特開2017-187384(P2017-187384A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-187384渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法及びその測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-187384(P2017-187384A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法及びその測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
   G01B7/00 W
   G01B7/00 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-76409(P2016-76409)
(22)【出願日】2016年4月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年11月12日 第24回MAGDAコンファレンス in Tohoku ‐ 電磁現象及び電磁力に関するコンファレンス ‐ 講演論文集 発行者:第24回MAGDAコンファレンス実行委員会 平成27年11月12日 MAGDA2015 第24回MAGDAコンファレンス in Tohoku 平成28年 3月 9日 http://mizunolab.shinshu−u.ac.jp/researchcontents/sensor.html
(71)【出願人】
【識別番号】501465757
【氏名又は名称】新川センサテクノロジ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区麹町4丁目3−3 新麹町ビル3階
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
【住所又は居所】長野県松本市旭三丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】特許業務法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】旭 尊史
【住所又は居所】広島県東広島市吉川工業団地4番22号 新川センサテクノロジ株式会社広島工場内
(72)【発明者】
【氏名】榎木 茂実
【住所又は居所】広島県東広島市吉川工業団地4番22号 新川センサテクノロジ株式会社広島工場内
(72)【発明者】
【氏名】水野 勉
【住所又は居所】長野県長野市若里四丁目17番1号 国立大学法人信州大学工学部内
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063AA06
2F063AA30
2F063BA13
2F063BB05
2F063BC10
2F063DA01
2F063DA05
2F063DB04
2F063DD04
2F063GA08
(57)【要約】
【課題】レール変位を測定するコイルと摩耗を測定するコイルを併せて用い、その測定結果を演算処理することで、軌道検測車に搭載して走行中にレール変位とレール摩耗を迅速に、かつ正確に測定する。
【解決手段】コイル1(Co1)とコイル2(Co2)を有するレール変位センサ2を用いて、レールRの変位x及びリフトオフzに依拠して変化するインピーダンス変化を出力電圧Voとして出力させ、この出力電圧Voを測定することにより該レールRの変位xを検出し、コイル3(Co3)を有する摩耗センサ3を用いて、レールRの摩耗量Laに依拠して変化するインピーダンス変化を出力電圧Voとして出力させ、この出力電圧Voを測定することによりレールRの摩耗量Laを検出し、コイル1とコイル2に関する電圧VTと、コイル3に関する電圧VRの差分をとり摩耗検出電圧VLaを得、この摩耗検出電圧VLaからレールRの摩耗の有無を判別する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルに電流を流してレール(R)に渦電流を発生させ、該レール(R)の変位と摩耗を測定する渦電流形センサ(1)を用いたレール摩耗測定方法であって、
コイル1(Co1)とコイル2(Co2)を有するレール変位センサ(2)を用いて、前記レール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力電圧(Vo)として出力させ、この出力電圧(Vo)を測定することにより該レール(R)の変位(x)を検出し、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)により測定した出力電圧(Vo)について、変位補正及び直線化を行い、
コイル3(Co3)を有する摩耗センサ(3)を用いて、前記レール(R)の摩耗量(La)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力電圧(Vo)として出力させ、この出力電圧(Vo)を測定することにより該レール(R)の摩耗量(La)を検出し、
前記コイル3(Co3)により測定した出力電圧(Vo)について、変位補正および直線化を行い、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)に関する電圧(VT)と、前記コイル3(Co3)に関する電圧(VR)の差分をとり摩耗検出電圧(VLa)を得、この摩耗検出電圧(VLa)から前記レール(R)の摩耗の有無を判別する、ことを特徴とする渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法。
【請求項2】
前記レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)は、前記レール(R)の長手方向に対してそれぞれ横変位方向に互いに対向配置して測定する、ことを特徴とする請求項1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法。
【請求項3】
レール(R)の変位と摩耗について、軌道検測車に装備して走行しながら非接触で測定する渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置であって、
前記レール(R)の変位を測定するための、該レール(R)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させるコイル1(Co1)とコイル2(Co2)から成るレール変位センサ(2)と、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)に隣接する位置に備えられた、前記レール(R)の摩耗を測定するための、該レール(R)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させるコイル3(Co3)から成る摩耗センサ(3)と、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の出力信号を増幅する増幅器(23)と、前記コイル3(Co3)の出力信号を増幅する増幅器(23)と、
前記コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の出力信号と、前記コイル3(Co3)の出力信号を演算処理する変換器(22)と、を備え、
前記変換器(22)により、前記コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)に関する電圧(VT)と、前記コイル3(Co3)に関する電圧(VR)の差分をとり摩耗検出電圧(VLa)を得、この摩耗検出電圧(VLa)から前記レール(R)の摩耗の有無を判別するように構成された、ことを特徴とする渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置。
【請求項4】
前記レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)とコイル2(Co2)は、三角形状のコイルであり、
前記摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)は、長方形状のコイルである、ことを特徴とする請求項3の渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道軌道に用いられるレールの変位を検出する際に渦電流形センサを用いてレールの摩耗を測定する測定技術に係り、特に車両を走行させながらレールに接触することなく、このレールの変位と摩耗を検出することができる渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法及びその測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
毎日数百回と通過する列車等の車両を支える軌道(レール)は、列車の車輪との摩擦によって摩耗が生ずる。レールの摩耗は、列車通過時のレールに印加される重量、列車の種類、運転条件及びレールの保守状態、レール塗油の有無、勾配、降雨・降雪、湿度、気温等の様々な環境要因に起因している。また、レールは列車等の走行により横方向のズレが生じる。即ちレール頭頂面と側面の位置がずれてくる。列車等の走行の安全性を高めるために保線作業を実施する必要が生じる。
このように鉄道軌道のレールは、毎日少しずつ摩耗している。安全の観点から、そのレールの摩耗程度を定期的に数値で管理し効果的に維持、補修することが必要である。レールの摩耗が大きく進行すると、レールを交換する必要がある。
【0003】
従来のレールの摩耗量を測定する方法としては、現地に出向きレール摩耗定規などの測定器で人の手によって行う方法がある。摩耗によるレール形状の変化は、千差万別であり、かつ測定対象であるレールは数多く存在することから、検測車などの鉄道車両走行中にレール摩耗を測定する方法が望ましい。例えば鉄道の軌道メンテナンスにおいて、レールの軌間や通り狂いを測定する軌道検測車に降雨や積雪に影響が少ない渦電流形レール変位センサが用いられる。この渦電流形レール変位センサは、非接触でレールの横方向のズレに対応した電圧を出力するセンサである。渦電流形レール変位センサはコイル、同軸ケーブル及び出力電圧回路から構成されている。これまでレールの摩耗による形状変化が渦電流形レール変位センサの出力に影響を及ぼすことも確認されている。
【0004】
レールのズレ、即ち変位量について車両を走行させながらレールに非接触で検出する方法に関する技術が種々提案されている。例えば特許文献1の特開2013−238516号公報「渦電流式レール左右変位検出方法及び装置」のように、レール長手方向中心線から一定間隔を隔てて左右に設置された1対の検知コイル手段を高周波の共振電流で励磁し、前記1対の検知コイル手段のインピーダンス変化を直流電圧に変換し、その直流電圧をディジタル信号に変換し、変換後のディジタル信号の電圧値に基づいて前記レールと前記1対の検知コイル手段との間の左右変位を検出する渦電流式レール左右変位検出方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−238516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の「渦電流式レール左右変位検出方法及び装置」では鉄道の車輪とレールとの接触部の摩擦から生じるレール頭頂部の摩耗量の大きさにより、レール変位出力が影響することがあり、精度の高い測定ができないという問題を有していた。例えば、鉄道軌道におけるカーブ箇所では、このカーブの外側に位置するレールの内側に、荷重の偏在により摩耗量が大きくなりやすい。
【0007】
本発明の発明者らは、鉄道の車輪とレールとの接触部の摩擦から生じるレール頭頂部の摩耗量の大きさにより、レール変位出力が影響することに着目した。そこで、レール変位とレールの摩耗を同時に測定すればレール摩耗についてより正確に測定できると考えた。摩耗によるレール形状の変化は千差万別であり、かつ数多く存在する測定対象であるレールについて、その変位と摩耗を迅速に検出できると考えた。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、レール変位を測定するコイルと摩耗を測定するコイルを併せて用い、その測定結果を演算処理することで、軌道検測車に搭載して走行中にレール変位とレール摩耗を迅速に、かつ正確に測定することができる渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法及びその測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のレール摩耗測定方法は、コイルに電流を流してレール(R)に渦電流を発生させ、該レール(R)の変位と摩耗を測定する渦電流形センサ(1)を用いたレール摩耗測定方法であって、
コイル1(Co1)とコイル2(Co2)を有するレール変位センサ(2)を用いて、前記レール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力電圧(Vo)として出力させ、この出力電圧(Vo)を測定することにより該レール(R)の変位(x)を検出し、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)により測定した出力電圧(Vo)について、変位補正及び直線化を行い、
コイル3(Co3)を有する摩耗センサ(3)を用いて、前記レール(R)の摩耗量(La)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力電圧(Vo)として出力させ、この出力電圧(Vo)を測定することにより該レール(R)の摩耗量(La)を検出し、
前記コイル3(Co3)により測定した出力電圧(Vo)について、変位補正および直線化を行い、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)に関する電圧(VT)と、前記コイル3(Co3)に関する電圧(VR)の差分をとり摩耗検出電圧(VLa)を得、この摩耗検出電圧(VLa)から前記レール(R)の摩耗の有無を判別する、ことを特徴とする。
例えば、前記レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)は、前記レール(R)の長手方向に対してそれぞれ横変位方向に互いに対向配置して測定する。
【0010】
本発明のレール摩耗検出装置は、レール(R)の変位と摩耗について、軌道検測車に装備して走行しながら非接触で測定する渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置であって、
前記レール(R)の変位を測定するための、該レール(R)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させるコイル1(Co1)とコイル2(Co2)から成るレール変位センサ(2)と、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)に隣接する位置に備えられた、前記レール(R)の摩耗を測定するための、該レール(R)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させるコイル3(Co3)から成る摩耗センサ(3)と、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の出力信号を増幅する増幅器(23)と、前記コイル3(Co3)の出力信号を増幅する増幅器(23)と、
前記コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の出力信号と、前記コイル3(Co3)の出力信号を演算処理する変換器(22)と、を備え、
前記変換器(22)により、前記コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)に関する電圧(VT)と、前記コイル3(Co3)に関する電圧(VR)の差分をとり摩耗検出電圧(VLa)を得、この摩耗検出電圧(VLa)から前記レール(R)の摩耗の有無を判別するように構成された、ことを特徴とする。
例えば、前記レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)とコイル2(Co2)は、三角形状のコイルであり、
前記摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)は、長方形状のコイルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレール摩耗測定方法では、レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)、摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)の各コイルに高周波電流を供給し、レール(R)の表面に渦電流を発生させる。渦電流によリそれぞれのコイルのインピーダンスが変化するので、その変化に対応した直流電圧信号が出力される。レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の二個のコイルがレール(R)の長手方向に対して横変位方向に互いに対向して配置されているため、コイル1(Co1)又はコイル2(Co2)の一方がレール(R)に近づく方向に動くと、他方のコイル(Co1又はCo2)は遠ざかる方向に動く。そのためコイル1(Co1)の出力信号とコイル2(Co2)の出力信号は、レール(R)の中心(RC)を対称軸として特性的に逆の変化をする。
これらの出力された信号を増幅して出力信号として取り出す。この信号を演算処理(レール(R)とコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)間の高さ補正・リニアライズ)することにより、レール(R)の中心(RC)に対するコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の横変位(×)に対してリニアな出力信号として取り出すことによりレール(R)の変位(ズレ)を検出することができる。
【0012】
一方、摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)が、レール(R)とこの摩耗センサ(3)(コイル3(Co3))との間隔を測定し、間隔が広い(長い)ときは、コイル3(Co3)の出力信号が変化し、その部分は摩耗されたことを意味する。これらの出力された信号を増幅して出力信号として取り出す。この信号を演算処理(レール(R)と摩耗センサ(3)間の高さ補正・リニアライズ)することにより、レール(R)の摩耗量としてリニアな出力信号として取り出す。これによりレール(R)の摩耗量(La)を検出することができる。
更に、レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)に関する電圧(VT)と、摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)に関する電圧(VR)の差分をとり摩耗検出電圧(VLa)を得る。この摩耗検出電圧(VLa)からレール(R)の摩耗の有無を判別することができる。
【0013】
本発明のレール摩耗検出装置では、渦電流形センサ(1)はレール変位センサ(2)と摩耗センサ(3)とを備えているので、このレール変位センサ(2)のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)でレール変位を測定し、摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)で摩耗を測定する。それぞれのコイルで出力された出力信号を変換器(22)で演算処理することにより、レール(R)の変位と摩耗量を検出することができる。従来のように、現地に出向きレール摩耗定規などの測定器で人の手によって行なう煩雑な作業を省くことができる。
本発明のレール摩耗検出装置は、軌道検測車に搭載することにより走行中にレール変位とレール摩耗を併せて測定することできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略正面図である。
図2】実施例1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略平面図である。
図3】実施例1の 渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略側面図である。
図4】レール変位センサのコイル1及びコイル2により摩耗有りのレールを測定する状態を示す説明図であり、(a)はコイル1で測定する状態、(b)はコイル2で測定する状態である。
図5】レール変位センサを構成するコイル1の出力回路の一例を示す回路図である。
図6】本発明の摩耗検出方法を示すフローチャートである。
図7】本発明のレール変位センサで測定したレールの出力電圧特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しのレールの場合、(b)は摩耗有りのレールの場合である。
図8】コイル1とコイル2の出力電圧と変位xの特性を示すグラフである。
図9】レール変位センサのコイル1とコイル2を用いた場合の変位補正した出力電圧Vo’−リフトオフz特性を示すグラフである。
図10】摩耗無しのレールに対向した場合の変位補正した出力電圧特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しのレールの近似線、(b)はレール変位センサによる直線化電圧VT−リフトオフz特性である。
図11】摩耗センサのコイル3で測定したレールの出力電圧特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しのレールの場合、(b)は摩耗有りのレールの場合である。
図12】摩耗センサの長方形状のコイル3を用いた場合のレール摩耗センサの変位補正した出力電圧Vo’−リフトオフz特性を示すグラフである。
図13】x=0mmにおける変位補正後出力電圧Vo’−リフトオフz特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しレールの近似線を示し、(b)は反転電圧VR−リフトオフz特性を示す。
図14】摩耗量Laに依存する出力電圧VLa−摩耗量La特性を示すグラフである。
図15】摩耗検出電圧VLaと摩耗量La特性を示すグラフである。
図16】渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、コイルに電流を流してレールに渦電流を発生させ、インピーダンス変化を出力電圧として出力させることにより、レールの変位と摩耗を測定する渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法とその測定装置である。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
<レール摩耗測定方法の構成>
図1は実施例1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略正面図である。図2は実施例1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略平面図である。図3は実施例1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略側面図である。図4はレール変位センサのコイル1及びコイル2により摩耗有りのレールを測定する状態を示す説明図であり、(a)はコイル1で測定する状態、(b)はコイル2で測定する状態である。
本発明の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法には、レール変位センサ2と摩耗センサ3とから成る渦電流形センサ1を用いる。レール変位センサ2によるレール変位を測定するコイルの他に、摩耗を測定する摩耗センサ3のコイルを併せて用い、その測定結果を演算処理してレール変位とレール摩耗を迅速にかつ正確に測定する方法である。この渦電流形センサ1は軌道検測車に搭載して走行しながらレール変位とレール摩耗を測定する。
【0017】
本発明のレール摩耗測定方法では、レール変位センサ2のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)、摩耗センサ3のコイル3(Co3)の各コイルに高周波電流を供給し、レールRの表面に渦電流を発生させる。レールRの変位x及びリフトオフzに依拠して変化するインピーダンス変化を出力電圧Voとして出力させ、この出力電圧Voを測定する。このとき図1に示すように、レール変位を測定する際に、レール変位x=0mmはコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)のインピーダンスが一致する値として調整する。リフトオフz=25mmを基準とする。なお、これらの数値に限定されないことは勿論である。
これらの出力された信号を増幅して出力信号として取り出す。この信号を演算処理(レールRとレール変位センサ2間の高さ補正・リニアライズ)する。
【0018】
図2の平面図に示すように、レール変位センサ2のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)は、レールRの長手方向に対して横変位方向に互いに対向して配置されている。コイル1(Co1)又はコイル2(Co2)の一方がレールRに近づく方向に動くと、他方のコイル(Co1又はCo2)は遠ざかる方向に動く。そのためコイル1(C1)の出力信号とコイル2(Co2)の出力信号は、レールRの中心RCを対称軸として特性的に逆の変化をする。そこで、コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)からなるレール変位センサ2によりレールRの変位xを測定することができる。
【0019】
本発明のレール摩耗測定方法では、更に摩耗センサ3のコイル3(Co3)を用いて、レールRの摩耗量Laに依拠して変化するインピーダンス変化を出力電圧Voとして出力させ、この出力電圧Voを測定する。摩耗センサ3のコイル3(Co3)が、レールRとこの摩耗センサ3(コイル3(Co3))との間隔を測定し、間隔が広い(長い)ときは、コイル3(Co3)の出力信号が変化し、その部分は摩耗されたことを意味する。これらの出力された信号を増幅して出力信号として取り出す。この信号を演算処理(レールRと摩耗センサ3間の高さ補正・リニアライズ)することにより、レールRの摩耗量としてリニアな出力信号として取り出す。これによりレールRの摩耗量Laを検出することができる。
なお、図示例では1個の摩耗センサ3に構成したコイル3(Co3)は、この1個に限定されない。レール変位センサ2を挟むように2個配置することも可能である。測定精度を高めるために3個以上配置することも可能である。
【0020】
特に本発明ではレール変位センサ2のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)に関する直線化電圧VTと、摩耗センサ3のコイル3(Co3)に関する反転電圧VRの差分をとり摩耗検出電圧VLaを得る。この摩耗検出電圧VLaからレールRの摩耗の有無を判別することができる。
【0021】
<レール変位センサの出力回路の構成>
図5はレール変位センサを構成するコイル1の出力回路の一例を示す回路図である。
レール変位センサ2のコイル1(Co1)は、例えば図5に示すような構成のものを用いる。センサ部にコイル1(Co1)が組み込まれ、同軸ケーブル11、整流回路で構成される。コイル1(Co1)はインダクタンスLs及び、抵抗Rsの直列回路である。同軸ケーブル11は、インダクタンスLca(H)、及び、抵抗Rca(Ω)、及び静電容量Cca(F)からなる系とする。レール変位センサ2には、発振器から励磁角周波数ω(rad/s)の高周波励磁電圧Vi(V)、電流Ic(A)がある付加インピーダンスZa(=1/(ωC1))(Ω)を通して供給される。
【0022】
レール変位センサ2は、レールRとの距離(ギャップ)に比例した電圧を出力し、直流(静止した状態の距離)から高い周波数まで応答するため、非接触で変位・振動を測定する。レールRの表面に渦電流を発生させることで測定が可能となるため、レールRのような良導体である金属に限られる。また、その原理よりレールRの固有抵抗と透磁率の違い、つまり材質の違いにより特性が変わる。原理的に電流の流れない絶縁物は感知しないので、油や水がかかっても影響を受けないで測定が可能である。
これ以外のコイル2(Co2)又は摩耗センサ3のコイル3(Co3)も同様な構成である。
【0023】
<摩耗検出方法のフローチャート>
図6は本発明の摩耗検出方法を示すフローチャートである。
図6に示す摩耗検出方法のフローチャートでは変位x、リフトオフz及び摩耗量Laに依存するコイルの抵抗をRs,インダクタンスをLsとしている。電源からはEE10Vppの電圧を印加した。また、コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の三角形状のコイルの励振周波数はf=450kHz、コイル3(Co3)の長方形状のコイルはf=600kHzとした。レール変位センサ2の出力電圧VoはコンデンサC4の電圧を測定した値である。
【0024】
コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)に電流を流して磁束を生じさせてレールRに渦電流を発生させ、この渦電流による磁束により各コイル(Co1,Co2)のインピーダンスが変化し、コイル(Co1,Co2)のインピーダンスは、測定するレール(R)の変位x,リフトオフz及び摩耗量Laに依存して変化するので、このインピーダンス変化を出力電圧Voとして出力させ、レールRを測定することができる。
図6に示すように、レール変位センサ2(コイル1(Co1)及びコイル2(Co2))について出力電圧(Vo)を測定する。次に、この測定結果について変位補正Vo’を行い、直線化電圧VTを得る。
一方、摩耗センサ3(コイル3(Co3))について出力電圧(Vo)Vo’を測定する。次に、この測定結果について変位補正Vo’を行い、直線化電圧と反転電圧VRを得る。
【0025】
その後,レール変位センサ2(コイル1(Co1)とコイル2(Co2))に関する直線化電圧VTと摩耗センサ3(コイル3(Co3))に関する電圧VRの差分をとることで摩耗検出電圧VLaを得る。この摩耗検出電圧VLaから摩耗量Laを検出し、摩耗の有無を判別することができる。なお、図6における「α」は後述するように任意の定数(=19.5)である。
【0026】
<レール変位センサによる出力電圧特性について>
図7は本発明のレール変位センサで測定したレールの出力電圧特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しのレールの場合、(b)は摩耗有りのレールの場合である。
図7(a)に、本発明のレール変位センサ2の三角形状のコイル(コイル1(Co1)とコイル2(Co2))を用いた場合の摩耗無しのレールRに対向したレール変位センサ2の出力電圧特性を示す。
コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の出力電圧Voは変位x=0mmにおいて1%以下で一致した。なお、出力電圧Voはレール変位x=−30−30mm、リフトオフz=22−28mmの範囲で測定した。
【0027】
図7(b)に、本発明のレール変位センサ2の三角形状のコイル(コイル1(Co1)とコイル2(Co2))を用いた場合の摩耗有りのレールRに対向したレール変位センサ2の出力電圧特性を示す。摩耗無しのレールRと比較すると、コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の電圧一致点がx方向に2.7mm変位したことを示している。
【0028】
図8はコイル1とコイル2の出力電圧と変位xの特性を示すグラフである。
出力電圧Vo(コイル1)+Vo(コイル2)は変位xに対して三角関数的な変化を示した。図7に対して、三角関数を含んだ数1と数2の数式を用いて変位補正をした。
ここに、Vo(コイル1):コイル1の出力電圧実測値(V)、
Vo(コイル2):コイル2の出力電圧実測値(V)、
x:変位(mm)、
c,d,e:任意の定数を示す。
なお,定数c,d,eについては表1の値を用いた。
【0029】
【数1】
【0030】
【数2】
【0031】
【表1】
【0032】
図9はレール変位センサのコイル1とコイル2を用いた場合の変位補正した出力電圧Vo’−リフトオフz特性を示すグラフである。図10は摩耗無しのレールに対向した場合の変位補正した出力電圧特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しのレールの近似線、(b)はレール変位センサによる直線化電圧VT−リフトオフz特性である。
図10(a)に示すように、リフトオフz−変位補正した出力電圧Vo’特性に対して2次関数近似し、直線化電圧VTを求めると数3の数式のようになった。
【0033】
【数3】
【0034】
<摩耗センサによる出力電圧特性について>
図11は摩耗センサのコイル3で測定したレールの出力電圧特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しのレールの場合、(b)は摩耗有りのレールの場合である。
図11(a)に、摩耗センサ3の長方形状のコイルを用いた場合の摩耗無しレールRに対向した摩耗センサ3の出力電圧特性を示す。なお,出力電圧はレール変位x=−30−30mm,リフトオフz=22−28mmの範囲で測定した。
図11(b)に、長方形状のコイルを用いた場合の摩耗有りレールに対向した摩耗センサ3の出力電圧特性を示した。長方形状のコイルを用いた摩耗センサ3の出力電圧の変位補正式は数4の数式のようになる。なお,定数c,d,eについては表1の値を用いた。
【0035】
【数4】
【0036】
図12は摩耗センサ3の長方形状のコイル3を用いた場合のレール摩耗センサの変位補正した出力電圧Vo’−リフトオフz特性を示すグラフである。図13はx=0mmにおける変位補正後出力電圧Vo’−リフトオフz特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しレールの近似線を示し、(b)は反転電圧VR−リフトオフz特性を示す。
図13(a)に示すように,変位補正後出力電圧Vo’−リフトオフz特性に対して2次関数近似すると、数5の数式のようになる。同式を用いて変位補正後出力電圧Vo’の反転電圧VRを求めた。
【0037】
【数5】
【0038】
図13(b)に反転電圧VR−リフトオフz特性を示した。
Vo’−z特性の傾きが反転したことが示されている。
【0039】
<摩耗センサを用いた摩耗量検出方法について>
図14は摩耗量Laに依存する摩耗検出電圧VLa−摩耗量La特性を示すグラフである。
摩耗検出電圧VLaは数6の数式を用いて計算した。摩耗有りレールにおいて、リフトオフz及び変位xに依存するばらつきが大きく、最大29.9%のばらつきがあった。これは、変位補正時に生じたばらつきが原因であると考えられる。摩耗無しにおける出力電圧と摩耗有りにおける出力電圧との差は3.8Vあり、摩耗の有無の判定は可能であると考えられる。
【0040】
【数6】
【0041】
<摩耗センサの出力電圧特性について>
レール変位センサ2のコイル1(Co1)とコイル2(Co2)を用いて出力電圧を測定した場合、コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の出力電圧の和は三角関数的に変化した。三角関数を含んだ変位補正式によってコイル1(Co1)とコイル2(Co2)を用いた変位補正電圧が得られた。
摩耗センサ3のコイル3(Co3)を用いて出力電圧を測定した場合,その特性は三角関数的に変化した。三角関数を含んだ変位補正式によって,コイル3(Co3)を用いた変位補正電圧が得られた。
【0042】
レール変位センサ2のコイル1(Co1)とコイル2(Co2)を用いた直線化電圧と摩耗センサ3のコイル3(Co3)を用いた反転電圧との差分を計算した。その差分は3.8V、ばらつきは最大で29.9%となった。即ち軌道検測車でのレール摩耗の測定を可能にした。
【0043】
<摩耗検出電圧と摩耗量との関係>
図15は摩耗検出電圧VLaと摩耗量La特性を示すグラフである。
摩耗検出電圧と摩耗量との関係は、図15に示すように、摩耗量Laの増大に応じて摩耗検出電圧VLaが比例して増大した。なお,リフトオフzを25mmで測定した。
【実施例2】
【0044】
<レール摩耗検出装置の構成>
図16は渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置の概略構成図である。
実施例2はレール摩耗測定方法によるレール摩耗検出装置である。レール摩耗測定方法を用いてレールRの変位と摩耗について、軌道検測車に装備して走行しながら非接触で測定することで、迅速かつ正確に測定と検出が可能になる。そこで、実施例2では、上述したような機能を有するレール変位センサ2と摩耗センサ3から成る渦電流形センサ1を筐体21に収納し、これを2個1組で軌道検測車の底面からレールRに対向するように取り付ける。このときレール変位センサ2と摩耗センサ3はレールRに向ける。非接触で測定するためである。この渦電流形センサ1は同軸ケーブル11で軌道検測車内にある変換器22と接続する。
【0045】
このレール摩耗検出装置では、渦電流形センサ1を軌道検測車に搭載して使用する。レール変位センサ2の(コイル1(Co1)及びコイル2(Co2))と摩耗センサ3のコイル3(Co3)はレールRに高周波電流を流して、高周波磁界を発生させて測定する。各コイル1(Co1)、コイル2(Co2)、コイル3(Co3)には、その出力信号を増幅する増幅器23を備えている。
【0046】
変換器22では、コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の出力信号と、コイル3(C3)の出力信号を演算処理する。変換器22では、コイル1(Co1)及びコイル2(CO2)に関する電圧VTと、コイル3(Co3)に関する電圧VRの差分をとり摩耗検出電圧VLaを得る。この摩耗検出電圧VLaからレールRの摩耗の有無を判別する。
【0047】
なお、本発明は、レール変位を測定するレール変位センサ2(コイル1(Co1)及びコイル2(Co2))と摩耗を測定する摩耗センサ3(コイル3(Co3))を併せて用い、その測定結果を演算処理することで、軌道検測車に搭載して走行中にレール変位とレール摩耗を迅速かつ正確に検出することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、列車等のレールの変位と摩耗の検出に限定されず、その他のレール又は金属製の長尺部材に生じる変位と摩耗について測定・検出に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 渦電流形センサ
2 レール変位センサ
3 摩耗センサ
21 筐体
22 変換器
23 増幅器
Co1 コイル1
Co2 コイル2
Co3 コイル3
R レール
x レールの変位
z レールのリフトオフ
La レールの摩耗量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16