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特開2017-8013面不斉シクロペンタジエニル−マンガン錯体を基本骨格に有するホスフィン−オレフィン配位子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-8013(P2017-8013A)
(43)【公開日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】面不斉シクロペンタジエニル−マンガン錯体を基本骨格に有するホスフィン−オレフィン配位子
(51)【国際特許分類】
   C07F 19/00 20060101AFI20161216BHJP
   C07F 17/00 20060101ALI20161216BHJP
   C07F 9/50 20060101ALI20161216BHJP
   C07C 49/67 20060101ALI20161216BHJP
   C07C 45/69 20060101ALI20161216BHJP
   C07C 49/697 20060101ALI20161216BHJP
   C07C 49/213 20060101ALI20161216BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20161216BHJP
   C07F 13/00 20060101ALN20161216BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20161216BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20161216BHJP
【FI】
   C07F19/00CSP
   C07F17/00
   C07F9/50
   C07C49/67
   C07C45/69
   C07C49/697
   C07C49/213
   B01J31/24 Z
   C07F13/00 A
   C07B61/00 300
   C07B53/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2015-128291(P2015-128291)
(22)【出願日】2015年6月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2015年3月11日(水) 公益社団法人 日本化学会発行の「日本化学会第95春季年会(2015)講演予稿集IVの要旨集」において公開。 2015年3月27日 日本大学理工学部船橋キャンパス(千葉県船橋市習志野台7−24−1)、および薬学部(千葉県船橋市習志野台7−7−1)にて開催された「日本化学会第95春季年会(2015)」で口頭発表。
(71)【出願人】
【識別番号】505127721
【氏名又は名称】公立大学法人大阪府立大学
【住所又は居所】大阪府堺市中区学園町1番1号
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
【住所又は居所】北海道札幌市北区北8条西5丁目
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】神川 憲
【住所又は居所】大阪府堺市中区学園町1番1号 公立大学法人大阪府立大学内
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤーイー
【住所又は居所】大阪府堺市中区学園町1番1号 公立大学法人大阪府立大学内
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 正道
【住所又は居所】北海道札幌市北区北8条西5丁目 国立大学法人北海道大学内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 保
【住所又は居所】北海道札幌市北区北8条西5丁目 国立大学法人北海道大学内
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H050
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169AA08
4G169BA21A
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC29A
4G169BC62A
4G169BC62B
4G169BC71A
4G169BC71B
4G169BC72A
4G169BC74A
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE02A
4G169BE02B
4G169BE04A
4G169BE04B
4G169BE26A
4G169BE26B
4G169BE27A
4G169BE27B
4G169BE33C
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE42A
4G169BE42B
4G169BE46A
4G169BE46B
4G169CB25
4G169CB57
4G169CB59
4G169CB64
4G169CB65
4G169CB66
4G169CB71
4G169CB77
4G169FB58
4H006AA02
4H006AC21
4H006AC81
4H006BA16
4H006BA24
4H006BA32
4H006BA40
4H006BA48
4H006BA81
4H039CA10
4H039CA20
4H039CA41
4H039CD90
4H039CF10
4H039CJ30
4H050AA01
4H050AA02
4H050AA03
4H050AB40
4H050AC20
4H050BA17
4H050BA44
4H050BA47
4H050BA48
4H050WB11
4H050WB16
4H050WB21
(57)【要約】
【課題】本発明は、環状エノン化合物のみならず、脂肪族エノン化合物を含む種々のエノン化合物に対しても収率および光学純度が高い遷移金属触媒不斉反応用の面不斉配位子の提供を課題とする。
【解決手段】以下の一般式(7):

(7)
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(7):
【化1】
(7)
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物。
【請求項2】
前記一般式(7)において、前記Rがイソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基であり、前記R’が水素原子、メチル基、イソプロピル基、フェニル基またはベンジル基であり、前記R”がイソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記一般式(7)において、前記Rがフェニル基または3,5−キシリル基であり、前記R’がメチル基またはイソプロピル基であり、前記R”がフェニル基または3,5−キシリル基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の、式(7):
【化2】
(7)
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される、(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物を、遷移金属触媒不斉反応に使用することを特徴とする、式(7)の化合物の遷移金属触媒不斉反応用面不斉配位子としての使用方法。
【請求項5】
前記遷移金属触媒不斉反応が、遷移金属触媒による、不斉アリル位アミノ化反応、不斉アリル位チオエーテル化反応、不斉アリル位アルキニル化反応もしくは不斉鈴木−宮浦クロスカップリング反応;有機ボロン酸の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応;有機亜鉛化合物の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応;または有機チタン化合物の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応である、請求項4に記載の不斉反応用不斉配位子としての使用方法。
【請求項6】
前記遷移金属触媒が、ロジウム、パラジウムまたはイリジウムである、請求項4または5に記載の不斉反応用不斉配位子としての使用方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物と遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体からなる触媒組成物。
【請求項8】
以下の、式(1):
【化3】
(1)
で表されるシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(1)に、非プロトン性有機溶媒中、リチオ化剤および臭素化剤を反応させ、式(2):
【化4】
(2)
で表されるη−ブロモシクロペンタジエニルマンガン(I)トリカルボニル化合物を得、これに非プロトン性有機溶媒中、リチウムアミドおよびジメチルホルムアミドを反応させ、式(3):
【化5】
(3)
で表される(±)−(η5 -1−ブロモ−2−ホルミルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル化合物を得、これに非プロトン性有機溶媒中、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウムおよび有機塩基を反応させ、式(4):
【化6】
(4)
で表される(±)−(η5 -1−ブロモ−2−ビニルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル化合物を得、これにベンゼン中、以下の式:
【化7】
(式中、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表されるアリルホスフィン化合物を、水銀ランプを光源とする光照射下に反応させ、式(5):
【化8】
(5)
(式中、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される(±)−(η5−1−ブロモ−2−ビニルシクロペンタジエニル)アリルホスフィンマンガン(I)ジカルボニル化合物を得、これに不活性ガス下、非プロトン性有機溶媒中メタセシス触媒の存在下に、オレフィンメタセシス反応により、式(6):
【化9】
(6)
(式中、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される(±)−(η5−1−ブロモ−2−(3−ホスフィノ−1−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物を得、
これを光学分割して、
(+)−(η5−1−ブロモ−2−(3−ホスフィノ−1−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物、および
(−)−(η5−1−ブロモ−2−(3−ホスフィノ−1−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物
を得、これらに、非プロトン性有機溶媒中、
PCl
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
をそれぞれ反応させて、式(7):
【化10】
(7)
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される、(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面不斉シクロペンタジエニル−マンガン錯体を基本骨格に有するホスフィン−オレフィン配位子ならびにその使用方法、それを含む触媒組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理活性物質、特に医薬品には、不斉中心を有する化合物が多く、これら不斉中心を有する化合物には、光学異性体が存在する。不斉中心の絶対配置は極めて重要で、エナンチオマーの一方に薬効があり、他のエナンチオマーは、薬効がないか、または有害な場合もある。
【0003】
このような光学異性体の一方の光学活性なエナンチオマーを選択的に入手する方法として、エナンチオマーの光学分割、不斉合成反応、不斉補助剤を用いるジアステレオ区別反応、不斉触媒を用いるエナンチオ区別反応等の不斉合成が利用されている。
また、上記の不斉には、元素中心不斉、軸不斉(アトロープ異性)、ヘリシティおよび面不斉がある。
【0004】
なかでも、本発明者らは、最近、面不斉を用いる不斉合成に着目し、以下に示す:
【化1】
6員環(η−アレーン)−P−クロムジカルボニル錯体の製造に成功した。
上記の(η−アレーン)−P−クロムジカルボニル錯体は、面不斉(π−アレーン)クロムジカルボニル骨格を有し、ホスフィン−オレフィンリガンドである新規なP−オレフィンリガンドを、光学純度が概ね純粋に近い高エナンチオマー過剰率(以下、eeと記す)で得ることが可能であることを見出した(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. Ogasawara, Y-Y. Tseng, S. Arae, T. Morita, T. Nakaya, W-Y. Wu, T. Takahashi and K. Kamikawa, J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 9377-9384.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のP−オレフィンリガンドは、2−シクロヘキセノン等の環状エノン化合物に対しては、収率および光学純度の両方が高い1,4−付加体を生じるが、脂肪族エノン化合物に対しては、それほど収率も光学純度も高くないという知見も同時に得ていた。
そこで、本発明者らは、環状エノン化合物のみならず、脂肪族エノン化合物を含む種々のエノン化合物に対しても収率および光学純度が高い遷移金属触媒不斉反応用の不斉配位子の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、前記の6員環(η−アレーン)−P−クロムジカルボニル錯体に比べ、5員環(η−シクロペンタジエニル)−P−マンガンジカルボニル錯体が、極めて優れた遷移金属1,4−付加不斉反応用面不斉配位子として機能することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明によれば、以下の一般式(7):
【化2】
(7)
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、前記一般式(7)において、前記Rがイソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基であり、前記R’が水素原子、メチル基、イソプロピル基、フェニル基またはベンジル基であり、前記R”がイソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基である、前記の化合物が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、前記一般式(7)において、Rがフェニル基または3,5−キシリル基であり、R’がメチル基またはイソプロピル基であり、R”がフェニル基または3,5−キシリル基である、前記の化合物が提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、前記の、式(7):
【化3】
(7)
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される、(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物の触媒量を、遷移金属触媒不斉反応に使用することを特徴とする、式(7)の化合物の遷移金属触媒不斉反応用面不斉配位子としての使用方法が提供される。
【0012】
また、前記遷移金属触媒不斉反応が、遷移金属触媒による、不斉アリル位アミノ化反応、不斉アリル位チオエーテル化反応、不斉アリル位アルキニル化反応もしくは不斉鈴木−宮浦クロスカップリング反応;有機ボロン酸の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応;有機亜鉛化合物の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応;または有機チタン化合物の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応である、前記の不斉反応用不斉配位子としての使用方法が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記遷移金属触媒がロジウム、パラジウムまたはイリジウムである、前記の使用方法が提供される。
【0014】
さらに、本発明によれば前記一般式(7)の(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物と遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体からなる触媒組成物が提供される。
【0015】
さらに、本発明によれば、以下の、式(1):
【化4】
(1)
で表されるシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(1)に、非プロトン性有機溶媒中、リチオ化剤および臭素化剤を反応させ、式(2):
【0016】
【化5】
(2)
で表されるη−ブロモシクロペンタジエニルマンガン(I)トリカルボニル化合物を得、これに非プロトン性有機溶媒中、リチウムアミドおよびジメチルホルムアミドを反応させ、式(3):
【0017】
【化6】
(3)
で表される(±)−(η5 -1−ブロモ−2−ホルミルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル化合物を得、これに非プロトン性有機溶媒中、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウムおよび有機塩基を反応させ、式(4):
【0018】
【化7】
(4)
で表される(±)−(η5 -1−ブロモ−2−ビニルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル化合物を得、これにベンゼン中、以下の式:
【0019】
【化8】
(式中、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表されるアリルホスフィン化合物を、水銀ランプを光源とする光照射下に反応させ、式(5):
【0020】
【化9】
(5)
(式中、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される(±)−(η5−1−ブロモ−2−ビニルシクロペンタジエニル)アリルホスフィンマンガン(I)ジカルボニル化合物を得、これに不活性ガス下、非プロトン性有機溶媒中メタセシス触媒の存在下に、オレフィンメタセシス反応により、式(6):
【0021】
【化10】
(6)
(式中、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される(±)−(η5−1−ブロモ−2−(3−ホスフィノ−1−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物を得、
【0022】
これを光学分割用HPLCにより光学分割して、
(+)−(η5−1−ブロモ−2−(3−ホスフィノ−1−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物、および
(−)−(η5−1−ブロモ−2−(3−ホスフィノ−1−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物
を得、これらに、非プロトン性有機溶媒中、
PCl
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
をそれぞれ反応させて、式(7):
【0023】
【化11】
(7)
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表される、(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物の製造方法が提供される。
【0024】
さらに、本発明によれば、前記非プロトン性有機溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素またはテトラクロロエタンであり、
前記リチオ化剤が、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウムおよびt−ブチルリチウム等の低級アルキルリチウムであるか、またはリチウムジイソプロピルアミド、リチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジドおよびリチウムヘキサメチルジシラジド等のリチウムアミドであり、
前記臭素化剤が、トリフェニルホスフィンジブロミド、ジオキサンジブロミド、臭化ナトリウム、ブロモトリクロロメタン、1,2−ジブロモテトラクロロエタンまたはジメチルブロモスルホニウムブロミドであり、
前記有機塩基が、アルカリ金属類のC〜Cの低級アルキルもしくはアルコキシド化合物、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、キノリン、ピペリジンまたはジアザビシクロウンデセンであり、
前記メタセシス触媒が、第1世代グラブス触媒、第2世代グラブス触媒、第1世代ホベイダ−グラブス触媒または第2世代ホベイダ−グラブス触媒である、前記の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、遷移金属触媒不斉反応用面不斉配位子として、(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物を提供できる。
本発明の(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物を、遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体、特にロジウム錯体と共に触媒組成物として用いることにより、環式エノン化合物のみならず、脂肪族エノン化合物に対しても、高収率で、光学純度が高い1,4−付加体を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1-1】参考製造例1で得られた化合物6’のH−NMRスペクトルである。
図1-2】参考製造例1で得られた化合物6’の13C−NMRスペクトルである。
図2-1】参考製造例2−bで得られた化合物1b’のH−NMRスペクトルである。
図2-2】参考製造例2−bで得られた化合物1b’の13C−NMRスペクトルである。
図2-3】参考製造例2−bで得られた化合物1b’の31P−NMRスペクトルである。
図3-1】参考製造例2−cで得られた化合物1c’のH−NMRスペクトルである。
図3-2】参考製造例2−cで得られた化合物1c’の13C−NMRスペクトルである。
図3-3】参考製造例2−cで得られた化合物1c’の31P−NMRスペクトルである。
図4-1】参考製造例2−dで得られた化合物1d’のH−NMRスペクトルである。
図4-2】参考製造例2−dで得られた化合物1d’の13C−NMRスペクトルである。
図4-3】参考製造例2−dで得られた化合物1d’の31P−NMRスペクトルである。
図5-1】参考製造例2−eで得られた化合物1e’のH−NMRスペクトルである。
図5-2】参考製造例2−eで得られた化合物1e’の13C−NMRスペクトルである。
図5-3】参考製造例2−eで得られた化合物1e’の31P−NMRスペクトルである。
図6-1】参考製造例2−fで得られた化合物1f’のH−NMRスペクトルである。
図6-2】参考製造例2−fで得られた化合物1f’の13C−NMRスペクトルである。
図6-3】参考製造例2−fで得られた化合物1f’の31P−NMRスペクトルである。
図7-1】参考製造例3−bで得られた化合物2b’のH−NMRスペクトルである。
図7-2】参考製造例3−bで得られた化合物2b’の13C−NMRスペクトルである。
図7-3】参考製造例3−bで得られた化合物2b’の31P−NMRスペクトルである。
図8-1】参考製造例3−cで得られた化合物2c’のH−NMRスペクトルである。
図8-2】参考製造例3−cで得られた化合物2c’の13C−NMRスペクトルである。
図8-3】参考製造例3−cで得られた化合物2c’の31P−NMRスペクトルである。
図9-1】参考製造例3−dで得られた化合物2d’のH−NMRスペクトルである。
図9-2】参考製造例3−dで得られた化合物2d’の13C−NMRスペクトルである。
図9-3】参考製造例3−dで得られた化合物2d’の31P−NMRスペクトルである。
図10-1】参考製造例3−eで得られた化合物2e’のH−NMRスペクトルである。
図10-2】参考製造例3−eで得られた化合物2e’の13C−NMRスペクトルである。
図10-3】参考製造例3−eで得られた化合物2e’の31P−NMRスペクトルである。
図11-1】参考製造例3−fで得られた化合物2f’のH−NMRスペクトルである。
図11-2】参考製造例3−fで得られた化合物2f’の13C−NMRスペクトルである。
図11-3】参考製造例3−fで得られた化合物2f’の31P−NMRスペクトルである。
図12-1】参考製造例4−bで得られた化合物3b’のH−NMRスペクトルである。
図12-2】参考製造例4−bで得られた化合物3b’の13C−NMRスペクトルである。
図12-3】参考製造例4−bで得られた化合物3b’の31P−NMRスペクトルである。
図13-1】参考製造例4−cで得られた化合物3c’のH−NMRスペクトルである。
図13-2】参考製造例4−cで得られた化合物3c’の13C−NMRスペクトルである。
図13-3】参考製造例4−cで得られた化合物3c’の31P−NMRスペクトルである。
図14-1】参考製造例4−dで得られた化合物3d’のH−NMRスペクトルである。
図14-2】参考製造例4−dで得られた化合物3d’の13C−NMRスペクトルである。
図14-3】参考製造例4−dで得られた化合物3d’の31P−NMRスペクトルである。
図15-1】参考製造例4−eで得られた化合物3e’のH−NMRスペクトルである。
図15-2】参考製造例4−eで得られた化合物3e’の13C−NMRスペクトルである。
図15-3】参考製造例4−eで得られた化合物3e’の31P−NMRスペクトルである。
図16-1】参考製造例4−fで得られた化合物3f’のH−NMRスペクトルである。
図16-2】参考製造例4−fで得られた化合物3f’の13C−NMRスペクトルである。
図16-3】参考製造例4−fで得られた化合物3f’の31P−NMRスペクトルである。
図17-1】参考製造例4−gで得られた化合物3g’のH−NMRスペクトルである。
図17-2】参考製造例4−gで得られた化合物3g’の13C−NMRスペクトルである。
図17-3】参考製造例4−gで得られた化合物3g’の31P−NMRスペクトルである。
図18-1】参考製造例4−hで得られた化合物3h’のH−NMRスペクトルである。
図18-2】参考製造例4−hで得られた化合物3h’の13C−NMRスペクトルである。
図18-3】参考製造例4−hで得られた化合物3h’の31P−NMRスペクトルである。
図19-1】実施例1−2で得られた化合物3のH−NMRスペクトルである。
図19-2】実施例1−2で得られた化合物3の13C−NMRスペクトルである。
図20-1】実施例1−3で得られた化合物4のH−NMRスペクトルである。
図20-2】実施例1−3で得られた化合物4の13C−NMRスペクトルである。
図21-1】実施例1−4で得られた化合物5のH−NMRスペクトルである。
図21-2】実施例1−4で得られた化合物5の13C−NMRスペクトルである。
図21-3】実施例1−4で得られた化合物5の31P−NMRスペクトルである。
図22-1】実施例1−5で得られた化合物6のH−NMRスペクトルである。
図22-2】実施例1−5で得られた化合物6の13C−NMRスペクトルである。
図22-3】実施例1−5で得られた化合物6の31P−NMRスペクトルである。
図23-1】実施例1−7で得られた化合物7aのH−NMRスペクトルである。
図23-2】実施例1−7で得られた化合物7aの13C−NMRスペクトルである。
図23-3】実施例1−7で得られた化合物7aの31P−NMRスペクトルである。
図24-1】実施例1−7で得られた化合物7bのH−NMRスペクトルである。
図24-2】実施例1−7で得られた化合物7bの13C−NMRスペクトルである。
図24-3】実施例1−7で得られた化合物7bの31P−NMRスペクトルである。
図25】実施例2で得られた3−(p−メチルフェニル)シクロヘキサノンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図26】実施例3で得られた3−(p−メトキシフェニル)クロヘキサノンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図27】実施例4で得られた3−(p−トリフルオロメチルフェニル)クロヘキサノンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図28】実施例5で得られた3−(p−フルオロフェニル)クロヘキサノンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図29】実施例6で得られた3−(o−メチルフェニル)シクロヘキサノンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図30】実施例7で得られた4−フェニルペンタン−2−オンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図31】実施例8で得られた4−フェニルヘプタ−2−オンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図32】実施例9で得られた4−フェニルノナ−2−オンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図33】比較例1で得られたN−[(p−クロロフェニル)フェニルメチル]トシルアミドの光学純度を示すHPLCチャートである。
図34】比較例2で得られた3−(p−メチルフェニル)シクロヘキサノンの光学純度を示すHPLCチャートである。
図35】比較例3で得られた(R)−3−フェニル−δ−バレロラクトンおよび(S)−3−フェニル−δ−バレロラクトンの光学純度をそれぞれ示すHPLCチャートである。
図36】比較例4で得られた(R)−4−フェニル−3−ペンタン−2−オンおよび(S)−4−フェニル−3−ペンタンオンの光学純度をそれぞれ示すHPLCチャートである。
図37】比較例5で得られた(R)−4−フェニルノナ−2−オンおよび(S)−4−フェニルノナ−2−オンの光学純度をそれぞれ示すHPLCチャートである。
図38】比較例6で得られた(R)−N−ベンジル−3−フェニルスクシンイミドおよび(S)−N−ベンジル−3−フェニルスクシンイミドの光学純度をそれぞれ示すHPLCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明において、用いられる用語「面不斉」とは、分子に含まれる平面構造(この場合は芳香環面)に基づいて、実像とそれを鏡に映した鏡像とが互いに重ね合わせることができない空間的な分子構造を有する分子を意味し、この場合これらの分子には、「面不斉」が存在するという。
具体的には、以下の式:
【化12】
に示すように、芳香環のオルト位(またはメタ位)に異なる置換基を有する芳香族化合物をアレーンクロム錯体に変換するとき、芳香環面の上側((a)の方向)からCr(CO)3が近づき得られたクロム錯体と、下側((b)の方向)からCr(CO)3が近づき得られたクロム錯体は互いに鏡像異性体(互いに重ね合わせることができない関係にある分子)の関係にあり、この分子には芳香環面に由来して、「面不斉」が存在するという。
【0028】
また、本発明において、用いられる用語「配位子」とは、触媒金属に配位して、触媒反応における反応性をコントロールする役割を有する化合物である。
また、本発明において、用いられる用語「不斉配位子」とは、、触媒反応により得られる生成物の分子構造中に、新たに中心不斉などが発現する反応において、その中心不斉などの立体化学をコントロールすることが原理的に可能な配位子を意味する。すなわち、不斉配位子は、一般に触媒金属が反応基質に配位する際に、反応基質に対してどちらの面から触媒金属が近づき、中心不斉を形成する反応をコントロールしている。
また、本発明において、用いられる用語「面不斉配位子」とは、上記の不斉配位子の分子構造には、必ず不斉要素が含まれているが、例えば、その不斉要素として、面不斉要素をもつ配位子を意味する。
【0029】
本発明は、(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物を遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体存在下に遷移金属触媒不斉反応用の面不斉配位子としての使用方法に関することを特徴とする。
【0030】
本発明において、用いられる用語「遷移金属触媒不斉反応」としては、遷移金属触媒による、不斉アリル位アミノ化反応、不斉アリル位チオエーテル化反応、不斉アリル位アルキニル化反応もしくは不斉鈴木−宮浦クロスカップリング反応;有機ボロン酸の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応;有機亜鉛化合物の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応;または有機チタン化合物の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応が挙げられる。
本発明による、不斉反応用不斉配位子は、上記の不斉反応用面配位子として有益に利用できるのも、本発明の1つの特徴である。
【0031】
本発明において、用いられる用語「遷移金属」とは、上記の不斉反応において触媒として用いられるロジウム、パラジウムまたはイリジウムを意味する。
【0032】
本発明において、遷移金属錯体前駆体とは、本発明の(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物(7):
【化13】
(7)
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
が遷移金属に配位するために遷移金属を提供するための化合物である。
遷移金属が、ロジウム、またはイリジウムである場合、遷移金属前駆体は、例えば、[MXL]で示すことができる。
ここで、MはRh、Ir1であり、Xは1価のアニオン性配位子であり、例えば、Cl、Br I、OH、OMeなどが挙げられる。Lは0価の弱配位子であり、例えばエチレン、シクロオクテン等のオレフィン、シクロオクタジエン、2,5-ノルボルナジエン等のジエン等を挙げることができる。具体的には、[RhCl(η2-C2H4)2]2、[RhCl(η2-C8H14)2]2、[RhCl(cod)]2、[RhCl(nbd)]2を挙げることができる。
遷移金属がパラジウムである場合、遷移金属前駆体は、例えば、Pd(dba)2、[Pdcl(allyl)2]、PdCp(allyl)等を挙げることができる。
【0033】
本発明において、用いられる用語「非プロトン性有機溶媒」とは、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、シクロヘキサン、ベンゼン、アセトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
本発明による化合物の調製は、通常、非プロトン性溶媒中、冷却下に行われる。
【0034】
本発明において用いられる用語「リチオ化剤」としては、C〜Cの低級アルキルリチウムまたはリチウムアミドが挙げられ、前記低級アルキルリチウムとしては、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウムおよびt−ブチルリチウム等が挙げられ、前記リチウムアミドとしては、リチウムジイソプロピルアミド、リチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジドおよびリチウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。
【0035】
本発明において用いられる用語「臭素化剤」としては、トリフェニルホスフィンジブロミド、ジオキサンジブロミド、臭化ナトリウム、ブロモトリクロロメタン、1,2−ジブロモテトラクロロエタンまたはジメチルブロモスルホニウムブロミド等が挙げられる。
【0036】
本発明において用いられる用語「有機塩基」としては、C〜Cの低級アルキルもしくはアルコキシアルカリ金属類、とりわけLi、NaまたはKとの化合物が挙げられるか、あるいはトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、キノリン、ピペリジンまたはジアザビシクロウンデセン等のアミン塩基が挙げられる。
【0037】
本発明において用いられる用語「メタセシス触媒」としては、第1世代グラブス触媒(グラブスI触媒ともいう)、第2世代グラブス触媒(グラブスII触媒ともいう)、第1世代ホベイダ−グラブス触媒(ホベイダ−グラブスI触媒ともいう)または第2世代ホベイダ−グラブス触媒(ホベイダ−グラブスII触媒ともいう)が挙げられる。
【0038】
本発明による化合物の調製には、上記の非プロトン性有機溶媒、リチオ化剤、臭素化剤、有機塩またはメタセシス触媒の例示の中から適宜選択して使用され得る。
【0039】
本発明による遷移金属錯体形成用不斉配位子は、以下の式(7):
【化14】
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
で表され、キラルHPLCにより分離され得る(+)または(−)−((η5−1−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)マンガン(I)ジカルボニル化合物(7)は、以下の合成スキーム1に従って得られ、単離することもできる。
【0040】
【化15】
(式中、Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)。
【0041】
すなわち、シクロペンタジエニル(Cp)マンガントリカルボニル化合物(1)のTHF溶液に、BuLiを加え、続いて1,2−ジブロモテトラクロロエタンを加えて反応させ、得られた反応液を、常法により精製してη−ブロモシクロペンタジエニルマンガン(I)トリカルボニル化合物(2)を得ることができる。
【0042】
次いで、上記で得られた化合物(2)のTHF溶液に、リチウムテトラメチルピペリジド、ジメチルホルムアミド(DMF)を滴下し反応させ、得られた反応液を、常法により精製して(±)−(η−1−ブロモ−2−ホルミルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル化合物(3)を得ることができる。
【0043】
次いで、上記で得られた化合物(3)のTHF溶液に、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウムを加えて反応させ、得られた反応液を常法により精製して(±)−(η−1−ブロモ−2−ビニルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル化合物(4)を得ることができる。
【0044】
次いで、上記で得られた化合物(4)のベンゼン溶液に、以下の式:
【化16】
(式中、R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である)
を加え、水銀ランプを光源とする光照射反応を行い、得られた反応液を常法により精製して(±)−(η−1−ブロモ−2−ビニルシクロペンタジエニル)(アリルホスフィン)マンガン(I)ジカルボニル化合物(5)を得ることができる。
【0045】
次いで、上記で得られた化合物(5)およびグラブス−II触媒(Grubbs-II)のジクロロメタン(CHCl)溶液を撹拌してメタセシス反応に付し、得られた反応液を、常法により精製して(±)−[(η−1−ブロモ−2−(3−ホスフィノ−1−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)]マンガン(I)ジカルボニル化合物(6)を得ることができる。
【0046】
なお、上記で得られた(±)体である化合物(6)は、キラルカラムクロマトグラフィーにより光学分割して、(+)−[(η−1−ブロモ−2−(3−ジフェニルホスフィノ−2−メチルプロペニル)シクロペンタジエニル−P)]マンガン(I)ジカルボニル化合物(6)および(−)−[(η−1−ブロモ−2−(3−ジフェニルホスフィノ−2−メチルプロペニル)シクロペンタジエニル−P)]マンガン(I)ジカルボニル化合物(6)を得ることができる。
【0047】
さらに、(+)、(−)または(±)体である化合物(6)のTHF溶液に、BuLi、次いでRPCl(R=3,5−キシリル基またはフェニル基)を滴下して反応させ、得られた反応液を常法により精製し、それぞれ出発物質に対応する(+)、(−)または(±)−[(η−1−ホスフィノ−2−(3−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)]マンガン(I)ジカルボニル(7)を得ることができる。
【0048】
上記で得られた(+)−[(η−1−ホスフィノ−2−(3−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P]]マンガン(I)ジカルボニル(7)、または(−)−[(η−1−ホスフィノ−2−(3−ホスフィノ−2−プロペニル)シクロペンタジエニル−P)]マンガン(I)ジカルボニル(7)は、その触媒量を、遷移金属触媒、例えばロジウムおよびボロン酸化合物の存在下に、エノン化合物、特に環式エノン化合物に限らず、脂肪族エノン化合物に対しても、高収率で、極めて高い光学純度で1,4−付加体を生じ得ることも本発明の1つの特徴である。
【0049】
上記の合成スキーム1に記載されている化合物における置換基Rは、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、置換基R’は、水素原子、アリール基で任意に置換されていてもよいC〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基であり、置換基R”は、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基で任意に置換されていてもよいアリール基である。
【0050】
好ましくは、前記Rがイソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基であり、前記R’が水素原子、メチル基、イソプロピル基、フェニル基またはベンジル基であり、前記R”がイソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基である。
【0051】
さらに好ましくは、前記Rがフェニル基または3,5−キシリル基であり、前記R’がメチル基またはイソプロピル基であり、前記R”がフェニル基または3,5−キシリル基である。
【0052】
本発明の遷移金属錯体形成用不斉配位子は、遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体の存在下において遷移金属触媒不斉反応に使用することができる。本発明の遷移金属錯体形成用不斉配位子は、遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体と組み合わせることにより、触媒組成物として機能する。
遷移金属触媒不斉反応としては、遷移金属触媒による、不斉アリル位アミノ化反応、不斉アリル位チオエーテル化反応、不斉アリル位アルキニル化反応もしくは不斉鈴木−宮浦クロスカップリング反応;有機ボロン酸の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応;有機亜鉛化合物の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応;または有機チタン化合物の、エノン化合物への不斉1,4−付加反応もしくはイミン化合物への不斉1,2−付加反応等を挙げることができる。
【0053】
本発明の遷移金属錯体形成用不斉配位子は、遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体の存在下で遷移金属に配位することで、触媒組成物として機能する。遷移金属錯体形成用不斉配位子と、遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体は、目的とする反応系に同時に、あるいは別々に仕込み、触媒組成物として機能させることができる。遷移金属錯体形成用不斉配位子と、遷移金属塩あるいは遷移金属錯体前駆体の組成比は、目的とする反応によって異なるが、遷移金属錯体形成用不斉配位子1モルに対して、遷移金属換算で0.8〜1.2モルが好ましく、1モルがより好ましい。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。
なお、実施例では、特に記載がない限り、試薬は市場で入手可能なものを使用し、以下の各種溶媒、クロマトグラフィー用担体およびHPLC用カラムならびに各種分析器機を用いた:
テトラヒドロフラン(THF):Wako社製、(超脱水);
ヘキサン:キシダ化学(株)社製、(一級);
酢酸エチル(EtOAc):キシダ化学(株)社製、(一級);
ベンゼン:キシダ化学(株)社製、(一級);
ジクロロメタン:Wako社製、(超脱水);
ジオキサン:Wako社製、(特級);
イソプロパノール:Wako社製、(高速液体クロマトグラフ用);
【0055】
順層カラムクロマトグラフィー用シリカゲル(SiO2):関東化学社製、(球状シリカゲル)、100-210 μm (粒子径)
HPLC用キラルカラム:ダイセル社製、Chiralcel OD (φ20mm) カラム;
H−NMR:日本電子データム株式会社製(JEOL)、ECX-400(400 MHz)、
13C−NMR:日本電子データム株式会社製(JEOL)、ECX-400(100 MHz)、
31P−NMR:日本電子データム株式会社製(JEOL)、ECX-400(162 MHz)、
IR:JASCO社製、(FT/IR-4100);
HPLC:JASCO社製、検出器;示差屈折率検出器 無し ;
UV検出器 UV-2075 Plus;
送液ユニット;PU-2089 Plus:
HRMS:JEOL社製、MStation JMS-700 型番;
旋光度計:JASCO社製 P-2200型番;
元素分析装置:Perkin Elmer社製、Series II CHNS/O Analyzer
【0056】
また、核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、化学シフトδは百万分の一 (ppm)で表示し、略語はそれぞれ次の語句を意味する:s:シングレット;d:ダブレット;dd:ダブルダブレット;t:トリプレット;m:マルチプレット。
【0057】
参考例1
以下の合成スキーム2に、本願における比較例で用いる化合物6’、化合物1a’〜1f’、化合物2a’〜2f’および化合物3a’〜3h’の合成工程を示す。本合成方法は前記の非特許文献1に開示された方法に準じる。
【化17】
(式中、Rは、イソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基を意味し、R’は、水素原子、メチル基またはベンジル基を意味し、R”は、イソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基を意味する。)
【0058】
上記の化合物6’、化合物1a’〜1f’、化合物2a’〜2f’および化合物3a’〜3h’の合成方法ならびに物性データを、以下の製造例に具体的に示す。
【0059】
参考製造例1
(R)-または(S)-(η6-1-ブロモ-2- ビニルベンゼン)クロムトリカルボニル(6')の製造
【化18】
6’
MePPh3・I (1.43g, 3.54 mmol, 1.3 eq)のTHF懸濁液(95 mL)に、tBuOK (458 mg, 4.08 mmol, 1.5 eq)を加えて、15分間室温で撹拌した。合成既知の化合物である面不斉について光学活性なo-ブロモベンズアルデヒドクロム錯体のTHF (5 mL)溶液を先の懸濁液に加えてさらに1時間撹拌した。混合溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。続いて、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過、減圧下で濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 5/1)で精製し、標題の化合物6’をオレンジ色の結晶として得た (435 mg, 1.71 mmol, 63%)。
上記化合物6’のH−NMRおよび13C−NMRスペクトルを図1−1および1−2にそれぞれ示す。
【0060】
1H NMR (C6D6): δ4.15-4.18 (m, 1H), 4.23-4.26 (m, 1H), 4.79-4.85 (m, 2H), 4.91 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 5.15 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 6.46 (dd, J = 17.4および10.9 Hz, 1H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ89.5, 89.6, 91.9, 94.7, 99.5, 104.2, 117.8, 133.0, 232.2.
EI-HRMS 理論値(C11H7BrCrO3) : 317.8984. 実測値: 317.8981.
[α]D23 -610 (c 0.50, EtOAc, (R)-鏡像異性体).
【0061】
参考製造例2
6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)(アリリックホスフィン)クロム(0)ジカルボニル(1a’-f’)の製造
【化19】
(式中、Rは、イソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基を意味し、R’は、水素原子、メチル基またはベンジル基を意味する)。
(R)-もしくは(S)-(η6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)クロム錯体 6' (590 mg, 1.85 mmol)と(2-置換アリル)ホスフィン(1.5 eq)を窒素雰囲気下、ベンゼン(15 mL)に溶解した。溶液に水銀ランプを用いて紫外線を照射し、室温で7時間撹拌した。その結果得られた赤色の溶液は濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 10/1)で精製し、標題の化合物1を赤色結晶あるいは油状物として得た。反応条件は、最適化されてはいない。1a'-f'の収率は、スキーム1に挙げてある。クロム錯体1a'-f'の物性データを以下の参考製造例2−a〜2−fに示した。
【0062】
参考製造例2−a
(S)-(+)-(η6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)[(2-メチルアリル)ジフェニルホスフィン]クロム(0)ジカルボニル(1a') の製造
製造例2において(2-置換アリル)ホスフィンとして、2-メチルアリルジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物1a’を収率63%で得た。
【化20】
1a’
【0063】
1H NMR (C6D6): δ1.25 (s, 3H), 3.05 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.7-3.83 (m, 1H), 3.98-4.03 (m, 1H), 4.61-4.64 (m, 1H), 4.65-4.66 (m, 1H), 4.71-4.74 (m, 1H), 4.77-4.79 (m, 1H), 4.92 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 5.16 (d, J = 17.2 Hz, 1H), 6.84, (dd, J = 17.2および10.9 Hz, 1H), 7.00-7.08 (m, 6H), 7.45-7.55 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ24.6 (d, JPC = 1.5 Hz), 43.3 (d, JPC = 19.1 Hz), 86.3 (s), 88.5 (s), 91.2 (s), 91.5 (s), 96.6 (s), 98.2 (s), 115.2 (s), 116.8 (d, JPC = 8.3 Hz), 128.19 (d, JPC = 8.2 Hz), 128.20 (d, JPC = 8.5 Hz), 129.2 (d, JPC = 2.1 Hz), 129.4 (d, JPC = 2.1 Hz), 132.6 (d, JPC = 10.0 Hz), 132.8 (d, JPC = 10.3 Hz), 135.1 (s), 139.2 (d, JPC = 5.9 Hz), 140.1 (d, JPC = 29.1 Hz), 140.3 (d, JPC = 29.2 Hz), 239.3 (d, JPC = 19.4 Hz), 239.5 (d, JPC = 20.0 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ81.2 (s).
IR (KBr) 1896, 1846, 1091 cm-1.
元素分析:理論値(C26H24BrCrO2P) : C, 58.77; H, 4.55. 実測値: C, 58.85; H, 4.65.
EI-HRMS: 理論値(C26H24BrCrO2P) : 530.0102. 実測値: 530.0112.
[α]D25 +186 (c 0.46, CHCl3).
【0064】
参考製造例2−b
(S)-(+)-(η6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)[ジイソプロピル(2-メチルアリル)ホスフィン]クロム(0) ジカルボニル (1b')の製造
製造例2において(2-置換アリル)ホスフィンとして、2-メチルアリルジジイソプロピルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物1b’を収率64%で得た。
【化21】
1b’
上記化合物1b’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図2−1〜2−3に示す。
【0065】
1H NMR (C6D6): δ0.92-1.05 (m, 12H), 1.68 (s, 3H), 1.77-1.89 (m, 2H), 2.42 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 4.24-4.27 (m, 1H), 4.36-4.40 (m, 1H), 4.80 (br, 2H), 4.87 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 4.95-5.01 (m, 2H), 5.30 (d, J = 17.2 Hz, 1H), 6.94 (dd, J = 17.2および10.9 Hz, 1H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ18.7 (d, JPC = 1.8 Hz), 18.8 (d, JPC = 1.8 Hz), 19.1 (s), 19.2 (s), 25.6 (s), 28.7 (d, JPC = 14.9 Hz), 28.8 (d, JPC = 14.9 Hz), 36.2 (d, JPC = 12.8 Hz), 83.9 (s), 85.3 (s), 88.9 (s), 89.2 (s), 95.0 (s), 98.3 (s), 114.7 (s), 115.6 (d, JPC = 6.2 Hz), 135.7 (s), 141.3 (d, JPC = 8.0 Hz), 240.2 (d, JPC = 19.2 Hz), 240.3 (d, JPC = 19.5 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ85.6 (s).
EI-HRMS: 理論値(C20H28BrCrO2P) : 462.0415. 実測値: 462.0413.
[α]D25+451 (c 0.50, EtOAc).
【0066】
参考製造例2−c
(S)-(+)-(η6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)[ビス(3,5-ジメチルフェニル)(2-メチルアリル)ホスフィン]クロム(0)ジカルボニル (1c')の製造
製造例2において(2-置換アリル)ホスフィンとして、2-メチルアリルジキシリルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物1c’を収率68%で得た。
【化22】
1c’

上記化合物1c’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図3−1〜3−3に示す。
【0067】
1H NMR (C6D6): δ1.38 (s, 3H), 2.10 (d, J = 2.5 Hz, 12H), 3.18 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 3.99-4.03 (m, 1H), 4.12-4.16 (m, 1H), 4.65-4.67 (m, 1H), 4.74-4.78 (m, 2H), 4.87-4.89 (m, 1H), 4.94 (d, J = 10.7, 1H), 5.18 (d, J = 17.2 Hz, 1H), 6.71 (s, 2H), 6.93 (dd, J = 17.2および10.8 Hz, 1H), 7.39 (t, J = 10.8 Hz, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ21.4 (s), 21.4 (s), 24.7 (s), 43.5 (d, JPC = 19.0 Hz), 85.8 (s), 88.5 (s), 91.1 (s), 91.7 (s), 96.7 (s), 98.3 (s), 115.1 (s), 116.7 (d, JPC = 8.2 Hz), 128.4, 130.6 (d, JPC = 10.0 Hz), 130.6 (d, JPC = 10.3 Hz), 131.2 (s), 131.2 (s), 135.4 (s), 137.6 (d, JPC = 8.9 Hz), 139.5 (d, JPC = 5.4 Hz), 140.1 (d, JPC = 29.2 Hz), 140.2 (d, JPC = 29.3 Hz), 239.7 (d, JPC = 20.5 Hz), 239.9 (d, JPC = 20.7 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ79.6 (s).
EI-HRMS: 理論値(C30H32BrCrO2P) : 586.0728. 実測値: 586.0727.
[α]D24+462 (c 0.50, EtOAc).
【0068】
参考製造例2−d
(R)-(-)-(η6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)[ジフェニル(2-フェニルアリル)ホスフィン]クロム(0)ジカルボニル(1d')の製造
製造例2において(2-置換アリル)ホスフィンとして、2-フェニルアリルジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物1d’を収率62%で得た。
【化23】
1d’
上記化合物1d’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図4−1〜4−3に示す。
【0069】
1H NMR (C6D6): δ3.49 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 3.73 (dd, J = 9.1および5.8 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 10.9および5.2 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 4.64 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 4.78 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 4.92 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 5.12-5.18 (m, 2H), 6.79 (dd, J = 17.2 Hzおよび10.8 Hz, 1H), 6.94-6.98 (m, 9H), 7.08-7.10 (m, 2H), 7.43-7.50 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ40.2 (d, JPC = 17.1 Hz), 86.4 (s), 88.9 (s), 91.5 (s), 91.7 (s), 96.4 (s), 98.0 (s), 115.2 (s), 118.6 (d, JPC = 7.8 Hz), 126.8 (s), 127.1 (s), 128.0 (s), 128.2 (s), 128.6 (s) 129.2 (s), 129.3 (s) 132.7 (d, JPC = 10.6 Hz), 132.8 (d, JPC = 10.9 Hz), 135.0 (s) 139.5 (d, JPC = 30.6 Hz), 139.6 (d, JPC = 30.3 Hz), 141.9 (d, JPC = 4.9 Hz), 142.5 (d, JPC = 1.5 Hz), 239.4 (d, JPC = 21.0 Hz), 239.7 (d, JPC = 22.0 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ82.8 (s).
EI-HRMS: 理論値(C31H26BrCrO2P) : 592.0259. 実測値: 592.0248.
[α]D22-427 (c 1.00, ベンゼン).
【0070】
参考製造例2−e
(S)-(+)-(η6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)(アリルジフェニルホスフィン)クロム(0)ジカルボニル(1e')の製造
製造例2において(2-置換アリル)ホスフィンとして、アリルジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物1e’を収率66%で得た。
【化24】
1e’
上記化合物1e’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図5−1〜5−3に示す。
【0071】
1H NMR (C6D6): δ3.02-3.06 (m, 2H), 3.82-3.86 (m, 1H), 3.98-4.03 (m, 1H), 4.65-4.68 (m, 1H), 4.71-4.77 (m, 2H), 4.83-4.87 (m, 1H), 4.92 (d, JPC = 10.8 Hz, 1H), 5.16 (d, JPC = 17.2 Hz, 1H), 5.60-5.72 (m, 1H), 6.88 (dd, JPC = 17.2および10.8 Hz, 1H), 6.99-7.09 (m, 6H), 7.38-7.48 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ40.0 (d, J = 22.8 Hz), 86.1 (s), 88.2 (s), 90.8 (s), 91.2 (s), 96.9 (s), 98.1 (s), 115.2 (s), 119.3 (d, J =10.3 Hz), 128.2, 128.3, 128.3, 129.2 (d, JPC = 1.6 Hz), 129.3 (d, JPC = 1.5 Hz), 131.0 (d, JPC = 4.6 Hz), 132.5 (d, JPC = 10.0 Hz), 132.7 (d, JPC = 10.0 Hz), 135.2 (s), 139.3 (d, JPC = 29.7 Hz), 139.5 (d, JPC = 29.7 Hz), 239.0 (d, JPC = 20.3 Hz), 239.2 (d, JPC = 20.7 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ80.0 (s).
EI-HRMS:理論値(C25H22BrCrO2P): 515.9946. 実測値: 515.9940.
[α]D26+372 (c 0.50, EtOAc).
【0072】
参考製造例2−f
(R)-(-)-(η6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)[(2-ベンジルアリル)ジフェニルホスフィン]クロム(0) ジカルボニル (1f')の製造
製造例2において(2-置換アリル)ホスフィンとして、2-ベンジルアリルジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物1f’を収率65%で得た。
【化25】
1f’
上記化合物1f’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図6−1〜6−3に示す。
【0073】
1H NMR (C6D6): δ2.90 (s, 2H), 2.99-3.08 (m, 2H), 3.79-3.83 (m, 1H), 3.99-4.03 (m, 1H), 4.64 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 4.73-4.83 (m, 3H), 4.93 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 17.2 Hz, 1H), 6.85 (dd, J = 17.2 Hzおよび10.8 Hz, 1H), 6.97-7.14 (m, 11H), 7.45-7.54 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ40.7 (d, JPC = 18.4 Hz), 44.3 (s), 86.5 (s), 88.6 (s), 91.4 (s), 91.6 (s), 96.6 (s), 98.4 (s), 115.3 (s), 118.2 (d, JPC = 7.8 Hz), 126.5 (s), 128.2, 128.3, 128.5 (s), 128.6 (s), 129.3 (s), 129.4 (s), 129.5 (s), 132.6 (d, JPC = 9.8 Hz), 132.8 (d, JPC = 10.1 Hz) 135.0 (s), 139.5 (s), 140.2 (d, JPC = 29.3 Hz), 140.4 (d, JPC = 29.5 Hz), 142.1 (d, JPC = 4.9 Hz), 239.4 (d, JPC = 20.4 Hz), 239.7 (d, JPC = 21.0 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ82.4 (s).
EI-HRMS:理論値(C32H28BrCrO2P) : 606.0415. 実測値: 606.0400.
[α]D25-164 (c 0.96, ベンゼン).
【0074】
参考製造例3
6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (2a’-2f’)の製造
【化26】
(式中、Rは、イソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基を意味し、R’は、水素原子、メチル基またはベンジル基を意味する)。
(R)-もしくは(S)-(η6-1-ブロモ-2-ビニルベンゼン)(アリリックホスフィン)クロム錯体1 (1.39 mmol)とグラブス-II (5 mol%)を窒素雰囲気下でジクロロメタン(10 mL)に溶解した。溶液を50℃で18時間撹拌した。黄色溶液を濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物はシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 10/1)で精製し、標題の化合物を黄色結晶あるいは油状物として得た。反応条件は、最適化されてはいない。2a'-f'の収率は、以下の表1に挙げてある。クロム錯体2a'-f'の物性データを以下の製造例3−a〜3−fに示した。
【0075】
参考製造例3−a
(S)-(-)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム-(0)ジカルボニル(2a')の製造
参考製造例3においてアリリックホスフィンとして、2-メチルアリルジフェニルホスフィン1a’を用いた以外は全く同じようにして以下の化合物2a’を収率91%で得た。
【化27】
2a’
【0076】
1H NMR (C6D6): δ1.43 (d, J = 0.9 Hz, 3H), 2.56 (dd, J = 14.7および7.8 Hz, 1H), 2.81 (dd, J = 14.7および10.9 Hz, 1H), 3.96-3.99 (m, 1H), 4.14-4.17 (m, 1H), 4.41-4.44 (m, 1H), 5.19-5.21 (m, 1H), 6.02 (br, 1H), 6.95-7.12 (m, 6H), 7.41-7.49 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ27.2 (d, JPC = 4.6 Hz), 35.4 (d, JPC = 15.4 Hz), 79.9 (s), 86.5 (s), 91.1 (d, JPC = 1.7 Hz), 91.92 (s), 91.94 (d, JPC = 1.3 Hz), 100.9 (d, JPC = 3.0 Hz), 122.0 (d, JPC = 11.0 Hz), 128.2 (d, JPC = 9.0 Hz), 128.4 (d, JPC = 9.0 Hz), 129.28 (d, JPC = 2.4 Hz), 129. 32 (d, JPC = 2.0 Hz), 132.0 (d, JPC = 10.4 Hz), 132.3 (d, JPC = 10.7 Hz), 138.0 (s), 138.8 (d, JPC = 35.6 Hz), 140.7 (d, JPC = 35.0 Hz), 237.0 (d, JPC = 19.0 Hz), 238.3 (d, JPC = 18.3 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ99.6 (s). IR (KBr) 1899, 1846 cm-1.
元素分析:理論値(C24H20BrCrO2P) : C, 57.27; H, 4.01. 実測値: C, 57.04; H, 4.02.
EI-HRMS:理論値(C24H20BrCrO2P) : 501.9789. 実測値: 501.9785.
[α]D25 -66.3 (c 1.20, EtOAc, >99% ee).
【0077】
参考製造例3−b
(S)-(+)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジイソプロピルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (2b')の製造
参考製造例3においてアリリックホスフィンとして、2-メチルアリルジイソプロピルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物2b’を収率89%で得た。
【化28】
2b’
上記化合物2b’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図7−1〜7−3に示す。
【0078】
1H NMR (C6D6): δ0.78-1.04 (m, 12H), 1.51-1.58 (m, 1H), 1.64 (t, J = 1.4 Hz, 3H), 1.71-1.95 (m, 3H), 3.91-3.94 (m, 1H), 4.14-4.23 (m, 2H), 5.03 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.08-6.10 (m, 1H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ16.9 (d, JPC = 2.3 Hz), 17.2 (s), 17.6 (d, JPC = 3.6 Hz), 18.4 (d, JPC = 3.1 Hz), 26.2 (d, JPC = 8.2 Hz), 27.1 (d, JPC = 4.4 Hz), 27.7 (d, JPC = 21.8 Hz), 30.2 (d, JPC = 18.4 Hz), 80.2 (s), 87.9 (s), 88.4 (s), 89.5 (d, JPC = 1.8 Hz), 96.3 (s), 97.5 (d, JPC = 2.0 Hz), 122.4 (d, JPC = 8.5 Hz), 137.3 (s), 239.2 (d, JPC = 17.7 Hz), 241.1 (d, JPC = 17.6 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ114.2 (s).
EI-HRMS:理論値(C18H24BrCrO2P) : 434.0102. 実測値: 434.0103.
[α]D23+214 (c 0.50, EtOAc).
【0079】
参考製造例3−c
(S)-(-)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (2c')の製造
参考製造例3においてアリリックホスフィンとして、2-メチルアリルジキシリルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物2c’を収率93%で得た。
【化29】
2c’
上記化合物2c’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図8−1〜8−3に示す。
【0080】
1H NMR (C6D6): δ1.49 (s, 3H), 2.09 (s, 12H), 2.69-2.75 (m, 1H), 2.99 (dd, J = 14.4および11.7, 1H), 4.02-4.06 (m, 1H), 4.11-4.15 (m, 1H), 4.47 (t, J =5.8 Hz, 1H), 5.25 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 6.09 (t, J = 1.3 Hz, 1H), 6.72 (d, J =12.2 Hz, 2H), 7.29 (d, J = 10.1 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 10.4 Hz, 2H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ21.4 (s), 21.4 (s), 27.4 (d, JPC = 4.4 Hz), 35.6 (d, JPC = 15.4 Hz), 79.4 (s), 86.0 (s), 91.5 (s), 91.7 (s), 91.8 (s), 101.0 (d, JPC = 2.8 Hz), 122.1 (d, JPC = 11.1 Hz), 129.5 (d, JPC = 10.0 Hz), 130.7 (d, JPC = 10.7 Hz), 131.2 (d, JPC = 1.3 Hz), 131.4 (d, JPC = 1.5 Hz), 137.5 (d, J = 9.5 Hz), 137.8 (d, JPC = 9.2 Hz), 137.9 (d, JPC = 34.6 Hz), 138.2 (s), 140.8 (d, JPC = 35.9 Hz), 237.6 (d, JPC = 19.5 Hz), 238.4 (d, JPC = 17.7 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ99.1 (s). ]
EI-HRMS: 理論値(C28H28BrCrO2P) : 558.0415. 実測値: 558.0408.
[α]D24-64.1 (c 0.50, EtOAc).
【0081】
参考製造例3−d
(R)-(-)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-フェニルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (2d')の製造
参考製造例3においてアリルホスフィンとして、2-フェニルアリルジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物2d’を収率80%で得た。
【化30】
2d’
上記化合物2d’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図9−1〜9−3に示す。
【0082】
1H NMR (C6D6): δ2.89-2.95 (m, 1H), 3.50 (dd, J = 14.9, 11.8 Hz, 1H), 4.08 (td, J = 6.3, 1.1 Hz 1H), 4.19 (t, J = 5.9 Hz, 1H) 4.38 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.60 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 6.91-7.13 (m, 11H), 7.46-7.51 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ35.4 (d, JPC = 14.6 Hz), 80.1 (s), 86.4 (s), 90.9 (s), 91.2 (s), 93.3 (s), 99.2 (d, JPC = 2.6 Hz), 125.3 (d, JPC = 10.8 Hz), 126.8 (s), 127.9 (s), 128.3 (s), 128.3 (s), 128.5 (d, JPC = 9.2 Hz), 128.7 (s), 129.4 (s), 129.5 (s) 132.1 (d, JPC = 10.3 Hz), 132.4 (d, JPC = 10.6 Hz), 138.3 (d, JPC = 34.9 Hz), 140.4 (d, JPC = 36.4 Hz), 140.9 (s), 143.9 (d, JPC = 4.8 Hz), 236.9 (d, JPC = 19.2 Hz), 238.4 (d, JPC = 17.7 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ103.4 (s).
EI-HRMS:理論値(C29H22BrCrO2P) : 563.9946. 実測値: 563.9954.
[α]D21-2.38 (c 2.73, ベンゼン).
【0083】
参考製造例3−e
(S)-(+)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (2e')の製造
参考製造例3においてアリルホスフィンとして、アリルジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物2e’を収率55%で得た。
【化31】
2e’
上記化合物2e’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図10−1〜10−3に示す。
【0084】
1H NMR (C6D6): δ2.35-2.42 (m, 1H), 2.76-2.85 (m, 1H), 3.95 (td, J = 6.2および1.3 Hz, 1H), 4.16 (tt, J = 6.1および1.1 Hz, 1H), 4.34 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 5.16 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 5.50-5.59 (m, 1H), 6.24-6.28 (m, 1H), 6.97-7.13 (m, 6H), 7.43-7.49 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ30.0 (d, JPC = 15.6 Hz), 80.4 (s), 87.3 (s), 90.4 (s), 91.2 (s), 92.6 (s), 97.6 (d, JPC = 3.3 Hz), 128.2 (s), 128.3 (s), 128.4 (s), 128.5 (s), 128.9 (s), 129.3 (d, JPC = 2.1 Hz), 132.1 (d, JPC = 10.2 Hz), 132.2 (d, JPC = 10.2 Hz), 138.9 (d, JPC = 35.7 Hz), 140.7 (d, JPC = 35.6 Hz), 236.9 (d, JPC = 18.9 Hz), 238.7 (d, JPC = 18.2 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ100.0 (s).
EI-HRMS: 理論値(C24H23BrCrO2P) : 505.0024. 実測値: 505.0022.
[α]D26+29.9 (c 0.50, EtOAc).
【0085】
参考製造例3−f
(R)-(+)-[η6-1-ブロモ-2-(2-ベンジル-3-ジフェニルホスフィノプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (2f’)の製造
参考製造例3においてアリルホスフィンとして、2-ベンジルアリルジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物2f’を収率65%で得た。
【化32】
2f’
上記化合物2f’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図11−1〜11−3に示す。
【0086】
1H NMR (C6D6): δ2.63-2.69 (m, 1H), 2.94-3.06 (m, 3H), 3.94 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 4.14 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 4.40 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 5.21 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.06 (s, 1H), 6.93-7.15 (m, 11H), 7.38-7.46 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ34.3 (d, JPC = 15.2 Hz), 47.5 (d, JPC = 2.6 Hz ), 79.9 (s), 86.5 (s), 91.2 (s), 91.9 (s), 91.9 (s), 100.6 (s), 123.7 (d, JPC = 10.7 Hz), 126.9 (s), 128.1, 128.4, 128.6, 128.9 (s), 129.3 (s), 129.3 (s) 129.6 (s), 132.0 (d, JPC = 10.3 Hz), 132.4 (d, JPC = 10.3 Hz), 138.3 (s) 138.6 (d, JPC = 35.9 Hz), 140.5 (d, JPC = 35.4 Hz), 141.0 (s), 237.0 (d, JPC = 18.9), 238.1 (d, JPC = 18.0 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ100.2 (s).
EI-HRMS:理論値(C30H24BrCrO2P) : 578.0102. 実測値: 578.0112.
[α]D21+65.5(c 0.59, ベンゼン).
【0087】
参考製造例4
6-1-(ジ-R"-ホスフィノ)-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (3')の製造
【化33】
(式中、Rは、イソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基を意味し、R’は、水素原子、メチル基またはベンジル基を意味し、R”は、イソプロピル基、フェニル基または3,5−キシリル基を意味する)。
(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル 2' (0.40 mmol)のTHF溶液に、tBuLi (2.0 eq, 1.77 Mペンタン溶液)を窒素雰囲気下、-78℃で滴下した。-78℃で30分撹拌後、R"2PCl (1.3 eq)を加えた。2時間かけて室温まで昇温し、塩化アンモニウム水溶液で反応を停止させた。反応混合物は、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。粗生成物はシリカゲルカラム(ヘキサン/ベンゼン = 1/1)で精製し標題の化合物を得た。反応条件は、最適化されてはいない。3a'-f'の収率は、以下の表1に挙げてある。
クロム錯体3a'-f'の物性データを以下の製造例4−a〜4−hに示した。
【0088】
参考製造例4−a
(R)-(-)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (3a')の製造
参考製造例4において(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニルとして、(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル2a’を用い、R"2PClとしてクロロジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物3a’を収率74%で得た。
【化34】
3a’
【0089】
1H NMR (C6D6): δ1.36 (s, 3H), 3.03 (t, J = 13.4 Hz, 1H), 3.60 (t, J = 7.0 Hz, 1H), 4.13-4.19 (m, 2H), 4.68 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 4.90 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 5.91 (s, 1H), 7.03-7.19 (m, 12H), 7.41 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 7.60-7.68 (m, 6H).
13C{1H}NMR (C6D6): δ27.3 (d, JPC = 6.4 Hz), 36.7 (d, JPC = 14.0 Hz), 36.8 (d, JPC = 14.8 Hz), 80.6, 86.5 (d, JPC = 3.7 Hz), 91.5 (d, JPC = 1.9Hz), 92.1, 108.0 (d, JPC = 3.2 Hz), 108.3 (d, JPC = 3.3 Hz), 121.0 (d, JPC = 5.6 Hz), 121.0 (d, JPC = 5.6 Hz), 128.7, 128.8, 128.9, 129.0, 129.4, 129.6, 131.2, 131.3, 133.1, 133.2, 133.4, 135.4, 135.6, 135.7, 135.9, 138.3, 139.3, 139.4, 139.7, 140.0, 141.1, 141.4, 236.8 (d, JPC = 19.4 Hz), 239.1 (d, JPC = 20.9 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ-10.0 (s), 96.5 (s).
EI-HRMS:理論値(C36H30CrO2P2) : 608.1126. 実測値, 608.1125.
[α]D25 -433 (c 0.20, EtOAc).
【0090】
参考製造例4−b
(R)-(-)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ジイソプロピルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (3b')の製造
参考製造例4において(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニルとして、(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジイソプロピルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル2b’を用い、R"2PClとしてクロロジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物3b’を収率65%で得た。
【化35】
3b’
上記化合物3b’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図12−1〜12−3に示す。
【0091】
1H NMR (C6D6): δ0.90-1.06 (m, 6H), 1.21-1.28 (m, 6H), 1.54 (s, 3H), 1.71-1.77 (m, 1H), 1.86-2.04 (m, 2H), 2.15 (dd, J = 15.4および10.9, 1H), 3.96-4.00 (m, 1H), 4.18 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 4.56-4.59 (m, 2H), 6.09 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.03-7.11 (m, 4H), 7.16-7.21 (m, 2H), 7.42-7.46 (m, 2H), 7.71-7.75 (m, 2H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ17.6 (s), 18.3 (s), 18.4 (s), 18.7 (s), 27.1 (d, JPC = 4.4 Hz), 28.1 (dd, JPC = 7.1および3.3 Hz), 28.5 (d, JPC = 20.8 Hz), 29.7 (d, JPC = 18.9 Hz), 80.9 (s), 87.2 (d, JPC = 3.6 Hz), 87.6 (s), 91.1 (s), 96.0 (d, JPC = 13.1 Hz), 104.7 (d, JPC = 24.4 Hz), 121.5 (t, JPC = 8.4 Hz), 128.8 (d, JPC = 1.8 Hz), 128.9 (s), 128.9 (s), 129.7 (s), 133.3 (d, JPC = 19.8 Hz), 135.5 (d, JPC = 14.4 Hz), 136.4 (d, JPC = 21.3 Hz), 138.1 (d, JPC = 2.6 Hz), 139.2 (d, JPC = 13.1 Hz), 239.9 (dd, JPC = 17.4および4.1 Hz), 241.1 (d, JPC = 18.7 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ-10.5 (s), 111.5 (s).
EI-HRMS:理論値(C30H34CrO2P2) : 540.1439. 実測値: 540.1439.
[α]D23-365 (c 0.50, EtOAc).
【0092】
参考製造例4−c
(R)-(-)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (3c')の製造
参考製造例4において(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニルとして、(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-3,5-キシリルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル2c’を用い、R"2PClとしてクロロジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物3c’を収率55%で得た。
【化36】
3c’
上記化合物3c’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図13−1〜13−3に示す。
【0093】
1H NMR (C6D6): δ1.45 (s, 3H), 2.10 (s, 6H), 2.19 (s, 6H), 3.17 (dd, J = 14.1および11.2 Hz, 1H), 3.60-3.67 (m, 1H), 4.15-4.19 (m, 2H), 4.69-4.71 (m, 1H), 4.91 (dd, J = 5.9および5.9 Hz, 1H), 6.01 (s, 1H), 6.75 (d, J = 12.9 Hz, 2H), 7.03-7.09 (m, 4H), 7.16-7.21 (m, 2H), 7.41-7.50 (m, 4H), 7.56 (d, J = 10.0 Hz, 2H), 7.67-7.71 (m, 2H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ21.5 (s), 21.5 (s), 27.4 (d, JPC = 4.3 Hz), 36.8 (dd, JPC = 14.4, 10.5 Hz), 80.4 (s), 86.6 (d, JPC = 3.8 Hz), 90.9 (d, JPC = 1.6 Hz), 92.2 (s), 92.3 (dd, JPC = 12.8および1.0 Hz), 108.0 (dd, JPC = 25.6および3.1 Hz), 121.2 (dd, JPC = 11.0および6.2 Hz), 128.8 (d, JPC = 6.9 Hz), 128.8 (s), 129.0 (d, JPC = 6.7 Hz), 129.4 (d, JPC = 9.9 Hz), 129.5 (s), 130.7 (d, JPC = 10.6 Hz), 131.1 (s), 131.3 (s), 133.4 (d, JPC = 20.0 Hz), 135.5 (d, JPC = 20.5 Hz), 136.0 (d, JPC = 13.6 Hz), 137.5 (d, JPC = 9.5 Hz), 137.7 (d, JPC = 9.2 Hz), 138.4 (d, JPC = 2.3 Hz), 139.3 (d, JPC = 13.3 Hz), 140.1 (d, JPC = 33.3 Hz), 140.6 (d, JPC = 37.2 Hz), 237.6 (dd, JPC = 17.7および1.6 Hz), 239.4 (d, JPC = 20.0 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ-10.4 (s), 95.8 (s).
EI-HRMS:理論値(C40H38CrO2P2) : 664.1752. 実測値:664.1753.
[α]D24-353 (c 0.10, EtOAc).
【0094】
参考製造例4−d
(S)-(+)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-フェニルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (3d')の製造
参考製造例4において(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニルとして、(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-フェニルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル2d’を用い、R"2PClとしてクロロジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物3d’を収率44%で得た。
【化37】
3d’
上記化合物3d’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図14−1〜14−3に示す。
【0095】
1H NMR (C6D6): δ3.61 (dd, J = 14.5および12.5 Hz, 1H), 4.08-4.16 (m, 1H), 4.19-4.25 (m, 2H), 4.72 (dd, J = 6.2および1.6 Hz, 1H), 4.91 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 6.37 (d, J = 1.3 Hz, 3H), 6.83-6.85 (m, 2H), 6.94-7.18 (m, 15H), 7.43-7.47 (m, 2H), 7.60-7.73 (m, 6H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ37.1 (dd, JPC = 13.9および13.9 Hz), 80.6 (s), 85.9 (d, JPC = 3.9 Hz), 91.7 (s), 91.9 (s), 92.0 (d, JPC = 13.3 Hz), 107.4 (dd, JPC = 25.3および2.8 Hz), 124.4 (dd, JPC = 10.8および5.4 Hz), 126.8 (s), 127.7, 128.1, 128.3, 128.5 (d, JPC = 8.7 Hz), 128.6 (s), 128.9 (d, JPC = 6.9 Hz), 129.0 (s), 129.1 (s), 129.6 (s), 129.6 (s), 131.3 (d, JPC = 9.3 Hz), 133.4 (d, JPC = 20.3 Hz), 133.4 (d, JPC = 11.0 Hz), 135.3 (d, JPC = 20.7 Hz), 135.5 (d, JPC = 12.9 Hz), 139.2 (d, JPC = 13.1 Hz), 139.6 (d, JPC = 32.1 Hz), 141.1 (d, JPC = 39.5 Hz), 141.1 (d, JPC = 39.5 Hz), 141.8 (s), 144.4 (d, JPC = 5.2 Hz), 236.7 (d, JPC = 18.4 Hz), 239.0 (d, JPC = 20.7 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ-10.0 (s), 98.7 (s).
EI-HRMS:理論値(C41H32CrO2P2) : 670.1283. 実測値: 670.1275.
[α]D18+351 (c 0.50, EtOAc).
【0096】
参考製造例4−e
(R)-(-)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (3e’)の製造
参考製造例4において(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロミウム(0) ジカルボニルとして、(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル2a’を用い、R"2PClとしてクロロジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物3e’を収率77%で得た。
【化38】
3e’
上記化合物3e’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図15−1〜15−3に示す。
【0097】
1H NMR (C6D6): δ2.95-3.04 (m, 1H), 3.39-3.48 (m, 1H), 4.05-4.08 (m, 1H), 4,14 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 4.67 (dd, J = 6.1および2.3 Hz, 1H), 4.84 (t, J = 6.1 Hz, 1H), 5.50-5.59 (m, 1H), 6.16 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.03-7.20 (m, 12H), 7.37-7.42 (m, 2H), 7.58-7.71 (m, 6H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ31.0 (dd, JPC = 14.2および11.4 Hz), 80.7 (s), 86.2 (d, JPC = 3.9 Hz), 91.6 (s), 91.8 (d, JPC = 14.1 Hz), 91.9 (s), 105.7 (dd, JPC = 25.9および3.4 Hz), 128.2, 128.3, 128.4, 128.8 (d, JPC = 6.6 Hz), 128.8 (s), 129.0 (d, JPC = 6.9 Hz), 129.0 (d, JPC = 1.8 Hz), 129.4 (d, JPC = 2.4 Hz), 129.7 (s), 129.7 (d, JPC = 2.7 Hz), 131.3 (d, JPC = 9.2 Hz), 133.1 (d, JPC = 10.5 Hz), 133.2 (d, JPC = 19.7 Hz), 135.6 (d, JPC = 12.9 Hz), 135.6 (d, JPC = 21.0 Hz), 139.3 (d, JPC = 13.6 Hz), 140.2 (d, JPC = 32.5 Hz), 141.0 (d, JPC = 38.5 Hz), 237.0 (dd, JPC = 17.6および2.0 Hz), 239.1 (d, JPC = 20.3 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ-9.78 (s), 96.4 (s).
EI-HRMS:理論値(C35H28CrO2P2) : 594.0970. 実測値: 594.0968.
[α]D22-467 (c 0.50, ベンゼン).
【0098】
参考製造例4−f
(S)-(+)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(2-ベンジル-3-ジフェニルホスフィノプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (3f’)の製造
製造例4において(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニルとして、(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-ベンジルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル2f’を用い、R"2PClとしてクロロジフェニルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物3f’を収率59%で得た。
【化39】
3f’
上記化合物3f’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図16−1〜16−3に示す。
【0099】
1H NMR (C6D6): δ2.94 (dd, J = 30.6および15.0, 2H), 3.20 (t, J = 13.6 Hz, 1H), 3.69-3.73 (m, 1H), 4.13-4.18 (m, 2H), 4.65 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.90 (t, J = 5.4 Hz, 1H), 5.92 (s, 1H), 6.86-7.16 (m, 17H), 7.42-7.66 (m, 8H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ35.8 (dd, JPC = 14.1および14.1 Hz), 47.7 (d, JPC = 4.1 Hz), 80.5 (s), 86.4 (d, JPC = 3.9 Hz), 91.7 (d, JPC = 12.9 Hz), 91.8 (s), 91.9 (s), 107.9 (dd, JPC = 25.7および3.1 Hz), 123.0 (dd, JPC = 11.0および4.6 Hz), 126.7 (s), 128.2, 128.4, 128.6 (s), 128.8 (d, JPC = 6.9 Hz), 128.9 (s), 129.0 (d, JPC = 6.7 Hz), 129.6 (s), 129.6 (d, JPC = 1.5 Hz), 131.0 (d, JPC = 9.2 Hz), 133.3 (d, JPC = 20.0 Hz), 133.4 (d, JPC = 10.7 Hz), 133.5 (d, JPC = 20.7 Hz), 135.6 (d, JPC = 12.6 Hz), 138.3 (s), 139.3 (d, JPC = 13.4 Hz), 139.5 (d, JPC = 31.8 Hz), 140.9 (s), 141.4 (d, JPC = 39.5 Hz), 236.6 (d, JPC = 16.6 Hz), 239.0 (d, JPC = 20.8 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ-9.72 (s), 97.3 (s).
EI-HRMS:理論値(C42H34CrO2P2) : 684.1439. 実測値: 684.1428.
[α]D22+400 (c 0.57, ベンゼン).
【0100】
参考製造例4−g
(S)-(+)-[η6-1-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル (3g’)の製造
参考製造例4において(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニルとして、(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル2a’を用い、R"2PClとしてクロロ-3.5-ジキシリルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物3g’を収率71%で得た。
【化40】
3g’
上記化合物3g’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図17−1〜17−3に示す。
【0101】
1H NMR (C6D6): δ1.39 (s, 3H), 2.03 (s, 6H), 2.13 (s, 6H), 3.06 (t, J = 13.4 Hz, 1H), 3.69-3.76 (m, 1H), 4.19-4.25 (m, 2H), 4.87-4.89 (m, 1H), 4.95 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 6.06 (s, 1H), 6.73 (s, 1H), 6.80 (s, 1H), 7.01- 7.12 (m, 4H), 7.16-7.25 (m, 4H), 7.39 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.64-7.74 (m, 4H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ21.3 (s), 21.3 (s), 27.4 (d, JPC = 4.6 Hz), 37.2 (dd, JPC = 14.2および14.2 Hz), 80.6 (s), 86.1 (d, JPC = 4.1 Hz), 92.1 (s), 92.3 (d, JPC = 1.6 Hz), 92.6 (d, JPC = 14.3 Hz), 108.9 (dd, JPC = 26.6および2.8 Hz), 121.2 (dd, JPC = 11.2および5.3 Hz), 128.1, 128.3, 128.3, 128.4, 128.9 (s), 129.4 (s), 130.9 (s), 131.2 (d, JPC = 20.2 Hz), 131.3 (d, JPC = 8.8 Hz), 131.5 (s), 133.0 (d, JPC = 20.5 Hz), 133.2 (d, JPC = 10.8 Hz), 135.8 (d, JPC = 12.3 Hz), 138.1 (d, JPC = 7.1 Hz), 138.3 (d, JPC = 2.3 Hz), 138.5 (d, JPC = 6.9 Hz), 139.0 (d, JPC = 12.8 Hz), 139.8 (d, JPC = 32.3 Hz), 141.5 (d, JPC = 38.4 Hz), 236.8 (d, JPC = 17.6 Hz), 239.2 (d, JPC = 20.8 Hz).
31P{1H} NMR (C6D6): δ-10.4 (s), 97.2 (s).
EI-HRMS 理論値(C40H38CrO2P2) : 664.1752. 実測値: 664.1752.
[α]D25+220 (c 0.57, CHCl3).
【0102】
参考製造例4−h
(S)-(+)-[η6-1-ジイソプロピルホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0)ジカルボニル (3h’)の製造
参考製造例4において(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジ-R-ホスフィノ-2-R'-プロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニルとして、(R)-もしくは(S)-[η6-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル2a’を用い、R"2PClとしてクロロジイソプロピルホスフィンを用いた以外は全く同じようにして以下の化合物3h’を収率74%で得た。
【化41】
3h’
上記化合物3h’のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図18−1〜18−3に示す。
【0103】
1H NMR (C6D6): δ0.75 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 0.89-1.02 (m, 6H), 1.32-1.38 (m, 6H), 1.63-1.82 (m, 2H), 2.96-3.03 (m, 1H), 3.21-3.27 (m, 1H), 4.28-4.31 (m, 2H), 4.88 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 5.08 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 6.02 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 6.98-7.16 (m, 6H), 7.51-7.56 (m, 2H), 7.63-7.68 (m, 2H).
13C{1H} NMR (C6D6): δ17.8 (d, JPC = 1.8 Hz), 19.6 (d, JPC = 15.6 Hz), 20.6 (d, JPC = 15.7 Hz), 20.7 (d, JPC = 13.6 Hz), 22.3 (d, JPC = 23.3 Hz), 26.5 (d, JPC = 18.3 Hz), 27.2 (d, JPC = 4.1 Hz), 38.8 (dd, JPC = 17.6および13.7 Hz), 79.6 (s), 85.7 (d, JPC = 4.1 Hz), 89.8 (d, JPC = 30.0 Hz), 91.3 (s), 92.9 (d, JPC = 3.6 Hz), 110.7 (dd, JPC = 26,9および2.8 Hz), 121.6 (dd, JPC = 11.4および4.5 Hz), 127.9, 128.4, 128.7 (s), 129.4 (s), 130.7 (d, JPC = 9.0 Hz), 133.7 (d, JPC = 11.0 Hz), 137.9 (d, JPC = 2.8 Hz), 139.2 (d, JPC = 31.3 Hz), 142.0 (d, JPC = 39.5 Hz), 236.6 (d, JPC = 16.2 Hz), 239.8 (d, JPC = 21.8 Hz).
31P{1H}:NMR (C6D6): δ4.81 (s), 99.3 (s).
EI-HRMS 理論値(C30H34CrO2P2) : 540.1439. 実測値: 540.1439.
[α]D26+171 (c 0.50, ベンゼン).
【0104】
上記の参考製造例1で得られた化合物6’、参考製造例2−a〜2−fで得られた合物1a’〜1f’、上記の参考製造例3−a〜3−fで得られた化合物2a’〜2f’および製造例4−a〜4−hで得られた化合物3a’〜3h’の収率ならびに各製造例で用いられた(2-置換アリル)ホスフィンにおける置換基RおよびR’ならびにクロロ置換ホスフィン(R”PCl)における置換基R”を以下の表に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
実施例1
以下の合成スキーム3に、本発明において用いられた化合物2〜6の合成工程を示す。
【化42】
【0107】
実施例1−1
η5 -ブロモシクロペンタジエニルマンガン(I)トリカルボニル(2)の製造
【化43】

Conway, B. G.; Rausch, M. D. Organometallics 1985, 4, 688の記載に基づいて、Cpマンガントリカルボニル(1) (1.0 g, 4.9 mmol)のTHF溶液 (30 mL)を-50℃に冷却し、nBuLi (7.0 mL, 11.27 mmol, 1.6 Mヘキサン溶液)を窒素雰囲気下で滴下した。反応溶液を15分間、-50℃で撹拌した後、-70℃に冷却した。続いて、1,2-ジブロモテトラクロロエタン(2.5 g, 7.8 mmol)のTHF (2.0 mL)溶液を、反応溶液に滴下し、-70℃で10分間撹拌し、その後1時間かけて0℃まで昇温した。さらに、0℃で30分撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液で反応を停止した。反応混合液を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。続いて、濾過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 20/1)にて精製し、標題の化合物を収率79%で黄色結晶として得た(1.1 g)。
【0108】
1H NMR (CDCl3): δ4.96 (s, 1H), 5.09 (s, 1H), 5.41 (s, 1H), 9.78 (s, 1H).
13C{1H} NMR (CDCl3): δ83.1, 83.4, 85.5, 88.3, 91.6, 186.6, 221.6.
IR (CHCl3): ν627.7, 1685.5, 1846.5, 1944.9, 2031.6 cm-1.
HRMS:理論値(C9H4BrMnO4) : 309.8673. 実測値: 309.8674.
【0109】
実施例1−2
(±)-(η5 -1-ブロモ-2-ホルミルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル(3)の製造
【化44】

2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(300 μL, 1.77 mmol)のTHF溶液(1.0 mL)に nBuLi (1.1 mL, 1.77 mmol, 1.6 Mヘキサン溶液)を0℃で滴下し、30分撹拌した。この溶液をCp ブロモマンガン錯体 2 (500 mg, 1.77 mmol)のTHF溶液(15 mL)に-50℃で加え、 1時間撹拌した。反応溶液を-70℃に冷却し、DMF (205 μL, 2.65 mmol) をシリンジで滴下した。-70℃で10分間撹拌した後に、0℃までゆっくり昇温し、塩化アンモニウム水溶液で反応を停止した。反応混合物は、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、ろ液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 10/1)で精製し、標題の化合物を収率87%で茶褐色結晶として得た。
【0110】
1H NMR (CDCl3): δ4.96 (s, 1H), 5.09 (s, 1H), 5.41 (s, 1H), 9.78 (s, 1H).
13C{1H} NMR (CDCl3): δ83.3 (s), 83.4 (s), 85.5 (s), 88.3 (s), 91.6 (s), 186.6 (s), 221.6 (s).
IR (CHCl3): ν628, 1686, 1847, 1945, 2032 cm-1.
HRMS:理論値(C9H4BrMnO4) : 309.8673. 実測値: 309.8674.
上記化合物3のH−NMRおよb13C−NMRスペクトルを図19−1および19−2に示す。
【0111】
実施例1−3
(±)-(η5 -1-ブロモ-2-ビニルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル(4)の製造
【化45】

MePPh3I (990 mg, 2.45 mmol)のTHF懸濁液(15 mL)に、tBuOK (317 mg, 2.83 mmol)を加え、反応混合物を5分間、室温で撹拌した。マンガン錯体3のTHF溶液(2.0 mL)を加えて、さらに室温で10分撹拌した。反応混合液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 10/1)で精製し、標題の化合物を収率72%で油状物として得た。
上記化合物4のH−NMRおよb13C−NMRスペクトルを図20−1および20−2に示す。
【0112】
1H NMR (CDCl3): δ4.76 (s, 1H), 4.90 (s, 1H), 4.9 (s, 1H), 5.34 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.61 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 6.39 (dd, J = 8.8 Hz and 14.4 Hz, 1H).
13C{1H} NMR (CDCl3): δ76.8 (s), 82.0 (s), 82.9 (s), 86.7 (s), 99.3 (s), 117.5 (s), 127.3 (s), 224.0 (s).
IR (CHCl3): ν628, 665, 1845, 1932, 2022, 3119 cm-1.
HRMS:理論値(C10H6BrMnO3) : 309.8673. 実測値: 309.8674.
【0113】
実施例1−4
(±)-(η5-1-ブロモ-2-ビニルシクロペンタジエニル)(ジフェニルメタリルホスフィン)マンガン(I)ジカルボニル(5)の製造
【化46】

(±)-マンガン錯体 4 (457 mg, 1.48 mmol) と(メタリル)ジフェニルホスフィン(355 mg, 1.48 mmol) を窒素雰囲気下、ベンゼン(25 mL)に溶解した。水銀ランプを用いて、反応溶液に光照射を24時間行った。オレンジ色の反応溶液を濾過し、ろ液を減圧下で濃縮した。粗生成物は、シリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 10/1)で精製し、標題の化合物を淡黄色結晶として得た(65%)。
上記化合物5のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図21−1〜21−3に示す。
【0114】
1H NMR (CDCl3): δ1.23 (s, 3H), 3.16 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 3.75(s, 1H), 4.29 (s, 1H), 4.35 (s, 1H), 4.62 (s, 1H), 4.79 (s, 1H), 5.15 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 14 Hz, 1H), 6.35 (dd, J = 8.4 Hz and 14 Hz, 1H), 7.40 (6H, s), 7.57-7.58 (m, 4H).
13C{1H} NMR (CDCl3): δ24.3 (s), 43.0 (d, JPC = 23.8 Hz), 78.3 (s), 82.4 (s), 84.5 (s), 85.3 (s), 95.4 (s), 115.2 (s), 117.2 (d, JPC = 9.6 Hz), 128.3 (d, JPC = 5.9 Hz), 129.0 (s), 129.8 (s), 132.4 (d, JPC = 9.5 Hz), 132.6 (d, JPC = 9.5 Hz), 137.9 (d, JPC = 27.3 Hz), 138.3 (d, JPC = 27.3 Hz), 138.6 (s), 231.7 (d, JPC = 22.6 Hz).
31P{1H} NMR (CDCl3): δ86.3.
IR (CHCl3): ν1872, 1934 cm-1.
HRMS:理論値(C25H23BrMnO2P) : 520.0000. 実測値: 520.0004.
【0115】
実施例1−5
(±)-[(η5-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル) シクロペンタジエニル-P)]マンガン(I)ジカルボニル(6)の製造
【化47】

(±)-マンガン錯体5 (888 mg, 1.7 mmol)および グラブス-II 触媒(37 mg, 0.0425 mg)を窒素雰囲気下 CH2Cl2(12 mL)に溶解し、50℃で12時間撹拌した。その結果得られた褐色の溶液を濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 10/1)で精製し、標題の化合物を黄色結晶として得た(95%)。
上記化合物6のH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図22−1〜22−3に示す。
【0116】
1H NMR (CDCl3): δ1.58 (s, 1H), 2.95 (dd, J = 8.0, 11.2 Hz, 1H), 3.11 (dd, J = 8.0, 11.2 Hz, 1H), 3.99 (s, 1H), 4.72-4.73(m, 1H), 4.87-4.88 (m, 1H), 5.94 (s, 1H), 7.35-7.49 (m, 10H).
13C{1H} NMR (CDCl3): δ27.1 (d, JPC = 3.5 Hz), 35.1 (d, JPC = 19 Hz), 74.6 (s), 80.9 (s), 81.8 (s), 99.9 (s), 116.3 (d, JPC = 10.3 Hz), 128.2 (s), 128.9 (s), 129. 7 (s), 131.8 (d, JPC = 10.7 Hz), 132.1 (d, JPC = 9.5 Hz), 137.2 (s), 137.6 (s), 137.8 (s), 138.8 (s), 229.8 (d, JPC = 20.2 Hz), 230.5 (d, JPC = 20.2 Hz).
31P{1H} NMR (CDCl3): δ109.7.
HRMS:理論値(C23H19BrMnO2P) : 491.9687. 実測値: 491.9686.
【0117】
実施例1−6
(±)-[(η5-1-ブロモ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)シクロペンタジエニル-P)]マンガン(I)ジカルボニル(6)の光学分割
光学分割は、ダイセル社製Chiralcel OD (φ20 mm)を用いて、ヘキサン/イソプロパノール(9/1)混合溶媒を移動層に用いて分割した。
(+)体:[α] D25+0.728(c 0.5, CDCl3)、
(-)体:[α] D21-3.4 (c 0.694, CDCl3)
【0118】
実施例1−7
(+)または(-)-[(η5-1-ビス-(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)シクロペンタジエニル-P))マンガン(I)ジカルボニル(7a)および(±)または(-)-[(η5-1-ビス-(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)シクロペンタジエニル-P))マンガン(I)ジカルボニル(7b)の製造
【化48】
(式中、Rは、3,5-キシリル基またはフェニル基を意味する。)
【0119】
(+) あるいは、(-)-Cpマンガン錯体6 (150 mg, 0.3 mmol)をTHF(10 mL)に溶解し、tBuLi (170 μL. 0.3 mmol, 1.77 M solution in pentane) を窒素雰囲気下、-78℃で滴下した。30分間、-78℃で撹拌した後にR2PCl (R=3,5-キシリル基またはフェニル基) (1.3 eq.)を滴下した。反応溶液を1.5時間かけて室温までゆっくり昇温し、塩化アンモニウム水溶液で反応を停止した。 反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/ベンゼン = 1/1)にて精製し、標題の化合物を黄色結晶として得た。
【0120】
(+)または(-)-[(η5-1-ビス-(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)シクロペンタジエニル-P))マンガン(I)ジカルボニル(7a)
【化49】
7a
上記化合物7aのH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図23−1〜23−3に示す。
【0121】
1H NMR (CDCl3): δ1.42 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 2.99 (t, J = 10.0 Hz, 1H), 3.65-3.69 (m, 1H), 4.13 (s, 1H), 4.34 (s, 1H), 4.79 (s, 1H), 5.86 (s, 1H), 6.89 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 7.35-7.41 (m, 4H), 7.43-7.46 (m, 2H), 7.50-7.53 (m, 2H), 7.56-7.60 (m, 2H).
13C{1H} NMR (CDCl3): δ21.4 (d, JPC = 25 Hz), 27.1 (d, JPC = 3.5 Hz), 36.2 (m), 77.4 (s), 79.9 (d, JPC = 3.5 Hz), 82.0 (s), 83.6 (d, JPC = 4.8 Hz), 88.3 (d, JPC = 11.9 Hz), 106.6 (d, JPC = 25.0 Hz), 117.2 (d, JPC = 11.9 Hz), 128.0 (d, JPC = 9.5 Hz), 128.3 (d, JPC = 8.3 Hz), 129.3 (s), 129.6 (s), 130.0 (d, JPC = 6.0 Hz), 130.1 (s), 131.1 (s), 131.3 (d, JPC = 9.5 Hz), 132.6 (d, JPC = 8.3 Hz), 132.8 (s), 135.9 d, JPC = 8.3 Hz), 137.2 (s), 137.4 (s), 137.7 (d, JPC = 6.0 Hz), 137.8 (d, JPC = 8.4 Hz), 139.1 (d, JPC = 7.1 Hz), 139.3 (s), 139.5 (s), 228.6 (d, JPC = 20.2 Hz), 231.2 (d, JPC = 22.6 Hz).
31P{1H} NMR (CDCl3): δ-21.7, 106.8.
IR (CHCl3): ν694, 750, 1434, 1873, 1938, 3402 cm-1.
HRMS:理論値(C39H37MnO2P2): 654.1649. 実測値: 654.1658.
[α] D26+135.1 (c 0.5, CDCl3), [α] D25 -162.8(c 0.5, CDCl3).
【0122】
(±)-[(η5-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル) シクロペンタジエニル-P)]マンガン(I)ジカルボニル(7b)
【化50】
7b
上記化合物7bのH−NMR、13C−NMRおよび31P−NMRスペクトルを図24−1〜24−3に示す。
【0123】
1H NMR (CDCl3): δ1.44 (s, 3H), 3.01 (t, J = 13.0 Hz, 1H), 3.60-3.65(m, 1H), 4.13 (s, 1H), 4.32 (s, 1H), 4.82 (s, 1H), 5.81 (s, 1H), 7.27-7.35 (m, 12H), 7.41-7.43 (m, 4H), 7.52-7.57 (m, 4H).
13C{1H} NMR (CDCl3): δ27.1 (d, JPC = 3.5 Hz), 35.8 (m), 79.9 (s), 82.8 (d, JPC = 26.1 Hz), 87.9 (d, JPC = 10.7 Hz), 106.3 (d, JPC = 23.8 Hz), 117.0 (d, JPC = 10.7 Hz), 128.0 (s), 128.1 (s), 128.3 (s), 128.4 (d, JPC = 6.0 Hz), 129. 4 (s), 129.7 (s), 131.2 (d, JPC = 9.5 Hz), 132.3 (d, JPC = 19.0 Hz), 132.7 (d, JPC = 9.5 Hz), 135.2 (d, JPC = 20.3 Hz), 136.1 (d, JPC = 8.3 Hz), 137.1 (s), 137.5 (s), 138.9 (s), 139.3 (s), 139.7 (d, JPC = 10.7 Hz).
31P{1H} NMR (CDCl3): δ-21.2, 106.2.
IR (CHCl3): ν628, 665, 1845, 1932, 2022, 3119 cm-1.
HRMS:理論値(C35H29BrMnO2P2) : 598.1023. 実測値: 598.1022.
【0124】
実施例2
4-メチルフェニルボロン酸の2-シクロヘキセノンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
[RhCl(η2-C2H4)2]2 (2.4 mg, 6.3μmol) および、実施例1で合成した(R)-(+)- あるいは(S)-(-)-7a (13μmol)のジオキサン溶液(1 mL)を窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。この溶液にKOH (1.25 M, 0.1 mL, 0.13 mmol)を加え、5分撹拌した。4-メチルフェニルボロン酸(102 mg, 0.75 mmol)と2-シクロヘキサノン(24 mg, 0.25 mmol)をこの溶液に加えた。50℃で9時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc=4/1)で精製し、光学活性な3-(p-メチルフェニル)シクロヘキサノンを収率99%以上で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって99.9%以上であると決定した。
このHPLCチャートを図25に示す。
【0125】
実施例3
p-メトキシフェニルボロン酸の2-シクロヘキセノンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
実施例2における4-メチルフェニルボロン酸をp-メトキシフェニルボロン酸に代えた以外は、実施例2と全く同じようにして、光学活性な3-(p-メトキシフェニル)シクロヘキサノンを収率98%で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって99.8%であると決定した。
このHPLCチャートを図26に示す。
【0126】
実施例4
p-トリフルオロメチルフェニルボロン酸の2-シクロヘキセノンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
実施例2における4-メチルフェニルボロン酸をp-トリフルオロメチルフェニルボロン酸に代えた以外は、実施例2と全く同じようにして、光学活性な3-(p-トリフルオロメチルフェニル)シクロヘキサノンを収率99%以上で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって99.2%であると決定した。
このHPLCチャートを図27に示す。
【0127】
実施例5
p-フルオロフェニルボロン酸の2-シクロヘキセノンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
実施例2における4-メチルフェニルボロン酸をp-フルオロフェニルボロン酸に代えた以外は、実施例2と全く同じようにして、光学活性な3-(p-フルオロフェニル)シクロヘキサノンを収率99%以上で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって99.6%であると決定した。
このHPLCチャートを図28に示す。
【0128】
実施例6
o-メチルフェニルボロン酸の2-シクロヘキセノンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
実施例2における4-メチルフェニルボロン酸をo-メチルフェニルボロン酸に代えた以外は、実施例2と全く同じようにして、光学活性な3-(o-メチルフェニル)シクロヘキサノンを収率99%以上で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって収率99.9%であると決定した。
このHPLCチャートを図29に示す。
【0129】
実施例7
フェニルボロン酸の3-ペンテ-2-オンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
実施例2における4-メチルフェニルボロン酸をフェニルボロン酸に代え、2-シクロヘキセノンを3-ペンテ-2-オンに代えた以外は、実施例2と全く同じようにして、光学活性な4-フェニルペンタン-2-オンを収率99%で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって98%であると決定した。
このHPLCチャートを図30に示す。
【0130】
実施例8
フェニルボロン酸の3-ヘプテ-2-オンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
実施例2における4-メチルフェニルボロン酸をフェニルボロン酸に代え、2-シクロヘキセノンを3-ヘプテ-2-オンに代えた以外は、実施例2と全く同じようにして、光学活性な4-フェニルヘプタ-2-オンを収率92%で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって99%であると決定した。
このHPLCチャートを図31に示す。
【0131】
実施例9
フェニルボロン酸の3-ノネ-2-オンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
実施例2における4-メチルフェニルボロン酸をフェニルボロン酸に代え、2-シクロヘキセノンを3-ノネ-2-オンに代えた以外は、実施例2と全く同じようにして、光学活性な4-フェニルノナ-2-オンを収率77%で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって99.8%であると決定した。
このHPLCチャートを図32に示す。
【0132】
比較例1
フェニルボロン酸のp-クロロベンズアルデヒドN-トシルイミンへのロジウム触媒不斉1,2-付加反応
[RhCl(η2-C2H4)2]2 (3.9 mg, 10 μmol) および、(R)-(+)-または(S)-(-)-3' (12 mg, 20 μmol)) の ジオキサン溶液 (1 mL)を窒素雰囲気下、室温で1 h撹拌した。この溶液にp-クロロベンズアルデヒドN-トシルイミン(58.6 mg, 0.200 mmol)、フェニルボロキシン(62.3 mg, 0.200 mmol)、KOH水溶液 (1.25 M, 32 mL, 40 μmol)を加えた。60 ℃で12時間撹拌後、反応溶液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 5/1)で精製し、光学活性なN-[(p-クロロフェニル)フェニルメチル]トシルアミドを収率98%で無色結晶として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって93%であると決定した。
このHPLCチャートを図33に示す。
【0133】
比較例2
4-メチルフェニルボロン酸の2-シクロヘキセノンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
比較例1におけるフェニルボロキシンの代わりにp-メチルフェニルボロン酸を用い、p-クロロベンズアルデヒドN-トシルイミンの代わりに2-シクロヘキセノンを用いた以外は、比較例1と全く同様にして、光学活性な3-(p-メチルフェニル)シクロヘキサノンを収率99%以上で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって、98.4%であると決定した。
このHPLCチャートを図34に示す。
【0134】
比較例3
p-トリフルオロメチルフェニルボロン酸の2-シクロヘキセノンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
比較例2におけるp-メチルフェニルボロン酸の代わりにp-トリフルオロメチルフェニルボロン酸を用いた以外は、比較例2と全く同様にして、光学活性な3-(p-トリフルオロメチルフェニル)シクロヘキサノンを収率95%で無色油状物として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって、97%であると決定した。
このHPLCチャートを図35に示す。
【0135】
比較例4
フェニルボロン酸の3-ペンタ-2-オンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
比較例2におけるp-メチルフェニルボロン酸の代わりにフェニルボロン酸を用い、2-シクロヘキセノンの代わりに3-ペンテ-2-オンを用いた以外は、比較例2と全く同様に行った。この反応において、(R)-(-)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロミウム(0) ジカルボニル (3a')を用いた場合には、光学活性な(R)-4-フェニル-3-ペンタ-2-オンを収率31%で無色油状物質として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって、57%であると決定した。また、この反応において、(S)-(+)-[η6-1-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロミウム(0) ジカルボニル (3g’) を用いた場合には、光学活性な(S)-4-フェニル-3-ペンタ-2-オンを収率34%で無色油状物質として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって、88%であると決定した。
これらのHPLCチャートを図36に示す。
【0136】
比較例5
フェニルボロン酸の3-ノナ-2-オンへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
比較例2におけるp-メチルフェニルボロン酸の代わりにフェニルボロン酸を用い、2-シクロヘキセノンの代わりに3-ノネ-2-オンを用いた以外は、比較例2と全く同様に行った。この反応において、(R)-(-)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロミウム(0) ジカルボニル (3a')を用いた場合には、光学活性な(R)-4-フェニルノナ-2-オンを収率13%で無色油状物質として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって、58%であると決定した。また、この反応において、(S)-(+)-[η6-1-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロム(0) ジカルボニル(3g’)を用いた場合には、光学活性な(S)-4-フェニルノナ-2-オンを収率43%で無色油状物質として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって、88%であると決定した。
これらのHPLCチャートを図37に示す。
【0137】
比較例6
4-フェニルボロン酸のN-ベンジルマレイミドへのロジウム触媒不斉1,4-付加反応
[Rh(OH)cod]2(1.4 mg, 3.1 μmol) と3' (6.9 μmol)のエーテル溶液(1 mL)を窒素雰囲気下、室温で10分撹拌した。これにH2O (0.5 mL)を加えて、10分間さらに撹拌した。この混合溶液にフェニルボロン酸(46 mg, 0.38 mmol)とN-ベンジルマレイイミド(24 mg, 0.13 mmol)を加え、-20℃で3時間撹拌した。反応溶液を0℃に昇温し、さらに12時間撹拌した。反応混合液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc = 3/1)で精製すると、光学活性なN-ベンジル-3-フェニルスクシンイミドを無色結晶として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって決定した。この反応において、(R)-(-)-[η6-1-ジフェニルホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロミウム(0) ジカルボニル(3a')を用いた場合には、光学活性な(R)-N-ベンジル-3-フェニルスクシンイミドを収率85%で無色油状物質として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって、81%であると決定した。また、この反応において、(S)-(+)-[η6-1-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ-2-(3-ジフェニルホスフィノ-2-メチルプロペニル)ベンゼン-P]クロミウム(0) ジカルボニル(3g’)を用いた場合には、光学活性な(S)- N-ベンジル-3-フェニルスクシンイミドを収率83%で無色油状物質として得た。生成物の光学純度(ee)は、キラルHPLC分析によって、94%であると決定した。
これらのHPLCチャートを図38に示す。
【0138】
以上、実施例で述べたように、本発明による光学活性な不斉配位子は、市販のキラルHPLCにより容易に光学分割でき、各光学活性体を目的に応じて遷移金属触媒1,4−付加反応用不斉配位子して利用できる。
【0139】
上記の実施例2〜9および比較例1〜6におけるキラル配位子、ロジウム触媒およびロジウム触媒不斉1,4−付加反応の結果を以下の表2にまとめて示す。
【表2】
【0140】
上記の実施例2〜6の結果より、本発明による光学活性な不斉配位子を用いることにより、目的とする光学活性な1,4−付加体を高収率、かつ光学純度の化合物を選択的に得ることができることが判明した。
また、その際、使用するArB(OH)におけるAr基の電子供与性または電子求引性の強弱にそれほど影響を受けることなく光学活性な1,4−付加体を高収率、かつ光学純度の化合物を選択的に得ることができることが判明した。
【0141】
実施例7〜9の結果より、本発明による光学活性な不斉配位子を用いることにより、環状エノン化合物類のみならず、脂肪族エノン化合物類、すなわち、3−ペンテ−2−オン、3−ヘプテ−2−オンおよび3−ノネ−2−オンに対しても、本発明による光学活性な不斉配位子を用いることにより、目的とする光学活性な1,4−付加体を高収率、かつ光学純度の化合物を選択的に得ることができることが判明した。
【0142】
実施例10
実施例2における(R)-(+)- あるいは(S)-(-)-7aを使用せずに、以下の式:
【化50】
に従って、2−シクロヘキセノンへの1,4−付加反応を50℃で12時間反応を行ったが、2−シクロヘキセノンへの付加反応は全く起きなかった。
したがって、本発明による遷移金属触媒不斉1,4−付加反応用面不斉配位子は、その機構は完全には解明されていないが、単なる面不斉配位子としての特性だけでなく、遷移金属触媒の活性の増加にも関与しているものと考えられる。
【0143】
本発明による遷移金属1,4−付加反応用不斉配位子を用いることにより、以下:
【化51】
の式で示され、蓄尿障害治療薬である(R)−トルテロジン、抗酸化作用を有する(S)−フラバノン、抗ウィルス活性を有する(S)−ピノストロビンおよび抗てんかん薬である(R)−フェンスクシミド等の不斉炭素を有する医薬品またはその前駆体あるいは新規医薬品の光学純度が高い化合物を高収率で製造でき得るものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明によれば、遷移金属触媒と共に用いることにより、環状エノン化合物のみならず、脂肪族エノン化合物を含む種々のエノン化合物に対しても高収率、光学純度が高い遷移金属1,4−付加反応用不斉配位子を提供でき、不斉炭素を有する医薬品またはその前駆体あるいは他の有用な化合物の容易で安価な製造を可能にすることができる。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図15-1】
図15-2】
図15-3】
図16-1】
図16-2】
図16-3】
図17-1】
図17-2】
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図18-1】
図18-2】
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図19-1】
図19-2】
図20-1】
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図21-1】
図21-2】
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図22-1】
図22-2】
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図23-1】
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図23-3】
図24-1】
図24-2】
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図25
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図27
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図29
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図31
図32
図33
図34
図35
図36
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図38