特開2017-2308(P2017-2308A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特開2017002308-水性ゲル 図000010
  • 特開2017002308-水性ゲル 図000011
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-2308(P2017-2308A)
(43)【公開日】2017年1月5日
(54)【発明の名称】水性ゲル
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/14 20060101AFI20161209BHJP
   C08L 101/06 20060101ALI20161209BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20161209BHJP
   C08F 265/10 20060101ALI20161209BHJP
   C08F 271/00 20060101ALI20161209BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20161209BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20161209BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20161209BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20161209BHJP
   A61L 27/00 20060101ALI20161209BHJP
   A61L 29/00 20060101ALI20161209BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20161209BHJP
   C08F 2/00 20060101ALI20161209BHJP
   A61K 9/70 20060101ALN20161209BHJP
   A61K 47/32 20060101ALN20161209BHJP
【FI】
   C08L33/14
   C08L101/06
   C08F2/44 C
   C08F265/10
   C08F271/00
   A61K8/02
   A61K8/81
   A61Q5/00
   A61Q5/10
   A61Q19/00
   A61Q19/10
   A61Q5/02
   A61Q5/12
   A61Q1/04
   A61L15/24 110
   A61L27/00 P
   A61L29/00 J
   A61L27/00 D
   A61L27/00 W
   C09D7/12
   C08F2/00 A
   A61K9/70 405
   A61K47/32
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-118546(P2016-118546)
(22)【出願日】2016年6月15日
(62)【分割の表示】特願2012-110133(P2012-110133)の分割
【原出願日】2012年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
【住所又は居所】北海道札幌市北区北8条西5丁目
(71)【出願人】
【識別番号】000205638
【氏名又は名称】大阪有機化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区安土町1丁目7番20号
(74)【代理人】
【識別番号】100141472
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 善弘
(72)【発明者】
【氏名】グン チェンピン
【住所又は居所】北海道札幌市北区北10条西8丁目 国立大学法人北海道大学大学院先端生命科学研究院内
(72)【発明者】
【氏名】黒川 孝幸
【住所又は居所】北海道札幌市北区北10条西8丁目 国立大学法人北海道大学大学院先端生命科学研究院内
(72)【発明者】
【氏名】尹 海燕
【住所又は居所】北海道札幌市北区北10条西8丁目 国立大学法人北海道大学大学院先端生命科学研究院内
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 欣幸
【住所又は居所】大阪府柏原市片山町18−8 大阪有機化学工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C083
4J002
4J011
4J026
4J038
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076BB31
4C076CC09
4C076CC18
4C076EE13A
4C076EE14A
4C076FF01
4C081AA03
4C081AA12
4C081AB13
4C081AB18
4C081AB22
4C081AB23
4C081AB31
4C081AC08
4C081BB07
4C081BB08
4C081CA061
4C081CA281
4C081DA12
4C083AD071
4C083AD131
4C083CC01
4C083CC05
4C083CC13
4C083CC23
4C083CC31
4C083CC36
4C083CC38
4C083CC39
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE12
4J002AA05X
4J002AA06X
4J002AA07X
4J002BG13X
4J002BJ00W
4J002GB00
4J002GB01
4J002GQ00
4J002HA01
4J011PA69
4J011PA74
4J011PB38
4J011PC02
4J026AA50
4J026AA60
4J026AC35
4J026BA29
4J026BA32
4J026BB04
4J026DA05
4J026DB08
4J026DB36
4J026FA01
4J026FA09
4J026GA06
4J026GA08
4J038CG002
4J038CG052
4J038CG142
4J038CG172
4J038CH122
4J038MA08
4J038MA10
4J038MA15
4J038NA05
4J038PB05
4J038PC01
4J038PC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】塩の共存下でもゲル強度が低下しがたく、柔軟性および機械的強度を同時に満足する水性ゲルの提供。
【解決手段】式(I)で表わされるベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーA、及びスルホン酸基もしくはその中和された基、リン酸基もしくはその中和された基を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基、カルボキシル基またはアミノ基を有する酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーBを含有するポリマー成分をゲル化させてなる水性ゲル。

(R1はH又はアルキル基;R2はアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、−COO−基又は−CONH−基、R3およびR4はアルキル基、R5はアルキレン基)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、R1は水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R2は水酸基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアラルキレン基、−COO−基または−CONH−基、R3およびR4はそれぞれ独立して炭素数1〜18のアルキル基、R5は炭素数1〜8のアルキレン基を示す)
で表わされるベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーA、および式(II):
【化2】
(式中、R1は水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R6はスルホン酸基もしくはその中和された基、リン酸基もしくはその中和された基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有し、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有する炭素数6〜12のアリール基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有する炭素数7〜12のアラルキル基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有するカルボキシル基、またはスルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有するアミノ基を示す)
で表わされる酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーBを含有するポリマー成分をゲル化させてなる水性ゲル。
【請求項2】
式(I)で表わされるベタインモノマーにおいて、R1が水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R2が−COO−基または−CONH−基であり、R3およびR4がそれぞれメチル基であり、R5がメチレン基である請求項1に記載の水性ゲル。
【請求項3】
ポリマーAとポリマーBとの官能基のモル比が0.5/1〜1.5/1である請求項1または2に記載の水性ゲル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなる医療用材料。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなる化粧料。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなるトイレタリー用品。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなるコーティング材料。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなる電気・電子材料。
【請求項9】
酸性モノマーを含有するモノマー成分の水溶液を溶液重合させた後、得られたポリマーBと、ベタインモノマーを含有するモノマー成分の水溶液とを均一な組成となるように混合し、得られた混合物を溶液重合させてポリマーAを調製するか、またはベタインモノマーを含有するモノマー成分の水溶液を溶液重合させた後、得られたポリマーAと酸性モノマーを含有するモノマー成分とを均一な組成となるように混合し、得られた混合物を溶液重合させてポリマーBを調製することを特徴とする水性ゲルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性ゲルに関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、細胞培養シート、薬剤を固定化するための担体、絆創膏用ゲルなどの医療用材料、化粧パックなどの化粧料、紙おむつなどのトイレタリー用品、フジツボの付着防止用コーティング材、各種塗料などのコーティング材料、液晶画面保護膜用接着性ゲル、リチウム電池用ゲル電解質、透明アクチュエータ材料、圧電素子などの電気・電子系材料などに使用されることが期待される水性ゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
水性ゲルとして、例えば、アクリル酸ナトリウムと架橋モノマーとを共重合させることによって得られたポリアクリル酸ナトリウムは、紙おむつ、化粧品などのゲル化剤、リチウム電池の電解質ゲル化剤などに使用されている。このポリアクリル酸ナトリウムは、当該ポリマーが有するカルボン酸イオン(−COOイオン)同士の反発と架橋構造により、少量で添加するだけで高粘度のゲルになるという利点を有する。しかし、このポリアクリル酸ナトリウムからなる水性ゲルは、前記カルボン酸イオン(−COOイオン)同士の反発を無効にする塩化ナトリウムなどの塩が共存するとイオン同士の反発が小さくなるため、それ自身が崩れるおそれがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、カチオン性増粘剤として、アミン含有(メタ)アクリル系モノマー、ビニルモノマー(メタ)アクリロイル基含有モノマーおよび架橋性ビニルモノマーを重合させてなるカチオン性増粘剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このカチオン性増粘剤を少量で用いても高粘度を有する水性ゲルを調製することができる。しかし、この得られた水性ゲルは、前記ポリアクリル酸ナトリウムと同様に、塩化ナトリウムなどの塩が共存すると崩壊するおそれがある。
【0004】
塩が存在していても崩壊しがたい水性ゲルとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩と架橋性モノマーを多価アルコールおよび水性媒体中で共重合させることによって得られた高粘着性ハイドロゲル組成物(例えば、特許文献2参照)、中和された架橋ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)および酸化剤を含有するゲル化剤を用いて調製されたゲルなどが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、前記高粘着性ハイドロゲル組成物およびゲルは、柔軟性および機械的強度を同時に満足するものではない。
【0005】
機械的強度に優れている高分子ゲルとして、物理架橋によって形成された物理架橋網目構造と、第1のモノマーを重合させ、架橋させることによって形成された第1の網目構造と、第2のモノマーを重合させ、架橋させることによって形成された第2の網目構造とからなる相互侵入網目構造を有する高分子ゲルが提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この高分子ゲルは、正の電荷に帯電したとき、ゲル強度が低くなるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−140531号公報
【特許文献2】特開平6−200224号公報
【特許文献3】特開平10−101532号公報
【特許文献4】特開2009−298971号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】中村 亦夫著、「水溶性高分子」、(株)化学工業社、1973年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、塩が共存していてもゲル強度が低下しがたく、柔軟性および機械的強度を同時に満足する水性ゲルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(1) 式(I):
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、R1は水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R2は水酸基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアラルキレン基、−COO−基または−CONH−基、R3およびR4はそれぞれ独立して炭素数1〜18のアルキル基、R5は炭素数1〜8のアルキレン基を示す)
で表わされるベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーA、および式(II):
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、R1は水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R6はスルホン酸基もしくはその中和された基、リン酸基もしくはその中和された基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有し、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有する炭素数6〜12のアリール基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有する炭素数7〜12のアラルキル基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有するカルボキシル基、またはスルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有するアミノ基を示す)
で表わされる酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーBを含有するポリマー成分をゲル化させてなる水性ゲル、
(2) 式(I)で表わされるベタインモノマーにおいて、R1が水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R2が−COO−基または−CONH−基であり、R3およびR4がそれぞれメチル基であり、R5がメチレン基である前記(1)に記載の水性ゲル、
(3) ポリマーAとポリマーBとの官能基のモル比が0.5/1〜1.5/1である前記(1)または(2)に記載の水性ゲル、
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなる医療用材料、
(5) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなる化粧料、
(6) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなるトイレタリー用品、
(7) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなるコーティング材料、
(8) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の水性ゲルが用いられてなる電気・電子材料および
(9) 酸性モノマーを含有するモノマー成分の水溶液を溶液重合させた後、得られたポリマーBと、ベタインモノマーを含有するモノマー成分の水溶液とを均一な組成となるように混合し、得られた混合物を溶液重合させてポリマーAを調製するか、またはベタインモノマーを含有するモノマー成分の水溶液を溶液重合させた後、得られたポリマーAと酸性モノマーを含有するモノマー成分とを均一な組成となるように混合し、得られた混合物を溶液重合させてポリマーBを調製することを特徴とする水性ゲルの製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水性ゲルは、塩が共存していてもゲル強度が低下しがたく、柔軟性および機械的強度を同時に満足するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1〜3で得られたサンプル1〜3および比較例1で得られた比較サンプル1の引張り強度の測定結果を示すグラフである。
図2】実施例1〜3で得られたサンプル1〜3および比較例1で得られた比較サンプル1のヤング率の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の水性ゲルは、前記したように、式(I):
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、R1は水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R2は水酸基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアラルキレン基、−COO−基または−CONH−基、R3およびR4はそれぞれ独立して炭素数1〜18のアルキル基、R5は炭素数1〜8のアルキレン基を示す)
で表わされるベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーA、および式(II):
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、R1は水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R6はスルホン酸基もしくはその中和された基、リン酸基もしくはその中和された基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有し、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有する炭素数6〜12のアリール基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有する炭素数7〜12のアラルキル基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有するカルボキシル基、またはスルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有するアミノ基を示す)
で表わされる酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーBを含有するポリマー成分をゲル化させたものである。
【0021】
本発明の水性ゲルは、前記ポリマーAおよび前記ポリマーBによって構成されるものであるので、塩が共存していてもゲル強度が低下しがたく、柔軟性および機械的強度を同時に満足するものである。本発明の水性ゲルがこのように優れた性質を有するのは、推測であるが、おそらくポリマーAとポリマーBとの相互作用により、ポリマーAとポリマーBとが相互に侵入した網目構造を有することに基づくものと考えられる。より具体的には、電荷として中性のベタインモノマーに基づくポリマーAの網目構造と、酸性を示す酸性モノマーに基づくポリマーBの網目構造とが併用されていることにより、ポリマーAが有するアミノ基とポリマーBが有する酸性基とが相互作用するので、強固で柔軟性に優れた水性ゲルが得られるものと考えられる。
【0022】
ポリマーAは、式(I)で表わされるベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させることによって得られる。
【0023】
式(I)において、R1は、水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基である。R1は、より具体的には、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基をする炭素数1〜6のアルキル基またはハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基である。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。水酸基を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシn−プロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシn−ブチル基、ヒドロキシイソブチル基、ヒドロキシtert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ハロゲン原子を有する炭素数が1〜6のアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロn−プロピル基、トリフルオロイソプロピル基、トリフルオロn−ブチル基、トリフルオロイソブチル基、トリフルオロtert−ブチル基、トリクロロメチル基、トリクロロエチル基、トリクロロn−プロピル基、トリクロロイソプロピル基、トリクロロn−ブチル基、トリクロロイソブチル基、トリクロオロtert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。R1のなかでは、水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0024】
式(I)において、R2は、水酸基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアラルキレン基、−COO−基または−CONH−基である。R2は、より具体的には、炭素数1〜6のアルキレン基、水酸基を有する炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアラルキレン基、−COO−基または−CONH−基である。炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。水酸基を有する炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えば、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシn−プロピレン基、ヒドロキシイソプロピレン基、ヒドロキシn−ブチレン基、ヒドロキシイソブチレン基、ヒドロキシtert−ブチレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルフェニル基、ナフチレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。R2のなかでは、−COO−基および−CONH−基が好ましく、−CONH−基がより好ましい。
【0025】
式(I)において、R3およびR4は、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基である。炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。R3のなかでは、式(I)で表わされるベタインモノマーの工業的生産性を向上させる観点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0026】
式(I)において、R5は、炭素数1〜8のアルキレン基である。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、tert−ブチレン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。R5のなかでは、得られるベタインポリマーが中和塩を容易に形成するようにする観点から、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0027】
式(I)で表わされるベタインモノマーにおいて、R1が水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R2が−COO−基または−CONH−基であり、R3およびR4がそれぞれメチル基であり、R5がメチレン基であることが好ましい。
【0028】
式(I)で表わされるベタインモノマーとしては、例えば、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−β−N−エチルカルボキシベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−β−N−エチルカルボキシベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウム−β−N−エチルカルボキシベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウム−β−N−エチルカルボキシベタイン、N−アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−β−N−エチルカルボキシベタイン、N−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−β−N−エチルカルボキシベタイン、N−アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウム−β−N−エチルカルボキシベタイン、N−メタクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウム−β−N−エチルカルボキシベタインなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのベタインモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。ベタインモノマーは、例えば、特開平9−95474号公報、特開平9−95586号公報、特開平11−222470号公報などに記載の方法で容易に調製することができる。
【0029】
ポリマーAは、ベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させることによって得られる。モノマー成分は、ベタインモノマーのみで構成されていてもよく、ベタインモノマー以外に中性モノマーが含有されていてもよい。
【0030】
なお、本明細書において、中性モノマーとは、モノマー自体が中性であることを意味するのではなく、ベタインモノマーとの共重合によってポリマーAとなったとき、当該ポリマーAに酸性基および塩基性基を付与しないモノマーを意味する。
【0031】
中性モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸セチル、メタクリル酸セチルなどのアルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルなとの炭素数6〜12のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジルなどのアリール基の炭素数が6〜12の(メタ)アクリル酸アリールエステル;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシアルキル基の炭素数が2〜6の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシブチル、メタアクリル酸メトキシブチルなどのアルコキシアルキル基の炭素数が2〜8の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;アクリル酸エチルカルビトール、メタクリル酸エチルカルビトールなどのアルキル基の炭素数が1〜4の(メタ)アクリル酸アルキルカルビトール;N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−オクチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどのアルキル基の炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリルアミド:N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタアクリルアミドなどのアルコキシ基の炭素数が1〜6のアルコキシ(メタ)アクリルアミド;アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリロイルモルホリン;ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミドなどのジアセトン(メタ)アクリルアミド;スチレン、メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;イタコン酸メチル、イタコン酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外のアルキル基の炭素数が1〜4の脂肪酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどの窒素原子含有モノマーなどの単官能モノマー;
【0032】
エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのジまたはトリ(メタ)アクリレート化合物;ビスメチレンアクリルアミド、ビスメチレンメタクリルアミドなどの炭素−炭素二重結合を2個以上有する(メタ)アクリルアミド;ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼンなどの炭素−炭素二重結合を2個以上有する芳香族化合物;トリアリルアミンなどのアリル基を2個以上有するアミン化合物;メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミドなどの炭素−炭素二重結合を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物などの多官能モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの中性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0033】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」は、「アクリ」または「メタクリ」を意味する。
【0034】
ベタインモノマーを含有するモノマー成分における中性モノマーの含有率は、特に限定されないが、中性モノマーに基づく性質を付与する観点から、好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以上であり、ベタインモノマーに基づく相互作用を向上させる観点から、好ましくは90重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。また、ベタインモノマーを含有するモノマー成分におけるベタインモノマーの含有率は、特に限定されないが、ベタインモノマーに基づく相互作用を向上させる観点から、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、中性モノマーに基づく性質を付与する観点から、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0035】
ベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定がなく、大気であってもよく、あるいは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
【0036】
ベタインモノマーを含有するモノマー成分の重合は、例えば、塊状重合法、溶液重合法などによって行なうことができる。ベタインモノマーを含有するモノマー成分を溶液重合法によって重合させる場合には、溶媒が用いられる。溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのアルキルエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物類;n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステル類などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、当該溶媒の種類によって異なるので一概には限定することができないが、通常、ベタインモノマーを含有するモノマー成分100重量部あたり、300〜1000重量部程度であることが好ましい。
【0037】
ベタインモノマーを含有するモノマー成分の重合は、例えば、ラジカル重合法、リビングラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、付加重合法、重縮合法などの重合法によって行なうことができる。
【0038】
ベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
【0039】
熱重合開始剤としては、例えば、アゾイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0040】
重合開始剤として、熱重合開始剤を用いる場合、当該熱重合開始剤の量は、ベタインモノマーを含有するモノマー成分100重量部あたり、通常、0.01〜20重量部程度であることが好ましい。
【0041】
光重合開始剤としては、例えば、2−オキソグルタル酸、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0042】
重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の量は、ベタインモノマーを含有するモノマー成分100重量部あたり、通常、0.01〜20重量部程度であることが好ましい。
【0043】
ベタインモノマーを含有するモノマー成分の重合温度は、特に限定がなく、通常、5〜80℃程度の温度であればよい。また、ベタインモノマーを含有するモノマー成分の重合に要する時間は、重合条件によって異なるので一概には決定することができないことから任意である。重合反応は、通常、残存しているモノマーの量が10重量%以下になった時点で、任意に終了することができる。なお、残存しているモノマーの量は、例えば、臭素をモノマーの二重結合に付加し、二重結合含量を測定することによって決定することができる。
【0044】
以上のようにしてベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させることにより、ポリマーAが得られる。
【0045】
ポリマーBは、式(II)で表わされる酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させることによって得られる。
【0046】
なお、本明細書において、酸性モノマーは、水溶液としたときに電離度が高いモノマーを意味する。より具体的には、酸性モノマーは、水溶液としたときに、その酸解離定数(pKa)が0以下であるものを意味する。
【0047】
本発明においては、ポリマーBの原料であるモノマー成分に酸性モノマーが用いられているので、ポリマーBがプロトンを放出しようとする力が強いことから、モノマー成分にカルボン酸が用いられている場合と対比して、塩による影響を受けがたいという優れた性質が発現される。このように優れた性質が発現されるのは、例えば、塩化ナトリウムなどの強酸強塩基の塩が存在する場合、カルボン酸では、−COO-基が−COOH基となるため、イオンの反発が低下することから、ポリマーが収縮するようになる。これに対して、酸性モノマーは、その電離度がカルボン酸よりも高く、塩化ナトリウムの電離度との差が小さいことから、ポリマーの収縮が小さくなることに基づくものと考えられる。
【0048】
式(II)において、R1は、水素原子または水酸基もしくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基である。R1は、具体的には、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、水酸基をする炭素数1〜6のアルキル基またはハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基である。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。水酸基を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシn−プロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシn−ブチル基、ヒドロキシイソブチル基、ヒドロキシtert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ハロゲン原子を有する炭素数が1〜6のアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロn−プロピル基、トリフルオロイソプロピル基、トリフルオロn−ブチル基、トリフルオロイソブチル基、トリフルオロtert−ブチル基、トリクロロメチル基、トリクロロエチル基、トリクロロn−プロピル基、トリクロロイソプロピル基、トリクロロn−ブチル基、トリクロロイソブチル基、トリクロオロtert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0049】
式(II)において、R6は、スルホン酸基もしくはその中和された基、リン酸基もしくはその中和された基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有し、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有する炭素数6〜12のアリール基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有する炭素数7〜12のアラルキル基、スルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有するカルボキシル基、またはスルホン酸基もしくはその中和された基またはリン酸基もしくはその中和された基を有するアミノ基である。
【0050】
式(II)で表わされる酸性モノマーとしては、例えば、スルホン基を有するビニルモノマー、硝酸基(−NO3基)を有するビニルモノマーなどが挙げられる。なお、オキソ酸であるリン酸基を有するビニルモノマーは、酸解離定数(pKa)が0以上であるが、ポーリングの規則により、酸性モノマーに含まれる。
【0051】
式(II)で表わされる酸性モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、パラスルホン酸スチレン、アリルスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの酸性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの酸性モノマーのなかでは、モノマーとしての安定性を向上させるとともに工業的生産性を向上させる観点から、ビニルスルホン酸、パラスルホン酸スチレン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸およびメタクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が好ましい。
【0052】
ポリマーBは、酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させることによって得られる。モノマー成分は、酸性モノマーのみで構成されていてもよいが、酸性モノマー以外に中性モノマーが含有されていてもよい。
【0053】
中性モノマーとしては、前記ベタインモノマーを含有するモノマー成分に用いられる中性モノマーと同様のものを例示することができる。中性モノマーは、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0054】
酸性モノマーを含有するモノマー成分における中性モノマーの含有率は、特に限定されないが、中性モノマーに基づく性質を付与する観点から、好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以上であり、酸性モノマーに基づく性質を向上させる観点から、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。また、酸性モノマーを含有するモノマー成分における酸性モノマーの含有率は、特に限定されないが、酸性モノマーに基づく性質を向上させる観点から、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、中性モノマーに基づく性質を付与する観点から、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
【0055】
酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定がなく、大気であってもよく、あるいは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
【0056】
酸性モノマーを含有するモノマー成分の重合は、例えば、塊状重合法、溶液重合法などによって行なうことができる。酸性モノマーを含有するモノマー成分を溶液重合法によって重合させる場合には、溶媒が用いられる。溶媒としては、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのアルキルエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物類;n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素化合物;酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステル類などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、当該溶媒の種類によって異なるので一概には限定することができないが、通常、酸性モノマーを含有するモノマー成分100重量部あたり、300〜1000重量部程度であることが好ましい。
【0057】
酸性モノマーを含有するモノマー成分の重合は、例えば、ラジカル重合法、リビングラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、付加重合法、重縮合法などの重合法によって行なうことができる。
【0058】
酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤および光重合開始剤としては、前記ベタインモノマーを含有するモノマー成分に用いられる熱重合開始剤および光重合開始剤と同様のものを例示することができる。
【0059】
重合開始剤の量は、熱重合開始剤および光重合開始剤のうちいずれを用いる場合でも、酸性モノマーを含有するモノマー成分100重量部あたり、通常、0.01〜20重量部程度であることが好ましい。
【0060】
酸性モノマーを含有するモノマー成分の重合温度は、特に限定がなく、通常、5〜80℃程度の温度であればよい。また、酸性モノマーを含有するモノマー成分の重合に要する時間は、重合条件によって異なるので一概には決定することができないことから任意である。重合反応は、通常、残存しているモノマーの量が10重量%以下になった時点で、任意に終了することができる。なお、残存しているモノマーの量は、例えば、臭素をモノマーの二重結合に付加し、二重結合含量を測定することによって決定することができる。
【0061】
以上のようにして酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させることにより、ポリマーBが得られる。
【0062】
なお、本発明の水性ゲルは、ベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させることによって得られるポリマーAおよび酸性モノマーを含有するモノマー成分を重合させることによって得られるポリマーBを含有するポリマー成分をゲル化させることによって得られる。
【0063】
ポリマーAとポリマーBとの官能基のモル比は、ゲル強度を向上させる観点から、好ましくは0.5/1以上であり、ゲルの弾性率を高める観点から、好ましくは1.5/1以下である。なお、ポリマーAおよびポリマーBの官能基は、具体的には、ポリマーAのCOO-基、ポリマーBのR6の基を意味する。
【0064】
本発明の水性ゲルの好適な製造方法としては、例えば、酸性モノマーを含有するモノマー成分の水溶液を溶液重合させた後、得られたポリマーBと、ベタインモノマーを含有するモノマー成分の水溶液とを均一な組成となるように混合し、得られた混合物を溶液重合させてポリマーAを調製することにより、水性ゲルを得る方法、ベタインモノマーを含有するモノマー成分の水溶液を溶液重合させた後、得られたポリマーAと酸性モノマーを含有するモノマー成分とを均一な組成となるように混合し、得られた混合物を溶液重合させてポリマーBを調製することにより、水性ゲルを得る方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。これらの方法のなかでは、前者の方法は、工業的生産性を向上させる観点から好ましい。
【0065】
以上のようにして得られる本発明の水性ゲルは、塩が共存していてもゲル強度が低下しがたく、柔軟性および機械的強度を同時に満足するという優れた効果を奏することから、例えば、細胞培養シート、薬剤を固定化するための担体、絆創膏用ゲルなどの医療用材料、化粧パックなどの化粧料、紙おむつなどのトイレタリー用品、フジツボの付着防止用コーティング材、各種塗料などのコーティング材料、液晶画面保護膜用接着性ゲル、リチウム電池用ゲル電解質、透明アクチュエータ材料、圧電素子などの電気・電子系材料などに使用されることが期待されるものである。
【実施例】
【0066】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0067】
実施例1
厚さが5mmの透明な樹脂フィルムで製造された一辺の長さが10cmの立方体からなるセルを用意した。
【0068】
次に、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)14.1g、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.6gおよび光重合開始剤として2−オキソグルタル酸0.01gを蒸留水100gに溶解させることにより、溶液Aを得た。
【0069】
一方、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン(CDME)18.6g、アクリルアミド1.4g、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.0014gおよび2−オキソグルタル酸0.001gを蒸留水100gに溶解させることにより、溶液Bを得た。
【0070】
次に、溶液Aを前記セルに入れ、その側面から紫外線照射機〔UVP(株)製、品番:95−0042−12〕を用いて照度4mW/cm2、照射時間6時間、積算光量86.4J/cm2にて紫外線を照射した。その後、溶液Bを前記セルに入れ、均一な組成となるように撹拌した後、再度、セルの側面から前記紫外線照射機を用いて照度4mW/cm2、照射時間6時間、積算光量86.4J/cm2にて紫外線を照射することにより、ゲルを調製した。
【0071】
前記で得られたゲルをセルから取り出し、縦9cm、横5mmの大きさとなるようにゲルをカッターナイフで裁断することにより、サンプル1を得た。
【0072】
実施例2
実施例1において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン(CDME)の量を37.2gに変更し、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)の量を0.0028gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてサンプル2を得た。
【0073】
実施例3
実施例1において、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン(CDME)の量を55.8gに変更し、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)の量を0.0042gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてサンプル3を得た。
【0074】
比較例1
厚さが5mmの透明な樹脂フィルムで製造された一辺の長さが10cmの立方体からなるセルを用意した。
【0075】
次に、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)14.1g、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.6gおよび2−オキソグルタル酸0.01gを蒸留水100gに溶解させることにより、溶液Aを得た。
【0076】
一方、アクリルアミド1.4g、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.0007gおよび2−オキソグルタル酸0.001gを蒸留水100gに溶解させることにより、溶液Bを得た。
【0077】
次に、溶液Aを前記セルに入れ、その側面から紫外線照射機〔UVP(株)製、品番:95−0042−12〕を用いて照度4mW/cm2、照射時間6時間、積算光量86.4J/cm2にて紫外線を照射した。その後、溶液Bを前記セルに入れ、均一な組成となるように撹拌した後、再度、セルの側面から前記紫外線照射機を用いて照度4mW/cm2、照射時間6時間、積算光量86.4J/cm2にて紫外線を照射することにより、ゲルを調製した。
【0078】
次に、前記で得られたゲルをセルから取り出し、縦9cm、横5mmの大きさとなるようにゲルをカッターナイフで裁断することにより、比較サンプル1を得た。
【0079】
実施例1〜3で得られたサンプル1〜3および比較例1で得られた比較サンプル1の物性として、引張試験機〔オリエンテック(株)製、品番:Tensilon RTC−1310A〕を用いて引張り強度およびヤング率を測定した。引張り強度の測定結果を図1に、ヤング率の測定結果を図2に示す。なお、図1において、記号A〜Dは、それぞれ順に、実施例1〜3および比較例1で得られた比較サンプル1の試験結果を示す。
【0080】
図1に示された結果から、実施例1〜3で得られたサンプル1〜3は、いずれも、比較例1で得られた比較サンプル1と対比して、ひずみが約4.5mm以上の領域であっても引張り応力(応力)に優れていることがわかる。また、図2に示された結果から、実施例1〜3で得られたサンプル1〜3は、比較例1で得られた比較サンプル1と対比して、同等またはそれ以上の弾性率(ヤング率)を示すことがわかる。したがって、実施例1〜3で得られたサンプル1〜3は、いずれも、比較例1で得られた比較サンプル1と対比して、ゲル強度が低下しがたく、柔軟性および機械的強度を同時に満足するという優れた効果を奏するものであることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の水性ゲルは、シップ薬、絆創膏、床ずれ防止材、創傷被覆材などの医薬品、医薬部外品、ドラックデリバリーシステム材、pH調整剤、成形補助材、包装材、人工血管、血液透析膜、カテーテル、コンタクトレンズ、人工水晶体、血液フィルター、血液保存パック、人工臓器、バイオチップ、細胞培養シート、糖鎖合成機器、分子シャペロン材料などの医療用材料に使用することが期待されるものである。
【0082】
また、本発明の水性ゲルは、頭髪化粧品、毛染め剤、保湿クリーム、洗顔クリーム、シャンプー、リンス、口紅などの化粧料;芳香剤、消臭剤、液体洗剤などのトイレタリー用品;保護フィルムの接着面、自己修復フィルムなどのコーティング材、船底塗料、自動車用高弾性塗料、自己修復塗料、防曇塗料、防汚塗料などのコーティング材料;スクリーン印刷インキ、オフセットインキなどの印刷材料;フレキシブル電池用電解質などの電池材料などの電気・電子材料;人工筋肉、圧電素子などのアクチュエータ材料などの幅広い分野に適用することが期待されるものである。
図1
図2