特開2017-49079(P2017-49079A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-49079温度推定システム、温度推定装置、温度推定方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-49079(P2017-49079A)
(43)【公開日】2017年3月9日
(54)【発明の名称】温度推定システム、温度推定装置、温度推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01K 5/62 20060101AFI20170217BHJP
【FI】
   G01K5/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2015-171528(P2015-171528)
(22)【出願日】2015年8月31日
(71)【出願人】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
【住所又は居所】神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅
【住所又は居所】神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79番1号 国立大学法人横浜国立大学内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 龍太郎
【住所又は居所】神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79番1号 国立大学法人横浜国立大学内
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056FM01
2F056FM02
2F056FM06
(57)【要約】
【課題】温度推定に用いる部材として、より多様な部材を用いることができるようにする。
【解決手段】温度推定システムが、熱膨張する熱膨張部と、前記熱膨張部の膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約する制約部と、前記熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じた塑性変形に起因する状態量を測定する状態量測定部と、前記熱膨張部が膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じる塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部と、前記状態量測定部が測定した状態量と、前記対応関係情報記憶部が記憶する対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張する熱膨張部と、
前記熱膨張部の膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約する制約部と、
前記熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じた塑性変形に起因する状態量を測定する状態量測定部と、
前記熱膨張部が膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じる塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部と、
前記状態量測定部が測定した状態量と、前記対応関係情報記憶部が記憶する対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得部と
を備える温度推定システム。
【請求項2】
前記制約部は、
前記熱膨張部よりも線膨張係数の小さい線膨張係数小部材と、
前記熱膨張部と前記線膨張係数小部材とを接合する接合部材と、
を含む、請求項1に記載の温度推定システム。
【請求項3】
前記制約部に、前記熱膨張部を収納する収納空間が設けられており、前記収納空間に収納された前記熱膨張部と少なくとも2箇所で接して前記熱膨張部の膨張を制約する、請求項1に記載の温度推定システム。
【請求項4】
前記熱膨張部は、
第1方向に延びる熱膨張部本体と、
前記熱膨張部本体における前記第1方向の両端の各々から前記第1方向に対して交差する第2方向に延びるつば部と、
を有し、
前記制約部の収納空間は、
前記熱膨張部本体を収納する本体収納空間と、
前記つば部を収納するつば部収納空間と、
を有し、
前記つば部には、前記熱膨張部本体における前記第1方向の第1端部及び第2端部のうち前記第1端部に設けられた前記つば部の面と、前記第2端部に設けられたつば部の面とが向かい合う内側面、及び、前記内側面と反対側の面である外側面とが設けられており、
前記収納空間を形成する前記制約部の面のうち、前記内側面と対向する面及び前記外側面と対向する面のいずれも、前記熱膨張部と接している、
請求項3に記載の温度推定システム。
【請求項5】
前記熱膨張部に、前記制約部を収納する収納空間が設けられており、
前記収納空間に収納された前記制約部が、前記熱膨張部と少なくとも2箇所で接して前記熱膨張部の収縮を制約する、
請求項1に記載の温度推定システム。
【請求項6】
前記制約部は、
第1方向に延びる制約部本体と、
前記制約部本体における前記第1方向の両端の各々から前記第1方向に対して交差する第2方向に延びるつば部と、
を有し、
前記熱膨張部の収納空間は、
前記制約部本体を収納する本体収納空間と、
前記つば部を収納するつば部収納空間と、
を有し、
前記つば部には、前記制約部本体における前記第1方向の第1端部及び第2端部のうち前記第1端部に設けられた前記つば部の面と、前記第2端部に設けられたつば部の面とが向かい合う内側面、及び、前記内側面と反対側の面である外側面とが設けられており、
前記収納空間を形成する前記熱膨張部の面のうち、前記内側面と対向する面及び前記外側面と対向する面のいずれも、前記制約部と接している、
請求項5に記載の温度推定システム。
【請求項7】
熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約部に制約されて生じた塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部と、
熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約部に制約されて生じた塑性変形に起因する状態量の測定値と、前記対応関係情報記憶部が記憶する対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得部と、
を備える温度推定装置。
【請求項8】
熱膨張部が膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じる塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を取得する対応関係情報取得ステップと、
熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約部に制約されて生じた塑性変形に起因する状態量を測定する状態量測定ステップと、
前記状態量測定ステップで測定した状態量と、前記対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得ステップと
を含む温度推定方法。
【請求項9】
熱膨張部が膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じる塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部を備えるコンピュータに、
前記熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じた塑性変形に起因する状態量の測定値を取得する状態量測定値取得ステップと、
前記状態量測定値取得ステップで得られた状態量と、前記対応関係情報記憶部が記憶する対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度推定システム、温度推定装置、温度推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼プラント設備の燃焼室のように温度変化が大きい個所では、一般的な温度計を用いての温度測定を行うことができない。
これに対し、特許文献1には、燃焼プラント設備の温度を推定するための、耐熱部材の温度履歴推定方法が記載されている。当該耐熱部材の温度履歴推定方法では、燃焼プラント設備に備えられた耐熱耐圧部材の表面に、熱時効により硬化する析出硬化型の材料を肉盛溶接し、設備の運転後に当該材料表面の硬さを測定する。そして、予め熱時効試験で求めておいた硬化特性のデータと比較し、硬さの増加量から当該材料の熱履歴を求め、耐熱耐圧部材の温度を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−208214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の耐熱部材の温度履歴推定方法では、使用する材料が、熱時効により硬化する析出硬化型の材料に限定される。使用する材料が限定されることで、特許文献1に記載の耐熱部材の温度履歴推定方法では、推定可能な温度が限定される。より多様な部材を用いることができれば、より広い温度範囲で温度を推定することができる。
【0005】
本発明は、温度推定に用いる部材として、より多様な部材を用いることができる、温度推定システム、温度推定装置、温度推定方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、温度推定システムは、熱膨張する熱膨張部と、前記熱膨張部の膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約する制約部と、前記熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じた塑性変形に起因する状態量を測定する状態量測定部と、前記熱膨張部が膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じる塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部と、前記状態量測定部が測定した状態量と、前記対応関係情報記憶部が記憶する対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得部とを備える。
【0007】
前記制約部は、前記熱膨張部よりも線膨張係数の小さい線膨張係数小部材と、前記熱膨張部と前記線膨張係数小部材とを接合する接合部材と、を含む、ようにしてもよい。
【0008】
前記制約部に、前記熱膨張部を収納する収納空間が設けられており、前記収納空間に収納された前記熱膨張部と少なくとも2箇所で接して前記熱膨張部の膨張を制約する、ようにしてもよい。
【0009】
前記熱膨張部は、第1方向に延びる熱膨張部本体と、前記熱膨張部本体における前記第1方向の両端の各々から前記第1方向に対して交差する第2方向に延びるつば部と、を有し、前記制約部の収納空間は、前記熱膨張部本体を収納する本体収納空間と、前記つば部を収納するつば部収納空間と、を有し、前記つば部には、前記熱膨張部本体における前記第1方向の第1端部及び第2端部のうち前記第1端部に設けられた前記つば部の面と、前記第2端部に設けられたつば部の面とが向かい合う内側面、及び、前記内側面と反対側の面である外側面とが設けられており、前記収納空間を形成する前記制約部の面のうち、前記内側面と対向する面及び前記外側面と対向する面のいずれも、前記熱膨張部と接している、ようにしてもよい。
【0010】
前記熱膨張部に、前記制約部を収納する収納空間が設けられており、前記収納空間に収納された前記制約部が、前記熱膨張部と少なくとも2箇所で接して前記熱膨張部の収縮を制約する、ようにしてもよい。
【0011】
前記制約部は、第1方向に延びる制約部本体と、前記制約部本体における前記第1方向の両端の各々から前記第1方向に対して交差する第2方向に延びるつば部と、を有し、前記熱膨張部の収納空間は、前記制約部本体を収納する本体収納空間と、前記つば部を収納するつば部収納空間と、を有し、前記つば部には、前記制約部本体における前記第1方向の第1端部及び第2端部のうち前記第1端部に設けられた前記つば部の面と、前記第2端部に設けられたつば部の面とが向かい合う内側面、及び、前記内側面と反対側の面である外側面とが設けられており、前記収納空間を形成する前記熱膨張部の面のうち、前記内側面と対向する面及び前記外側面と対向する面のいずれも、前記制約部と接している、ようにしてもよい。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、温度推定装置は、熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約部に制約されて生じた塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部と、熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約部に制約されて生じた塑性変形に起因する状態量の測定値と、前記対応関係情報記憶部が記憶する対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得部と、を備える。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、温度推定方法は、熱膨張部が膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じる塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を取得する対応関係情報取得ステップと、熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約部に制約されて生じた塑性変形に起因する状態量を測定する状態量測定ステップと、前記状態量測定ステップで測定した状態量と、前記対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得ステップとを含む。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、プログラムは、熱膨張部が膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じる塑性変形に起因する状態量と、前記熱膨張部の温度との対応関係を示す対応関係情報を記憶する対応関係情報記憶部を備えるコンピュータに、前記熱膨張部が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じた塑性変形に起因する状態量の測定値を取得する状態量測定値取得ステップと、前記状態量測定値取得ステップで得られた状態量と、前記対応関係情報記憶部が記憶する対応関係情報とに基づいて、前記熱膨張部の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する温度推定値取得ステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、温度推定に用いる部材として、より多様な部材を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る温度推定システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
図2】同実施形態における温度到達履歴記憶装置の構成例を示す概略構成図である。
図3】同実施形態における温度到達履歴記憶装置を線膨張係数大部材の側から見た外形の例を示す概略外形図である。
図4】同実施形態における高温時の温度到達履歴記憶装置の形状の例を示す説明図である。
図5】同実施形態にいて、常温に戻った温度到達履歴記憶装置の形状の例を示す説明図である。
図6】同実施形態における温度到達履歴記憶装置の残留変形の測定箇所の例を示す説明図である。
図7】同実施形態における温度到達履歴記憶装置の全ひずみの測定箇所の例を示す説明図である。
図8】同実施形態において、ユーザが温度推定システムを用いて温度推定値を求める処理手順を示す説明図である。
図9】同実施形態において、温度推定システムが行う処理の手順を示すフローチャートである。
図10】同実施形態において、第1部材、第2部材それぞれに用いる材料に好ましい性質を示す説明図である。
図11】本発明の第2の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図12】本発明の第3の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図13】同実施形態の温度到達履歴記憶装置における残留応力測定位置の候補の例を示す説明図である。
図14】本発明の第4の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図15】本発明の第5の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図16】同実施形態における、加熱され常温に戻った後の温度到達履歴記憶装置の概略外形図である。
図17】同実施形態の温度到達履歴記憶装置における塑性変形指標の測定位置の例を示す説明図である。
図18】本発明の第6の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図19】同実施形態における線膨張係数大部材の構成を示す説明図である。
図20】同実施形態における線膨張係数小部材の構成を示す説明図である。
図21】同実施形態の温度到達履歴記憶装置における残留応力の測定位置の例を示す説明図である。
図22】本発明の第7の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図23】同実施形態における線膨張係数小部材の外形の概略を示す説明図である。
図24】同実施形態における高温時の温度到達履歴記憶装置の外形の概略を示す説明図である。
図25】同実施形態において、高温から常温に戻った場合の温度到達履歴記憶装置の外形の概略を示す説明図である。
図26】同実施形態の温度到達履歴記憶装置における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
図27】本発明の第8の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図28】同実施形態における線膨張係数大部材の外形の概略を示す説明図である。
図29】同実施形態における低温時の温度到達履歴記憶装置の外形の概略を示す説明図である。
図30】同実施形態において、低温から常温に戻った場合の温度到達履歴記憶装置の外形の概略を示す説明図である。
図31】同実施形態の温度到達履歴記憶装置における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
図32】本発明の第9の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図33】同実施形態における高温時の温度到達履歴記憶装置の外形の概略を示す説明図である。
図34】同実施形態において、高温から常温に戻った場合の温度到達履歴記憶装置の外形の概略を示す説明図である。
図35】同実施形態の温度到達履歴記憶装置における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
図36】本発明の第10の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図37】同実施形態における低温時の温度到達履歴記憶装置の外形の概略を示す説明図である。
図38】同実施形態おいて、低温から常温に戻った場合の温度到達履歴記憶装置の外形の概略を示す説明図である。
図39】同実施形態の温度到達履歴記憶装置における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
図40】本発明の第11の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。
図41】同実施形態における温度到達履歴記憶装置の状態変化の例を示す説明図である。
図42】同実施形態の温度到達履歴記憶装置における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
図43】実験に用いた温度到達履歴記憶装置の装置Aの外形を示す説明図である。
図44】実験に用いた温度到達履歴記憶装置の装置Bの外形を示す説明図である。
図45】データ収集時の最高到達温度とアルミニウム合金の長さとの関係を示す説明図である。
図46】データ収集時の最高到達温度とアルミニウム合金の収縮量との関係を示す説明図である。
図47】データ収集時の最高到達温度とアルミニウム合金の全ひずみとの関係を示す説明図である。
図48】最高到達温度と収縮量との関係を示すグラフである。
図49】最高到達温度と全ひずみとの関係を示すグラフである。
図50】実験時の最高到達温度とアルミニウム合金の長さとの関係を示す説明図である。
図51】実験時の最高到達温度とアルミニウム合金の収縮量との関係を示す説明図である。
図52】実験時の最高到達温度とアルミニウム合金の全ひずみとの関係を示す説明図である。
図53】最高到達温度の推定結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
<第1の実施例>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る温度推定システムの機能構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、温度推定システム1は、温度到達履歴記憶装置100と、測定装置200と、温度推定装置300とを備える。温度到達履歴記憶装置100は、熱膨張部110と、制約部120とを備える。温度推定装置300は、測定値取得部310と、表示部320と、記憶部380と、制御部390とを備える。記憶部380は、対応関係情報記憶部381を備える。制御部390は、推定値取得部391を備える。
【0019】
温度推定システム1は、温度を推定するシステムである。具体的には、温度を推定したい箇所に設置された温度到達履歴記憶装置100(特に、熱膨張部110)に、温度変化による塑性変形が生じると、温度推定装置300が、当該塑性変形に起因する状態量(例えば、ひずみの大きさ、又は、温度到達履歴記憶装置100内の応力など)の測定値に基づいて温度を推定する。
以下では、塑性変形に起因する状態量を塑性変形指標と称する。また、塑性変形指標の測定値を塑性変形指標測定値と称する。
【0020】
温度到達履歴記憶装置100は、温度変化によって変形する。特に、温度到達履歴記憶装置100は、所定の温度以上になると塑性変形し、常温に戻った後も変形が残る。この変形に起因する状態量の測定値(塑性変形指標測定値)に基づいて、温度推定装置300が温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度(温度到達履歴記憶装置100が設置された箇所の最高到達温度)を推定する。ここでいう最高到達温度とは、温度変化した温度範囲のうち最高温度である。なお、温度変化した温度範囲のうち最低温度を、最低到達温度と称する。
【0021】
熱膨張部110は、熱膨張する部材である。すなわち、熱膨張部110は、加熱されると膨張し、冷却されると収縮する。熱膨張部110が行う膨張及び収縮は熱膨張によるものなので、熱膨張部110単体では、弾性変形にて膨張(自由膨張)し収縮(自由収縮)する。例えば、熱膨張部110を常温から加熱すると膨張し、常温に戻すと加熱前の形状に戻る。
【0022】
制約部120は、熱膨張部110の温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約する。以下、制約部120が、熱膨張部110の膨張及び収縮の両方を制約する場合を例に説明する。制約部120が、熱膨張部110の膨張及び収縮のうち一方のみを制約する例については後述する。
【0023】
図2は、温度到達履歴記憶装置410の構成例を示す概略構成図である。温度到達履歴記憶装置410は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。同図に示すように、温度到達履歴記憶装置410は、線膨張係数大部材411と、線膨張係数小部材412と、テーパーピン(Taper Pin)413とを備える。
【0024】
線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とは、線膨張係数(熱膨張率)が異なる部材である。具体的には、線膨張係数大部材411の方が、線膨張係数小部材412よりも線膨張係数が大きい。
線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412との組み合わせとして、例えば、アルミニウム合金とステンレス鋼との組み合わせ、ニッケルベースのステンレス合金と炭化ケイ素との組み合わせなど、いろいろな組み合わせの部材を用いることができる。
【0025】
テーパーピン413は、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とを接合する。具体的には、テーパーピン413が線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とを貫通して設けられることで、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とを接合している。図2は、温度到達履歴記憶装置410をテーパーピン413に沿って切断した場合の断面図の例を示している。また、図2は、常温での温度到達履歴記憶装置410の形状の例を示している。
【0026】
線膨張係数大部材411は、熱膨張部110の例に該当する。また、線膨張係数小部材412とテーパーピン413との組み合わせは、制約部120の例に該当する。すなわち、線膨張係数大部材411がテーパーピン413にて線膨張係数小部材412に接合されていることで、線膨張係数大部材411は、温度変化による膨張及び収縮(加熱時の膨張、及び、冷却時の収縮)を制約される。
【0027】
図3は、温度到達履歴記憶装置410を線膨張係数大部材411の側から見た外形の例を示す概略外形図である。図2を参照して説明したように、テーパーピン413は、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とを貫通して設けられており、図3の例では、線膨張係数大部材411と、線膨張係数大部材411に差し込まれたテーパーピン413の底部(太い側の端部)が示されている。
【0028】
図2及び図3に示すように2本のテーパーピン413がそれぞれ線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とを貫通して設けられており、これによって線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とが2箇所で接合されている。
このように、線膨張係数が異なる線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とが2箇所で接合されていることで、線膨張係数大部材411は、熱膨張する際に接合箇所で外力を受ける。
【0029】
図4は、高温時の温度到達履歴記憶装置410の形状の例を示す説明図である。同図では、温度到達履歴記憶装置410をテーパーピン413に沿って切断した場合の断面図の例を示している。線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とが接合されていることで、線膨張係数大部材411が不均一に膨張している。
具体的には、線膨張係数大部材411のうち線膨張係数小部材412に近い側は、線膨張係数小部材412と接合されていることで膨張を制約されている。すなわち、線膨張係数大部材411は、テーパーピン413によって線膨張係数小部材412と接合されている部分に膨張を制約する外力を受けている。一方、線膨張係数大部材411のうち線膨張係数小部材412から遠い側は、線膨張係数小部材412に近い側よりも大きく膨張している。この膨張の度合いの違いにより、温度到達履歴記憶装置410は、線膨張係数大部材411の側に凸、線膨張係数小部材412の側に凹に湾曲している。
【0030】
このように線膨張係数大部材411は、線膨張係数小部材412との接合部分に膨張を制約する外力を受け、線膨張係数大部材411の内部に外力に応じた応力が生じている。温度が上昇して線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412との膨張の差が大きくなり、線膨張係数大部材411内の応力が降伏点を超えると、線膨張係数大部材411に塑性変形が生じる。
【0031】
図5は、常温に戻った温度到達履歴記憶装置410の形状の例を示す説明図である。同図では、温度到達履歴記憶装置410が高温にて図4に示す形状になって塑性変形が生じた後、常温に戻った場合の例を示している。
ここで、高温時に線膨張係数大部材411内の応力が降伏点を越えず弾性変形に留まった場合、温度到達履歴記憶装置410は、常温に戻ると図2に示す元の形状に戻る。
一方、高温時に線膨張係数大部材411内の応力が降伏点を越えて塑性変形した場合、線膨張係数大部材411は、図2の状態よりもさらに収縮しようとする。その結果、温度到達履歴記憶装置410は、図5に示すように線膨張係数大部材411の側に凹、線膨張係数小部材412の側に凸に湾曲している。
【0032】
この常温に戻ったときの、元の形状からの変形の大きさ(図5に示す形状の、図2に示す形状からの変形の大きさ)は、高温時の塑性変形の大きさに対応する。すなわち、高温時の温度(最高到達温度)が高いほど、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412との膨張の度合いの差が大きくなって線膨張係数大部材411に対する外力が大きくなり、線膨張係数大部材411の塑性変形が大きくなる。そして、線膨張係数大部材411の塑性変形が大きいほど、常温に戻ったときの線膨張係数大部材411の変形が大きくなり、温度到達履歴記憶装置410内の残留応力も大きくなる。
【0033】
ここで、温度到達履歴記憶装置100内の残留応力とは、温度到達履歴記憶装置100の温度が変化した後、元の温度に戻って熱応力が無くなった状態での、温度到達履歴記憶装置100内の応力である。なお、温度変化前に既に、温度到達履歴記憶装置100内に残留応力が生じている場合は、温度変化前の残留応力と、温度変化し元の温度に戻った状態での残留応力との差(従って、温度変化による残留応力の変化分)を、温度到達履歴記憶装置100内の残留応力として扱うようにしてもよい。これにより、最高到達温度をより正確に推定することができる。後述するように最低到達温度を推定する場合も同様である。また、他の実施形態についても同様である。
【0034】
温度到達履歴記憶装置410の場合、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とがテーパーピン413で接合されていることで線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412との間に力が加わる。図5の例では、線膨張係数大部材411が線膨張係数小部材412よりも大きく収縮しようとして、線膨張係数大部材411はテーパーピン413の箇所(接合箇所)で収縮を制約する外力を受ける。この線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412との間の力に対して温度到達履歴記憶装置410内に生じる応力が、温度到達履歴記憶装置410内の残留応力において支配的であると考えられる。また、線膨張係数大部材411に不均一に塑性ひずみ(塑性変形によるひずみ)が生じたことで、線膨張係数大部材411内に塑性ひずみに対する応力が生じる。この応力も温度到達履歴記憶装置410内の残留応力に該当する。
高温から常温に戻った状態での温度到達履歴記憶装置100の変形の大きさまたは温度到達履歴記憶装置100内の残留応力の大きさなど、高温時の塑性変形に起因する状態量の大きさを測定することで、高温時の温度到達履歴記憶装置100の温度(最高到達温度)を推定することができる。
【0035】
測定装置200は、温度到達履歴記憶装置100の高温時の塑性変形に起因する状態量(すなわち、熱膨張部110が膨張及び収縮を制約部120に制約されて生じた塑性変形に起因する状態量)を測定する。測定装置200が測定する状態量は、温度到達履歴記憶装置100の変形量又はひずみの大きさであってもよいし、温度到達履歴記憶装置100内の応力であってもよく、測定装置200としていろいろな装置を用いることができる。
【0036】
図6は、温度到達履歴記憶装置410の残留変形の測定箇所の例を示す説明図である。ここで、温度到達履歴記憶装置100の残留変形とは、温度到達履歴記憶装置100の温度を変化させ、元の温度に戻したときの、元の形状からの温度到達履歴記憶装置100の変形である。残留変形の大きさは塑性変形指標の例に該当する。
図5を参照して説明したように、温度到達履歴記憶装置410の最高到達温度が高いほど、温度到達履歴記憶装置410が常温に戻ったときの、残留変形の大きさが大きくなる。従って、残留変形の大きさの測定値から温度到達履歴記憶装置410の最高到達温度を推定することができる。
【0037】
温度到達履歴記憶装置410の残留変形の大きさを測定する方法として、図6の例では温度到達履歴記憶装置410の湾曲の曲率半径rを測定する。例えば、図2の例のように2つのテーパーピン413をいずれも線膨張係数大部材411の表面に対して直角に配置しておき、図6の例のように2つのテーパーピン413の延長線の交点を扇形の中心(円の中心)として、中心から円弧(線膨張係数大部材411の表面)までの距離を測定する。温度到達履歴記憶装置410の湾曲が大きいほど(従って、温度到達履歴記憶装置410の残留変形が大きいほど)、曲率半径rは小さくなる。
【0038】
曲率半径r(距離)を高精度に測定する測定装置200として、例えばレーザー干渉計を用いることができる。
なお、線膨張係数大部材411を線膨張係数小部材412から外して、図6の例と同様に曲率半径を測定するようにしてもよい。これにより、線膨張係数大部材411の残留変形の大きさ(線膨張係数小部材412及びテーパーピン413による外力及び熱応力を受けない状態での変形の大きさ)を測定することができる。温度到達履歴記憶装置410の残留変形の場合と同様、線膨張係数大部材411の残留変形が大きいほど、温度到達履歴記憶装置410の最高到達温度が高いと推定することができる。
【0039】
図7は、温度到達履歴記憶装置410の全ひずみの測定箇所の例を示す説明図である。ここでいう全ひずみは、塑性ひずみ(塑性変形によるひずみ)と、弾性ひずみ(弾性変形によるひずみ)とを合わせたひずみである。全ひずみは塑性変形指標の例に該当する。
図7の例では、線膨張係数大部材411内の応力が降伏点を超えて線膨張係数大部材411が塑性変形した際の塑性ひずみが、塑性変形指標の例としての塑性ひずみに該当する。また、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とがテーパーピン413で接合されていることで線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412との間に生じる力によるひずみ、および、線膨張係数大部材411内の残留応力によるひずみが、いずれも弾性ひずみの例に該当する。図7の例における温度到達履歴記憶装置410のひずみは、これら塑性ひずみと弾性ひずみとを合わせたひずみであり、全ひずみの例に該当する。なお、形状の変化を変形と称するのに対し、変形量を元の長さで除算したものをひずみと称する。
【0040】
図7の例では、線膨張係数大部材411、線膨張係数小部材412それぞれの側面にひずみゲージ201を設置して全ひずみを測定している。具体的には、温度変化前の温度到達履歴記憶装置410にひずみゲージ201を設置し、温度変化させて常温に戻したときの全ひずみの大きさをひずみゲージ201で測定する。ひずみゲージ201は、測定装置200の例に該当する。この場合、ひずみゲージ201として耐熱温度の高いひずみゲージを用いる。
図7の例のようにひずみゲージ201を複数設置した場合、例えば、複数のひずみゲージ201での測定値の平均値を、温度到達履歴記憶装置100の全ひずみの値として用いることができる。
【0041】
なお、全ひずみの測定箇所(ひずみゲージ201を設置する箇所)は、図7に示す線膨張係数大部材411の側面や線膨張係数小部材412の側面に限らず、温度到達履歴記憶装置410の温度を変化させて戻した際にひずみが生じる箇所であればよい。例えば、線膨張係数大部材411の上面(線膨張係数小部材412と接する面と反対側に位置する面)、または、線膨張係数小部材412の下面(線膨張係数大部材411と接する面と反対側に位置する面)にひずみゲージ201を設置するようにしてもよい。
【0042】
あるいは、ひずみゲージ201を用いて、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とが接合されていることによる弾性ひずみ、又は、当該弾性ひずみによる温度到達履歴記憶装置410内の残留応力を測定するようにしてもよい。弾性ひずみ、残留応力のいずれも塑性変形指標の例に該当する。
例えば、温度到達履歴記憶装置410が温度変化して常温に戻った後、図7に示す位置にひずみゲージ201を設置し、テーパーピン413を外す。これにより、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とが接合されていることによる弾性ひずみを、ひずみゲージ201で測定することができる。また、測定した弾性ひずみから、当該弾性ひずみによる残留応力を算出することができる。
これら弾性ひずみまたは残留応力の測定値から、温度到達履歴記憶装置410の最高到達温度を推定することができる。なお、この場合のひずみゲージ201は、耐熱温度が高い必要はない。
【0043】
なお、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とが接合されていることによる残留応力は、温度到達履歴記憶装置410の残留応力を近似的に示していると考えられる。具体的には、温度到達履歴記憶装置410の残留応力は、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とが接合されていることによる残留応力と、テーパーピン413を外しても線膨張係数大部材411に残存する残留応力との合計と考えられるが、線膨張係数大部材411と線膨張係数小部材412とが接合されていることによる残留応力が支配的である。
【0044】
あるいは、温度到達履歴記憶装置410のX線回析により表面の結晶格子距離を測定して、温度到達履歴記憶装置410の残留応力を算出するようにしてもよい。残留応力は、弾性変形指標の例に該当する。
例えば、線膨張係数大部材411の上面(線膨張係数小部材412と接する面と反対側に位置する面)にX線を照射して回析を行い、結晶格子距離を測定して、温度到達履歴記憶装置410の残留応力を算出する。この場合、X線回析装置が測定装置200の例に該当する。また、測定値取得部310が、結晶格子距離の測定値から残留応力を算出するようにしてもよい。
なお、温度到達履歴記憶装置410の初期の残留応力(温度変化による変形前の残留応力)をX線回析等により測定しておき、変形後(温度変化し、元の温度に戻った後)の残留応力との差(変化分)を求めるようにしてもよい。これにより最高到達温度を、より正確に求めることができる。
【0045】
なお、測定装置200が、又は、ユーザが測定装置200を用いて、複数の残留応力指標を測定するようにしてもよい。例えば、上述した残留変形と残留応力とを測定するようにしてもよい。なお、ここでいう測定には、測定値からの算出も含む。
例えば、測定装置200が、又は、ユーザが測定装置200を用いて残留変形と残留応力とを測定する。そして、温度推定装置300が、いずれか有効桁数の多い方、又は、基準値で除算(規格化)して値が大きい方など、測定精度が高い方の測定値を用いて温度の推定値を求める。あるいは、両方の推定温度の平均を取るようにしてもよいし、測定精度の高い方に重みを付けた加重平均により、温度を推定するようにしてもよい。これにより、温度推定装置300(推定値取得部391)は、より高精度に温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度を推定することができる。
【0046】
あるいは、温度推定装置300(推定値取得部391)が、複数の測定方法で得られた測定値に基づいて誤差の大きさを推定するようにしてもよい。例えば、温度推定装置300は、複数の測定方法で得られた塑性変形指標測定値それぞれから、温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度推定値を求める。これら最高到達温度推定値が近い値であれば、推定精度が高いと期待できる。一方、得られた最高到達温度推定値のばらつきが大きい場合、推定精度が低いと考えられる。
【0047】
あるいは、温度推定装置300が、複数の測定方法で得られた塑性変形指標測定値それぞれから求めた温度の平均を取るようにしてもよい。あるいは、温度推定装置300が、3つ以上の測定方法で得られた塑性変形指標測定値それぞれから求めた温度のうち、他と値が異なるものを除外するようにしてもよい。例えば、温度推定装置300が、得られた温度のうち、他との差が所定範囲内のものだけを選んで平均、あるいは加重平均を取るようにしてもよい。これにより、誤差の影響を軽減させることができる。
【0048】
温度推定装置300は、温度到達履歴記憶装置100の高温時の塑性変形に起因する状態量に基づいて、温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度を推定する。温度推定装置300は、例えばコンピュータを用いて構成される。
測定値取得部310は、温度到達履歴記憶装置100の高温時の塑性変形に起因する状態量の測定値を取得する。例えば、測定値取得部310はキーボード等の入力デバイスを備え、ユーザ(温度測定者)による測定値の入力操作を受けて、入力された測定値を示す測定データを生成する。あるいは、測定値取得部310が、例えばひずみゲージまたはX線式応力測定装置など、温度到達履歴記憶装置100の高温時の塑性変形に起因する状態量を測定する測定装置と通信して、測定値を示す測定データを受信するようにしてもよい。
【0049】
記憶部380は、温度推定装置300が備える記憶デバイスを用いて構成され、各種データを記憶する。
対応関係情報記憶部381は、測定値取得部310が取得する測定値と、温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度との関係を示す対応関係情報を予め(温度推定の実施前に)記憶しておく。対応関係情報は、試験にて取得することができる。例えば、ユーザは、温度到達履歴記憶装置100を複数生成しておき、複数の温度到達履歴記憶装置100をそれぞれ異なる温度まで上昇させて常温に戻す。そして、ユーザは、温度到達履歴記憶装置100の各々について塑性変形指標(例えば、線膨張係数大部材411の残留変形または線膨張係数大部材411内の残留応力)を測定し、上昇させた温度と塑性変形測定値とに基づいて対応関係情報を生成する。あるいは、ユーザが、温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度と塑性変形指標との関係を、例えば有限要素法など解析的手法にて求めるようにしてもよい。
【0050】
対応関係情報記憶部381が対応関係情報を記憶するデータ形式として、いろいろな形式を用いることができる。例えば、対応関係情報記憶部381が、塑性変形指標測定値と温度推定値とを1対1に対応付けた対応表を記憶するようにしてもよい。あるいは、対応関係情報記憶部381が、塑性変形指標測定値を引数として温度推定値を出力する関数を記憶するようにしてもよい。
【0051】
制御部390は、温度到達履歴記憶装置100の各部を制御して各種処理を行う。制御部390は、例えば温度推定装置300が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が記憶部380からプログラムを読み出して実行することで構成される。あるいは、制御部390が、制御部390専用のハードウェアにて構成されていてもよい。
推定値取得部391は、測定値取得部310が取得する測定値と、対応関係情報記憶部381が記憶している対応関係情報とに基づいて、温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度を推定する。具体的には、推定値取得部391は、測定値取得部310が取得する測定値に対応付けられている温度を対応関係情報から読み出し、読み出した温度を、温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度の推定値とする。
表示部320は、例えば液晶パネルなどの表示画面を備え、各種情報を表示する。特に、表示部320は、推定値取得部391が取得した温度推定値を表示する。
【0052】
次に、図8及び図9を参照して、温度推定システム1を用いた温度推定の手順について説明する。
図8は、ユーザが温度推定システム1を用いて温度推定値を求める処理手順を示す説明図である。
同図の処理において、ユーザは、温度を測定(推定)したい箇所に温度到達履歴記憶装置100を設置する(ステップS101)。例えば、ユーザは、燃焼プラントの燃焼室内に温度到達履歴記憶装置100を設置する。
そして、温度推定システム1の温度が変化した後、常温に戻る(ステップS102)。例えば、ユーザは、ステップS101で温度到達履歴記憶装置100を設置した燃焼プラントの運転を行い、運転終了後、温度到達履歴記憶装置100が常温に戻ってから温度到達履歴記憶装置100を取り出す。
【0053】
そして、ユーザは、測定装置200を用いて塑性変形指標の測定を行い、得られた塑性変形指標測定値を温度推定装置300へ入力する(ステップS103)。
温度推定装置300は、入力された塑性変形指標測定値を温度推定値に換算する(ステップS104)。
ステップS104の後、図8の処理を終了する。
【0054】
図9は、温度推定装置300が行う処理の手順を示すフローチャートである。温度推定装置300は、図8のステップS104で図9の処理を行う。
図9の処理において、測定値取得部310は、塑性変形指標測定値を取得する(ステップS201)。
次に、推定値取得部391は、対応関係情報記憶部381が記憶している対応関係情報を参照して、ステップS201で得られた塑性変形指標測定値に対応付けられている温度を読み出す(ステップS202)。
そして、表示部320は、制御部390の制御に従って、ステップS202で得られた温度(温度推定値)を表示する(ステップS203)。
ステップS203の後、図9の処理を終了する。
【0055】
なお、温度到達履歴記憶装置100を用いて低温時の温度を推定することもできる。この場合、制約部120は、少なくとも熱膨張部110の収縮を制約する。制約部120が、熱膨張部110の膨張も制約するようにしてもよい。
低温時の温度を推定する場合、対応関係情報記憶部381は、測定値取得部310が取得する測定値と、温度到達履歴記憶装置100の最低到達温度との関係を示す対応関係情報を予め記憶しておく。そして、推定値取得部391は、測定値取得部310が取得する測定値と、対応関係情報記憶部381が記憶している対応関係情報とに基づいて、温度到達履歴記憶装置100の最低到達温度を推定する。具体的には、推定値取得部391は、測定値取得部310が取得する測定値に対応付けられている温度を対応関係情報から読み出し、読み出した温度を、温度到達履歴記憶装置100の最低到達温度の推定値とする。
【0056】
例えば温度到達履歴記憶装置410の場合、図2に示す常温の状態から温度が低下すると、線膨張係数大部材411の方が線膨張係数小部材412よりも大きく収縮して、図5の例のように線膨張係数大部材411の側に凹、線膨張係数小部材412の側に凸に湾曲する。この状態で線膨張係数大部材411内の応力が降伏点を超えて塑性変形が生じると、常温に戻った時に図4の例のように線膨張係数大部材411の側に凸、線膨張係数小部材412の側に凹に湾曲する。
この場合も常温に戻った状態で残留変形及び残留ひずみが生じており、上述した最高到達温度を求める場合と同様に、最低到達温度を求めることができる。
【0057】
以上のように、温度到達履歴記憶装置100は、熱膨張する熱膨張部110と、熱膨張部110の膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約する制約部120とを備える。そして、測定装置200は、塑性変形指標(熱膨張部110が温度変化による膨張及び収縮のうち少なくともいずれかを制約されて生じた塑性変形に起因する状態量)を測定する。また、対応関係情報記憶部381は、塑性変形量と温度推定値との対応関係を示す対応関係情報を記憶する。そして、推定値取得部391は、測定装置200が測定した塑性変形指標と、対応関係情報記憶部381が記憶する対応関係情報とに基づいて、熱膨張部110の最高到達温度の推定値または最低到達温度の推定値を取得する。
【0058】
温度到達履歴記憶装置100は、例えば温度到達履歴記憶装置410の線膨張係数大部材411及び線膨張係数小部材412のように、線膨張係数が異なる2つ以上の部材の組み合わせで構成することができる。具体的には、制約部120が、熱膨張部110を構成する第1部材よりも線膨張率が小さい第2部材を含んで構成され、第1部材(熱膨張部110)を2箇所以上で第2部材に結合する簡単な構成とすることができる。但し第2部材が第1部材の膨張又は収縮のうち少なくともいずれかを制約する方法は結合に限らない。後述するように、第1部材及び第2部材の一方に空間を設けて他方をはめ込むようにしてもよい。
また、温度到達履歴記憶装置410のように第1部材(線膨張係数大部材411)と第2部材(線膨張係数小部材412)とを接合する場合は、上述したテーパーピン413の他、リベットなどいろいろな結合部材を用いることができる。
【0059】
また、第1部材及び第2部材として線膨張係数が異なるいろいろな部材を用いることができる。
図10は、第1部材、第2部材それぞれに用いる材料に好ましい性質を示す説明図である。第1部材の材料及び第2部材の材料の組み合わせとして、温度到達履歴記憶装置100の残留応力又は残留変形が大きくなる組み合わせが好ましい。
図10に示すように、第1部材の材料は線膨張係数が大きいことが好ましく、第2部材の材料は線膨張係数が小さいことが好ましい。特に、第1部材と第2部材とで線膨張係数の差が大きいことが好ましい。
【0060】
また、第1部材の材料は降伏点が小さいことが好ましく、第2部材の材料は降伏点が大きいことが好ましい。第1部材の材料の降伏点が小さいことで、塑性変形を生じ易くなる。また、第2部材があまり変形せずに第1部材の膨張及び収縮を制約し続けるために、第2部材の材料の降伏点は大きいことが好ましい。
また、第1部材の材料は延性が大きいことが好ましい。すなわち、第1部材が塑性変形した後も破壊されないことが求められる。一方、第2部材は弾性変形の範囲内で用いることが考えられるが、第2部材も塑性変形する可能性がある場合は、第2部材の材料も延性が大きいことが好ましい。
【0061】
また、第1部材の材料、第2部材の材料共に、使用可能最高温度が大きいことが好ましい。ここでいう使用可能最高温度は、材料が変質しない最高温度である。ここでの変質には、化学的性質の変化だけでなく軟化など物理的性質の変化も含まれる。
なお、材料の切断等による加工ひずみを無視できない場合、部材の接合前に応力除去焼きなましを行うか、あるいは電解研磨により加工変質層を取り除くことで、加工ひずみを除去することができる。
【0062】
高温域を測定可能な材料の組み合わせの第1の例として、第1部材の材料にニッケル合金を用い、第2部材の材料に炭化ケイ素(SiC)を用いることができる。ニッケル合金として、具体的にはインコネル600(インコネルは登録商標)を焼きなまして用いることができる。
インコネル600の使用可能最大温度は1050℃、炭化ケイ素の使用可能最大温度は1600℃とされている。これら2つのうち温度が低いほうの1050℃までの測定に、この組み合わせを用いることができる。
【0063】
高温域を測定可能な材料の組み合わせの第2の例として、第1部材の材料にニッケル基単結晶超合金を用い、第2部材の材料に炭化ケイ素を用いることができる。ニッケル基単結晶超合金として、具体的にはTMS−238を用いることができる。
TMS−238の使用可能最大温度は1150℃、炭化ケイ素の使用可能最大温度は1600℃とされている。これら2つのうち温度が低いほうの1150℃までの測定に、この組み合わせを用いることができる。
【0064】
高温域を測定可能な材料の組み合わせの第3の例として、第1部材の材料にIr(イリジウム)基超合金を用い、第2部材の材料にサファイアガラスを用いることができる。
Ir基超合金の使用可能最大温度は1700℃〜1800℃、サファイアガラスの使用可能最大温度は1850℃とされている。これら2つのうち温度が低いほうの1700℃〜1800℃までの測定に、この組み合わせを用いることができる。
【0065】
高温域を測定可能な材料の組み合わせの第4の例として、第1部材の材料にタンタル(を用い、第2部材の材料にタングステンを用いることができる。
タンタルはおよそ2000℃まで安定したクリープ強度を持つとされており、およそ2000℃までの測定に、この組み合わせを用いることができる。なお、タングステンの酸化を避けるため、この組み合わせを用いた温度到達履歴記憶装置100を使用する場合、不活性ガス雰囲気中または真空中で使用する。
以上のように、温度到達履歴記憶装置100では、温度推定に用いる部材として、より多様な部材を用いることができる。
【0066】
また、温度到達履歴記憶装置100の構成は、例えば2つの部材の2箇所をテーパーピン413で接合した温度到達履歴記憶装置410のように簡単な構成とすることができる。
また、温度推定システム1では、上述したようにいろいろな測定装置200を用いていろいろな測定方法で塑性変形指標を測定することができる。例えばひずみゲージなど比較的安価な測定装置200を用いることができる。また、上述したように、測定装置200が、又は、ユーザが測定装置200を用いて、複数の塑性変形指標を測定するようにしてもよい。
【0067】
また、推定値取得部391は、測定値取得部310が取得した塑性変形指標測定値に対応付けられている温度を対応関係情報から読み出すという簡単な処理で温度到達履歴記憶装置100の最高到達温度推定値を取得することができる。従って、推定値取得部391の負荷が軽くて済む。また、温度推定装置300は高度な計算性能を必要としない。
【0068】
また、温度到達履歴記憶装置100の構造は、図2に示す温度到達履歴記憶装置410の構造以外にもいろいろな構造とすることができる。以下の実施形態では、温度到達履歴記憶装置100の構造の例について説明する。温度到達履歴記憶装置100に用いることができる材料、および、温度推定装置300については、第1の実施形態で説明したのと同様である。また、ひずみゲージ、X線回析装置、または、レーザー干渉計など、またはこれらの組み合わせが測定装置200の例に該当する点も、第1の実施形態で説明したのと同様である。
【0069】
<第2の実施形態>
温度到達履歴記憶装置410のように2つの部材をテーパーピンで接合ずる場合、テーパーピンが部材からはみ出した部分を切削してもよい。
図11は、本発明の第2の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置410bは、線膨張係数大部材411と、線膨張係数小部材412と、2本のテーパーピン413bとを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置410bは、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材411が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材412と2本のテーパーピン413bとの組み合わせが制約部120の例に該当する。
なお、線膨張係数大部材411及び線膨張係数小部材412は第1の実施形態の場合と同様であり、同一の符号(411、412)を付して説明を省略する。
【0070】
図11は、温度変化前の温度到達履歴記憶装置410bをテーパーピン413bに沿って切断した場合の断面図の例を示している。同図ではテーパーピン413bが線膨張係数大部材411および線膨張係数小部材412からはみ出した部分(テーパーピンの長さが余った分)が切削されて、テーパーピン413bが線膨張係数大部材411及び線膨張係数小部材412からはみ出さずに収まっている。テーパーピン413bは第1の実施形態のテーパーピン413を切削したものである。
【0071】
このように、テーパーピン413bがはみだしていないので、温度到達履歴記憶装置410bを図11の向きに置いた場合に下面が平らである。この点で、温度到達履歴記憶装置410bを安定して置くことができ、また、温度到達履歴記憶装置410bを置いた場所を傷める可能性を低減させることができる。
温度到達履歴記憶装置410bにおける塑性変形指標の測定方法は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点も、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。また、残留変形と残留応力との両方を測定するとよい点も、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
【0072】
<第3の実施形態>
図12は、本発明の第3の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置420は、線膨張係数大部材421と、線膨張係数小部材422と、2本のテーパーピン413とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置420は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材421が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材422と2本のテーパーピン413との組み合わせが制約部120の例に該当する。
【0073】
なお、テーパーピン413は第1の実施形態の場合と同様であり、同一の符号(413)を付して説明を省略する。図12(A)は、加熱前の温度到達履歴記憶装置420をテーパーピン413に沿って切断した場合の断面図の例を示している。また、図12(B)は、高温から常温に戻った温度到達履歴記憶装置420をテーパーピン413に沿って切断した場合の断面図の例を示している。
【0074】
ここで、線膨張係数大部材421の線膨張係数と線膨張係数小部材422の線膨張係数とを比較すると線膨張係数大部材421の方が大きい。一方、線膨張係数大部材421の大きさと線膨張係数小部材422の大きさとを比較すると線膨張係数小部材422の方が大きい。
線膨張係数小部材422が線膨張係数大部材421よりも十分大きいため、線膨張係数大部材421と接合されていることによる線膨張係数小部材422の変形は限定的であり、同図(B)のように高温から戻った後も湾曲変形(残留変形)は小さい(あまり変形しない)。
【0075】
一方、線膨張係数大部材421は、温度が上昇するにつれて膨張しようとするが、テーパーピン413で線膨張係数小部材422と接合されているため膨張を制約されて塑性変形する。その後、温度が低下するにつれて線膨張係数大部材421は収縮しようとする。高温時に塑性変形しているため、高温から常温に戻った状態では、線膨張係数大部材421は元の状態(同図(A)の状態)よりもさらに収縮しようとする。これに対して、線膨張係数大部材421は、テーパーピン413で線膨張係数小部材422と接合されているため収縮が制約され、線膨張係数大部材421の内部に引張残留応力(収縮しようとする応力)が発生する。
【0076】
このように、温度到達履歴記憶装置420では湾曲変形(残留変形)は小さく、残留応力(弾性ひずみ)が大きくなる。特に、テーパーピン413を抜くと線膨張係数大部材421が収縮する。
なお、温度到達履歴記憶装置420が冷却された後常温に戻った場合、線膨張係数大部材421が冷却されて収縮しようとして塑性変形した後、常温に戻るにつれて膨張しようとすることで、線膨張係数大部材421の内部に圧縮残留応力(膨張しようとする応力)が発生する。
【0077】
図13は、温度到達履歴記憶装置420における残留応力測定位置の候補の例を示す説明図である。同図の点P11は、線膨張係数大部材421の表面(線膨張係数小部材422と反対側の面)上の点、かつ、2本のテーパーピン413の間の点である。
点P12は、線膨張係数大部材421の側面上の点、かつ、側面側から見て2本のテーパーピン413の間の点である。なお、図13では線膨張係数大部材421、線膨張係数小部材422、及び、テーパーピン413の位置関係を示すために温度到達履歴記憶装置420の断面図を示しているが、点P12は線膨張係数大部材421の断面上の点ではなく側面上の点である。
【0078】
点P13は、線膨張係数小部材422の側面上の点、かつ、側面側から見て2本のテーパーピン413の間の点である。点P12の場合と同様、点P13は線膨張係数小部材422の断面上の点ではなく側面上の点である。また、点P13は、線膨張係数小部材422の上面(線膨張係数大部材421と接している面)に近い位置にあることが好ましい。
点P14は、線膨張係数小部材422の底面(線膨張係数大部材421と反対側の面)上の点、かつ、2本のテーパーピン413の延長線の間の点である。
これら点P11〜14は、線膨張係数大部材421と線膨張係数小部材422とがテーパーピン413で接合されていることで温度変化時のひずみが生じ易い位置の候補である。
【0079】
上述したように、温度変化後の温度到達履歴記憶装置420では、残留変形は小さくなり、残留応力が大きくなる。そこで、温度到達履歴記憶装置420では、塑性変形指標測定値として全ひずみ又は残留応力を測定することが考えられる。或いは、全ひずみ及び残留応力の両方を測定してもよい。
例えば、全ひずみを測定する場合、温度変化前(すなわち、熱履歴を受ける前)に点P11〜P14の全部又は一部にひずみゲージを貼り付けておき、温度変化前と温度変化が常温に戻ってからのひずみ差を測定する。ここでいう熱履歴とは、温度変化である。
【0080】
あるいは、残留応力を測定する場合、点P11〜P14の全部又は一部をX線回析装置でX線回析して表面の結晶格子間距離を測定し、得られた距離測定値から残留応力を算出する。あるいは、残留応力を測定する場合、温度変化から常温に戻った後、点P11〜P14の全部又は一部にひずみゲージを貼り付けてテーパーピン413を外し、ひずみの変化量から残留応力を算出する。あるいは、テーパーピン413を外したときのひずみの変化量を塑性変形指標測定値として直接用いるようにしてもよい。
【0081】
温度到達履歴記憶装置420では、部材の一方が大きいので、大きい方の部材(線膨張係数小部材422)に比較的脆い部材を用いることもできる。
また、線膨張係数小部材422として、温度推定対象の構造物そのものを用いることもできる。例えば、構造物の床面又は壁面などに、線膨張係数大部材421をテーパーピン413で貼り付けて温度到達履歴記憶装置420を構成するようにしてもよい。
なお、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
【0082】
<第4の実施形態>
図14は、本発明の第4の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置430は、線膨張係数大部材431と、線膨張係数小部材432と、2本のテーパーピン413とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置430は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材431が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材432と2本のテーパーピン413との組み合わせが制約部120の例に該当する。
【0083】
なお、テーパーピン413は第1の実施形態の場合と同様であり、同一の符号(413)を付して説明を省略する。図14(A)は、加熱前の温度到達履歴記憶装置430をテーパーピン413に沿って切断した場合の断面図の例を示している。また、図14(B)は、高温から常温に戻った温度到達履歴記憶装置430をテーパーピン413に沿って切断した場合の断面図の例を示している。
【0084】
ここで、線膨張係数大部材431の線膨張係数と線膨張係数小部材432の線膨張係数とを比較すると線膨張係数大部材431の方が大きい。また、線膨張係数大部材431の大きさと線膨張係数小部材432の大きさとを比較すると線膨張係数大部材431の方が大きい。
線膨張係数大部材431が線膨張係数小部材432よりも十分大きいため、線膨張係数小部材432と接合されていることによる線膨張係数大部材431の変形は限定的であり、同図(B)のように高温から戻った後も湾曲変形(残留変形)は小さい(あまり変形しない)。
【0085】
一方、線膨張係数大部材431は、温度が上昇するにつれて膨張しようとし、テーパーピン413で接合されている線膨張係数小部材432に引張力を加える。また、線膨張係数大部材431は膨張を制約されて塑性変形する。
その後、温度が低下するにつれて線膨張係数大部材431は収縮しようとする。高温時に塑性変形しているため、高温から常温に戻った状態では、線膨張係数大部材431は元の状態(同図(A)の状態)よりもさらに収縮しようとして、線膨張係数小部材432に圧縮力を加える。また、線膨張係数大部材431の内部には引張残留応力が生じる。
【0086】
なお、温度到達履歴記憶装置430が冷却された後常温に戻った場合、線膨張係数大部材が冷却されて収縮しようとして塑性変形した後、常温に戻るにつれて膨張しようとすることで、線膨張係数大部材431の内部に圧縮残留応力が発生する。また、線膨張係数大部材431は、テーパーピン413で固定されている線膨張係数小部材432に引張力を加える。
【0087】
温度到達履歴記憶装置430の場合も温度到達履歴記憶装置420の場合と同様、残留変形が小さく、残留応力が大きいため、塑性変形指標測定値として全ひずみ又は残留応力を測定することが考えられる。或いは、全ひずみ及び残留応力の両方を測定してもよい。
全ひずみの測定方法、残留応力の測定方法、測定位置の候補は、いずれも温度到達履歴記憶装置420の場合と同様である。また、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点も、温度到達履歴記憶装置420の場合と同様である。
【0088】
温度到達履歴記憶装置430では、部材の一方が大きいので、大きい方の部材(線膨張係数大部材431)に比較的脆い部材を用いることができる。
また、線膨張係数大部材431として、温度推定対象の構造物そのものを用いることもできる。例えば、構造物の床面又は壁面などに、線膨張係数小部材432をテーパーピン413で貼り付けて温度到達履歴記憶装置430を構成するようにしてもよい。
【0089】
<第5の実施形態>
図15は、本発明の第5の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置440は、線膨張係数大部材441と、線膨張係数小部材442とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置440は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材441が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材442が制約部120の例に該当する。
【0090】
図15は、加熱前の温度到達履歴記憶装置440を上から見た概略外形を示している。線膨張係数小部材442に線膨張係数大部材441を収納する収納空間(穴)が設けられており、線膨張係数大部材441が穴の長さに合わせた長さで当該穴にはめ込まれている。なお、線膨張係数大部材441を線膨張係数小部材442の穴にはめ込みにくい場合は、線膨張係数大部材441を少し冷やすことで線膨張係数大部材を少し小さくしてからはめ込むようにしてもよい。
【0091】
図16は、加熱され常温に戻った後の温度到達履歴記憶装置440の概略外形図である。線膨張係数大部材441は、温度上昇時に膨張しようとして線膨張係数小部材442による制約を受けて塑性変形するが、温度低下時は線膨張係数小部材442による制約を受けずに収縮する。そのため、図16に示すように、線膨張係数大部材441の長さ方向にも、線膨張係数小部材442との間に隙間が出来ている。
【0092】
図16の状態では、温度到達履歴記憶装置440に残留応力(弾性ひずみ)は生じていない。一方、残留変形(図15の形状からの変形)が生じている。
なお、最低到達温度を推定する場合は、線膨張係数大部材441と線膨張係数小部材442とを逆の構成にする。すなわち、線膨張係数大部材441に穴を開け、その穴の中に線膨張係数小部材442をはめ込む。
【0093】
図17は、温度到達履歴記憶装置440における塑性変形指標の測定位置の例を示す説明図である。
塑性変形指標として線膨張係数大部材441の残留変形を測定する場合、線膨張係数大部材441の長さ、幅、厚みのうち最も変化の大きい部位の変位量を測定する。図17の例では、線膨張係数大部材441は長さ方向に最も大きく変化しており、加熱前と加熱され常温に戻った後との長さlの変位量を測定することが考えられる。線膨張係数大部材441の長さ、幅、厚みのいずれかを測る場合、測定装置200としてレーザー変位計又はマイクロメータ等を用いることができる。
【0094】
また、塑性変形指標として線膨張係数大部材441の全ひずみを測定する場合、加熱前にひずみゲージ201を線膨張係数大部材441に貼付し、加熱され常温に戻った後とのひずみ差を測定する。ひずみゲージ201の貼付位置及び向きは、線膨張係数大部材441の長さ、幅、厚みのうち最も変位の大きい部位のひずみを測る位置及び向きとすることが考えられる。図17の例では長さ方向の変位が最も大きいため、ひずみゲージ201を、線膨張係数大部材441の長さ方向のひずみを測定する位置及び向きに貼付している。
なお、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
温度到達履歴記憶装置440によれば、線膨張係数小部材442に格納領域(穴)を設けて線膨張係数大部材441をはめ込むという比較的簡単な構成で温度到達履歴記憶装置440を生成して温度推定に用いることができる。
【0095】
<第6の実施形態>
図18は、本発明の第6の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置450は、線膨張係数大部材451と、線膨張係数小部材454とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置450は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材451が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材454が制約部120の例に該当する。
図18は、加熱前の温度到達履歴記憶装置450を上から見た概略外形を示している。線膨張係数小部材454に線膨張係数大部材451を収納する収納空間(穴)455が設けられており、線膨張係数大部材451が当該穴に収納されている(はめ込まれている)。
【0096】
図19は、線膨張係数大部材451の構成を示す説明図である。同図に示すように、線膨張係数大部材451は、線膨張係数大部材本体452と、つば部453とを有する。線膨張係数大部材本体452は、第1方向(矢印B11の方向)に延びている。つば部453は、線膨張係数大部材本体452における第1方向の両端(第1端部P21及び第2端部P22)に設けられて対をなし、両端の各々から第1方向に交差する第2方向(矢印B12の方向)に伸びている。
また、つば部453には、対をなすつば部453の向かい合う面である内側面F11と、内側面F11に対して反対側の面である外側面F12とが設けられている。
【0097】
図20は、線膨張係数小部材454の構成を示す説明図である。同図に示すように、線膨張係数小部材454の収納空間455は、線膨張係数大部材本体452を収納する本体収納空間456と、つば部453を収納するつば部収納空間457とを有している。
また、線膨張係数小部材454の面で、つば部収納空間457を形成する面のうち、内側面F11と対向するいずれの面F21も内側面F11と接している。また、つば部収納空間457を形成する面のうち、外側面F12と対向するいずれの面F22も外側面F12と接している。
【0098】
このように、線膨張係数大部材451が膨張する場合、線膨張係数大部材451が収縮する場合のいずれも、つば部収納空間457の面(F21、F22)がつば部453の面(F11、F12)と接して膨張及び収縮を制約する。
これにより、温度到達履歴記憶装置450が加熱された後、常温に戻ったときに、線膨張係数大部材451には残留応力(弾性ひずみ)が発生し、また、残留変形を伴っている。
【0099】
図21は、温度到達履歴記憶装置450における残留応力の測定位置の例を示す説明図である。
同図に示す例では、線膨張係数大部材451、線膨張係数小部材454のそれぞれにひずみゲージ201を2つずつ貼り付け、線膨張係数大部材451に貼り付けたひずみゲージとひずみゲージとの間の線L11の位置で線膨張係数大部材を切断する。そして、切断前後でのひずみの変化量(ひずみ差)から各位置での残留応力を算出する。
【0100】
あるいは、X線回析により残留応力を測定するようにしてもよい。具体的には、X線回析により線膨張係数大部材451の表面の結晶格子間距離を測定し、得られた距離に基づいて残留応力を算出する。同様に、線膨張係数小部材454についても残留応力を算出するようにしてもよい。また、線膨張係数大部材451、線膨張係数小部材454のいずれも、複数の箇所の残留応力を算出するようにしてもよい。
【0101】
なお、線膨張係数大部材451、線膨張係数小部材454のいずれも、比較的複雑な形状をしているため、加工時に加工ひずみが生じることが考えられる。加工ひずみが生じた場合、線膨張係数大部材を線膨張係数小部材にはめ込む前に応力除去焼きなましを行うか、あるいは電解研磨により加工変質層を取り除くことで、加工ひずみを除去できる。
なお、温度到達履歴記憶装置450では、線膨張係数大部材451が、膨張及び収縮のいずれも制約されるので、最高到達温度、最低到達温度のいずれの推定にも温度到達履歴記憶装置450を用いることができる。
なお、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
温度到達履歴記憶装置450によれば、最高到達温度、最低到達温度のいずれも推定可能である。
【0102】
<第7の実施形態>
図22は、本発明の第7の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置460は、線膨張係数大部材461と、線膨張係数小部材462とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置460は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材461が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材462が制約部120の例に該当する。温度到達履歴記憶装置460を用いて最高到達温度の推定が可能である。
図22は、加熱前の温度到達履歴記憶装置460の概略外形を示している。
【0103】
図23は、線膨張係数小部材462の外形の概略を示す説明図である。同図に示すように、線膨張係数小部材462に線膨張係数大部材461を収納する収納空間463(穴)が設けられており、線膨張係数大部材461が当該穴に収納されている(はめ込まれている)。収納空間463は、線膨張係数大部材461と同じ形状および同じ大きさで設けられている。従って、収納空間463に線膨張係数大部材461をはめ込むと、ほぼ隙間なく入り、線膨張係数大部材461の上面以外の面全体が線膨張係数小部材462と接している。また、線膨張係数大部材461の上面が線膨張係数小部材462の上面と一致する。
【0104】
図24は、高温時の温度到達履歴記憶装置460の外形の概略を示す説明図である。温度が上がると線膨張係数大部材461が膨張しようとするが、線膨張係数小部材462の収納空間463の面に制約されて塑性変形し、図24に示すように上方に膨張する。
【0105】
図25は、高温から常温に戻った場合の温度到達履歴記憶装置460の外形の概略を示す説明図である。温度が低下するにつれて線膨張係数大部材461が収縮し、線膨張係数大部材461と収納空間463との間に隙間ができる。一方、上方へ膨張した線膨張係数大部材は完全には戻らず、線膨張係数大部材461の上面が線膨張係数小部材462の上面よりも上になっている。すなわち、線膨張係数大部材461が線膨張係数小部材462からはみ出している。
【0106】
図26は、温度到達履歴記憶装置460における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
線膨張係数大部材461の残留変形を測定する場合、線膨張係数大部材461と線膨張係数小部材462との間に生じた隙間の大きさ(幅)g1を測定するようにしてもよい。或いは、線膨張係数小部材462の上面に対する線膨張係数大部材461の上面の高さh1、すなわち線膨張係数小部材462から線膨張係数大部材461がはみ出した分の大きさを測定するようにしてもよい。これらの測定には、レーザー変位計又はマイクロメータを用いることができる。
【0107】
一方、線膨張係数大部材461の全ひずみを測定する場合、熱履歴を受ける前に、例えば線膨張係数大部材461の上面にひずみゲージ201を貼り付けておく。そして、熱履歴を受け常温に戻った後で熱履歴を受ける前とのひずみ差を測定する。
なお、線膨張係数大部材461又は線膨張係数小部材462に加工ひずみが生じた場合、線膨張係数大部材461を収納空間463に収納する前に応力除去焼きなましを行うか、あるいは電解研磨により加工変質層を取り除くことで、加工ひずみを除去することができる。
【0108】
なお、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
温度到達履歴記憶装置460によれば、線膨張係数小部材462に格納領域(穴)を設けて線膨張係数大部材461をはめ込むという比較的簡単な構成で温度到達履歴記憶装置460を生成して温度推定に用いることができる。
【0109】
<第8の実施形態>
図27は、本発明の第8の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置470は、線膨張係数大部材471と、線膨張係数小部材473とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置470は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材471が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材473が制約部120の例に該当する。温度到達履歴記憶装置470を用いて最低到達温度の推定が可能である。
図27は、温度低下前の温度到達履歴記憶装置470の概略外形を示している。
【0110】
図28は、線膨張係数大部材471の外形の概略を示す説明図である。同図に示すように、線膨張係数大部材471に線膨張係数小部材473を収納する収納空間472(穴)が設けられており、線膨張係数小部材473が当該穴に収納されている(はめ込まれている)。収納空間472は、線膨張係数小部材473と同じ形状および同じ大きさで設けられている。従って、収納空間472に線膨張係数小部材473をはめ込むと、ほぼ隙間なく入り、また、線膨張係数小部材473の上面が線膨張係数大部材471の上面と一致する。
【0111】
図29は、低温時の温度到達履歴記憶装置470の外形の概略を示す説明図である。温度が低下すると線膨張係数大部材471が収縮するが、線膨張係数小部材473からの制約を受けて塑性変形する。線膨張係数小部材473からの制約を受けない部分では線膨張係数大部材471が収縮し、線膨張係数大部材471の高さが低くなる。これにより、図29の例のように線膨張係数小部材473の上面が、線膨張係数大部材471の上面よりも高くなる。
【0112】
図30は、低温から常温に戻った場合の温度到達履歴記憶装置470の外形の概略を示す説明図である。温度が上昇するにつれて線膨張係数大部材471が膨張し、線膨張係数大部材471と線膨張係数小部材473との間に隙間ができる。また、収縮した線膨張係数大部材471は完全には戻らず、線膨張係数小部材473の上面が線膨張係数大部材471の上面よりも上になっている。すなわち、線膨張係数小部材473が線膨張係数大部材471からはみ出している。
【0113】
図31は、温度到達履歴記憶装置470における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
線膨張係数大部材471の残留変形を測定する場合、線膨張係数大部材471と線膨張係数小部材473との間に生じた隙間の大きさ(幅)g2を測定するようにしてもよい。或いは、線膨張係数大部材471の上面に対する線膨張係数小部材473の上面の高さh2、すなわち線膨張係数大部材471から線膨張係数小部材473がはみ出した分の大きさを測定するようにしてもよい。これらの測定には、レーザー変位計又はマイクロメータを用いることができる。
【0114】
一方、線膨張係数大部材471の全ひずみを測定する場合、熱履歴(本実施形態では低温への変化)を受ける前に、例えば線膨張係数大部材471の上面かつ収納空間472の近傍にひずみゲージ201を貼り付けておく。そして、熱履歴を受け常温に戻った後で熱履歴を受ける前とのひずみ差を測定する。
また、線膨張係数大部材471の残留応力を測定する場合、例えば線膨張係数大部材471の上面かつ収納空間472の近傍においてX線回析を行って残留応力を測定する。
【0115】
なお、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
温度到達履歴記憶装置470によれば、線膨張係数大部材471に格納領域(穴)を設けて線膨張係数小部材473をはめ込むという比較的簡単な構成で温度到達履歴記憶装置470を生成して温度推定に用いることができる。
【0116】
<第9の実施形態>
図32は、本発明の第9の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置480は、線膨張係数大部材481と、線膨張係数小部材482とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置480は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材481が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材482が制約部120の例に該当する。温度到達履歴記憶装置480を用いて最高到達温度の推定が可能である。
図32は、加熱前の温度到達履歴記憶装置480の概略外形を示している。
【0117】
温度到達履歴記憶装置480でも温度到達履歴記憶装置460の場合と同様、線膨張係数小部材482に収納空間483が設けられており、収納空間483に線膨張係数大部材481が収納される。
一方、温度到達履歴記憶装置460の場合と異なり、温度到達履歴記憶装置480では、線膨張係数大部材481の上面は線膨張係数小部材482の上面よりも低くなっている。
【0118】
図33は、高温時の温度到達履歴記憶装置480の外形の概略を示す説明図である。温度が上がると線膨張係数大部材481が膨張しようとするが、線膨張係数小部材482の収納空間483の面に制約されて塑性変形し、図33に示すように上方に膨張する。但し、温度到達履歴記憶装置460の場合と異なり、温度到達履歴記憶装置480では、線膨張係数大部材481の膨張時でも線膨張係数大部材481の上面の高さは線膨張係数小部材482の高さを越えない。
【0119】
図34は、高温から常温に戻った場合の温度到達履歴記憶装置480の外形の概略を示す説明図である。温度が低下するにつれて線膨張係数大部材481が収縮し、線膨張係数大部材481と線膨張係数小部材482との間に隙間ができる。
【0120】
図35は、温度到達履歴記憶装置480における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
線膨張係数大部材481の残留変形を測定する場合、線膨張係数大部材481と線膨張係数小部材482との間に生じた隙間の大きさ(幅)g3を測定するようにしてもよい。或いは、線膨張係数小部材482の上面に対する線膨張係数大部材481の上面の高さh3を測定するようにしてもよい。ここでは、線膨張係数小部材482の上面の高さの方が、線膨張係数大部材481の上面の高さよりも高い。これらの測定には、レーザー変位計又はマイクロメータを用いることができる。
【0121】
一方、線膨張係数大部材481の全ひずみを測定する場合、熱履歴を受ける前に、例えば線膨張係数大部材481の上面にひずみゲージ201を貼り付けておく。そして、熱履歴を受け常温に戻った後で熱履歴を受ける前とのひずみ差を測定する。
なお、線膨張係数大部材481又は線膨張係数小部材482に加工ひずみが生じた場合、線膨張係数大部材481を収納空間483に収納する前に応力除去焼きなましを行うか、あるいは電解研磨により加工変質層を取り除くことで、加工ひずみを除去することができる。
なお、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
温度到達履歴記憶装置480によれば、線膨張係数小部材482に格納領域(穴)を設けて線膨張係数大部材481をはめ込むという比較的簡単な構成で温度到達履歴記憶装置480を生成して温度推定に用いることができる。
【0122】
<第10の実施形態>
図36は、本発明の第10の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置490は、線膨張係数大部材491と、線膨張係数小部材493とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置490は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材491が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材493が制約部120の例に該当する。温度到達履歴記憶装置490を用いて最低到達温度の推定が可能である。
図36は、温度低下前の温度到達履歴記憶装置490の概略外形を示している。
【0123】
温度到達履歴記憶装置490でも温度到達履歴記憶装置470の場合と同様、線膨張係数大部材491に収納空間492が設けられており、収納空間492に線膨張係数小部材493が収納される。
一方、温度到達履歴記憶装置470の場合と異なり、温度到達履歴記憶装置490では、線膨張係数小部材493の上面は線膨張係数大部材491の上面よりも低くなっている。
【0124】
図37は、低温時の温度到達履歴記憶装置490の外形の概略を示す説明図である。温度が低下すると線膨張係数大部材491が収縮するが、線膨張係数小部材493からの制約を受けて塑性変形する。線膨張係数小部材493からの制約を受けない部分では線膨張係数大部材491が収縮し、線膨張係数大部材491の高さが低くなる。但し、温度到達履歴記憶装置470の場合と異なり、温度到達履歴記憶装置490では、線膨張係数大部材491の収縮時でも線膨張係数小部材493の高さは線膨張係数大部材491の高さを越えない。
【0125】
図38は、低温から常温に戻った場合の温度到達履歴記憶装置490の外形の概略を示す説明図である。温度が上昇するにつれて線膨張係数大部材491が膨張し、線膨張係数大部材491と線膨張係数小部材493との間に隙間ができる。
【0126】
図39は、温度到達履歴記憶装置490における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
線膨張係数大部材491の残留変形を測定する場合、線膨張係数大部材491と線膨張係数小部材493との間に生じた隙間の大きさ(幅)g4を測定するようにしてもよい。或いは、線膨張係数大部材491の上面に対する線膨張係数小部材493の上面の高さh4を測定するようにしてもよい。ここでは、線膨張係数大部材491の上面の高さの方が、線膨張係数小部材493の上面の高さよりも高い。これらの測定には、レーザー変位計又はマイクロメータを用いることができる。
【0127】
一方、線膨張係数大部材491の全ひずみを測定する場合、熱履歴(本実施形態では低温への変化)を受ける前に、例えば線膨張係数大部材491の上面かつ収納空間492の近傍にひずみゲージ201を貼り付けておく。そして、熱履歴を受け常温に戻った後で熱履歴を受ける前とのひずみ差を測定する。
また、線膨張係数大部材491の残留応力を測定する場合、例えば線膨張係数大部材491の上面かつ収納空間492の近傍においてX線回析を行って残留応力を測定する。
【0128】
なお、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
温度到達履歴記憶装置490によれば、線膨張係数大部材491に格納領域(穴)を設けて線膨張係数小部材493をはめ込むという比較的簡単な構成で温度到達履歴記憶装置490を生成して温度推定に用いることができる。
【0129】
<第11の実施形態>
本実施形態では、温度推定対象が回転している場合の例について説明する。温度推定対象が回転している場合、一般的な温度センサの設置が困難な可能性がある。
図40は、本発明の第11の実施形態における温度到達履歴記憶装置の例を示す説明図である。同図に示す温度到達履歴記憶装置500は、線膨張係数大部材501と、線膨張係数小部材502とを含んで構成される。温度到達履歴記憶装置500は、温度到達履歴記憶装置100の例に該当する。線膨張係数大部材501が熱膨張部110の例に該当し、線膨張係数小部材502が制約部120の例に該当する。温度到達履歴記憶装置500を用いて最高到達温度の推定が可能である。
【0130】
線膨張係数小部材502に収容空間503が設けられており、線膨張係数大部材501は収容空間503に収容されている。
また、温度到達履歴記憶装置500は、回転軸を示す線L21を中心に角速度ωで回転している。
【0131】
図41は、温度到達履歴記憶装置500の状態変化の例を示す説明図である。同図(A)は温度が上昇する前の温度到達履歴記憶装置500の状態の例を示す。この場合、線膨張係数大部材501は膨張する前の状態にある。
同図(B)は、温度が上昇したときの温度到達履歴記憶装置500の状態の例を示す。この場合、線膨張係数大部材501が膨張している。線膨張係数大部材501は線膨張係数小部材502からの制約を受けて塑性変形し、上方に膨張している。
同図(C)は、温度が低下して常温に戻ったときの温度到達履歴記憶装置500の状態の例を示す。この場合、線膨張係数大部材501が収縮し、線膨張係数大部材501と線膨張係数小部材502との間に隙間が生じている。
【0132】
図42は、温度到達履歴記憶装置500における塑性変形指標の測定箇所の例を示す説明図である。
線膨張係数大部材501の残留変形を測定する場合、線膨張係数大部材501と線膨張係数小部材502との間に生じた隙間の大きさ(幅)g5を測定するようにしてもよい。或いは、線膨張係数大部材501の上面と線膨張係数小部材502の上面との高さh5、または、熱履歴を受ける前と受ける後での高さh5の変位を測定するようにしてもよい。これらの測定には、レーザー変位計又はマイクロメータを用いることができる。
【0133】
一方、線膨張係数大部材501の全ひずみを測定する場合、熱履歴を受ける前に、例えば線膨張係数大部材501の上面にひずみゲージ201を貼り付けておく。そして、熱履歴を受け常温に戻った後で熱履歴を受ける前とのひずみ差を測定する。
また、線膨張係数大部材501の残留応力を測定する場合、例えば図42のように線膨張係数大部材501の上面および線膨張係数小部材502の上面にひずみゲージ201を添付し、線膨張係数大部材501を切断してひずみゲージ201で測定されるひずみの解放量から残留応力を算出するようにしてもよい。或いは、図42に示すひずみゲージ201の貼付位置のように線膨張係数大部材501の上面や線膨張係数小部材502の上面においてX線回析により残留応力を測定するようにしてもよい。
【0134】
線膨張係数大部材501の上面かつ収納空間503の近傍においてX線回析を行って残留応力を測定する。
なお、複数の測定方法で塑性変形指標を測定してもよい点は、温度到達履歴記憶装置410の場合と同様である。
温度到達履歴記憶装置500によれば、温度推定対象が回転している場合でも温度の推定を行うことができる。特に、上述したように、回転する温度推定対象に対しては、一般的な温度センサの設置が困難な可能性がある。これに対し、温度到達履歴記憶装置500は、回転する温度推定対象に設置することができる。そして、温度到達履歴記憶装置500によれば、回転による外力の影響を無視する、あるいは比較的容易に考慮することができ、この点で、温度を推定し易い。
【0135】
<第12の実施形態>
本実施形態では、温度到達履歴記憶装置を用いて最高到達温度の推定を行った実験例について説明する。
図43は、実験に用いた温度到達履歴記憶装置の装置Aの外形を示す説明図である。装置Aは、線膨張係数大部材511と線膨張係数小部材512とを含み、線膨張係数小部材512に設けられた収容空間(穴)に線膨張係数大部材511を収容して構成されている。
【0136】
線膨張係数小部材512は、縦、横ともに50ミリメートル、厚さ0.93ミリメートルのステンレス鋼(SUS304)に、縦12ミリメートル、横25ミリメートルの穴を開けたものである。
線膨張係数大部材511は、縦10ミリメートル横25ミリメートル厚さ0.93ミリメートルのアルミニウム合金(A5052又はA6061)である。
なお、線膨張係数大部材511と線膨張係数小部材512とは接合されていない。
【0137】
図44は、実験に用いた温度到達履歴記憶装置の装置Bの外形を示す説明図である。装置Bは、線膨張係数大部材521と線膨張係数小部材522とを含み、線膨張係数小部材522に設けられた収容空間(穴)に線膨張係数大部材521を収容して構成されている。
線膨張係数小部材522は、縦、横ともに50ミリメートル、厚さ0.93ミリメートルのステンレス鋼(SUS304)に、縦12ミリメートル、横20ミリメートルの穴を開けたものである。
線膨張係数大部材521は、縦10ミリメートル横20ミリメートル厚さ0.93ミリメートルのアルミニウム合金(A5052又はA6061)である。
なお、線膨張係数大部材521と線膨張係数小部材522とは接合されていない。
【0138】
装置A、装置B共に、まず、最高到達温度と変形(収縮量)との関係、及び、最高到達温度と全ひずみとの関係を示すマスターカーブを求めた。そして、得られたマスターカーブを用いて、同じ寸法の装置における変形、全ひずみを測定し、測定値とマスターカーブとから最高到達温度を推定した。そして、得られた推定値と実際に設定した温度とを比較して実験結果を評価した。
【0139】
まず、以下の手順でマスターカーブを取得した。
(1) 装置A、装置Bそれぞれ、アルミニウム合金(線膨張係数大部材511又は521)のある状態で常温(20℃)から120℃へ100℃上昇させて、アルミニウム合金に収縮の塑性変形を生じさせる。
(2) (1)の後、常温でのアルミニウム合金の寸法を測定する。このときの寸法を初期寸法とし、全ひずみは0とする。
(3) 装置を常温から約200℃上昇させた後、常温時の寸法を測定する。
(4) 装置を常温から約300℃上昇させた後、常温時の寸法を測定する。
(5) 装置を常温から約400℃上昇させた後、常温時の寸法を測定する。
(6) 手順(3)〜(5)の結果から、最高到達温度と初期寸法からの変形量との関係、及び、最高到達温度と初期寸法からの全ひずみとの関係(マスターカーブ)を取得する。
【0140】
図45は、データ収集時の最高到達温度とアルミニウム合金の長さとの関係を示す説明図である。同図では、装置A、装置Bの各々について、最高到達温度毎に、当該最高到達温度まで上昇させて常温に戻した場合のアルミニウム合金(線膨張係数大部材511、521)の長さを示す。最高到達温度が高いほど、アルミニウム合金の収縮が進んでいる。
【0141】
図46は、データ収集時の最高到達温度とアルミニウム合金の収縮量との関係を示す説明図である。同図では、図45に示すように得られたアルミニウム合金の長さの、基準となる120℃の場合の長さとの差を示している。
図47は、データ収集時の最高到達温度とアルミニウム合金の全ひずみとの関係を示す説明図である。同図では、装置A、装置Bの各々について、最高到達温度毎に、当該最高到達温度まで上昇させて常温に戻した場合のアルミニウム合金(線膨張係数大部材511、521)の全ひずみを示している。
【0142】
図48は、最高到達温度と収縮量との関係を示すグラフである。同図に示すグラフの横軸は最高到達温度を示し、縦軸は収縮量を示す。
図48では、図46で得られた関係をグラフに表している。線L21は、装置Aにおける最高到達温度と収縮量との関係を示し、線L22は、装置Bにおける最高到達温度と収縮量との関係を示す。
線L21を直線近似して、式(1)の関係を得た。
【0143】
【数1】
【0144】
ここで、式(1)の変数xは最高到達温度を示し、変数yは収縮量を示す。式(1)を、装置Aにおける最高到達温度と収縮量との関係のマスターカーブと称する。
また、線L22を直線近似して、式(2)の関係を得た。
【0145】
【数2】
【0146】
ここで、式(2)の変数xは最高到達温度を示し、変数yは収縮量を示す。式(2)を、装置Bにおける最高到達温度と収縮量との関係のマスターカーブと称する。
【0147】
図49は、最高到達温度と全ひずみとの関係を示すグラフである。同図に示すグラフの横軸は最高到達温度を示し、縦軸は全ひずみを示す。
図49では、図47で得られた関係をグラフに表している。線L31は、装置Aにおける最高到達温度と全ひずみとの関係を示し、線L32は、装置Bにおける最高到達温度と全ひずみとの関係を示す。
線L31を直線近似して、式(3)の関係を得た。
【0148】
【数3】
【0149】
ここで、式(3)の変数xは最高到達温度を示し、変数yは全ひずみを示す。式(3)を、装置Aにおける最高到達温度と全ひずみとの関係のマスターカーブと称する。
また、線L32を直線近似して、式(4)の関係を得た。
【0150】
【数4】
【0151】
ここで、式(4)の変数xは最高到達温度を示し、変数yは全ひずみを示す。式(4)を、装置Bにおける最高到達温度と全ひずみとの関係のマスターカーブと称する。
これら式(1)〜式(4)で示されるマスターカーブは、図1の対応関係情報記憶部381が記憶する対応関係情報に相当する。
【0152】
図50は、実験時の最高到達温度とアルミニウム合金の長さとの関係を示す説明図である。同図では、装置A、装置Bの各々について、最高到達温度を254℃にした場合のアルミニウム合金(線膨張係数大部材511、521)の長さを示している。
図51は、実験時の最高到達温度とアルミニウム合金の収縮量との関係を示す説明図である。図50に示すように得られたアルミニウム合金の長さの、基準となる120℃の場合の長さとの差を示している。
図52は、実験時の最高到達温度とアルミニウム合金の全ひずみとの関係を示す説明図である。同図では、装置A、装置Bの各々について、最高到達温度を254℃にした場合のアルミニウム合金(線膨張係数大部材511、521)の全ひずみを示している。
【0153】
図53は、最高到達温度の推定結果を示す説明図である。同図では、図51のように得られたアルミニウム合金の収縮量にマスターカーブで対応している温度、及び、図52のように得られたアルミニウム合金の全ひずみにマスターカーブで対応している温度を示している。
同図に示すように、最高到達点温度の推定値は、実際の最高到達温度を概ね示す値になっている。なお、アルミニウム合金の収縮量も全ひずみも、アルミニウム合金の変形量から求めているため、アルミニウム合金の収縮量から求めた推定温度は全ひずみから求めた推定温度と等しい値となっている。
【0154】
なお、温度推定装置300の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0155】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0156】
1 温度推定システム
100 温度到達履歴記憶装置
110 熱膨張部
120 制約部
200 測定装置
201 ひずみゲージ
300 温度推定装置
310 測定値取得部
320 表示部
380 記憶部
381 対応関係情報記憶部
390 制御部
391 推定値取得部
410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520 温度到達履歴記憶装置
411、421、431、441、451、461、471、481、491、501、511、521 線膨張係数大部材
412、422、432、442、454、462、473、482、493、502、512、522 線膨張係数小部材
413 テーパーピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53