特開2017-6179(P2017-6179A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-6179OCT信号処理装置、OCT信号処理プログラム、およびOCT装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-6179(P2017-6179A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】OCT信号処理装置、OCT信号処理プログラム、およびOCT装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20161216BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
   G01N21/17 630
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-121574(P2015-121574)
(22)【出願日】2015年6月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【住所又は居所】愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14
(72)【発明者】
【氏名】久野 雄貴
【住所又は居所】愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14 株式会社ニデック拾石工場内
(72)【発明者】
【氏名】高谷 愛
【住所又は居所】愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14 株式会社ニデック拾石工場内
(72)【発明者】
【氏名】竹野 直樹
【住所又は居所】愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14 株式会社ニデック拾石工場内
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059DD13
2G059EE02
2G059FF02
2G059GG02
2G059JJ05
2G059JJ11
2G059JJ15
2G059JJ17
2G059JJ30
2G059KK01
2G059MM01
(57)【要約】
【課題】 撮影結果の確認を好適に行えるOCT信号処理装置、OCT信号処理プログラム、およびOCT装置を提供する。
【解決手段】 被検体上を走査された測定光と、参照光とに基づいてOCTデバイスによって検出されたOCT信号を処理するOCT信号処理装置であって、同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して得られた3次元モーションコントラストデータの良否を確認するための確認画面を表示手段に表示させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記被検体の一部の深さ領域において抽出された前記3次元モーションコントラストデータである深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体上を走査された測定光と、参照光とに基づいてOCTデバイスによって検出されたOCT信号を処理するOCT信号処理装置であって、
同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して得られた3次元モーションコントラストデータの良否を確認するための確認画面を表示手段に表示させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記被検体の一部の深さ領域において抽出された前記3次元モーションコントラストデータである深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とするOCT信号処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、深さの異なる複数の深さ領域においてそれぞれ抽出された深さ領域データ毎に生成された複数のモーションコントラスト画像を前記確認画面に切り替え可能に表示させることを特徴とする請求項1のOCT信号処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、深さの異なる複数の深さ領域において前記深さ領域データをそれぞれ抽出し、抽出された前記複数の深さ領域データ毎に生成された複数のモーションコントラスト画像を前記確認画面に並べて表示させることを特徴とする請求項1のOCT信号処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記3次元モーションコントラストデータに基づいて病変を検出し、検出された病変を含む深さ領域における前記モーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、被検者の患者情報に基づいて前記深さ領域を特定し、特定した前記深さ領域における前記モーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、OCTデバイスによって被検者を撮影したときの撮影条件に基づいて前記深さ領域を特定し、特定した前記深さ領域における前記モーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記モーションコントラスト画像の表示倍率を切り替えて前記確認画面に表示させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、互いに表示倍率の異なる複数のモーションコントラスト画像を前記確認画面に並べて表示させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、取得された走査ラインに対応する画素列から順次、前記モーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とする請求項1〜8のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記3次元モーションコントラストデータを評価するための指標を前記確認画面に表示させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記複数の深さ領域データ毎に前記指標を演算し、演算された複数の前記指標のうち少なくとも一つを前記確認画面に表示させることを特徴とする請求項1〜10のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記確認画面に表示された前記モーションコントラスト画像に解析結果を表示することを特徴とする請求項1〜11のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項13】
前記モーションコントラスト画像は、前記深さ領域データに基づくEnface画像であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項14】
前記OCTデバイスは、被検眼の眼底上を走査された測定光と、参照光とに基づくOCT信号を検出し、
前記制御手段は、前記3次元モーションコントラストデータから前記眼底の一部の深さ領域における前記深さ領域データを抽出することを特徴とする請求項1〜13のいずれかのOCT信号処理装置。
【請求項15】
被検体上を走査された測定光と、参照光とに基づいてOCTデバイスによって検出されたOCT信号を処理するOCT信号処理装置において用いられるOCT信号処理プログラムであって、
前記OCT信号処理装置のプロセッサによって実行されることで、
同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して得られた3次元モーションコントラストデータのうち、前記被検体の一部の深さ領域において抽出されたモーションコントラストデータである深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を、前記3次元モーションコントラストデータの良否を確認するための確認画面を表示手段に表示させる表示ステップを前記OCT信号処理装置に実行させることを特徴とするOCT信号処理プログラム。
【請求項16】
走査手段によって被検体上を走査された測定光と、参照光とに基づいてOCT信号を取得するOCT光学系と、を備えるOCT装置であって、
前記OCT光学系よって取得された同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して得られた3次元モーションコントラストデータの良否を確認するための確認画面を表示手段に表示させる制御手段を備え、
前記制御手段は、前記OCT光学系による被検体の撮影を開始するためのレリーズ信号を受け付けると、前記走査手段を制御することによって前記複数のOCT信号を取得し、前記被検体の一部の深さ領域において抽出された前記3次元モーションコントラストデータである深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とするOCT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、OCTデバイスによって取得された被検体のOCT信号を処理するOCT信号処理装置、OCT信号処理プログラム、およびOCT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の断層画像を撮影することができる装置として、OCT(Optical Coherence Tomography:光断層干渉計)デバイスを用いた装置が知られている(特許文献1参照)。OCTデバイスは、光源から出射された光を測定光と参照光に分割し、分割した測定光を被検体の組織に照射する。OCTデバイスは、組織によって反射された測定光を参照光と合成し、合成した光のOCT信号を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−172822
【特許文献2】特開2010−220772
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Lee, V. Srinivasan, H. Radhakrishnan, and D. a Boas, “Motion correction for phase-resolved dynamic optical coherence tomography imaging of rodent cerebral cortex.,”Opt. Express, vol. 19, no. 22, pp. 21258-70, Oct. 2011.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年において、OCTデバイスによって得られたOCT信号を用いてモーションコントラスト(例えば、血流などの物体の動き)を取得することが提案されている。また、モーションコントラストを画像化することによって、血管造影画像等が取得される。
【0006】
このような装置において、例えば、モーションコントラスト画像が不鮮明であった場合、十分な解析が行われない可能性があった。この場合、再びOCTデバイスによって被検体の撮影を行う必要があり、手間であった。しかしながら、従来の装置において、モーションコントラスト画像を撮影する際に撮影結果の良否を確認することは難しかった。
【0007】
本開示は、従来の問題点に鑑み、撮影結果の確認を好適に行えるOCT信号処理装置、OCT信号処理プログラム、およびOCT装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0009】
(1)被検体上を走査された測定光と、参照光とに基づいてOCTデバイスによって検出されたOCT信号を処理するOCT信号処理装置であって、同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して得られた3次元モーションコントラストデータの良否を確認するための確認画面を表示手段に表示させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記被検体の一部の深さ領域において抽出された前記3次元モーションコントラストデータである深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とする。
(2)被検体上を走査された測定光と、参照光とに基づいてOCTデバイスによって検出されたOCT信号を処理するOCT信号処理装置において用いられるOCT信号処理プログラムであって、前記OCT信号処理装置のプロセッサによって実行されることで、同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して得られた3次元モーションコントラストデータのうち、前記被検体の一部の深さ領域において抽出されたモーションコントラストデータである深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を、前記3次元モーションコントラストデータの良否を確認するための確認画面を表示手段に表示させる表示ステップを前記OCT信号処理装置に実行させることを特徴とする。
(3)走査手段によって被検体上を走査された測定光と、参照光とに基づいてOCT信号を取得するOCT光学系と、を備えるOCT装置であって、前記OCT光学系よって取得された同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して得られた3次元モーションコントラストデータの良否を確認するための確認画面を表示手段に表示させる制御手段を備え、前記制御手段は、前記OCT光学系による被検体の撮影を開始するためのレリーズ信号を受け付けると、前記走査手段を制御することによって前記複数のOCT信号を取得し、前記被検体の一部の深さ領域において抽出された前記3次元モーションコントラストデータである深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を前記確認画面に表示させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例の概略を示すブロック図である。
図2】OCTデバイスの光学系の一例を示す図である。
図3】本実施例の制御動作を示すフローチャートである。
図4】モーションコントラストの取得について説明するための図である。
図5】本実施例の表示画面の一例を示す図である。
図6】本実施例の表示画面の一例を示す図である。
図7】本実施例の表示画面の変容例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態を図面に基づいて簡単に説明する。本実施形態のOCT信号処理装置(例えば、図1のOCT信号処理装置1)は、例えば、OCTデバイス(例えば、OCTデバイス10)によって取得されたOCT信号を処理する。
【0012】
OCT信号処理装置は、例えば、制御部(例えば、制御部70)を主に備える。制御部は、例えば、表示部(例えば、表示部75)に確認画面(例えば、確認画面80)を表示させる。確認画面は、例えば、3次元モーションコントラストデータの良否を確認するための画面である。3次元モーションコントラストデータは、例えば、OCTデバイスによって検出したOCT信号を処理することで取得される(詳細は後述する)。なお、モーションコントラストは、例えば、物体の動き(例えば、血流、組織変化など)を捉えた情報であってもよい。
【0013】
OCTデバイスは、例えば、被検体上を走査された測定光と、参照光とに基づいてOCT信号を検出する。OCTデバイスは、例えば、測定光源(例えば、測定光源102)と、光分割器(例えば、カップラー104)と、参照光学系(例えば、参照光学系110)と、測定光学系(例えば、測定光学系106)と、走査部(例えば、走査部108)と、受光光学系(例えば、検出器120)とを備えてもよい。
【0014】
OCTデバイスは、例えば、OCT信号処理装置の制御部によって制御されてもよいし、OCT信号処理装置の制御部とは別に設けられた制御部によって制御されてもよい。
【0015】
制御部は、例えば、深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を確認画面に表示させてもよい。これによって、検者は、被検体の一部の深さ領域におけるモーションンコントラストデータの良否を確認することができる。これによって、3次元モーションコントラストデータの全体を好適に確認することができる。
【0016】
なお、深さ領域データは、例えば、被検体の一部の深さ領域において抽出された3次元モーションコントラストデータである。深さ領域データは、例えば、3次元モーションコントラストデータの一部を抽出した3次元データであってもよいし、3次元モーションコントラストデータの一部を抽出した2次元データであってもよい。
【0017】
なお、深さ領域は、例えば、眼底の網膜層に基づく領域であってもよいし、眼底の血管が密集する層に基づく領域であってもよい。深さ領域は、例えば、測定光の走査方向に広がる領域であって、各走査位置における測定光の光軸方向(例えば、深さ方向、z方向)の位置によって特定される領域であってもよい。深さ領域は、例えば、平面的な領域であってもよいし、曲面的な領域であってもよい。深さ領域は、例えば、深さ方向において幅(例えば、深さ、厚さ)のある領域であってもよいし、幅の無い領域であってもよい。また、深さ領域は、例えば、層領域と表現してもよい。
【0018】
制御部は、例えば、OCTデバイスからモーションコントラスト画像を取得してもよいし、OCTデバイスから取得した3次元モーションコントラストデータに基づいてモーションコントラスト画像を生成してもよい。もちろん、制御部は、OCTデバイスから取得したOCT信号に基づいて3次元モーションコントラストデータを演算してもよい。3次元モーションコントラストデータは、例えば、同一部位において取得された時間の異なる複数のOCT信号を演算処理することによって取得される。
【0019】
なお、制御部は、複数のモーションコントラスト画像を確認画面に切り替え可能に表示させてもよい。複数のモーションコントラスト画像は、例えば、複数の深さ領域データ毎に生成された画像であってもよい。この場合、複数の深さ領域データは、互いに深さの異なる複数の深さ領域においてそれぞれ抽出されたモーションコントラストデータであってもよい。これによって、検者は、深さの異なる深さ領域におけるモーションコントラストデータを確認でき、より好適に良否を確認できる。
【0020】
なお、制御部は、複数のモーションコントラスト画像を確認画面に並べて表示させてもよい。これによって、検者は、深さの異なる複数の深さ領域におけるモーションコントラストデータを容易に比較できる。
【0021】
なお、制御部は、病変の含まれる深さ領域におけるモーションコントラスト画像を確認画面に表示させてもよい。この場合、制御部は、3次元モーションコントラストデータに基づいて病変の含まれる深さ領域を特定してもよい。例えば、制御部は、3次元モーションコントラストデータに基づいて病変を検出し、検出された病変の含まれる深さ領域を特定してもよい。これによって、検者は、病変部のモーションコントラストデータが鮮明に取得されているか否かを容易に確認することができる。
【0022】
なお、制御部は、関連情報に基づいて特定した深さ領域におけるモーションコントラスト画像を確認画面に表示させてもよい。関連情報は、例えば、患者の病歴,撮影条件等の情報であってもよい。制御部は、例えば、OCTデバイス、記憶部(例えば、記憶部74)等から関連情報を取得してもよい。これによって、確認画面に表示させるモーションコントラスト画像の深さ領域を指定する手間が省ける。
【0023】
もちろん、制御部は、予め設定された深さ領域におけるモーションコントラスト画像を確認画面に表示させてもよい。
【0024】
なお、制御部は、確認画面に表示させるモーションコントラスト画像の表示倍率を切り替えてもよい。例えば、制御部は、モーションコントラスト画像を確認画面に表示するときの表示倍率を、第1の表示倍率と、第1の表示倍率とは異なる第2の表示倍率とで切り替えてもよい。これによって、検者は、例えば、拡大表示されたモーションコントラスト画像を観察することによって、より的確に3次元モーションコントラストの良否を確認することができる。もちろん、制御部は、互いに表示倍率の異なる複数のモーションコントラスト画像を確認画面に並べて表示させてもよい。
【0025】
なお、制御部は、取得された走査ラインに対応する画素列から順次、モーションコントラスト画像を確認画面に表示させてもよい。これによって、検者は、3次元モーションコントラストデータの取得が完了する前に良否を確認することができる。したがって、途中でアーチファクト(例えば、被検体の構造とは関係のない不要な信号)が生じた場合は、その時点で撮り直しを行うことができる。
【0026】
なお、制御部は、3次元モーションコントラストデータの良否を評価するための指標を確認画面に表示してもよい。これによって、検者は、3次元モーションコントラストデータの良否を定量的に把握することができる。なお、指標は、例えば、3次元モーションコントラストデータの鮮明さを示す指標であってもよい。
【0027】
なお、制御部は、複数の深さ領域データ毎に演算された指標を確認画面に表示させてもよい。例えば、制御部は、複数の深さ領域データ毎に演算された複数の指標のうち少なくとも一つを確認画面に表示させてもよい。これによって異なる深さ領域における指標を比較することができる。もちろん、制御部は、3次元モーションコントラストデータの全体に関して演算された指標を確認画面に表示させてもよい。例えば、制御部は、複数の深さ領域をまとめて演算した全層の指標を確認画面に表示させてもよい。
【0028】
なお、3次元モーションコントラストを評価するための指標は、例えば、強度画像の積算値とモーションコントラスト画像の積算値の比率であってもよい。この比率を計算する場合は、ある一つの走査ラインにおける両者の比率を指標としてもよいし、複数の走査ラインにおける両者の比率を指標としてもよい。例えば、アーチファクトがある場合、上記の指標が小さくなる。したがって、検者は、指標が小さい場合に3次元モーションコントラストデータが不適であると判断し、指標が大きい場合に3次元モーションコントラストデータが適切であると判断してもよい。
【0029】
なお、指標は、モーションコントラスト画像を作成する際の複素OCT信号どうしの相関値であってもよいし、強度画像どうしの相関値であってもよい。これらの相関値によって、例えば、測定光を被検体の同じ走査ラインを複数回にわたって走査する際の被検眼のずれの大きさが評価される。例えば、相関値が1に近いほど相関が高く、被検眼のずれが小さいと判断される。したがって、検者は、相関値を確認することで、被検眼のずれによって生じるアーチファクトの程度を確認することができる。
【0030】
例えば、指標は、モーションコントラスト画像を作成するために取得された同一部位における時間の異なる複数のOCT信号に基づいて演算されてもよい。この場合、制御部は、複数のOCT信号を処理して得られたモーションコントラストに基づいて指標を演算してもよい。
【0031】
なお、制御部は、確認画面に一部の解析結果を表示させてもよい。例えば、制御部は、確認画面に解析結果の一部を表示させ、さらに解析画面において解析結果の残りを表示させてもよい。例えば、確認画面には、処理時間の短い解析結果を表示させ、解析画面には、処理時間の長い解析結果を表示させてもよい。これによって、検者は、確認画面に表示された解析結果の一部を確認した時点で、3次元モーションコントラストデータの良否を判断することができる。したがって、検者は、解析画面によって処理時間の長い解析結果を確認することなく、撮り直しの判断を行うことができる。
【0032】
なお、制御部は、深さ領域データに基づくEnface画像を確認画面に表示してもよい。ここで、Enfaceとは、例えば、眼底面に対して水平な面、または眼底2次元水平断層面のことであってもよい。
【0033】
なお、制御部は、検者に操作させる操作部(例えば、操作部76)から出力される操作信号を受け付けてもよい。この場合、例えば、制御部は、確認画面を表示させているときに受け付けた操作信号に基づいて、再撮影信号を出力してもよい。再撮影信号は、例えば、OCTデバイスによって再度検出された同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して3次元モーションコントラストデータを取得し直すための信号である。
【0034】
したがって、本実施形態のOCT信号処理装置において、例えば、制御部は、検者に操作される操作部から出力される操作信号を受け付け、確認画面を表示させているときに受け付けた操作信号に基づいて、OCTデバイスによって再度検出された時間の異なる複数のOCT信号を処理して得られる3次元モーションコントラストデータを取得し直すための再撮影信号を出力してもよい。
【0035】
なお、制御部は、確認画面を表示しているときに受け付けた操作部からの操作信号に基づいて、確認画面に表示しているモーションコントラスト画像の基となる3次元モーションコントラストデータを記憶部に記憶させるか、または記憶部に記憶させずに削除してもよい。例えば、検者は、確認画面によって3次元モーションコントラストの良否を判断し、3次元モーションコントラストを記憶部に記憶させるか、削除するかを操作部によって入力してもよい。
【0036】
したがって、本実施形態のOCT信号処理装置において、例えば、制御部は、検者に操作される操作手段から出力される操作信号を受け付け、確認画面を表示しているときに受け付けた操作信号に基づいて、3次元モーションコントラストデータを記憶部に記憶させるか、または削除するかを判定してもよい。
【0037】
なお、制御部は、確認画面を表示した後に、前記3次元モーションコントラストデータの解析結果を表示するための解析画面を表示部に表示させてもよい。例えば、制御部は、確認画面を表示した後に受け付けた操作部からの操作信号に基づいて、確認画面から解析画面へと表示を切り替えてもよい。例えば、制御部は、操作信号に基づいて、3次元モーションコントラストデータを記憶部に記憶させた後で解析画面を表示させてもよい。
【0038】
したがって、本実施形態のOCT信号処理装置において、例えば、制御部は、確認画面を表示した後に、3次元モーションコントラストデータを解析するための解析画面を表示させてもよい。
【0039】
なお、制御部は、OCTデバイスによって被検眼の撮影を行うためのレリーズ信号に基づいて、表示部に確認画面を表示させてもよい。この場合、制御部は、レリーズ信号に基づいて、OCTデバイスによるOCT信号の取得を開始してもよい。例えば、制御部は、レリーズ信号に基づいて走査部の走査を開始させてもよい。制御部は、例えば、レリーズ信号に基づいて取得された同一部位における時間の異なる複数のOCT信号を処理して3次元モーションコントラストデータを取得してもよい。そして、制御部は、例えば、前記3次元モーションコントラストデータのうち前記被検体の一部の深さ領域において抽出された深さ領域データに基づくモーションコントラスト画像を確認画面に表示させてもよい。
【0040】
なお、制御部は、プロセッサ(例えば、CPU71)、記憶部(例えば、ROM72、記憶部74など)を備えてもよい。プロセッサは、記憶部に記憶されたOCT信号処理プログラムをOCT信号処理装置に実行させてもよい。例えば、OCT信号処理プログラムは、表示制御ステップを含んでもよい。表示制御ステップは、例えば、前述の深さ領域データに基づくEnface画像を確認画面に表示するステップであってもよい。
【0041】
<実施例>
以下、本実施例のOCT信号処理装置について図面を用いて説明する。図1に示すOCT信号処理装置1は、OCTデバイス10によって取得されたOCT信号を処理する。
【0042】
OCT信号処理装置1は、例えば、制御部70を備える。制御部70は、例えば、一般的なCPU(Central Processing Unit)71、ROM72、RAM73、等で実現される。ROM72には、例えば、OCT信号を処理するためのOCT信号処理プログラム、OCTデバイス10の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶される。RAM73は、例えば、各種情報を一時的に記憶する。なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0043】
制御部70には、図1に示すように、例えば、記憶部(例えば、不揮発性メモリ)74、操作部76、および表示部75等が電気的に接続されている。記憶部74は、例えば、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、着脱可能なUSBメモリ等を記憶部74として使用することができる。
【0044】
操作部76には、検者による各種操作指示が入力される。操作部76は、入力された操作指示に応じた信号をCPU71に出力する。操作部76には、例えば、マウス、ジョイスティック、キーボード、タッチパネル等の少なくともいずれかのユーザーインターフェイスを用いればよい。
【0045】
表示部75は、装置1の本体に搭載されたディスプレイであってもよいし、本体に接続されたディスプレイであってもよい。例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)のディスプレイを用いてもよい。複数のディスプレイが併用されてもよい。また、表示部75は、タッチパネルであってもよい。表示部75がタッチパネルである場合、表示部75は操作部76として兼用されてもよい。表示部75は、例えば、OCTデバイス10によって取得されたOCT画像、モーションコントラスト画像等を表示する。
【0046】
なお、本実施例のOCT信号処理装置1は、例えば、OCTデバイス10が接続されている。接続方法は、無線であってもよいし、有線であってもよいし、その両方であってもよい。なお、OCT信号処理装置1は、例えば、OCTデバイス10と同一の筐体に収納された一体的な構成であってもよいし、別々の構成であってもよい。制御部70は、接続されたOCTデバイス10からOCT信号,モーションコントラストデータ,Enface画像等の少なくともいずれかのOCTデータを取得してもよい。もちろん、制御部70は、OCTデバイス10と接続されていなくともよい。この場合、制御部70は、記憶媒体を介してOCTデバイス10によって撮影されたOCTデータを取得してもよい。
【0047】
<OCTデバイス>
以下、図2に基づいてOCTデバイス10の概略を説明する。例えば、OCTデバイス10は、被検眼Eに測定光を照射し、その反射光と測定光とによって取得されたOCT信号を取得する。OCTデバイス10は、例えば、OCT光学系100を主に備える。
【0048】
<OCT光学系>
OCT光学系100は、被検眼Eに測定光を照射し、その反射光と参照光との干渉信号を検出する。OCT光学系100は、例えば、測定光源102と、カップラー(光分割器)104と、測定光学系106と、参照光学系110と、検出器120等を主に備える。
【0049】
OCT光学系100は、いわゆる光断層干渉計(OCT:Optical coherence tomography)の光学系である。OCT光学系100は、測定光源102から出射された光をカップラー104によって測定光(試料光)と参照光に分割する。分割された測定光は測定光学系106へ、参照光は参照光学系110へそれぞれ導光される。測定光は測定光学系106を介して被検眼Eの眼底Efに導かれる。その後、被検眼Eによって反射された測定光と,参照光との合成による干渉光を検出器120に受光させる。
【0050】
測定光学系106は、例えば、走査部(例えば、光スキャナ)108を備える。走査部108は、例えば、被検眼上の撮像位置を変更するため、被検眼上における測定光の走査位置を変更する。例えば、CPU71は、設定された走査位置情報に基づいて走査部108の動作を制御し、検出器120によって検出された受光信号に基づいてOCT信号を取得する。
【0051】
走査部108は、例えば、眼底上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させる。走査部108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。例えば、走査部108は、2つのガルバノミラー51,52を有し、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。これによって、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。つまり、眼底Ef上における「Bスキャン」が行われる。なお、走査部108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
【0052】
参照光学系110は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
【0053】
参照光学系110は、例えば、参照光路中の光学部材を移動させることによって、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。なお、光路長差を変更するための構成は、導光光学系106の光路中に配置されてもよい。
【0054】
検出器120は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。
【0055】
なお、OCTデバイス10として、例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)、Time-domain OCT(TD−OCT)等が用いられてもよい。
【0056】
SD−OCTの場合、光源102として低コヒーレント光源(広帯域光源)が用いられ、検出器120には、干渉光を各周波数成分(各波長成分)に分光する分光光学系(スペクトルメータ)が設けられる。スペクトルメータは、例えば、回折格子とラインセンサからなる。
【0057】
SS−OCTの場合、光源102として出射波長を時間的に高速で変化させる波長走査型光源(波長可変光源)が用いられ、検出器120として、例えば、単一の受光素子が設けられる。光源102は、例えば、光源、ファイバーリング共振器、及び波長選択フィルタによって構成される。そして、波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、ファブリー・ペローエタロンを用いたものが挙げられる。
【0058】
<正面撮影光学系>
正面撮影光学系200は、例えば、被検眼Eの眼底Efを正面方向(例えば、測定光の光軸方向)から撮影し、眼底Efの正面画像を得る。正面撮影光学系200は、例えば、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を眼底上で二次元的に走査させる第2の走査部と、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる走査型レーザ検眼鏡(SLO)の装置構成であってもよい(例えば、特開2015−66242号公報参照)。なお、正面撮影光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい(特開2011−10944参照)。なお、本実施例の正面撮影光学系200は、測定光学系106の一部の光学素子を兼用している。
【0059】
<固視標投影部>
固視標投影部300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影部300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
【0060】
例えば、固視標投影部300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これによって、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
【0061】
固視標投影部300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光スキャナを用いて光源からの光を走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成等、種々の構成が考えられる。また、固視標投影部300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
【0062】
<制御動作>
以上のようなOCT信号処理装置1において、OCTデバイス10によって取得されたOCTデータを処理するときの制御動作を図3のフローチャートに基づいて説明する。本実施例のOCT信号処理装置1は、例えば、OCTデバイス10によって検出されたOCT信号を処理してモーションコントラストを取得する。
【0063】
(ステップS1)
<OCT信号の取得>
まず、OCT信号処理装置1は、OCT信号を取得する。例えば、CPU71は、OCTデバイス10によって検出されたOCT信号を取得し、そのデータを記憶部74等に記憶させる。なお、以下の説明では、例えば、CPU71がOCTデバイス10を制御してOCT信号を取得するが、OCTデバイス10に個別に制御部が設けられてもよい。
【0064】
以下、OCTデバイス10によってOCT信号を検出する方法を説明する。例えば、CPU71は、固視標投影部300を制御して被検者に固視標を投影する。そして、CPU71は、図示無き前眼部観察用カメラで撮影される前眼部観察像に基づいて、被検眼Eの瞳孔中心に測定光軸がくるように図示無き駆動部を制御して自動でアライメントを行う。
【0065】
アライメントが完了すると、CPU71はOCTデバイス10を制御し、被検眼Eの撮影を行う。例えば、CPU71は、眼底Efにおいて測定光を走査させる。例えば、図4(a)に示すように、CPU71は、走査部108の駆動を制御し、眼底Ef上の領域A1において測定光を走査させる。なお、図4(a)において、z軸の方向は、測定光の光軸の方向とする。x軸の方向は、z軸に垂直であって被検者の左右方向とする。y軸の方向は、z軸に垂直であって被検者の上下方向とする。
【0066】
例えば、CPU71は、領域A1において走査ラインSL1,SL2,・・・,SLnに沿ってx方向に測定光を走査させる。なお、測定光の光軸方向に交差する方向(例えば、x方向)に測定光を走査させることを「Bスキャン」と呼ぶ。そして、1回のBスキャンによって得られたOCT信号を1フレームのOCT信号として説明する。CPU71は、測定光を走査する間、検出器120によって検出されたOCT信号を取得する。CPU71は、例えば、領域A1において取得されたOCT信号を記憶部74に記憶させる。なお、領域A1は、上記のように、xy方向の走査領域であってx方向の走査ラインがy方向に複数並んだ走査領域であってもよい。したがって、CPU71は、例えば、xy方向に2次元的に測定光を走査させ、各走査位置においてz方向のAスキャン信号を得る。つまり、CPU71は、例えば、3次元データを取得する。
【0067】
なお、本実施例では、OCT信号に基づいてモーションコントラストを取得する。モーションコントラストは、例えば、被検眼の血流、網膜組織の変化などを捉えた情報であってもよい。モーションコントラストを取得する場合、CPU71は、被検眼の同一位置に関して時間的に異なる少なくとも2つのOCT信号を取得する。例えば、CPU71は、各走査ラインにおいて時間間隔を空けて複数回のBスキャンを行い、時間の異なる複数のOCT信号を取得する。例えば、CPU71は、ある時間において1回目のBスキャンを行った後、所定時間経過してから1回目と同じ走査ラインで2回目のBスキャンを行う。CPU71は、このときに検出器120によって検出されたOCT信号を取得することによって、時間の異なる複数のOCT信号を取得してもよい。
【0068】
例えば、図4(b)は、走査ラインSL1,SL2,・・・,SLnにおいて時間の異なる複数回のBスキャンを行った場合に取得されたOCT信号を示している。例えば、図4(b)は、走査ラインSL1を時間T11,T12,・・・,T1Nで走査し、走査ラインSL2を時間T21,T22,・・・,T2Nで走査し、走査ラインSLnを時間Tn1,Tn2,・・・,TnNで走査した場合を示している。このように、CPU71はOCTデバイス10を制御し、各走査ラインにおいて時間の異なる複数回のBスキャンを行うことによって、時間の異なる複数のOCT信号を取得してもよい。例えば、CPU71は、同一位置における時間の異なる複数のOCT信号を取得し、そのデータを記憶部74に記憶させる。
【0069】
(ステップS2)
<モーションコントラストの取得>
CPU71は上記のようにOCT信号を取得すると、OCT信号を処理してモーションコントラストを取得する。モーションコントラストを取得するためのOCT信号の演算方法としては、例えば、複素OCT信号の強度差を算出する方法、複素OCT信号の位相差を算出する方法、複素OCT信号のベクトル差分を算出する方法、複素OCT信号の位相差及びベクトル差分を掛け合わせる方法、信号の相関を用いる方法(コリレーションマッピング)などが挙げられる。本実施例では、モーションコントラストとして位相差を算出する方法を例に説明する。
【0070】
例えば、位相差を算出する場合、CPU71は複数のOCT信号をフーリエ変換する。例えば、Nフレーム中n枚目の(x,z)の位置の信号をAn(x,z)で表すと、CPU71は、フーリエ変換によって複素OCT信号An(x,z)を得る。複素OCT信号An(x,z)は、実数成分と虚数成分とを含む。
【0071】
CPU71は、同じ位置の少なくとも2つの異なる時間に取得された複素OCT信号A(x,z)に対して位相差を算出する。例えば、CPU71は下記の式(1)を用いて、位相差を算出する。例えば、CPU71は、各走査ラインにおいて位相差を算出し(図4(c)参照)、そのデータを記憶部74に記憶させてもよい。なお、数式中のAnは時間TNに取得された信号を示し、*は複素共役を示している。
【0072】
【数1】
【0073】
上記のように、CPU71は、OCT信号に基づいて被検眼Eの3次元モーションコントラストデータを取得する。なお、前述のように、モーションコントラストとしては、位相差に限らず、強度差、ベクトル差分等が取得されてもよい。
【0074】
(ステップS3)
<確認画面の表示>
被検眼の撮影が行われると、CPU71は、例えば、図5に示すような確認画面80を表示部75に表示する。確認画面80は、モーションコントラストデータ(以下、MCデータと略す)の良否を確認するための画面である。例えば、CPU71は、第1表示領域81、第2表示領域82、第3表示領域83、第1切替部84、第2切替部85等を確認画面80Aに表示する(図5(a)参照)。
<第1表示領域>
第1表示領域81は、モーションコントラスト画像(以下、MC画像と略す)が表示される領域である。CPU71は、例えば、任意の深さ領域のMC画像を第1表示領域81に表示する。本実施例のようにOCTデバイス10によって被検眼Eの眼底Efを撮影した場合、MC画像は血管造影画像(いわゆるOCT Angiography像)として観察される。MC画像は、例えば、3次元モーションコントラスト画像(以下、3次元MC画像と略す)であってもよいし、モーションコントラスト正面画像(以下、MC正面画像と略す)であってもよい。ここで、正面画像とは、いわゆるEn face画像であってもよい。En faceとは、例えば、眼底面に対して水平な面、または眼底2次元水平断層面などのことである。
【0075】
なお、3次元MCデータからMC正面画像を生成する方法としては、例えば、深さ方向の少なくとも一部の深さ領域に関してMCデータを取り出す方法などが挙げられる。この場合、少なくとも一部の深さ領域におけるMCデータのプロファイルを用いてMC正面画像が生成されてもよい。
【0076】
<第1切替部>
第1切替部84は、第1表示領域81に表示させるMC画像の深さ領域を指定するインターフェースである。第1切替部84は、例えば、チェックボックス(図5参照)、ボタン、スライダー等であってもよい。例えば、第1切替部84は、神経線維層(nerve fiber layer: NFL)、神経節細胞層(ganglion cell layer: GCL)、網膜色素上皮(retinal pigment epithelium: RPE)、脈絡膜(choroid)等の網膜層毎に深さ領域を切り替えられるようにしてもよい。また、第1切替部84は、血管の分布に基づいて、表層(SCP:Superficial Capillary Plexus)、中間層(ICP:Intermediate Capillary Plexus)、深層(DCP:Deep Capillary Plexus)等に深さ領域を切り替えられるようにしてもよい。もちろん、上記の層に限らず、第1切替部84は、各網膜層の境界から所定の範囲内に設定された深さ領域、または検者が独自に設定した深さ領域に切り替えできてもよい。また、深さ領域は、例えば、複数の網膜層を合わせた領域であってもよい。
【0077】
例えば、CPU71は、第1切替部84によって指定された深さ領域におけるMC画像を第1表示領域81に表示する。例えば、CPU71は、セグメンテーション処理によってMCデータを複数の深さ領域に分離し、分離された各深さ領域のうち、第1切替部84によって指定された深さ領域におけるMCデータを取り出して第1表示領域81に表示する。
【0078】
なお、セグメンテーション処理によって深さ領域を分離する場合、例えば、CPU71は、強度画像のエッジ検出によって検出された網膜層の境界に基づいて深さ領域を分離させてもよいし、MC画像から検出された血管の分布に基づいて深さ領域を分離させてもよい。ここで、強度画像とは、例えば、OCT信号の強度(Intensity)に応じて輝度値が決定された画像である。
【0079】
図5(a)は、第1切替部84によってSCPが指定されたときの確認画面80Aの様子である。この場合、第1表示領域81に表示されたMC画像には、SCP付近の太い血管が主に確認される。一方、図5(b)は、第1切替部84によってDCPが指定されたときの確認画面80Aの様子である。この場合、第1表示領域81に表示されたMC画像には、DCP付近の細い血管が主に観察される。このように、CPU71は、第1表示領域81に表示させるMC画像の深さ領域の深さを切り替えることができる。これによって、深さの異なる深さ領域ごとにMCデータの良否を確認することができる。
【0080】
<第2切替部85>
第2切替部85は、確認画面80Aと確認画面80B(図6参照)とを切り替えるためのインターフェースである。CPU71は、第2切替部85が操作されると、確認画面80Aと確認画面80Bとを切り替える。第2切替部85は、例えば、ボタン、チェックボックス等であってもよい。
【0081】
<第2表示領域>
第2表示領域82は、OCT信号の強度に基づく強度画像が表示される領域である。第2表示領域82は、例えば、マップ上の任意の1ラインの強度画像が表示される。なお、CPU71は、例えば、強度画像とMC画像を切り替えて第2表示領域82に表示してもよいし、重ねて表示してもよい。なお、第1切替部84によって指定された深さ領域に応じて、第2表示領域82に表示された強度画像の対応する領域を線や塗りつぶし等で強調して表示させてもよい。
【0082】
<第3表示領域>
第3表示領域83は、MC画像の鮮明さを示す指標(Motion Contrast Index: MCI)が表示される領域である。CPU71は、例えば、MCIとして第3表示領域に83に数値を表示してもよいし、グラフィックを表示してもよい。検者は、指標を参考にMCデータの良否を判断することができる。なお、CPU71は、MCIを基準にして自動で再撮影を行うようにしてもよい。この場合は、第3表示領域83にMCIを表示しなくともよい。
【0083】
MCIは、例えば、式(2)に示すように、ある走査ラインにおける強度画像の積算値とMC画像の積算値との比率であってもよい。
【数2】
【0084】
ここで、式(2)中のAngiogramはMC画像、Intensityは強度画像であり、x,zは座標、tは時間(フレーム)である。
【0085】
この場合、アーチファクト(例えば、被検体の構造とは関係のない不要な信号)がある走査ラインでは比率が大きくなり、MCIが1に近いほどアーチファクトがない鮮明なMC画像になる。
【0086】
また、MCIは、式(3)に示すように、MC画像を作成する際の複素OCT信号どうしの相関値Γであってもよい(非特許文献1参照)。
【数3】
【0087】
ここで、Rは複素OCT信号、R*はRの複素共役、x,zは座標、tは時間(フレーム)、t0は基準となる時間(フレーム)である。
【0088】
この場合、相関値Γが1に近いほど眼のずれが小さいため鮮明なMC画像が得られる。一方、眼が動くと複素OCT信号どうしの相関値Γは低下し、MC画像は不鮮明となる。
【0089】
また、MCIは、強度画像どうしの相関値であってもよい。この場合には、式(4)に示すような正規化相互相関(ZNCC)を用いることができる。
【数4】
【0090】
ここで、Rは複素OCT信号、Nは全画素数、x,zは座標、tは時間(フレーム)、である。
【0091】
この場合、ZNCCの値が1に近いほど相関が高く(目のずれが小さく)、鮮明なMC画像になり、ZNCCの値が0に近いほど相関が低く、不鮮明なMC画像になる。
【0092】
なお、CPU71は、第1切替部84によって指定された深さ領域に対応するMCIを第3表示領域83に表示してもよい。例えば、第1切替部84によって深さ領域が切り替えられた場合、CPU71は、切り替えられた深さ領域に対応するようにMCIの表示を切り替えてもよい。もちろん、CPU71は、各層に対応する複数のMCIを表示させてもよい。
【0093】
なお、CPU71は、MCIの他に、例えば、強度画像の鮮明さを示す指標、および正面観察光学系200によって撮影された被検眼Eの正面観察画像の鮮明さを示す指標などを第3表示領域83に表示させてもよい(図5参照)。
【0094】
図6に示す確認画面80Bには、例えば、上記の第2表示領域82、第3表示領域83、第1切替部84、第2切替部85の他に、第4表示領域86が表示される。例えば、第4表示領域86は、第1表示領域81のMC画像とは表示倍率の異なるMC画像が表示される領域である。
【0095】
<第4表示領域>
例えば、図6に示すように、CPU71は、第1表示領域81のMC画像に比べて表示倍率が小さいMC画像を第4表示領域86に表示する。図6の例では、CPU71は、正面観察光学系200によって撮影された被検眼Eの正面観察画像と、それに重畳されるMC画像を第4表示領域86に表示する。
【0096】
CPU71は、例えば、第2切替部85の操作に応じて確認画面80Aと確認画面80Bとを切り替えることによって、MC画像の表示倍率を切り替える。例えば、検者は、拡大されたMC画像が表示された第1表示領域81によって毛細血管の鮮明さを確認し、第4表示領域のMC画像によってOCT信号を取得した領域A1の位置を確認することができる。なお、CPU71は、別のウィンドウにMC画像を拡大表示させてもよいし、MC画像の一部の選択された領域を拡大表示させてもよい。また、CPU71は、異なる表示倍率のMC画像を一つの画面に並べて表示してもよい。もちろん、MC画像の表示倍率は、予め設定されてもよいし、任意の表示倍率に変更されてもよい。
【0097】
検者は、確認画面80によって、MCデータの良否を確認する。例えば、検者は、第1表示領域81に表示させるMC画像の深さ領域を第1切替部84によって切り替え、所望の深さ領域におけるMC画像を確認する。また、検者は、第2切替部85によって適宜MC画像の表示倍率を変更してもよい。また、検者は、第3表示領域83に表示されたMCIを参考にMCデータの良否を確認してもよい。
【0098】
上記のように、検者は、例えば、確認画面80によってMC画像の良否を確認し、撮影が上手く行われたか否か判断する。例えば、検者は、撮影が上手く行われたと判断した場合には、図5のOKボタン87を押し、撮影が上手く行われなかったと判断した場合には、リトライボタン88を押す。
【0099】
(ステップS4)
<撮影の成否判定>
検者によってリトライボタン88が押されると、CPU71は、例えば、取得されたOCTデータを放棄し(ステップS5)、再びOCTデバイス10による被検眼Eの撮影を行う(ステップS1)。一方、検者によってOKボタン87が押されると、CPU71は、例えば、取得されたOCTデータを記憶部74に記憶させる。
【0100】
(ステップS6)
<解析画面の表示>
撮影が完了すると、例えば、CPU71は、表示部75に解析画面(不図示)を表示してもよい。解析画面は、例えば、記憶部74に記憶されたOCTデータを解析し、その解析結果を表示するための画面である。例えば、CPU71は、処理時間の長い解析処理によって得られた詳細な解析結果を解析画面に表示する。検者は、解析画面によって被検眼Eの詳細な解析結果を確認する。なお、CPU71は、例えば、確認画面80から解析画面に移行させてもよいし、他の画面を経由させてもよい。例えば、CPU71は、確認画面80から撮影結果の一覧画面を表示し、一覧画面において選択された撮影結果に関する解析画面を表示させてもよい。
【0101】
以上のように、確認画面80に検者の所望する深さ領域のMC画像を表示させることによって、検者は簡便にMCデータの良否を判断することができる。また、撮影が完了する前にMCデータの良否を判断できるため、検者は、撮影を途中で中断して撮り直しを行ってもよい。これによって、撮影全体の時間が短縮され、被検者の負担が軽減される。
【0102】
また、本実施例のOCT信号処理装置1は、網膜全層のMC画像しか確認ができない場合に比べ、特定の深さ領域が上手く撮影できているかを容易に確認することができる。
【0103】
なお、OCTデバイス10にSD−OCTを用いた場合、感度減衰が生じることがある。これによって、浅い深さ領域のMC画像が鮮明であっても、深い深さ領域のMC画像は不鮮明となる可能性がある。このような場合、網膜全層のMC画像だけでは深い深さ領域のMC画像が不鮮明であることが分かり難い。したがって、本実施例のように、一部の深さ領域のMC画像を表示できることによって、検者は、深い深さ領域のMC画像を個別に確認することができるため、感度減衰によるMC画像の不良を容易に確認できる。
【0104】
なお、CPU71は、例えば、深さの異なる深さ領域における複数のMC画像を確認画面80に表示させてもよい。例えば、図7に示すように、CPU71は、第1表示領域81にSCPとDCP等の深さの異なる深さ領域における複数のMC画像を並べて表示させてもよい。これによって、深さ領域の異なるMC画像を比較でき、ある深さ領域のMC画像を参考にして、深さの異なる他のMC画像の良否を判断することができる。
【0105】
なお、CPU71は、3次元MC画像、MC正面画像、および任意の血管のMC画像を第1表示領域81に表示させてもよい。例えば、CPU71は、これらの画像を第1表示領域81に並べて表示させてもよいし、切替可能に表示させてもよい。さらに、CPU71は、MC正面画像と、それに対応する深さ領域の強度の正面画像を第1表示領域81に並べて表示してもよい。また、MC画像は、カラー表示とネガティブ/ポジティブ表示とを切り替えることができてもよい。もちろん、MC画像は静止画であってもよいし、動画であってもよい。
【0106】
なお、CPU71は、MC画像の解析結果を第1表示領域81に表示してもよい。例えば、CPU71は、FAZ(Foveal Avascular Zone: 中心窩無血管領域)の面積,形状計測等の解析結果、動脈静脈の分別結果等の領域解析結果をMC画像に重ねて表示させてもよい。また、CPU71は、MC画像上のアーチファクト(例えば、走査ライン方向の横スジ)等を検出し、矢印や着色等で強調表示してもよい。例えば、CPU71は、画像処理または前述のMCIの演算等によってアーチファクトを検出し、MC画像上の該当箇所を強調表示することによって、再撮影を促してもよい。検者は、これらの解析結果等を参考することによって、再撮影を行うべきかを容易に判断することができる。
【0107】
なお、CPU71は、撮影した走査ラインから順次MC画像を表示してもよい。これによって、検者は、撮影の進捗状況を知ることができる。例えば、検者は、撮影途中にアーチファクトを見つけた場合、撮り直しを行ってもよい。
【0108】
<深さ領域の設定>
なお、CPU71は、第1表示領域81に表示させるMC画像の深さ領域を自動で設定してもよい。例えば、CPU71は、MCデータを解析することによって病変部を検出し、検出された病変部を含む深さ領域のMC画像を第1表示領域81に表示してもよい。例えば、CPU71は、MC画像に対して2値化を行い、血管が検出されなかった暗い領域を病変部として検出してもよい。このように、検出された病変に基づいてMC画像の深さ領域が自動で設定されることによって、病変があるか否か探すために深さ領域を切り替える手間が省ける。また、病変と思われる深さ領域のMC画像を表示することで、検者はその周辺をより詳細に撮り直すかどうか判断できる。
【0109】
また、CPU71は、例えば、撮影条件に基づいて、第1表示領域81に表示させるMC画像の深さ領域を自動で設定してもよい。例えば、CPU71は、測定光のスキャン位置(例えば、黄斑周辺、乳頭周辺)、スキャンパターン(例えば、ラスター、サークル、クロス)に基づいて、MC画像の深さ領域を自動で設定してもよい。
【0110】
また、CPU71は、患者の病歴データから第1表示領域81に表示させるMC画像の深さ領域を自動で設定してもよい。例えば、CPU71は、記憶部74等に記憶された病歴データを参照し、病変が発生したことのある深さ領域のMC画像を第1表示領域81に表示させてもよい。これによって、検者は、病変部の経過観察を容易に行える。もちろん、CPU71は、予め設定された深さ領域のMC画像を表示させてもよい。
【0111】
なお、以上に説明した確認画面は、一例に過ぎず、上記の要素(例えば、第1表示領域81、第2表示領域83、第3表示領域83、第4表示領域86、第1切替部84、第2切替部85、OKボタン87、リトライボタン88)のすべてを表示する必要はない。もちろん、CPU71は、撮影条件に応じて確認画面の構成を変更してもよい。例えば、黄斑撮影時と乳頭撮影時とで異なる確認画面を表示してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 OCT信号処理装置
10 OCTデバイス
70 制御部
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 記憶部
75 表示部
76 操作部
100 OCT光学系
108 走査部
200 正面撮影光学系
300 固視標投影部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7