二種類以上の周波数の電波を連続して受信する一つ以上の受信局が受信した電波に対して、その位相差に基づいて、当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、衛星ごとに連続して算出するSTEC算出手順と、 そのSTEC算出手順にて算出したSTECが経時的に正への異常変化が生じたか否かを判断する異常判断手順と、 その異常判断手順による判断結果が異常変化を生じたとした場合には地震発生のアラートを外部へ出力するアラート出力手順と、をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムである。
【0039】
(第五の発明)
第五の発明は、第一および第二の発明におけるアラート出力手段が出力する外部機器としての情報端末へインストールされるコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、データ記録手段および内部時計を備えた情報端末に対して実行され、地震発生予告が可能な地域に関する地図および地震発生の予想時刻までの残り時間であるタイマーとともに地震の発生アラートを告知するコンピュータプログラムである。
そして、そのコンピュータプログラムは、 前記のタイマー表示のためのアプリケーションを前記のデータ記録手段へ予め蓄積するデータ記憶手順と、 発生予想時刻データおよび予想震源地を含むアラートデータを地震発生予測装置の出力手段から受信するアラート受信手順と、 受信した発生予想時刻データおよび前記の内部時計を用いて地震発生の予想時刻までのカウントダウンデータを演算するタイマー演算手順と、 そのタイマー演算手順にて演算したカウントダウンデータ、アラート受信手段にて受信した予想震源地、および地図データを用いて、予想震源地および発生までの残り時間を地図データへ反映させたアラート表示を作成するアラート作成手順と、 そのアラート作成手順が作成したアラート表示を前記の情報端末の出力手段へ出力させるアラート出力手順と、をコンピュータ(情報端末)に実行させることとした地震アラートプログラムである。
【0040】
(用語説明」
上記の「情報端末」とは、たとえばパーソナルコンピュータ、タブレット式端末やスマートフォンに代表される携帯電話などの携帯情報端末である。
【0041】
(第五の発明のバリエーション)
第五の発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、アラートキャンセルデータを受信するキャンセル受信手順と、 そのキャンセル受信手順が受信したアラートキャンセルデータを前記の情報端末の出力手段へ出力させるキャンセル出力手順と、を備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0042】
本願発明によれば、一定の規模以上の地震発生を精度良く検出・予測をし、外部に通知することができる。
特に、第一の発明および第二の発明によれば、単一の受信局や複数の受信局で、TECの折れ曲がりを検出して最終的にアラート通知することができる。また、地震と関係ない自然変動か否かの判断を付与することで自然変動と認識できた場合には、アラートをキャンセルすることもできる。
第三の発明によれば、第一の発明または第二の発明にてSTECを導入することができれば、第一の発明や第二の発明と同様に折れ曲がりの処理を行うことによってアラートを通知することができる。
第四の発明によれば、大小さまざまなコンピュータにおいて、プログラムを動作させてアラート通知することができる。
第五の発明によれば、小型のデバイス、特にスマートフォンを意識した構成であり、予測内容をスマートフォンに表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】第一の実施形態に係る地震発生予測装置の構成および処理の流れを示すブロック図である。
図2】測位衛星、受信局、電離圏の位置関係を示す概念図である。
図3】測位衛星が受信局の真上にない場合における測位衛星、受信局、電離圏の位置関係を示す概念図である。
図4】一つの受信局が複数の測位衛星から、それぞれ電波を受信する様子を示す概念図である。
図5】測位衛星1,2から算出されるVTECの値を、時間軸を横軸として示したグラフである。
図6】2011年に発生した東日本大震災の際、計測されたVTEC折れ曲がりを示すグラフである。
図7】VTECの経時的変化とAICで演算した結果を示すグラフである。
図8】ひとつの測位衛星からの電波を複数の受信局が受信する様子を概念的に示す概念図である。
図9】複数の受信局のうち、所定の距離が離れた二つの受信局をペアとして衛星からの電波を受信して処理する様子を示す概念図である。
図10図9に示したペアによるアラート出力までのフローチャートである。
図11】アラート出力の後にアラートキャンセルまでを含んだフローチャートである。
図12】地震発生予測装置から出力されるアラートを、ユーザ端末が受信する等の仕組みを示す概念図である。
図13】ユーザ端末へ出力されるアラートのイメージ例を示す概念図である。
図14】ユーザ端末へ出力されるアラートにおけるタイマー表示の例を、経時的に示した図である。
図15】アラートのキャンセルについて示すフローチャートである。
図16】二種類の静止衛星、電離圏、および受信局の関係を示す概念図である。
図17】静止衛星からの電波を用いた第二の実施形態に係る地震発生予測装置の構成および処理の流れを示すブロック図である。
図18】モーメントマグニチュードMw計算方法を示す図である。
図19】解析ケース1、2における地震発生までの時間の考え方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、第一の実施形態に係る地震発生予測装置の構成および処理の流れを示した説明図である。この実施形態は、第二の発明に係る地震発生予測装置を具現化したものといえる。
任意の測位衛星i,jからそれぞれ二種類の周波数L1,L2の電波を、受信局3が連続して受信する。
その受信局3が受信した電波を震発生予測装置10のデータ入力部へ送信する(S1)。電波の周波数の違いに基づいて、当該電波が通った経路の全電子数であるSTECを、STEC入力部が算出する(S2)。そのSTECからバイアス除去部がバイアスを除去し(S3)、前記の受信局3に鉛直な方向成分における全電子数であるVTECへ、SV変換手段が変換する(S4)。
【0045】
そのVTECを経時的に算出して記録し、正への異常変化が生じたか(「VTEC折れ曲がり」を検出したか)否か、異常判断手段が判断する(S5)。
「VTEC折れ曲がり」を検出した場合には、検出した旨をアラート出力部へ出力する(S6)。アラート出力部は、受信局を中心にM8以上の地震が発生する、とのアラートを外部へ出力する(S7)。
地震発生予測装置10は、記憶装置や演算処理装置を有する汎用コンピュータを用いることができる。各部ないし各手段は、演算処理装置の機能としてプログラムによって実現することができる。また、この地震発生予測装置10をサーバとして機能させ、クライアントサーバモデルやクラウドコンピューティング形態などにより、ユーザの携帯端末(スマートフォンなど)と通信ネットワークを介して接続してサービスを提供することができる。
【0046】
図2は、測位衛星、受信局、電離圏の位置関係を示している。
地上にある受信局から電離圏までの高度H1は、100〜500kmである。
また、受信局と測位衛星までの高度H2は、約2万kmである。静止衛星の場合には、約3.6万kmとなる。
【0047】
図3は、測位衛星が受信局の真上にない場合における測位衛星、受信局、電離圏の位置関係を示している。更に、STECとVTECとの関係や、巨大地震が発生する直前に発生する「異常が発生した電離圏」との関係も示す。
受信局を中心として、測位衛星へのベクトルと水平線とがなす角度をθ1とすると、
VTEC=STEC・sin(θ1)
という関係となる。図1に示した「SV変換手段」は、上記の式を使ってSTECをVTECへ変換している。観測上はSTEC(ななめ方向のTEC)しか計測できないが受信局で得られる仰角θ1を用いてVTEC(鉛直方向のTEC)に三角関数を用いて変換しているわけである。
【0048】
なお、移動しながら測位衛星からは連続的に電波が送信されてくるので、受信局では継続して電波を受信する。そして、地震発生予測装置10によって、STECを算出、VTECへの変換を継続的に実行する。
【0049】
図4は、一つの受信局が複数の測位衛星(図中では測位衛星1,2)から、それぞれL11,L21,L12,L22を受信する様子を概念的に示している。
測位衛星ごとに、受信局となす角度が異なるので(θ1,θ2)、STEC1,STEC2から算出されるVTEC1,VTEC2も異なる。 異なる角度によるVTECを継続的に算出することで、異常が発生した電離圏の高度の同定の確からしさを向上させることとなる。
参考までに米国GPSの場合は、1つの受信機から7個程度のGPS衛星を同時に捉えることができる。実際には他国の衛星も受信機で捉えられるので、同時に捉えることができる個数はさらに増えることとなる。
【0050】
図5は、図4に示した位置関係の測位衛星1,2から算出されるVTECの値を、時間軸を横軸として示したグラフである。(a)が平常時、(b)が電離圏に異常が見られた場合の典型例を示している。
【0051】
(a)に示すように、測位衛星1,2とも、時間経過とともにVTECが減少している。これは、測位衛星1,2とも、受信局から見た仰角が大きくなる方向へ移動しているからである。また、測位衛星1のほうが測位衛星2よりも大きな値となっているのは、電離圏と成す角度が浅い(θ1<θ2)からである。
【0052】
M8以上の巨大地震が発生する直前には、その震源地の真上付近で、電離圏が他の部位よりも大きくなる。この現象を図4に示す受信局および測位衛星1,2が捉えた場合、VTECの経時減少が増加に転じることが図5のグラフ上に現れる。
その増加に転じた部位を「VTEC折れ曲がり(正の異常)」とする。
【0053】
図6は、2011年に発生した東日本大震災の際、計測されたVTEC折れ曲がりを示すグラフである。国分寺イオノゾンデの波形、および柿岡における地磁気の偏角の波形をも、同じグラフへ示している。
【0054】
まず図6の一番上のグラフは鹿嶋(茨城)でみたGPS衛星15番の鉛直TEC(VTEC)である。地震に先行して40分前から波形が上向きになっている。このように増加に転じた部位を「VTEC折れ曲がり(正の異常)」と表現している。
次に、図6の上から二番目のグラフは、国分寺イオノゾンデの波形である。これは国分寺上空のスポラディックE層臨界周波数(foEs)である。スポラディックE層は、春から夏ごろにかけて、主に昼間に上空約100km付近に局地的に突発的に発生する特殊な電離圏(電離層)である。このスポラディックE層の強さをfoEsで把握することができる。
VTECの折れ曲がりが発生したタイミングとほぼ同じタイミングでfoEs が0MHzから3MHzへ上昇し70分程度でまた0MHzに戻っている。なお、参考までにこの現象は上空100km付近の観測であるがスポラディックE層の典型的事象ではない。
【0055】
図6の一番下のグラフは柿岡における地磁気の波形は「鹿屋基準MP磁気偏角」を示している。こちらの指標もVTECの折れ曲がりが発生したタイミングとほぼ同じタイミングで角度が変化し、60分程度でまた元の角度に戻っている。
【0056】
「VTECの折れ曲がり」は地震後の変動から誤認される「目の錯覚のような現象」というような論文での批判もあったが、もはやVTECだけでなくfoEsや磁気偏角でも地震の40分程度前から変化が生じているため、目の錯覚のような現象という批判は適切ではない。明らかに地震に先行した電磁気的な変化が起きている。
【0057】
STEC(第三の発明では「VTEC」)の経時的な変化は、グラフ上にて所定以上の「折れ曲がり」の有無による。
ここで「折れ曲がり検出」の実施形態は、多種におよぶ。VTECの時系列波形を一方では「直線で近似」し、同波形を他方では「2次以上の多項式で近似」し、この双方の乖離を監視するような方法が可能である。また多項式の代わりにスプライン関数を適用する方法も可能である。あるいは多項式の代わりにフーリエ級数を用いても良い。
ここでは実施形態のひとつとして「VTECの変化率の増加を、赤池情報量基準(AIC)を用いて統計的に判定する手法を提案する。
【0058】
まず、AIC(Akaike's Information Criterion)という評価関数を導入する。
AIC = n ln(σ2) + 2k
ここで、
n:指定した時間幅での対象とするデータ個数、
σ:残差の標準偏差
k:パラメータの数
単純な直線ではk=2、対象データの中央で折れ曲がる直線の場合はk=3となる。
折れ曲がりを入れた場合はσが小さくなるが、その度合がkが1増えた分を打ち消して余りある場合は、折れ曲がりを入れることによってAICが小さくなる。すなわちモデルがより適切となったことを示す。
なお、AICの詳細は冒頭の 非特許文献2 による。
【0059】
図7は、VTECの経時的変化とAICで演算した結果をグラフに示したものである。このグラフでは、以下の2つの地震に対してVTECが経時的に正への異常変化していることを示している。経時的に正とは、そのまま外挿する値に対して正の側へ変位することである。
(1)2011年東北沖地震(a-1)
(2)2010年チリ・マウレ沖地震(b-1)
前記の、AICで時間窓を設定して値を出した図も示している。
「break」と矢印を付しているところがAICの減少量のピークとも合致している。
この図には引用していないが2004年 スマトラ・アンダマン地震についても同様の結果が得られている。ここで時間窓は図示しているが前記(1)については±30分のものと、±40分のものを使用している。前記(2)については±15分のものと、±20分のものを使用している。
なお −ΔAIC において「−」マイナスを付与しているがこれは折れ曲がりが検出されたときにプラスになるように表現するためである。
【0060】
図8は、ひとつの測位衛星からの電波を複数の受信局が受信する様子を概念的に示したものである。
測位衛星、それぞれの受信局、それぞれの受信局が衛星を見上げた際の見通しのベクトルは、図8に示すような関係となる。特に、前記ベクトルは「視線ベクトル」と言われる。また、電子密度が最も高いとされる高度300kmのところを視線ベクトルが貫く様子が図8では示しており、その位置を地上に投影した点をプロットしている。
【0061】
図9は、複数の受信局のうち、所定の距離が離れた二つの受信局をペアとして衛星からの電波を受信して処理する様子を概念的に示している。電離圏に異常が発生した場合の異常発見の確からしさを向上させるとともに、震源地の特定精度を向上させる。
【0062】
図9では、北海道地方において1および2の受信局、東北地方で3,4の受信局、関東地方で5,6の受信局、東海地方で7,8の受信局を、それぞれペアとしている。この場合の設置についてはペアとなる受信局間の距離は100〜200km程度としている。また、ペアとペアの間は受信局間の距離の1.5倍程度以上の距離をとるようにしている。
図9右下に示すフローチャートでは、北海道地方の受信局から東海地方の受信局までの8つの受信局からデータを入力する段階を経るが、その後のデータ処理段階、アラート出力段階、アラート通知は一つの流れで処理することを示している。
【0063】
図10は、図9に示したペアによるアラート出力までのフローチャートである。
ステップS31にて周期的にスタートしたら、8台の受信局を基にVTECへ変換する(S32)。すなわち、SV変換手段は、登録されている全てのペア局グループについて各受信局(図8の例では8台)からの入力データをもとにVTECを演算する。
【0064】
ペアになっている受信局の「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出されなければ、VTEC折れ曲がりの検出を継続するが、「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出された場合は、次のステップへ移行するが、そうでなければ、ステップS33の処理を繰り返す(S33)。
次のステップでは、別のペアとした受信局でも「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出されるか否かを判断する(S34)。
別のペアとした受信局でも「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出された場合には、地震以外の原因による自然変動(主に太陽風の影響)であると判断し、S33の判断へ戻り、VTEC折れ曲がりの検出を継続する。
【0065】
一方、別のペアとした受信局でも「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出さなかった場合、すなわちステップS34で「NO」の場合には、アラート出力部を作動させる。(S36)
具体的には「VTEC折れ曲がりを検出したペアにおける地方においてM8以上の地震が発生する」とアラート通知を発信する(S37)。
【0066】
図11は、アラート出力の後にアラートキャンセルまでを含んだフローチャートである。
ステップS41にてスタートしたら、8台の受信局を基にVTECへ変換する。すなわち、SV変換手段は、登録されている全てのペア局グループについて各受信局(図11の例では8台)からの入力データをもとにVTECを演算する(S41)。
【0067】
ペアになっている受信局の「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出されたら、次のステップ(S44)へ移行するが、そうでない場合はVTEC折れ曲がりの検出を継続する(S43)。
次のステップでは、図10の場合と異なり、アラートを出力する(S44,S48,S49)。このS48,49にてアラートを出力しても、VTECを時間経過とともにプロットし、「VTEC折れ曲がり」が発生しないかどうかのチェックを継続する(S45)。その上で、次のステップ(S46)へ進む。
【0068】
次のステップにおいて、別のペアとした受信局でも「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出されるか否かを判断する(S46)。
別のペアとした受信局でも「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出された場合には、自然変動(主に太陽風の影響)であると判断し(S47)、S43の判断へ戻り、ペアになっている局の「VTEC折れ曲がり」が2局とも検出できるか否かの計測を継続する。
【0069】
自然変動(主に太陽風の影響)であると判断した場合、アラートキャンセル出力部を介して(S50)、「○○地方にM8以上の地震が発生する旨のアラートを発信しましたが、そのアラートはキャンセルします」と出力する(S51)。
【0070】
図11に示したアルゴリズムの場合、アラートを出力するまでのステップが短いので、実際に地震が発生するまでの時間を、図10に示したアルゴリズムよりも短くできる可能性がある。その一方で、地震以外の原因による自然変動であるとの判断のアラート後に実行するので、でアラートをキャンセルする可能性もある。
【0071】
図10図11のアルゴリズムのいずれを採用するか、二者択一とする必要はない。データ蓄積、社会状況、アラート出力を希望するユーザの要望などによって、使い分けたり組み合わせたりすることが可能である。例えば、大型船舶に適用しようとする場合、即時にアラートを出力させる方が望まれる。船舶が津波に対応するため、港から沖に出すまでの時間がかかるためである。即時、緊急出港した後に、地震以外の自然変動と認識したらそれはそれで良いと考えることが合理的かもしれない。
アラートは、例えばメール配信によって通知することができるが、この場合は、メールアドレスに関連付けて、図10に示す処理で通知するのか(処理モード1)、図11に示す処理で通知するのか(処理モード2)を登録しておき、アラート出力部は、ステップS36では、処理モード1のメールアドレスに対してのみアラート通知を行い、ステップS48では、処理モード2のメールアドレスに対してのみアラート通知を行うようにする。
また、アラートキャンセル出力部は、ステップS50の処理において、処理モード2のメールアドレスに対してのみキャンセル通知を行うようにする。
【0072】
図12は、地震発生予測装置10から出力されるアラートを、ユーザ端末30が受信する等の仕組みを示す概念図である。
第五の発明に係る地震アラートプログラムは、たとえば、スマートフォン用またはパソコン用のアプリケーションサーバに蓄積されており、ユーザは、地震アラートプログラムを自らに係るユーザ端末30へダウンロードして用いる。
【0073】
図12では、アプリケーションサーバ(アプリケーション蓄積手段11)が、地震発生予測装置の一部である場合として示している。換言すれば、地震発生予測装置10とアプリケーションサーバとは、物理的に別々なものとしてもよい。
【0074】
まず、地震アラートプログラム(地震アラートアプリケーション)を欲するユーザ端末30(たとえばスマートフォン)は、その地震アラートアプリケーションを蓄積しているサーバに係るアプリケーション蓄積手段11へアクセスし、アプリケーション受信手段31にて地震アラートアプリケーションをダウンロードする(1)。
【0075】
ユーザ端末30へダウンロードされた地震アラートアプリケーションは、地図データなど地震アラートに必要な地図データなどを地図データ等蓄積手段32(スマートフォン内のメモリ)へ格納する。ただし、地図データは別のアプリケーションと連動させるなどの方法により、地震アラートアプリケーションに含まれないこととしてもよい。図12では、地図データベース12に格納された地図データを、ユーザ端末30へダウンロードし、メモリへ格納しておいて用いることとして説明している。
【0076】
地震アラートアプリケーションには、後述するタイマー手段35を構成するためのタイマー手段構成アプリが含まれている。
地震発生予測装置10がM8以上の地震の予兆を検知した場合、M8以上の地震アラート出力手段13から地震アラートを出力する。すると、地震アラートアプリケーションをダウンロードしてあったユーザ端末30は、地震アラートを受信する(2)。
地震アラートとなるアラートデータには、発生が予測される地域名、発生までの最短時刻、最長時刻が含まれている。ここで最短時刻と最長時刻は、過去のM8以上の地震における経験値をもとに設定している。
【0077】
前述の地震アラートアプリケーションのダウンロードによって構成されたタイマー手段35は、アラートデータの受信時点を基準とし、スマートフォンの内部時計の時刻データを用いてアラートデータに含まれている発生までの最短時刻、最長時刻をカウントダウン表示できるようにカウントダウンデータを作成する。
スマートフォンの内部時計が標準時と異なっていても、地震発生までの最短時刻、最長時刻が正確にカウントダウンできるようにするためである。
【0078】
出力手段36は、地図データ、タイマー手段35によるカウントダウンデータを用いて、スマートフォンの液晶画面(表示手段)に、図13に示すような表示出力を行う。
地方ごとに三段階の棒グラフで、地震の大きさを図示する。
【0079】
図13に示された画面の一部には、図14(a),(b),(c)に示すような表示がなされる。タイマー手段35がカウントダウンを確実に実行する。
【0080】
図15は、スマートフォン上でのアラートのキャンセルについて示すフローチャートである。
ここでは、アラートの出力後をスタートとする(S91)。
自然変動によるアラートキャンセルの処理があり、且つ既にキャンセルを出力済みであるか否か、を検証する(S92)。キャンセルを出力済みであれば、このフロー自体の処理は終了する(S95)。
【0081】
キャンセルを出力済みではない場合、次のステップ(S93)へ進む。すなわち、「VTEC折れ曲がり」の検出から150分(仮設定)を経過したか否かを検証する(S93)。「仮設定」としているのは、この150分は、確定した数字ではない。データ蓄積の進展によって適宜改訂された値をユーザが入力インターフェイスを介して予めコンピュータに設定している。
仮設定された時間(150分)が経過していない場合には、判定するステップ(S93)の前に戻り、時限的ループに入る。
【0082】
仮設定された時間(150分)が経過したと判断された場合には、「M8以上の地震アラートはキャンセルします」という出力をし(S94)、このフロー自体の処理を終了とする(S95)。
なお、「VTEC折れ曲がり」が検出されたら、150分以内に地震が起きることが過去データから想定できる。それにも関わらず、150分経過したならば、予測値そのものが有効でなかったと判定してキャンセルする、という考えをこのフローで実現している。
【0083】
図16は、二種類の静止衛星、電離圏、および受信局の関係を示す概念図である。
静止衛星wは、厳密には天頂で静止まではしないが準天頂と呼ばれる日本の衛星(QZSS)を想定している。一方、静止衛星vは、赤道上の任意の経度上に静止する衛星である。
静止衛星wから発せられる周波数の異なる電波L1w、L2wによるSTEC2は、水平線と静止衛星wとがなす角度が90度であるので、STEC2=VTEC2となる。
【0084】
また静止衛星vは赤道上の高度3.6万kmに静止している。例えば東経140度の赤道上だと日本列島を良く見渡せる。STECをVTECに変換しなければならないのは米国GPS衛星のように地球を取り囲むように周回しているためである。周回に伴い仰角も著しく変化するので三角関数を用いて鉛直成分を抽出する必要がある。
静止衛星vの場合は、仰角一定である。また局から衛星までの距離も一定である。このためSTECの変化は、ほぼ電離圏における全電子数の変化を反映している。この特性を用いると、通常必要なSTEC→VTECへの変換をしなくても電離圏の変化を捉えることができる考えである。
準天頂衛星wが天頂に位置するのは、1日24時間のうち8時間程度となる。その8時間はほぼ天頂に位置している。更に、その8時間は仰角が大きくふれないので、STECの変化をそのままVTECの変化としても良いし、わずかにふれる仰角を積極的に補正しても良い。
【0085】
図17は、第二の実施形態を示すブロック図である。第一および第二の発明を実現する第二の実施形態としての地震発生予測装置を示す。
図1のブロック図との相違点は、STECの値をSTEC入力部(S2)に入力したら、VTEC変換手段を介さず、そのまま用いて「STEC上昇異常」を検出する(S5)、という処理を実行する点である。
【0086】
図18に示す本発明の地震発生予測方法は、過去の大きな地震により算出された定数を設定する段階S62と、モーメントマグニチュードを計算する段階S63と、必要に応じて前記定数を見直す段階S64を備えたことを特徴とするものである。
より多くの電子を移動させるには、より高い電子密度が必要である。そこで、異常、即ちVTECの傾きである (dVTEC(t)/dt)がMwと「バックグラウンドVTEC」に線形従属する経験値に基づくモデルを導出した。
(d VTEC(t) / dt ) = A Mw + B VTEC + C (式1)
(式1)を観測方程式とした最小二乗予測では、A=3.78、B=0.14、およびC=−31.6の組み合わせが、過去8件の大きな地震前の異常を最もよく再現できることがわかった。
(式1)を以下のように変更する。
Mw = { (d VTEC(t) / dt ) −B VTEC − C } / A (式2)
この方程式を使えば、予兆的なVTEC 異常と背景VTEC をリアルタイムで計測することで、1シグマの不確実性にしておよそ0.28の誤差で、切迫した地震のMwを求めることができる。
図17に示す実施形態によれば、地震発生前にモーメントマグニチュードを算出することができ、結果としてBCP/BCM面などでメリットがある。
【0087】
地震のタイプをプレート内地震(図19の濃いグレー(B))とプレート間地震(図19の薄いグレー(A))に分ける。1994年の北海道東方沖地震と2012 年の北スマトラ地震の本震と余震は、プレート内地震で濃いグレー(B)とする。
【0088】
一方、北海道東方沖地震では、太平洋プレートが破壊した可能性があり、北スマトラ地震は、沈み込み海洋プレート内のスンダ海溝西側で発生した横ずれ地震である。その他5件の地震は、すべてプレート間巨大地震である。
この二つのグループ内において、大規模な地震の前には予兆がより早く始まる傾向にある。
実際の地震予測としては、差し迫った地震がプレート間巨大地震なのかスラブ内なのかを識別するのは困難であるが、各々の地震のタイプで観察された異常と(式2)から求められるMwにより、この例では地震は20分から88分の範囲で起こると予測される。
なお、過去に経験した地震から各設定値を決めているので、今後は大きい地震が観測されたら必要に応じてこれらの設定値を見直す。
【0089】
本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実現することができる。たとえば、同一グループに属する局は2局(ペア局)のみに限らず、3局以上であっても良い。この場合は、図10のステップS33,S34の処理において、同一グループのすべての局がVTEC折れ曲がりを検出することにより「YES」判定を行うようにする。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、衛星からの電波を活用した情報処理産業、地震発生予測装置や受信局の製造業、地震発生予測装置や受信局において用いるソフトウェアの作成業、メンテナンス業、携帯情報端末向けのソフトウェア作成業などにおいて、その利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0091】
1;測位衛星i
2;測位衛星j
3;衛星受信機
w;静止衛星(天頂の静止衛星)
v;静止衛星(赤道上の静止衛星)
10;地震発生予測装置
30;ユーザ端末
S1;データ入力部
S2;STEC入力部
S4;バイアス除去部
S4;STEC→VTECへの変換部
S5;「VTEC折れまがり」検出部 (判断)
S6;アラート出力部
S7;衛星受信機を中心にM8以上の地震が発生するとのアラート通知
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