特開2017-7196(P2017-7196A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-7196(P2017-7196A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】インクジェット画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20161216BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   B41J2/165 101
   B41J2/01 307
   B41J2/165 201
   B41J2/165 207
   B41J2/165 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-124597(P2015-124597)
(22)【出願日】2015年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】加藤肇
【住所又は居所】神奈川県海老名市下今泉810番地 リコーテクノロジーズ株式会社内
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA16
2C056EA17
2C056EC08
2C056EC22
2C056EC23
2C056EC35
2C056EC37
2C056EC38
2C056EC42
2C056FA02
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA07
2C056JA06
2C056JA09
2C056JA13
2C056JA17
2C056JA20
2C056JA21
2C056JA25
2C056JB04
(57)【要約】
【課題】インクの加圧排出手段を新たに設けずに、鉛直線に対し傾斜したインクジェットヘッドのノズル面にインクを付着できるインクジェット画像形成装置を提供する。
【解決手段】インク室のインクを吐出するノズルと、インク室の容積を駆動波形に応じて変化させるアクチュエータとを有し、アクチュエータによりノズルからインク滴を吐出させて画像を記録するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドをメンテナンスする維持ステーションとを備えるインクジェット画像形成装置において、インクジェットヘッドのノズル面は、鉛直線に対し傾斜し、維持ステーションは、インクジェットヘッドのノズル面を覆うキャップと、キャップ内に充填した吸収体とを備える。インクジェット画像形成装置は、インクジェットヘッドからキャップ内にインク滴を吐出し、ノズル面にインクを付着する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク室のインクを吐出するノズルと、前記インク室の容積を駆動波形に応じて変化させるアクチュエータとを有し、前記アクチュエータにより前記ノズルからインク滴を吐出させて画像を記録するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドをメンテナンスする維持ステーションとを備えるインクジェット画像形成装置において、
前記インクジェットヘッドのノズル面は、鉛直線に対し傾斜し、
前記維持ステーションは、前記ノズル面を覆うキャップと、前記キャップ内に充填した吸収体とを備え、
前記インクジェットヘッドから前記キャップ内にインク滴を吐出し、前記ノズル面にインクを付着することを特徴とするインクジェット画像形成装置。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドから前記キャップ内にインク滴を吐出する際の駆動波形は、印字時に使用する駆動波形よりも高周波であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項3】
前記インクジェットヘッドから前記キャップ内にインク滴を吐出する際の駆動波形は、印字時に使用する駆動波形よりも振幅が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項4】
前記ノズル面と前記キャップを接触した状態で、前記キャップ内の前記吸収体にインクを保持し、前記ノズル面に前記保持したインクを付着することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項5】
前記ノズル面と前記キャップを離間した状態で、前記キャップ内にインクを吐出して浮遊させ、前記ノズル面に前記浮遊したインクを付着することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項6】
前記ノズル面と前記キャップを接触又は離間する切替手段を備え、
前記ノズル面と前記キャップを接触した場合、前記キャップ内の前記吸収体にインクを保持し、前記ノズル面に前記保持したインクを付着し、
前記ノズル面と前記キャップを離間した場合、前記キャップ内にインクを吐出して浮遊させ、前記ノズル面に前記浮遊したインクを付着することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機などの画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出するインクジェットヘッド(記録ヘッド)を用いたインクジェット方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
インクジェット方式でのラインヘッドエンジンは、インクジェットヘッドを並べて記録媒体のほぼ全幅にわたるラインを構成したものである。メインタンクから供給されたインクは、サブタンク、インク分配管を経て、各インクジェットヘッドに供給される。それらインクジェットヘッドは同時にインクを吐出し、画像を形成する。
【0004】
このようなインクジェット方式の画像形成装置は、各インクジェットヘッドの吐出を安定させるための維持ステーションを備える。維持ステーションの例として、特許文献1には、インクの増粘による吐出不良を防止するため、定期的にノズルからインク受け機構にインク滴の吐出を行うことが記載されている。また、特許文献2には、ノズル面に付着したインクをクリーニングする機構として、ワイパを用いてメカニカルにノズル面を擦る(ワイピング)機構が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インクジェット画像形成装置において、記録媒体を搬送する搬送部は、無端ベルト上に記録媒体が搬送されるストレートパス方式と、ドラムに記録媒体が巻かれて搬送されるドラム巻き付けパス方式などがある。ストレートパス方式の場合、インクジェットヘッドは通常、ノズル面が水平になるように設置される。一方、ドラム巻き付けパス方式の場合、インクジェットヘッドはドラムの円周にそって設置されるため、ノズル面が鉛直線に対し傾斜した状態となる。
【0006】
維持ステーションにより、傾斜したノズル面のワイピング動作を行うと、傾斜の下部方向にインクが流れ、ノズル面にインクの付着がなくなってしまう。さらに、インクのない乾ききった状態でワイピング動作を行うと、ノズル面の撥水性が急激に低下するので、ワイピング動作時のインク払拭性の低下や、インクジェットヘッドの吐出安定性の低下を招く。
【0007】
対策として、インクジェットヘッドのノズル面にインクを付着するために、加圧排出手段を新たに設けることが考えられる。しかし、加圧排出手段自体のコストや排出インクが増加するため、得策ではない。
【0008】
そこで本発明は、インクの加圧排出手段を新たに設けずに、鉛直線に対し傾斜したインクジェットヘッドのノズル面にインクを付着できるインクジェット画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、インク室のインクを吐出するノズルと、前記インク室の容積を駆動波形に応じて変化させるアクチュエータとを有し、前記アクチュエータにより前記ノズルからインク滴を吐出させて画像を記録するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドをメンテナンスする維持ステーションとを備えるインクジェット画像形成装置において、前記インクジェットヘッドのノズル面は、鉛直線に対し傾斜し、前記維持ステーションは、前記ノズル面を覆うキャップと、前記キャップ内に充填した吸収体とを備え、前記インクジェットヘッドから前記キャップ内にインク滴を吐出し、前記ノズル面にインクを付着することを特徴とするインクジェット画像形成装置によって、解決される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のインクジェット画像形成装置によれば、インクジェットヘッドを用いて、鉛直線に対し傾斜したノズル面にインクを付着できる。したがって、スムーズなワイピング動作ができるので、ノズル面の撥水性を低下させず、インク払拭性や、インクジェットヘッドの吐出安定性を維持できる。また、別途インクの加圧排出手段を設ける必要がないので、コストが掛からない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一般的なライン型インクジェット画像形成装置の模式図である。
図2】本実施形態の一例であるライン型インクジェット画像形成装置(ドラム巻き付けパス方式)の部分拡大図である。
図3】ドラム巻き付けパス方式のドラム部分の概略図(その1)であり、(a)は印刷時の状態を示し、(b)はメンテナンス時の状態を示す。
図4】ドラム巻き付けパス方式のドラム部分の概略図(その2)であり、(a)は印刷時の状態を示し、(b)はメンテナンス時の状態を示す。
図5】本実施形態に係るインクジェットヘッドと維持ステーションの概略図である。
図6】第1の実施形態に係る、メンテナンス時のインクジェットヘッドと維持ステーションの状態を示す概略図である。
図7】第2の実施形態に係る、メンテナンス時のインクジェットヘッドと維持ステーションの状態を示す概略図である。
図8】ノズル孔から吐出される主滴とサテライトを説明する模式図である。
図9】キャップ内に吐出したときの気流の状態を示す模式図である。
図10】第3の実施形態に係る、メンテナンス時のインクジェットヘッドと維持ステーションの状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、一般的なライン型インクジェット画像形成装置の模式図である。このライン型インクジェット画像形成装置は、ノズルから液滴を吐出するインクジェットヘッドが記録媒体のほぼ全幅にわたるライン構成となっている。
【0013】
ライン型インクジェット画像形成装置1は、装置本体10と、記録媒体を積層・給紙する給紙トレイ11と、記録媒体を搬送する搬送部12と、記録媒体に液滴を吐出して印字するヘッド部13とを備える。また、ライン型インクジェット画像形成装置1は、各ヘッドのノズルを清掃するクリーニング装置14と、印刷された記録媒体を排紙・積載する排紙トレイ15とを備える。
【0014】
給紙トレイ11上に積層された記録媒体Pは、分離ローラ17、給紙ローラ18により1枚ずつ搬送部12へ送られる。
【0015】
搬送部12は、搬送駆動ローラ19と、搬送従動ローラ20と、それらローラに巻き掛けられた無端ベルト21とを備える。無端ベルト21の表面には、複数の穴が形成されている。無端ベルト21の下部には、記録媒体Pを吸引する吸引ファン22が配置されており、記録媒体Pが無端ベルト21上に吸い付けられながら搬送される。また、搬送駆動ローラ19、搬送従動ローラ20の上部には、それぞれ搬送ガイドローラ23、24が配置されている。搬送駆動ローラ19がモータにより駆動されることにより、搬送従動ローラ20及び搬送ガイドローラ23、24が従動し、記録媒体Pを搬送する。このような構成をエア吸引ストレートパス方式という。
【0016】
搬送部12の下流側には、排紙トレイ15が配置されている。排紙トレイ15は、記録媒体Pの幅方向への移動を規制する対のサイドフェンス28と、記録媒体Pの先端を規制するエンドフェンス29とを備える。
【0017】
搬送部12の上には、ヘッド部13が配置されている。ヘッド部13には、ヘッドモジュール13a、13b、13c、13dが色ごとに並べて配置されている。これらヘッドモジュールは、複数のインクジェットヘッドを記録媒体のほぼ全幅にわたり、千鳥状に配置したものである。なお、各インクジェットヘッドは、故障時に交換可能なようにカップリングなどで接続されている。
【0018】
ヘッドモジュール13a、13b、13c、13dは、それぞれブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)のインクを吐出する。これらヘッドモジュールの上部には、メインタンク25が配置され、供給チューブ16を介して分配管26と接続している。メインタンク25内の各色のインクは、分配管26を介して対応するヘッドモジュールに供給される。
【0019】
また、ヘッド部13は、記録媒体の通紙面に対して垂直方向に移動可能であり、ヘッド部13のクリーニング時には、後述するクリーニング装置14がヘッド部13の下に入れる程度まで上昇する。
【0020】
クリーニング装置14は、搬送部12の上に配置され、また記録媒体の搬送方向に移動可能である。クリーニング装置14は、各ヘッドモジュール13a、13b、13c、13dに対応するクリーニング手段14a、14b、14c、14dを備える。各クリーニング手段14a、14b、14c、14dの下部には、対応するヘッドモジュール13a、13b、13c、13dのインクを吸引するための吸引ポンプ27a、27b、27c、27dが配置されている。
【0021】
クリーニング装置14による各ヘッドモジュールのクリーニングとして、各ヘッドモジュールをキャップしてインクを吸引することと、インクジェットヘッドのノズル面に付着したインクをワイパーブレードで清掃することなどがある。クリーニング時には、まず、ヘッド部13が記録媒体から離れる方向(矢印A)に上昇し、クリーニング装置14の挿入スペースを確保する。次に、クリーニング装置14がヘッド部13の下部までスライド(矢印B)し、ヘッド部13が下降したらクリーニングを開始する。クリーニングが完了したら、再びヘッド部13が上方に退避し、クリーニング装置14が最初の位置に戻る。そして、ヘッド部13が最初の位置に戻り、印字可能状態となる。
【0022】
図2は、本実施形態の一例であるライン型インクジェット画像形成装置(ドラム巻き付けパス方式)の部分拡大図である。ドラム巻き付けパス方式では、記録媒体Pを剛体のドラム30に巻き付けて搬送し、ドラム30の円周上に配置された、複数のインクジェットヘッド31により印字を行う。図2に示すように、複数のインクジェットヘッド31は、その配列の両端にあるものほどノズル面が鉛直線に対し、大きく傾斜して配置される。このような構成をドラム巻き付けパス方式という。
【0023】
先の図1で示したエア吸引ストレートパス方式では、無端ベルト21の厚さのばらつきや伸び、またベルト自体の横ずれや浮きが発生することにより、搬送精度(記録媒体の位置決め)が悪くなる場合がある。一方、ドラム巻き付けパス方式では、記録媒体Pを剛体のドラム30に巻きつけるので、記録媒体Pの搬送方向・用紙幅方向の位置ずれ、スキュー歪み、記録媒体Pの浮き上がり(ヘッドキャップ変動)が少ないという利点がある。
【0024】
本発明は、このようなドラム巻き付けパス方式のライン型インクジェット画像形成装置を対象とする。
【0025】
図3は、ドラム巻き付けパス方式のドラム部分の概略図(その1)であり、(a)は印刷時の状態を示し、(b)はメンテナンス時の状態を示す。図3に示すように、ドラム部分は、ドラム30と、複数のインクジェットヘッド31と、複数の維持ステーション38を備える。維持ステーション38は、インクジェットヘッド31をメンテナンスする装置であり、ノズル面を払拭するワイパと、ノズル面の乾燥を防止するキャップと、キャップ内の廃インクを吸引する吸引機構などを備える。
【0026】
印刷時(a)には、複数のインクジェットヘッド31はドラム30の円周上にあり、複数の維持ステーション38はそれらインクジェットヘッド31の後方に待機している。次に、メンテナンス時(b)には、複数のインクジェットヘッド31はドラム30の円周上方に移動し、複数の維持ステーション38がそれらインクジェットヘッド31のノズル面下に配置される。そして、維持ステーション38は、インクジェットヘッド31のメンテナンスを行う。
【0027】
図4は、ドラム巻き付けパス方式のドラム部分の概略図(その2)であり、(a)は印刷時の状態を示し、(b)はメンテナンス時の状態を示す。図4と同等の構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0028】
図4に示すドラム30部分は、複数の維持ステーション38が固定され、代わりに複数のインクジェットヘッド31が移動する点で、図3に示すドラム30部分と異なる。具体的には、印刷時(a)には、ドラム30円周上に複数のインクジェットヘッド31が配置される。メンテナンス時(b)には、複数のインクジェットヘッド31は、ノズル面が維持ステーション38の上に在るように移動する。
【0029】
ドラム巻き付けパス方式のドラム部分について、図3、4と2つの例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
以下より、本発明の特徴部分について説明する。
【0031】
図5は、本実施形態に係るインクジェットヘッドと維持ステーションの概略図である。インクジェットヘッド31は、インク室32と、インクを吐出するノズルと、駆動波形を生成する制御部33と、インク室の容積を駆動波形に応じて変化させるアクチュエータ34とを備える。ここで、インクジェットヘッド31のノズル面35は、鉛直線に対して傾斜して配置されている。
【0032】
制御部33は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを包含するコンピュータで構成されており、アクチュエータ34を駆動する駆動波形(電圧波形)を生成する。駆動波形の振幅の大きさ、周期により、ノズルから吐出するインクの速度、量などを調整できる。なお、制御部33は、画像形成装置全体の制御を行うコンピュータであってもよい。
【0033】
アクチュエータ34は、例えば積層型圧電素などである。アクチュエータ34は、制御部33から駆動波形(電圧波形)を印加されることにより変形し、同時にインク室32の容積を変化する。これにより、インク室32内のインクがノズルから吐出される。
【0034】
維持ステーション38は、ノズル面35を覆うキャップ40と、キャップ40内に充填された吸収体41と、キャップ40の下部に設けられた吸引孔と、吸引孔に接続されたチューブ42と、ノズル面35を払拭するワイパなどを備える。チューブ42にはキャップ40内にあるインクを吸引する吸引モータといった吸引部に接続されている。
【0035】
図6は、第1の実施形態に係る、メンテナンス時のインクジェットヘッドと維持ステーションの状態を示す概略図である。図6において、図5と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施形態では、維持ステーション38(キャップ40)をインクジェットヘッド31のノズル面35に接触する。ただし、吸収体41は、ノズル面35と吸収体41との間に隙間が発生するような位置関係とする。この状態でインクジェットヘッド31からインク滴を吐出すれば、ノズル面35と吸収体41との隙間部分にインクが保持され、ノズル面35にインクを付着できる。
【0037】
また、インク滴を吐出する際の駆動波形は、印字時に用いる駆動波形よりも高周波であるのが望ましい。インク滴を吐出する間隔が短くなるので、ノズル面35と吸収体41との隙間部分に早くインクを保持でき、したがってメンテナンス時間を短縮できる。
【0038】
さらに、吸収体41は、通常はノズル面35と吸収体41の隙間部にインクを保持でき、インク吸収時には隙間部にあるインクが短時間で吸収されるような性質(材質、密度など)を有することが望ましい。
【0039】
ノズル面35にインクを付着した後、ワイパなどでノズル面35を払拭すれば、ノズル面35全面がインクで濡れているため、滑らかにノズル面35のインクを除去することができる。ワイピング動作後は、キャップ40の下部に設けられた吸引孔からキャップ40内にあるインクを吸引し、キャップ40内からのインク漏れを防ぐ。
【0040】
以上のように、本実施形態は、ノズル面35とキャップ40を接触した状態で、キャップ40内にインク滴を吐出し、鉛直線に対して傾斜したノズル面35にインクを付着する。ワイピング動作前にノズル面をインクで濡らしておけば、スムーズなワイピング動作が可能となり、ノズル面の撥水性の急激な低下を防止することができる。したがって、インク払拭性や、インクジェットヘッドの吐出安定性を維持できる。また、別途インクを吐出する加圧排出手段を設ける必要がないので、コストが掛からない。
【0041】
また、本実施形態は、インク滴を吐出する際の駆動波形を印字時に用いる駆動波形よりも高周波にするので、インクを吐出する間隔が短くなる。したがってメンテナンス時間を短縮できる。
【0042】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る、メンテナンス時のインクジェットヘッドと維持ステーションの状態を示す概略図である。図7において、図5と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施形態は、維持ステーション38(キャップ40)とノズル面35を離間した状態で、インクジェットヘッド31からキャップ40内にインク滴を吐出することを特徴とする。この場合、インク滴の吐出時に発生するミストや、キャップ40内の吸収体41にぶつかったインクの跳ね返りなどをノズル面35に付着できる。
【0044】
その際、インク滴を吐出する際の駆動波形は、印字時に用いる駆動波形よりも高周波であるのが望ましい。インク吐出時に発生するミストなどを早くノズル面35に付着できる。また、駆動波形は、印字時に使用する駆動波形よりも振幅が大きいことが望ましい。この場合もミストなどを早くノズル面35に付着でき、更にミストを多く発生させることができる。
【0045】
なお、ノズル面35のワイピング動作後は、キャップ40の下部に設けられた吸引孔からチューブ42を介してキャップ40内にあるインクを吸引する。
【0046】
ここで、ミストとは、インクジェットヘッド31のノズルから吐出したインク滴が、着弾すべき場所に着弾せず、浮遊した霧状となったものである。ただし、吐出曲がりや着弾位置ずれ、又は、図8に示すように主滴の横に着弾するようなサテライトはミストとはよばない。一方、紙面上に散らばってしまう滴や、装置内を汚すものもミストである。
【0047】
ミストが発生する主要因の一つは、図8に示すようなサテライトであり、サテライトの発生しない駆動条件下においては発生しない。したがって、本実施形態のように、ミストを発生させてノズル面35にインクを付着したい場合には、印字時に使用する駆動波形よりも高周波であり、振幅が大きい駆動波形を使用するのが望ましい。これにより、インク滴の速度を大きくして、サテライト同士又は主滴などにマージさせないことができる。
【0048】
ミストが発生する要因は他にもある。サテライトの速度が空気抵抗によって失われ、浮遊してミストとなることや、吐出されたインクがキャップ40内の吸収体41にぶつかって、飛び散ることでミストとなる。また、インクが吐出された時点で、通常の液滴とは別の飛び散りが発生してミストとなることや、サテライトとほぼ同等な大きさの主滴そのものがミストとなることもある。
【0049】
図9は、キャップ内にインク滴を吐出したときの気流の状態を示す模式図である。図9に示すように、インクジェットヘッド31とキャップ40は離間しているため、インクの吐出により発生する気流がキャップ40の外側に流れ出す。発生したミストがその気流に乗ることで、ノズル面35にインクを付着することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態は、ノズル面35とキャップ40を離間した状態で、キャップ40内にインク滴を吐出して浮遊させ(ミスト)、鉛直線に対して傾斜したノズル面35にインクを付着する。本実施形態は、インクがミスト化しやすい装置構成(例えば、インクジェットヘッドの構成、インクの種類など)に適用するのが特に有利である。
【0051】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る、メンテナンス時のインクジェットヘッドと維持ステーションの状態を示す概略図である。図10において、図5と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施形態は、更に、インクジェットヘッド31のノズル面35とキャップ40を接触又は離間する切替手段43を備えることを特徴とする。切替手段43として、例えばステッピングモータなどによって駆動されるスライド機構をもちいることができる。切替手段43により、維持ステーション38を図中両矢印方向に移動し、ノズル面35とキャップ40を接触又は離間することができる。
【0053】
接触した場合は、第1の実施形態で示した手順でインクを付着し、離間した場合は、第2の実施形態で示した手順でインクを付着する。装置構成(例えば、インクジェットヘッドの構成、インクの種類など)によっては、ミストになり易かったり、なり難かったりする。本実施形態ならば、インク付着の手順を選択できるので、装置構成に応じてより効率的にノズル面35にインクを付着できる。
【0054】
以上、複数の実施形態を挙げて本発明を説明した。これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲で種々変更(第1〜3の実施形態を組み合わすなど)してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ライン型インクジェット画像形成装置
10 装置本体
11 給紙トレイ
12 搬送部
13 ヘッド部
13a、13b、13c、13d ヘッドモジュール
14 クリーニング装置
14a、14b、14c、14d クリーニング手段
15 排紙トレイ
16 供給チューブ
17 分離ローラ
18 給紙ローラ
19 搬送駆動ローラ
20 搬送従動ローラ
21 無端ベルト
22 吸引ファン
23、24 搬送ガイドローラ
25 メインタンク
26 分配管
27a、27b、27c、27d 吸引ポンプ
28 サイドフェンス
29 エンドフェンス
30 ドラム
31 インクジェットヘッド
32 インク室
33 制御部
34 アクチュエータ
35 ノズル面
38 維持ステーション
40 キャップ
41 吸収体
42 チューブ
43 切替手段
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2013−67155号公報
【特許文献2】特開2013−52616号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10