特許第6194525号(P6194525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6194525-車両用シート 図000002
  • 特許6194525-車両用シート 図000003
  • 特許6194525-車両用シート 図000004
  • 特許6194525-車両用シート 図000005
  • 特許6194525-車両用シート 図000006
  • 特許6194525-車両用シート 図000007
  • 特許6194525-車両用シート 図000008
  • 特許6194525-車両用シート 図000009
  • 特許6194525-車両用シート 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6194525
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/50 20060101AFI20170904BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20170904BHJP
   B60N 3/06 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   A47C7/50 B
   B60N2/06
   B60N3/06
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-88858(P2013-88858)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-210109(P2014-210109A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】河本 康伸
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】田中 丈久
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】原 正宏
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/028535(WO,A1)
【文献】 特開2003−039994(JP,A)
【文献】 特開2005−119613(JP,A)
【文献】 特開2000−326767(JP,A)
【文献】 特開2000−108729(JP,A)
【文献】 特開平11−020522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前列シート、及び前記前列シートの後方に設けられた後列シートと、
前記前列シートに左右一対で設けられ、前記前列シートを前後方向にスライド移動可能に支持するスライドレールと、
前記スライドレールの後端部をそれぞれ車体フロアに取り付けるフットと、
前記フットを各別に覆うフットカバーと、を備え、
前記フットカバーの上面には、前方斜め上方に延びる傾斜面が形成され、
前記フットカバーのうち、前記傾斜面の下方には、上下方向に沿って延びる縦リブが配設され、
前記フットは、前記車体フロアに取り付けられる下壁部分から立ち上がり、かつ前記車体フロアに沿って張り出すフランジ部を備え、
前記縦リブの下端は、前記フランジ部に上方から近接又は当接していることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1記載の車両用シートにおいて、
前記スライドレールは、前記フットを介して前記車体フロアに固定されたロアレールと、
前記前列シートの下面に固定され、前記ロアレールに対して前後方向にスライド移動可能とされたアッパレールと、を備え、
前記傾斜面は、前記アッパレールがスライドする移動軌跡上に配置されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項2記載の車両用シートにおいて、
前記アッパレールの後端部には、樹脂製のエンドキャップが装着されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項4】
請求項1から請求項の何れか1項に記載の車両用シートにおいて、
前記傾斜面は、前記フットを前記車体フロアに締結固定する締結具の上方に位置し、
前記フットカバーのうち前記傾斜面の後端には、下方に向けて延び、前記締結具を後方から覆う後壁が形成されていることを特徴とする車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用シートとして、前後方向に沿ってシート本体をスライド移動可能とするスライド機構が設けられたものがある。スライド機構は、シート本体の下面に左右一対で設けられたアッパレールと、車体フロアにフットを介して固定され、上述したアッパレールをそれぞれスライド移動可能に支持するロアレールと、を備えている。
また、スライド機構のフットには、後方からフットカバーが装着されており、フットが外部に露出しないようになっている。これにより、フットが後列シートに着座する乗員(以下、単に後席乗員という)の足と直接干渉したり、スライド機構の潤滑油が後席乗員の足に付着したり、スライド機構に塵埃等が堆積したりするのを防止している。
【0003】
ところで、上述した車両用シートにおいては、後席乗員の乗り心地を向上させるために、フットカバーを後席乗員のフットレストとして機能させる構成が知られている(例えば、下記特許文献1,2参照)。具体的に、下記特許文献1には、スライド機構の後端部を含むシート本体の下部空間(車体フロアとシートクッションの下面との間の空間)を、後方から覆う箱型のカバー体を備えた構成が開示されている。
また、下記特許文献2には、左右のフットを後方から覆うフットカバー部と、各フットカバー部を架け渡すフットレスト本体部と、を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−1303号公報
【特許文献2】特開2000−333774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の構成にあっては、シート本体の下部空間の全体がカバー体により覆われているため、後席乗員はカバー体より前方に足を伸ばすことができない。そのため、乗員が窮屈感を感じることがあり、乗り心地向上の観点で改善の余地があった。
また、特許文献2の構成にあっては、シート本体の下部空間のうち、車体フロアとフットレスト本体部との隙間に足を進入させることができるものの、上述した隙間の上下方向の高さが低く、やはり乗員の窮屈感を解消することは難しい。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に考慮してなされたもので、後列シートに着座する乗員の乗り心地を向上させることができる車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、前列シート(例えば、実施形態における前列シート12)、及び前記前列シートの後方に設けられた後列シート(例えば、実施形態における後列シート13)と、前記前列シートに左右一対で設けられ、前記前列シートを前後方向にスライド移動可能に支持するスライドレール(例えば、実施形態におけるスライドレール38)と、前記スライドレールの後端部をそれぞれ車体フロア(例えば、実施形態における車体フロア11)に取り付けるフット(例えば、実施形態における後部フット51)と、前記フットを各別に覆うフットカバー(例えば、実施形態におけるフットカバー61)と、を備え、前記フットカバーの上面(例えば、実施形態における上壁部73)には、前方斜め上方に延びる傾斜面(例えば、実施形態における傾斜部75)が形成され、前記フットカバーのうち、前記傾斜面の下方には、上下方向に沿って延びる縦リブ(例えば、実施形態における第2縦リブ65、及び第3縦リブ72)が配設され、前記フットは、前記車体フロアに取り付けられる下壁部分(例えば、実施形態における下壁部分54a)から立ち上がり、かつ前記車体フロアに沿って張り出すフランジ部(例えば、実施形態におけるフランジ部59)を備え、前記縦リブの下端は、前記フランジ部に上方から近接又は当接していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明では、前記スライドレールは、前記フットを介して前記車体フロアに固定されたロアレール(例えば、実施形態におけるロアレール37)と、前記前列シートの下面に固定され、前記ロアレールに対して前後方向にスライド移動可能とされたアッパレール(例えば、実施形態におけるアッパレール35)と、を備え、前記傾斜面は、前記アッパレールがスライドする移動軌跡上に配置されていてもよい。
【0009】
請求項3に記載した発明では、前記アッパレールの後端部には、樹脂製のエンドキャップ(例えば、実施形態におけるエンドキャップ43)が装着されていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載した発明では、前記傾斜面は、前記フットを前記車体フロアに締結固定する締結具(例えば、実施形態における締結具50)の上方に位置し、前記フットカバーのうち前記傾斜面の後端には、下方に向けて延び、前記締結具を後方から覆う後壁(例えば、実施形態における後壁部66)が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載した発明によれば、フットカバーの上面に傾斜面を形成することで、この傾斜面を後席乗員の足置きとして機能させることができる。これにより、後席乗員の乗り心地を向上させることができる。
特に、フットカバーが各スライドレールに各別に設けられているため、各スライドレール間であって、前列シートの下部空間は後方に開放されることになる。そのため、後席乗員は、前列シートの下部空間にも足を進入させることができる。これにより、従来のような各フットカバー間を架け渡すような構成に比べて、後席乗員の乗り心地を確実に向上させることができる。
また、傾斜面の下方に縦リブが形成されているため、フットカバーの剛性を確保することができる。これにより、傾斜部により後席乗員の足をより安定して支持することができる。
さらに、縦リブが後部フットに上方から近接しているため、フットカバーの下方移動を規制することができる。これにより、傾斜部により後席乗員の足をより安定して支持することができる。
【0013】
請求項2に記載した発明によれば、後席乗員が足を傾斜面に置いた状態で、前列シートを後方に向けて移動させると、後席乗員の足とアッパレールとが干渉することになる。これにより、前列シートの後退を触感により感知し易くなる。
【0016】
請求項に記載した発明によれば、フットカバーの後壁により、フットの後方であって、アッパレールと締結具との間を後方から覆うことができるので、アッパレールと締結具との間に足を進入させる等のおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両の概略構成図(側面図)である。
図2】後列シートの骨格部の側面図である。
図3】車室内の上面図である。
図4】後列シートのタンブル動作を説明するための模式的な側面図である。
図5】前端位置における前列シートの側面図である。
図6】スライドレールの拡大斜視図である。
図7図8のA−A線に相当する断面を示し、スライド機構、後部フット及びフットカバーの断面図である。
図8】フットカバーを後方から見た斜視図である。
図9】後端位置における前列シートの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における前後上下左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印UPは上方を、矢印FRは前方をそれぞれ示している。
【0019】
[車両]
図1は、車両10の概略構成図(側面図)である。
図1に示すように、車両10の車体フロア11上には、前列シート(車両用シート)12及び後列シート13が前後方向に間隔をあけて配列されている。
【0020】
<後列シート>
図2は、後列シート13の骨格部の側面図である。
図2に示すように、まず後列シート13は、車体フロア11に固定されたシートクッション21の後端部にシートバック22が傾動可能に連結されてなるシート本体23を備えている。なお、図示の例において、後列シート13は、左右に一対設けられている。また、後列シート13のうち、シートクッション21に対して車幅方向の内側には、シートクッション21の側面に沿うように上方に起立する起立壁14が延設され、その起立壁14の上部に、乗員が腕を載せ置くためのアームレスト15が設けられている。なお、起立壁14は前後方向と上下方向に長い略ボックス形状に形成され、その内部に図示しないフレーム部材と、リクライニング操作用のレバー部品等が収納されている。
【0021】
また、後列シート13は、車体フロア11上に設置された一対のシートレール16を介して前後方向に、より正確には、後方に向かうに従い車幅方向の内側に向けて斜めスライド移動可能とされている。すなわち、シートレール16は、図3に示すように、前方に向かうに従い車幅方向の外側に傾斜するように車体フロア11上に設置されている。シートレール16上をスライド移動する後列シート13は、最後端移動位置(図3中実線)において、車両10の車室内の側部に設けられたリヤホイールハウス17に対して車幅方向の内側に位置され、最前端移動位置(図3中鎖線)において、最後端移動位置よりも車幅方向の外側で、かつリヤホイールハウス17の前方に位置される。したがって、後列シート13は、最前端移動位置の近傍にある状態において、左右の隣接する後列シート13間に充分に大きな離間距離を確保することができ、しかも、リヤホイールハウス17と干渉を招くことなく最後端移動位置までスライド移動させることができる。
【0022】
さらに、本実施形態の後列シート13は、シートバック22をシートクッション21上に二つ折りに倒し、上述した最前端移動位置において、その状態のままシート本体23全体を前方に跳ね上げる、いわゆるタンブル動作が可能となっている。
【0023】
図2に示すように、後列シート13は、車体フロア11上に敷設されたシートレール16に板状のスライドベース18がスライド可能に支持され、スライドベース18の前端部に回動ヒンジ19を介してシートクッション21の前端部が前後回動可能に連結されている。そして、シートクッション21の後端部にはシートバック22がリクライニング機構20を介して回動可能に連結されている。また、スライドベース18の後端部には、コ字状の棒状部材からなるタンブルストライカ24が突設され、シートバック22の後部下端に設けられたロック機構25がタンブルストライカ24と係合するようになっている。
【0024】
リクライニング機構20は、シートクッション21の側部に設けられたリクライニング解除レバー26と、アームレスト15の下方の起立壁14の後端に設けられたリクライニング解除ストラップ27と、のうち何れかの操作によって解除操作されるようになっている。
【0025】
また、シートバック22は、リクライニング機構20の解除操作時に、リクライニング機構20の回転軸20aを中心として回動して二段階の前倒れ状態に遷移する。すなわち、シートバック22は、タンブル動作が完了するまでに、最初に半分程度前倒れする半倒れ状態となり、その後にシートクッション21上に重なるまで倒れる全倒れ状態となる。シートクッション21の後端部には、半倒れストッパ28が設けられており、リクライニング機構20が解除操作されたときに、半倒れストッパ28にシートバック22側のストッパピン29が当接することにより、シートバック22が半倒れ状態に維持されるようになっている。また、スライドベース18とシートレール16の間には、スライドベース18のスライド位置をロックするスライドロック機構30が設けられている。後列シート13を何等操作しない状態では、スライドロック機構30がスライドベース18をロック状態に維持している。
【0026】
スライドロック機構30は、上述のようにリクライニング機構20の解除操作によってシートバック22が半倒れ状態になると、その動作を契機としてロック解除されるようになっている。そして、上述した半倒れストッパ28は、スライドロック機構30が解除された後にシートクッション21(スライドベース18)が最前端移動位置までスライド移動すると、その後にシートクッション21の後端部のロック解除ストラップ39が引かれた時点で、ストッパピン29から離間するように変位する。この結果、シートバック22は半倒れストッパ28による回動規制が解除されて全倒れ状態へと遷移する。
【0027】
また、シートクッション21の前部での回動をロックするロック機構25は、通常状態ではスライドベース18上のタンブルストライカ24と係合しているが、シートクッション21(スライドベース18)が最前端移動位置まで移動して、シートバック22が全倒れ状態に遷移すると、その動作を契機としてタンブルストライカ24に対する係合を解除する。
【0028】
ここで、図4(A)〜(E)を参照して、後列シート13の具体的なタンブル動作について説明する。
最初に、後列シート13が正規姿勢(シートバック22が後方に立ち上がった姿勢)のときに、図4(A)に示すように、リクライニング解除レバー26とリクライニング解除ストラップ27のいずれか一方が操作されると、シートバック22がリクライニング機構20の回転軸20aを中心として前傾して半倒れ状態となる。こうして、シートバック22が半倒れ状態になるとスライドロック機構30のロックが解除される。
【0029】
次に、この状態から後列シート13を前方側に押すと、後列シート13は、図4(B)に示すようにシートレール16に沿って斜め前方側にスライド移動する。こうして後列シート13が最前端移動位置まで移動すると、ロック解除ストラップ39の引き込みによるシートバック22の全倒れ状態への遷移が可能になる。
【0030】
この状態から、図4(C)に示すように、ロック解除ストラップ39が引かれると、シートバック22がリクライニング機構20の回転軸20aを中心として全倒れ状態となり、ロック機構25とタンブルストライカ24の係合が解除される。
【0031】
こうしてロック機構25とタンブルストライカ24の係合が解除されると、回動ヒンジ19に内蔵された図示しない付勢スプリングの力により、図4(D)に示すように、後列シート13全体が回動ヒンジ19を中心としてゆっくりと回転(タンブル)する。この後、後列シート13は、図4(E)に示すように、係止具36によって車体の骨格部材に係止固定される。
【0032】
<前列シート>
図5は前列シート12の側面図である。なお、図中符号Fは後席乗員の足を示している。
図5に示すように、前列シート12は、シートクッション31の後端部にシートバック32が傾動可能に連結されてなるシート本体33を備え、このシート本体33がスライド機構34を介して前後方向にスライド移動可能に車体フロア11に固定されている。なお、図示しないが前列シート12は、左右一対設けられている。
【0033】
<スライド機構>
スライド機構34は、シートクッション31の下面に左右一対で固定されたアッパレール35と、車体フロア11上にフット51,52(図5,7等参照)を介して固定され、上述した各アッパレール35をそれぞれ前後方向に沿ってスライド移動可能に支持するロアレール37と、を備えている。なお、アッパレール35及びロアレール37により本実施形態のスライドレール38を構成している。また、本実施形態において、シート本体33の下部空間(シートクッション31の下面、車体フロア11、及び各スライドレール38により画成された空間)は前後方向に開放されており、後席乗員の足Fを差し入れられるようになっている。
【0034】
図6は、スライドレール38の拡大斜視図である。なお、各スライドレール38はそれぞれ同様の構成からなるため、以下の説明では一方のスライドレール38について説明し、他方のスライドレール38については説明を適宜省略する。
図5図6に示すように、アッパレール35は、シートクッション31の下面を前後方向に沿って延在したものであり、下方に向けて開口する断面C字状の基部41を備えている。基部41の上面は、図示しないブラケットを介してシートクッション31の下面に固定されている。基部41の左右両端縁には、外向き(左右方向の外側、かつ上方)に折り込まれた屈曲壁42が基部41の全長に亘って形成されている。
また、アッパレール35の後端部には、例えば樹脂製のエンドキャップ43が後方から装着されている。エンドキャップ43は、上述した基部41及び屈曲壁42の後端縁に後方から当接するように装着され、アッパレール35の金属部分が後席乗員の足Fに直接干渉しないようになっている。
【0035】
ロアレール37は、各アッパレール35に対応してそれぞれ前後方向に沿って延在したものであり、上方に向けて開口する断面C字状の基部44を備えている。基部44の左右両端縁には、内向き(左右方向の内側、かつ下方)に折り込まれた屈曲壁45が形成されている。上述したアッパレール35は、ロアレール37の基部44内に上方から収容され、かつ屈曲壁42がロアレール37の屈曲壁45に係合することで、ロアレール37上をスライド移動可能に支持されている。
【0036】
図7は、図8のA−A線に相当する断面を示し、スライド機構34、後部フット51及びフットカバー61の断面図である。
図5図7に示すように、ロアレール37(基部44)の下面のうち、前後両端部には、それぞれフット(後部フット51及び前部フット52)が設けられ、これらフット51,52の下端部が締結具50,53を介してそれぞれ車体フロア11に固定されている。なお、以下の説明では、各フット51,52のうち、ロアレール37の後端部側に設けられた後部フット51について主に説明する。
【0037】
図7に示すように、後部フット51は、プレス加工等により形成されたクランク状とされ、ロアレール37に取り付けられるレール取付部53と、車体フロア11に取り付けられるフロア取付部54と、これら各取付部53,54を連結する連結壁部55と、を有している。
【0038】
レール取付部53は、下方に向けて開口する断面C字状とされ、ロアレール37の下面に沿って前後方向に延在している。そして、レール取付部53は、その上壁部分がロアレール37の下面に締結具56を介して固定されている。また、レール取付部53のうち、両側壁部の前端部には後端部に対して上方に向けて窪んだ係止部57がそれぞれ形成されている。これら係止部57は、左右両側、下方及び前方に向けて開放されており、その内側に後述するフットカバー61の爪部63が係止されるようになっている。
【0039】
連結壁部55は、前方に向けて開口する断面C字状とされ、レール取付部53の後端縁から下方に向けて延設されている。連結壁部55の両側壁部は、下方に向かうに従い前後方向の幅が漸次縮小している。
【0040】
フロア取付部54は、連結壁部55の下端縁から後方に向けて車体フロア11上を延在している。具体的に、フロア取付部54は、上方に向けて開口する形状とされ、下壁部分54aの左右両側及び後方が側壁部54bにより囲まれている。
フロア取付部54の下壁部分54aには、上下方向に貫通する貫通孔58が形成され、この貫通孔58を通して締結具50が車体フロア11に締結されている。また、側壁部54bの上端縁には、外側に向けてフランジ部59が突設されている。
【0041】
<フットカバー>
ここで、各後部フット51には、各後部フット51を後方から覆うようにそれぞれフットカバー61が装着されている。フットカバー61は、樹脂材料等からなり、下方及び前方に向けて開口する箱型とされ、その内側に後部フット51が収容されるようになっている。
【0042】
図8はフットカバー61を後方から見た斜視図である。
図7図8に示すように、フットカバー61のうち、左右両側に配置された一対の側壁部62は、側面視で矩形状とされ、後部フット51及びロアレール37の後端部に左右方向で重なる位置に配置されている。各側壁部62のうち、下端縁の前部は前方に向かうに従い上方に向けて傾斜する一方、上端縁の後部は後方に向かうに従い下方に向けて傾斜している。
【0043】
側壁部62の前部には、左右方向の内側に向けて突出する爪部63が形成されている。この爪部63は、前後方向から見て三角形状とされ、左右方向の内側への突出量が上方に向かうに従い増加している。爪部63は、その上端縁及び後端縁において上述した後部フット51の係止部57に係止されることで、後部フット51に対するフットカバー61の上方及び後方への移動が規制されている。
【0044】
側壁部62の上部のうち、ロアレール37と左右方向で対向する部分には、左右方向の内側に向けて突出する第1縦リブ64(図8参照)が形成されている。第1縦リブ64は、上下方向に沿って延在するとともに、前後方向に間隔をあけて複数形成されている。そして、第1縦リブ64における左右方向の内側端部は、ロアレール37の外周面に近接または当接している。
【0045】
また、側壁部62のうち、後部フット51のフロア取付部54に左右方向で対向する部分には、左右方向の内側に向けて突出する第2縦リブ65(図7参照)が前後方向で間隔をあけて複数形成されている。第2縦リブ65は、正面視三角形状とされ、上下方向に沿って延在するとともに、下方に向かうに従い左右方向の長さが漸次拡大している。そして、第2縦リブ65の下端縁は、上述した後部フット51のうち、フランジ部59の左右両端部にそれぞれ上方から近接または当接している。
【0046】
フットカバー61のうち、後方に位置する後壁部(後壁)66は、各側壁部62の後端縁同士を接続しており、上述した後部フット51の連結壁部55に対して前後方向に隙間を空けた状態で配設されている。後壁部66の下端部には、前方に向けて係止片部71(図7参照)が突設されている。この係止片部71は、上下方向を厚さ方向とする板状とされ、上述した後部フット51のうち、フランジ部59の後端部に下方から係止されている。
【0047】
後壁部66において、係止片部71の上方に位置する部分には、前方に向けて突出する第3縦リブ72が左右方向に間隔をあけて複数形成されている。第3縦リブ72は、側面視三角形状とされ、上下方向に沿って延在するとともに、前方への突出量が下方に向かうに従い漸次拡大している。そして、第3縦リブ72の下端縁は、上述した後部フット51のうち、フランジ部59の後端部に上方から近接または当接しており、上述した係止片部71との間でフランジ部59を上下方向で挟持している。
【0048】
フットカバー61のうち、上方に位置する上壁部73は各側壁部62及び後壁部66の上端縁に倣って形成されている。具体的に、上壁部73は、各側壁部62の上端縁のうち、前部同士の間に形成された平坦部74と、後壁部66の後壁部66の上端縁から前方に向かうに従い上方(前方斜め上方)に向けて延在する傾斜部75と、を有している。
平坦部74は、各側壁部62のうち上端縁の前部からそれぞれ左右方向の内側に向けて突出しており、ロアレール37の屈曲壁42を上方から覆うように配置されている。そして、各平坦部74間には、前後方向に沿って開放されたスリット77が構成されており、このスリット77内にアッパレール35が進入可能とされている。
【0049】
傾斜部75は、各側壁部62のうち、上端縁の後部に倣って傾斜しており、その外面が後席乗員の足置き面となっている。傾斜部75は、上下方向において、上述した締結具50と重なる位置に配置されるとともに、前後方向においてスライドレール38と重なる位置に配置されている。
【0050】
また、傾斜部75のうち、スライドレール38と前後方向で対向する部分、具体的にはアッパレール35の移動軌跡上に位置する部分には、前後方向で貫通する開口部76が形成されている。開口部76は、その上端部において上述したスリット77内に連通している。開口部76の開口縁(下端縁及び側端縁)には、前方に向けて突出するガイド部81が形成されている。ガイド部81は正面視でC字状とされ、その先端部はロアレール37の後端部に外装されている。したがって、ガイド部81は、ロアレール37の延在方向と同一方向に沿って延在しており、その内側にアッパレール35が進入可能とされている。
【0051】
ガイド部81には、下方に向けて突出する前後リブ82が左右方向に間隔をあけて複数形成されている。これら前後リブ82は、側面視三角形状とされ、前後方向に沿って延在しているとともに、前方に向かうに従い上下方向の長さが拡大している。前後リブ82の前端縁は、後部フット51の連結壁部55に後方から近接または当接しており、後部フット51に対するフットカバー61の前方への移動を規制している。
また、ガイド部81及び傾斜部75のうち、前後リブ82の後方に位置する部分には、下方に向けて突出する横リブ83が前後方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例において、これら横リブ83は、上述した第2縦リブ65と前後方向で同ピッチに形成されている。
【0052】
このように形成されたフットカバー61を後部フット51に取り付ける場合には、まず係止片部71を後部フット51のフランジ部59に係止した状態で、フットカバー61を後部フット51に向けて押し込むと、フットカバー61の爪部63が後部フット51のレール取付部53に接触する。この状態で、さらにフットカバー61を押し込むと、フットカバー61の側壁部62が外側に向けて弾性変形することで、フットカバー61の爪部63が後部フット51の側壁部62の外面を摺接しながら、フットカバー61が後部フット51に覆いかぶさっていく。その後、フットカバー61の爪部63が後部フット51の側壁部62を乗り越えた時点で、フットカバー61の側壁部62が復元変形し、フットカバー61の爪部63が後部フット51の係止部57に係止される。
これにより、フットカバー61の取付作業が完了する。
【0053】
図9は、後端位置における前列シート12の側面図である。
本実施形態の前列シート12は、スライド機構34の動作によって、図5に示すようにアッパレール35の後端部が後述する後部フット51の前端部よりも前方に位置する前端位置と、図9に示すようにアッパレール35の後端部が後部フット51の後端部よりも後方に位置する後端位置と、の間でシート本体33が移動するようになっている。
この場合、図5に示す前端位置において、フットカバー61の傾斜部75上に後席乗員の足Fを置けるようになっている。なお、本実施形態では、後列シート13が斜めスライド移動可能とされているため、フットカバー61に対する後列シート13の相対位置を適宜調整することができ、乗り心地をより確実に向上させることができる。
【0054】
一方、図9に示す後端位置においては、アッパレール35がフットカバー61よりも後方に位置しているため、後席乗員は傾斜部75上に足Fを置くことができない。このような場合であっても、本実施形態では、シート本体33の下部空間が前後方向に開放されているため、この下部空間に後席乗員の足Fを差し入れられるようになっている。
【0055】
また、本実施形態では、フットカバー61の傾斜部75のうち、アッパレール35の移動軌跡上に開口部76が形成されているため、後席乗員が足Fを傾斜部75に置いた状態で、シート本体33を後端位置に向けて移動させると、足Fとアッパレール35とが干渉することになる。これにより、シート本体33の後退を触感により感知し易くなる。なお、アッパレール35の後端部には、樹脂製のエンドキャップ43が装着されているため、仮に傾斜部75に足Fを置いた状態でシート本体33が後端位置に移動しても、アッパレール35の金属部分と足Fとが直接干渉することはない。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、フットカバー61の上壁部73に傾斜部75を形成することで、この傾斜部75を後席乗員の足置きとして機能させることができる。これにより、後席乗員の乗り心地を向上させることができる。
特に、本実施形態では、フットカバー61が各スライドレール38に各別に設けられているため、各スライドレール38間であって、シート本体33の下部空間は後方に開放されることになる。そのため、後席乗員は、シート本体33の下部空間にも足Fを進入させることができる。これにより、従来のような各フットカバー61間を架け渡すような構成に比べて、後席乗員の乗り心地を確実に向上させることができる。
【0057】
また、フットカバー61の後壁部66により、後部フット51の後方であって、アッパレール35と締結具50との間を後方から覆うことができるので、アッパレール35と締結具50との間に足Fを進入させる等のおそれがない。
【0058】
また、傾斜部75の下方に縦リブ65,72が形成されているため、フットカバー61の剛性を確保することができる。
さらに、上述した縦リブ65,72が後部フット51(フランジ部59)に上方から近接しているため、フットカバー61の下方移動を規制することができる。
これにより、傾斜部75により後席乗員の足Fをより安定して支持することができる。
【0059】
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、フットカバー61の上壁部73のうち、後部のみに傾斜部75を形成する構成としたが、これに限らず、フットカバー61の上壁部73全体を傾斜面としても構わない。
また、上述した実施形態では、前列シート12を車室内の1列目シート、後列シート13を車室内の2列目シートとして説明しているが、これに限られない。例えば、前列シート12を2列目シート、後列シート13を3列目シートに適用しても構わない。
【0060】
また、各種リブの形状や、後部フット51の形状、後部フット51とフットカバー61との取付方法等は、適宜設計変更が可能である。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
11…車体フロア 12…前列シート(車両用シート) 13…後列シート 35…アッパレール 37…ロアレール 38…スライドレール 50…締結具 51…後部フット(フット) 61…フットカバー 65…第2縦リブ(縦リブ) 66…後壁部(後壁) 72…第3縦リブ(縦リブ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9