特開2017-7322(P2017-7322A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-7322(P2017-7322A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20161216BHJP
【FI】
   B41J2/14 611
   B41J2/14 613
   B41J2/14 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-191253(P2015-191253)
(22)【出願日】2015年9月29日
(31)【優先権主張番号】特願2015-126542(P2015-126542)
(32)【優先日】2015年6月24日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】笠原 亮
【住所又は居所】神奈川県厚木市下荻野1005番地 リコーインダストリー株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】清水 武司
【住所又は居所】神奈川県厚木市下荻野1005番地 リコーインダストリー株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】吉田 崇裕
【住所又は居所】東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式会社リコー内
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF65
2C057AG15
2C057AG47
2C057AG61
2C057AG92
2C057AG93
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】電気機械変換素子や外部電極が、冷却用の液と接触することなく、電気機械変換素子、共通外部電極、個別液室を効率的に冷却する。
【解決手段】ノズル114が形成されたノズル板118と、ノズル114に連通する個別液室115が形成された流路板119と、個別液室115の少なくとも一部を封止する振動板116と、振動板116を介して個別液室115と対向する側に設けられる電気機械変換素子110と、を備える液体吐出ヘッド34であって、電気機械変換素子110を駆動させる個別外部電極121および複数の電気機械変換素子110の共通外部電極120を備え、共通外部電極120は、振動板116を介して流路板119と対向する側に設けられるとともに、個別液室115の配列方向に亘り個別液室115とは独立した液流路108が設けられ、かつ、共通外部電極120と液流路108との間に熱伝導体117が介在している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが形成されたノズル板と、
前記ノズルに連通する個別液室が形成された流路板と、
前記個別液室の少なくとも一部を封止する振動板と、
前記振動板を介して前記個別液室と対向する側に設けられる電気機械変換素子と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記電気機械変換素子を駆動させる個別外部電極および複数の前記電気機械変換素子の共通外部電極を備え、
前記共通外部電極は、前記振動板を介して前記流路板と対向する側に設けられるとともに、
前記個別液室の配列方向に亘り前記個別液室とは独立した液流路が設けられ、かつ、
前記共通外部電極と前記液流路との間に熱伝導体が介在していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
ノズルが形成されたノズル板と、
前記ノズルに連通する個別液室が形成された流路板と、
前記個別液室の少なくとも一部を封止する振動板と、
前記振動板を介して前記個別液室と対向する側に設けられる電気機械変換素子と、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記電気機械変換素子を固定する支持体を備え、
前記個別液室の配列方向に亘り前記個別液室とは独立した液流路が設けられるとともに、
前記振動板は、前記液流路の少なくとも一部を封止し、かつ、前記振動板と前記支持体との間に熱伝導部材が介在していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記電気機械変換素子を駆動させる個別外部電極および複数の前記電気機械変換素子の共通外部電極を備え、
前記共通外部電極は、前記振動板を介して前記流路板と対向する側に設けられるとともに、
前記共通外部電極の一部が前記振動板と接触している、または、前記共通外部電極と前記振動板とは熱伝導体を介して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記熱伝導部材と、前記支持体および前記振動板の少なくとも一方は、前記熱伝導体を介して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記熱伝導部材は、アルミニウムからなることを特徴とする請求項2から4までのいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記熱伝導体は、絶縁性があることを特徴とする請求項1または3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記液流路は、二列の前記個別液室の配列の間に設けられていることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記液流路には、前記ノズルから吐出される吐出液と同一の液が循環されることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記液流路は、前記ノズルから吐出される吐出液よりも比熱の高い液が循環されることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写機、プロッタ、或いはこれらの内の複数の機能を複合した画像形成装置として、例えば、インク等の液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)を備えたインクジェット記録装置がある。
【0003】
液体吐出ヘッドは、インクなどの液体の液滴を吐出するノズルと、このノズルに連通し液体を収容した液室(個別液室)と、圧電体としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などを有する圧電素子などの電気機械変換素子と、を備えた構成が知られている。
【0004】
このピエゾ方式の液体吐出ヘッドでは、電気機械変換素子に電圧が印加されることにより、電気機械変換素子は液室の壁の一部を形成する振動板を変形させるように振動し、その振動板の変形により液室内の液体が加圧され、ノズルから液滴を吐出させることができる。
【0005】
このような液体吐出ヘッドにおいて、電気機械変換素子への電力供給時の発熱による変位特性の劣化や、圧電特性の喪失を防ぎ、温度分布に起因する液体の吐出特性のばらつきを低減するため、様々な温度調整手段を備えたものが提案されている。
【0006】
液体吐出ヘッドの温度調整手段としては、インク流路間に冷却用の液流路が設けられ、液を流すことで液の温度調整を行い、記録ヘッドの温度調整を行う技術が知られている。
【0007】
例えば、特許文献1には、インクジェット記録ヘッド内の温度ばらつきを低減し、冷却することを目的として、一方の面に複数の溝が並んで形成され、少なくとも溝の側壁の一部が圧電材料からなる基板となる構成、さらに複数の溝はインク流路と液流路が交互に配置されている構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、温度分布に起因するインク吐出特性のばらつきの要因となる電気機械変換素子や外部電極(共通外部電極、個別外部電極)の発熱を、冷却用の液を流して冷却する方式において、電気機械変換素子や外部電極が液と接触しているため、ヘッド自体の寿命が短くなるおそれがあった。
【0009】
また、電気機械変換素子や最大発熱源となる共通外部電極、およびインク吐出特性に影響のある個別液室を効率的に冷却することについて十分とはいえなかった。
【0010】
そこで本発明は、電気機械変換素子や外部電極が、冷却用の液と接触することなく、電気機械変換素子、共通外部電極、個別液室を効率的に冷却することができる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、ノズルが形成されたノズル板と、前記ノズルに連通する個別液室が形成された流路板と、前記個別液室の少なくとも一部を封止する振動板と、前記振動板を介して前記個別液室と対向する側に設けられる電気機械変換素子と、を備える液体吐出ヘッドであって、前記電気機械変換素子を駆動させる個別外部電極および複数の前記電気機械変換素子の共通外部電極を備え、前記共通外部電極は、前記振動板を介して前記流路板と対向する側に設けられるとともに、前記個別液室の配列方向に亘り前記個別液室とは独立した液流路が設けられ、かつ、前記共通外部電極と前記液流路との間に熱伝導体が介在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電気機械変換素子や外部電極が、冷却用の液と接触することなく、電気機械変換素子、共通外部電極、個別液室を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】画像形成装置の機構を示す断面図である。
図3】画像形成装置の要部構成を示す上面図である。
図4】液体吐出ヘッドを示す斜視図である。
図5】液体吐出ヘッドの内部構成を示す斜視図である。
図6】液体吐出ヘッドの流路構成を示す説明図である。
図7図6のA−A’断面図である。
図8】液体吐出ヘッドへの液体の供給についての説明図である。
図9】液体吐出ヘッドへの液体の供給についての説明図である。
図10図6のA−A’断面図の他の例である。
図11図6のA−A’断面図の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る構成を図1から図11に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
(画像形成装置)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。図1に示す画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。
【0016】
さらに、装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5としている。
【0017】
カートリッジ装填部4には、色の異なる色材であるインク、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数のインクカートリッジ10k,10c,10m,10y(色を区別しないときは「インクカートリッジ10」という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)6を開閉可能に設けている。
【0018】
次に、画像形成装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。図2は同機構部の概要を示す側面模式的説明図、図3は同じく要部平面説明図である。
【0019】
図3に示すように、左右の側板21A,21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、駆動手段である主走査モータによってタイミングベルトを介して図3の矢印で示す方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0020】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッド34を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ33には、キャリッジ33の主走査動作による圧力変動を抑制するための圧力ダンパ機構35を搭載している。
【0021】
液体吐出ヘッドは各色のインク供給チューブ36を介して、所定の位置に配置されたサブタンク8k,8c,8m,8y(色を区別しないときは「サブタンク8」という。)に貯蔵されているインクが供給される。サブタンク8には、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填部4にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット7が設けられている。
【0022】
インク供給チューブ36は、前ステー29上の保持部材37に途中部分が保持されている。液体吐出ヘッド34へのインク充填は、キャップ82(82a〜d)で液体吐出ヘッド34がキャッピングされた状態で、循環ポンプ143により送液することで行われる。循環ポンプ143を駆動すると、液体吐出ヘッド34、インク供給チューブ36内の空気がサブタンク8内へと送られ、この動作によって負圧になった液体吐出ヘッド34、インク供給チューブ36内がインクで満たされる。つまり、インク供給チューブ36を介してサブタンク8と液体吐出ヘッド34との間でインクが循環される。
【0023】
一方、図2に示すように、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0024】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を液体吐出ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して液体吐出ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0025】
搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。搬送ベルト51は、駆動手段である副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0026】
さらに、液体吐出ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0027】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度、カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0028】
さらに、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、液体吐出ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。
【0029】
この維持回復機構81には、液体吐出ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a,82b,82c,82d(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。
【0030】
また、図3に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には液体吐出ヘッド34のノズル列方向に沿った開口89などを備えている。
【0031】
このように構成した画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド部材45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド部材47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0032】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスとが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。
【0033】
このプラスとマイナスとが交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0034】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0035】
印字(記録)待機中にはキャリッジ33は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で液体吐出ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で液体吐出ヘッド34をキャッピングした状態で吸引ポンプによってノズルからインクを吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘したインクや気泡を排出する回復動作を行う。さらに、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、液体吐出ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
【0036】
(液体吐出ヘッド)
図4は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド34の外観を示す斜視図である。また、図5は、図4に示す液体吐出ヘッド34の内部構成を示す斜視図である。また、図6は、液体吐出ヘッド34の流路構成を示す説明図である。
【0037】
液体吐出ヘッド34は、カバー102と、フレキシブルプリント配線基板(FPC:Flexible Printed Circuit)103と、放熱板104と、ハウジング105と、第1供給口106と、第2供給口107と、液流路108と、駆動IC109と、電気機械変換素子110と、温度モニタリング素子111と、ヒータ112と、供給流路113と、ノズル114と、個別液室115等を有している。
【0038】
カバー102は、液体吐出ヘッド34の外観カバーであって、図5では、内部構成の説明のために一部を除いた状態を示している。
【0039】
ハウジング105の短手方向の両端部には、供給流路113への液体の供給口となる第1供給口106と、液流路108への液体の供給口となる第2供給口107が形成されている。
【0040】
本実施形態では、2つの第1供給口106の間に1つの第2供給口107が形成されており、計3つの供給口がハウジング105の短手方向に並んで2組形成され、計6つの供給口が設けられている。
【0041】
図6は、2つの第1供給口106と1つの第2供給口107と、供給流路113と液流路108との連通を示す説明図である。図6に示すように、第1供給口106は、それぞれ独立した供給流路113に連通しており、供給流路113は、ハウジング105の長手方向に沿って延在するとともに、ハウジング105の長手方向に並列して形成される個別液室115に連通している。ハウジング105の長手方向が個別液室115の配列方向である。
【0042】
また、図6に示すように、第2供給口107は、ハウジング105の長手方向に沿って設けられる液流路108に連通している。液流路108は、ハウジング105の短手方向において、2つの供給流路113の間に設けられ、供給流路113や個別液室115からは独立しており、非連通となっている。
【0043】
また、第1供給口106は供給流路113の両端に設けられ、第2供給口107は液流路108の両端に設けられている。なお、第1供給口106および第2供給口107は、液体の流路となっているため、液体の循環時には一方から供給され、一方から排出されるものである。
【0044】
個別液室115は、供給流路113の垂直方向に複数並列して設けられ、供給流路113の連通部との他端側には、ノズル114が形成されている。個別液室115およびノズル114は、2つの供給流路113でハウジング105の長手方向に所定のずれを持って形成されており、ノズル114で形成される2列のノズル列は千鳥状に配列される。そして、液流路108は、2列のノズル列の間に設けられている。
【0045】
本実施形態では、図6に示す2つの第1供給口106と1つの第2供給口107が、図5に示したように2組形成されており、すなわち、ハウジング105内には、供給流路113が4箇所、液流路108が2箇所形成されている。
【0046】
なお、液体吐出ヘッド34は、2つの供給流路113と、その間に1つの液流路108が設けられた3つの流路が2組並んだものに限定されず、1組や3組以上であってもよい。また、供給流路113と液流路108の本数の組み合わせの構成も、上記の例に限られるものではない。
【0047】
FPC103は、上位装置からの電気信号の伝達を行うものであり、例えば、駆動配線が積層状に形成された積層タイプのFPCである。FPC103は、電気機械変換素子110の駆動を制御する駆動IC109を備えた駆動回路基板に接続されている。
【0048】
駆動回路基板から供給された信号に基づいて、電気機械変換素子110に電圧が印加されて電気機械変換素子110が変形することにより、個別液室115内の圧力が上昇し、噴射液(吐出液)が吐出される。
【0049】
また、駆動IC109に隣接する位置には、駆動IC109の発熱をヘッド外部へ放出する放熱板104が設けられており、放熱板104の一端はカバー102から液体吐出ヘッド34の外部に露出する構成としている。
【0050】
また、ハウジング105内には、噴射液の温度を測定する温度検知手段として、温度モニタリング素子111が設けられている。温度モニタリング素子111は、FPC103に接続されている。
【0051】
また、ハウジング105内には、噴射液を加温する加温手段として、ヒータ112が設けられている。
【0052】
図7は、図6のA−A’断面図である。液体吐出ヘッド34は、液吐出をするノズル114が形成されたノズル板118と、ノズル114に連通する複数の個別液室115が形成された流路板119と、個別液室115の一面を封止する振動板116と、を積層して作製された噴射液流路ユニットと、を有する。また、図7に示すように、個別液室115と液流路108とは、流路板119の隔壁119aを挟んで隣り合っている。なお、液流路108の中央の線は断面図の奥行方向がずれる部分を示している。
【0053】
噴射液流路ユニットは、ハウジング105に保持固定されている。供給流路113は噴射液流路ユニットとハウジング105により構成され、第1供給口106は外部より噴射液の供給を行う。
【0054】
また、噴射液流路ユニットの振動板116側の面には、電気機械変換素子110が接合され、振動板116の凸部分を電気機械変換素子110により押圧して個別液室115に圧力を伝えている。また、電気機械変換素子110を駆動させる個別外部電極121(図中の破線部)と、複数の電気機械変換素子110の共通外部電極120(図中の点線部)が設けられる。
【0055】
電気機械変換素子110は、各ノズル列に対応して複数配置され、高密度に配置されたノズル114からの液吐出の圧力発生源となる。また、共通外部電極120は、振動板116を介して流路板119と対向する側に設けられている。
【0056】
本実施形態に係る液体吐出ヘッド34は、共通外部電極120と液流路108との間に熱伝導体117が設けられている。共通外部電極120と熱伝導体117とは少なくとも一部が接触していることが好ましい。
【0057】
熱伝導体117の構成は、振動板116よりも熱伝導率が良い材質で構成することが効果的である。また、熱伝導体117は、絶縁性がある材質からなることが好ましく、例えば、液状エポキシ樹脂封止材(例として、リコ・ジーマ・イナス(住友大阪セメント株式会社製)などを用いることができる。絶縁性のある熱伝導体117とすることで、共通外部電極120との通電防止を行うことができる。また、熱伝導体117は、液流路108に沿って、個別液室115の配列方向の長手方向の略全域に設けられていることが好ましい。
【0058】
次に、図8を参照して、本実施形態に係る液体吐出ヘッド34への噴射液(インク)の供給、および液流路108に供給する液体(冷却用の液)の供給について説明する。
【0059】
図8に示すように、液体吐出ヘッド34には、噴射液を供給するための噴射液タンク124(図3の例ではサブタンク8)が接続される。
【0060】
噴射液は、噴射液タンク124から供給経路123(図3の例ではインク供給チューブ36)を介して、液体吐出ヘッド34の4つの第1供給口106を介して供給流路113に供給される。供給流路113に供給された噴射液は、適宜、ノズル114から吐出される。
【0061】
また、液体が、噴射液タンク124から液経路122を介して、液体吐出ヘッド34の2つの第2供給口107を介して液流路108に供給される。液流路108に供給された液体は、反対側の第2供給口107から再び噴射液タンク124に戻る。すなわち、液体は、循環する構成となっている。
【0062】
ここで、図8の例では、液流路108に供給する液体は、噴射液タンク124から供給される噴射液としている。
【0063】
液流路108に、噴射液タンク124から噴射液と同一の液体を循環させることで、噴射液タンク124と同等温度の噴射液での温度調整を可能とすることができる。
【0064】
次に、図9を参照して、本実施形態に係る液体吐出ヘッド34への噴射液の供給、および液流路108に供給する液体の供給の他の例について説明する。
【0065】
図9に示すように、液体吐出ヘッド34には、噴射液を供給するための噴射液タンク124と、液体を供給するための液タンク125が接続される。
【0066】
噴射液は、噴射液タンク124から供給経路123を介して、液体吐出ヘッド34の4つの第1供給口106を介して供給流路113に供給される。
【0067】
また、液体は、液タンク125から液経路122を介して、液体吐出ヘッド34の2つの第2供給口107を介して液流路108に供給される。液流路108に供給された液体は、反対側の第2供給口107から再び噴射液タンク124に戻る。すなわち、液体は、循環する構成となっている。
【0068】
ここで、図9の例では、液流路108に供給する液体は、噴射液タンク124から供給される噴射液とは異なる液体としている。この場合の液体としては、噴射液(インク)よりも比熱の高い液体とすることが好ましい。
【0069】
液流路108と液タンク125に、比熱の高い液を循環させることで、内乱の影響がないことに加えて、比熱の高い液による放熱特性とすることができる。
【0070】
以上説明した第1の実施形態に係る液体吐出ヘッド34によれば、液流路108を循環する液体と、電気機械変換素子110、個別外部電極121および共通外部電極120が接触することなく、最大発熱源となっている共通外部電極120の発熱と、インク吐出特性に影響のある個別液室115を効率的に冷却することができる。
【0071】
また、二列の個別液室115の配列の間に液流路108を設けた構成とすることにより、二列の個別液室115の配列を、一つの液流路108により冷却することが可能となっている。
【0072】
[第2の実施形態]
以下、本発明に係る液体吐出ヘッドの他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は適宜省略する。
【0073】
図10は、図6のA−A’断面図の他の例である。液体吐出ヘッド34は、ノズル114が形成されたノズル板118と、複数の個別液室115が形成された流路板119と、個別液室115の一面を封止する振動板116と、を積層して作製された噴射液流路ユニットと、を有する。また、図10に示すように、個別液室115と液流路108とは、流路板119の隔壁119aを挟んで隣り合っている。
【0074】
また、噴射液流路ユニットの振動板116側の面には、電気機械変換素子110が接合されている。また、電気機械変換素子110を駆動させる個別外部電極121(図中の破線部)と、複数の電気機械変換素子110の共通外部電極120(図中の点線部)が設けられる。
【0075】
本実施形態に係る液体吐出ヘッド34では、電気機械変換素子110は、共通外部電極120を挟んで、支持体126に固定されている。電気機械変換素子110と支持体126とは、接着剤(接着層128)で固定されている。支持体126は、電気機械変換素子110の発熱を、支持体126、熱伝導部材127、熱伝導体117、振動板116の順に介して液流路108に伝えることで熱を逃がすことができる。また、支持体126は、液流路108に沿って、個別液室115の配列方向の長手方向の略全域に設けられていることが好ましい。
【0076】
また、図7に示す第1の実施形態では、振動板116の液流路108を挟んだ反対側は、電気機械変換素子110の間の空間となっていたが、本実施形態では、図10に示すように、熱伝導部材127を設け、液流路108に面する振動板116と、支持体126とを、熱伝導部材127を介在して設けている。また、熱伝導部材127は、液流路108に沿って、個別液室115の配列方向の長手方向の略全域に設けられていることが好ましい。
【0077】
熱伝導部材127は、剛性等の制限がなく種々の材質が適用できる。例えば、熱伝導率が良好なアルミニウム等の材料を用いることが好ましい。
【0078】
また、熱伝導部材127と振動板116との間には、熱伝導体117が設けられていることが好ましい。
【0079】
また、熱伝導部材127と支持体126との間には、熱伝導体117が設けられていることが好ましい。
【0080】
図11は、図6のA−A’断面図の他の例である。図10に示すように、共通外部電極120の一部と、振動板116とは、接触するものであってもよいが、図11に示すように、共通外部電極120と振動板116との間にも、熱伝導体117が設けられていることが好ましい。
【0081】
以上説明した第2の実施形態に係る液体吐出ヘッド34によれば、第1の実施形態と同様に、液流路108を循環する液体と、電気機械変換素子110、個別外部電極121および共通外部電極120が接触することなく、共通外部電極120の発熱と、個別液室115を効率的に冷却することができる。
【0082】
また、ここまで説明した本実施形態に係る液体吐出ヘッド34を備えるインクジェット記録装置(画像形成装置)とすることで、冷却効率が良好で高品位な液体吐出ヘッド34を備えたインクジェット記録装置とすることができる。
【0083】
なお、画像形成装置として、インクジェットプリンタを例として説明したが、インクジェットコピー、インクジェットファックス、あるいはそれらの複合型記録装置にも適用できる。また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【0084】
また、インクジェット記録装置では、媒体を搬送しながら液体吐出ヘッドによりインク滴を用紙に付着させて画像形成を行う。ここでの媒体は「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。また、画像形成装置は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液滴を吐出して画像形成を行う装置を意味する。
【0085】
そして、画像形成とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(単に液滴を吐出する)ことをも意味する。また、インクとは、所謂インクに限るものではなく、吐出されるときに液滴となるものであれば特に限定されるものではなく、例えばDNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる液体の総称として用いる。例えば、インクジェット記録装置以外にも、インクジェット技術を用いたカラーフィルタ製造装置、金属配線製造装置、捺染装置、DNAチップ製造装置などの工業用製造装置にも適用できる。
【0086】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0087】
34 液体吐出ヘッド
102 カバー
103 フレキシブルプリント配線基板
104 放熱板
105 ハウジング
106 第1供給口
107 第2供給口
108 液流路
109 駆動IC
110 電気機械変換素子
111 温度モニタリング素子
112 ヒータ
113 供給流路
114 ノズル
115 個別液室
116 振動板
117 熱伝導体
118 ノズル板
119 流路板
120 共通外部電極
121 個別外部電極
122 液経路
123 供給経路
124 噴射液タンク
125 液タンク
126 支持体
127 熱伝導部材
128 接着層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特開2011−235480号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図8
図9
図7
図10
図11