特開2017-7115(P2017-7115A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ 株式会社リコーの特許一覧
特開2017-7115プリプレグ分離装置、プリプレグ搬送装置、電子回路基板材分離装置及び電子回路基板材搬送装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-7115(P2017-7115A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】プリプレグ分離装置、プリプレグ搬送装置、電子回路基板材分離装置及び電子回路基板材搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20161216BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20161216BHJP
   B65H 1/16 20060101ALI20161216BHJP
   B65H 1/22 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   B29C43/34
   B29C67/14 G
   B65H1/16
   B65H1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-122231(P2015-122231)
(22)【出願日】2015年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100067873
【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】福本 孝
【住所又は居所】神奈川県海老名市下今泉810番地・リコーテクノロジーズ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】新倉 康夫
【住所又は居所】神奈川県海老名市下今泉810番地・リコーテクノロジーズ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】浅見 真治
【住所又は居所】神奈川県海老名市下今泉810番地・リコーテクノロジーズ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】古橋 朋裕
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号・株式会社リコー内
(72)【発明者】
【氏名】奥津 俊宏
【住所又は居所】神奈川県海老名市下今泉810番地・リコーテクノロジーズ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀明
【住所又は居所】神奈川県海老名市下今泉810番地・リコーテクノロジーズ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】児島 秀俊
【住所又は居所】神奈川県海老名市下今泉810番地・リコーテクノロジーズ株式会社内
【テーマコード(参考)】
3F343
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
3F343FA09
3F343FA13
3F343FB19
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA32
3F343HA33
3F343HB04
3F343HD16
3F343HE27
3F343JB05
3F343JB28
3F343JD03
3F343JD04
3F343JD26
3F343JD28
3F343JD34
3F343KA05
3F343KB04
3F343KB05
3F343LA04
3F343LA18
3F343LB08
3F343LC08
3F343LC19
3F343LD07
3F343LD10
3F343LD11
3F343LD26
3F343MA03
3F343MA09
3F343MA14
3F343MA15
3F343MA32
3F343MA55
3F343MB04
3F343MB14
3F343MB15
3F343MC10
3F343MC13
3F343MC26
3F343MC28
4F204AA36
4F204AC03
4F204AD16
4F204AD19
4F204AD20
4F204AG03
4F204AH36
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB11
4F204FB13
4F204FF01
4F204FF23
4F204FF36
4F204FF47
4F204FG02
4F204FN11
4F204FN15
4F205AA36
4F205AC03
4F205AD16
4F205AD19
4F205AD20
4F205AG03
4F205AH36
4F205HA08
4F205HA25
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HC02
4F205HC06
4F205HC16
4F205HF01
4F205HF23
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK05
4F205HK16
4F205HL15
4F205HM13
4F205HT13
4F205HT26
(57)【要約】
【課題】重送を防止することが可能なプリプレグ分離装置を提供する。
【解決手段】積層されたプリプレグから少なくとも1枚のプリプレグを保持し分離させる浮上保持搬送装置160Aの搬送ベルト161などの保持手段と、保持手段を振動させる加振機10などの振動手段とを有するプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置100Aである。振動手段は、少なくとも1枚のプリプレグが保持手段に保持された後で作動する。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層されたプリプレグから少なくとも1枚のプリプレグを保持し分離させる保持手段と、
前記保持手段を振動させる振動手段と、
を有するプリプレグ分離装置。
【請求項2】
前記振動手段は、前記少なくとも1枚のプリプレグが前記保持手段に保持された後で作動することを特徴とする請求項1記載のプリプレグ分離装置。
【請求項3】
前記2枚以上のプリプレグが前記保持手段に保持された状態を検知する検知手段を有し、
前記振動手段は、前記検知手段からの信号に基づいて作動することを特徴とする請求項2記載のプリプレグ分離装置。
【請求項4】
前記保持手段は、プリプレグを保持する方向と直交する方向に複数有し、
前記複数の保持手段の少なくとも1つが、前記振動手段によって振動されることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1つに記載のプリプレグ分離装置。
【請求項5】
前記振動手段による振動方向に関してプリプレグの積層方向に平行な方向又は前記積層方向に直交する方向を選択できることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1つに記載のプリプレグ分離装置。
【請求項6】
前記振動手段による振動の回数に関して制限する設定が可能なことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1つに記載のプリプレグ分離装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載のプリプレグ分離装置を備え、
前記プリプレグ分離装置によって分離されたプリプレグを搬送する搬送手段を有することを特徴とするプリプレグ搬送装置。
【請求項8】
積層された電子回路基板材から少なくとも1枚の電子回路基板材を保持し分離させる保持手段と、
前記保持手段を振動させる振動手段と、
を有する電子回路基板材分離装置。
【請求項9】
前記振動手段は、前記少なくとも1枚の電子回路基板材が前記保持手段に保持された後で作動することを特徴とする請求項8記載の電子回路基板材分離装置。
【請求項10】
前記2枚以上の電子回路基板材が前記保持手段に保持された状態を検知する検知手段を有し、
前記振動手段は、前記検知手段からの信号に基づいて作動することを特徴とする請求項9記載の電子回路基板材分離装置。
【請求項11】
前記保持手段は、電子回路基板材を保持する方向と直交する方向に複数有し、
前記複数の保持手段の少なくとも1つが、前記振動手段によって振動されることを特徴とする請求項8ないし10の何れか1つに記載の電子回路基板材分離装置。
【請求項12】
前記振動手段による振動方向に関して電子回路基板材の積層方向に平行な方向又は前記積層方向に直交する方向を選択できることを特徴とする請求項8ないし11の何れか1つに記載の電子回路基板材分離装置。
【請求項13】
前記振動手段による振動の回数に関して制限する設定が可能なことを特徴とする請求項8ないし12の何れか1つに記載の電子回路基板材分離装置。
【請求項14】
請求項8ないし13の何れか1つに記載の電子回路基板材分離装置を備え、
前記電子回路基板材分離装置によって分離された電子回路基板材を搬送する搬送手段を有することを特徴とする電子回路基板材搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグ分離装置、プリプレグ搬送装置、電子回路基板材分離装置及び電子回路基板材搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリプレグを分離し搬送することを可能としたプリプレグ装置および方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、以下のプリプレグ供給装置およびプリプレグ供給方法が開示されている。即ち、同文献では、シリンダ等により回動する吸着パッドによって積み重ねられた1枚目のプリプレグの吸着部である端部を吸着、持ち上げし(上方回動)、さらにもう一つのシリンダにより上下する吸着パッドにより2枚目のプリプレグの端部を吸着、持ち上げる。次に、両方の吸着パッドを同時に水平移動、例えば50mm程度移動することで必要とする2枚のプリプレグを区分け搬送するものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、1枚目のプリプレグと2枚目のプリプレグとを分離するのに、それぞれ個別の吸着動作と上方回動動作などが必要であり、プリプレグの分離を容易に行うことが困難であった。また、プリプレグは、真空パック等によって封止されていることがあり、この状態から開封した際には、プリプレグ同士が密着した状態にあるため、1枚1枚に分離して搬送する場合、2枚以上重なる所謂重送が生じるリスクが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、重送を防止することが可能なプリプレグ分離装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、積層されたプリプレグから少なくとも1枚のプリプレグを保持し分離させる保持手段と、前記保持手段を振動させる振動手段と、を有するプリプレグ分離装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、重送を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態例に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置を示す斜視図である。
図2】実施形態例に係るプリプレグ浮上保持搬送装置及びエアー噴射ノズル装置を示す正面図である。
図3】実施形態例に係るプリプレグ浮上保持搬送装置及びエアー噴射ノズル装置におけるプリプレグの分離状態を示す模式図である。
図4】実施形態例に係るプリプレグ分離装置を備えるプリプレグ搬送装置からプリプレグ浮上保持搬送装置を除去した状態を示す斜視図である。
図5】実施形態例に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置を示す平面図である。
図6】実施形態例に係るエアー噴射ノズル装置を示す斜視図である。
図7】実施形態例に係るエアー噴射ノズル装置の内部を示す斜視図である。
図8】実施形態例に係るプリプレグ浮上保持搬送装置の操作制御系を示すブロック図である。
図9】実施形態例のプリプレグ搬送装置により実行される主な工程を示すフローチャートである。
図10】(a)、(b)、(c)は実施形態例に係るプリプレグ搬送装置の動作推移状態を示す図である。
図11】(a)、(b)は図10(c)に続くプリプレグ搬送装置の動作推移状態を示す図である。
図12】実施形態1に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置における加振機の配置及びプリプレグの分離を模式的に示す一部断面側面図である。
図13】実施形態1のプリプレグ搬送装置の制御系を示すブロック図である。
図14】実施形態1のプリプレグ搬送装置により実行される主な動作順序を示すフローチャートである。
図15】実施形態2に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置における加振機の配置を模式的に示す平面図である。
図16】実施形態3で用いる浮上保持搬送装置を右斜め上方から見た斜視図である。
図17】同浮上保持搬送装置の一部断面側面図である。
図18】同浮上保持搬送装置を右斜め下方から見た斜視図である。
図19】同浮上保持搬送装置を下側から見た斜視図である。
図20】同浮上保持搬送装置の吸引エアーの流れを説明する斜視図である。
図21】同浮上保持搬送装置の複数の搬送ベルトのベルト保持エリアを説明する斜視図である。
図22】プリプレグ分離装置でプリプレグをさばいて分離している状態を示す正面図である。
図23】(a)は搬送ベルトにプリプレグが保持されている状態を、(b)は複数プリプレグ間に各エアーが噴出された際の複数プリプレグの変形状態をそれぞれ示す斜視図である。
図24】(a)は実施形態4に係る複数の保持ユニットを備えたプリプレグ搬送装置の正面図、(b)は各保持ユニットの斜視図である。
図25図24のプリプレグ搬送装置において各種エアーの作用を説明する模式図である。
図26】実施形態例等のプリプレグ分離装置の制御系を示すブロック図である。
図27】実施形態例等のプリプレグ分離装置の制御を示す図である。
図28】実施形態例等のプリプレグ分離装置におけるジャム発生時の処理を示すフローチャートである。
図29】実施形態例等に係るプリプレグ分離装置におけるジャム発生時の処理を示すフローチャートである。
図30】実施形態例等のプリプレグ供給風量調整モード選択時におけるプリプレグ供給搬送装置の操作パネルの表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して、本発明の実施例を含む本発明の実施の形態を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能及び形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。
【0009】
(実施形態例)
図1図5を用いて、本発明の実施形態の一例(以下、実施形態例という)に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置について説明する。図1は本発明の実施形態例に係るプリプレグ搬送装置を示す斜視図、図2は同プリプレグ浮上保持搬送装置のエアー噴射ノズル部を背面側から見た正面図、図3は同プリプレグ分離装置におけるプリプレグの分離を示す模式図である。図4は実施形態例に係るプリプレグ分離装置を備えるプリプレグ搬送装置からプリプレグ浮上保持搬送装置を除去した状態を示す斜視図である。図5は実施形態例に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置を示す平面図である。各図において適宜示す白抜き矢印は、各装置へのエアーの出入り方向を表わしている。
【0010】
図1に示すように、プリプレグ束1は、複数枚のプリプレグを積層状態にしたものである。プリプレグ搬送装置130において、プリプレグ束1は、底板である供給台136上に積層状態で積載・配置される。
本発明の分離・搬送対象物であるプリプレグは、薄板状の部材であり、公知の全てのプリプレグを含む。プリプレグとしては、例えば、炭素繊維やガラスクロスのような繊維状補強材に、硬化剤、着色剤などの添加物を混合した熱硬化性樹脂等を含浸させ、加熱又は乾燥して半硬化状態にしたシート状の強化プラスチック成形材料が含まれる。
【0011】
プリプレグの幅サイズとしては、一例を挙げると約100mm〜700mm程度のものが用いられる。また、厚さとしては、0.02mm〜0.2mm程度のものが用いられる。
実施形態例で使用可能なプリプレグのサイズ・大きさは、例えば、幅方向Yの幅サイズが約148〜210mm、搬送方向Xの長さが約210〜297mmであり、このような比較的小サイズのプリプレグを分離し搬送できる構成を備えている。尚、前記プリプレグの幅サイズや厚さは、あくまでも一例であり、前記範囲以外のサイズや厚さのものが用いられるのは無論である(後述の大サイズも同じ)。
【0012】
供給台136は、プリプレグを積層状態で準備する準備手段として機能する。供給台136は、プリプレグ積載部駆動手段である昇降機構で上下方向Zに移動可能である。また、プリプレグ搬送装置130は、プリプレグ束1の上面位置を検出するプリプレグ検出手段と、昇降機構の駆動を制御してプリプレグ束1の上面位置を制御するプリプレグ位置制御手段とを備える。これにより、供給台136上のプリプレグ束1の上面がプリプレグ検出手段によって検出される所定の高さ位置を占めると、後述する動作を介して、最上位のプリプレグ1Aが分離されて搬送される。
【0013】
プリプレグ搬送装置130には、一対のプリプレグ位置規制部材であるサイドフェンス137、137、前端ガイド板138、エンドフェンス139が設けられている。サイドフェンス137、137は、供給台136の幅方向Yの両側に配置され、配置されたプリプレグ束1の搬送方向Xに交差(直交)する幅方向Yの位置決めを行う。前端ガイド板138は、プリプレグ束1の搬送方向Xに相当する長さ方向前端の位置決めを行う。さらに、エンドフェンス139は、同じく長さ方向後端の位置決めを行う。
図1のサイドフェンス137、137の一方(図において左奥側)に二点鎖線で示すサイドエアーノズル370は、プリプレグ束1の側端部にサイドエアーAcを噴出・吹き付けるサバキ用送風手段の機能を有する。図4に示すように、サイドエアーノズル370は、両方のサイドフェンス137、137に設けられている。サイドエアーノズル370には、図5に示すように、サイドエアー吹出手段であるサイドブロア380が接続されている。サイドブロア380としては、例えば遠心送風機であるシロッコファンなどが用いられるが、軸流式送風機を用いてもよい。尚、図4中の符号371は、プリプレグの浮上位置を規制するプリプレグ上昇防止部材を示している。
【0014】
図1図3に示すように、浮上保持搬送装置160は、駆動ローラ162と、従動ローラ163と、搬送ベルト161と、負圧エアーチャンバ310と、吸引ブロア390とを備える。駆動ローラ162は、ベルト搬送手段としての駆動モータに連結された駆動軸162sで図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ163は、回転可能に支持された従動軸163sと一体的に構成され、駆動ローラ162の駆動で転動する搬送ベルト161につれて図中矢印方向に回転する。搬送ベルト161は、負圧エアーチャンバ310に連通する吸引孔が多数明けられたエンドレス状のベルト部材である。負圧エアーチャンバ310は、吸引ブロア390に接続されていて、外部の吸引ブロア390からエアー吸引されて負圧状態を保ち、搬送ベルト161の吸引孔で最上位のプリプレグ1Aを吸引・吸着する。
吸引ブロア390は、吸引用エアーを生成する吸引用エアー生成手段としての機能を有する。吸引ブロア390としては、例えば遠心送風機であるシロッコファンなどが用いられるが、軸流式送風機を用いてもよい。多翼ファンを備えた遠心送風機(シロッコファン)は、小型かつ安価であり、特に軸流式送風機と比べて、1段での圧力上昇を大きくとることが容易で騒音も少ないという利点がある。
上記したとおり、浮上保持搬送装置160の搬送ベルト161は、浮上したプリプレグを保持する保持手段と、保持したプリプレグを搬送する搬送手段としての機能を有する。
【0015】
積載されたプリプレグ束1の前端に対向する位置には、エアー吹き付け手段でもあるエアー噴射ノズル装置300が配置される。エアー噴射ノズル装置300には、外部から加圧された気体である空気(以下、エアーともいう)が送られて溜めるエアーチャンバ320が配置されている。また、図2に示すように、エアーチャンバ320には、浮上ノズル322及び形状形成ノズル323が設けられている。そして、エアーチャンバ320の内部は、浮上ノズル322用の部分と、形状形成ノズル323用の部分とに分離されている。
【0016】
上記したとおり、浮上保持搬送装置160のエアー噴射ノズル装置300は、供給台136上に積載・準備されたプリプレグを浮上させる浮上手段として機能する。気体である空気には、除電された空気や、その他プリプレグを浮上させ、1枚ずつに分離するために用いられる気体なども含まれる。積層状態のプリプレグ同士が静電気の作用で密着していて容易に分離しにくいため、積層状態のプリプレグ束1に除電された空気を吹き付けることは有効である。
【0017】
図3に示すように、浮上ノズル322は、プリプレグ束1の前側の端部(以下、前端部ともいう)に向けて浮上エアーAaを吹き付け、プリプレグ束1からプリプレグを浮き上がらせる。尚、吹き出すエアーを温風にすれば、プリプレグへの除湿効果も加わり、プリプレグの分離・サバキをより効果的に行うことができる。また、形状形成ノズル323は、搬送ベルト161に向けて形状形成エアーAbを吹き付け、搬送ベルト161で反射したエアーが押し下げるように最上位のプリプレグ1Aに密着している2枚目以降のプリプレグ1B、1C等の端部の形状を、最上位のプリプレグ1Aと離れる方向の形状に形成する。
この際、搬送中の1枚目のプリプレグ1Aに対して、浮上した2枚目以降のプリプレグ1B、1C等が過浮上したり挙動を乱したりして接触すると、連れ送り重送になる場合がある。そこで、浮上エアーAaと形状形成エアーAbを同時に停止することで、浮上している2枚目以下のプリプレグ1B、1C等を落下させて最上位のプリプレグ1Aと接触しないようにして重送を防止する。さらに、2枚目のプリプレグ1Bの搬送を行うため、浮上エアーAaと形状形成エアーAbを再度、噴射する。しかし、供給速度を上げようとすると、1枚目のプリプレグ1Aの搬送が終了する前にエアーを吹付けなければならず、吹付け時の過浮上や挙動の乱れが接触による連れ送り重送の原因となる。
【0018】
そこで、浮上ノズル322からの浮上エアーAaと、形状形成ノズル323からの形状形成エアーAbを同時に噴射し、プリプレグ束1に均一に風圧をかけることで、過浮上や挙動の乱れを抑制して、吹き付け初めの重送を防止する。副次的な効果として、供給台136の上下方向Zの停止位置の精度を向上できる。即ち、供給台136を昇降させる際の停止位置の検知をプリプレグ束1の上面で行う場合は、エアーが入ってプリプレグ束1のプリプレグ1A、1B、1Cが浮上していると正確な上面の検知が行えない。しかしながら、浮上エアーAaと形状形成エアーAbとを停止することにより、プリプレグ1A、1B、1Cが落下し、プリプレグ束1の高さ位置の検知を正確に行えるようになる。プリプレグ束1の高さ位置の検知の仕方については、図10(a)を用いて後述する。
【0019】
次に、浮上エアーAaと形状形成エアーAbの噴射制御について説明する。図6はプリプレグ浮上保持搬送装置のエアー噴射ノズル装置を示す斜視図、図7はプリプレグ浮上保持搬送装置のエアー噴射ノズル装置の内部を示す斜視図、図8はプリプレグ浮上保持搬送装置の操作制御系を示すブロック図である。
図6及び図7に示すように、エアーチャンバ320は、その内部において浮上エアーチャンバ部324、324と、形状形成エアーチャンバ部325とに分割されている。そして、浮上エアーチャンバ部324、324には、浮上ブロア330が接続され、形状形成エアーチャンバ部325には、形状形成ブロア340が接続されている。
【0020】
浮上ブロア330は、浮上エアーを生成する浮上エアー吹出手段として機能する。形状形成ブロア340は、形状形成エアーを生成する形状形成エアー吹出手段として機能する。浮上ブロア330や形状形成ブロア340としては、例えば遠心送風機であるシロッコファンなどが用いられるが、軸流式送風機を用いてもよい。
【0021】
図7に示すように、エアー噴射ノズル装置300において、浮上エアーチャンバ部324、324には、浮上ノズル322に送られるエアーを遮断できる浮上ノズルシャッタ部材361、361が配置されている。また、形状形成エアーチャンバ部325には、形状形成ノズル323に送られるエアーを遮断できる形状形成ノズルシャッタ部材362が配置されている。浮上ノズルシャッタ部材361、361と形状形成ノズルシャッタ部材362とは、共に板状部材であり、共通の駆動軸363に取り付けられて揺動して開閉動作する。
駆動軸363は、連結棒351で浮上ノズルシャッタ駆動機構及び形状形成ノズルシャッタ駆動機構であるソレノイド350に接続されている。浮上ノズルシャッタ部材361、361及び形状形成ノズルシャッタ部材362は、ソレノイド350で開閉駆動される。また、駆動軸363には、スプリング352が装着されている。これにより、浮上ノズルシャッタ部材361、361及び形状形成ノズルシャッタ部材362が常時閉状態となる向きに駆動軸363が常時付勢(勢いを増加することを意味する)されている。
【0022】
浮上保持搬送装置160によるプリプレグの分離・搬送動作に合わせて、ソレノイド350を駆動することにより、浮上ノズルシャッタ部材361、361、形状形成ノズルシャッタ部材362は駆動され、浮上エアーAa及び形状形成エアーはAb、吹き付けと停止を同時に行う。浮上エアーAaと形状形成エアーAbとを同期させて噴射、停止することで、風圧を均一として、プリプレグの挙動を安定させ重送を防止することができる。尚、浮上ノズル322及び形状形成ノズル323からのエアーの停止は、厳密に同時である必要はなく、多少時間的なずれがあっても差し支えない。
【0023】
図8は、プリプレグ浮上保持搬送装置の操作制御系を示すブロック図である。ソレノイド350は、開閉制御手段360に接続されている。開閉制御手段360は、プリプレグ1Aの搬送直前にソレノイド350を駆動して、浮上ノズルシャッタ部材361、361及び形状形成ノズルシャッタ部材362を閉状態とする。これにより、搬送ベルト161に保持されたプリプレグ以外のプリプレグを落下させて重送を防止する。
また、開閉制御手段360は、プリプレグ1Aの搬送中にソレノイド350を駆動して、浮上ノズルシャッタ部材361、361及び形状形成ノズルシャッタ部材362を開状態する。これにより、2枚目以下のプリプレグ1B、1Cを浮上させて、搬送ベルト161に保持できる状態として、プリプレグ搬送不良を防止し、予備時間を短縮させ生産性を向上させる。
【0024】
図9は、実施形態例のプリプレグ搬送装置により実行される主な工程を示す図である。図10図11は、同プリプレグ搬送装置による動作推移を説明する図である。
まず、図10(a)を用いて、上述したプリプレグ搬送装置130の構成及び動作について補説する。図10(a)に示すように、プリプレグ搬送装置130は、供給台136に積載されたプリプレグ束1の前端面に向かってエアーチャンバ320から浮上エアーAa、形状形成エアーAbを吹き付ける。浮上エアーAa、形状形成エアーAbの吹き付け角度は図3に詳しく示したように異なるが、図10図11では図示の簡明化を図る上から吹き付け角度を同じにして示している。浮上エアーAa、形状形成エアーAbによってプリプレグ束1の最上面のプリプレグをプリプレグ保持部である搬送ベルト161の高さまで浮上させる。そして、吸引ブロア390の作動により、プリプレグ束1の最上面の1枚であるプリプレグ1Aを搬送ベルト161によって保持させる。搬送ベルト161に保持した最上位のプリプレグ1Aは1枚だけになっているとは限らず、プリプレグ間が密着した状態で保持していることもある。そこでサイドフェンス137、137に設けられたサバキ用送風手段であるサイドエアーノズル370にてサイドエアーを吹き付け、搬送ベルト161に保持したプリプレグ1Aを1枚にさばく。その後、プリプレグ1Aは搬送ベルト161の搬送により目的とする搬送先へと搬送され、その後必要な処理が行われる。
【0025】
エアーチャンバ320と最上部に積載されたプリプレグ束1との間には、プリプレグせき止め部材177が配置されており、最上位のプリプレグ1A以外のプリプレグが搬送されるのを防いでいる。また、給送したプリプレグによって減少するプリプレグの最上面位置と搬送ベルト161との距離hを常時一定とさせるために、プリプレグ1Aの最上面に当接してプリプレグの高さを検知する検知手段170が設けられている。検知手段170は、アクチュエータ171と、このアクチュエータ171の揺動を検知するフォトセンサなどのセンサ172とを有している。検知手段170では、プリプレグの減少によってアクチュエータ171が揺動し、この移動量をセンサ172が検知し、この信号に基づいて、プリプレグ積載部駆動手段(昇降機構)により供給台136を上昇させて調整している。
【0026】
プリプレグ束1は供給台136上でプリプレグサイズに合わせるように、前端面を基準面として揃えている。アクチュエータ171の取り付け位置は、図10(a)等に示すように各種ブロアの送風の影響を受けにくい、積載されたプリプレグ束1の後端部近傍に設けられている。
搬送ベルト161における搬送方向Xの下流には、エアー吸引で到達したプリプレグ搬送をする吸引装置が設置され、この吸引装置によって搬送を行っている。この吸引装置の搬送力は搬送ベルト161の搬送力より大きく設定されている。搬送ベルト161の搬送方向Xの下流側の搬送ベルト161出口近傍には、搬送されたプリプレグの重送の有無を検知する重送検知手段である重送検知センサ5が配置されている。重送検知センサ5は、例えば超音波を利用した公知の超音波センサなどが用いられる。
また、重送検知センサ5における搬送方向Xの下流には、プリプレグ到達の検知を行う給送センサ179が配置されている。
【0027】
次に、プリプレグ搬送装置130の動作・工程について、順を追って説明する。
(1)プリプレグを積層状態で準備する準備工程(図9のステップS1)は、例えば次のように行われる。具体的には、操作者によってプリプレグ束1は供給台136上に積載されるとともに、プリプレグサイズに合わせてセットすべく、その前端面が前端ガイド板138に突き当てられ基準面として揃えられる。また、サイドフェンス137、137及びエンドフェンス139を操作することによって、プリプレグ束1の側端面及び後端面がそれぞれ揃えられる。尚、準備工程においては、例えば操作者等の人手に代えて、ロボットや専用装置によって、上記したようにプリプレグの積載動作やプリプレグサイズ合わせを行うものであってもよい。
【0028】
プリプレグ搬送装置130に設けられている制御部からプリプレグ給送指令が来ると、図10(b)に示すように、エアー噴射ノズル装置300の浮上ブロア330、形状形成ブロア340、サイドブロア380を含むサバキ用送風手段が作動する。これにより、プリプレグ各端部へのエアーを吹き付ける浮上工程が開始される(図9のステップS2)。エアーチャンバ320の浮上ノズル322からの浮上エアーAaと、形状形成ノズル323からの形状形成エアーAbが同時に吹き付けられる。またサイドエアーノズル370からサイドエアーAcが吹き付けられることで、準備された供給台136上の最上部のプリプレグ1A、1B、1Cを浮上させる。これにより、最上部のプリプレグ1A、1B、1C同士の接触面積が変えられる。同時に、浮上しているプリプレグを保持する保持工程(図9のステップS3)が開始され、搬送ベルト161によるエアー吸引が開始する。それにより最上位のプリプレグ1Aが浮上し、図10(b)に示すように搬送ベルト161に最上位のプリプレグ1Aが吸着保持される。
尚、図10(b)において、エアーチャンバ320や搬送ベルト161の符号に括弧書きで付した(AD)は、エアーチャンバ320による吹き付け駆動状態、搬送ベルト161の吸引駆動状態にあることを表している。また、搬送ベルト161の符号に付した(ST)は、搬送ベルト161が停止状態にあることを表している。
【0029】
上記のとおり、実施形態例では、浮上ノズル322からの浮上エアーAaと、形状形成ノズル323からの形状形成エアーAbを同時に噴射し、プリプレグ束1に均一に風圧をかけることで、過浮上や挙動の乱れを抑制して、吹き付け初めの重送を防止している。
図9のステップS4に示す「サバキ工程」は、搬送ベルト161が保持したプリプレグをさばく工程であり、サイドエアーノズル370を含むサバキ用送風手段によって行われる。
【0030】
(2)次いで、図10(c)に示すように、搬送ベルト161、上記吸引装置の駆動が開始され、搬送ベルト161により保持されたプリプレグ1Aを搬送する搬送工程が行われる(図9のステップS5)。この搬送工程の直前において、搬送ベルト161によって保持搬送されてきたプリプレグの重送の有無が重送検知センサ5で検知される。
尚、図10(c)において、搬送ベルト161の符号に括弧書きで付した(DR)は回転搬送駆動状態にあることを表している。
【0031】
(3)次いで、図11(a)に示すように、プリプレグ1Aが給送センサ179に到達後、搬送ベルト161の回転搬送駆動を停止する。上記吸引装置は搬送ベルト161が停止した状態のまま、プリプレグ1Aの搬送を継続する。
(4)プリプレグ1Aが搬送ベルト161の保持領域を抜けた直後、図11(b)に示すように、次のプリプレグ1Aがエアー吹き付けにより浮上し、搬送ベルト161に保持される。
(5)設定したプリプレグ給送間隔に応じて、搬送ベルト161の駆動を再開し、プリプレグ1Aの給送を行う。
(6)以降、上述の図10(b)〜図11(b)の繰り返しにより、プリプレグが順次搬送される。
【0032】
前記のプリプレグ給送動作ではエアーチャンバ320、サバキ用送風手段、吸引ブロア390のエアーの風量に関しては記載を省略した。ここで、エアーの風量をある値で固定している場合、積載したプリプレグの厚さや重さやサイズによってプリプレグの浮上量やサバキ状態は異なることとなる。
例えばプリプレグの浮上量が少なければ不供給(不給送)に至ってしまうことになり、逆にプリプレグが浮上しすぎの状態であればプリプレグが密着してしまうこととなり、重送に至ってしまう。また吸引ブロア390の力が小さければプリプレグをうまく搬送できず、これも不供給となってしまう。
【0033】
そのため、適正にプリプレグ給送を行うため、積載したプリプレグに合わせた風量を予め決めておき、ユーザや操作者はプリプレグ給送を行いたいプリプレグを選んだ場合は自動的にその風量になるようにしている。そして風量はブロアのデューティの値によって調整している。
【0034】
以上説明したとおり、実施形態例の下記する構成により下記効果を奏する。実施形態例では、プリプレグ束1などのプリプレグを積層状態で準備するステップS1などの準備工程と、準備されたプリプレグを浮上させるステップS2などの浮上工程と、浮上しているプリプレグを保持するステップS3などのプリプレグ保持工程と、を有するプリプレグ分離方法に係る構成であった。
かかる構成により、実施形態例によれば、プリプレグの分離を容易に行えるプリプレグ分離方法を提供することができる、という効果を奏する。
【0035】
また、実施形態例では、浮上工程では、準備されたプリプレグに気体を吹き付けてプリプレグを浮上させる構成であった。
また、実施形態例では、準備されたプリプレグの端部に対して気体を吹き付けてプリプレグを浮上させる構成であった。
また、実施形態例では、浮上工程により浮上した後のプリプレグは、プリプレグの端部が保持工程により保持されたプリプレグ及び積層状態のプリプレグから離れる方向の形状である構成であった。
【0036】
また、実施形態例では、プリプレグの端部が離れる方向の形状は、上方が凸になっている構成であった。
また、実施形態例では、浮上工程では、準備されたプリプレグ同士の接触面積を変える構成であった。
また、実施形態例では、保持工程では、浮上したプリプレグを負圧により吸着して保持する構成であった。
かかる構成により、実施形態例によれば、プリプレグの分離を容易に、且つ確実に行えるプリプレグ分離方法を提供することができる、という効果を奏する。
【0037】
また、実施形態例では、上記何れか1つの構成におけるプリプレグ分離方法を用いたプリプレグ搬送方法であって、保持したプリプレグを搬送するステップS5などの搬送工程を有する構成であった。
かかる構成により、実施形態例によれば、分離されたプリプレグを確実に搬送できるプリプレグ搬送方法を提供することができる、という効果を奏する。
【0038】
また、実施形態例では、プリプレグ束1などのプリプレグを積層状態で準備する供給台136などの準備手段と、準備されたプリプレグを浮上させるエアー噴射ノズル装置300などの浮上手段と、浮上したプリプレグを保持する搬送ベルト161などの保持手段と、を有する浮上保持搬送装置160などのプリプレグ分離装置に係る構成であった。
かかる構成により、実施形態例によれば、プリプレグの分離を容易に行えるプリプレグ分離装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0039】
また、実施形態例では、上記構成に係るプリプレグ分離装置を備え、保持したプリプレグを搬送する搬送ベルト161や吸引装置などの搬送手段を有するプリプレグ搬送装置に係る構成であった。
かかる構成により、実施形態例によれば、分離されたプリプレグを確実に搬送できるプリプレグ搬送装置を提供することができる、という効果を奏する。
【0040】
加えて、実施形態例では、図9のステップS4に係るプリプレグをさばくサバキ工程を有する。このサバキ工程では、図5に示したように、搬送ベルト161で吸着保持したプリプレグ1Aをさばくように、サイドフェンス137、137に設けられたサイドエアーノズル370からサイドエアーAcが噴射される。
かかる構成により、重送や不供給等の不具合を生じることなく、プリプレグの分離を容易に、且つ確実に行えるプリプレグ分離方法及びプリプレグ分離を提供することができる、という効果を奏する。
【0041】
また、実施形態例のプリプレグ搬送装置130では、上述したようにプリプレグの分離・サバキを効果的に行うことができる。即ち、図3図10等に示したように形状形成ノズル323では、搬送ベルト161に向けて形状形成エアーAbを吹き付け、搬送ベルト161で反射したエアーが押し下げるように最上位のプリプレグ1Aに密着している2枚目以降のプリプレグ1B、1C等の端部の形状を、最上位のプリプレグ1Aと離れる方向の形状に形成する。
この際、搬送中の1枚目のプリプレグ1Aに対して、浮上した2枚目以降のプリプレグ1B、1C等が過浮上したり挙動を乱したりして接触すると、連れ送り重送になる場合がある。そこで、浮上エアーAaと形状形成エアーAbを同時に停止することで、浮上している2枚目以下のプリプレグ1B、1C等を落下させて最上位のプリプレグ1Aと接触しないようにして重送を防止する。さらに、2枚目のプリプレグ1Bの搬送を行うため、浮上エアーAaと形状形成エアーAbを再度、噴射している。
【0042】
さらに、実施形態例に係るプリプレグ分離装置では、製造時において、考え得る多数の運転モードとして「標準」、「重送改善」、「不供給改善」等を設定し、これらのモードにおける各ブロアの運転状態は、予め実験等により定めておく。そして、ユーザがこれらのモードから適切なモードを選択することにより、複雑な調整を行うことなく浮上ブロア330、形状形成ブロア340、サイドブロア380、吸引ブロア390の流量を適正に調整できる。これにより、プリプレグの状態に合わせて手動で多くの設定を行う必要がなくなり、良好な供給搬送を行うことができる、という効果を奏する。
【0043】
しかしながら、プリプレグは、真空パック等によって封止されている場合もあり、例えばこのような場合、開封後も積層されたプリプレグ同士が圧縮されて密着した状態にあり、1枚1枚に分離し難い場合もある。このような状態であると2枚以上重なる所謂重送が生じる場合もある。そこで、以下に説明する実施形態では、プリプレグの重送を防止するために、保持手段を振動させる構成を備えたプリプレグ分離装置及びこれを備えるプリプレグ搬送装置を創作した。
【0044】
(実施形態1)
図12図14を用いて、本発明の実施形態1に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置について説明する。図12は実施形態1に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置における加振機の配置及びプリプレグの分離を模式的に示す一部断面側面図である。図13は、実施形態1のプリプレグ搬送装置の制御系を示すブロック図である。図14は、実施形態1のプリプレグ搬送装置により実行される主な動作順序を示すフローチャートである。
【0045】
実施形態1は、図1図11に示した実施形態例のプリプレグ搬送装置130に以下の構成を付加したものである。即ち、実施形態1は、図12に示すように保持手段を振動させる振動手段としての加振機10を付加するとともに、図13に示す本体制御手段500を付加したものである。このような構成を備えた実施形態1を、浮上保持搬送装置160Aを備えるプリプレグ搬送装置100Aとする。
【0046】
加振機10は、浮上保持搬送装置160Aの装置本体側に固定されている。加振機10は、例えばカムとこれを回転駆動するモータと、カムの回転によって所定方向(本実施形態では矢印で示す上下方向Z)に伸縮振動する振動腕10aを有する。加振機10及びその配置位置は、同図において模式的に示しており、加振機10の作動(オン)によって振動腕10aが振動し、これにより搬送ベルト161が上下方向Zに振動することとなる。
同図に示す加振機10の配置状態は、あくまでもイメージとして分かるように模式的に示した一例である。実際には、搬送ベルト161が所定の張力を付与されていることなどを考慮して、例えば振動腕10aが別の振動伝達部材を介して搬送ベルト161に振動を伝えるように設計される。この場合、前記別の振動伝達部材は、ばね等を介して装置本体側に支持される。
【0047】
加振機10は、カムとモータとの組み合わせ構成に限らず、ソレノイドなどで振動させるものでもよい。振動手段としての加振機10により振動を加える部位は、搬送ベルト161に限らず、搬送ベルト161を支持している装置本体側を振動させてもよい。つまり、直接的に又は間接的に搬送ベルト161を振動させればよい。
尚、振動手段の選定やその最適な配置部位、縦振動を搬送ベルト161に伝える具体的構成などは、実験などの結果も考慮して詳細が決定される(後述の実施形態2の横振動でも同じ)。
【0048】
加振機10の振動によって搬送ベルト161(あるいは装置本体)が振動する方向は、搬送ベルト161に吸着保持されているプリプレグ1Aとプリプレグ1Bとが重なり合っている上下方向Zに振動する縦振動である。この縦振動は、加振機10による振動方向に関してプリプレグの積層方向に平行な方向の振動である。搬送ベルト161の縦振動によってプリプレグ1Aとプリプレグ1Bとの間に隙間を生じさせ、形状形成エアーAbやサイドエアーを入り込みやすくする。これにより、搬送ベルト161に吸着保持されているプリプレグ1Aとプリプレグ1Bとを確実に分離させ、重送を防止することができる。
【0049】
図13に示すように、本体制御手段500は、後述する図26の流量制御手段530としての機能を有するとともに、重送検知センサ5からの信号に基づいて、加振機10のモータを制御する機能を有する。換言すれば、加振機10は、重送検知センサ5からの重送に係る信号に基づいて作動する。
【0050】
加振機10の振動タイミングについて説明する。振動手段の起動(オン)・停止(オフ)タイミングは、プリプレグ自体が有するガラス繊維などによる露出部分及びその粉が振動することにより、プリプレグ同士あるいは搬送ベルト161等を損傷させる副作用の懸念があるので、適切に設定する必要がある。また、搬送ベルト161に保持されたプリプレグに対して、振動を加えることにより予期せぬスキューや位置ずれを起こす可能性もあるので、適切に設定する必要がある。具体的には、加振機10は、少なくとも1枚のプリプレグが搬送ベルト161に保持された後で作動するように設定することが肝要である。
【0051】
図12図14を用いて、実施形態1の動作を説明する。実施形態1の動作は、ステップS31から始まる。先ず、浮上ブロア330、形状形成ブロア340がオン、またサイドブロワ380がオンすることにより、図12に示すように、浮上エアーAa、形状形成エアーAb、またサイドエアーAcが供給台136上の最上部のプリプレグに吹き付けられる。これにより、供給台136上の最上部のプリプレグ1A、1B、1Cを浮上させる同時に、浮上しているプリプレグ1Aを保持する保持工程(ステップS32)が開始され、搬送ベルト161によるエアー吸引が開始する(ステップS32)。
【0052】
次いで、搬送ベルト161、吸引装置の駆動が開始され、搬送ベルト161により保持されたプリプレグ1Aを搬送する搬送工程が開始される(ステップS33)。この搬送工程開始と同時に、搬送ベルト161によって保持され搬送され始めているプリプレグの重送の有無が重送検知センサ5で検知される(ステップS34)。ここで、重送検知センサ5でプリプレグの重送の有無が検知されなければ、問題なく搬送工程が続行される(ステップS35)。
【0053】
一方、ステップS34において、プリプレグの重送の有無が重送検知センサ5でオン検知された場合には、加振機10のモータが作動することにより、搬送ベルト161(あるいは装置本体)に対して縦振動が加えられる(ステップS36)。そして、搬送ベルト161の縦振動によってプリプレグの重送が解消されたことが重送検知センサ5でオフ検知されたとき(ステップS37)、振動が停止され(ステップS38)、搬送工程が続行される(ステップS35)。
また、ステップS37において、搬送ベルト161の縦振動を行ったのにも拘わらずプリプレグの重送がオン検知されたときには、再び、搬送ベルト161に対して縦振動が加えられる(ステップS36)。尚、このように搬送ベルト161の縦振動を何回も行うと、上述したような副作用(プリプレグ同士あるいは搬送ベルト161等を傷付ける)が発生する場合があるので、プリプレグの種別ごとに、搬送ベルト161に対して縦振動を加える回数を予め制限するよう設定しておく。そして、その設定回数を超えた場合には、プリプレグ搬送装置100Aの動作を強制的に停止させるとともに、操作表示部600にその旨の表示をさせるようにすることが望ましい。
【0054】
実施形態1の動作に限らず、重送検知センサ5によるプリプレグの重送の有無に関わらず、少なくとも1枚のプリプレグが搬送ベルト161に保持された後で、所定の時間だけ振動手段が作動するように設定してもよい。
搬送ベルト161又は装置本体を縦方向でもある上下方向Zに縦振動させる振動手段は、加振機10等に限らず、例えば、搬送ベルト161に吸着保持させるために吸引力を生じさせる図13の吸引ブロア390のオン・オフの切替を素早く行うことでも可能である。吸引ブロア390のオン・オフの切替スイッチングを素早く行うことにより、吸引エアーのオン・オフによるエアー脈動が生じることで、あたかも搬送ベルト161又は装置本体を縦方向に振動させる縦振動と同様に振る舞うようにすることも可能である。
他の例として、エアー噴射ノズル装置300の内部にあるシャッタ部材をチャンバに設置することによって吸引エアーを脈動させてもよい。
【0055】
以上説明したとおり、実施形態1の下記する技術構成により下記効果を奏する。本実施形態1は、積層されたプリプレグから少なくとも1枚のプリプレグを保持し分離させる搬送ベルト161などの保持手段と、プリプレグを保持する方向に保持手段を縦振動させる加振機10などの振動手段と、を有するプリプレグ分離装置に係る第1の技術構成であった。
かかる第1の技術構成により、実施形態1によれば、重送を防止することが可能なプリプレグ分離装置を提供することができる。
【0056】
実施形態1は、第1の技術構成において、振動手段は、少なくとも1枚のプリプレグが保持手段に保持された後で作動する第2の技術構成であった。
かかる第2の技術構成により、実施形態1によれば、保持手段に保持されている1枚目のプリプレグと、この1枚目のプリプレグに重なり合っている2枚目のプリプレグとの分離精度を高めることができる。
【0057】
実施形態1は、第2の技術構成において、2枚以上のプリプレグが保持手段に保持された状態を検知する重送検知センサ5などの検知手段を有し、振動手段は、検知手段からの信号に基づいて作動する第3の技術構成であった。
かかる第3の技術構成により、実施形態1によれば、保持手段に保持された後で必ず振動させる場合と比べ、プリプレグ同士あるいは保持手段等を損傷させたり、プリプレグのスキューや位置ずれを起こしたりすることを防止できる。
【0058】
実施形態1は、第1ないし第3の技術構成において、振動手段による振動の回数に関して制限する設定が可能な第4の技術構成であった。
かかる第4の技術構成により、実施形態1によれば、プリプレグ同士あるいは保持手段等を傷付けることを未然に防止できる。
【0059】
実施形態1は、第1ないし第4の何れか1つの技術構成に係るプリプレグ分離装置を備え、プリプレグ分離装置によって分離されたプリプレグを搬送するプリプレグ搬送手段100Aなどの搬送手段を有するプリプレグ搬送装置に係る第5の技術構成であった。
かかる第5の技術構成により、実施形態1によれば、1枚に分離されたプリプレグを搬送することが可能なプリプレグ搬送装置を提供することができる。
【0060】
(実施形態2)
図15を用いて、本発明の実施形態2に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置について、実施形態1と相違する点を中心に説明する。図15は実施形態2に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置を模式的に示す平面図である。
【0061】
実施形態2は、図12図14に示した実施形態1と比較して、プリプレグ搬送装置100Aに代えて、図15に示すプリプレグ搬送装置100Bを用いる点が主に相違する。プリプレグ搬送装置100Bは、プリプレグ搬送装置100Aと比較して、浮上保持搬送装置160Aに代えて、浮上保持搬送装置160Bを用いる点が相違する。
図15に示すように、実施形態2の浮上保持搬送装置160Bは、実施形態1の浮上保持搬送装置160Aと比較して、加振機10に代えて、加振機20を用いる点が相違する。加振機20は、プリプレグを保持する方向と直交する幅方向Yに保持手段を横振動させる機能を有する。
【0062】
加振機20は、浮上保持搬送装置160Bの装置本体側に固定されている。加振機20の構成は、実施形態1と同様であるが、配置位置が相違する。加振機20及びその配置位置は、同図において模式的に示しており、加振機20の作動(オン)によって振動腕20aが振動し、これにより搬送ベルト161が幅方向Yに振動することとなる。
同図に示す加振機20の配置及び構成は、あくまでも模式的な一例であり、実際には搬送ベルト161の側端部に振動を伝えることなどを考慮して、例えば振動腕20aが別の振動伝達部材を介して搬送ベルト161の側端部に振動を伝えるように設計される。この場合、前記別の振動伝達部材は、ばね等を介して装置本体側に支持される。
尚、加振機20は、カムとモータとの組み合わせ構成に限らず、ソレノイドなどで振動させるものでもよい。加振機20により振動を加える部位は、搬送ベルト161の側端部に限らず、搬送ベルト161を支持している装置本体側の幅方向Yの部位を振動させてもよい。
【0063】
加振機20の振動によって搬送ベルト161(あるいは装置本体)が振動する方向は、搬送ベルト161に吸着保持されているプリプレグ1Aとプリプレグ1Bとが重なり合っている幅方向Yに振動する横振動である。搬送ベルト161の横振動によってプリプレグ1Aの層とプリプレグ1Bの層との間に層ずれを生じさせ、形状形成エアーAbやサイドエアーを入り込みやすくする。これにより、搬送ベルト161に吸着保持されているプリプレグ1Aとプリプレグ1Bとを確実に分離させ、重送を防止することができる。
【0064】
実施形態2の加振機20の振動タイミング及び動作は、図12図14の実施形態1の説明において、「加振機10」を「加振機20」に、「縦振動」を「横振動」にそれぞれ読み替えれば、当業者であれば容易に理解して実施できるから説明を省略する。
但し、搬送ベルト161又は装置本体を幅方向Yに横振動させる振動手段は、図13の吸引ブロア390のオン・オフの切替を素早く行うだけでは簡単に実現できない。
【0065】
以上説明したとおり、実施形態2の第1の技術構成は、上記実施形態1が備える第1の技術構成において、「プリプレグを保持する方向に保持手段を縦振動させる」を「プリプレグを保持する方向と直交する幅方向に保持手段を横振動させる」に読み替える。そして、「加振機10」を「加振機20」に読み替れば、当業者であれば容易に理解して実施できるから説明を省略する(実施形態2の第2の技術構成以降も同じ)。
【0066】
尚、実施形態1や2に限らず、振動手段による振動方向に関してプリプレグの積層方向に平行な方向(縦振動)又は積層方向に直交する方向(横振動)を選択できるようにしてもよい。
【0067】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係るプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置について、実施形態1のプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置100Aと相違する点を中心に説明する。
図16は実施形態3で用いる浮上保持搬送装置を右斜め上方から見た斜視図、図17は同浮上保持搬送装置の一部断面側面図、図18は同浮上保持搬送装置を右斜め下方から見た斜視図である。図19は同浮上保持搬送装置を下側から見た斜視図である。図20は同浮上保持搬送装置の吸引エアーの流れを説明する斜視図である。図21は同浮上保持搬送装置の複数の搬送ベルトのベルト保持エリアを説明する斜視図である。図22はプリプレグ分離装置でプリプレグをさばいて分離している状態を示す正面図である。図23(a)は搬送ベルトにプリプレグが保持されている状態を、図23(b)は複数プリプレグ間に各エアーが噴出された際の複数プリプレグの変形状態をそれぞれ示す斜視図である。各図において適宜示す実線矢印は、エアーの流れ方向を表わしている。
【0068】
実施形態3は、図12図14に示した実施形態1と比較して、図12に示したプリプレグ搬送装置100Aに代えて、図16等に示すプリプレグ搬送装置100Cを用いる点が主に相違する。プリプレグ搬送装置100Cは、プリプレグ搬送装置100Aと比較して、浮上保持搬送装置160Aに代えて、浮上保持搬送装置160Cを用いる点が相違する。
【0069】
浮上保持搬送装置160Cは、浮上保持搬送装置160Aと比較して、図16図18に示すように、搬送ベルト161に代えて、3分割された同じ周長で共通の搬送ベルト161a、161b、161cからなる保持ユニット165を用いる点が主に相違する。
保持ユニット165を構成する搬送ベルト161aと搬送ベルト161bとは、中央の搬送ベルト161cを挟んだ状態で幅方向Yの両外側に配置されている。搬送ベルト161cは、駆動ローラ162a及び駆動ローラ162bよりも径の小さなフリーローラ162cと、従動ローラ163a及び従動ローラ163bと同径の従動ローラ163cと、テンションローラ167との間に掛け渡されている。テンションローラ167は、搬送方向Xの下流側寄りの位置における搬送ベルト161a、161bの上部面よりもさらに上方に配置され、軸167sを介して本体フレームに回転自在に支持されている。搬送ベルト161aは、駆動ローラ162aと従動ローラ163aとの間に掛け渡されている。搬送ベルト161bは、駆動ローラ162bと従動ローラ163bとの間に掛け渡されている。
【0070】
駆動ローラ162a、162bとフリーローラ162cとは、それぞれ同じ駆動軸162s上に配置されているが、フリーローラ162cだけは、駆動軸162sに対して所定の隙間をもって自由回転可能に案内支持されている。各駆動ローラ162a、162bは、それぞれ駆動軸162sと一体的に形成されている。各従動ローラ163a、163b、163cは、それぞれ同じ従動軸163sと一体的に形成され、従動軸163s上に配置されている。駆動軸162s及び従動軸163sは、本体フレーム101に軸受を介して回転自在に支持されている。
上記のとおり、図16図18に示すように、幅方向Yの中央に位置する搬送ベルト161cと、搬送ベルト161cの両外側に配置されている搬送ベルト161a及び搬送ベルト161bとの各ベルト保持面には、上下方向Zに段差Dが形成されている。段差Dが形成された搬送ベルト161cと搬送ベルト161a及び搬送ベルト161bとを構成する保持ユニット165は、積層状態のプリプレグの幅よりも、プリプレグの幅が狭くなるようプリプレグを保持する保持部として機能する。
【0071】
駆動軸162sは、回転伝達手段である歯付きプーリ及び歯付きベルトを介して搬送ベルト駆動手段である駆動モータ168に連結されている。この駆動モータ168によって駆動ローラ162a、162bを介して搬送ベルト161a及び搬送ベルト161bが回転駆動される。搬送ベルト161cは、搬送ベルト161a及び搬送ベルト161bが回転駆動されるのに伴って従動回転する従動ローラ163cの従動回転力によって、回転駆動される。これにより、搬送ベルト161a、161b、161cは、図16に矢印で示す同じ回転方向に同一の周速度で走行回転することとなる。
【0072】
図18図21に示すように、搬送ベルト161a、161b、161cには、多数の吸引孔164が形成されていて、プリプレグを保持できるようになっている。図20に示すように、吸引ブロア390が駆動されることにより吸引エアーAdの流れが生じ、吸引ブロア390に接続された吸引ダクト311、吸引ダクト311に接続された負圧エアーチャンバ310が負圧になる。これにより、搬送ベルト161a、161b、161cの吸引孔164から吸引エアーAdが吸い込まれることで、プリプレグが各搬送ベルト161a、161b、161cのベルト保持面に吸着保持される。
図21に示すように、浮上保持搬送装置160Aの幅方向Yにおいて、プリプレグが保持される透明で示す保持エリア166が形成されている。保持エリア166は、搬送ベルト161a、161b、161cに多数の吸引孔164が形成されている領域である。
【0073】
ここで、上記実施形態例の(2)で説明した浮上工程を補説する。図5に示したように、エアー噴射ノズル装置300の浮上ノズルから浮上エアーAaが、形状形成ノズルから形状形成エアーAbが同時に吹き付けられる。また同時に、サイドエアーノズルからサイドエアーAcが吹き付けられると、プリプレグは図22図23(a)、図23(b)のように変形する。分割された中央の搬送ベルト161cのベルト保持面からの吸引エアーAdにより、プリプレグ1Aの先端中央部1Acのみが上に凸の形状(倒立したU形状)に湾曲変形する。図23(a)には、プリプレグ1Aの先端中央部1Acが上に凸の形状で中央段差部の搬送ベルト161cに吸着保持されている状態が示されている。
中央両側の搬送ベルト161a、161bに対応したプリプレグ1Aの中央両側1Aa、1Abでは、ベルト保持面の段差Dに沿ってプリプレグ1Aが吸着保持される。そのため、プリプレグ1Aの先端中央部1Acのみが上に凸の形状でベルト保持面に保持され、さらにベルト保持面から離れた部分の先端部両側1Aa、1Abは、プリプレグ1Aの端部に向ってタレ下がった形状となる。
【0074】
一方、1枚目のプリプレグ1Aは、プリプレグ1Aの後端部1Arに向かって浮上保持搬送装置160Aによる保持面がなくなることで、プリプレグ1Aはベルト保持面に対して略水平となる。さらに、プリプレグ1Aはプリプレグ後端に向い、サイドエアーAcの流入により浮上形態を維持することで、プリプレグ1Aの中央部が膨らみ、プリプレグ1Aの後端部から見ると、上に凸のアーチ形状(半円形状)に変化する。
【0075】
2枚目以降のプリプレグ1B,1Cは、図22図23(b)に示すように、プリプレグの先端中央部が形状形成エアーAbにより押し下げられ、プリプレグ積載方向に対し、下側に凹の状態で変形される。プリプレグ1B,1Cのベルト保持面から離れた部分は、浮上エアーAaによりプリプレグ積載方向に対し、上側にプリプレグ1B,1Cが持ち上げられる。また、プリプレグ1B,1Cの後端部に向かっては、浮上エアーAa、形状形成エアーAbが作用しなくなると、プリプレグ1B,1Cは略水平状態に変化する。さらに、プリプレグ1B,1Cの後端に向うと、サイドエアーAcが作用することで、プリプレグ1B,1Cが浮上し、1枚目のプリプレグ1Aと同様に半円形状にプリプレグが変形する。2枚目以降のプリプレグ1B,1Cにおいて、サイドエアーAcが作用しなくなるとプリプレグ1B,1Cは浮上できなくなり、積載初期と同様の状態で保持される。
【0076】
以上の浮上工程、保持工程及びサバキ工程において、分離状態として、1枚目のプリプレグ1Aと2枚目のプリプレグ1Bとの形状差によりプリプレグ先端部は、形状形成エアーAbが作用しやすいように口を開いた状態となる。この状態により、1枚目のプリプレグ1Aと2枚目のプリプレグ1Bとの形状差が発生し、ベルト保持方向にプリプレグが変形することでプリプレグ同士が確実に分離される。従って、図1図11の実施形態例と比較して、プリプレグの重送が確実に防止できる。
一方、1枚目のプリプレグ1Aの搬送時では、ベルト保持力により、1枚目のプリプレグ1Aの保持形状が維持される搬送とともに、1枚目のプリプレグ1Aの搬送形状が時々刻々と変化し、常に1枚目のプリプレグ1Aにストレスをかけ続けることでプリプレグを分離しやすい状況となる。浮上工程により浮上した後のプリプレグは、端部が保持工程により保持されたプリプレグ及び積層状態のプリプレグから離れる方向の形状であった。
【0077】
以上説明した実施形態3の浮上保持搬送装置160Cを備えたプリプレグ搬送装置100Cにおいても、実施形態1の縦振動や実施形態2の横振動を与える振動手段(例えば加振機10や20等)を適切な部位に配置する。これにより、実施形態1や2と同様の効果を奏することが可能である。即ち、振動手段(例えば加振機10や20等)は、保持ユニット165を構成している搬送ベルト161a、搬送ベルト161b及び搬送ベルト161cのうちの少なくとも何れか1つ、又は保持ユニット165の本体フレーム101に縦振動や、横振動を与えるように配置すればよい。
【0078】
また、実施形態1や2の浮上保持搬送装置160A、160Bでは、搬送ベルト161の吸引エアー吸着力の強さが一定となるように、図13に示した吸引ブロア390が制御されている。そこで、実施形態3では、搬送ベルト161a、搬送ベルト161b及び搬送ベルト161cの少なくとも1つに、縦振動や横振動を与えない最初の保持工程の時には吸引ブロア390の風量を弱めに設定しておく。そして、縦振動や横振動を与えるときのみ、吸引ブロア390の風量を強めに設定し、振動終了後に元の風量の設定値に戻すような2段階の風量設定にしてもよい。これにより、プリプレグの剛性が比較的大きいために、段差Dがある搬送ベルト161cによってプリプレグの段差Dへの引き込みが十分できない場合であっても、縦振動や横振動を加える際の1枚目と2枚目のプリプレグの分離精度を高めることができる。
【0079】
(実施形態4)
本発明の実施形態4に係る複数の保持ユニットを備えたプリプレグ搬送装置100Dについて、図16図23に示した実施形態3のプリプレグ搬送装置100Cと相違する点を中心に説明する。図24(a)は実施形態4に係る複数の保持ユニットを備えたプリプレグ搬送装置の正面図、図24(b)は各保持ユニットの斜視図である。図25はプリプレグ搬送装置において各種エアーの作用を説明する模式図である。各図において適宜示す白抜き矢印や実線矢印は、エアーの流れ方向を表わしている。
図24に示すように、プリプレグ搬送装置100Dは、実施形態3のプリプレグ搬送装置100Cと比較して、実施形態3の浮上保持搬送装置160Cをユニット化した吸着保持ユニット3A、3B、3Cを幅方向Yに3つ並設した点が主に相違する。即ち、プリプレグ搬送装置100Dでは、吸着保持ユニット3A、3B、3Cを有することで、大サイズ(例えば横サイズ700mm×縦サイズ700mm)のプリプレグを分離して搬送することが可能に構成されている。図24(a)では、図5図7に示したエアー噴射ノズル装置300等を取り外した状態を示しており、エアー噴射ノズル装置300は浮上保持搬送装置160C毎に配置されている。
【0080】
実施形態4においても、実施形態1の縦振動や実施形態2の横振動を与える振動手段(例えば加振機10や20等)を適切な部位に配置することにより、実施形態1や2と同様の効果を奏することが可能である。即ち、振動手段(例えば加振機10や20等)によって縦振動や横振動(以下、単に振動ともいう)を与える部位としては、種々のパターンを採ることが可能である。
例えば、各吸着保持ユニット3A、3B、3Cの保持ユニット165において、段差を形成している3箇所の搬送ベルト161cを振動させることにより、1枚目と2枚目のプリプレグの分離精度を高めてもよい。吸着保持ユニット3A、3B、3Cの搬送ベルト161a、搬送ベルト161b及び搬送ベルト161cのうちの少なくとも何れか1つ、又は吸着保持ユニット3A、3B、3Cの装置本体であるユニットフレームのうちの少なくとも何れか1つを振動させてもよい。
【0081】
さらに具体的には、吸着保持ユニット3Aの搬送ベルト161a、搬送ベルト161b、搬送ベルト161cを一体的に振動させてもよい。吸着保持ユニット3Bの搬送ベルト161a、搬送ベルト161b、搬送ベルト161cを一体的に振動させてもよいし、また吸着保持ユニット3Cの搬送ベルト161a、搬送ベルト161b、搬送ベルト161cを一体的に振動させてもよい
【0082】
さらに具体的には、吸着保持ユニット3Aの搬送ベルト161a、搬送ベルト161b、搬送ベルト161cに渡り振動手段の振動を伝達可能な振動伝達部材を備え、この振動伝達部材を振動させてもよい。さらに独立して吸着保持ユニット3Aの搬送ベルト161cを振動させてもよい。この際、振動伝達部材を振動させる振動手段と吸着保持ユニット3Aの搬送ベルト161cを振動させる振動手段は別である。
吸着保持ユニット3Bの搬送ベルト161a、搬送ベルト161b、搬送ベルト161cに渡り振動手段の振動を伝達可能な振動伝達部材を備え、この振動伝達部材を振動させてもよい。さらに独立して吸着保持ユニット3Bの搬送ベルト161cを振動させてもよい。この際、振動伝達部材を振動させる振動手段と吸着保持ユニット3Bの搬送ベルト161cを振動させる振動手段は別である。
吸着保持ユニット3Cの搬送ベルト161a、搬送ベルト161b、搬送ベルト161cに渡り振動手段の振動を伝達可能な振動伝達部材を備え、この振動伝達部材を振動させてもよい。さらに独立して吸着保持ユニット3Cの搬送ベルト161cを振動させてもよい。この際、振動伝達部材を振動させる振動手段と吸着保持ユニット3Cの搬送ベルト161cを振動させる振動手段は別である。
【0083】
図25を用いて、プリプレグ搬送装置100Dの要部の動作を説明する。プリプレグ搬送装置100Dに設けられている制御部からプリプレグ給送指令が来ると、図24において図示を省略した幅方向Yの3箇所に配置されたエアー噴射ノズル装置の浮上ブロア、形状形成ブロア、サイドブロアを含むサバキ用送風手段が作動する。これにより、プリプレグ各端部へのエアーを吹き付ける浮上工程が開始される。浮上ノズルからの浮上エアーAaと、形状形成ノズルからの形状形成エアーAbが同時に吹き付けられ、またサイドエアーノズルからサイドエアーが吹き付けられることで、準備された供給台136上の最上部のプリプレグ1A、1B、1Cを浮上させる。これにより、最上部のプリプレグ1A、1B、1C同士の接触面積が変えられる。
【0084】
同時に、浮上しているプリプレグを保持する保持工程が開始され、3箇所全ての吸着保持ユニット3A〜3Cにおける吸引ブロア390が作動することにより、吸引エアーAdが生成される。これにより、吸着保持ユニット3A〜3Cの搬送ベルト161a、161b、161cによるエアー吸引が開始する。これにより、最上位のプリプレグ1Aが浮上し、図25に示すように最上位のプリプレグ1Aが3箇所の搬送ベルト161a、161b、161cに吸着保持される。
【0085】
次いで、3箇所の搬送ベルト161a、161b、161cの駆動が開始され、3箇所の搬送ベルト161a、161b、161cにより保持されたプリプレグ1Aを搬送する搬送工程が開始される。この搬送工程開始と同時に、3箇所の搬送ベルト161a、161b、161cによって保持され搬送され始めているプリプレグの重送の有無が重送検知センサ5(図10(b)〜図10(c)参照)で検知される。ここで、プリプレグの重送の有無が重送検知センサ5でオン検知された場合には、振動手段(加振機10や20など)が作動する。そして、吸着保持ユニット3A、3B、3Cの搬送ベルト161a、搬送ベルト161b及び搬送ベルト161cの少なくとも何れか1つ、又は吸着保持ユニット3A、3B、3Cの装置本体であるユニットフレームの少なくとも何れか1つに対して振動が加えられる。そして、上記振動によってプリプレグの重送が解消されたことが重送検知センサ5でオフ検知されたとき、振動が停止され、搬送工程が続行される。
【0086】
上述した実施形態例では、保持ユニット165を構成する搬送ベルト161a、搬送ベルト161b及び搬送ベルト161cを共通部品化したものであったが、その利点を望まなくてもよいのであれば、長さだけを共通化した異なる幅のものでもよい。
【0087】
実施形態4の吸着保持ユニット3A、3B、3Cの配置構成は、種々のパターンが考えられる。吸着保持ユニット3A、3B、3Cを共通化した部品構成にすれば、部品点数及びコストの低減が可能となる。また、プリプレグのサイズに応じて、吸着保持ユニット3A、3B、3Cを着脱可能に構成したり、移動可能に構成したり、さらには搬送方向の下流側に増設したりしてもよい。また、プリプレグのサイズに応じて、吸着保持ユニット3A、3B、3Cを選択的に駆動するようにしてもよい。さらには、浮上保持搬送装置160Cをユニット化せずに、そのまま取り付け固定した状態で、プリプレグのサイズに応じて、浮上保持搬送装置160Cを選択的に駆動するようにしてもよい。
【0088】
上述した実施形態例では、保持ユニット165を構成する搬送ベルト161a及び搬送ベルト161bに対して搬送ベルト161cが上下方向Zに特有の段差を備える構成であった。その利点を望まなくてもよいのであれば、プリプレグのサイズに応じて、上下方向Zに段差がなく、且つ幅方向に複数の搬送ベルトなどの保持手段を有するものであってもよい。
【0089】
以上説明したとおり、実施形態4は、保持ユニット165を構成する搬送ベルト161a、搬送ベルト161b及び搬送ベルト161cなどの保持手段は、プリプレグを保持する方向と直交する幅方向Yなどの方向に複数有し、複数の保持手段の少なくとも1つが、加振機10などの振動手段によって振動される技術構成であった。
かかる技術構成により、実施形態4によれば、実施形態1ないし3の何れか1つに記載した効果を、大サイズのプリプレグを用いて分離するプリプレグ分離装置、このプリプレグ分離装置を備えたプリプレグ搬送装置において奏する。
【0090】
(実施形態5)
実施形態5は、上記した実施形態1〜4と比較して、プリプレグを用いるのに代えて、電子回路基板材を用いる点が相違する。実施形態5の構成、動作及び効果は、上述した実施形態1〜4に記載した「プリプレグ」を、符号の説明欄を参照しながら「電子回路基板材」に読み替えれば、当業者であれば容易に理解できる点、また重複説明を避ける点からこれ以上の説明は省略する。
本発明の分離・搬送対象物である電子回路基板材は、薄板状の部材であり、公知の全てのプリプレグに対して銅箔等の金属箔やメッキ処理を施した電子回路基板材などを含む他、電子回路基板材の原材料としてプリプレグを用いないものも含む。
【0091】
上記実施形態例、実施形態1〜5に加えて、以下のブロアの風量調整・制御についての構成を更に備えてもよい。例えば、上記実施形態例のプリプレグ搬送装置130では、浮上ブロア330の吹出量、形状形成ブロア340の吹出量、サイドブロア380の吹出量、及び吸引ブロア390の吸引量を、流量制御手段により予め設定した複数の運転モードに基づいて制御する。運転モードとして、「通常モード」、プリプレグが複数枚送られるのを改善する「重送改善」モード、プリプレグが送られないのを改善する「不供給改善」モード等を設定できる。また、運転モードとしては「重送改善」、「不供給改善」だけでなく、「標準」、「重送改善:中」、「重送改善:強」、「不供給改善:中」、「不供給改善:強」等が必要に応じて設定できる。各モードにおける各ブロアの流量の設定値は、予め実験等で確認して定めておく。
【0092】
図26は、例えば実施形態例等のプリプレグ分離装置の制御系を示すブロック図である。浮上ブロア330、形状形成ブロア340、サイドブロア380及び吸引ブロア390は、流量制御手段530に接続されている。流量制御手段530は、各ブロアの駆動モータの回転数を制御して浮上ブロア330の吹出量、形状形成ブロア340の吹出量、サイドブロア380の吹出量、及び吸引ブロア390の吸引量、即ち各部ブロアの流量を調整する。
流量制御手段530は、モード設定部540に接続されており、流量制御手段530は、モード設定部540に予め設定された複数の運転モードを参照して一つの運転モードを選択して各ブロアの制御を行う。さらに、流量制御手段530は、図10のプリプレグ搬送装置130に設置されている操作表示部600に接続されており、プリプレグ搬送装置130を構成する上記各装置・各部の状態を表示する他、操作表示部600から運転モードの設定入力がなされる。
【0093】
モード設定部540には、各運転モードにおける各ブロアの流量データが格納されている。また、操作表示部600は、例えば液晶タッチパネルで構成された図10のプリプレグ搬送装置130の操作パネルである。この操作表示部600から運転モードの指定を行う。
【0094】
例えば実施形態例でのプリプレグ搬送装置では、浮上ブロア330、形状形成ブロア340、サイドブロア380、吸引ブロア390の流量は、プリプレグ搬送装置に設置したプリプレグ束1のプリプレグ種やプリプレグ厚、プリプレグサイズを含むプリプレグ情報から自動的に適切な風量が決定される。このようなプリプレグ搬送装置でジャムが発生したときにおける各ブロアの流量を調整する場合について説明する。図27は実施形態例等でのプリプレグ分離装置の制御を示す図、図28は実施形態例等でのプリプレグ分離装置におけるジャム発生時の処理を示すフローチャートである。
【0095】
図27に示すように、実施形態例等のプリプレグ分離装置での各ファンの流量は、プリプレグ種、プリプレグ厚、プリプレグサイズ等のプリプレグ情報(S10)に基づいて自動的に定められる(S11)。図27で示す例では、3種類の設定A、B、Cが設定されている。例えば、設定Aでは、浮上ブロア330の流量をA1%、形状形成ブロア340の流量をA2%、サイドブロア380の流量をA3%、吸引ブロア390の流量をA4%にする。ここで各設定における各ブロアの%の値は最大流量に対する割合を示している。例えば、プリプレグが薄膜である場合は風量を全体的に少なくし、プリプレグが厚膜の場合は風量を全体的に多くする。
しかし、プリプレグに特殊な外乱が発生している場合、例えばプリプレグに大きいカールが発生していた場合や、湿度や温度によってプリプレグに「しわ」や「ヨレ」が発生している場合、各ブロアの流量がプリプレグ情報に合わせて設定されていたとしても対応しきれない。この場合には、プリプレグの保持搬送時にプリプレグ詰まりや不供給などの問題が生じる。そこで、そのような障害が発生した場合は、その特殊な状態であるプリプレグに対応するために手動で流量の調整を行う必要がある。
【0096】
図28に示すように、例えば、プリプレグの種類により設定Aで運転している状態で(ステップS15)、ジャムが発生した場合(ステップS16)には、手動で各ブロアの風量を調整する(ステップS17)。このときに、浮上ブロア330、形状形成ブロア340、サイドブロア380、吸引ブロア390の流量を所定量、この場合、αa%、βa%、γa%、θa%だけ増し(ステップS18〜ステップS21)、供給・給送を続行する(ステップS22)。このような制御は、ユーザが複数項目に具体的な値を入力する必要があり、複雑かつ煩わしい。
そこで、実施形態例等に係るプリプレグ分離装置では、流量制御手段530が、各部ブロアの流量を個別に設定するのではなく、プリプレグの重送や不供給の状態に合わせてプリプレグの浮上やサバキの効果を考慮して行えるようにする。これにより、プリプレグの状態に合わせて手動で多くの設定を行う必要がなくなり、良好な供給搬送を行うことができる。
【0097】
実施形態例等に係るプリプレグ分離装置では、製造時において、考え得る多数の運転モードを提供している。この例では、運転モードとして「標準」、「重送改善」、「不供給改善」が設定してある。これらのモードにおける各ブロアの運転状態は、予め実験等により定めておく。
そして、ユーザがこれらのモードから適切なモードを選択する。これにより、複雑な調整を行うことなく浮上ブロア330、形状形成ブロア340、サイドブロア380、吸引ブロア390の流量を適正に調整できる。
【0098】
図29は、実施形態例等に係るプリプレグ分離装置におけるジャム発生時の処理を示すフローチャートである。例えばプリプレグ詰まりの要因が重送であった場合、エアーの吹付け過ぎが原因であるため、風量をいくらか弱くする必要がある。比較例では、吸引ブロア390と、形状形成ブロア340の流量をそのままにし、サイドブロア380と浮上ブロア330の流量を小さくする、といった複雑な調整が必要とされた。
【0099】
実施形態例等に係るプリプレグ搬送装置130では、重送が発生しているとき、図29に示すように、「重送改善モード」を選択するだけで、まとめて各ブロアの流量調整ができる。即ち、設定Aで運転中(ステップS25)に重送によるジャムが発生したとする(ステップS26)。このとき、ユーザは、各ブロアの流量調整を行う(ステップS27)。この調整には、運転モードとして「重送改善」モードを選択する(ステップS28)。これにより、流量制御手段530は、モード設定部540を参照して、浮上ブロア330、形状形成ブロア340、サイドブロア380、吸引ブロア390の流量を予め定めた所定量、この場合、α%、β%、γ%、θ%だけ増し(ステップS29)、供給・給送を続行する(ステップS30)。この処理は、プリプレグの不供給状態が発生したときも同様に行うことができ、その場合は「不供給改善モード」を選択することで、調整を行うことができる。
従って、実施形態例等では供給搬送においてエアー調整を行わなくてはならない状況の際に、ユーザ側に複雑な調整を強いることなく簡易に調整を行うことができる。
【0100】
図30は実施形態例等のプリプレグ供給風量調整モード選択時におけるプリプレグ供給搬送装置の操作パネルの表示画面を示す図である。この例では、通常運転時には、「標準」モードを選択し、重送や不供給等が発生したとき、運転モードの選択を行う。この例では、選択できる運転モードとして、「標準」、「重送改善:中」、「重送改善:強」、「不供給改善:中」、「不供給改善:強」がある。モード設定部540には、それぞれの運転モードに対応して、各ブロアの流量が予め設定されている。操作表示部600には、風量改善モードの設定時に供給風量調整枠610が表示され、この供給風量調整枠610内に各モードを選択するための領域611〜615が表示されている。
供給風量調整枠610には、現在選択されている運転モードが白黒反転表示される他、ユーザが運転するモードを選択できる。例えば「重送改善:中」モードでもプリプレグ詰まりが連続して発生するという場合には、より強い改善量を与える「重送改善:強」モードを選択することにより、重送が改善できる。同様の処理を「不供給」についても行うことができる。
【0101】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上記実施形態や変形例等に記載した技術事項を適宜組み合わせたものであってもよい。
【0102】
上記実施形態では、保持手段によってプリプレグやプリプレグを保持する仕方として、気体であるエアーによってプリプレグやプリプレグを吸引保持していたが、これに限らず、静電気を利用して保持するものであってもよい。
【0103】
本発明の実施の形態に適宜記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0104】
1 プリプレグ束、電子回路基板材束
1A、1B、1C プリプレグ、電子回路基板材
3A、3B、3C 吸着保持ユニット
5 重送検知センサ(検知手段の一例)
10、20 加振機(振動手段の一例)
10a、20a 振動腕
100A、100B、100C、100D プリプレグ搬送装置、電子回路基板材搬送装置
101 本体フレーム(プリプレグ分離装置・電子回路基板材の装置本体の一例)
136 供給台
137 サイドフェンス
138 前端ガイド板
139 エンドフェンス
160A、160B、160C 浮上保持搬送装置
161、161a、161b、161c 搬送ベルト(保持手段、搬送手段の一例)
162 駆動ローラ
163 従動ローラ
164 吸引孔
165 保持ユニット
166 保持エリア
300 エアー噴射ノズル装置
310 負圧エアーチャンバ
320 エアーチャンバ
322 浮上ノズル
323 形状形成ノズル
330 浮上ブロア
340 形状形成ブロア(形状形成エアー吹出手段)
350 ソレノイド
360 開閉制御手段
370 サイドエアーノズル(サバキ用送風手段)
380 サイドブロア(サイドエアー吹出手段)
390 吸引ブロア(エアー吸引手段)
500 本体制御手段
540 モード設定部
600 操作表示部
Aa 浮上エアー
Ab 形状形成エアー
Ac サイドエアー
Ad 吸引エアー
X 搬送方向
Y 幅方向
Z 上下方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2003−311769号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30