特開2017-7254(P2017-7254A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-7254加熱装置、画像形成装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-7254(P2017-7254A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】加熱装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20161216BHJP
【FI】
   B41J2/01 125
   B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-127017(P2015-127017)
(22)【出願日】2015年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】村井 俊文
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA25
2C056EB13
2C056EB14
2C056EB30
2C056EB46
2C056EC14
2C056EC29
2C056HA46
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加熱対象の形成媒体が中サイズの場合に形成媒体を所定温度で加熱できるとともに不要な熱量の供給を抑制して消費電力を低減することができる加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱対象の記録媒体14を搬送しながら加熱する加熱ローラ5と、加熱ローラに内蔵され、加熱ローラの軸方向に延在する複数の発熱源8,9と、複数の発熱源を制御する制御手段20と、を備える。複数の発熱源は、加熱ローラの軸方向で互いに一部分づつ順次重複するように位置をずらして配設され、複数の発熱源それぞれの重複部分の発生熱量は非重複部分の発生熱量よりも低くなるように構成されている。加熱ローラにおける複数の発熱源それぞれに対応する表面温度を検出し、その検出結果がそれぞれ所定の目標温度になるように複数の発熱源を制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に搬送されている加熱対象の記録媒体を加熱する加熱ローラと、
前記加熱ローラに内蔵され、該加熱ローラの軸方向に延在する複数の発熱源と、
前記複数の発熱源を制御する制御手段と、を備えた加熱装置であって、
前記複数の発熱源は、前記加熱ローラの軸方向で互いに一部分づつ順次重複するように位置をずらして配設され、該複数の発熱源それぞれの重複部分の発生熱量は非重複部分の発生熱量よりも低くなるように構成され、
前記加熱ローラにおける前記複数の発熱源それぞれに対応する表面温度を検出する複数の温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記複数の温度検出手段の検出結果がそれぞれ所定の目標温度になるように前記複数の発熱源を制御することを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
請求項1の加熱装置において、
前記複数の温度検出手段はそれぞれ、前記加熱ローラにおける前記複数の発熱源それぞれの非重複部分に対応する表面温度を検出することを特徴とする加熱装置。
【請求項3】
請求項1又は2の加熱装置において、
前記記録媒体の幅方向における搬送基準から離れた端部位置を検知する端部位置検知手段を備え、
前記制御手段は、
前記幅方向位置検知手段が、前記記録媒体の幅方向における搬送基準から離れた端部位置が、前記複数の発熱源の重複部分に対応する領域内にあることを検知したとき、前記記録媒体の端部位置が位置する前記重複部分において該記録媒体に供給される熱量が所定の熱量になるように、前記記録媒体の端部位置で互いに一部重複している複数の発熱源のうち、前記搬送基準を含まない領域を加熱する発熱源に対応する目標温度を設定することを特徴とする加熱装置。
【請求項4】
請求項1又は2の加熱装置において、
前記記録媒体の幅方向における画像が形成されている画像形成範囲を検出する画像形成範囲検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記画像形成範囲検出手段の検出結果に基づいて、前記記録媒体の幅方向における搬送基準から離れた前記画像形成範囲の端部位置が、前記複数の発熱源の重複部分に対応する領域内にあると判断したとき、前記画像形成範囲の端部位置が位置する前記重複部分において該記録媒体に供給される熱量が所定の熱量になるように、前記画像形成範囲の端部位置で互いに一部重複している複数の発熱源のうち、前記搬送基準を含まない領域を加熱する発熱源に対応する目標温度を設定することを特徴とする加熱装置。
【請求項5】
請求項3又は4の加熱装置において、
前記搬送基準を含まない領域を加熱する発熱源の非重複部分に対応する温度の検出結果が前記設定した目標温度になるように該発熱源を制御した場合に該発熱源から供給される熱量と、該発熱源の非重複部分に対応する温度の検出結果が最大設定可能な目標温度になるように該発熱源を制御する場合に該発熱源から供給される予測熱量とを算出する手段と、
前記二つの熱量の算出値の差分を消費電力低減量として表示する表示手段とを更に備えることを特徴とする加熱装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの加熱装置において、
前記記録媒体の搬送基準は、前記加熱ローラにおける軸方向におけるいずれか一方の端部側に位置し、
前記複数の発熱源は、前記搬送基準を含む前記いずれか一方の端部側の領域を前記非重複部分で加熱する第1の発熱源と、前記搬送基準を含まないもう一方の端部側の領域を前記非重複部分で加熱する第2の発熱源とにより構成されていることを特徴とする加熱装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかの加熱装置において、
前記記録媒体の搬送基準は、前記加熱ローラにおける軸方向における中央部分に位置し、
前記複数の発熱源は、前記搬送基準を含む前記中央部分の領域を前記非重複部分で加熱する第1の発熱源と、前記搬送基準を含まない端部側の領域を前記非重複部分で加熱する第2の発熱源及び第3の発熱源とにより構成されていることを特徴とする加熱装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの加熱装置において、
前記複数の発熱源はそれぞれ、オン/オフ制御可能なヒータランプであり、
前記制御手段は、前記複数の発熱源それぞれについて、前記温度検出手段で検出した前記非重複部分の温度が目標温度になるようにオン時間比率を調整する位相制御を行うことを特徴とする加熱装置。
【請求項9】
記録媒体にインク液を塗布して画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部で画像が形成された記録媒体を加熱ローラで加熱して乾燥する乾燥処理部とを備えた画像形成装置であって、
前記乾燥処理部は、請求項1乃至8のいずれかの加熱装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
形成媒体にインク液を塗布して画像を形成する画像形成装置と、前記形成媒体の搬送方向における前記画像形成装置の下流側に位置し、前記画像形成装置で画像が形成された形成媒体を加熱して乾燥する乾燥処理装置と、を備えた画像形成システムであって、
前記乾燥処理装置は、請求項1乃至8のいずれかの加熱装置を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱装置、画像形成装置及び画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを選択的に塗布されて画像が形成された記録媒体を乾燥させたり、トナーを用いて画像が形成された記録媒体のトナー像を定着させたりするために、発熱源を内蔵した加熱ローラを用いて記録媒体を加熱する加熱装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記発熱源として次のような中央部加熱用のメインヒータと端部加熱用のサブヒータとを定着ローラ(加熱ローラ)に内蔵した定着装置(加熱装置)が開示されている。この定着装置では、定着ローラの軸方向における中央を搬送基準として記録紙(記録媒体)が搬送され、メインヒータはその定着ローラの軸方向における搬送基準が位置する中央部分の幅と同じ長さの発熱幅を有する。サブヒータはその定着ローラの中央部分よりも両端部側それぞれに位置する外側部分の幅と同じ長さの発熱幅を有する。搬送方向と直交する幅方向のサイズが小さい小サイズの記録紙の通紙時には、メインヒータのみをオンして加熱し、大サイズの記録紙の通紙時にはメインヒータ及びサブヒータの両方をオンして加熱するように制御される。この制御により、記録紙が小サイズ及び大サイズのいずれであっても記録紙の幅方向の全体を加熱できる。また、小サイズの記録紙の通紙時にサブヒータをオフすることで、記録紙が通過しない外側部分への不要な熱量の供給を抑制し、消費電力を低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の定着装置では、加熱対象の記録紙(記録媒体)の幅方向のサイズが上記定着ローラの中央部分に対応するメインヒータの発熱幅よりも若干大きな中サイズの場合に次のような課題があることがわかった。すなわち、中サイズの記録紙の通紙時に、定着ローラの外側部分の記録紙が通過していない部分にサブヒータで不要な熱量を供給するため、消費電力の低減をすることができない。このような課題は上記定着装置に限らず、インクを塗布して画像を形成した記録媒体を乾燥させるための加熱装置でも発生し得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、所定方向に搬送されている加熱対象の記録媒体を加熱する加熱ローラと、前記加熱ローラに内蔵され、該加熱ローラの軸方向に延在する複数の発熱源と、前記複数の発熱源を制御する制御手段と、を備えた加熱装置であって、前記複数の発熱源は、前記加熱ローラの軸方向で互いに一部分づつ順次重複するように位置をずらして配設され、該複数の発熱源それぞれの重複部分の発生熱量は非重複部分の発生熱量よりも低くなるように構成され、前記加熱ローラにおける前記複数の発熱源それぞれに対応する表面温度を検出する複数の温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記複数の温度検出手段の検出結果がそれぞれ所定の目標温度になるように前記複数の発熱源を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、加熱対象の記録媒体が中サイズの場合に記録媒体を所定温度で加熱できるとともに不要な熱量の供給を抑制して消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る印刷システムの一例を示す概略構成図。
図2】本実施形態に係る印刷システムにおける乾燥ユニットの一例を示す概略構成図。
図3】本実施形態に係る印刷システムにおける第1のインクジェットプリンタの一例を示す概略構成図。
図4】本実施形態に係る印刷システムの第1のインクジェットプリンタに設けられた乾燥部103の一例を示す概略構成説明図。
図5】第1及び第2のヒータランプについて、ON時間比率を100[%]としたときの単位長さ当たりの発生熱量の一例を示す説明図。
図6】用紙の幅が最も狭い領域内の場合の第1及び第2のヒータランプによる単位長さ当たりの発生熱量の一例を示す説明図。
図7】用紙の幅が最も広い領域内の場合の第1及び第2のヒータランプによる単位長さ当たりの発生熱量の一例を示す説明図。
図8】用紙の幅方向の一方の端部が第1及び第2のヒータランプの重複する領域内の場合の第1及び第2のヒータランプによる単位長さ当たりの発生熱量の一例を示す説明図。
図9】本実施形態に係る加熱装置におけるヒータランプ制御方式の選定フローの一例を示すフローチャート。
図10】用紙の幅が最も広い領域内の場合であって、かつ印刷範囲が第1及び第2のヒータランプの重複する領域内の領域のみの場合の制御方法の一例を示す説明図。
図11図10を用いて説明したヒータランプ制御方式の選定フロー(印刷範囲選定追加)の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成システムや画像形成装置の加熱装置に適用した実施形態について説明する。なお、本実施形態では、加熱装置を備える画像形成システムとしてのインクジェット方式の印刷システムについて説明するが、以下の構成に限定されるものではない。
【0009】
まず、本実施形態に係る画像形成システムとしてのインクジェット方式の印刷システムの基本的な構成について説明する。
図1は、所定の方向に搬送される記録媒体としての長尺の用紙14に画像形成用液体であるインクを選択的に塗布して画像を形成するインクジェット方式の印刷システム100の一例を示す概略構成図である。印刷システム100は、記録媒体供給手段としての給紙装置101と、第1の画像形成装置としての液滴吐出装置である第1のインクジェットプリンタ102と、用紙14の表裏を反転して搬送する反転装置104とを備える。更に、印刷システム100は、第2の画像形成装置としての液滴吐出装置である第2のインクジェットプリンタ105と、画像形成後の用紙14を加熱して乾燥させる加熱装置としての乾燥ユニット107と、乾燥処理後の用紙14を巻き取る巻き取り装置108とを備える。乾燥ユニット107は、画像形成後の用紙14を加熱して乾燥させ、巻き取り装置108は、乾燥処理後の用紙14を巻き取る。また、第1のインクジェットプリンタ102及び第2のインクジェットプリンタ105はそれぞれ、加熱装置としての乾燥部103,106を内蔵している。
【0010】
印刷システム100において、給紙装置101から繰り出された用紙14は、第1のインクジェットプリンタ102に送り込まれて表側にインク滴が選択的に吐出されて画像が形成され、乾燥部103でインクが乾燥させられる。その後、用紙14は反転装置104に送り込まれて表裏が反転される。引き続き、用紙14は、第2のインクジェットプリンタ105に送り込まれて裏側にインク滴が選択的に吐出されて画像が形成され、乾燥部106でインクが乾燥させられる。その後、第1及び第2のインクジェットプリンタ102,105の乾燥部103,106のみでは乾燥しきれない用紙14を印刷した場合でも完全に乾燥させるために追加の乾燥ユニット107により用紙14の両面を再度乾燥させる。これにより、用紙14は表裏両面にインク滴が選択的に吐出されて形成された画像のインクが完全に乾燥させられて、巻き取り装置108により巻き取られる。
【0011】
図2は、本実施形態に係る印刷システム100における乾燥ユニット107の一例を示す概略構成図である。図2に示すように、乾燥ユニット107は、用紙14の搬送を行う搬送ローラ150をユニット内の用紙搬送方向下流側に備えている。この搬送ローラ150によって、図中矢印Aで示す向きに用紙14が搬送される。
【0012】
また、本実施形態の乾燥ユニット107は、バッファ部120と、用紙乾燥部130と、用紙冷却部140とを備えている。バッファ部120は、乾燥ユニット107内部の用紙搬送方向上流側に設けられ、乾燥ユニット107入口近傍に所定のバッファ量を確保するものである。また、バッファ部120は、用紙14が巻き掛けられた複数のローラ121〜126を備えている。そして、用紙14の搬送時に所定のバッファ量を確保するように搬送ローラ150の回転速度が可変制御され、一定速度で用紙14を搬送する。この複数のローラ121〜126のうち、乾燥ユニット107下方に位置する2本のローラ122,124は昇降可能に設けられ、この2本のローラ122,124の位置を変化させることによって、バッファ量を可変することができる。
【0013】
バッファ部120から搬送された用紙14は、用紙乾燥部130へ搬送される。用紙乾燥部130は、用紙14が巻き掛けられ、千鳥状に配列された複数の加熱ローラ131〜136を備えている。この各加熱ローラ131〜136は発熱源であるハロゲンランプが各々内蔵され、各加熱ローラ131〜136に用紙14が接触することで、伝熱によって用紙14の乾燥を行う。
【0014】
また、複数の加熱ローラ131〜136は、用紙搬送方向上流側に位置する加熱ローラ(以下「上流側加熱ローラ」という。)ほど用紙14への加熱能力が必要となる。これは、上流側加熱ローラの熱は基材である用紙14に奪われてしまい、用紙14上のインクに熱供給されないためである。上流側加熱ローラの熱によって用紙14の温度がある温度以上となると、用紙搬送方向上流側に位置する加熱ローラに対して用紙搬送方向において下流側に位置する下流側の加熱ローラの熱は、用紙14上のインク乾燥のために使われる。具体的には、用紙搬送方向上流側に位置する加熱ローラ(以下、「上流側加熱ローラ」という。)は、上流側加熱ローラ131,132である。一方、上流側加熱ローラ131,132に対して用紙搬送方向において下流側に位置する下流側の加熱ローラ(以下「下流側加熱ローラ」という。)は、下流側加熱ローラ133〜136である。
【0015】
乾燥ユニット107内に設けられた用紙乾燥部130は、加熱ローラを6本備えた構成となっている。この場合、用紙搬送方向上流側に位置する2本の加熱ローラ(上流側加熱ローラ)131,132は、用紙14の温度を十分に上昇させるような加熱能力が必要となる。また、複数の加熱ローラ131〜136内の各ハロゲンランプは、制御部によって制御されている。
【0016】
また、用紙乾燥部130の有する領域は閉空間となっており、用紙乾燥部130の周囲に設けられた断熱材によって、用紙乾燥部130の内部の熱が用紙乾燥部130の外部に漏れないように断熱している。これにより、用紙乾燥部130のチャンバー内は用紙乾燥部130の周囲よりも高温の空間になっている。このように、加熱ローラから発せられる熱を用いてチャンバー内の空間加熱を行うことで、用紙乾燥部130の各加熱ローラ131〜136間の空間では、高温空気による対流熱伝達により用紙14の乾燥が行われる。このため、空間加熱装置として専用の空間加熱装置を用いる必要がない。
【0017】
用紙乾燥部130から搬送された用紙14は、用紙冷却部140へ搬送される。用紙冷却部140は、用紙14が巻き掛けられ、千鳥状に配列された複数のガイドローラ141〜148を備えている。用紙乾燥部130から搬送された用紙14は、この複数のガイドローラ141〜148間を搬送されることで冷却される。この用紙冷却部140の有する空間では、外気の吹付けや、搬送距離を変更などにより、用紙温度を制御することができる。用紙冷却部140から搬送された用紙14は、搬送ローラ150と、ニップローラ160のニップを通過して、乾燥ユニット107の外部へと搬送される。
【0018】
次に、乾燥部103を備える第1のインクジェットプリンタ102について説明する。なお、乾燥部106を備える第2のインクジェットプリンタ105も同様の構成となっているので、第1のインクジェットプリンタ102についてのみ説明し、第2のインクジェットプリンタ105については説明を省略する。
【0019】
図3は、本実施形態に係る印刷システムにおける第1のインクジェットプリンタ102の一例を示す概略構成図である。図3に示すように、第1のインクジェットプリンタ102は、乾燥部103と、画像形成部としての印刷部210とを備える。乾燥部103は、乾燥部103に対して用紙搬送方向上流側に位置する印刷部210に接続されている。
【0020】
第1のインクジェットプリンタ102に搬送された用紙14は、搬送ローラ及びガイドローラを経て、印刷部210に搬送される。この印刷部210は、インクを吐出させるインクジェットヘッドを有している。インクジェットヘッドと用紙14との隙間は1[mm]〜2[mm]程度となっている。
【0021】
また、第1のインクジェットプリンタ102の乾燥部103は、用紙14の印字面に吐出されたインクが各種ローラに触れる際に生じるインク転写(ピッキング)の発生を抑制するためのものであり、ブロッキングを抑制するものではない。ピッキングは、短時間の接触でもインク転写が発生してしまうほどの未乾燥状態である。一方、ブロッキングは、ピッキングが発生しない程度には乾燥しているものの、用紙を重ねたり、巻き取りを行ったりして、高圧力がかかった状態にてインク転写が発生する現象である。本実施形態の印刷システム100は、第1及び第2のインクジェットプリンタ102,105内の乾燥部103,106でピッキング抑制を行い、乾燥ユニット107でブロッキング抑制を行っている。
【0022】
次に、本実施形態に係る印刷システムにおける乾燥部103,106及び乾燥ユニット107に設けられている加熱ローラの具体的な構成の一例について説明する。ここで、乾燥部103,106及び乾燥ユニット107における各加熱ローラの構成及びその制御は互いに同様の構成なので、乾燥部103に設けられた加熱ローラについて説明し、他の加熱ローラについては説明を省略する。
【0023】
図4は、本実施形態に係る印刷システム100の第1のインクジェットプリンタ102に設けられた乾燥部103の一例を示す概略構成説明図である。図4に示すように、乾燥部103は、加熱ローラ(ヒートローラ)5と、第1及び第2の発熱源としての第1及び第2のヒータランプ6,7とを備える。更に、乾燥部103は、温度検出手段としての第1及び第2の加熱ローラ表面温度検出装置1,2と、用紙幅検知センサ13と、制御手段としての制御部20と、消費電力低減量表示部21とを備える。
【0024】
加熱ローラ5は、回転可能な回転体であり、ローラ内部に第1及び第2のヒータランプ6,7が配設されている。この加熱ローラ5で、所定方向に搬送される加熱対象の記録媒体としての用紙14を加熱することにより、用紙14に吐出されたインクを乾燥させることができる。
【0025】
第1及び第2のヒータランプ6,7は、加熱ローラ5の軸方向で互いに一部分づつ順次重複するように位置をずらして千鳥配置になるように配設されている。また、第1及び第2のヒータランプ6,7それぞれの重複部分の発生熱量は非重複部分の発生熱量よりも低くなるように構成されている。
【0026】
第1及び第2のヒータランプ6,7は、加熱ローラ5のローラ軸方向に対して互いに異なる発生熱量分布を有する複数の発熱源としての機能を有している。第1及び第2のヒータランプ6,7はそれぞれ、ローラ軸方向で発熱量が異なる部分を有するフィラメント8,9が内蔵されており、発生熱量分布が小さい部分が軸方向で互いに重複するように配設されている。これらの第1及び第2のヒータランプ6,7はそれぞれ、制御部20によって温度制御が行われる。
【0027】
図4において、第1及び第2のヒータランプ6,7の発生熱量分布が小さい部分が軸方向で互いに重複する部分に対応する加熱ローラ5表面の領域を領域11としている。また、第1のヒータランプ6の発生熱量分布が大きい部分に対応する加熱ローラ5表面の領域を領域10、第2のヒータランプ7の発生熱量分布が大きい部分に対応する加熱ローラ5表面の領域を領域12としている。
【0028】
第1及び第2の加熱ローラ表面温度検出装置1,2は、加熱ローラ5の表面温度を検出する温度検出手段としての機能を有しており、ローラ軸方向に対する両端部側領域(ヒータランプ6,7の非重複部分に対応する領域)10、12の表面温度を検出している。図示の例では、第1の加熱ローラ表面温度検出装置1は、第1のヒータランプ6に対応するローラ軸方向端部側領域(ヒータランプ6の非重複部分に対応する領域)10の表面温度を測定する。一方、第2の加熱ローラ表面温度検出装置2は、第2のヒータランプ7に対応するローラ軸方向端部側領域(ヒータランプ7の非重複部分に対応する領域)12の表面温度を測定する。
【0029】
用紙幅検知センサ13は、用紙14の幅方向の端部位置を検知する幅方向位置検知手段としての機能を有する。
【0030】
図4において、用紙14は、幅方向左側のエッジが通紙側用紙エッジ基準位置110を搬送基準にして搬送される。このとき、用紙幅検知センサ13は、用紙14の幅方向右側のエッジが領域10乃至領域12のいずれかの領域に位置するかを検知する。特に、用紙幅検知センサ13は、用紙14の幅方向右側エッジが領域11を通過する場合、領域11内における用紙14の幅方向右側のエッジの正確な位置を検知することができるようになっている。
【0031】
制御部20は、領域11制御用ON時間比率算出部15と、目標温度判定部16と、ON時間比率制御部17と、ヒータランプ制御方式選定部18と、画像形成範囲検出手段としての印刷範囲データ認識手段19とを備える。制御部20は、第1及び第2のヒータランプ6,7から発せられる熱量を制御する制御手段としての機能を有する。すなわち、制御部20は、第1及び第2の加熱ローラ表面温度検出装置1,2の検出結果(検出温度)がそれぞれ所定の目標温度になるようにヒータランプ6、7を制御する。
【0032】
制御部20の目標温度判定部16は、第1及び第2の加熱ローラ表面温度検出装置1,2が接続されており、これらの加熱ローラ表面温度検出装置1,2で検出した温度信号を受信する。また、ON時間比率制御部17は、第1及び第2のヒータランプ6,7が接続されており、これらの第1及び第2のヒータランプ6,7のON時間比率を制御する温度制御を行う。また、ヒータランプ制御方式選定部18は、用紙幅検知センサ13が接続されており、用紙幅検知センサ13で検知した用紙14の幅方向右側のエッジ位置の位置情報を受信する。また、領域11制御用ON時間比率算出部15は、消費電力低減量表示部21が接続されており、消費電力低減量を表示させることができる。
【0033】
上記構成の印刷システム100において、第1及び第2のインクジェットプリンタ102,105から繰り出された用紙14は、その非通紙部側(図中の幅方向右側)のエッジが用紙幅検知センサ13により連続的に検知される。これにより、用紙14の非通紙部側のエッジが、上記3つの領域10、領域11及び領域12のいずれかに位置するかが検知される。また特に、用紙14の非通紙部側のエッジが領域11内に位置する場合には、エッジの領域11内におけるより詳しい位置が検知される。ここで、通紙側用紙エッジ基準位置110からの各領域10乃至12の距離は、例えば、領域10が201[mm]、領域11が321[mm]、領域12が522[mm]である。
【0034】
用紙幅検知センサ13で非通紙部側のエッジを検知された用紙14は、フィラメント8、9による発生熱容量分布を持つ第1及び第2のヒータランプ6、7により目標温度まで温度を上げられた加熱ローラ5により加熱、乾燥される。その後、用紙14は、巻き取り装置107へと搬送されて巻き取られる。
【0035】
第1及び第2のヒータランプ6,7は、第1及び第2の加熱ローラ表面温度検出装置1,2により検知される加熱ローラ5の軸方向に対して左右の表面温度検知位置3,4の温度があらかじめ設定された目標温度になるよう制御される。この目標温度は、例えば、インクが良好に乾燥可能な100[℃]である。
【0036】
制御部20において、ヒータランプ制御方式選定部18は、用紙14に対する用紙幅検知センサ13の出力と印刷範囲データ認識手段19の印刷位置情報とに基づいて、ヒータランプ制御方式を後述の図9又は図11に示すフローに従って判定する。また、目標温度判定部16は第1及び第2の加熱ローラ表面温度検出装置1,2の出力に基づいて、その検出温度と目標温度との差分を判定する。
【0037】
ON時間比率制御部17は、目標温度判定部16及びヒータランプ制御方式選定部18の出力結果に基づいて、用紙14の幅に適した制御方法でヒータランプ位相制御を行う。例えば、目標温度に到達するように第1及び第2のヒータランプ6,7の位相制御におけるON時間比率を決定し、第1及び第2のヒータランプ6,7それぞれを駆動する。
【0038】
ここで、用紙14の幅方向のサイズが中サイズであり、用紙14の非通紙部側(図中の幅方向右側)のエッジ位置が領域11内にある場合には、領域11用ON時間比率算出部15で計算を行い、制御を実施する。なお、このとき算出した、用紙14がインクの乾燥のために必要な熱量と、従来の制御で予想される供給熱量とを算出し、その差分を消費電力低減量表示部21に表示してもよい。
【0039】
図5は、第1及び第2のヒータランプ6,7について、ON時間比率を100[%]としたときの単位長さ当たりの発生熱量の一例を示す説明図である。
図5において、第1及び第2のヒータランプ6,7の単位長さ当たりの発生熱量がそれぞれ発生熱量22,23であり、第1及び第2のヒータランプ6,7を同時に点灯させた場合の単位長さ当たりの発生熱量が発生熱量24である。
【0040】
また、図5において、第1のヒータランプ6の通紙部側端を0[mm]として、第1及び第2のヒータランプ6,7の側端部の位置をそれぞれL1,L2,L3とし、単位長さ当たりの発生熱量24の値をAとする。そして、第1及び第2のヒータランプ6,7の発生熱量22,23をそれぞれ、例えば、図示する値である0.8A,0.5A,0.3Aとなるように、各フィラメント8,9を構成する。
【0041】
図6は、用紙25が幅の小さい小サイズの用紙である場合すなわち用紙25の幅が領域10内の場合の第1及び第2のヒータランプ6,7による単位長さ当たりの発生熱量の一例を示す説明図である。
図6に示すように、用紙25の幅が領域10内にあり、乾燥のための熱量が必要な通紙部全体へ熱量を供給するように、第1のヒータランプ6のみを点灯させ、第2のヒータランプ7は点灯させないように制御する。このとき第1のヒータランプ6の単位長さ当たりの発生熱量は発生熱量26である。そして、加熱ローラ表面温度検出装置1の温度が目標温度となるように第1のヒータランプ6の位相制御におけるON時間比率を決定し、第1のヒータランプ6を駆動する。
【0042】
図7は、用紙25が幅の大きい大サイズの用紙である場合すなわち用紙27の幅(用紙27の右端部)が領域12内の場合の第1及び第2のヒータランプ6,7による単位長さ当たりの発生熱量の一例を示す説明図である。
図7に示すように、第1のヒータランプ6の単位長さ当たりの発生熱量は発生熱量28、第2のヒータランプ7の単位長さ当たりの発生熱量は発生熱量29である。また、第1及び第2のヒータランプ6,7を同時に点灯した時の単位長さ当たりの発生熱量は発生熱量30である。
【0043】
用紙27の幅(用紙27の右端部)が領域12内にあり、乾燥のための熱量が必要な通紙部全体へ熱量を供給するように、第1及び第2のヒータランプ6、7を同時に点灯させる。そして、加熱ローラ表面温度検出装置1,2の温度が目標温度となるように第1及び第2のヒータランプ6,7の位相制御におけるON時間比率をそれぞれ決定し、第1及び第2のヒータランプ6,7をそれぞれ駆動する。
【0044】
図8は、用紙25が中サイズの用紙である場合すなわち用紙31の幅方向の一方の端部(用紙31の右端部)が領域11内の場合の第1及び第2のヒータランプ6,7による単位長さ当たりの発生熱量の一例を示す説明図である。
図8に示すように、用紙31の一方の端部(用紙31の右端部)が領域11内にあり、乾燥のための熱量が必要な通紙部全体へ熱量を供給するために、第1及び第2のヒータランプ6,7を点灯させる。そして、加熱ローラ表面温度検出装置1,2の温度が目標温度となるように第1及び第2のヒータランプ6,7の位相制御におけるON時間比率をそれぞれ決定し、第1及び第2のヒータランプ6,7をそれぞれ駆動する。
【0045】
図8において、非通紙部では用紙31による熱量の消費がないため、第2のヒータランプ7の位相制御におけるON時間比率はほぼ「0」になる。しかし、用紙31のインクを乾燥させるために必要な熱量が0.8Aである場合、フィラメント8の発生熱量分布により、図中上側の斜線部の熱量35の分だけ用紙31への供給熱量が不足してしまう。そこで、通紙部に不足する熱量35と等しい熱量36(図中下側の斜線部)を供給できるように第2のヒータランプ7の位相制御におけるON時間比率を算出し、第2のヒータランプ7を制御する。
【0046】
そのために、まず第2のヒータランプ7の単位長さ当たりの発生熱量33の斜線部外の非通紙部への供給熱量Wから、供給熱量と加熱ローラ5の熱容量から求められる表面温度検知位置4の上昇する温度を計算する。そして、供給熱量Wによって上昇する温度分だけ表面温度検知位置4の目標温度を上昇させて第2のヒータランプ7の位相制御におけるON時間比率を決定し、第1及び第2のヒータランプ6,7をそれぞれ駆動する。
【0047】
ここで、第2のヒータランプ7の単位長さ当たりの発生熱量の図8で示す値をB,C,Dとする。また、発生熱量Bは第2のヒータランプ7の位相制御におけるON時間比率である。従って、フィラメント9の構成から、発生熱量C,Dはそれぞれ次の式(1),(2)で表せる。
【0048】
C=(0.5/0.8)×B=5/8×B・・・(1)
D=(0.3/0.8)×B=3/8×B・・・(2)
【0049】
上記発生熱量Bは、第1及び第2のヒータランプ6,7の位置L1〜L3と、フィラメント9の分布から決まる位置L4,L5を用いて以下の式(6)のように表せる。このとき、熱量35,36の曲線部分は、四角形、三角形で近似する。
【0050】
第1のヒータランプ6で不足する熱量35:
=(L6−L1)×(0.8A−0.5A)+(L1−L5)×(0.8A−0.8B)×1/2・・・(3)
第2のヒータランプ7が供給する通紙部への供給熱量36:
=(L6−L1)×(0.5B−0.3B)+(L1−L4)×(0.5B−0.3B)×1/2+L4×0.3B・・・(4)
【0051】
上記式(3)と式(4)とは等しいので、次式(5)が得られる。
(L6−L1)×(0.8A−0.5A)+(L1−L5)×(0.8A−0.8B)×1/2=(L6−L1)×(0.5B−0.3B)+(L1−L4)×(0.5B−0.3B)×1/2+L4×0.3B・・・(5)
【0052】
上記式(5)から、前述の発生熱量Bは次式(6)のようになる。
B=〔(L1−4×L5+3×L6)/{0.8×(3×L1+2×L4−4×L5+2×L6)}〕×0.8A・・・(6)
【0053】
ここで、発生熱量Bは、位置L1,L4,L5,L6と、第1及び第2のヒータランプ6,7の位相制御におけるON時間比率を100[%]としたときの単位長さ当たりの発生熱量で決まる0.8Aとの積で表せる。位置L1〜L5は、第1及び第2のヒータランプ6,7の構成で決まっているため、用紙幅検知センサ13の出力である位置L6により発生熱量Bが決定する。これにより、第2のヒータランプ7の位相制御におけるON時間比率、および非通紙部への供給熱量Wを決定することができる。
【0054】
また、第2のヒータランプ7の非通紙部への供給熱量Wは、次の式(7)で表すことができる。
【0055】
W=(L2−L6)×0.5B+(L3−L2)×0.8B
=(−0.3×L2+0.8×L3−0.5×L6)×B・・・(7)
【0056】
上記式(7)の供給熱量Wによる、表面温度検知位置4の温度上昇分を算出し、目標温度を温度上昇分だけ上昇させて第2のヒータランプ7の位相制御におけるON時間比率を決定する。
【0057】
以上示した制御により、用紙14が通過する通紙部全体にインクの乾燥に必要な熱量を供給することができる。
【0058】
図9は、本実施形態に係る加熱装置におけるヒータランプ制御方式37の選定フローの一例を示すフローチャートである。
図9において、まず、印刷をしない場合(S1でNo)、用紙14の搬送のみのため、第1及び第2のヒータランプ6,7を停止する用紙送り制御を行う。印刷の有無の確認後(S1)、用紙14の搬送を開始し(S2)、用紙送り制御を行う(S371)。そして、用紙の搬送が停止するまで繰り返す(S3)。
【0059】
一方、印刷を行う場合(S1でYes)、用紙14の搬送が開始され(S4でYes)、用紙幅検知センサ13が用紙14の幅を検知する。用紙幅検知センサ13の出力から用紙14の幅が領域10,領域11,領域12のどの領域内かを判別し、領域10制御,領域11制御,領域12制御のどの制御を行うかを選定する。
【0060】
より詳しくは、用紙幅検知センサ13上の領域11全体が用紙14に覆われていないか否かを検知する(S5)。領域11全体が用紙14に覆われている場合(S5でNo)、用紙幅が領域12内になるため、領域12制御を行う(S372)。一方、S5がYesの場合、用紙幅検知センサ13上の領域11上に用紙14がないか否かを検知し(S6)、領域11上に用紙がある場合(S6でNo)は領域11制御を行い(S373)、用紙がない場合(S6でYes)は領域10制御を行う(S374)。そして、用紙14の搬送が停止するまで繰り返す(S7)。用紙搬送終了によりヒータランプ制御も終了する(S8)。
【0061】
図10は、用紙38の幅が領域12内の場合であって、かつ印刷範囲が領域11内の領域39(用紙38の網掛け部分)のみの場合の制御方法の一例を示す説明図である。
図10において、第1のヒータランプ6の単位長さ当たりの発生熱量が発生熱量40、第2のヒータランプ7の単位長さ当たりの発生熱量が発生熱量41、第1及び第2のヒータランプ6、7を点灯させた時の単位長さ当たりの発生熱量が発生熱量42である。また、用紙38の印刷範囲が領域12内の場合に供給される第1及び第2のヒータランプ6、7を点灯させた時の単位長さ当たりの発生熱量が発生熱量43、第1のヒータランプ6のみを点灯させた場合の印刷範囲39に不足する熱量が不足熱量45である。第2のヒータランプ7から供給する供給熱量46は、不足熱量45と等しい熱量である。
【0062】
印刷範囲が領域39のみのため、領域39の印刷範囲に熱量が供給されていればインクを乾燥させることができる。そのため、用紙38の幅が領域39の場合の制御方法を用いて、領域39に熱量を供給できるように第1及び第2のヒータランプ6,7の位相制御におけるON時間比率をそれぞれ決定し、第1及び第2のヒータランプ6,7をそれぞれ駆動する。
【0063】
上記制御方法により、本来供給されるはずの熱量43と実際に供給する熱量42との差分の熱量44の分だけ熱量を削減することができ、消費電力を低減できる。
また、操作パネルの一部に、本来供給されるはずの熱量43と実際に供給する熱量42との差分の熱量44を消費電力低減量として表示し、オペレータに消費電力の低減量を認識させてもよい。
【0064】
図11は、図10を用いて説明したヒータランプ制御方式45の選定フロー(印刷範囲選定追加)の一例を示すフローチャートである。なお、図9を用いて説明したものと同じ部分については説明を省略する。
図11において、用紙幅検知センサ13上の領域全体が用紙に覆われている場合(S15でNo)、用紙幅は領域12内になるが、更に印刷範囲データ認識手段19から、領域12に印刷があるか否かを判断する(S16)。領域12に印刷がない場合(S16でNo)、ヒータランプ制御方式47中の領域11制御(印刷範囲)を行う(S472)。この領域11制御(印刷範囲)は、図10を用いて説明したものと同じ制御である。一方、領域12に印刷がある場合(S16でYes)、通常どおりに領域12制御を行う(S473)。
【0065】
上記領域11制御(印刷範囲)により、用紙幅が領域12内で領域12に印刷がない場合、用紙幅が領域12内の場合に供給されるはずの熱量43と実際に供給する熱量42との差分の熱量44の分だけ熱量を削減することができ、消費電力を低減できる。
また、操作パネルの一部に、用紙幅が領域12内の場合に供給されるはずの熱量43と実際に供給する熱量42との差分の熱量44を消費電力低減量として表示し、オペレータに消費電力の低減量を認識させてもよい。
【0066】
なお、用紙幅が領域12内であって領域12及び領域11に印刷がない場合、及び、用紙幅が領域11内であって領域11に印刷がない場合には、上述した領域10制御を行ってもよい。このように、用紙幅にかかわらず、用紙に印刷されている印刷幅に応じて、各領域制御を行ってもよい。
【0067】
上記実施形態では、発熱源として第1及び第2のヒータランプ6,7の2本のヒータランプを備えた構成について説明したが、これに限られるものではなく、発熱源としてのヒータランプは3本以上あってもよい。
また、第1のヒータランプ6は、加熱ローラ5の軸方向に対して左側に配設したが、軸方向に対して中央部に配設し、その両側に第2のヒータランプ7及び第3のヒータランプを配設してもよい。この場合、用紙14は加熱ローラ5の軸方向に対して中央部を搬送しながら加熱される。
【0068】
また、上記実施形態では、加熱装置を印刷システムに設けて記録媒体に塗布されたインク液を乾燥させる構成について説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、上記構成の加熱装置を電子写真方式の画像形成装置における定着装置に設けて記録媒体に形成されたトナー画像を定着させてもよい。
【0069】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
所定方向に搬送される用紙14などの加熱対象の記録媒体を加熱する加熱ローラ5と、加熱ローラに内蔵され、加熱ローラの軸方向に延在する第1及び第2のヒータランプなどの複数の発熱源と、複数の発熱源を制御する制御部20などの制御手段と、を備えた乾燥部103や乾燥ユニット107などの加熱装置であって、複数の発熱源は、加熱ローラの軸方向で互いに一部分づつ順次重複するように位置をずらして配設され、複数の発熱源それぞれの重複部分の発生熱量は非重複部分の発生熱量よりも低くなるように構成され、加熱ローラにおける複数の発熱源それぞれに対応する表面温度を検出する第1及び第2の加熱ローラ表面温度検出装置1,2などの複数の温度検出手段を備え、制御手段は、複数の温度検出手段の検出結果がそれぞれ所定の目標温度になるように複数の発熱源を制御する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、加熱対象の記録媒体の幅方向のサイズが、その記録媒体の端縁が上記重複部分に位置するような中サイズの場合、その重複部分では記録媒体が二つの発熱源の重複部分の発生熱量の合計で加熱される。このように二つの発熱源の重複部分の発生熱量の合計で加熱されるので、加熱ローラの記録媒体が通過していない部分に対応する非重複部を有する一方の発熱源について目標温度を低めに設定することができる。この一方の発熱源について目標温度を低めに設定しても、加熱ローラの上記重複部分に対応する部分を所定温度にして記録媒体を加熱することができる。しかも、上記一方の発熱源に対する目標温度を低めに設定することで、その発熱源の非重複部での不要な熱量の供給を抑制することができる。以上のように、加熱対象の記録媒体が中サイズの場合に記録媒体を所定温度で加熱できるとともに不要な熱量の供給を抑制して消費電力を低減することができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、複数の温度検出手段はそれぞれ、加熱ローラにおける複数の発熱源それぞれの非重複部分に対応する表面温度を検出する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、複数の発熱源それぞれの非重複部分に対応する表面温度を検出して制御に用いることにより、複数の発熱源に対する互いに独立した個別制御を容易に行うことができる。
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、記録媒体の幅方向における搬送基準から離れた端部位置を検知する用紙幅検知センサ13などの端部位置検知手段を備え、制御手段は、幅方向位置検知手段が、記録媒体の幅方向における通紙側用紙エッジ基準位置110などの搬送基準から離れた端部位置が、複数の発熱源の重複部分に対応する領域内にあることを検知したとき、記録媒体の端部位置が位置する重複部分において記録媒体に供給される熱量が所定の熱量になるように、記録媒体の端部位置で互いに一部重複している複数の発熱源のうち、搬送基準を含まない領域を加熱する発熱源に対応する目標温度を設定する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、記録媒体を加熱するための熱量が、搬送基準を含む領域を加熱する発熱源の発生熱量のみでは不足する場合、不足分の熱量を搬送基準を含まない領域を加熱する発熱源の発生熱量で補充するように制御する。これにより、記録媒体の加熱に要する熱量を不足することなく十分に供給することができるとともに、より確実に消費電力を低減することができる。
(態様D)
上記態様A又はBにおいて、記録媒体の幅方向における画像が形成されている画像形成範囲を検出する印刷範囲データ認識手段19などの画像形成範囲検出手段を更に備え、
制御手段は、画像形成範囲検出手段の検出結果に基づいて、記録媒体の幅方向における搬送基準から離れた画像形成範囲の端部位置が、複数の発熱源の重複部分に対応する領域内にあると判断したとき、画像形成範囲の端部位置が位置する重複部分において記録媒体に供給される熱量が所定の熱量になるように、画像形成範囲の端部位置で互いに一部重複している複数の発熱源のうち、搬送基準を含まない領域を加熱する発熱源に対応する目標温度を設定する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、記録媒体を加熱するための熱量が、画像形成範囲の搬送基準を含む領域を加熱する発熱源の発生熱量のみでは不足する場合、次のように制御する。すなわち、不足分の熱量を画像形成範囲の搬送基準を含まない領域を加熱する発熱源の発生熱量で補充するように制御する。これにより、記録媒体の画像形成範囲の加熱に要する熱量を不足することなく十分に供給することができるとともに、より確実に消費電力を低減することができる。特に、本態様Dでは、記録媒体の一部に画像が形成されている場合に、熱量が不要な非画像形成領域への供給熱量を削減し、より確実に消費電力を低減することができる。
(態様E)
上記態様C又はDにおいて、搬送基準を含まない領域を加熱する発熱源の非重複部分に対応する温度の検出結果が設定した目標温度になるように発熱源を制御した場合に発熱源から供給される熱量と、発熱源の非重複部分に対応する温度の検出結果が最大設定可能な目標温度になるように発熱源を制御する場合に発熱源から供給される予測熱量とを算出する制御部20などの手段と、二つの熱量の算出値の差分を消費電力低減量として表示する消費電力低減量表示部21表示手段とを更に備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、オペレータなどに消費電力低減量を認識させることができる。
(態様F)
上記態様A乃至Eのいずれかにおいて、記録媒体の搬送基準は、加熱ローラにおける軸方向におけるいずれか一方の端部側に位置し、複数の発熱源は、搬送基準を含むいずれか一方の端部側の領域を非重複部分で加熱する第1のヒータランプ6などの第1の発熱源と、搬送基準を含まないもう一方の端部側の領域を非重複部分で加熱する第2のヒータランプ7などの第2の発熱源とにより構成されている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、第1の発熱源と第2の発熱源との発熱量を制御して、記録媒体の幅に応じた発熱量で加熱することにより、消費電力をより低減することができる。例えば、幅が重複部分まで満たない小さいサイズの記録媒体については第1の加熱源のみで加熱し、幅が重複部分以上のサイズの記録媒体については第1の発熱源に加えて第2の発熱源の発熱量を制御しながら加熱することができる。
(態様G)
上記態様A乃至Eのいずれかにおいて、記録媒体の搬送基準は、加熱ローラにおける軸方向における中央部分に位置し、複数の発熱源は、搬送基準を含む中央部分の領域を非重複部分で加熱する第1の発熱源と、搬送基準を含まない端部側の領域を非重複部分で加熱する第2の発熱源及び第3の発熱源とにより構成されている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、第1の発熱源、第2の発熱源及び第3の発熱源の発熱量を制御して、記録媒体の幅に応じた発熱量で加熱することにより、消費電力をより低減することができる。例えば、幅が重複部分まで満たない小さいサイズの記録媒体については第1の加熱源のみで加熱し、幅が重複部分以上のサイズの記録媒体については第1の発熱源に加えて、第2の発熱源及び第3の発熱源の少なくとも一方の発熱量を制御しながら加熱する。
(態様H)
上記態様A乃至Gのいずれかにおいて、複数の発熱源はそれぞれ、オン/オフ制御可能なヒータランプであり、制御手段は、複数の発熱源それぞれについて、温度検出手段で検出した非重複部分の温度が目標温度になるようにオン時間比率を調整する位相制御を行う。
これによれば、上記実施形態について説明したように、簡易な方法で発熱源から供給熱量を精度よく制御することができる。
(態様I)
用紙14などの記録媒体にインク液を塗布して画像を形成する印刷部210などの画像形成部と、画像形成部で画像が形成された記録媒体を加熱ローラで加熱して乾燥する乾燥部103などの乾燥処理部とを備えた第1のインクジェットプリンタ102や第2のインクジェットプリンタ105などの画像形成装置であって、乾燥処理部は、上記態様A乃至Gのいずれかの加熱装置を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、加熱対象の記録媒体が中サイズの場合に記録媒体を所定温度で加熱して確実に乾燥させることができるとともに不要な熱量の供給を抑制して消費電力を低減することができる。
(態様J)
記録媒体にインク液を塗布して画像を形成する画像形成装置と、記録媒体の搬送方向における画像形成装置の下流側に位置し、画像形成装置で画像が形成された記録媒体を加熱して乾燥する乾燥処理装置と、を備えた画像形成システムであって、前記乾燥処理装置は、上記態様A乃至Gのいずれかの加熱装置を備える。
これによれば、上記実施形態について説明したように、加熱対象の記録媒体が中サイズの場合に記録媒体を所定温度で加熱して確実に乾燥させることができるとともに不要な熱量の供給を抑制して消費電力を低減することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 第1の加熱ローラ表面温度検出装置
2 第2の加熱ローラ表面温度検出装置
3 軸方向左端側の表面温度検知位置
4 軸方向右端側の表面温度検知位置
5 加熱ローラ
6 第1のヒータランプ
7 第2のヒータランプ
8,9 フィラメント
10,11,12 領域
13 用紙幅検知センサ
14 用紙
15 領域11制御用ON時間比率算出部
16 目標温度判定部
17 ON時間比率制御部
18 ヒータランプ制御方式選定部
19 印刷範囲データ認識手段
20 制御部
22,23,24 発熱量
25,27,31、38 用紙
100 インクジェット印刷装置
101 給紙装置
102 第1のインクジェットプリンタ
103,106 乾燥部
104 反転装置
105 第2のインクジェットプリンタ
107 乾燥ユニット
108 巻き取り装置
110 通紙側用紙エッジ基準位置
210 印刷部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2003−151722号公報
図2
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