特開2017-6407(P2017-6407A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-6407(P2017-6407A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20161216BHJP
   A61B 3/14 20060101ALI20161216BHJP
   A61B 3/103 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
   A61B3/14 A
   A61B3/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-125372(P2015-125372)
(22)【出願日】2015年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100134393
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100174230
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 尚文
(72)【発明者】
【氏名】須藤 貴士
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内
(57)【要約】
【課題】被検眼が近視側視度の場合にも、ゴーストを抑制し、且つワーキングディスタンスを必要量確保できる眼科装置を提供する。
【解決手段】第一の測定光の被検眼の眼底からの戻り光に基づいて眼底の広範囲における低解像度の画像を取得する広範囲撮像手段と、第二の測定光の眼底からの戻り光に基づいて眼底の狭範囲における高解像度の画像を取得する狭範囲撮像手段と、を有する眼科装置において、第一の測定光と第二の測定光とを合成すると共にその戻り光を分離するダイクロイックプリズムを配し、広範囲撮像手段にダイクロイックプリズムの被検眼とは反対の位置に配置される正屈折力の光学部材を配する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の測定光の被検眼の眼底からの戻り光に基づいて前記眼底の広範囲における低解像度の画像を取得する広範囲撮像手段と、
第二の測定光の前記眼底からの戻り光に基づいて前記眼底の狭範囲における高解像度の画像を取得する狭範囲撮像手段と、
前記第一の測定光と前記第二の測定光とを前記被検眼へ導くと共に、前記被検眼からのそれぞれの戻り光を前記広範囲撮像手段と前記狭範囲撮像手段へ導くダイクロイックプリズムとを有し、
前記広範囲撮像手段は、ダイクロイックプリズムの前記被検眼とは反対の位置に配置される正屈折力の光学部材を有することを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記被検眼、前記ダイクロイックプリズム及び前記正屈折力の光学部材は、直線上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記ダイクロイックプリズムにおける入射面及び出射面は、前記正屈折力の光学部材の光軸に対して傾かせて配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記ダイクロイックプリズムの屈折率は、1.4以上1.7以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記広範囲撮像手段における前記第一の測定光の波長と、前記狭範囲撮像手段における前記第二の測定光の波長とは、互いに異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記狭範囲撮像手段は、反射ミラー光学系で構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記狭範囲撮像手段は、前記第二の測定光又は前記第二の測定光の前記眼底からの戻り光の波面収差を補正する波面収差補正手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記狭範囲撮像手段は、前記ダイクロイックプリズムの反射面で反射される方向の光路上に配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被検眼の眼底を撮像する眼科装置に関する。特に、被検眼における微小部位の高解像度での狭範囲の撮像と、低解像度のより広い範囲を撮像する広範囲の撮像とが可能な眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼眼底に投影した光の反射光を被検眼瞳孔と共役位置に配置した波面センサーで該反射光の収差を検知し、該収差を収差補正デバイスで補正する収差補正技術が知られている。この収差補正技術を利用して眼底の微小部位を高解像度に撮像し、視細胞の形状、密度、血球の流れ、等の情報を診断に用いる研究も行われている。また、この微小部位撮像時には、広範囲で撮像した眼底像を用いて高解像度で撮像する部位を選択する。このため、眼底の狭い部位を高解像度に撮像する眼底撮像部とは別に、眼底の広い部位を撮像する広撮像範囲の眼底撮像部を設ける構成が知られている。
【0003】
当該構成において、眼底からの光を、上記の狭範囲撮像のための光学系と、広範囲撮像のための光学系との2光路に分離するために、ダイクロイックミラーを用いることが一般的である。この場合、狭範囲撮像用の光学系で使用する測定光の波長を、広範囲撮像用の光学系で使用する測定光の波長と異ならせる。そして、各光学系の異なる波長の光源より得た測定光の各々で眼底を照射し、眼底からの戻り光をダイクロイックミラーで分離する(特許文献1)。この方式により、眼底の狭範囲撮像と広範囲撮像とを同時に実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014―79517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される光学系を用いた撮像装置に関しては、ゴーストの発生が問題となる。該撮像装置は、個々の被検眼の視度に対応するために、視度を調整するためのフォーカス光学系を有している。該撮像装置において近視側の被検眼に対応するために、眼底にフォーカスしようとすると、眼底の共役点が、正常眼に比べて眼側に近付く。
【0006】
ここで、図8において、視度と、眼から眼底共役点までの距離との対応を示している。例えば、被検眼の近視の度数が−12D(Diopter)のときは、眼から86mm(=1000/12)の位置に共役点が生じる。一方、近視側から遠視側にかけて被検眼の視度が変化する場合、該変化に伴って眼底共役点は測定光の光源側にシフトする。
【0007】
従って、特許文献1のように、該共役点よりも光源側にレンズが配置された構成の場合、必ずレンズ表面での戻り光、すなわちゴーストが発生してしまう。更に、共役点とレンズ表面とが一致した場合は、特に強いゴーストが発生してしまう。このようなゴーストがAPDセンサーに入射した場合には画質を著しく劣化させてしまう。また、ゴーストが収差補正デバイスに入射した場合には、該デバイスが該ゴーストによって誤動作をしてしまい、適切な波面補正が出来なくなってしまう。
【0008】
上記の課題を解決するために、レンズの表面反射率を低減してゴーストの発生を回避することが考えられる。ここで、撮像対象の眼底の反射率が極めて低いために、眼底からの光の強度が小さくなり、これへの対処のためにレンズ表面の反射率は最低でも0.05%以下にする必要がある。しかし、量産において、安定的にレンズ表面の反射率を0.05%以下にすることはレンズ表面への薄膜作製上困難であるため、現在のところ現実的ではない。
【0009】
また、一方では、眼底共役点に対してレンズを極力眼側に配置してゴーストを回避することも考えられる。しかし、その場合、被検眼とダイクロイックミラーとの距離(ワーキングディスタンス)が狭くなってしまう。ワーキングディスタンスが短い場合には、例えば装置と鼻とが干渉することなどの問題が生じる。
【0010】
さらに、ダイクロイックミラーとレンズの配置を入れ替えて、眼側からレンズ、ダイクロイックミラーの構成とすることも考えられる。しかしながら、この構成では、狭範囲撮像用の光学系と広範囲撮像用の光学系とのいずれの光路にもレンズが共用されることになる。この場合、特に狭範囲撮像用光学系において、ゴーストに対して高い敏感度を持つ収差補正デバイスが誤動作をしてしまうため、高解像撮像が困難となる。
【0011】
本発明は以上の状況に鑑みて為されたものであって、被検眼が近視側視度の場合にも、ゴーストを抑制し、且つワーキングディスタンスを必要量確保できる眼科装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る眼科装置は、
第一の測定光の被検眼の眼底からの戻り光に基づいて前記眼底の広範囲における低解像度の画像を取得する広範囲撮像手段と、
第二の測定光の前記眼底からの戻り光に基づいて前記眼底の狭範囲における高解像度の画像を取得する狭範囲撮像手段と、
前記第一の測定光と前記第二の測定光とを前記被検眼へ導くと共に、前記被検眼からのそれぞれの戻り光を前記広範囲撮像手段と前記狭範囲撮像手段に導くダイクロイックプリズムとを有し、
前記広範囲撮像手段は、ダイクロイックプリズムの前記被検眼とは反対の位置に配置される正屈折力の光学部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被検眼が近視側視度の場合にも、ゴーストを抑制し、且つワーキングディスタンスを必要量確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る眼科装置における、被検眼に対する上下方向に配置される構成の概略を示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る眼科装置における、被検眼に対する左右方向に配置される構成の概略を示す模式図である。
図3】従来構成における近視度−12Diopterの眼底共役位置を説明する図である。
図4】本発明の第1の実施形態における近視度−12Diopterの眼底共役位置を説明する図である。
図5】本発明の第1及び第2の実施形態において用いたダイクロイックプリズムの膜特性を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る眼科装置における、被検眼に対する上下方向であって該被検眼から接眼レンズまでに配置される構成の概略を示す模式図である。
図7】本発明の第2の実施形態における近視度−12Diopterの眼底共役位置を説明する図である。
図8】従来構成における近視度Diopterと眼底共役位置との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に関わる本発明を限定するものではなく、また、本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0016】
(第1の実施形態)
図1及び図2に本発明の第1の実施形態に係る眼科装置の概略構成を示す。図1は本発明に関わる構成を被検眼1に対して上下方向に配置(横方向から見た)、図2図1と同じ構成を左右方向に配置(上方向から見た)の概略を示す模式図である。
【0017】
該眼科装置は、被検眼1の前より順に、ダイクロイックプリズム2、接眼レンズ3、レンズ4、レンズ5、第一スキャナ6、第二スキャナ19、レンズ7、及び光路分離ミラー8が配置される。また、光路分離ミラー8により透過分離される光路には、該ミラーより順にレンズ9及びセンサー10が配置され、反射分離される光路には、該ミラーより順にレンズ11及びファイバー端12が配置される。
【0018】
接眼レンズ3は正の屈折力を有し、レンズ4、5、7,9及び11も正屈折力を有する。第一スキャナ6はスキャンミラーで測定光を眼に対して上下方向に、第二スキャナ19はスキャンミラーで測定光を眼に対して左右方向に走査する。センサー10には、APDセンサー(アバランシェ・フォトダイオード)を用いている。ファイバー端12はレーザ光源(不図示)から発せられたレーザ光を導くファイバーの射出端部を示している。該レーザ光は本実施形態における第一の測定光(WF測定光とも言う)に対応する。本発明では、以上の構成が配される光学系を、被検眼1の眼底に関して広範囲において低解像度で撮像する光学系、或いは広範囲撮像手段としている。該広範囲撮像手段は、該第一の測定光の被検眼1の眼底からの戻り光に基づいて該眼底の広範囲且つ低解像度の画像を取得する。
【0019】
図1に示すように、ダイクロイックプリズム2の上側に配置される光学系には、光路上ダイクロイックプリズム2より順に、球面ミラー13、スキャンミラー14及び狭範囲撮像光学系15が配置される。該狭範囲撮像光学系15は、本実施形態において狭範囲撮像手段として、後述する第二の測定光(AO測定光とも言う)の眼底からの戻り光に基づいて眼底の狭範囲における高解像度の画像を取得する。即ち、該狭範囲撮像光学系15は、ダイクロイックプリズム2の反射面で反射される方向に折り返される光路上に配置される。
【0020】
球面ミラー13は、同図中被検眼1に対してダイクロイックプリズム2の上側に配置され、正屈折力を有する。スキャンミラー14は、被検眼1に対して上下方向に関して測定光を走査する。狭範囲撮像光学系15は、複数の反射ミラーで構成される正屈折力の反射ミラー光学系である。また、狭範囲撮像光学系15は、第二の測定光の眼底からの戻り光の波面収差を測定する不図示の波面収差測定手段、及び該第二の測定光或いは該戻り光の波面収差を補正する不図示の波面収差補正手段を有する。なお、狭範囲撮像手段及び広範囲撮像手段の詳細な光学系については、公知であるので(例えば、特開2013−248260号公報等)、その詳細な構成の説明については省略する。
【0021】
次に、本発明の第1の実施形態における眼科装置の、光学作用について述べる。ファイバー端12から出射されるWF測定光は、正屈折力のレンズ11及び7によって略平行な光として第二スキャナ19に入射する。第二スキャナ19における反射面は45°を中心として所定の角度範囲及び周波数で振動し、WF測定光をこの角度範囲内で眼底上を走査する。第一スキャナ6は、第二スキャナ19とは異なる方向に反射面を振動させている。WF測定光は第二スキャナ19を経た後にこの第一スキャナ6の反射面に入射することで、被検眼眼底に対して上下左右に走査される。
【0022】
これらスキャナを出射したWF測定光は、正屈折力を有するレンズ5及び4に入射し、集光されながら、接眼レンズ3に導かれる。WF測定光は接眼レンズ3とレンズ4の間において一回結像した後、接眼レンズ3に入射する。接眼レンズ3に入射したWF測定光は、正屈折力のレンズ3により、略平行な光としてダイクロイックプリズム2に入射する。ダイクロイックプリズム2は図5に示す分光特性を有しており、ファイバー端12から発せられた光の波長に対して透過の特性を有している。なお、本実施形態におけるWF測定光の波長は920nmとしている。図5のグラフについて、縦軸は透過率、横軸は波長である。
【0023】
狭範囲撮像光学系15における不図示のレーザ光源は広範囲撮像手段におけるレーザ光源と異なる波長の第二の測定光を発するレーザ光源であり、本実施形態では840nmの光を発するものとしている。即ち、前述した広範囲撮像光学系における第一の測定光の光源の波長と、狭範囲撮像光学系15における第二の測定光の光源の波長とは、互いに異なる。
【0024】
狭範囲撮像光学系15は、反射光学系で構成されることにより、レンズ表面の反射によるゴースト対策を行っている。該狭範囲撮像光学系15から発せられたAO測定光はスキャンミラー14で走査され、球面ミラー13側に反射される。球面ミラー13に入射したAO測定光は、ダイクロイックプリズム2に導かれ、略平行な光としてダイクロイックプリズム2に入射する。ダイクロイックプリズム2に入射した光は、図5に示す分光特性によって、反射され、被検眼1に導かれる。ダイクロイックプリズム2はプリズム形状を有し、第一の測定光と第二の測定光とを被検眼に導くと共に、各々の被検眼からの戻り光をその波長に応じてそれぞれの光路へと分離する。
【0025】
次に、本発明の原理について説明する。図3は、従来の光学構成における近視度−12Diopterの眼底共役位置を説明する図を示している。従来は、例えば先行技術文献1に示される構成のように、狭範囲撮像と広範囲撮像との光路の切り替えをダイクロイックミラー16で行っている。このようなダイクロイックミラー16を用いて光路を分離する光学構成の場合、被検眼が近視の場合においてゴーストが発生し易い。
【0026】
図3中の点線部分は、近視度−12Diopterの場合における眼底(網膜)との共役位置を示している。この図のように、眼底の共役位置が接眼レンズ17の表面に近接していると、レンズ表面からの戻り光がAPDセンサー10に直接入射してしまい、画質が低下してしまう。その結果として、眼底の画像を高画質で撮像することができなくなってしまう。
【0027】
図4は本実施形態の原理を説明する図であり、比較のために図3と同じ様式にて眼底との共役位置を示している。本形態では、被検眼1と接眼レンズ18との間に配置されるダイクロイックミラーをダイクロイックプリズム2に替えている。同図中点線部は、図3と同様の近視度−12Diopterの場合における眼底の共役位置を示している。本実施形態によれば、このように共役位置を接眼レンズ18から遠ざけることが出来るため、レンズ面からの反射によるゴーストが発生しにくい。
【0028】
また、被検眼が近視眼から遠視眼に移っていく場合、共役位置は光源側にシフトしていく。このため、全ての視度でゴーストを低減するためには、近視の場合の眼底共役位置を、接眼レンズの光源側にする必要がある。これに対し、本形態では被検眼と接眼レンズの間の光路分離手段がプリズムであるために、被検眼から眼底共役位置までの距離を長くすることが出来る。本実施形態においては、使用するプリズムをS−BSM25(屈折率1.65)としている。これによって、近視眼の眼底共役位置を接眼レンズ18から遠ざけることが出来るため、ゴーストを低減できる。
【0029】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る眼科装置における被検眼1から接眼レンズ21までに配置される構成を模式的に示す図であって、それ以外の構成は第1の実施形態において述べた構成と同様である。第1の実施形態では、接眼レンズ表面からの戻り光を低減することが出来るが、ダイクロイックプリズム2の表面(各測定光が入射・出射する面)で反射される光は低減出来ない。このため、本第2の実施形態ではダイクロイックプリズム20を偏心させ、その入射面及び出射面を接眼レンズ21の光軸に対して傾かせた構成としている。また、その際、ダイクロイックプリズム20の面の傾き角度は、最大の画角(広範囲撮像手段の最大の画角)よりも大きくすることで、どの画角の光に対してもAPDセンサー10にダイクロイックプリズム2の表面からの反射光が入射しないようにしている。
【0030】
図7は、本実施形態の原理を説明する図であり、比較のために図4と同じ様式にて眼底との共役位置を示している。同図における点線部は、近視度−12Diopterにおける眼底の共役位置を示している。本実施形態では、同図に示すように、眼底共役位置を接眼レンズ21に対して光源側に離して配置することが出来る。このため、近視眼から遠視眼にかけての全ての視度によるゴーストを低減することが出来る。また、ダイクロイックプリズム20の射出面からの反射光を、プリズム面の傾きによってAPDセンサー10に入らないようにしている。よって、本実施形態では前述した第1の実施形態よりも更にゴースト低減効果が高い。
【0031】
なお、上述した第1及び第2の実施形態において、ダイクロイックプリズムの屈折率は、次のような理由から1.4以上1.7以下とすることを特徴としている。即ち、下限値1.4を下回る場合には、眼底の共役位置をレンズから離す効果が低くなってしまう。また、上限値1.7を超える場合には、膜特性が悪化してしまう。具体的には、屈折率が高すぎると、ダイクロイックプリズムの間の接着剤が屈折率1.5であるため、臨界角が小さくなり、望ましい特性が得づらくなる。
【0032】
また、第1及び第2の本実施形態において、被検眼1、ダイクロイックプリズム2或いはダイクロイックプリズム20、及び接眼レンズ3或いは接眼レンズ21は、この順番に直線上に配置するように構成している。即ち、広範囲撮像手段における正屈折力の光学部材たる接眼レンズ3或いは接眼レンズ21は、ダイクロイックプリズム2或いはダイクロイックプリズム20の被検眼1とは反対の位置に配置される。
【0033】
ダイクロイックプリズム2或いはダイクロイックプリズム20、と接眼レンズ3或いは接眼レンズ21との順番を入れ替えてしまうと、狭範囲を撮像する光学系において接眼レンズ3或いは接眼レンズ21の表面反射によるゴーストが出てしまい、収差補正が困難となる。そのため、接眼レンズ3或いは接眼レンズ21は、被検眼1とダイクロイックプリズム2或いはダイクロイックプリズム2の間には設けない。
【0034】
ここで、眼底上の狭範囲を撮像する光学系である狭範囲撮像手段を被検眼の上方向に、眼底上の広範囲を撮像する光学系である広範囲撮像手段を被検眼の眼軸長の略延長に配置している理由について述べる。広範囲撮像手段では画角が大きいため、接眼レンズが大きくなり、仮にダイクロイックプリズムで折り返す方向に配置してしまうとワーキングディスタンスが確保出来なくなるためである。すなわち、接眼レンズが眼側に突き出る構成になってしまうためである。
【0035】
本発明によれば、狭範囲の眼底の撮像と広範囲の眼底の撮像とを同時に行える収差補正デバイスを有した眼底撮像用の眼科装置が提供可能となる。当該装置においてはゴースト低減を実現できるために、収差補正での誤動作を確実に避けることが出来、安定して高解像度の画質を撮像することができる。また、眼から撮像装置までのワーキングディスタンスを確保出来るため、操作性の向上が可能となる。
【0036】
(その他の実施例)
上述した実施形態では、SLO(走査型レーザ検眼鏡)を本発明が適用される例として挙げているが、例えば、OCT(光コヒーレンス・トモグラフィー)撮影装置、眼底カメラ、視野計測器、眼圧測定機などの他の眼科撮影装置或いはこれらの複数との組合せにも応用可能である。また、これら眼科撮影装置各々についての組み合わせからなる装置であっても良い。
【符号の説明】
【0037】
1:被検眼、2:ダイクロイックプリズム、3:正屈折力の接眼レンズ、4:正屈折力のレンズ、5:正屈折力のレンズ、6:第一スキャナ、7:正屈折力のレンズ、8:光路分離ミラー、9:正屈折力のレンズ、10:APDセンサー、11:正屈折力のレンズ、12:光源、13:球面ミラー、14:スキャンミラー、15:狭範囲撮像光学系、17:接眼レンズ、19:第二スキャンナ、20:ダイクロイックプリズム、21:接眼レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8