特開2017-6856(P2017-6856A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-6856(P2017-6856A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】流体処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/74 20060101AFI20161216BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20161216BHJP
   B01J 3/04 20060101ALI20161216BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   C02F1/74 101
   B01J3/00 AZAB
   B01J3/04 A
   B01J3/04 B
   B01J3/04 H
   B01J3/04 D
   B01J19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-124782(P2015-124782)
(22)【出願日】2015年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】青木 公生
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式会社リコー内
(72)【発明者】
【氏名】武藤 敏之
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式会社リコー内
(72)【発明者】
【氏名】篠原 悟史
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式会社リコー内
(72)【発明者】
【氏名】座間 優
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式会社リコー内
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 綾
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式会社リコー内
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章悟
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式会社リコー内
【テーマコード(参考)】
4D050
4G075
【Fターム(参考)】
4D050AA12
4D050AB07
4D050AB11
4D050AB17
4D050AB20
4D050BB01
4D050BB02
4D050BB09
4D050BC01
4D050BC02
4D050BC06
4D050BC07
4D050BD02
4D050BD03
4D050BD06
4D050BD08
4G075AA51
4G075AA62
4G075AA65
4G075BA06
4G075BD13
4G075CA02
4G075CA05
4G075CA54
4G075CA57
4G075CA63
4G075DA01
4G075EA06
4G075EE01
4G075FB02
(57)【要約】
【課題】急激な温度変化を来たすことなく暴走反応を抑制でき、装置の長寿命化に寄与できる流体処理装置を提供する。
【解決手段】流体処理装置1は、処理対象流体供給部2と、酸化剤供給部3と、反応槽4と、制御手段8等を備えている。反応槽4は、処理対象流体と酸化剤との混合流体を加熱及び加圧状態下で処理対象流体中の有機物を酸化反応によって分解し、処理対象流体を処理する。制御手段8は反応槽温度計31による反応槽内の温度を監視し、温度が所定値以上となり且つ温度上昇の傾きが所定の傾き以上のときは暴走反応と判定し、暴走反応抑制モードを実行する。暴走反応抑制モードでは、酸化剤供給部3から暴走反応抑制流体としての酸化剤(空気)の供給量を増加させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象流体と酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら、処理対象流体中の有機物を酸化反応によって分解するための反応槽と、
前記反応槽中の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段により検知される温度が所定値以上となり且つ温度上昇の傾きが所定の傾き以上のとき暴走反応と判定する暴走反応判定手段と、
前記反応槽に気体状の暴走反応抑制流体を供給する暴走反応抑制流体供給手段と、
暴走反応と判定されたとき、前記暴走反応抑制流体供給手段を制御して前記反応槽に暴走反応抑制流体を供給する暴走反応抑制モードを実行する制御手段と、
を有している流体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体処理装置において、
前記酸化剤を前記反応槽に向けて圧送する酸化剤圧送手段を有し、
前記暴走反応抑制流体が前記酸化剤であり、
前記制御手段は暴走反応と判定されたとき、前記暴走反応抑制流体供給手段としての前記酸化剤圧送手段を制御し、前記酸化剤の供給量を増加させる流体処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体処理装置において、
前記酸化剤を前記反応槽に向けて圧送する第1の酸化剤圧送手段と、
第1の酸化剤圧送手段により圧送される酸化剤を前記反応槽に入る前に加熱する酸化剤予熱手段と、
前記酸化剤を第1の酸化剤圧送手段とは別経路で前記反応槽に向けて圧送する第2の酸化剤圧送手段と、
を有し、
前記暴走反応抑制流体が第2の酸化剤圧送手段により圧送され、加熱されることなく前記反応槽に供給される酸化剤であり、
前記制御手段は暴走反応と判定されたとき、前記暴走反応抑制流体供給手段としての第2の酸化剤圧送手段を制御して前記反応槽に酸化剤を供給する流体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流体処理装置において、
第1の酸化剤圧送手段と第2の酸化剤圧送手段とにおける酸化剤圧送源を1つの酸化剤圧送源が兼ねる流体処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の流体処理装置において、
前記暴走反応抑制流体として、不活性ガスを用いる流体処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の流体処理装置において、
前記不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、ヘリウム又はアルゴンである流体処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の流体処理装置において、
前記反応槽内に触媒部材が部分的に配置され、前記暴走反応抑制流体が前記触媒部材が配置されている部位に直接供給される流体処理装置。
【請求項8】
請求項1、3、4、5、6、7のいずれか1つに記載の流体処理装置において、
前記暴走反応抑制流体を前記反応槽に供給する配管が差圧を生じる構造を有している流体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体処理装置に関する
【背景技術】
【0002】
廃液等の処理対象流体と空気等の酸化剤とを高温高圧下でそれぞれ水の超臨界や亜臨界の状態にして処理対象流体中の有機物を酸化分解する流体処理装置が知られている。
この種の流体処理装置では、生物処理では不可能であった高濃度有機溶剤廃液を良好に浄化(処理)することができる。
また、プラスチック微粒子を含有する廃液や難分解性有機物を含有する廃液なども、良好に浄化することができる。
【0003】
しかしながら、処理対象流体中の有機物濃度や成分は一定ではないため、有機物濃度や成分の変化に伴い、反応槽内の温度が変化することが知られている。特に気相となる条件で、かつ有機物濃度が高いと一気に反応が進むため、有機物の分解による発熱量に合わせて外部からの投入エネルギーを制御しないと、反応槽の温度が急上昇し、安全に運転できる上限温度を超えて暴走反応状態となる恐れがある。
【0004】
特許文献1には、反応槽内の反応温度を測定し、熱量が大きすぎて高温になりすぎる場合には水を供給して有機物の濃度を調整し、反応温度を所定の温度範囲に維持する方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水等の液体を供給した場合、急激な温度変化(ヒートショック)を生じやすく、温度変化による反応槽の材質の劣化や膨張伸縮による漏れの懸念、排水量の増加やエネルギー効率の低下という問題があった。
【0006】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、急激な温度変化を来たすことなく暴走反応を抑制でき、装置の長寿命化に寄与できる流体処理装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の流体処理装置は、処理対象流体と酸化剤との混合流体を加熱及び加圧しながら、処理対象流体中の有機物を酸化反応によって分解するための反応槽と、前記反応槽中の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段により検知される温度が所定値以上となり且つ温度上昇の傾きが所定の傾き以上のとき暴走反応と判定する暴走反応判定手段と、前記反応槽に気体状の暴走反応抑制流体を供給する暴走反応抑制流体供給手段と、暴走反応と判定されたとき、前記暴走反応抑制流体供給手段を制御して前記反応槽に暴走反応抑制流体を供給する暴走反応抑制モードを実行する制御手段と、を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、急激な温度変化を来たすことなく暴走反応を抑制でき、装置の長寿命化に寄与できる流体処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る流体処理装置の概要構成図である。
図2】第2の実施形態に係る流体処理装置の概要構成図である。
図3】第3の実施形態に係る流体処理装置の概要構成図である。
図4】第4の実施形態に係る流体処理装置の概要構成図である。
図5】暴走反応抑制モードにおける制御動作を示すフローチャートである。
図6】通常運転モード時に生じる暴走反応の抑制動作を示すタイミングチャートである。
図7】起動時に生じる暴走反応の抑制動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1に基づいて第1の実施形態を説明する。
本実施形態に係る流体処理装置(処理システム)1は、処理対象流体供給部2と、暴走反応抑制流体供給手段で且つ酸化剤圧送手段としての酸化剤供給部3と、反応槽4と、熱交換部5と、固形分分離部6と、気液分離部7と、制御手段8等を備えている。
反応槽4は、処理対象流体と酸化剤との混合流体を加熱及び加圧状態下で処理対象流体中の有機物を酸化反応によって分解し、処理対象流体を処理するためのものである。
【0011】
処理工程の概要としては、有機物を含む廃液と酸化剤とを供給ポンプで反応槽に供給し、反応槽内で超臨界もしくは亜臨界と呼ばれる高温高圧状態にして、有機物を酸化分解する。
反応槽から出た処理流体を熱交換器で冷却した後に、固形分分離部で固形分を分離する。続いて気液分離器によって気体と液体とに分離し、それぞれ排出または回収する。
以下、各構成について具体的に説明する。
【0012】
処理対象流体供給部2は、原水タンク12を有しており、原水タンク12には、有機物を含む廃液等の処理対象流体Wが未処理の状態で貯留されている。
処理対象流体は攪拌機13で撹拌されることで、処理対象流体中に含まれる浮遊物質SS(Suspended solids)が均等に分散せしめられ、有機物濃度の均一化が図られる。
撹拌された処理対象流体は、三方弁14を経て原水供給ポンプ15によって反応槽4に向けて圧送される。
処理対象流体は圧送される過程で、原水圧力計16で圧力を検知されるとともに、原水流量計17で流量を検知される。
【0013】
処理対象流体は原水入口弁18で流量を調整可能となっている。原水入口弁18は、逆止弁の役割を担っており、原水供給ポンプ15から送り出される処理対象流体について、原水供給ポンプ15側から反応槽4側への流れを許容する一方で、逆方向の流れを阻止する。
原水入口弁18を通過した処理対象流体は、処理対象流体の流路を囲むように配置された原水予備加熱器19によって予備加熱される。
原水タンク12の近傍には水タンク11が配置されており、三方弁14を介して処理対象流体の流路に水を供給できるようになっている。
【0014】
酸化剤供給部3は、コンプレッサーからなる酸化剤圧送手段としての酸化剤圧送ポンプ22を有している。
酸化剤圧送源としての酸化剤圧送ポンプ22は、酸化剤として取り込んだ空気Aを、処理対象流体の圧力と同程度の圧力まで圧縮しながら、反応槽4に向けて送り出す。
空気は圧送される過程で、酸化剤圧力計23で圧力を検知されるとともに、酸化剤流量計25で流量を検知される。符号24は流量調節器を示している。
酸化剤入口弁26は、逆止弁の役割を担っており、酸化剤圧送ポンプ22から圧送されてくる空気について、酸化剤圧送ポンプ22側から反応槽4側への流れを許容する一方で、逆方向の流れを阻止する。
酸化剤入口弁26を通過した空気は、空気の流路を囲むように配置された酸化剤予熱手段としての酸化剤予備加熱器27によって予備加熱される。
【0015】
酸化剤圧送ポンプ22の駆動による空気の圧送量は、処理対象流体中の有機物を完全に酸化させるのに必要となる化学量論的な酸素量に基づいて決定されている。
より詳しくは、処理対象流体のCOD(Chemical Oxygen Demand)、全窒素(TN)、全リン(TP)など、処理対象流体や高濃度有機性スラリー中の有機物濃度、窒素濃度、リン濃度などに基づいて、有機物の完全酸化に必要な酸素量が算出される。
算出結果に基づいて、空気の圧送量が設定されている。
具体的には、有機物の完全酸化に必要な酸素量の1.0倍〜3.0倍の酸素量が投入されるように設定される。
酸化剤としては、空気の他、酸素、液体酸素、オゾン、過酸化水素水のうちの何れか1つ、あるいは、それらの2種類以上を混合したものを用いることができる。
【0016】
原水予備加熱器19によって予備加熱された処理対象流体と、酸化剤予備加熱器27によって予備加熱された空気は個別に反応槽4内に導入され、反応槽内で合流して混合流体となる。
予備加熱された処理対象流体の温度は処理対象流体温度センサ20で検知され、予備加熱された空気の温度は酸化剤温度センサ28で検知される。これらの温度の検知情報は制御手段8へ入力される。
本実施形態では、処理対象流体と空気とが反応槽内で合流する構成としたが、反応槽に入る前に合流するようにしてもよい。
処理対象流体の圧送圧力や、空気の圧送圧力は、反応槽4内の圧力とほぼ同じになるように調整される。
【0017】
反応槽4内の混合流体に加える圧力としては、0.5〜30MPa(望ましくは5〜15MPa)の範囲を例示することができる。
反応槽4内の圧力は、後述する背圧弁としての出口弁46によって調整される。出口弁46は、反応槽4内の圧力が閾値よりも高くなると、自動で弁を開いて反応槽4内の混合流体を外部に排出することで、反応槽4内の圧力を閾値付近に維持する。
【0018】
反応槽4内の混合流体は、有機物が酸化分解されることによる発熱によって昇温する。
処理対象流体が有機物を高濃度に含むものである場合、多量の有機物が酸化分解される際の多量の発熱だけで、混合流体が所望の温度まで昇温することもある。
この場合、装置の立ち上げ時のみ、原水予備加熱器19及び酸化剤予備加熱器27による加熱を行い、酸化分解が開始された後は、これらへの通電をオフにすることができる。
【0019】
反応槽4内の混合流体の温度としては、100〜700℃(望ましくは200〜550℃)を例示することができる。
温度の調整は、原水予備加熱器19、酸化剤予備加熱器27の出力調整によって行われる。
【0020】
温度及び圧力の条件として、温度=374.2℃以上、且つ、圧力=22.1MPa以上を採用した場合、水の臨界温度や臨界圧力をそれぞれ超え、且つ空気の臨界温度や臨界圧力もそれぞれ超える状態である。
このため、混合流体が液体と気体との中間的な性質を帯びる超臨界流体になる。
超臨界流体中では、有機物が良好に超臨界流体に溶解するとともに、空気に良好に接触することから、有機物の酸化分解が急激に進行する。
温度及び圧力の条件として、温度=200℃以上(望ましくは374.2℃以上)、且つ、圧力=22.1MPa未満(望ましくは10MPa以上)且つ、飽和蒸気以下の温度、圧力の比較的高圧を採用して、反応槽4内で混合流体中の処理対象流体を過熱水蒸気にしてもよい。
【0021】
反応槽4においては、混合流体を高温且つ高圧の状態にすることで、混合流体中の有機物やアンモニア態窒素の酸化分解を促す。
反応槽4内で、流体搬送方向(流体移動方向)における触媒部材33の端部まで移動した混合流体は、有機物がほぼ完全に酸化分解された状態になっている。
【0022】
反応槽4は外筒と、これの内側に密着して収納される内筒とによる2重構造になっている。
処理対象流体の種類によっては、有機塩化物のクロロ基に由来する塩酸や、アミノ酸等のスルホニル基に由来する硫酸が発生して、内筒の内壁を強い酸性下におくことがある。
このため、内筒には、耐食性に優れたチタンからなる筒が採用されている。チタンからなるものに代えて、Ta、Au、Pt、Ir、Rh、又はPdからなるものを用いてもよい。
また、Ti、Ta、Au、Pt、Ir、Rh、及びPdのうち、少なくとも何れか1つを含む合金からなるものを用いてもよい。
【0023】
これに対し、外筒は、ステンレス(SUS304、SUS316)、インコネル625など、強度に優れた金属材からなる筒である。
反応槽4の内部の圧力は、5〜30MPaという高圧に制御される。このような高圧に耐え得るように、外筒の厚みは肉厚になっている。
反応槽4には反応槽4の温度を検知する反応槽温度計31が設けられている。反応槽温度計31は1箇所または複数箇所に設置されており、反応槽4の内部の温度分布を把握することができる。
【0024】
反応槽4の長手方向における全域のうち、流体移動方向の中央から後半部にかけて、触媒部材33が配置されている。触媒部材では、反応槽上部の領域で酸化分解されない有機物やアンモニア態窒素が残っていても、酸化分解を促進し、完全に浄化することができる。
さらに、酸化分解による発熱も促進されることで、内筒内の温度を高温に維持する相乗効果を生む。
【0025】
触媒部材33に採用される触媒25の材料としては、Ru、Pd、Rh、Pt、Au、Ir、Os、Fe、Cu、Zn、Ni、Co、Ce、Ti又はMnを例示することができる。また、それらのうち、少なくとも何れか1つを含む化合物でもよい。
触媒部材は反応槽4の全域、あるいは任意の位置と範囲で配置することが可能で、処理対象流体の特性や求められる排出基準等を考慮して変更してもよい。
【0026】
反応槽4から出た処理済み流体は、熱交換部5の熱交換器34に流入する。熱交換部5には図示しない熱媒体タンクが設けられており、熱媒体タンクには熱交換流体が貯留されている。
熱交換流体は熱交換ポンプ35で熱交換器34に供給される。熱交換器34を通過して熱せられた熱交換流体は、パイプを通って熱エネルギー利用設備に送られる。
符号36は熱交換器34を出た熱交換流体の温度を検知する温度センサを示している。
【0027】
熱交換器34の下流直後には、処理済み流体の温度を検知する熱交換器出口温度計37が設けられているとともに、熱交換器出口圧力計38が設けられている。
熱交換器出口温度計37による検知結果が所定の数値範囲内に維持されるように、熱交換ポンプ35の駆動が制御される。
具体的には、熱交換器出口温度計37による検知結果が所定の上限温度に達したときには、熱交換ポンプ35の駆動量を増加して熱交換器34への熱交換流体の供給量を増やし、熱交換器34による冷却機能を高める。
熱交換器出口温度計37による検知結果が所定の下限温度に達したときには、熱交換ポンプ35の駆動量を減少させて熱交換器34への熱交換流体の供給量を減らし、熱交換器34による冷却機能を低下させる。
【0028】
このように制御することで、熱交換量を適切に調整して処理済み流体の温度を一定範囲に維持することができる。
熱交換器34は、反応槽4に直接取り付けてもよい。
【0029】
熱エネルギー利用設備の一例として、発電機を例示することができる。発電機では、熱せられたことによって圧力が高まっている熱交換流体を液体から気体の状態にするときに発生する気流によってタービンを回転させることで発電が行われる。
なお、熱交換器34を通過した熱交換流体の一部を分岐パイプによって送液し、処理対象流体や空気の予備加熱に利用してもよい。
【0030】
処理済み流体は熱交換器34で熱を奪われるため、その水分が冷却されて超臨界状態、あるいは過熱水蒸気状態から液体状態に態様が変化し、液体状態で固形分分離部6に入る。
一方、混合流体中の酸素や窒素は、超臨界状態から気体状態に態様が変化する。
熱交換器34を出た処理済み流体は熱交換器出口温度計37によって温度を検知され、熱交換器出口圧力計38によって圧力を検知された後、固形分分離部6に入る。
【0031】
気液分離部7は、出口弁46や気液分離器47等を有している。固形分分離部6を通り過ぎた処理済み流体は、最終的に気液分離器47によって処理液としての処理水とガスとに分離される。処理水は処理済液タンク48に貯留される。
気液分離器47によって分離された気体50は、その組成がガスクロマトグラフによって検知される。
ガスクロマトグラフにより、未分解の物質が検出された場合、ガスクロマトグラフから出力信号を受け、制御手段8により警報が発せられる。
気液分離器47によって分離された液体51は、処理済液タンク48に貯留され、そのTOC(全有機炭素:Total Organic Carbon)濃度がTOC分析装置によって検知される。
TOC分析装置により、閾値を超える濃度の全有機炭素が検出された場合には、TOC分析装置からの出力信号を受け、制御手段8により警報が発せられる。
【0032】
TOC濃度が良好な場合には、処理水は処理済液タンク49に貯留される。この処理水は活性汚泥による生物処理では除去し切れないごく低分子の有機物もほぼ完全に酸化分解されたものであるため、浮遊物質や有機物は殆ど含まれていない。
そのままの状態でも、用途によっては工業用水として再利用することが可能である。また、限外濾過膜による濾過処理を施せば、LSI洗浄液などに転用することも可能である。
気液分離器47によって分離されたガス50は、二酸化炭素、窒素ガス、及び酸素を主成分とするものである。
【0033】
処理対象流体中の有機物濃度が比較的高い場合には、有機物の酸化分解によって多量の熱が発生する。
このため、運転初期には原水予備加熱器19及び酸化剤予備加熱器27を作動させるものの、有機物の酸化分解が開始された後には、有機物の酸化分解によって発生する熱を利用した制御とする。
すなわち、有機物の酸化分解によって発生する熱により、処理対象流体と空気との混合流体の温度が、所望の温度まで自然に昇温する場合もある。
制御手段8は、反応槽4の温度を検知する反応槽温度計31による検知結果が、所定の温度よりも高くなった場合には、原水予備加熱器19、酸化剤予備加熱器27の出力を調整する。
これにより、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0034】
反応槽ヒータ32で反応槽を加熱することにより、反応槽内で生じる酸化反応熱の反応槽を介した熱移動、ひいては熱交換部における熱交換率の低下を抑制することができる。
【0035】
制御手段8には、原水流量計17、処理対象流体温度センサ20、酸化剤温度センサ28、反応槽温度計31から検知情報が入力される。
制御手段8はこれらの情報に基づいて、原水供給ポンプ15、原水予備加熱器19、酸化剤予備加熱器27、反応槽ヒータ32、酸化剤圧送ポンプ22等を制御する。
制御手段8には、さらに操作・表示用機器としてタッチパネルが備えられ、温度、圧力、流量などの状態、異常発生時の警告や故障内容の表示と、設定値等の入力・変更が可能になっている。また各測定器類からの入力値の記録・表示用機器として図示していないデータレコーダが接続されている。
【0036】
異常発生時には、ポンプの駆動、ヒータの通電をオフにするなどして、また入口弁を閉じるなどして、インターロック制御される。
異常内容としては、機器の故障、流路での詰り、漏れなどがあり、異常圧力、異常温度を制御部で判断し、タッチパネルで監視できるようになっている。
反応槽内(入口弁〜出口弁まで)の圧力は、出口弁46(背圧弁)で調節される。
【0037】
図1中の点線は制御手段8と各機器、計器類との主な接続ラインを示す。制御手段8にはプログラマブルコントローラが備えられ、各種測定値に基づいて各種の駆動機器、ヒータを制御するように機器と接続されている。プログラマブルコントローラには浄化処理に必要な動作シーケンスがプログラミングされている。
より具体的には、予熱器と補助加熱器のヒータ用ケーブルと、ヒータの出口付近に設置された熱電対等からなる温度センサの信号線が、制御手段に接続されている。温度センサの測定結果をプログラマブルコントローラにフィードバックして、制御手段に設けられたインバータやサーマルリレーを介してヒータに流す電流値や、オンオフ時間によって温度制御される。
【0038】
原水供給ポンプの駆動モータの動力ケーブルや、ポンプの近くに設置された流量計の信号線は制御手段に接続されている。流量計の測定結果をプログラマブルコントローラにフィードバックして、制御装置に設けられたインバータ等を介して圧送される流量(駆動周波数)を制御する。
酸化剤が気体の場合、コンプレッサー側で入り口側の圧力を調節し、流量調節器を介して、流量を調節するようにする。液体の場合は廃液と同じようにポンプ側で圧送する流量を制御してもよい。
反応槽内や流路の圧力は出口弁(背圧弁)で調節される。
異常発生時には、ポンプの駆動、ヒータの通電をオフにするなどして、また入口弁を閉じるなどして、インターロック制御される。異常内容としては、機器の故障、管の詰り、漏れなどがあり、異常圧力、異常温度をプログラマブルコントローラで判断し、タッチパネルで監視できるようになっている。
【0039】
次に、流体処理装置1の運転開始操作のフローについて説明する。
起動時は温度が十分上昇しておらず、最初から反応槽4に処理対象流体を供給すると未分解の状態で排出されてしまうため、水タンク11から水を供給し、温度が通常運転時の温度に上昇しきった段階で処理対象流体に切り替える。
具体的な工程は以下の通りである。
【0040】
(1)昇圧
・酸化剤圧送ポンプ22を起動する
・流量調節器24で初期設定流量にする
・酸化剤入口弁26を開く
・水タンク11の水を圧送する原水供給ポンプ15を駆動する
・出口弁46を調節する
(2)昇温
・酸化剤予備加熱器27を出口温度が設定温度になるように加熱する
・並行して原水予備加熱器19を出口温度が設定温度になるように加熱する
・反応槽外周の反応槽ヒータ32を設定温度になるように加熱する
(3)運転開始
・水タンク11からの水を処理対象流体に切替える
・反応槽内の温度を検知し、反応槽内の温度が上昇開始したら、処理対象流体中の有機物が酸化分解し始めたと判断する
(4)自動運転モードへの切り替え
・原水予備加熱器19のヒータ温度を下げるように変更する、もしくはオフにする
・酸化剤予備加熱器27のヒータ温度を下げるように変更する、もしくはオフにする
・反応槽ヒータ32のヒータ温度を下げるように変更する、もしくはオフにする
(5)所定の温度以上となったとき
・原水予備加熱器19のヒータをオフにする
・酸化剤予備加熱器27のヒータをオフにする
・反応槽ヒータ32のヒータをオフにする
(処理対象流体Wから水タンク11の水に切替える)
【0041】
(6)所定の温度以上かつ温度上昇が所定の傾き以上のとき(暴走反応と判断した時)
・原水予備加熱器19のヒータをオフにする
・酸化剤予備加熱器27のヒータをオフにする
・反応槽ヒータ32のヒータをオフにする
・処理対象流体から水タンク11の水に切替える
・酸化剤圧送ポンプ22の駆動による空気Aの圧送量を増加させる
【0042】
上記(6)は、暴走反応抑制モードを示している。
通常運転時、反応槽4の温度を検知する反応槽温度計31による検知結果が、所定の温度よりも高くなった場合には、原水予備加熱器19、酸化剤予備加熱器27の出力を調整する。これにより、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
反応槽4の温度を検知する反応槽温度計31による検知結果から、温度上昇の傾きが所定の傾き以上、かつ、絶対値としてある所定の温度以上となった場合、制御手段8は暴走反応と判定し、暴走反応抑制モードを実行する。制御手段8は暴走反応判定手段を兼ねている。
【0043】
温度上昇の傾きは、反応槽温度計31の検知結果から、温度上昇の傾き=ΔT[℃]/Δt[sec]として決定される。
反応槽温度計31の測定間隔は1秒間隔であるが、1秒当たりの温度変化が小さく正常値と異常値が判定しにくい場合は、例え5秒当たりの温度変化から温度上昇の傾きを求めてもよい。
Δt[sec]を必要以上に長くすると、暴走反応と判定するまでの時間での温度上昇によって安全な運転条件を逸脱してしまう恐れがあるため、Δt[sec]は数分以内が望ましい。
【0044】
暴走反応抑制モードでは、酸化剤の供給量を段階的に増加させる。これにより反応槽内での混合流体の滞留時間を短くし、発熱量を減らすことで、反応槽の暴走反応を抑制することができる。
すなわち、酸化剤が過剰に供給されることで混合流体は酸化剤の容量による押し出し作用を受け、反応槽内に留まる時間が短くなる。反応槽内での滞留時間が短くなると、発熱量が低下する。
酸化分解に寄与しない余分な酸化剤を暖めるために反応槽の熱が使われるため、反応槽の温度上昇を緩和、あるいは温度を低下させることができる。
酸化剤としての空気は水等の液体に比べて熱容量が小さく且つ段階的に増加させるので、急激な温度変化を抑制することができる。
暴走反応を抑制するための酸化剤の過剰供給により反応槽からの排出量が基準を超える場合には、暴走反応抑制モード時、反応槽からの処理済み流体の排出先を一時的に非常用タンクに切り替える構成としてもよい。
【0045】
反応槽温度計31による検知結果から、温度上昇の傾きが所定の傾き以下、かつ、絶対値としてある所定の温度以下となった場合、制御手段8は、通常運転モードへの切り替え(復旧)が可能と判断する。
この場合、酸化剤の供給量を通常運転時の値に変更する。
本実施形態では、酸化剤の流量を通常運転時の2倍〜3倍にする構成としたが、処理対象流体の特性及び反応槽内の温度分布等を考慮して、流量を決定してもよい。
暴走反応抑制流体である酸化剤としては、空気の他、酸素、オゾンのうちの1つ、あるいは、それらの2種類以上を混合したものを用いることができる。
【0046】
図2に基づいて第2の実施形態を説明する。
上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、既にした構成上及び機能上の説明は適宜省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
本実施形態では酸化剤供給部3とは別に反応槽4に酸化剤を供給する酸化剤供給部3’を有している。
酸化剤供給部3’では、酸化剤供給部3の符号を100番台としているだけで各要素の構成は同じである。但し、酸化剤供給部3’では酸化剤予備加熱器は設けられていない。
【0047】
すなわち、酸化剤供給部3’からの酸化剤は予熱されずに反応槽4に供給される。
本実施形態において、酸化剤供給部3は第1の酸化剤圧送手段であり、酸化剤供給部3’は第2の酸化剤圧送手段で且つ、暴走反応抑制流体供給手段である。
暴走反応と判定された場合、制御手段8は、酸化剤圧送源としての酸化剤圧送ポンプ122を制御し、酸化剤(空気A)を反応槽4に供給する。
反応槽4へは酸化剤供給部3と酸化剤供給部3’との両方から酸化剤が供給されるため、結果として酸化剤の供給量が増加する。酸化剤供給部3’から供給する酸化剤は段階的に増加させてもよい。
通常運転モードへの切り替えは上記実施形態と同様である。
【0048】
第1の実施形態と比較すると、酸化剤予備加熱器が無い別系統の配管から反応槽へ酸化剤を圧送した場合、酸化剤が予熱されていない差分だけ、反応槽の熱を吸収できるため、より効果的に暴走反応を抑制することができる。
本実施形態では、酸化剤圧送ポンプ22と酸化剤圧送ポンプ122をそれぞれ設置して稼動させる構成としたが、酸化剤として空気を用いる場合は、酸化剤圧送ポンプ22から配管を分岐させて酸化剤圧送ポンプ122として共用する構成としてもよい。
すなわち、第1の酸化剤圧送手段と第2の酸化剤圧送手段とにおける酸化剤圧送源を1つの酸化剤圧送源が兼ねる構成としてもよい。
【0049】
図3に基づいて第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、暴走反応抑制流体供給手段としての暴走反応抑制流体供給部9を備えている。暴走反応抑制流体供給部9は酸化剤供給部3と同様の構成を有している。酸化剤供給部3の符号を200番台としているが各要素の構成は同じである。但し、暴走反応抑制流体供給部9では酸化剤予備加熱器に相当する部材は設けられていない。
【0050】
本実施形態では、暴走反応抑制流体として不活性ガスを用いている。コンプレッサーからなる不活性ガス圧送源としての不活性ガス圧送ポンプ222は、不活性ガスが充填された容器に接続されている。
不活性ガス圧送ポンプ222は、不活性ガスを処理対象流体の圧力と同程度の圧力まで圧縮しながら、反応槽4に向けて送り出す。
【0051】
暴走反応と判定された場合、制御手段8は、不活性ガス圧送ポンプ222を制御して反応槽4へ不活性ガスを供給する。
これにより反応槽内での混合流体の滞留時間を短くすることができる。また、不活性ガスの供給によって有機物と酸化剤の濃度が薄まるため、有機物と酸化剤との接触確率が下がる。
これらの効果により反応槽の暴走反応を抑制し、発熱量を低下させることができる。また、酸化分解に寄与しない不活性ガスを暖めるために反応槽の熱が使われるため、反応槽の温度上昇を緩和、あるいは温度を低下させることができる。
【0052】
不活性ガス圧送ポンプ222による不活性ガスの供給量は段階的に増加させてもよい。
不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム又はアルゴンを用いることができる。
【0053】
図4に基づいて第4の実施形態を説明する。
本実施形態では、暴走反応抑制流体としての不活性ガスを暴走反応抑制流体供給部9により、反応槽4内の触媒部材33が配置されている部位に直接供給する構成としている。
暴走反応抑制流体が最も温度が高くなりやすい触媒部材33を集中して冷却することで、反応槽4の耐熱温度まで温度が上昇することを防ぐことができる。
本実施形態では、触媒部材33への不活性ガスの圧送は1箇所から行ったが、複数箇所から圧送するようにしてもよい。
また、圧送配管に設けられた吐出口は1箇所又は複数箇所でもよく、吐出口の向きは任意で限定されない。
【0054】
本実施形態では、触媒部材33の部位へ直接不活性ガスを供給する構成としたが、予熱された酸化剤、あるいは予熱されない酸化剤を触媒部材33の部位へ直接供給するようにしてもよい。
【0055】
図2図4で示した構成において、暴走反応抑制流体を供給する配管は、オリフィスやノズルのように差圧を生じる構造としてもよい。
このようにすれば、暴走反応抑制流体が断熱膨張することにより暴走反応抑制流体の温度が低下する。これにより反応槽4内の温度上昇の緩和あるいは温度が低下し、反応速度が遅くなるため反応に伴う発熱量も減少する。結果として反応槽4の温度上昇を効果的に抑えることができる。
【0056】
図5に暴走反応抑制に係る制御動作を説明する。
制御手段8により暴走反応監視がスタートすると、反応槽4内の温度が所定の温度以上になったかどうかが判断される(S1)。
所定の温度以上になった場合には、原水予備加熱器19のヒータ出力を下げるように変更し(S2)、酸化剤予備加熱器27のヒータ出力を下げるように変更し(S3)、反応槽ヒータ32のヒータ出力を下げるように変更する(S4)。S2〜S4の順番はこれに限定されない。
【0057】
次に制御手段8は、温度上昇の傾きが所定の傾き以上かどうかを判断する(S5)。所定の傾きは予め制御手段8のROMに格納されている。
所定の傾き以上となった場合には、暴走反応判定手段としての制御手段8は暴走反応と判定し、反応槽4への供給流体を処理対象流体(廃液)から水に切り替えるとともに(S6)、暴走反応抑制モードを実行する(S7)。
暴走反応抑制モードでは、上記のように例えば酸化剤の供給量を増やす。
暴走反応抑制モードを実行中に反応槽内の温度が所定の温度以下になったかどうかを判断し(S8)、所定の温度以下になった場合には酸化剤(空気)の供給量を通常運転時の値に戻し(S9)、暴走反応抑制モードを終了する。
【0058】
上記制御動作の実施例を図6に示すタイミングチャートで説明する。
(実施例1:500℃付近でのデータ)
通常運転モード時の酸化剤としての空気の供給量は7.6kg/hである。通常運転モード時にt1時点で温度が急上昇する。所定の温度(通常運転時の安定温度)を超え、t2時点までの間の温度上昇の傾きが所定の傾き以上となったため、空気の供給量を1.31倍に増やした。
t3時点で温度が安定してきたので、空気の供給量を通常運転時の値に変更した。
【0059】
t4時点で再び温度上昇の傾きが所定の傾きを超えたので、t5時点で空気の供給量を1.17倍に増やした。
t6時点で温度が安定してきたので、空気の供給量を通常運転時の値に変更した。
制御手段8のROMには、通常運転モード時の正常な温度と所定の温度上昇の傾きについてのデータが予め記憶されている。制御手段8は刻々変化する反応槽内の温度を監視し、反応槽温度計31の検知温度と記憶された基準データとを比較して暴走反応をその都度判定している。
【0060】
(実施例2:起動時の昇温途中における実験データ)
t1の時点において、正常な起動時の昇温過程における所定の温度以上となり、且つ、温度上昇の傾きが所定の傾き以上となったため、空気の供給量を増やした。t2時点で温度が下がってきたので、空気の供給量を通常運転時の値に変更した。
t3の時点において、再び正常な起動時の昇温過程における所定の温度以上となり、且つ、温度上昇の傾きが所定の傾き以上となったため、空気の供給量を増やした。
【0061】
t4時点で温度が下がってきたので、空気の供給量を通常運転時の値に変更した。
t5の時点において、再び正常な起動時の昇温過程における所定の温度以上となり、且つ、温度上昇の傾きが所定の傾き以上となったため、空気の供給量を増やした。
t6時点で温度が下がってきたので、空気の供給量を通常運転時の値に変更した。
【0062】
制御手段8のROMには、正常な起動時の昇温過程における温度と温度上昇の傾きについてのデータが予め記憶されている。制御手段8は刻々変化する反応槽内の温度を監視し、反応槽温度計31の検知温度と記憶された基準データとを比較して暴走反応をその都度判定している。
【0063】
過熱水蒸気下で触媒を用いる場合は、反応温度が比較的低く、その温度に対応するような耐熱容器で反応槽が作られることが普通である。これは、超臨界水と酸化剤とを用いて処理する方式での大型化、高コスト化に対する優位性となっている。
それ故に、反応槽の耐熱温度を超えないように、反応槽内の温度が大幅、かつ急上昇しないような処置が必要になる。
このため、外部からの投入エネルギー(ヒータによる予熱等)を調整して、反応槽の温度が耐熱温度を超えないよう制御する方法があるが、一般的に装置が大きくなるほど反応槽の温度が変化するまでにタイムラグがあるので制御が間に合わない恐れがある。
【0064】
また、処理対象流体の供給を停止すると、予熱器内の残った熱で処理対象流体の温度が急上昇して体積が膨張し、圧力が急上昇する恐れがある。また予熱ヒータを損傷する恐れがあるなどの問題があった。
工場廃液のような濃度が一定ではなく、揮発性物質や分散した固形分などが混在している多成分の廃液では、各成分の濃度やそれらが分解する際の反応熱を正確に推測することが困難である。
また、有機物の濃度で所定範囲内に反応温度を制御することは、有機物の種類によっては1wt%程度の変化でも、反応熱を数10〜100℃近くも変動させることがあるため、容易ではない。
【0065】
特に有機物の濃度が低くなりすぎて、反応温度が下限値を下回ってしまうと、酸化分解が不十分になり、処理後の液中に未分解の有機物が残留してしまう問題がある。
一方、濃度が高くなりすぎて、反応温度が上限値を上回ってしまうと、反応槽の耐熱温度や高温時の腐食限界温度を越えて、反応槽の寿命を短くするばかりか、非常に危険な状態になる恐れがある。
この問題を解決するためには、通常の運転条件へ復帰しやすいように反応槽の温度はできるだけ下げることなく、速やかに暴走反応を抑制する必要がある。
【0066】
本発明によれば、上述のように通常運転時や起動時において常に反応槽内の温度を監視し、暴走反応が生じた場合には暴走反応抑制モードを実行することで反応槽のサイズにかかわらず上記諸問題を解消することができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
W 処理対象流体
A 酸化剤、暴走反応抑制流体としての空気
3 暴走反応抑制流体供給手段で第1の酸化剤圧送手段としての酸化剤供給部
3’ 暴走反応抑制流体供給手段で第2の酸化剤圧送手段としての酸化剤供給部
4 反応槽
8 制御手段(暴走反応判定手段)
22、122 酸化剤圧送源としての酸化剤圧送ポンプ
27 酸化剤予熱手段としての酸化剤予備加熱器
31 温度検知手段としての反応槽温度計
33 触媒部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特許第3896861号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7