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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-133156(P2017-133156A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】目地構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/38 20060101AFI20170707BHJP
   E02B 3/16 20060101ALI20170707BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
   E21D11/38 Z
   E02B3/16 A
   E03F3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-11358(P2016-11358)
(22)【出願日】2016年1月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目3番1号
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
【住所又は居所】宮城県仙台市青葉区本町一丁目7番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】波田 匡司
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目3番1号 鹿島建設株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】南 浩郎
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目3番1号 鹿島建設株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 雅之
【住所又は居所】宮城県仙台市青葉区本町一丁目7番1号 東北電力株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大村 英昭
【住所又は居所】宮城県仙台市青葉区本町一丁目7番1号 東北電力株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】浜本 洋
【住所又は居所】宮城県仙台市青葉区本町一丁目7番1号 東北電力株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】岸部 大蔵
【住所又は居所】宮城県牡鹿郡女川町塚浜字前田1 東北電力株式会社内
【テーマコード(参考)】
2D055
2D063
2D155
【Fターム(参考)】
2D055AA04
2D055AA05
2D055EA00
2D055GC08
2D055GC09
2D055LA02
2D063BA06
2D063BA27
2D155AA04
2D155AA05
2D155EA00
2D155GC08
2D155GC09
2D155LA02
(57)【要約】
【課題】一方の構造物に対して他方の構造物の位置が比較的大きく変化した場合であっても、止水性能を確保できる構造物の目地構造を提供する。
【解決手段】目地構造1は、第1のコンクリート壁2と、第2のコンクリート壁3と、第1のコンクリート壁2と第2のコンクリート壁3との間に形成された目地4に配置された表面目地部6と、表面目地部6の裏面と対面する縁切り部7と、縁切り部7と対面すると共に、目地4に配置されたバックアップ部8と、を備える。縁切り部7と表面目地部6との間、及び、縁切り部7とバックアップ部8との間の少なくとも一方は、一方の面に対して他方の面が滑り可能である。バックアップ部8は、表面目地部6に作用する水圧に起因する表面目地部6の変形を妨げる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水圧が作用する構造物の目地構造であって、
第1の端面と水圧が作用する第1の表面とを含む第1の構造部材と、
前記第1の端面に対面する第2の端面と水圧が作用する第2の表面とを含み、前記第1の構造部材に対する相対的な位置が変化する第2の構造部材と、
水圧が作用する第3の表面を含み、前記第1の端面と前記第2の端面との間に形成された目地に配置されるように前記第1の端面に対して水密に取り付けられると共に前記第2の端面に対して水密に取り付けられた止水部と、
前記止水部の裏面と対面する第4の表面を含み、前記目地に配置された滑り部と、
前記滑り部の裏面と対面する第5の表面を含み、前記目地に配置されるように前記第1の端面に対して取り付けられると共に前記第2の端面に対して取り付けられた支持部と、を備え、
前記滑り部の前記第4の表面と前記止水部の裏面との間、及び、前記滑り部の裏面と前記支持部の前記第5の表面との間の少なくとも一方は、一方の面に対して他方の面が滑り可能であり、
前記支持部は、前記第3の表面に作用する水圧に起因する前記止水部の変形を妨げる、目地構造。
【請求項2】
前記支持部の剛性は、前記止水部の剛性よりも大きい、請求項1に記載の目地構造。
【請求項3】
前記止水部は、シリコーンにより形成される、請求項1又は2に記載の目地構造。
【請求項4】
前記支持部は、前記目地に充填された樹脂材料により形成される、請求項1〜3の何れか一項に記載の目地構造。
【請求項5】
前記第1の構造部材は、前記第1の表面を含むコンクリート製の本体部と、前記第1の端面を含む金属板と、を有し、
前記止水部は、前記金属板に対して水密に取り付けられ、
前記支持部は、前記金属板に対して取り付けられる、請求項1〜4の何れか一項に記載の目地構造。
【請求項6】
前記第1の端面は、前記止水部が取り付けられる第1の止水取付部と、前記支持部が取り付けられる第1の支持取付部と、を有し、
前記第2の端面は、前記第1の止水取付部と対面すると共に前記止水部が取り付けられる第2の止水取付部と、前記第1の支持取付部と対面すると共に前記支持部が取り付けられる第2の支持取付部と、を有し、
前記第1の止水取付部から前記第2の止水取付部までの距離は、前記第1の支持取付部から前記第2の支持取付部までの距離よりも長い、請求項1〜4の何れか一項に記載の目地構造。
【請求項7】
前記第1の端面は、前記止水部が取り付けられる第3の止水取付部と、前記支持部が取り付けられる第3の支持取付部と、を有し、
前記第2の端面は、前記第3の止水取付部と対面すると共に前記止水部が取り付けられる第4の止水取付部と、前記第3の支持取付部と対面すると共に前記支持部が取り付けられる第4の支持取付部と、を有し、
前記第3の止水取付部から前記第4の止水取付部までの距離は、前記第3の支持取付部から前記第4の支持取付部までの距離よりも短い、請求項1〜4の何れか一項に記載の目地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水圧が作用する構造物に適用される目地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2及び3には、止水機能を有する継手構造が開示されている。特許文献1の止水継手では、一方の構造物と他方の構造物との間に形成された目地に目地材が充填される。特許文献2の止水継手では、構造物である一対の監査廊本体の間に形成された目地に液状ゴムが充填される。特許文献3の接続構造では、一方の地下構造物と他方の地下構造物との接続部に接続装置が挟み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−58232号公報
【特許文献2】特開平6−257691号公報
【特許文献3】特開平11−350888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2及び3に開示されたような止水機能を有する継手構造では、一方の構造物と他方の構造物との間に柔軟性を有する材料により形成された止水部品が配置されている。止水部品は、一方の構造物に対して他方の構造物の位置が変化した場合に当該変化に追従するように変形するので、目地における止水性能を確保できる。しかし、構造物の比較的大きな位置変化が生じた場合には、止水部品が当該位置変化に追従することができなくなり、止水性能を確保できなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、一方の構造物に対して他方の構造物の位置が比較的大きく変化した場合であっても、止水性能を確保できる構造物の目地構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、水圧が作用する構造物の目地構造であって、第1の端面と水圧が作用する第1の表面とを含む第1の構造部材と、第1の端面に対面する第2の端面と水圧が作用する第2の表面とを含み、第1の構造部材に対する相対的な位置が変化する第2の構造部材と、水圧が作用する第3の表面を含み、第1の端面と第2の端面との間に形成された目地に配置されるように第1の端面に対して水密に取り付けられると共に第2の端面に対して水密に取り付けられた止水部と、止水部の裏面と対面する第4の表面を含み、目地に配置された滑り部と、滑り部の裏面と対面する第5の表面を含み、目地に配置されるように第1の端面に対して取り付けられると共に第2の端面に対して取り付けられた支持部と、を備え、滑り部の第4の表面と止水部の裏面との間、及び、滑り部の裏面と支持部の第5の表面との間の少なくとも一方は、一方の面に対して他方の面が滑り可能であり、支持部は、第3の表面に作用する水圧に起因する止水部の変形を妨げる。
【0007】
目地構造では、第1の構造部材と第2の構造部材との間に目地が形成されている。当該目地には、水圧が作用する側から止水部と滑り部と支持部とがこの順に配置されている。止水部は、第1の構造部材と第2の構造部材とに対して水密に取り付けられているので、目地構造は止水部によって止水性を確保できる。ここで、第1の構造部材に対して第2の構造部材の位置が変化した場合に、止水性を確保し続けるためには、止水部が位置変化に対応して変形する必要がある。このような変形によれば、第1の構造部材における第1の端面と止水部との間の水密状態と、第2の構造部材における第2の端面と止水部との間の水密状態とが確保されるので、止水性を確保し続けることができる。そうすると、第1の構造部材と第2の構造部材との間における比較的大きい位置の変化に対応するためには、止水部の許容可能な伸び量を高めればよい。一方、止水部の許容可能な伸び量が高い場合には、止水部の第3の表面に水圧が作用したときに止水部が変形しやすくなり、構造部材と止水部との水密状態を確保できなくなる虞がある。しかし、この目地構造では、水圧による止水部の変形が支持部によって妨げられるので、伸び量の高い止水部を適用しても構造部材と止水部との水密状態を確保し続けることができる。従って、支持部を備える目地構造によれば、止水部の伸び量を高めることができるので、比較的大きい構造部材の位置変化が生じたときに止水性を確保し続けることができる。さらに、止水部と支持部との間には滑り部が設けられているので、第1の構造部材に対する第2の構造部材の位置変化に起因して止水部が変形するとき、止水部は支持部に対して滑り部によって縁が切られた状態である。従って、止水部の変形に対して支持部の変形が影響を及ぼすことがない。よって、止水部と支持部との間に滑り部を備える目地構造によれば、止水部における高い伸び量を確保することができるので、比較的大きい構造部材の位置変化が生じたときに止水性をより良好に確保し続けることができる。
【0008】
支持部の剛性は、止水部の剛性よりも大きくてもよい。この構成によれば、剛性が高い支持部の方が止水部よりも変形しにくい。従って、水圧に起因する止水部の変形を良好に妨げることができる。
【0009】
止水部は、シリコーンにより形成されてもよい。シリコーンにより形成された止水部によれば、高い伸び量を確保することができる。
【0010】
支持部は、目地に充填された樹脂材料により形成されてもよい。第1の構造部材に対する第2の構造部材の位置変化は、第1の端面に対して第2の端面が離間又は近接する変化と、第1の端面に対して第2の端面が鉛直方向にずれる変化と、第1の端面に対して第2の端面が水平方向にずれる変化と、を含む。目地に樹脂材料が充填された支持部によれば、これら3つの態様を含む位置変化に良好に対応することができる。
【0011】
第1の構造部材は、第1の表面を含むコンクリート製の本体部と、第1の端面を含む金属板と、を有し、止水部は、金属板に対して水密に取り付けられ、支持部は、金属板に対して取り付けられてもよい。この構造によれば、止水部及び支持部を取り付け可能な程度にコンクリートが硬化する時間よりも早く、止水部及び支持部を第1の構造部材に対して取り付ける施工が可能になる。従って、目地構造の施工期間を短縮することができる。
【0012】
第1の端面は、止水部が取り付けられる第1の止水取付部と、支持部が取り付けられる第1の支持取付部と、を有し、第2の端面は、第1の止水取付部と対面すると共に止水部が取り付けられる第2の止水取付部と、第1の支持取付部と対面すると共に支持部が取り付けられる第2の支持取付部と、を有し、第1の止水取付部から第2の止水取付部までの距離は、第1の支持取付部から第2の支持取付部までの距離よりも長くてもよい。この構造によれば、第1の構造部材及び第2の構造部材に止水部の裏面と接触可能な切り欠き部が形成される。そうすると、止水部と第1の構造部材及び第2の構造部材とが接触する面積が増加するので、第1の構造部材及び第2の構造部材への止水部の取付強度を高めることができる。
【0013】
第1の端面は、止水部が取り付けられる第3の止水取付部と、支持部が取り付けられる第3の支持取付部と、を有し、第2の端面は、第3の止水取付部と対面すると共に止水部が取り付けられる第4の止水取付部と、第3の支持取付部と対面すると共に支持部が取り付けられる第4の支持取付部と、を有し、第3の止水取付部から第4の止水取付部までの距離は、第3の支持取付部から第4の支持取付部までの距離よりも短くてもよい。ここで、止水部及び支持部の伸び量は、それぞれの伸び率と幅とに基づく。この構造によれば、第3の支持取付部と第4の支持取付部との間に設けられた支持部の幅は、第3の止水取付部と第4の止水取付部との間に設けられた止水部の幅よりも大きい。そうすると、支持部の伸び率が止水部の伸び率と同じ場合には、変形に起因して支持部に生じる負荷が小さくなる。従って、第1の構造部材に対する支持部の取付状態、及び第2の構造部材に対する支持部の取付状態を良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一方の構造物に対して他方の構造物の位置が比較的大きく変化した場合であっても、目地における止水性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る目地構造の断面を示す図である。
図2】第2実施形態に係る目地構造の断面を示す図である。
図3】第3実施形態に係る目地構造の断面を示す図である。
図4】第3実施形態に係る目地構造の変形例を示す図である。
図5】第1変形例に係る目地構造の断面を示す図である。
図6】第2変形例に係る目地構造の断面を示す図である。
図7】第3変形例に係る目地構造の断面を示す図である。
図8】第4変形例に係る目地構造の断面を示す図である。
図9】第5変形例に係る目地構造の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1に示されるように、目地構造1は、水圧が作用する構造物、すなわち被圧水条件下に設置される構造物に適用される。このような構造物として、例えば、沈埋函、防波堤ケーソン、防潮堤、水路、シールドトンネル、及びボックスカルバートなどが挙げられる。
【0018】
目地構造1は、第1のコンクリート壁2(第1の構造部材)と、第2のコンクリート壁3(第2の構造部材)とを含む。これらコンクリート壁2,3の間には、目地4が設けられている。そしてその目地4には、表面目地部6(止水部)と、縁切り部7(滑り部)と、バックアップ部8(支持部)とが設けられている。従って、目地構造1は、一対のコンクリート壁2,3と、表面目地部6と、縁切り部7と、バックアップ部8とを有する。
【0019】
第1のコンクリート壁2は、水圧作用面である第1の表面2aと、第1の裏面2bと、一対の第1の端面2cとを有する。第2のコンクリート壁3は、水圧作用面である第2の表面3aと、第2の裏面3bと、一対の第2の端面3cとを有する。第1の表面2a及び第2の表面3aは、例えば水又は水を含む地盤などに接触する面であり、水圧が作用する。この水圧は、例えば、0.1MPa以上0.3MPa以下である。第1の裏面2b及び第2の裏面3bは、第1の表面2a及び第2の表面3aに対して対向すると共に、気中に面する箇所であり、水圧が作用することはない。第1の端面2cは、第2の端面3cと対面する箇所である。第1の端面2cと第2の端面3cとの間には、目地4が形成される。この目地4によれば、地震などの外力が作用した時に発生するコンクリート壁2,3同士の相対的な位置の変化を許容し、コンクリート壁2,3を保護する。
【0020】
表面目地部6は、第1の端面2cと第2の端面3cとに水密に取り付けられ、目地4における水密性を確保する。また、表面目地部6は、第1のコンクリート壁2に対する第2のコンクリート壁3の相対的な位置の変化に対応して変形する。この位置の変化には、目地4の幅W1が縮小又は拡大するように第1のコンクリート壁2に対して第2のコンクリート壁3が移動する変化と、第1のコンクリート壁2に対して第2のコンクリート壁3が垂直方向にずれるように移動する変化と、第1のコンクリート壁2に対して第2のコンクリート壁3が水平方向にずれるように移動する変化と、があり得る。表面目地部6は、これらの位置変化に対応して柔軟に変形し、第1の端面2cと第2の端面3cとにおける接着状態を維持することにより、水密性を確保する。
【0021】
表面目地部6は、目地4において水圧が作用する第1の表面2a及び第2の表面3a側に配置されている。表面目地部6は、水圧作用面である第3の表面6aと、第3の裏面6bとを有する。第3の表面6aは、第1の表面2a及び第2の表面3aと連続する面である。表面目地部6は、第3の表面6aと第3の裏面6bとを連結する一対の第3の端面6cを有し、第3の端面6cのそれぞれが第1の端面2c及び第2の端面3cに接着されている。表面目地部6の接着性を高めるために、第1の端面2c及び第2の端面3cには接着用のプライマが必要に応じて塗布されている。
【0022】
表面目地部6は、コンクリート壁2,3との接着性と、変形に対応するための変形追従性との観点から、高伸長性を有する樹脂材料が用いられる。この樹脂材料として、シリコーンが挙げられる。例えば、表面目地部6として用いられるシリコーンは、目地4の幅W1に対して10倍程度の変形性能を有する。一例として、最大荷重時の伸び率が1000%以上1200%以下である。なお、シリコーンが有する伸び率は、これらの値に限定されることはない。
【0023】
表面目地部6が許容可能な伸び量は、シリコーンの許容伸び率と、目地4の幅W1とによる。従って、想定される目地4の伸び量を設計条件として、当該伸び量を満たすようなシリコーンの許容伸び率と、目地4の幅W1とが設定される。表面目地部6は、流動性を有するシリコーン材料を目地4に流し込むことにより形成される。流動性を有するシリコーン材料は、硬化促進剤を含んでおり、目地4に隙間なく且つ容易に充填させることができるように、当該硬化促進剤の量が調整されている。
【0024】
縁切り部7は、目地4において表面目地部6の第3の裏面6b側に配置されている。縁切り部7は、表面目地部6の第3の裏面6bに接する第4の表面7aと、第4の表面7aと対向する第4の裏面7bとを有する。縁切り部7は、表面目地部6とバックアップ部8との縁を切るためのものである。従って、縁切り部7の第4の表面7aと表面目地部6の第3の裏面6bとの間、及び、縁切り部7の第4の裏面7bと後述するバックアップ部8の第5の表面8aとの間の少なくとも一方は、一方の面に対して他方の面が固定されておらず、一方の面に対して他方の面が滑る。なお、縁切り部7における一対の第4の端面7cは、コンクリート壁2,3の第1の端面2c及び第2の端面3cにそれぞれ取り付けられていてもよいし、取り付けられていなくてもよい。縁切り部7には、例えば、ポリエチレンシートといったシート状の材料が用いられる。この構成によれば、目地4の幅W1が広がったとき、表面目地部6に生じる伸びと、縁切り部7とに生じる伸びとは一致しない。また、バックアップ部8に生じる伸びと、縁切り部7とに生じる伸びとは一致しない。
【0025】
縁切り部7が配置されていることにより、表面目地部6は、いわゆる二面拘束と呼ばれる構成を有する。具体的には、表面目地部6における一対の第3の端面6cがそれぞれコンクリート壁2,3の第1の端面2c及び第2の端面3cに拘束されているが、表面目地部6の第3の裏面6bが拘束されていない。
【0026】
ここで、表面目地部6の伸び率とバックアップ部8の伸び率が異なる場合には、伸びに対して発生する内部応力が異なる。表面目地部6とバックアップ部8とが互いに接着されている場合には、この内部応力の差に起因して、一方が他方に影響を及ぼすことが想定される。本実施形態の目地構造1では、表面目地部6とバックアップ部8とは縁が切られているので、内部応力の差に起因して一方が他方に影響を及ぼすことがない。
【0027】
バックアップ部8は、目地4において縁切り部7の第4の裏面7b側に配置されている。バックアップ部8は、縁切り部7の第4の裏面に接する第5の表面8aと、第5の表面8aと対向する第5の裏面8bとを有する。また、第5の表面8aと第5の裏面8bとの間における一対の第5の端面8cは、第1の端面2c及び第2の端面3cにそれぞれ接着されている。また、バックアップ部8は、表面目地部6と同等の許容可能な伸び量を有する。上述したように、この伸び量は、バックアップ部8を構成する材料の許容伸び率と、目地4の幅W1とによる。従って、想定される目地4の伸び量を設計条件として、バックアップ部8を構成する材料の許容伸び率と、目地4の幅W1とが設定される。バックアップ部8に用いられる材料として、例えば、発泡合成樹脂や高流動シリコーンが挙げられる。発泡合成樹脂は、第1のコンクリート壁2と第2のコンクリート壁3との間の位置変化が小さいと予想される箇所に用いることができる。また、高流動シリコーンは、第1のコンクリート壁2と第2のコンクリート壁3との間の位置変化が大きいと予想される箇所に用いることができる。
【0028】
表面目地部6に水圧が作用したとき、表面目地部6はその厚さ方向に沿って変形する。バックアップ部8は、水圧に起因する表面目地部6のこの変形を妨げるためのものである。従って、単位入力あたりのバックアップ部8の変形量は、表面目地部6の変形量よりも小さい。このような構成として、例えば、表面目地部6の材料が有するヤング率よりも大きいヤング率を有する材料を、バックアップ部8の構成材料として選択してもよい。すなわち、表面目地部6の材料よりも堅い材料を選択してもよい。また、バックアップ部8の厚みを表面目地部6の厚みよりも大きくしてもよい。すなわち、バックアップ部8の断面形状に基づく断面二次モーメントを高めるような形状としてもよい。
【0029】
目地構造1では、一対のコンクリート壁2,3の間に目地4が形成されている。当該目地4には、水圧が作用する側から表面目地部6と縁切り部7とバックアップ部8とがこの順に配置されている。縁切り部7は、一対のコンクリート壁2,3に対して水密に取り付けられているので、目地構造1は表面目地部6によって止水性を確保できる。ここで、第1のコンクリート壁2に対して第2のコンクリート壁3の位置が変化した場合に、止水性を確保し続けるためには、表面目地部6が位置変化に対応して変形する必要がある。このような変形によれば、第1のコンクリート壁2における第1の端面2cと表面目地部6との間の水密状態を確保し続けることができる。また、このような変形によれば、第2のコンクリート壁3の第2の端面3cと表面目地部6との間の水密状態とが確保されるので、止水性を確保し続けることができる。
【0030】
一対のコンクリート壁2,3の間における比較的大きい位置の変化に対応するためには、表面目地部6の許容可能な伸び量を高めればよい。一方、表面目地部6の伸び量が高い場合には、表面目地部6の第3の表面6aに水圧が作用したときに表面目地部6が変形しやすくなり、コンクリート壁2,3と表面目地部6との水密状態を確保できなくなる虞がある。しかし、この目地構造1では、水圧による表面目地部6の変形がバックアップ部8によって妨げられるので、伸び量の高い表面目地部6を適用しても第1のコンクリート壁2と表面目地部6との水密状態及び第2のコンクリート壁3と表面目地部6との水密状態を確保し続けることができる。従って、バックアップ部8を備える目地構造によれば、表面目地部6の伸び量を高めることができるので、比較的大きい第1のコンクリート壁2と第2のコンクリート壁3の位置変化が生じたときに止水性を確保し続けることができる。
【0031】
さらに、表面目地部6とバックアップ部8との間には縁切り部7が設けられているので、第1のコンクリート壁2に対する第2のコンクリート壁3の位置変化に起因して表面目地部6が変形するとき、表面目地部6はバックアップ部8に対して縁切り部7によって縁が切られた状態である。従って、表面目地部6の変形に対してバックアップ部8の変形が影響を及ぼすことがない。よって、表面目地部6とバックアップ部8との間に縁切り部7を備える目地構造1によれば、表面目地部6における高い伸び量を確保することができるので、比較的大きいコンクリート壁2,3の位置変化が生じたときに止水性をより良好に確保し続けることができる。
【0032】
バックアップ部8の剛性は、表面目地部6部の剛性よりも大きい。この構成によれば、剛性が高いバックアップ部8の方が表面目地部6よりも変形しにくい。従って、水圧に起因する表面目地部6の変形を良好に妨げることができる。
【0033】
表面目地部6は、シリコーンにより形成されている。シリコーンにより形成された表面目地部6によれば、高い伸び率を確保することができる。
【0034】
バックアップ部8は、目地4に充填された樹脂材料により形成されている。第1のコンクリート壁2に対する第2のコンクリート壁3の位置変化は、第1の端面2cに対して第2の端面3cが離間又は近接する変化と、第1の端面2cに対して第2の端面3cが鉛直方向にずれる変化と、第1の端面2cに対して第2の端面3cが水平方向にずれる変化と、を含む。目地4に樹脂材料が充填されたバックアップ部8によれば、これら3つの態様を含む位置変化に良好に対応することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る目地構造1は、ボックスカルバートのように閉合された目地の場合や、防潮堤のように閉合されない目地の場合にも端部の止水処理を容易に行うことができる。
【0036】
また、縁切り部7上に表面目地部6が形成されているので、目地構造1を補修する際に、表面目地部6を容易に取り除くことが可能である。従って、目地構造1の補修を容易に行うことができる。
【0037】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る目地構造にについて説明する。図2に示されるように、第2実施形態に係る目地構造1Aは、目地4における表面目地部6Aの構成が第1実施形態に係る目地構造1と相違する。縁切り部7とバックアップ部8とについては、第1実施形態と同様である。表面目地部6Aの幅W2は、縁切り部7及びバックアップ部8の幅W1とは異なる。具体的には、表面目地部6の幅W2は、縁切り部7及びバックアップ部8の幅W1より大きい。
【0038】
プレキャスト製の第1のコンクリート壁2Aにおける第1の端面2cは、第1の止水取付部9aと、第1の支持取付部9bと、を有する。第1の止水取付部9aは、第1の表面2aの側に設けられ、表面目地部6Aが取り付けられる。第1の支持取付部9bは、バックアップ部8が取り付けられる。同様に、第2のコンクリート壁3Aにおける第2の端面3cは、第2の止水取付部11aと、第2の支持取付部11bと、を有する。第2の止水取付部11aは、第2の表面3aの側に設けられ、表面目地部6Aが取り付けられる。また、第2の止水取付部11aは、第1の止水取付部9aと対面する。第2の支持取付部11bは、バックアップ部8が取り付けられ、第1の支持取付部9bと対面する。
【0039】
第1の止水取付部9aから第2の止水取付部11aまでの距離(幅W2)は、第1の支持取付部9bから第2の支持取付部11bまでの距離(幅W1)よりも長い。従って、第1の止水取付部9a及び第1の支持取付部9bによれば、第1のコンクリート壁2Aには第1の切り欠き部2dが形成される。また、第2の止水取付部11a及び第2の支持取付部11bによれば、第2のコンクリート壁3Aには第2の切り欠き部3dが形成される。
【0040】
表面目地部6Aは、第1の止水取付部9aと第2の止水取付部11aとに接着されている。さらに、表面目地部6Aは、第1の止水取付部9aと第1の支持取付部9bとの間に形成された第1の切り欠き部2dと、第2の止水取付部11aと第2の支持取付部11bとの間に形成された第2の切り欠き部3dと、にも接着されている。
【0041】
目地構造1Aによれば、表面目地部6Aは、コンクリート壁2A,3Aに対して端面同士の接着に加えて、表面目地部6Aにおける第3の裏面6bの一部が第1の切り欠き部2dと第2の切り欠き部3dとに接着されている。接着面積が増加すると、コンクリート壁2A,3Aに対する表面目地部6Aの取付強度が高まる。従って、コンクリート壁2A,3Aに位置変化が生じたときに表面目地部6Aとコンクリート壁2A,3Aとの間の止水性を好適に確保し続けることができる。
【0042】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る目地構造について説明する。図3に示されるように、第3実施形態に係る目地構造1Bは、目地4における縁切り部7Bとバックアップ部8Bの構成が第1実施形態に係る目地構造1と相違する。表面目地部6Bは、縁切り部7B及びバックアップ部8Bとは異なる幅を有する。具体的には、表面目地部6Bの幅W2は、縁切り部7B及びバックアップ部8Bの幅W1より小さい。
【0043】
プレキャスト製の第1のコンクリート壁2Bにおける第1の端面2cは、第3の止水取付部12aと、第3の支持取付部12bと、を有する。第3の止水取付部12aは、第1の表面2aの側に設けられ、表面目地部6Bが取り付けられる。第3の支持取付部12bは、バックアップ部8Bが取り付けられる。同様に、第2のコンクリート壁3Bにおける第2の端面3cは、第4の止水取付部13aと、第4の支持取付部13bと、を有する。第4の止水取付部13aは、第2の表面3aの側に設けられ、表面目地部6Bが取り付けられる。また、第4の止水取付部13aは、第3の止水取付部12aと対面する。第4の支持取付部13bは、バックアップ部8Bが取り付けられ、第3の支持取付部12bと対面する。
【0044】
第3の止水取付部12aから第4の止水取付部13aまでの距離(幅W2)は、第3の支持取付部12bから第4の支持取付部13bまでの距離(幅W1)よりも短い。
【0045】
ここで、表面目地部6B及びバックアップ部8Bの伸び量は、それぞれの材料が有する伸び率と幅W1,W2とに基づく。この構造によれば、第3の支持取付部12bと第4の支持取付部13bとの間に設けられたバックアップ部8Bの幅W1は、第3の止水取付部12aと第4の止水取付部13aとの間に設けられた表面目地部6Bの幅W2よりも大きい。そうすると、バックアップ部8Bの伸び率が表面目地部6Bの伸び率と同じ場合には、変形に起因してバックアップ部8Bに生じる負荷が小さくなる。従って、第1のコンクリート壁2Bに対するバックアップ部8Bの取付状態、及び第2のコンクリート壁3Bに対するバックアップ部8Bの取付状態を良好に維持すると共にバックアップ部8B自身の損傷を防止することができる。
【0046】
また、バックアップ部8Bの幅W1が表面目地部6Bの幅W2よりも大きいので、バックアップ部8Bの許容可能な伸び量を設定する場合、表面目地部6Bの伸び率よりも小さい伸び率を有する材料を選択することが可能になる。従って、バックアップ部8Bを構成する材料の選択が容易になる。
【0047】
なお、第3の止水取付部12a及び第4の止水取付部13aは、コンクリート壁2B,3Bに形成されたものに限定されない。例えば、図4に示されるように第3の止水取付部12a及び第4の止水取付部13aは、コンクリート壁2,3の第1の表面2a及び第2の表面3a上に配置された金属製の板材によって構成されてもよい。この構成では、一対のコンクリート壁2,3の間に形成された目地4の幅W1よりも、鋼製である一対の金属板14の間における幅W3を小さくすればよい。この構成によれば、施工が容易になる。
【0048】
なお、上述した実施形態は本発明に係る目地構造の一例を示すものである。本発明に係る目地構造は、実施形態に係る目地構造に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、変形し又は他のものに適用したものであってもよい。
【0049】
<第1変形例>
例えば、図5に示されるように、第1変形例に係る目地構造1Dは、第1のコンクリート壁2Dが端面鋼鈑16(金属板)を有していてもよい。第1のコンクリート壁2Dは、第1の表面2aを含むコンクリート製の本体部17と、第1の端面2cを含む端面鋼鈑16と、を有する。表面目地部6における第3の端面6cは、端面鋼鈑16に対して水密に取り付けられている。同様に、バックアップ部8は、端面鋼鈑16に対して取り付けられている。ところで、目地構造を施工するときには、表面目地部やバックアップ部などをコンクリート壁に接着するので、それぞれのコンクリート壁は接着可能な程度に硬化している必要がある。そうすると、一方のコンクリート壁が既設であって、他方のコンクリート壁を新設したときには、コンクリート壁を打設した後に接着可能な程度に硬化するまでの待ち時間が発生することがあり得る。しかし、第1変形例に係る目地構造1Dは、第1のコンクリート壁2Dが端面鋼鈑16を有し、端面鋼鈑16が第1の端面2cを形成する。従って、表面目地部6及びバックアップ部8を取り付け可能な程度に第1のコンクリート壁2Dの本体部17が硬化する時間よりも早く、表面目地部6及びバックアップ部8を第1のコンクリート壁2Dに対して取り付ける施工が可能になる。従って、目地構造1Dの施工期間を短縮することができる。
【0050】
<第2変形例>
例えば、図6に示されるように、第2変形例に係る目地構造1Eは、一対のコンクリート壁2E,3Eが脱落防止用の突起18,19を有していてもよい。突起18は、第1のコンクリート壁2Eにおける第1の裏面2bの側に設けられている。そして、突起18は、第1の端面2cから第2の端面3cに向かって突出している。また、突起19は、第2のコンクリート壁3Eにおける第2の裏面3bの側に設けられている。そして、突起19は、第2の端面3cから第1の端面2cに向かって突出している。突起18,19の間に形成される隙間は、想定されるコンクリート壁2E,3Eの位置変化の大きさよりも大きくなるように設定される。この構成によれば、水圧が作用したときにおけるバックアップ部8の脱落を防止できると共に、バックアップ部8の剛性を高めることに寄与し得る。
【0051】
<第3変形例>
例えば、図7に示されるように、第3変形例に係る目地構造1Fは、バックアップ部8Fが空隙部21を含んでいてもよい。この空隙部21は、例えば塩ビパイプなどにより形成される。バックアップ部8Fの厚みは、表面目地部6の厚みよりも大きくなることがあり得るので、バックアップ部8Fの形成には多量の樹脂材料を必要とする。そこで、この空隙部21によれば、バックアップ部8Fの形成に要する樹脂材料を低減することが可能になる。また、塩ビパイプなどは、バックアップ部8Fよりも剛性が高いので、バックアップ部8Fにおける表面目地部6の支持能力を高めることができる。
【0052】
<第4変形例>
例えば、図8に示されるように、第4変形例に係る目地構造1Gは、バックアップ部8Gが、複数のバックアップ層22と縁切り層23とを有する積層構造を有していてもよい。バックアップ層22が表面目地部6と同程度の厚みとされることにより、位置変化の追従性をより高めることができる。
【0053】
<第5変形例>
例えば、図9に示されるように、第5変形例に係る目地構造1Hは、バックアップ部8Hが複数の発泡合成樹脂部24を含んでいてもよい。発泡合成樹脂部24は、目地4の奥行方向に互いに離間して複数配置されている。この構成によっても、第4変形例に係る目地構造1と同様に、位置変化の追従性をより高めることができる。
【符号の説明】
【0054】
1…目地構造、2…第1のコンクリート壁(第1の構造部材)、2a…第1の表面、2d…第1の切り欠き部、3…第2のコンクリート壁(第2の構造部材)、3a…第2の表面、3d…第2の切り欠き部、4…目地、6…表面目地部(止水部)、6a…第3の表面、7…縁切り部(滑り部)、8…バックアップ部(支持部)、9a…第1の止水取付部、9b…第1の支持取付部、11a…第2の止水取付部、11b…第2の支持取付部、12a…第3の止水取付部、12b…第3の支持取付部、13a…第4の止水取付部、13b…第4の支持取付部、14…金属板、16…端面鋼鈑(金属板)、17…本体部。
図1
図2
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図7
図8
図9