特開2017-6593(P2017-6593A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ 株式会社ニデックの特許一覧
<>
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000003
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000004
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000005
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000006
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000007
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000008
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000009
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000010
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000011
  • 特開2017006593-眼科装置およびプログラム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-6593(P2017-6593A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】眼科装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20161216BHJP
【FI】
   A61F9/007 130F
   A61F9/007 130Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-128546(P2015-128546)
(22)【出願日】2015年6月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【住所又は居所】愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寿敏
【住所又は居所】愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14 株式会社ニデック拾石工場内
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信雄
【住所又は居所】愛知県蒲郡市拾石町前浜34番地14 株式会社ニデック拾石工場内
(57)【要約】
【課題】動いている駆動刃の状態を容易に確認できる眼科装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】開口部を備える筒状の外筒刃と、外筒刃の内部に配置される駆動刃とを用いて、駆動刃を駆動させて開口部を開閉することにより、開口部から外筒刃内に入り込んだ眼球組織を切除する眼科手術に使用する眼科装置は、開口部へ照射する照明光の点灯周波数を、駆動刃の駆動周波数に応じて決定する点灯周波数決定部を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備える筒状の外筒刃と、前記外筒刃の内部に配置される駆動刃とを用いて、前記駆動刃を駆動させて前記開口部を開閉することにより、前記開口部から前記外筒刃内に入り込んだ眼球組織を切除する眼科手術に使用する眼科装置であって、
前記開口部へ照射する照明光の点灯周波数を、前記駆動刃の駆動周波数に応じて決定する点灯周波数決定部を有すること、
を特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1の眼科装置であって、
nを1以上の整数とするときに、
前記点灯周波数は、前記駆動周波数のn分の1倍以外の値に決定されること、
を特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項1または2の眼科装置であって、
前記点灯周波数を前記点灯周波数決定部により決定された値に制御する点灯周波数制御部を有すること、
を特徴とする眼科装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つの眼科装置であって、
前記照明光の光源を有すること、
を特徴とする眼科装置。
【請求項5】
開口部を備える筒状の外筒刃と、前記外筒刃の内部に配置される駆動刃とを用いて、前記駆動刃を駆動させて前記開口部を開閉することにより、前記開口部から前記外筒刃内に入り込んだ眼球組織を切除する眼科手術に使用するプログラムであって、
前記開口部へ照射する照明光の点灯周波数を、前記駆動刃の駆動周波数に応じて決定する処理をプロセッサに実行させること、
を特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼球組織を切除する眼科手術に使用する眼科装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1にて開示される硝子体手術装置は、硝子体カッターにおいて内筒刃を外筒刃に沿って移動させることで、外筒刃の吸引孔から吸引される硝子体を切除する。なお、切除された硝子体は、内筒刃とチューブ内を介して、廃液袋に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−125995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の内筒刃などの駆動刃を使用して眼球組織を切除する眼科手術において、手術時に駆動刃により安定して眼球組織を切除できるように、手術前に駆動刃の状態の確認が行われている。しかしながら、高速で駆動する駆動刃の状態の確認は困難になるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、動いている駆動刃の状態を容易に確認できる眼科装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における典型的な実施形態が提供する眼科装置は、開口部を備える筒状の外筒刃と、前記外筒刃の内部に配置される駆動刃とを用いて、前記駆動刃を駆動させて前記開口部を開閉することにより、前記開口部から前記外筒刃内に入り込んだ眼球組織を切除する眼科手術に使用する眼科装置であって、前記開口部へ照射する照明光の点灯周波数を、前記駆動刃の駆動周波数に応じて決定する点灯周波数決定部を有すること、を特徴とする。
【0007】
本開示における典型的な実施形態が提供するプログラムは、開口部を備える筒状の外筒刃と、前記外筒刃の内部に配置される駆動刃とを用いて、前記駆動刃を駆動させて前記開口部を開閉することにより、前記開口部から前記外筒刃内に入り込んだ眼球組織を切除する眼科手術に使用するプログラムであって、前記開口部へ照射する照明光の点灯周波数を、前記駆動刃の駆動周波数に応じて決定する処理をプロセッサに実行させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の眼科装置およびプログラムによれば、動いている駆動刃の状態を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における手術装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】硝子体カッターの断面図である。
図3】内筒刃の内筒開口部が駆動開始位置にあるときの内筒刃および外筒刃の先端の拡大断面図である。
図4】内筒刃の内筒開口部が駆動範囲の途中の位置にあるときの内筒刃および外筒刃の先端の拡大断面図である。
図5】内筒刃の内筒開口部が駆動終端位置にあるときの内筒刃および外筒刃の先端の拡大断面図である。
図6】内筒刃の位置と照明光の点灯状態と吸引口から見える内筒刃の様子を示したタイムチャートの一例を表した図であり、照明光の点灯周波数が内筒刃のカットレートと異なる値に制御された例を表した図である。
図7】第1実施形態の変形例における手術装置の概略構成を示すブロック図である。
図8】内筒刃の位置と照明光の点灯状態と吸引口から見える内筒刃の様子を示したタイムチャートの一例を表した図であり、照明光の点灯周波数が内筒刃のカットレートと等しい値に制御された例を表した図である。
図9】第2実施形態における手術装置と手術顕微鏡の概略構成を示すブロック図である。
図10】第2実施形態の変形例における手術装置と手術顕微鏡の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
まず、本実施形態の手術装置1の構成について説明する。手術装置1は、患者眼の硝子体を切除する眼科手術に使用する硝子体手術装置である。なお、手術装置1は、さらに白内障手術に使用できる白内障・硝子体手術装置であってもよい。図1に示すように、手術装置1は、硝子体カッター10と、カッター駆動部12と、光源14と、調光回路部16と、点滅光源18と、調光回路部20と、制御部22と、操作パネル24などを有する。なお、本実施形態の硝子体カッター10は、使い捨てタイプのものである。つまり、本実施形態の手術装置1は、患者眼毎に新品の硝子体カッター10を接続して使用する。
【0011】
まず、硝子体カッター10の構成について説明する。硝子体カッター10は、患者眼の硝子体V(眼球組織)を切除すると共に、切除した硝子体Vを吸引する。図2に示すように、硝子体カッター10は、ハウジング30、外筒刃32、内筒刃34、ピストン36、ダイアフラム38、付勢部材40等を備えている。
【0012】
ハウジング30は略筒状の部材であり、外筒刃32および内筒刃34等の各種構成を保持している。ハウジング30は、手術中に術者(手術装置1の使用者)によって把持される。
【0013】
外筒刃32は、ハウジング30の内部から先端側へ真っ直ぐに延びている。外筒刃32は、ハウジング30に固定されている。外筒刃32は、先端が壁部32aによって閉塞された有底筒状(例えば有底円筒状)に形成されている。外筒刃32の筒状部における先端部側近傍(壁部32aの近く)には、硝子体Vを吸引するための開口部である吸引口42が形成されている。本実施形態では、外筒刃32の先端部が患者眼の内部に挿入され、硝子体Vが吸引口42から外筒刃32の内部へ吸引される。
【0014】
内筒刃34(駆動刃)は、駆動することで硝子体Vを切除する。一例として、本実施形態の内筒刃34は、外筒刃32の内部において軸方向(図2図5における左右方向)に駆動可能に配置される筒状の刃である。図2図5に示すように、本実施形態の内筒刃34の外径は、外筒刃32の内径と略一致している。内筒刃34における壁部32a側の端部には内筒開口部44が形成されている。筒状の内筒刃34の内部は、硝子体Vを吸引するための吸引経路46の一部を構成している。つまり、吸引経路46は、外筒刃32の吸引口42から内筒刃34の内部と吸引チューブ60内を通り、廃液袋(不図示)まで接続されている。
【0015】
図2に示すように、内筒刃34の後端部近傍はピストン36に固定されている。ピストン36は、ハウジング30の内部に形成されたシリンダ48内に配置されている。詳細には、ピストン36は、シリンダ48に固定されたダイアフラム38によって、外筒刃32および内筒刃34の軸方向に駆動可能に保持されている。ダイアフラム38よりも後方のシリンダ48内において、圧縮気体が導入される空間である気体導入室50が設けられている。
【0016】
ダイアフラム38よりも前方に形成されたコンパートメント52の内部には、付勢部材40(圧縮コイルばね)が配置されている。付勢部材40は、コンパートメント52内の先端側(壁部32a側)にある壁部54とピストン36との間に配置され、ピストン36に軸方向後方への付勢力を加える。ハウジング30には、コンパートメント52の内部からハウジング30の外部まで延びる通気孔56が形成されている。そのため、コンパートメント52の内部は、通気孔56を介して、ハウジング30の外部の大気に連通している。したがって、ピストン36が軸方向に移動してコンパートメント52の体積が変化しても、コンパートメント52内の圧力は大気圧に保たれる。
【0017】
そして、気体導入室50に圧縮気体が導入されると、ダイアフラム38によって保持されているピストン36が先端側に移動する。その結果、内筒刃34が外筒刃32の内部にて先端側に駆動する。気体導入室50への圧縮気体の導入が停止されて、気体導入室50内から気体が抜かれると、付勢部材40の付勢力によって、ピストン36および内筒刃34が後端側へ駆動する。そして、気体導入室50への圧縮気体の導入が交互に実行および停止されることにより、ピストン36および内筒刃34は先端側および後端側へ交互に駆動する。
【0018】
ハウジング30の後部には、気体導入チューブ58と吸引チューブ60が接続されている。気体導入チューブ58は、カッター駆動部12に備わる圧縮ポンプ(不図示)と気体導入室50とに接続している。吸引チューブ60は、筒状の内筒刃34内に形成された流体の経路とカッター駆動部12に備わる吸引ポンプ(不図示)に接続している。なお、吸引ポンプは、廃液袋に接続している。
【0019】
次に、このような構成の硝子体カッター10の作用について説明する。まず、気体導入室50に圧縮気体が導入されておらず、図3に示すように、内筒刃34に対して駆動力が加えられていない場合、内筒刃34の先端の内筒開口部44は、吸引口42よりも後端側の駆動開始位置に配置されている。この状態では、吸引経路46は完全に開放されているので、吸引経路46内の流体に吸引圧が加えられると、硝子体Vが吸引口42から内筒開口部44を介して吸引経路46に引き込まれる。
【0020】
次に、気体導入室50に圧縮気体が導入されると、ダイアフラム38によって保持されているピストン36が先端側に移動するので、内筒刃34が外筒刃32の内部を先端側に駆動する。そして、このように内筒刃34に駆動力が加えられると、図4に示すように、内筒刃34は、駆動範囲内を駆動終端位置に向かって駆動する。その結果、吸引口42から引き込まれた硝子体Vは、吸引経路46内の吸引圧により吸引されながら、内筒刃34の内筒開口部44に接触して圧迫される。そして、内筒刃34が駆動終端位置に近づくにつれて、吸引口42が徐々に内筒刃34によって閉塞されていく。
【0021】
その後、さらに気体導入室50に圧縮気体が導入されることにより内筒刃34に十分な駆動力が加えられると、図5に示すように、硝子体Vは、吸引経路46内の吸引圧により吸引されながら内筒刃34により完全に切除される。そして、内筒刃34の内筒開口部44は、外筒刃32の先端の壁部32aに接触して内筒刃34が駆動終端位置に達する。そして、本実施形態では、内筒刃34が駆動終端位置に達すると、外筒刃32の吸引口42は内筒刃34によって完全に閉塞される。
【0022】
そして、本実施形態の硝子体カッター10は、吸引経路46内の吸引圧により硝子体Vを吸引しながら、内筒刃34を駆動範囲内にて往復駆動させることにより、硝子体Vを切除する。詳細には、内筒刃34は、駆動力が加えられることで一方向(本実施形態では軸方向の先端側)に駆動し、先端の内筒開口部44によって硝子体Vを切除する。また、内筒刃34への駆動力の印加が停止すると、付勢部材40の付勢力によって、内筒刃34は反対方向(本実施形態では軸方向の後端側)に駆動する。本実施形態の手術装置1は、内筒刃34の一往復を1つのサイクルとし、このサイクルを繰り返させることで、硝子体Vを断続的に切除する。このように、手術装置1は、硝子体カッター10において内筒刃34を駆動させて吸引口42を開閉することにより、吸引口42から外筒刃32内に入り込んだ硝子体Vを切除する。以上が、硝子体カッター10の作用についての説明である。
【0023】
カッター駆動部12は、硝子体カッター10を駆動させるための機構であり、気体導入チューブ58に接続する圧縮ポンプや、吸引チューブ60に接続する吸引ポンプなどを備えている。
【0024】
光源14は、手術時に患者眼の内部に挿入可能な眼内照明用ファイバー等を使用し、患者眼の内部に照明光を照射することが可能な眼内照明用の光源である。光源14においては、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、白色LED(発光ダイオード)などが使用される。調光回路部16は、制御部22からの指示に従って、光源14への供給電流を調整することにより、光源14の光量調整を行う。
【0025】
点滅光源18は、内筒刃34の状態の確認を行うときに、硝子体カッター10の吸引口42へ照明光を照射するために使用される光源である。点滅光源18においては、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、白色LED(発光ダイオード)などが使用されるが、白色LEDが最も好ましい。その理由として、白色LEDは、ハロゲンランプやキセノンランプと比べて、点灯周波数制御部28による制御により、照明光の点灯と消灯の細かい制御を行い易いためである。そのため、ハロゲンランプやキセノンランプを使用する場合にはランプの前に光の照射をON・OFFするシャッターを設けて照明光の点灯と消灯の細かい制御を行うことが考えられるが、白色LEDを使用する場合にはそのようなシャッターを設ける必要がない。したがって、白色LEDを使用すれば、コストを抑制でき得る。調光回路部20は、制御部22からの指示に従って、点滅光源18への供給電流を調整することにより、点滅光源18の光量調整を行う。
【0026】
本実施形態では、さらに、調光回路部20は、制御部22に備わる点灯周波数制御部28からの指示に従って、点滅光源18から発せられる照明光の点灯周波数fLの調整を行う。ここで、点灯周波数fLは、単位時間(例えば、1分間)当たりに、照明光が点灯する回数、言い換えると、照明光が点滅する(点灯および消灯を繰り返す)回数である。
【0027】
制御部22は、CPUを備え、カッター駆動部12、調光回路部16、調光回路部20、操作パネル24などと接続され、装置全体の制御を行う。
【0028】
本実施形態では、さらに、制御部22は、点灯周波数決定部26と点灯周波数制御部28を備えている。点灯周波数決定部26は、内筒刃34をカットレートfC(駆動周波数)で動作させる駆動制御部(不図示)からカットレートfCの情報を取得し、カットレートfCに応じて点灯周波数fLを決定する演算を行う。ここで、カットレートfCとは、単位時間(例えば、1分間)当たりに内筒刃34が外筒刃32の軸方向に往復する回数である。また、駆動制御部は、制御部22の内部または外部に備わるものである。なお、点灯周波数決定部26が、駆動制御部として兼用され、内筒刃34をカットレートfCで動作させてもよい。
【0029】
また、点灯周波数決定部26は、操作パネル24や、メモリや、通信ケーブル等から内筒刃34のカットレートfCに関する情報を取得する情報取得部(不図示)を介して、カットレートfCの情報を取得し、カットレートfCに応じて点灯周波数fLを決定する演算を行ってもよい。なお、情報取得部は、制御部22の内部または外部に備わるものである。
【0030】
点灯周波数制御部28は、点滅光源18から発せられる照明光の点灯周波数fLを、点灯周波数決定部26により決定された値に制御する。
【0031】
次に、点滅光源18を用いて内筒刃34の状態の確認を行う手法について説明する。
【0032】
本実施形態では、点灯周波数決定部26は、点滅光源18から発せられる照明光の点灯周波数fLを、内筒刃34のカットレートfCに応じて決定する。そして、点灯周波数制御部28は、点灯周波数fLを点灯周波数決定部26により決定された値に制御する。
【0033】
詳しくは、本実施形態では、点灯周波数決定部26は、nを1以上の整数とするときに、点灯周波数fLをカットレートfCのn分の1倍以外の値に決定する。すなわち、点灯周波数決定部26は、点灯周波数fLを、カットレートfCと異なる値であって、かつ、カットレートfCのn分の1倍とならない値に決定する。
【0034】
具体的には、本実施形態の点灯周波数決定部26は、点灯周波数fLを、以下の2つの数式の何れかが成立するように決定する。
[数1]
fC×{1/(n+1)}<fL<fC×(1/n)
[数2]
fC<fL
【0035】
なお、数2に関して、より好ましくは、fC<fL<(2×fC)である。
【0036】
本実施形態では、このように点灯周波数決定部26が点灯周波数fLの値を決定し、点灯周波数制御部28が点滅光源18から発せられる照明光の点灯周波数fLを点灯周波数決定部26により決定された値に制御する。
【0037】
そこで、術者は、例えば手術前に、図2に示すように、点滅光源18から発せられる照明光を、硝子体カッター10の吸引口42に照射させる。すると、本実施形態によれば、図6に示すように、内筒刃34が往復駆動する周期TCの長さと照明光が点灯する周期TLの長さとが異なる。図6に示す例では、照明光が点灯する周期TLは、内筒刃34が往復駆動する周期TCよりも長い。すなわち、点灯周波数fLは、カットレートfCよりも小さい。
【0038】
そのため、図6(a)の内筒刃34の位置(詳しくは、内筒開口部44の位置)を示す波形において、まず、例えば、位置a1にて照明光が点灯する。これにより、図6(c)に示すように、術者は、内筒刃34が吸引口42の約1/3の範囲を塞ぐ状態を確認できる。
【0039】
次に、図6(a)の内筒刃34の位置を示す波形において、例えば、位置a2にて照明光が点灯する。これにより、図6(c)に示すように、術者は、内筒刃34が吸引口42の約2/3の範囲を塞ぐ状態を確認できる。
【0040】
次に、図6(a)の内筒刃34の位置を示す波形において、例えば、位置a3にて照明光が点灯する。これにより、図6(c)に示すように、術者は、内筒刃34が吸引口42の全範囲を塞ぐ状態を確認できる。
【0041】
これにより、術者は、内筒刃34が、実際の駆動速度と異なる速度で、すなわち、実際の駆動速度よりも低い速度で動いているように見える。そのため、カットレートfCが高く設定されて内筒刃34が高速で駆動する場合であっても、術者は、例えば手術前に、内筒刃34が外筒刃32の軸方向に正常に往復駆動しているか否かについて容易に確認することができる。したがって、手術時において、術者は、内筒刃34が正常に駆動している硝子体カッター10を用いて安定して硝子体Vを切徐することができる。なお、術者が内筒刃34の状態を確認する際には、術者が内筒刃34の状態を直接目視で確認する他に、術者がカメラ(不図示)で撮像された内筒刃34の状態を確認することが考えられる。あるいは、カメラから出力される内筒刃34の映像信号を元に制御部22が内筒刃34の状態を検出し、その検出結果を術者が確認することも考えられる。
【0042】
なお、点灯周波数fLとカットレートfCとの差が小さいほど、内筒刃34は、さらにゆっくりと動いているように見える。詳しくは、点灯周波数fLがカットレートfCのn分の1倍の値に近いほど、内筒刃34が1回の往復分照らし出されるのに要する照明光の点灯回数が多くなるので、内筒刃34はゆっくりと動いているように見える。そして、内筒刃34の状態の確認に要する時間は長くなる。一方、点灯周波数fLがカットレートfCのn分の1倍の値から遠いほど、内筒刃34が1回の往復分照らし出されるのに要する照明光の点灯回数が少なくなるので、内筒刃34は速く動いているように見える。そして、内筒刃34の状態の確認に要する時間は短くなる。
【0043】
例えば、カットレートfCが8000cpm(1分間当たりに内筒刃34が外筒刃32の軸方向に往復駆動する回数が8000回)の場合には、点灯周波数fLが8000回/分に近い値(例えば、7995回/分)ほど、内筒刃34はゆっくりと動いているように見える。一方、点灯周波数fLが8000回/分から遠い値(例えば、6000回/分)ほど、内筒刃34は速く動いているように見える。
【0044】
なお、図6は、点灯周波数fLがカットレートfCの1/n倍以外の値である場合のうち、fC×(1/2)<fL<fCの条件を満たす場合、すなわち、内筒刃34が往復駆動する周期TCにおける各周期において、点滅光源18から発せられる照明光が吸引口42に照射される場合を示している。しかし、それ以外の場合、例えば、fC×(1/3)<fL<fC×(1/2)や、fC×(1/4)<fL<fC×(1/3)などの条件を満たす場合、あるいは、fC<fLの条件を満たす場合においても、照明光のちらつきは生じるが、同様に、内筒刃34は、実際の駆動速度よりも低い速度で動いているように見える。
【0045】
また、点灯周波数決定部26は、点灯周波数fLを、以下の数式が成立するように決定することが望ましい。
[数3]
(fC−fC×0.025)≦fL≦(fC+fC×0.025)
【0046】
この[数3]の数式によれば、例えば、カットレートfCが8000cpmである場合には、点灯周波数fLは7800回/分〜8200回/分に決定される。
【0047】
このように[数3]の数式の条件を満たすように点灯周波数fLが決定されることにより、術者は、照明光のちらつきが抑えられた状態で、内筒刃34の駆動状態の確認を行うことができる。
【0048】
さらに、点灯周波数決定部26は、点灯周波数fLを、以下の数式が成立するように決定することが望ましい。
[数4]
(fC−fC×0.00125)≦fL≦(fC+fC×0.00125)
【0049】
この[数4]の数式によれば、例えば、カットレートfCが8000cpmである場合には、点灯周波数fLは7990回/分〜8010回/分に決定される。
【0050】
このように[数4]の数式の条件を満たすように点灯周波数fLが決定されることにより、術者は、照明光のちらつきが抑えられた状態で、内筒刃34がさらに低い速度で動いているように見える。そのため、術者による内筒刃34の駆動状態の確認の精度が向上する。
【0051】
なお、変形例として、手術装置1が点滅光源18を有さない例も考えられる。この場合、図7に示すように、点灯周波数制御部28は、調光回路部16を介して、光源14から発せられる照明光の点灯周波数fLを、点灯周波数決定部26で決定された値に制御する。これにより、光源14から発せられる照明光の点灯周波数fLが、カットレートfCに応じて決定された値に制御される。この変形例によれば、光源14を硝子体カッター10の吸引口42へ照射する照明光の光源として流用するので、コストの低減を図ることができる。
【0052】
また、その他の変形例として、点灯周波数決定部26は、別途設けられた不図示のコンピュータ(例えば、パーソナルコンピュータ)内に設けられていてもよい。
【0053】
また、制御部22に接続するメモリ(不図示)などに記憶されるプログラムが、点灯周波数fLをカットレートfCに応じて決定する処理を、制御部22に備わるプロセッサ(不図示)に実行させるとしてもよい。
【0054】
さらに、その他の変形例として、点灯周波数決定部26は、点灯周波数fLを、カットレートfCのn分の1倍の値に決定するとしてもよい。これにより、内筒刃34が往復駆動する周期TCと照明光が点灯する周期TLとが等しいか、あるいは、周期TCが周期TLに対して2以上の整数倍の長さになる。そのため、点滅光源18から発せられる照明光が硝子体カッター10の吸引口42に照射されると、図8に示すように、内筒刃34の位置(詳しくは、内筒開口部44の位置)を示す波形において1つの周期TCにおける所定の位置に内筒刃34が駆動する毎に、照明光が点灯することになる。
【0055】
これにより、照明光の点灯時における内筒刃34の内筒開口部44の位置は、時間が経過しても、変化しない。そのため、術者は、図8(c)に示すように、内筒刃34が停止しているように見える。これにより、カットレートfCが高く設定されて内筒刃34が高速で駆動する場合であっても、術者は、例えば手術前に、内筒刃34の外観の状態などを確認することができる。そして、このとき、内筒刃34が動いているように見える場合には、内筒刃34が所望のカットレートfCにより駆動していないことを見つけ出すことができる。
【0056】
以上のように本実施形態によれば、点灯周波数決定部26は、硝子体カッター10の吸引口42へ照射する照明光の点灯周波数fLを、内筒刃34のカットレートfCに応じて決定する。
【0057】
これにより、照明光の点灯周波数fLを内筒刃34のカットレートfCに応じた値に制御することができる。そのため、術者は、カットレートfCに応じた点灯周波数fLの照明光を吸引口42へ照射させることができる。したがって、カットレートfCが高い場合、すなわち、内筒刃34が高速で駆動する場合であっても、術者は、ストロボ効果により、例えば、内筒刃34が止まっているように見えたり、あるいは、内筒刃34が実際の速度よりも低い速度で駆動しているように見える。したがって、術者は、動いている内筒刃34の状態を容易に確認できる。
【0058】
また、点灯周波数決定部26において、nを1以上の整数とするときに、点灯周波数fLは、カットレートfCのn分の1倍以外の値に決定される。
【0059】
このように、点灯周波数fLは、カットレートfCの整数分の1倍から外れた値に決定される。そのため、術者は、ストロボ効果により、内筒刃34が実際の速度よりも低い速度で駆動しているように見える。そのため、内筒刃34が高速で駆動する場合であっても、術者は、内筒刃34の駆動状態を容易に確認できる。
【0060】
また、内筒刃34が微小であっても、簡素な構成で内筒刃34の駆動状態を確認できる。なお、内筒刃34は、安価に製造でき、また、使い捨て可能である。さらに、内筒刃34が故障している(術中に故障した)ことを速やかに把握できるので、速やかな手術を行うことができる。すなわち、使い捨てユニットの構成を複雑にすることなく、内筒刃34の駆動状態を容易に確認できる。
【0061】
また、手術装置1は、点灯周波数fLを点灯周波数決定部26により決定された値に制御する点灯周波数制御部28を有する。
【0062】
このようにして、手術装置1に、点灯周波数決定部26と点灯周波数制御部28がともに搭載されている。そのため、点灯周波数決定部26と点灯周波数制御部28を別の装置に搭載した場合に必要となる通信装置が不要になるので、コストの低減を図ることができる。
【0063】
また、手術装置1は、硝子体カッター10の吸引口42へ照射する照明光の光源である点滅光源18を有する。
【0064】
このように、手術装置1は、光源14の他に、吸引口42へ照明光を照射する専用の点滅光源18を有する。これにより、光源14を手術時に使用する照明として使用する一方で、点滅光源18を内筒刃34の状態の確認時に使用する照明として使い分けることできる。そのため、手術装置1の取り扱い性が向上する。
【0065】
また、プログラムにより、点灯周波数fLを、カットレートfCに応じて決定する処理を手術装置1の制御部22のプロセッサに実行させてもよい。
【0066】
これにより、手術装置1において、照明光の点灯周波数fLを内筒刃34のカットレートfCに応じた値に制御することができる。そのため、照明光をカットレートfCに応じた点灯周波数fLにて吸引口42へ照射させることができる。
【0067】
なお、前記のように吸引口42に照明光を照射して内筒刃34の駆動状態を確認する際に術者が認識し得る内筒刃34の速度、すなわち、実際の速度とは異なる疑似速度を、操作パネル24などで、術者の好みに応じて調節できるようにすることが望ましい。これにより、例えば、内筒刃34の疑似速度を速くすれば短時間で内筒刃34の駆動状態を確認ができ、内筒刃34の疑似速度を遅くすれば内筒刃34の駆動状態の確認の正確性が向上する。そこで、手術装置1が点灯周波数fLをカットレートfCに応じた所定の推奨値に設定しておき、例えば操作パネル24にて術者が好みに応じて点灯周波数fLを調節できるようにすることが考えられる。
【0068】
また、内筒刃34のカットレートfCが変更された場合には、点灯周波数決定部26は、駆動制御部や情報取得部から変更後のカットレートfCの情報を取得して、点灯周波数fLを、変更後のカットレートfCに応じて決定することが考えられる。そこで、点灯周波数決定部26は、カットレートfCが変更された場合であっても、内筒刃34の疑似速度が一定になるように、所定の計算式を用いて点灯周波数fLを演算により決定することが考えられる。
【0069】
<第2実施形態>
本実施形態では、図9に示すように、眼科装置として、手術装置1の他に、手術時における患者眼を観察するための手術顕微鏡2が使用される。
【0070】
手術顕微鏡2が有する顕微鏡光源62は、手術時に患者眼に照射するための照明光が発せられる光源である。顕微鏡光源62においては、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、白色LED(発光ダイオード)などが使用される。また、調光回路部64は、顕微鏡光源62への供給電流を制御することにより、顕微鏡光源62の光量調整を行う。
【0071】
本実施形態では、調光回路部64は、手術装置1の点灯周波数制御部28と有線または無線で接続されており、点灯周波数制御部28からの指示に従って、顕微鏡光源62の点灯周波数fLの調整を行う。
【0072】
そして、手術装置1に備わる点灯周波数制御部28は、手術顕微鏡2に備わる顕微鏡光源62から発せられる照明光の点灯周波数fLを、調光回路部64を介して、点灯周波数決定部26により決定された値に制御する。これにより、顕微鏡光源62から発せられる照明光の点灯周波数fLは、カットレートfCに応じて決定された値に制御される。
【0073】
そして、術者は、顕微鏡光源62から発せられる照明光を硝子体カッター10の吸引口42に照射することにより、ストロボ効果により、内筒刃34が止まっているように見えたり、あるいは、内筒刃34が実際の速度よりも低い速度で駆動しているように見える。そのため、内筒刃34が高速で駆動する場合であっても、術者は、動いている内筒刃34の状態を容易に確認できる。
【0074】
そして、本実施形態では、点灯周波数決定部26は、点灯周波数fLをカットレートfCのn分の1倍以外の値に決定する。これにより、術者は、顕微鏡光源62から発せられる照明光を硝子体カッター10の吸引口42に照射させることにより、内筒刃34が、実際の駆動速度と異なる速度で、すなわち、実際の駆動速度よりも低い速度で動いているように見える。
【0075】
また、本実施形態の変形例として、図10に示すように、点灯周波数制御部28は、手術装置1でなく手術顕微鏡2に備わっていてもよい。このとき、点灯周波数制御部28は、手術装置1の点灯周波数決定部26と有線または無線で接続されており、点灯周波数決定部26からの点灯周波数fLの情報に基づいて、調光回路部64を介して、顕微鏡光源62の点灯周波数fLの制御を行う。
【0076】
さらに、点灯周波数決定部26と点灯周波数制御部28は、ともに手術顕微鏡2に備わっているとしてもよい。
【0077】
なお、手術顕微鏡2は、顕微鏡光源62とは異なる他の光源として点滅光源(不図示)を有していてもよい。そして、この点滅光源から発せられる照明光の点灯周波数fLが、カットレートfCに応じて決定された値に制御されるとしてもよい。
【0078】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0079】
例えば、本実施形態は、外筒刃32内で内筒刃34を回転させることにより、硝子体Vを切除する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 手術装置
2 手術顕微鏡
10 硝子体カッター
14 光源
18 点滅光源
22 制御部
26 点灯周波数決定部
28 点灯周波数制御部
32 外筒刃
34 内筒刃
36 ピストン
38 ダイアフラム
40 付勢部材
42 吸引口
44 内筒開口部
46 吸引経路
50 気体導入室
58 気体導入チューブ
60 吸引チューブ
62 顕微鏡光源
V 硝子体
fL 点灯周波数
fC カットレート(駆動周波数)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10