特開2017-119100(P2017-119100A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-119100嚥下運動計測装置及び嚥下運動計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-119100(P2017-119100A)
(43)【公開日】2017年7月6日
(54)【発明の名称】嚥下運動計測装置及び嚥下運動計測方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20170609BHJP
【FI】
   A61B5/10 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-249436(P2016-249436)
(22)【出願日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】特願2015-252471(P2015-252471)
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1
(71)【出願人】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島南町4丁目6番6号
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 雅史
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島南町4丁目6番6号 バンドー化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大高 秀夫
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島南町4丁目6番6号 バンドー化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】別所 侑亮
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島南町4丁目6番6号 バンドー化学株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】石川 朗
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
(72)【発明者】
【氏名】山本 暁生
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
(72)【発明者】
【氏名】花家 薫
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
(72)【発明者】
【氏名】山口 卓巳
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
(72)【発明者】
【氏名】梅原 健
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
(57)【要約】
【課題】 被験者の嚥下運動を阻害することなく、被験者の嚥下運動を計測することができる嚥下運動計測装置を提供する。
【解決手段】 食塊の嚥下時に生じる喉頭の運動に基づいて嚥下運動を計測する装置であって、被験者の喉頭部の体表に接触させる静電容量型センサと、前記静電容量型センサにおける静電容量の変化を計測する計測器とを備え、前記静電容量型センサはシート状の誘電層と、前記誘電層のおもて面及び裏面のそれぞれに前記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向するように形成された第1電極層及び第2電極層とを有し、前記第1電極層と前記第2電極層との対向する部分を検出部とし、前記誘電層の表裏面の面積が変化するように可逆的に変形するセンサ本体を含む嚥下運動計測装置。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食塊の嚥下時に生じる喉頭の運動に基づいて嚥下運動を計測する装置であって、
被験者の喉頭部の体表に接触させる静電容量型センサと、前記静電容量型センサにおける静電容量の変化を計測する計測器とを備え、
前記静電容量型センサは、シート状の誘電層と、前記誘電層のおもて面及び裏面のそれぞれに前記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向するように形成された第1電極層及び第2電極層とを有し、前記第1電極層と前記第2電極層との対向する部分を検出部とし、前記誘電層の表裏面の面積が変化するように可逆的に変形するセンサ本体を含む
ことを特徴とする嚥下運動計測装置。
【請求項2】
前記誘電層は、エラストマー組成物からなる請求項1に記載の嚥下運動計測装置。
【請求項3】
前記センサ本体は、複数の前記検出部を有する請求項1又2に記載の嚥下運動計測装置。
【請求項4】
前記センサ本体において、前記第1電極層及び前記第2電極層は、いずれも互いに離間して並設された複数の帯状電極からなり、
前記第1電極層を構成する前記複数の帯状電極と、前記第2電極層を構成する前記複数の帯状電極とは、前記誘電層の厚さ方向において重なり合うように配置されている請求項3に記載の嚥下運動計測装置。
【請求項5】
前記静電容量型センサは、更に装着部材を含み、
前記装着部材は、前記検出部が伸長した状態を初期状態として、前記静電容量型センサが被験者の喉頭部の体表に接触可能となるように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の嚥下運動計測装置。
【請求項6】
被験者の喉頭部の体表に静電容量型センサを接触させ、被験者が食塊を嚥下する際に生じる喉頭の運動による前記静電容量型センサの静電容量変化を計測し、計測結果に基づいて被験者の嚥下運動を計測する方法であって、
前記静電容量型センサは、シート状の誘電層と、前記誘電層のおもて面及び裏面のそれぞれに前記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向するように形成された第1電極層及び第2電極層とを有し、前記第1電極層と前記第2電極層との対向する部分を検出部とし、前記誘電層の表裏面の面積が変化するように可逆的に変形するセンサ本体を含む
ことを特徴とする嚥下運動計測方法。
【請求項7】
前記誘電層は、エラストマー組成物からなる請求項6に記載の嚥下運動計測方法。
【請求項8】
前記センサ本体は、複数の前記検出部を有する請求項6又7に記載の嚥下運動計測方法。
【請求項9】
前記センサ本体において、前記第1電極層及び前記第2電極層は、いずれも互いに離間して並設された複数の帯状電極からなり、
前記第1電極層を構成する前記複数の帯状電極と、前記第2電極層を構成する前記複数の帯状電極とは、前記誘電層の厚さ方向において重なり合うように配置されている請求項8に記載の嚥下運動計測方法。
【請求項10】
前記検出部が伸長した状態を初期状態として、前記静電容量型センサを被験者の喉頭部の体表に接触させる請求項6〜9のいずれかに記載の嚥下運動計測方法。
【請求項11】
前記静電容量型センサを前記喉頭部の体表の喉頭隆起部に接触させる請求項6〜10のいずれかに記載の嚥下運動計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嚥下運動計測装置及び嚥下運動計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療や福祉の現場においては、患者の嚥下機能を評価するために嚥下運動を計測することが求められている。
従来、嚥下運動を計測する手法としては、例えば、嚥下時に発生する嚥下音を測定する手法や、嚥下時の筋肉の動きに伴う筋電を測定する手法等が非侵襲性の手法として提案されている。
しかしながら、これらの測定手法は、ノイズの影響を受けやすく、改善が求められていた。
特許文献1には、被験者の頸部を覆うように装着される装着部と、この装着部に設けられて上記装着部が装着されたときに被験者の甲状軟骨または胸骨甲状筋周辺部のいずれかの表面に接触する静電容量センサとを備えた嚥下運動測定装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−200300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された嚥下運動測定装置では、静電容量センサとして、振動を検知する静電容量センサ(振動型静電容量センサ)が使用されている。
振動型静電容量センサを用いて、嚥下運動の際に発生する振動を計測し、その計測結果に基づいて嚥下運動を計測する場合、計測結果は、被験者の周囲の空気の振動の影響を受けやすかった。
また、特許文献1に開示された嚥下運動測定装置では、静電容量センサを甲状軟骨部分に接触させようとすると、甲状軟骨部分は、嚥下運動の際の上下運動が激しいため装着が難しい場合があった(特許文献1、[0006]参照)。
さらに、本発明者らの検討によれば、喉頭部の体表の喉頭隆起部に振動型静電容量センサを接触させて測定を行った場合、振動型静電容量センサによって、喉頭の運動自体が阻害されることが明らかとなった。
本発明者らは、このような状況のもと、嚥下運動を計測する新たな手法を検討し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の嚥下運動計測装置は、食塊の嚥下時に生じる喉頭の運動に基づいて嚥下運動を計測する装置であって、
被験者の喉頭部の体表に接触させる静電容量型センサと、上記静電容量型センサにおける静電容量の変化を計測する計測器とを備え、
上記静電容量型センサは、シート状の誘電層と、上記誘電層のおもて面及び裏面のそれぞれに上記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向するように形成された第1電極層及び第2電極層とを有し、上記第1電極層と上記第2電極層との対向する部分を検出部とし、上記誘電層の表裏面の面積が変化するように可逆的に変形するセンサ本体を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の嚥下運動計測装置によれば、面方向に可逆的に変形することができる柔軟なセンサ本体を有する静電容量型センサを用いて、食塊の嚥下時に生じる喉頭の運動を測定するため、被験者の嚥下運動を阻害することなく、嚥下運動を計測することができる。
また、上記静電容量型センサにおいて、静電容量の変化はセンサ本体の面方向の変形状態に依存するため、上記静電容量型センサは、振動をノイズ源としにくく、上記嚥下運動計測装置では、被験者の喉頭の運動を正確に測定することができる。
【0007】
上記嚥下運動計測装置において、上記誘電層はエラストマー組成物からなることが好ましい。
エラストマー組成物からなる誘電層を備えた静電容量型センサは、喉頭の運動に応じて面方向に変形するセンサとして、特に適している。
【0008】
上記嚥下運動計測装置において、上記センサ本体は、複数の上記検出部を有することが好ましい。
この場合、各検出部の静電容量の変化を経時的に計測することにより、食塊の嚥下時に生じる喉頭の運動の速度に関する情報を計測することができる。
【0009】
更に、上記センサ本体において、上記第1電極層及び上記第2電極層は、いずれも互いに離間して並設された複数の帯状電極からなり、
上記第1電極層を構成する上記複数の帯状電極と、上記第2電極層を構成する上記複数の帯状電極とは、上記誘電層の厚さ方向において重なり合うように配置されていることが好ましい。
上記嚥下運動計測装置において、上記センサ本体が上述した構成を備える場合、上記複数の帯状電極の並設方向が上下方向となるように、喉頭部の体表に上記静電容量型センサを接触させて計測を行う。これにより、例えば、被験者の喉頭隆起部の移動速度や移動範囲などを計測することができる。
【0010】
上記嚥下運動計測装置において、上記静電容量型センサは、更に装着部材を含み、
上記装着部材は、上記検出部が伸長した状態を初期状態として、上記静電容量型センサが被験者の喉頭部の体表に接触可能となるように構成されていることが好ましい。
この場合、センサ本体の検出部が伸長した状態を初期状態として静電容量型センサを喉頭部の体表に接触させることができる。そのため、初期状態から誘電層が収縮する場合の喉頭の運動も測定することができる。
【0011】
本発明の嚥下運動計測方法は、被験者の喉頭部の体表に静電容量型センサを接触させ、
被験者が食塊を嚥下する際に生じる喉頭の運動による上記静電容量型センサの静電容量変化を計測し、計測結果に基づいて被験者の嚥下運動を計測する方法であって、
上記静電容量型センサは、シート状の誘電層と、上記誘電層のおもて面及び裏面のそれぞれに上記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向するように形成された第1電極層及び第2電極層とを有し、上記第1電極層と上記第2電極層との対向する部分を検出部とし、上記誘電層の表裏面の面積が変化するように可逆的に変形するセンサ本体を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の嚥下運動計測方法は、面方向に可逆的に変形することができる柔軟なセンサ本体を有する静電容量型センサを用いて、被験者が食塊を嚥下する際に生じる喉頭の運動を測定する。そのため、上記嚥下運動計測方法は、被験者の嚥下運動を阻害することなく、嚥下運動を計測することができる。
また、上記静電容量型センサにおいて、静電容量の変化はセンサ本体の面方向の変形状態に依存する。そのため、上記静電容量型センサは、振動をノイズ源としにくい。従って、上記嚥下運動計測方法は、被験者の喉頭の運動を正確に測定することができ、被験者の嚥下運動を正確に計測することができる。
【0013】
上記嚥下運動計測方法において、上記誘電層はエラストマー組成物からなることが好ましい。
エラストマー組成物からなる誘電層を備えた静電容量型センサは、喉頭の運動に応じて面方向に変形するセンサとして、特に適している。
【0014】
上記嚥下運動計測方法において、上記センサ本体は、複数の上記検出部を有することが好ましい。
この場合、各検出部の静電容量の変化を経時的に計測することにより、食塊の嚥下時に生じる喉頭の運動の速度に関する情報を計測することができる。
【0015】
更に、上記センサ本体において、上記第1電極層及び上記第2電極層は、いずれも互いに離間して並設された複数の帯状電極からなり、
上記第1電極層を構成する上記複数の帯状電極と、上記第2電極層を構成する上記複数の帯状電極とは、上記誘電層の厚さ方向において重なり合うように配置されていることが好ましい。
上記嚥下運動計測方法において、上記センサ本体が上述した構成を備える場合、上記複数の帯状電極の並設方向が上下方向となるように、喉頭部の体表に上記静電容量型センサを接触させて計測を行う。これにより、例えば、被験者の喉頭隆起部の移動速度や移動範囲などを計測することができる。
【0016】
上記嚥下運動計測方法では、上記検出部が伸長した状態を初期状態として、上記静電容量型センサを被験者の喉頭部の体表に接触させることが好ましい。
この場合、初期状態から誘電層が収縮する場合の喉頭の運動も測定することができる。
【0017】
上記嚥下運動計測方法では、上記静電容量型センサを上記喉頭部の体表の喉頭隆起部に接触させることが好ましい。
この場合、より正確に被験者の嚥下運動を計測することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被験者の嚥下運動を阻害することなく、被験者の嚥下運動を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る嚥下運動計測装置の一例を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える静電容量型センサの一例を示す斜視図である。
図3図3(a)は、図2に示した静電容量型センサに含まれるセンサ本体の一例を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A線断面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、それぞれ図2に示した静電容量型センサを被験者に装着した状態を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える静電容量型センサの別の一例を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える静電容量型センサの別の一例を示す図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は裏面図である。
図7】本発明の実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える静電容量型センサの別の一例を示す平面図である。
図8図8(a)は、図7に示した静電容量型センサに含まれるセンサ本体の一例を示す斜視図であり、図8(b)は、図8(a)の分解斜視図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、それぞれ図7に示した静電容量型センサを被験者に装着した状態を示す模式図である。
図10】実施例で使用した成形装置の模式図である。
図11】実施例におけるセンサ本体Aの作製工程を説明するための斜視図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、実施例1における静電容量型センサの装着位置を説明するための図である。
図13】実施例1で計測した静電容量の変化を示す図である。
図14】実施例2で計測した静電容量の変化を示す図である。
図15】実施例3で計測した静電容量の変化を示す図である。
図16】実施例4で計測した静電容量の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る嚥下運動計測装置は、食塊の嚥下時に発生する喉頭の運動に基づいて嚥下運動を計測する装置であって、被験者の喉頭部の体表に接触させる静電容量型センサと、上記静電容量型センサにおける静電容量の変化を計測する計測器とを備える。
本実施形態に係る嚥下運動計測方法は、被験者の喉頭部の体表に静電容量型センサを接触させ、被験者が食塊を嚥下する際に生じる喉頭の運動による上記静電容量型センサの静電容量変化を計測し、計測結果に基づいて被験者の嚥下運動を計測する。
【0021】
本実施形態において、上記静電容量型センサは、エラストマー組成物からなるシート状の誘電層と、導電材料を含有する導電性組成物からなり、上記誘電層のおもて面及び裏面のそれぞれに上記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向するように形成された第1電極層及び第2電極層とを有するセンサ本体を含む。上記センサ本体は、上記第1電極層と上記第2電極層との対向する部分を検出部とし、上記誘電層の表裏面の面積が変化するように可逆的に変形する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る嚥下運動計測装置の一例を示す概略図である。
図2は、本実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える静電容量型センサの一例を示す斜視図である。図3(a)は、図2に示した静電容量型センサに含まれるセンサ本体を示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)のA−A線断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る嚥下運動計測装置1は、静電容量型センサ2と、静電容量型センサ2と電気的に接続された計測器3と、計測器3での計測結果を表示する表示器4とを備える。
【0024】
計測器3は、静電容量Cを周波数信号Fに変換するためのシュミットトリガ発振回路3a、周波数信号Fを電圧信号Vに変換するF/V変換回路3b、及び、電源回路(図示せず)を備える。計測器3は、静電容量型センサ2の検出部の静電容量Cを周波数信号Fに変換した後、更に電圧信号Vに変換し、表示器4に送信する。
表示器4は、モニター4a、演算回路4b、記憶部4cを備える。表示器4は、計測器3で計測された上記静電容量Cの変化をモニター4aに表示させる。また、表示器4は、上記静電容量Cの変化を記録データとして記憶部4cで記憶する。
【0025】
静電容量型センサ2は、図2に示すように、センサ本体10と、センサ本体10の周囲に設けられた被覆部材21と、センサ本体10と計測器3とを電気的に接続するための接続部材22と、静電容量型センサ2を被験者に装着するための装着部材23とを備える。
【0026】
センサ本体10は、図3(a)及び図3(b)に示すように、エラストマー組成物からなるシート状の誘電層11と、誘電層11のおもて面に形成された表側電極層12Aと、誘電層11の裏面に形成された裏側電極層12Bと、表側電極層12Aに連結された表側配線13Aと、裏側電極層12Bに連結された裏側配線13Bと、表側配線13Aの表側電極層12Aと反対側の端部に取り付けられた表側接続部14Aと、裏側配線13Bの裏側電極層12Bと反対側の端部に取り付けられた裏側接続部14Bと、誘電層11の表側及び裏側のそれぞれに積層された表側保護層15A及び裏側保護層15Bと、を備える。
【0027】
表側電極層12Aと裏側電極層12Bとは、同一の平面視形状を有しており、誘電層11を挟んで表側電極層12Aと裏側電極層12Bとは全体が対向している。静電容量型センサ2は、表側電極層12Aと裏側電極層12Bとの対向した部分が検出部19となる。センサ本体10は、検出部を1つ有している。
センサ本体10は、表側電極層12Aが第1電極層に相当し、裏側電極層12Bが第2電極層に相当する。
【0028】
センサ本体10は、誘電層11がエラストマー組成物からなる。そのため、センサ本体10は、面方向に変形(伸縮)可能である。センサ本体10は、誘電層11が面方向に変形した際に、その変形に追従して表側電極層12A及び裏側電極層12B、並びに、表側保護層15A及び裏側保護層15B(以下、両者を合わせて単に保護層ともいう)が変形する。
従って、静電容量型センサ2は、センサ本体10の変形に伴い、検出部19の静電容量が誘電層11の変形量と相関をもって(比例して)変化する。そのため、検出部19の静電容量の変化を検出することで、センサ本体10の変形量を検出することができる。
【0029】
図2に戻って、センサ本体10の両面には、伸縮性の布生地からなる被覆部材21が設けられている。被覆部材21は、長手方向の長さがセンサ本体10の長手方向の長さより長い2枚の伸縮性布生地からなる。センサ本体10は、この2枚の布生地同士の間に挟み込まれている。被覆部材21を設けることによりセンサ本体10を保護することができる。
【0030】
センサ本体10(被覆部材21)の両端には、装着部材23が設けられている。
装着部材23は、静電容量型センサ2を被験者に装着するための部材である。装着部材23は、被覆部材21の両端に取り付けられたゴム紐等からなる伸縮部23Aと、静電容量型センサ2を被験者に装着する際に、伸縮部23Aの長さを調節するための調節部材23Bとを備える。
【0031】
次に、嚥下運動計測装置1の使用方法について説明する。
図4(a)及び図4(b)は、静電容量型センサ2を被験者に装着した状態を示す模式図である。
嚥下運動計測装置1は、静電容量型センサ2を被験者の喉頭部の体表に接触させて使用する。
静電容量型センサ2は、図4(a)及び図4(b)に示すように、被覆部材21におけるセンサ本体10の検出部19を被覆している部分が被験者の喉頭部の体表に接触するように、被験者に装着する。このとき、被験者の首の後ろ側で、伸縮部23Aの長さを調節部材23Bによって調節することで、被覆部材21が喉頭部の体表に接触した状態を維持することができる。
【0032】
嚥下運動計測装置1は、静電容量型センサ2を上述したように被験者に装着し、この状態で、喉頭の運動を測定する。
具体的には、被験者に固形物、半固形物、液体等の食塊を嚥下してもらい、その際に生じる喉頭の運動を測定する。被験者が食塊を嚥下すると喉頭に動きが生じ、この動きに追従して、センサ本体10(誘電層11)は面方向に変形する。その結果、センサ本体10(誘電層11)の変形量に応じて検出部19の静電容量が変化する。従って、検出部19の静電容量を計測器3で計測し、表示器4で静電容量の変化をモニターすることにより、被験者の嚥下動作による上記喉頭の運動状態を把握することができる。
【0033】
本実施形態において、静電容量型センサ2を接触させる位置は、被験者の喉頭部の体表であれば特に限定されないが、喉頭隆起部に接触する位置が好ましい。
喉頭隆起部は食塊の嚥下時において大きく上下動する部位であり、体表面から触知が容易な喉頭隆起部に接触する位置は嚥下運動を計測するのに適している。
【0034】
本実施形態において、静電容量型センサ2を喉頭部の体表に接触させる場合、センサ本体10の誘電層11が無伸長状態ではなく、少し伸長した状態を初期状態をとして、静電容量型センサ2を喉頭部の体表に接触させることが好ましい。この場合、初期状態から誘電層11が収縮するように喉頭が運動した場合も喉頭の運動を測定することができる。
誘電層11が少し伸長した状態を初期状態とするには、例えば、センサ本体10によって少なくとも喉頭隆起部の一部が覆われるように静電容量型センサ2を接触させればよい。
【0035】
本実施形態において、センサ本体10の検出部19の形状・サイズは特に限定されないが、平面視矩形状で、長辺の長さが10〜100mmで、短辺の長さが5〜30mmであることが好ましい。
このようなサイズの検出部19を有する場合、喉頭隆起部の少なくとも一部を覆うようにセンサ本体10を接触させて、嚥下運動を計測するのにより適している。
【0036】
(第2実施形態)
本発明の実施形態において、上記静電容量型センサは、図2に示したものに限定されず、例えば、図5に示したような静電容量型センサであっても良い。
図5は、本実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える静電容量型センサの一例を示す斜視図である。
静電容量型センサ102は、図5に示すように、センサ本体10と、センサ本体10の周囲に設けられた被覆部材121と、センサ本体10と計測器とを電気的に接続するための接続部材122と、静電容量型センサ102を被験者に装着するための装着部材123とを備える。ここで、静電容量型センサ102が備えるセンサ本体10は、静電容量型センサ2が備えるセンサ本体と同様である。
【0037】
センサ本体10の周囲には、シリコーンゴムからなる被覆部材121が形成されている。
被覆部材121を設けることによりセンサ本体10を保護することができる。特に、シリコーンゴム製の被覆部材121は耐水性に優れるため、被験者が汗をかいた場合等にセンサ本体10を保護するのに適している。
【0038】
センサ本体10(被覆部材121)の両端には、装着部材123が設けられている。
装着部材123は、静電容量型センサ102を被験者に装着するための部材である。装着部材123は、センサ本体10(被覆部材121)の両端に取り付けられた布テープ等からなる連結部123Cと、連結部123Cのセンサ本体10側と反対側の端部に取り付けられたゴム紐等からなる伸縮部123Aと、静電容量型センサ102を被験者に装着する際に、伸縮部123Aの長さを調節するための調節部材123Bとを備える。
連結部123Cは、伸縮部123Aに比べて伸縮性が充分に小さい部材(好ましくは、実質的に伸縮しない部材)からなる。これにより、喉頭の運動によって、センサ本体10が伸縮(変形)した際に、連動して装着部材123が伸縮することを回避することができる。その結果、センサ本体10の変形量が大きくなり、静電容量型センサ102を備えた嚥下運動計測装置は、より詳細に喉頭の運動を測定することが可能となる。
静電容量型センサ102もまた、静電容量型センサ2と同様の手法にて被験者に装着することができる。
【0039】
(第3実施形態)
本発明の実施形態において、上記静電容量型センサは、例えば、図6に示したような静電容量型センサであっても良い。
図6は、本実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える静電容量型センサの一例を示す図である。図6(a)は平面図、図6(b)は裏面図である。
静電容量型センサ202は、図6(a)及び図6(b)に示すように、センサ本体10と、センサ本体10の周囲に設けられた被覆部材221と、センサ本体10と計測器とを電気的に接続するための接続部材222と、静電容量型センサ202を被験者に貼り付けるための粘着層223とを備える。ここで、静電容量型センサ202が備えるセンサ本体10は、静電容量型センサ2が備えるセンサ本体と同様である。
【0040】
センサ本体10の両面には、伸縮性の布生地からなる被覆部材221が設けられている。
被覆部材221は、平面視時にセンサ本体10よりも少し大きいサイズを有する2枚の伸縮性布生地からなる。センサ本体10は、この2枚の布生地同士の間に挟み込まれている。
被覆部材221を設けることによりセンサ本体10を保護することができる。
【0041】
被覆部材221の片面には、粘着層223が設けられている。
粘着層223は、静電容量型センサ202を被験者に装着するための部材である。
静電容量型センサ202は、粘着層223を介して被験者の喉頭部の体表に貼り付けることで、被験者に装着することができる。
静電容量型センサ202では、粘着層223が装着部材として機能する。
【0042】
静電容量型センサ2、102は、被験者に横向き(被験者の首回り方向に沿った向き)で装着するものである。これに対して、粘着層223を備えた静電容量型センサ202は、横向きのみならず、縦向き等の任意の向きで被験者に装着することができる。
【0043】
(第4実施形態)
第1〜第3実施形態において、センサ本体10は、検出部を1つ有するセンサ本体であったが、本発明の実施形態に係る嚥下運動計測装置は、複数の検出部を有するセンサ本体を備えていてもよい。
図7は、本実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える静電容量型センサの一例を示す平面図である。図8(a)は、図7に示した静電容量型センサに含まれるセンサ本体の一例を示す斜視図である。図8(b)は、図8(a)の分解斜視図である。
【0044】
静電容量型センサ302は、複数の検出部を有するセンサ本体50を備えた静電容量型センサである。静電容量型センサ302は、図7に示すように、センサ本体50と、センサ本体50の周囲に設けられた被覆部材321と、センサ本体50と計測器とを電気的に接続するための接続部材322と、静電容量型センサ302を被験者に装着するための装着部材323とを備える。
【0045】
センサ本体50は、図8(a)に示すように、エラストマー組成物からなるシート状の誘電層51と、誘電層51のおもて面に形成された表側電極層52A及びこの表側電極層52Aに連結された表側配線53Aと、誘電層51の裏面に形成された裏側電極層52B及びこの裏側電極層52Bに連結された裏側配線53Bと、を備える。
表側電極層(第1電極層)52Aは、図8(b)に示すように、互いに離間して等間隔に並設された7本の帯状電極52A1〜52A7からなる。表側配線53A(53A1〜53A7)は、上記帯状電極よりも幅が狭く、7本の帯状電極52A1〜52A7のそれぞれに連結されている。
裏側電極層(第2電極層)52Bは、図8(b)に示すように、互いに離間して等間隔に並設された7本の帯状電極52B1〜52B7からなる。裏側配線53B(53B1〜53B7)は、上記帯状電極よりも幅が狭く、7本の帯状電極52B1〜52B7のそれぞれに連結されている。
【0046】
第1電極層52Aを構成する帯状電極52A1〜52A7と第2電極層52Bを構成する帯状電極52B1〜52B7とは、いずれも誘電層51の面方向において、同方向(図7中、上下方向)に並設されている。そして、帯状電極52A1〜52A7と帯状電極52B1〜52B7とは、誘電層51の厚さ方向において互いに重なり合う位置に設けられている。
即ち、表側電極層52Aと裏側電極層52Bとは、同一の平面視形状を有しており、誘電層51を挟んで表側電極層52Aと裏側電極層52Bとは全体が対向している。静電容量型センサ302では、帯状電極52A1〜52A7及び帯状電極52B1〜52B7のそれぞれの対向部分(帯状電極52A1と帯状電極52B1との対向部分、帯状電極52A7と帯状電極52B7との対向部分など)が検出部となる。従って、センサ本体50は、7つの検出部を有している。
【0047】
また、センサ本体50は、表側配線53A1〜53A7の表側電極層52Aと反対側の端部に取付けられた表側接続部54A1〜54A7と、裏側配線53B1〜53B7の裏側電極層52Bと反対側の端部に取付けられた裏側接続部54B1〜54B7とを備える。
センサ本体50は、更に、誘電層51の表側及び裏側のそれぞれに積層された表側保護層55A及び裏側保護層55Bを備える。
センサ本体50は、誘電層51がエラストマー組成物からなるため、センサ本体10と同様、面方向に変形(伸縮)可能である。センサ本体50は、誘電層51が面方向に変形した際に、その変形に追従して表側電極層52A及び裏側電極層52B、並びに、保護層55A、55Bが変形する。
従って、センサ本体50を有する静電容量型センサは、センサ本体50の変形に伴い、各検出部の静電容量が誘電層51の変形量と相関をもって変化する。
【0048】
図7に戻って、センサ本体50の周囲には、伸縮性の布生地からなる被覆部材321が設けられている。被覆部材321は、平面視寸法がセンサ本体50よりも少し大きい伸縮性布生地からなる。センサ本体50は、この2枚の布生地同士の間に挟み込まれている。被覆部材321を設けることによりセンサ本体50を保護することができる。
【0049】
センサ本体50の両端(各帯状電極の長手方向の両端部外方)には、装着部材323が設けられている。
装着部材323は、静電容量型センサ302を被験者に装着するための部材である。装着部材323は、センサ本体50(被覆部材321)の両端に取り付けられた非伸縮性の布生地からなる連結部323Cと、連結部323Cに取り付けられたゴム紐等からなり、ループ状の第1装着部323Aと、連結部323Cに取り付けられた面ファスナ等からなる第2装着部323Bとを備える。
【0050】
静電容量型センサ302は、静電容量型センサ2とほぼ同様の手法にて被験者に装着することができる。
図9(a)及び図9(b)は、それぞれ静電容量型センサ302を被験者に装着した状態を示す模式図である。
静電容量型センサ302は、図9(a)及び図9(b)に示すように、被覆部材321におけるセンサ本体50を被覆している部分が被験者の喉頭部の体表に接触しながら、当該喉頭部の体表を覆うように被験者に装着する。具体的には、第1装着部323Aを調節部材325で長さを調節しながら被験者の耳に引っ掛けつつ、第2装着部323Bを被験者の首回りに巻き付けて面ファスナで固定することによって、静電容量型センサ302を被験者の所定の位置に装着する。
【0051】
静電容量型センサ302を備えた嚥下運動計測装置は、静電容量型センサ302を上述したように被験者に装着し、この状態で喉頭の運動を測定する。
ここで、静電容量型センサ302は、複数の検出部の並設方向が、喉頭隆起部の移動方法(上下方向)と一致するように被験者に装着する。
そのため、各検出部の静電容量を一定時間計測することにより、各検出部の静電容量の変化に基づいて喉頭隆起部の移動速度と移動範囲とを計測することができる。
即ち、本実施形態に係る嚥下運動計測装置を用いることにより、嚥下時の喉頭の運動に関する情報をより詳細に測定することができる。
【0052】
(他の実施形態)
本発明の実施形態において、嚥下運動計測装置は、1個の検出部を有する静電容量型センサを複数備えていてもよい。この場合、被験者の喉頭部の体表に複数個の静電容量型センサを同時に接触させる、例えば、複数の静電容量型センサを喉頭隆起部の移動方向(上下方向)に沿って並べて装着する、ことにより喉頭隆起部の移動速度や移動範囲等、嚥下運動に関する情報をより詳細に計測することができる。
上記嚥下運動計測装置は、複数の検出部を有する静電容量型センサを複数備えていてもよい。
【0053】
本発明の実施形態において、1つのセンサ本体が複数の検出部を有する場合、必ずしも第4実施形態のように各検出部が一方向に等間隔で並設されていなくても良い。各検出部における初期状態の位置関係が把握できていれば、嚥下運動における喉頭部の移動速度や移動範囲等を計測することができる。
また、本発明の実施形態において、上記センサ本体が備える表側電極層と裏側電極層とは、必ずしも誘電層を挟んでその全体が対向している必要はなく、少なくともその一部が対向していればよい。
【0054】
以下、本発明の実施形態に係る嚥下運動計測装置が備える各部材について詳細に説明する。
<静電容量型センサ>
<<誘電層>>
上記誘電層はエラストマー組成物からなるシート状物である。上記誘電層は、その表裏面の面積が変化するように可逆的に変形することができる。本発明において、シート状の誘電層の表裏面とは、誘電層のおもて面及び裏面を意味する。
上記エラストマー組成物としては、エラストマーと、必要に応じて他の任意成分とを含有するものが挙げられる。上記エラストマーは、ウレタンゴム、シリコーンゴムが好ましい。永久歪み(または永久伸び)が小さいからである。
【0055】
上記誘電層の平均厚さは、静電容量Cを大きくして検出感度の向上を図る観点、及び、測定対象物への追従性の向上を図る観点から、10〜1000μmであることが好ましい。
上記誘電層は、その表裏面の面積が無伸長状態から30%以上増大するように変形可能であることが好ましい。このような特性を有する誘電層であれば、喉頭部の体表に貼り付けて使用する場合に、喉頭部の体表の変形に追従して変形するのに適している。
ここで、30%以上増大するように変形可能であるとは、荷重をかけて面積を30%増大させても破断することがなく、かつ、荷重を解放すると元の状態に復元する(即ち、弾性変形範囲にある)ことを意味する。
なお、上記誘電層の面方向に変形可能な範囲は誘電層の設計(材質や形状等)により制御することができる。
【0056】
<<電極層(表側電極層及び裏側電極層)>>
上記電極層は、導電材料を含有する導電性組成物からなる。
上記表側電極層及び上記裏側電極層は通常同一の材料を用いて形成されるが、必ずしも同一材料を用いる必要はない。
上記導電材料としては、例えば、カーボンナノチューブ、導電性カーボンブラック、グラファイト、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、導電性高分子等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0057】
上記導電性組成物は、上記導電材料以外に、例えば、導電材料のつなぎ材料として機能するバインダー成分や各種添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、例えば、導電材料のための分散剤、バインダー成分のための架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、更には着色剤等が挙げられる。
【0058】
<<その他>>
上記センサ本体は、図2図8に示した例のように、必要に応じて、電極層と接続された第1配線(表側配線)や第2配線(裏側配線)を備えていてもよい。
これらの各配線は、誘電層の変形を阻害せず、かつ、誘電層が変形しても導電性が維持されるものであればよい。具体例としては、例えば、上記電極層と同様の導電性組成物からなるものが挙げられる。
更に、上述した各配線それぞれの電極層と反対側の端部には、図2図8に示した例のように、必要に応じて、外部配線と接続するための表側接続部や裏側接続部が設けられていてもよい。これらの各接続部としては、例えば、銅箔等からなるものが挙げられる。
【0059】
上記センサ本体は、図2図8に示した例のように、必要に応じて、表側の最外層及び/又は裏側の最外層に保護層が積層されていてもよい。上記保護層を設けることにより、センサ本体の強度や耐久性を高めることができる。
上記保護層の材質は特に限定されず、その要求特性に応じて適宜選択すればよい。具体例としては、例えば、上記誘電層の材質と同様のエラストマー組成物等が挙げられる。
【0060】
<計測器>
上記計測器は、上記静電容量型センサと電気的に接続されている。上記計測器は、上記誘電層の変形に応じて変化する上記検出部の静電容量Cを測定する機能を有する。上記静電容量Cを測定する方法としては従来公知の方法を用いることができる。そのため、上記計測器は、必要となる静電容量測定回路、演算回路、増幅回路、電源回路等を備える。
上記静電容量Cを測定する方法(回路)としては、例えば、自動平衡ブリッジ回路を利用したCV変換回路(LCRメータなど)、反転増幅回路を利用したCV変換回路、半波倍電圧整流回路を利用したCV変換回路、シュミットトリガ発振回路を用いたCF発振回路、シュミットトリガ発振回路とF/V変換回路とを組み合わせて用いる方法等が挙げられる。
【0061】
<表示器>
本発明の実施形態に係る嚥下運動計測装置は、図1に示したように表示器を備えていてもよい。これにより上記嚥下運動計測装置の使用者は、静電容量Cの変化(及びこれに基づく嚥下運動に関する情報)をリアルタイムで確認することができる。上記表示器は、そのために必要となるモニター、演算回路、増幅回路、電源回路等を備える。
上記表示器は、静電容量Cの測定結果を記憶するために、RAM、ROM、HDD等の記憶部を備えていてもよい。
なお、上記記憶部は、上記計測器が備えていてもよい。
上記表示器としては、パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末機器を利用してもよい。
また、図1に示した嚥下運動計測装置1において、計測器3と表示器4との接続は有線で行われているが、両者は無線で接続されていてもよい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】
<センサ本体Aの作製>
ここでは、図3に示したセンサ本体10とほぼ同構成のセンサ本体を作製した。
(1)誘電層の作製
ポリオール(パンデックスGCB−41、DIC社製)100質量部に対して、可塑剤(ジオクチルスルホネート)40重量部と、イソシアネート(パンデックスGCA−11、DIC社製)17.62重量部とを添加し、アジターで90秒間撹拌混合し、誘電層用の原料組成物を調製した。次に、原料組成物を図10に示した成形装置30に注入し、保護フィルム31でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、70℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ポリエーテル系ウレタンエラストマーからなるシートを作製した。得られたウレタンシートを14mm×70mm×厚さ100μmに裁断し、更に、角部の一か所を7mm×7mm×厚さ100μmのサイズで切り落とし、誘電層を作製した。
【0064】
作製した誘電層について、破断時伸び(%)及び比誘電率を測定した。破断時伸び(%)は505%、比誘電率は5.8であった。
上記破断時伸びは、JIS K 6251に準拠して測定した。上記比誘電率は、20mmΦの電極で誘電層を挟み、LCRハイテスタ(日置電機社製、3522−50)を用いて計測周波数1kHzで静電容量を測定した後、電極面積と測定試料の厚さから算出した。
【0065】
(2)電極層材料の調製
大陽日酸社製の高配向カーボンナノチューブ30mgをメチルイソブチルケトン(MIBK)30gに添加し、ジェットミル(ナノジェットパル JN10−SP003、常光社製)を用いて湿式分散処理を施し、10倍に希釈して濃度0.01重量%のカーボンナノチューブ分散液を得た。
【0066】
(3)保護層の作製
シートの厚さを変更した以外は、上述した(1)誘電層の作製と同様の方法を用いて、ポリエーテル系ウレタンエラストマー製で、14mm×70mm×厚さ50μmの裏側保護層と、14mm×63mm×厚さ50μmの表側保護層とを作製した。
【0067】
(4)センサ本体の作製
図11は、実施例におけるセンサ本体Aの作製工程を説明するための斜視図である。
まず、上記(3)の工程で作製した裏側保護層15Bの片面(おもて面)に、離型処理されたPETフィルムに所定の形状の開口部が形成されたマスク(図示せず)を貼り付けた。
上記マスクには、裏側電極層及び裏側配線に相当する開口部が設けられている。開口部のサイズは、裏側電極層に相当する部分が幅10mm×長さ60mm、裏側配線に相当する部分が幅5mm×長さ6mmである。
【0068】
次に、上記(2)の工程で調製したカーボンナノチューブ分散液7.2gをエアブラシで塗布した。このとき、エアブラシの噴射口と裏側保護層15Bの塗布面との距離は10cmとした。続いて、100℃で10分間乾燥させ、裏側電極層12B及び裏側配線13Bを形成した。その後、マスクを剥離した(図11(a)参照)。
【0069】
次に、誘電層11を裏側保護層15B上に積層した。ここでは、裏側電極層12Bの全体及び裏側配線13Bの一部を被覆するように、上記(1)の工程で作製した誘電層11を裏側保護層15B上に貼り合わせた。
更に、誘電層11に表側に、表側電極層12A及び表側配線13Aを形成した(図11(b)参照)。表側電極層12A及び表側配線13Aは、裏側電極層12B及び裏側配線13Bと同様の方法で形成した。
【0070】
次に、表側電極層12A及び表側配線13Aを形成した誘電層11の表側に、表側電極層12Aの全体及び表側配線13Aの一部を被覆するように、上記(3)の工程で作製した表側保護層15Aを積層した。
更に、表側配線13A及び裏側配線13Bのそれぞれの端部に銅箔を取り付けて、表側接続部14A及び裏側接続部14Bとした(図11(c)参照)。その後、表側接続部14A及び裏側接続部14Bに外部配線となるリード線19を半田で固定した。
【0071】
その後、表側接続部14A及び裏側接続部14Bの裏側保護層15B上に位置する部分に、厚さ100μmのPETフィルム17をアクリル粘着テープ(3M社製、Y−4905(厚さ0.5mm))16を介して貼り付けて補強し(図11(d)参照)、センサ本体10を完成した。
【0072】
<静電容量型センサA(貼付型の静電容量型センサ)の作製>
図6に示した静電容量型センサ202を下記の方法で作製した。
まず、伸縮性ポリエステル布(KKF5550、宇仁繊維)を75mm×20mmに裁断し、更に一方の短辺の両角部を5mm×5mmのサイズで切り落としたもの2枚用意した。次に、伸縮性ポリエステル布同士の間でセンサ本体10を挟み込むように2枚の伸縮性ポリエステル布を伸縮性を有する粘着剤を用いて貼り合わせ、被覆部材221を形成した。
次に、被覆部材221の一方の表面に、粘着剤(積水化成品社製、(商品名)テクノゲル HIT−B3R75W)を用いて、60mm×15mmのサイズの粘着層223を形成した。
最後に、リード線19のセンサ本体10と反対側の端部に接続端子を取り付けて、接続部材222とし、静電容量型センサAを完成した。
【0073】
<静電容量型センサB(リング型の静電容量型センサ)の作製>
図2に示した静電容量型センサ2を下記の方法で作製した。
まず、伸縮性布生地(スーパーストレッチII、ユザワヤ)を18cm×2cmに裁断したものを2枚用意し、伸縮性布生地同士の間でセンサ本体10を挟み込むように2枚の布生地を伸縮性を有する粘着剤を用いて貼り合わせ、被覆部材21を形成した。
次に、被覆部材21の両端部のそれぞれに、長さ30cm、幅0.8cmのゴムひも(縫製−ゴム No.59、大創産業)23Aを固定し、更にゴムひもの自由端側に調節部材(ストッパ)23Bを取り付けた。
最後に、リード線19のセンサ本体10と反対側の端部に接続端子を取り付けて接続部材22とし、静電容量型センサAを完成した。
【0074】
<嚥下運動計測装置>
静電容量型センサA、Bをそれぞれ接続部材を介して、PawerLab 16/35,PL3516(AD INSTRUMENTS社製)に接続し、嚥下運動計測装置とした。
この嚥下運動計測装置を使用し、被験者の嚥下運動を計測した。
このとき、PawerLab 16/35,PL3516の測定条件は、サンプリング周波数100Hz、計測Range ±5V、表示ソフト LabChart 8.0.9とした。
また、信号処理件は、
・4次 Butterworth filter
・Low−pass filtering
・Cut off:1Hz
とした。
【0075】
(実施例1:通常嚥下時の喉頭の運動の計測)
被験者(健康な成人男性)の嚥下時の静電容量の変化を下記の手法で計測した。
被験者の喉頭部の体表に静電容量型センサAを装着した。
このとき、静電容量型センサA(センサ本体10)が、図12(a)及び図12(b)に示すように、喉頭隆起部[1]及び喉頭隆起部下[2]に対応する位置で接触するように静電容量型センサを被験者に貼り付けた。
【0076】
次に、被験者に食塊として、(1)液体(水3ml)及び(2)半固形物(ゼリー3g)を嚥下してもらい、下記の手順で静電容量を計測した。
また、同時に嚥下時の喉頭の上下運動を目視にて観察した。
【0077】
(嚥下手順)
1.食塊を口腔内に保持し指定姿位をとる。
2.メトロノーム(1Hz)に合わせて嚥下運動計測装置による計測をスタート。
3.メトロノーム2拍目(2秒後)で食塊を嚥下。
4.8秒後に静電容量の計測を終了。
【0078】
その結果、図13に示したように、液体及び半固形物のそれぞれについて、喉頭隆起部[1]及び喉頭隆起部下[2]の計測で、センサ出力が一旦低下した後復元するV字波形を描く静電容量の変化が計測された。
また、このV字波形は、目視観察した喉頭の上下運動と相関していたことから、嚥下に伴う喉頭の運動を反映したものと考えられた。
【0079】
(実施例2:メンデルソン手技による嚥下時の喉頭の運動の計測(1))
メンデルソン手技は、嚥下の代償法として咽頭残留物や誤嚥を減少させる効果が期待できる方法である。
具体的には、喉頭挙上と咽頭収縮がピークに達したところ(いわゆる「ごっくん」の「っく」のところ)で嚥下を一時停止するよう指示し、そのまま2−3秒ないし5−6秒保った後、力を抜いて「はー」と呼気とともに嚥下前の状態に戻す。
【0080】
本実施例では、メンデルソン手技による嚥下時の喉頭の運動を計測した。
まず、静電容量型センサA(センサ本体10)が、被験者(健康な成人男性)の喉頭隆起部[1]に対応する位置で接触するように、静電容量型センサAを被験者に装着した。
【0081】
次に、被験者に食塊として、液体(水3ml)を嚥下してもらい、下記の手順で静電容量を計測した。計測は3回行った。なお、被験者には、「水を一回で飲み込むようにして、喉を持ち上げた状態で2秒保ってもらう」旨を予め指示しておいた。
また、同時に嚥下時の喉頭の上下運動を目視にて観察した。
【0082】
(嚥下手順)
1.口腔底に液体を注ぎ込み、指定姿位をとる。
2.メトロノーム(1Hz)に合わせて嚥下運動計測装置による計測をスタート。
3.メトロノーム2拍目で喉を持ち上げた状態(喉頭挙上保持)とし、その状態をメトロノーム2拍分(2秒)保持した後、嚥下する。
4.8秒後に静電容量の計測を終了。
【0083】
その結果、図14(a)に示したような静電容量の変化が計測された。
この結果によれば、V字波形の谷部分が延長する時間(約2秒)と、被験者の喉頭挙上がピークに達した時点の一時停止保持した時間(メトロ2拍=2秒)は概ね一致していた。また、この結果は目視観察の結果とも一致していた。
図14(b)には、同一の被験者が、水3mlを通常嚥下(実施例1の嚥下手順参照)した場合の静電容量の計測結果を掲載した。この場合、実施例1と同様のV字波形が計測された。
これらの結果から、図14(a)の測定結果は被験者のメンデルソン手技による嚥下運動を反映したものであることが明らかとなった。
【0084】
(実施例3:メンデルソン手技による嚥下時の喉頭の運動の計測(2))
静電容量型センサAに代えて静電容量型センサBを使用した以外は、実施例2と同様にしてメンデルソン手技による嚥下時の喉頭の運動を計測した。
本実施例では、装着部材23によって装着位置を調節しながら、静電容量型センサB(センサ本体10)が被験者(健康な成人男性)の喉頭隆起部[1]に対応する位置で接触するように静電容量型センサBを被験者に装着した。
【0085】
その結果、図15に示したような静電容量の変化が計測された。
図15に示した結果においても、実施例2の結果と同様、V字波形の谷部分が延長する時間(約2秒)と、被験者の喉頭挙上がピークに達した時点の一時停止保持した時間(メトロ2拍=2秒)とが概ね一致した結果が得られた。
このことから、静電容量型センサBもまた、静電容量型センサAと同様、被験者のメンデルソン手技による嚥下運動を計測することができる静電容量型センサであることが明らかとなった。
【0086】
<センサ本体Cの作製>
ここでは、図8に示したセンサ本体50とほぼ同構成のセンサ本体Cを作製した。センサ本体Cは、基本的にセンサ本体と同様の手法で作製した。
(1)誘電層の作製
センサ本体Aの作製における(1)で採用した方法と同様の方法を用いて、ポリエーテル系ウレタンエラストマーからなるシートを作製した後、得られたウレタンシートを56mm×70mm×厚さ100μmに裁断した。その後、裁断したシートの一方の短辺において、一方の角部から、4mm×4mm×100μmのサイズで短辺に沿って8mm間隔で7か所切り落とし、誘電層51を作製した。
【0087】
(2)電極層材料の調製
センサ本体Aの作製における(2)と同様の方法を用いてカーボンナノチューブ分散液を得た。
【0088】
(3)保護層の作製
シートの厚さを変更した以外は、上記(1)と同様の方法を用いて、ポリエーテル系ウレタンエラストマー製で、56mm×70mm×厚さ50μmの裏側保護層55Bと、56mm×63mm×厚さ50μmの表側保護層55Aとを作製した。
【0089】
(4)センサ本体の作製
まず、上記(3)の工程で作製した裏側保護層55Bの片面(おもて面)に、離型処理されたPETフィルム製のマスク(図示せず)を貼り付けた。
上記マスクには、裏側電極層及び裏側配線に相当する複数の開口部が所定の箇所に設けられている。各開口部のサイズは、裏側電極層に相当する部分が幅5mm×長さ54mm、裏側配線に相当する部分が幅1.5mm×長さ6mmである。
【0090】
次に、上記(2)の工程で調製したカーボンナノチューブ分散液37.4gをエアブラシで塗布した。その後、100℃で10分間乾燥させ、裏側電極層52B1〜52B7及び裏側配線53B1〜53B7を形成した。その後、マスクを剥離した。
【0091】
次に、誘電層51を裏側保護層55Bに積層した。ここでは、裏側電極層52B1〜52B7の全体及び各裏側配線53B1〜53B7の一部を被覆するように、上記(1)の工程で作製した誘電層51を裏側保護層55Bに貼り合わせた。
更に、誘電層51の表側に、表側電極層52A1〜52A7及び表側配線53A1〜53A7を形成した。表側電極層52A1〜52A7及び表側配線53A1〜53A7は、裏側電極層52B1〜52B7及び裏側配線53B1〜53B7と同様の方法で形成した。
【0092】
次に、表側電極層52A1〜52A7及び表側配線53A1〜53A7を形成した誘電層51の表側に、表側電極層52A1〜52A7の全体及び各表側配線53A1〜53A7の一部を被覆するように、上記(3)の工程で作製した表側保護層55Aを積層した。
更に、表側配線53A1〜53A7及び裏側配線53B1〜53B7のそれぞれの端部に銅箔を取り付けて、表側接続部54A1〜54A7及び裏側接続部54B1〜54B7とした。
その後、表側接続部54A1〜54A7及び裏側接続部54B1〜54B7に外部配線となるリード線(図示せず)を半田で固定した。
【0093】
次に、表側接続部54A1〜54A7及び裏側接続部54B1〜54B7の裏側保護層55B上に位置する部分に、厚さ100μmのPETフィルムをアクリル粘着テープ(3M社製、Y−4905(厚さ0.5mm))を介して貼り付けた。これらの工程を経て、センサ本体50を完成した。
【0094】
<静電容量型センサCの作製>
まず、伸縮性ポリエステル布(KKF5550、宇仁繊維)を85mm×62mmに裁断したものを2枚用意した。
次に、伸縮性ポリエステル布同士の間でセンサ本体50を挟み込むように2枚の伸縮性ポリエステル布を伸縮性を有する粘着剤を用いて貼り合わせ、被覆部材321とした。
これとは別に、70mm×70mmに裁断された非伸縮性の布を用意し、その角部の一か所を40mm×55mmのサイズで切り落として、L字型の布とした。このL字型の布は4枚作製した。
更に、長さ440mmにカットしたヒモ(マスクゴム、ユザワヤ商事)を2本用意した。
【0095】
次に、両面に被覆部材321が設けられたセンサ本体50の長手方向(図7中、左右方向)両端部のそれぞれを2枚の上記L字型の布で挟み込み連結部323Cとした。
更に、上記ヒモを調節部材(コードストッパー)325に通した後、連結部323Cに取付けて第1装着部323Aとした。また、15mm×200mmにカットした面ファスナ(エコマジック縫製用、クラレファスニング社製)を連結部323Cに縫合して第2装着部323Bとした。
最後に、リード線59のセンサ本体50と反対側の端部に接続端子を取り付けて接続部材とし、静電容量型センサCを完成した。
【0096】
<嚥下運動計測装置>
静電容量型センサCを接続部材を介して、PowerLab 16/35,PL3516(AD INSTRUMENTS社製)に接続し、嚥下運動計測装置とした。
この嚥下運動計測装置を使用し、被験者の嚥下運動を計測した。
このとき、測定条件は100Hz、レンジ±5Vとした。下記の実施例4におけるデータ処理では、10個ずつデータの平均値を使用した。これは、10Hzで測定したのと実質的に同等である。
【0097】
(実施例4:通常嚥下時の喉頭の運動の計測)
被験者(健康な成人男性)の嚥下時の静電容量の変化を下記の手法で計測した。
被験者の喉頭部の体表に静電容量型センサCを装着した。
このとき、静電容量型センサC(センサ本体10)は、図9(a)及び図9(b)に示すように、被験者の喉頭部の体表全体を覆うように装着した。詳細には、下記(1)及び(2)の状態を満足するように静電容量型センサCを装着した。
(1)帯状電極52A3と帯状電極52B3とが対向する検出部(下記系列3)、及び、帯状電極52A4と帯状電極52B4とが対向する検出部(下記系列4)が、喉頭隆起部に対応する位置にある。
(2)帯状電極52A1と帯状電極52B1とが対向する検出部(下記系列1)が、喉頭隆起部下に対応する位置にある。
【0098】
被験者に唾液を1回飲み込んでもらい、そのときの各検出部の静電容量の変化を検出部毎に計測した。
結果を図16に示した。なお、図16に示したグラフにおいて、各検出部の計測結果を下から順に系列1〜7として並べた。即ち、系列1は帯状電極52A1と帯状電極52B1とが対向する検出部の計測値であり、系列7は帯状電極52A7と帯状電極52B7とが対向する検出部の計測値である。なお、図16に示したグラフは、各系列の結果が見やすくなるように、時間軸を揃えて縦軸方向に並べたものであり、縦軸方向の上下の位置は、計測値の大小を示すものではない。
【0099】
図16に示した結果より、互いに離間して並設された複数の帯状電極を有するセンサ本体を備えた静電容量型センサを用いることにより、喉頭隆起部の上下動の速度や、移動範囲を計測することができると考えられた。
【符号の説明】
【0100】
1 嚥下運動計測装置
2、102、202、302 静電容量型センサ
3 計測器
3a シュミットトリガ発振回路
3b F/V変換回路
4 表示器
4a モニター
4b 演算回路
4c 記憶部
10、50 センサ本体
11、51 誘電層
12A、52A(52A1〜52A7) 表側電極層(第1電極層)
12B、52B(52B1〜52B7) 裏側電極層(第2電極層)
13A、53A(53A1〜53A7) 表側配線
13B、53B(53B1〜53B7) 裏側配線
14A、54A(54A1〜54A7) 表側接続部
14B、54B(54B1〜54B7) 裏側接続部
15A、55A 表側保護層
15B、55B 裏側保護層
21、121、221、321 被覆部材
22、122、222、322 接続部材
23、123、323 装着部材
30 成形装置
223 粘着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15
図16