特開2017-6491(P2017-6491A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-6491(P2017-6491A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】眼科装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20161216BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-127020(P2015-127020)
(22)【出願日】2015年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】坂川 幸雄
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤノン株式会社内
(57)【要約】
【課題】インタレース方式で撮影された眼底画像における画像不良が観察者に見逃されるのを防ぐことを目的とする。
【解決手段】インタレース方式で眼底画像を撮影する撮影手段と、前記眼底画像のライン単位で、画像不良を検出する検出手段と、前記画像不良が検出された検出ラインに隣接する隣接ラインの画像を加工して表示する加工表示手段とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタレース方式で眼底画像を撮影する撮影手段と、
前記眼底画像のライン単位で、画像不良を検出する検出手段と、
前記画像不良が検出された検出ラインに隣接する隣接ラインの画像を加工して表示する加工表示手段と
を有することを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記検出手段は、瞬き跡を画像不良として検出し、
前記加工表示手段は、前記画像不良が検出された領域の画像を、瞬き跡を強調する画像に加工して表示することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記加工表示手段は、前記検出ラインの前記眼底画像を前記隣接ラインの前記眼底画像にコピーして表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記加工表示手段は、前記隣接ラインの眼底画像を黒画像に加工して表示することを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記加工表示手段は、さらに検出ラインの眼底画像を黒画像に加工して表示することを特徴とする請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
画像不良の検出結果に基づいて、再撮影を行うか否かを判定する判定手段をさらに有し、
前記撮影手段は、前記再撮影を行うと判定された場合に、眼底画像の再撮影を行い、
前記再撮影により得られた眼底画像を記憶手段に保存する保存手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記撮影手段は、Scanning Laser Ophthalmoscope(SLO)であることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項8】
眼科装置が実行する制御方法であって、
インタレース方式で眼底画像を撮影する撮影ステップと、
前記眼底画像のライン単位で、画像不良を検出する検出ステップと、
前記画像不良が検出された検出ラインに隣接する隣接ラインの画像を加工して表示する加工表示ステップと
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
インタレース方式で撮影された眼底画像のライン単位で、画像不良を検出する検出ステップと、
前記画像不良が検出された検出ラインに隣接する隣接ラインの画像を加工して表示する加工表示ステップと
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光学機器を用いた眼科用機器として、様々なものが使用されている。例えば、眼を観察する光学機器として、前眼部撮影機、眼底カメラ、共焦点レーザー走査検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope: SLO)、等様々な機器が使用されている。特許文献1には、SLO画像の生成にインタレース方式を使うことによってフレームレートを上げて、ちらつきを目立たなくする技術が開示されている。
【0003】
さらに、光干渉断層撮像装置(Optical Coherence Tomography:OCT、以下OCT装置と記す)は、被検眼の眼底における網膜の断層画像を高解像度に撮像することも可能である。このため、網膜の眼科診断等において広く利用されている。OCT装置にSLOを組み合わせた構成の装置も知られている。OCT装置は、観察用画面に観察用の眼底正面画像と、観察用の断層画像を操作者に提示する。操作者は、これらの観察用画像を見ながら、例えば、眼の状態(瞬きや固視微動)を観察し、測定断層画像撮影のためのフォーカスや、網膜上の撮影位置等の調整を行う(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−178053号公報
【特許文献2】特許第5231802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、SLO画像の生成にインタレース方式を利用した場合、SLO画像を構成する奇数フィルドと偶数フィルドの間に瞬きが起こったり、固視微動で目が動いたりすることで、インタレース縞が発生する。瞬きの場合は、片方のフィルドだけに瞬きが起きた場合では、観察者は、瞬きが起きたことに気付き難い。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、インタレース方式で撮影された眼底画像における画像不良が観察者に見逃されるのを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、眼科装置であって、インタレース方式で眼底画像を撮影する撮影手段と、前記眼底画像のライン単位で、画像不良を検出する検出手段と、前記画像不良が検出された検出ラインに隣接する隣接ラインの画像を加工して表示する加工表示手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インタレース方式で撮影された眼底画像における画像不良が観察者に見逃されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】眼科装置を示す図である。
図2】撮影部を示す図である。
図3】眼底正面画像及び断層像の一例を示す図である。
図4】画像処理部を示す図である。
図5】観察画面の一例を示す図である。
図6】画像生成処理を示すフローチャートである。
図7】奇数ライン及び偶数ラインの説明図である。
図8】瞬き強調処理の説明図である。
図9】第2の実施形態に係る画像生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る眼科装置を示す図である。本実施形態に係る眼科装置は、インタレース方式で撮影された眼底正面画像を解析し、瞬きが発生した場合は眼底正面画像の加工を行う。眼科装置は、撮影部110と、画像処理部120と、表示部130とを有している。撮影部110は、測定光を被検眼上で走査及び撮像することにより画像データを撮影する。画像処理部120は、撮影部110で得られた画像データから被検眼の眼底画像を生成する。表示部130は、画像処理部120で生成された被検眼の眼底画像を表示する。ここで、眼底画像は眼底正面画像と断層画像を含むものとする。
【0012】
図2は、撮影部110を示す図である。撮影部110は、インタレース方式による、被検眼100の眼底の2次元画像(眼底正面画像)の撮影、及び眼底の断層像の撮影を行う。すなわち、撮影部110は、撮影手段の一例として機能する。撮影部110は、被検眼100の眼底正面画像を取得する眼底正面撮影部111と、網膜部分に対して測定光をスキャンして断層像を取得する断層像撮影部112と、前眼部撮影部113とを有している。被検眼100に対向して対物光学系210が設置され、その光軸上に光分割部材230と光分割部材240が配置されている。これらの光分割部材230と光分割部材240によって波長帯域毎に断層像撮影部112の光路、眼底正面撮影部111の光路、及び前眼部撮影部113の光路に分岐される。
【0013】
本実施形態において、眼底正面撮影部111は、インタレースSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)とする。断層像撮影部112は、干渉光を分光して検出した信号をフーリエ変換して断層像を生成するスペクトラルドメイン方式とする。なお、本実施形態においては、水平方向をx軸、鉛直方向をy軸、撮影方向をz軸とする3次元系を考え、x軸方向の測定光スキャンを水平スキャン、y軸方向のスキャンを垂直スキャンと称することとする。
【0014】
低コヒーレンス光源であるSLD211から発せられた光は、ファイバカプラ212に入射する。ファイバカプラ212は、入射した光を測定光Bmと参照光Brに分離し、測定光Bmは光ファイバによりOCT走査光学系213に、参照光Brは参照光コリメータ215に出力される。OCT走査光学系213は、入力した測定光Bmを不図示のガルバノミラーに集光してOCT測定光の走査を行う。ここではガルバノミラーは、水平スキャンをするスキャナと垂直スキャンをするスキャナから構成される。走査された測定光Bmは、光分割部材230と光分割部材240とを通し、対物光学系210を介して被測定物である被検眼100の網膜に到達する。そして、測定光Bmは、被検眼100で反射して再び対物光学系210、光分割部材230、光分割部材240とOCT走査光学系213を通ってファイバカプラ212に到達する。
【0015】
一方、ファイバカプラ212から出力された参照光Brは、光ファイバにより参照光コリメータ215を介して参照ミラー216で反射し、再びファイバカプラ212に到達する。そして、参照光Brは、ファイバカプラ212で測定光Bmと干渉して干渉光が生成され、OCT信号検出部218に入力される。参照ミラー216の位置を変更することで、参照光の光路長が変更される。OCT信号検出部218は干渉光を検出し、電気的な干渉信号を出力する。
【0016】
さらに、眼底正面撮影部111と光分割部材240により、眼底正面画像が撮影される。この場合、SLOレーザー光源241からの光束は、光分割部材242を通し、SLO走査光学系243に入力される。SLO走査光学系243は、入力したSLOレーザー光を不図示のガルバノミラーに集光してSLO測定光の走査を行う。ガルバノミラーは、水平スキャンをするポリゴンミラーと垂直スキャンをするスキャナから構成される。走査されたSLOレーザー光は、光分割部材230と光分割部材240を通し、対物光学系210を介して被測定物である被検眼100の網膜に到達する。そして、SLOレーザー光は、被検眼100で反射して再び対物光学系210、光分割部材230、光分割部材240とSLO走査光学系243、光分割部材242を通ってSLO信号検出部245へ到達する。SLO信号検出部245は、光を検出し、電気的なSLO信号を出力する。
【0017】
前眼部撮影部113は、前眼部を照明する不図示の赤外LEDと、不図示のCCDカメラから構成される。赤外LEDは発生する赤外光を光分割部材230と対物光学系210を通して被験者の前眼部を照射する。反射された赤外光は対物光学系210と光分割部材230を通し、CCDカメラによって前眼部画像が得られる。ここでは、SLOレーザー光源241の波長は750nmとし、SLD211の波長は850nmとし、前眼部照明用の赤外光は970nmとする。ただし、これらの波長に制限をすることなく、その他の波長でOCT、SLO、前眼部照明を構成してもよい。また、光分割部材230と光分割部材240はダイクロミラーとし、光分割部材242は孔空きミラーとする。ただし、これらは一例であり、ハーフミラーなどのように光を2つに分割できる部材を利用してもよい。
【0018】
図3は、撮影部110により再構成される眼底正面画像及び断層像の一例を示す図である。図3(a)の300は、眼底正面画像である。図3(b)の310は、断層像である。図3(a)の点線301は、図3(b)の断層像310の撮影された位置である。X軸及びY軸は、それぞれ水平スキャンの方向及び垂直スキャンの方向に対応している。A−スキャン311の奥行方向は、Z軸方向に対応している。本実施形態では、干渉系としてマイケルソン干渉系を用いたが、マッハツェンダー干渉系を用いてもよい。測定光と参照光との光量差に応じて、光量差が大きい場合にはマッハツェンダー干渉系を、光量差が比較的小さい場合にはマイケルソン干渉系を用いることが望ましい。
【0019】
図4は、画像処理部120を示す図である。画像処理部120は、画像生成部121と、記憶部122と、制御部123と、画像不良判定部124とを有している。なお、これらの機能は、CPUがROM又はHDDに格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより実現されるものである。制御部123は、撮影部110の制御を行い、被検眼の撮像をする。制御部123は、OCT走査光学系213に走査制御信号を送り、被検眼100をX方向、Y方向に走査する。さらに、制御部123は不図示のフォーカスレンズ及び参照ミラー216の位置制御もする。画像生成部121は、OCT信号検出部218、SLO信号検出部245、画像処理部120内の記憶部122と接続されている。また画像生成部121は、OCT信号検出部218から得られるデータをフーリエ変換し、得られるデータを輝度或いは濃度情報に変換することによって被検眼の深さ方向(Z方向)の画像を取得する。このようなスキャン方式をAスキャン、得られる断層画像をAスキャン画像と称することとする。
【0020】
このAスキャンを被検眼100の所定の横断方向にOCT走査光学系213にて走査することによって、複数のAスキャン画像を取得することができる。例えばX方向に走査すればXZ面における断層画像が得られ、Y方向に走査すればYZ面における断層画像が得られる。このように被検眼100を所定の横断方向に走査する方式をBスキャン、得られる断層画像をBスキャン画像と称することとする。このBスキャンを被検眼100の所定の方向にOCT走査光学系にて繰り返すことによって、複数のBスキャン画像を取得することができる。例えば、XZ面のBスキャンをY方向に繰り返すことで、XYZ空間の3次元情報を得ることができる。このような走査をCスキャンと称し、得られた複数のBスキャン画像から成るデータを3次元データと称することとする。
【0021】
記憶部122は、画像生成部121が生成した画像を記憶する。記憶部122はまた、被検眼の撮影に使われた撮影パラメータ等を記憶する。画像不良判定部124は、画像生成部121が生成した画像や記憶部122に格納されている画像の解析を行い、画像の不良の判定を行う。ここで判定する画像不良の例としては、撮影中に被検眼の瞬きにより画像に残る"瞬き跡"や、固視微動による"インタレース縞"、コントラスト不足等が挙げられる。
【0022】
次に、眼底正面画像を生成する方法について説明する。制御部123は、SLO走査光学系243に走査制御信号を送り、被検眼100をX方向、Y方向に走査する。さらに、制御部123は、不図示のフォーカスレンズの位置制御もする。画像生成部121は、SLO信号検出部245から得られる信号情報を走査信号に基づいて得られた輝度値を並べて、XY方向の眼底正面画像を生成する。ここでは、眼底を走査するSLO走査光学系を制御しながらインタレース方式を用いた眼底正面画像を用いる。さらに、画像不良判定部124は、眼底正面画像を解析し、解析結果に基づいてライン単位で、眼底正面画像が不良か否かを判定する。画像生成部121はBスキャン画像、3次元データ、眼底正面画像と前眼部画像を生成し、記憶部122に記憶する。表示部130は、記憶部122に記憶されたBスキャン画像、眼底正面画像、及び前眼部画像を表示する。
【0023】
続いて、眼科装置における観察から撮影までの流れを説明する。図5は、観察に利用される、観察画面500の一例を示す図である。観察画面500は、観察時に表示部130に表示される。観察画面500には、前眼部画像510、眼底正面画像501、断層画像502,503,504,505、フォーカス調整スライダー508、参照ミラー位置調整スライダー507、測定開始ボタン506が表示されている。点線509は、眼底正面画像501上の断層画像502〜505のスキャン位置(スキャンライン)を示す。
【0024】
操作者が前眼部画像510を観察しながら対物光学系210の正面に被検眼100を位置させた後、SLO走査光学系243のXY方向の走査により眼底正面画像が生成され、OCT走査光学系213のXY方向の走査により断層画像が生成される。操作者は、眼底正面画像501、断層画像502〜505を観察しながら不図示のマウスやマウスカーソルを用いてフォーカス調整スライダー508、参照ミラー位置調整スライダー507を操作する。これにより、断層画像のフォーカスや、参照ミラー216の位置等を調整することができる。これに応じて、断層画像と眼底正面画像は適宜更新される。さらに、眼底正面画像501中のスキャンライン509は断層画像の取得時に走査される走査位置を示したものであり、眼底正面画像501に重畳されている。撮影者はこのスキャンライン509をマウスやタッチパネル等の図示なき走査位置変更手段を操作し、所望の走査位置を設定する。
【0025】
図6は、眼科装置による画像生成処理を示すフローチャートである。本実施形態の眼科装置は、眼底正面画像の撮影用スキャンを、奇数ラインと偶数ラインに分けて行う。図7は、奇数ライン及び偶数ラインの説明図である。図7の例では、眼底正面画像の奇数ラインは、L1,L3,・・・,L19で構成され、偶数ラインは、L2,L4,・・・,L20で構成されている。以下、奇数ラインの眼底正面画像及び偶数ラインの眼底正面画像をそれぞれ、奇数フィルド及び偶数フィルドと称する。
【0026】
S600において、画像生成部121は、制御部123による眼底正面撮影部111の制御に対応し、眼底画像奇数ラインを取得する。次に、S601において、画像生成部121は、制御部123による眼底正面撮影部111の制御に対応し、眼底画像偶数ラインを取得する。次に、S602において、画像生成部121は、S600,S601において得られた眼底画像奇数ライン(奇数フィルド)と、眼底画像偶数ライン(偶数フィルド)とを合成し、一枚の眼底正面画像を再構成する。
【0027】
次に、S603において、画像不良判定部124は、画像生成部121が生成した眼底正面画像において瞬きを検出する。具体的には、画像不良判定部124は、ライン単位で瞬き跡の画像を検出する。ここで、瞬き跡は、被検眼の撮影中に瞬きをした事により画像に残る跡のことであり、画像不良の一例である。また、S603の処理は検出処理の一例である。眼底正面撮影中に瞬きが起こると、眼底からの信号が戻らなくなり、瞬きが起きた間の撮影信号がなくなり、その分画像が黒くなる。そこで、本実施形態に係る画像不良判定部124は、瞬き跡を検出するため、眼底正面画像のライン単位の輝度の時間変化を監視し、輝度が閾値以下である場合に、処理対象のラインにおいて瞬き跡を検出したと判定することとする。
【0028】
また、画像不良判定部124は、前述の閾値として、動的な値を用いる。すなわち、画像不良判定部124は、直前に処理対象としたラインの輝度値の所定割合の値(ここでは、半分とする)を閾値として設定する。すなわち、画像不良判定部124は、処理対象のラインの輝度値が直前のラインの輝度値の所定割合の値以下の場合に、処理対象のラインにおいて瞬き跡を検出したと判定する。さらに、画像不良判定部124は、ノイズの影響を減らす為に、ラインのピクセル値の平均値で比較を行うものとする。例えば、時間TのラインL10のピクセルの平均値と時間T+1のラインL11のピクセルの平均値を比較して、平均値が半分以下になったとする。この場合、画像不良判定部124は、ラインL11において瞬き跡を検出したと判定する。
【0029】
そして、画像不良判定部124は、瞬き跡を検出した場合には(S603でYes)、処理をS604へ進める。画像不良判定部124は、瞬き跡を検出しなかった場合には(S603でNo)、処理をS605へ進める。S604において、画像生成部121は、眼底正面画像に対し、瞬き強調加工を行う。具体的には、画像生成部121は、瞬き跡が検出されたラインL(検出ライン)の画像を、隣接するラインL+1(隣接ライン)にコピーする。画像生成部121は、隣接ラインの画像を検出ラインの画像に変更することにより、コピーを行う。ただし、隣接するラインL+1においても瞬き跡が検出されていた場合には、隣接するラインL+1へのコピーは行わない。例えば、ラインL10において瞬き跡が検出され、ラインL11において瞬き跡が検出されなかったとする。この場合、画像生成部121は、ラインL10の画像をラインL11にコピーする。
【0030】
図8は、瞬き強調加工処理(S604)の説明図である。図8(a)は、眼底画像合成処理(S602)において生成された眼底正面画像800を示す図である。また、図8(b)は、瞬き強調加工処理(S604)後の眼底正面画像810を示す図である。図8(a)に示す眼底正面画像800の領域801において、奇数フィルドで瞬き跡が検出されている。図8(a)に示すように、奇数フィルドで瞬き跡が検出され、かつ偶数フィルドで瞬き跡が検出されていない場合には、眼底正面画像800において瞬きによるインタレース縞が発生する。ただし、この場合には偶数フレームに正常な眼底正面画像があるため、観察者が、撮影された眼底正面画像800から瞬きが起きたことを認識するのは困難である。これに対し、図8(b)に示すように、領域801の偶数フィルドに隣接する偶数フィルドの画像がコピーされることにより、図8(b)に示すように領域801に対応する領域811の画像は、すべて瞬き跡の画像となる。これにより、観察者は瞬きが起きたことを容易に認識することができる。
【0031】
次に、S605において、制御部123は、瞬き強調加工処理(S604)後の眼底正面画像を、表示部130に表示する。なお、制御部123は、瞬き加工処理(S604)が行われていない場合には、S602において合成された眼底正面画像を表示する。具体的には、制御部123は、図5を参照しつつ説明した観察画面500において、眼底正面画像を表示する。すなわち、制御部123は、眼底正面画像501として、図8(b)に示す眼底正面画像810を表示する。なお、S604の処理は、検出ラインに隣接する隣接ラインの画像を加工する処理であり、S605の処理は、加工後の画像を表示する処理である。すなわち、S604及びS605の処理は、隣接ラインの画像を加工して表示する加工表示処理の一例である。
【0032】
次に、S606において、制御部123は、観察終了指示を受け付けたか否かを確認する。なお、制御部123は、操作者が測定開始ボタン506を押下した場合に観察終了指示を受け付ける。制御部123は、観察終了指示を受け付けなかった場合には(S606でNo)、処理をS600へ進める。そして、制御部123は、観察画面500の更新を再び行う。制御部123は、観察終了指示を受け付けた場合には(S606でYes)、画像生成処理を終了する。被検眼の観察における画像生成処理が終了すると、被検眼の測定、つまりより密で詳細な断層画像の撮影が開始される。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る眼科装置は、瞬き跡が検出された場合には、瞬き跡を強調するような加工を行う。これにより、観察者が、眼底正面画像に瞬き跡が含まれることを容易に認識することができるようになる。すなわち、インタレース方式で撮影された眼底画像における画像不良が観察者に見逃されるのを防ぐことができる。
【0034】
第1の実施形態に係る眼科装置の第1の変更例としては、瞬き跡検出のための処理は、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、画像生成部121は、各ラインのピクセル値の平均値を比較する代わりに、対応するピクセルの最大差異を比較し、最大差異が閾値以上の場合に、瞬き跡を検出したと判定してもよい。
【0035】
また、第2の変更例としては、瞬き強調加工処理は、瞬き跡を観察者が容易に認識可能に画像を加工する処理であればよく、加工の種類は実施形態に限定されるものではない。例えば、画像生成部121は、瞬き跡が検出された検出ラインL10と、ラインLに隣接する隣接ラインL9,L11とを黒く塗り潰してもよい。これにより、インタレース縞の領域は一様の黒画像となるため、観察者は、瞬きがあったことを容易に認識することができる。なお、この場合、画像生成部121は、検出ライン及び隣接ラインの画像を黒画像に変更することにより、黒く塗り潰す。
【0036】
第3の変更例としては、隣接ラインの画像を加工して表示する加工処理は、S604及びS605の処理に限定されるものではない。他の例としては、瞬き跡が検出された場合には(S603でYes)、眼科装置は、以下の処理を行ってもよい。すなわち、制御部123は、隣接ラインの画像上に検出ラインの画像をコピーするための処理として、眼底画像の表示時(S605)に、隣接ラインの画像上に検出ラインの画像を重畳(加工)して表示してもよい。また、第2の変更例のようにラインを黒く塗り潰すための処理として、制御部123が、眼底画像の表示時(S605)に、塗り潰し対象のラインの画像上に黒画素を重畳(加工)して表示してもよい。
【0037】
第4の変更例としては、眼科装置が眼底画像を取得するための方法は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、眼科装置は、例えばインタレースのIRCCDカメラから眼底画像を取得してもよく、OCT撮影による疑似SLO等の方法により眼底画像を取得してもよい。
【0038】
第5の変更例について説明する。本実施形態に係る眼科装置は、フーリエドメイン方式(FD:Fourier Domain)のOCT装置のうち、スペクトラルドメイン方式(SD:Spectral Domain)のOCT装置とした。ただし、眼科装置における光学配置や装置構成は、実施形態に限定されるものではない。例えば、眼科装置は、他の方式のOCT装置であってもよい。また、他の例としては、眼科装置は、波長掃引光源を用いたスウェプトソース方式(SS:Swept Source)のOCT装置であってもよい。
【0039】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る眼科装置は、第1の実施形態に係る眼科装置の処理に加えて、瞬き跡が検出された場合には、再撮影を行うことにより、画像不良のない適切な眼底正面画像を得て、これを保存する。以下、第2の実施形態に係る眼科装置について、第1の実施形態に係る眼科装置と異なる点について説明する。図9は、第2の実施形態に係る眼科装置による、画像生成処理を示すフローチャートである。なお、S900〜S906の処理は、第1の実施形態において図6を参照しつつ説明したS600〜S606の処理と同様である。第2の実施形態に係る観察処理においては、制御部123は、S906において、観察終了指示を受け付けた場合には(S906でYes)、処理をS907へ進める。
【0040】
S907において、制御部123は、生成された眼底画像に瞬き跡が検出されたか否か、即ち画像不良が検出されたか否かに基づいて、再撮影を行うか否かを判定する(判定処理)。本実施形態においては、制御部123は、インタレース縞を検出することにより、画像不良の有無を判定する。具体的には、制御部123は、インタレース縞を検出するため、眼底正面画像のラインLと隣接するラインL+1との類似度を計算する。制御部123は、まず(式1)により、比較するラインLのピクセル値P_L(i)のnormalizeを行う。
【数1】
そして、制御部123は、(式2)により、ラインLとラインL+1の類似度を算出する。
【数2】
ここで、P_L(i)は、ラインL内の位置iのピクセル値、nはラインLのピクセルの数である。そして、制御部123は、類似度が閾値(例えば0.8)以上の場合に、ラインLとラインL+1が類似していると判定する。
【0041】
そして、制御部123は、眼底正面画像内のすべてのラインが隣接するラインと類似する場合に、画像不良(インタレース縞)は発生していないと判定し、この場合には再撮影を行わないと判定する。一方、制御部123は、画像不良が発生していると判定した場合には、再撮影を行うと判定する。制御部123は、再撮影を行うと判定した場合には(S907でYes)、処理をS908へ進める。制御部123は、再撮影を行わないと判定した場合には(S907でNo)、処理をS909へ進める。なお、制御部123は、画像の全ライン数に対する画像不良のライン数の割合が閾値以上の場合に再撮影を行うこととしてもよい。このように、制御部123は、画像不良の検出結果に基づいて、再撮影を行うか否かを判定すればよい。
【0042】
S908において、制御部123は、撮影部110を制御して、保存用の眼底正面画像の再撮影を行う。なお、再撮影の場合には、インタレース方式での撮影を行うこととしてもよく、非インタレース方式の撮影を行うこととしてもよい。また、制御部123は、再撮影により得られた眼底正面画像についても画像不良の有無を判定し、画像不良が検出された場合には、撮影部110は、繰り返し再撮影を行うこととしてもよい。次に、S909において、制御部123は、眼底正面画像を記憶部122に保存する(保存処理)。以上で、画像生成処理が終了する。なお、第2の実施形態に係る眼科装置のこれ以外の構成及び処理は、第1の実施形態に係る眼科装置の構成及び処理と同様である。
【0043】
なお、第2の実施形態に係る眼科装置の変更例としては、制御部123は、インタレース縞の検出方法は、実施形態に限定されるものではない。制御部123は、例えば以下の方法によりインタレース縞を検出してもよい。すなわち、制御部123は、眼底正面画像内の急なコントラストの変化をインタレース縞と誤認識を避けるため、1つのラインLと隣接するラインL−1とラインL+1との類似度を計算し、どちらか大きい方の類似度によって判定してもよい。また、他の例としては、制御部123は、画像全体のラインの類似度の平均に基づいて判定してもよい。
【0044】
また、制御部123は、類似度に替えて、(式3)によりライン間の相違度を算出してもよい。この場合、制御部123は、相違度が閾値以上の場合に、ラインL1とラインL+1は類似しないと判定する。
【数3】
【0045】
また、他の例としては、制御部123は、奇数フィルドと偶数フィルド全体を比較して、移動量(動きベクトル)を計算してもよい。具体的には、制御部123は、奇数フィルド内の注目領域を決め、偶数フィルド内に奇数注目領域に一番類似する領域を探索する。そして、制御部123は、奇数フィルド内の奇数注目領域の位置(x,y)と偶数フィルド内の類似領域の位置(x',y')を用いて、その差分を(式4)により、動きベクトル(動きベクトル=(x−x',y−y')として算出する。そして、制御部123は、動きベクトルの強度
【数4】
が閾値以下の場合に、奇数フィルドと偶数フィルドは類似していると判定する。また、制御部123は、S907における画像不良の判定に、例えばSNR値や、輝度値等の特徴を用いてもよい。
【0046】
また、他の例としては、制御部123は、S907において、画像不良が検出されたか否かを判定するのに替えて、画像不良判定部124の判定結果を用いてもよい。
【0047】
(その他の実施形態)
また本発明の目的は、前述の実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体をシステムや装置に供給し、そのシステムや装置の演算装置が記録媒体に格納されたプログラムコードを実行することによっても達成される。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。またコンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、コンピュータ上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれる。
【0048】
さらに記録媒体から読み出したプログラムコードが、コンピュータ付属の機能拡張カードや機能拡張ユニット内のメモリに書込まれ、前記拡張カードや拡張ユニット内の演算装置が実際の処理の一部か全部を行い、前述の実施例の機能が実現される場合も含む。本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明した図に対応したプログラムコードが格納されることになる。
【0049】
以上、上述した各実施形態によれば、インタレース方式で撮影された眼底画像における画像不良が観察者に見逃されるのを防ぐことができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
110 撮影部
120 画像処理部
130 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9