特許第6195818号(P6195818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195818
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】シフト機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/20 20060101AFI20170904BHJP
   F16H 63/30 20060101ALI20170904BHJP
【FI】
   F16H63/20
   F16H63/30
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-254511(P2014-254511)
(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公開番号】特開2016-114196(P2016-114196A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【弁理士】
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】山口 智志
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−044558(JP,U)
【文献】 特表平09−506693(JP,A)
【文献】 特開平09−210200(JP,A)
【文献】 特開昭58−189716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/26−61/36
F16H 63/30−63/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用トランスミッションにおいて、複数のシフトフォークを選択的に移動させるシフト機構であって、
前記複数のシフトフォークを支持するシフトセレクト軸と、
前記シフトセレクト軸に設けられた複数のシフトピースと、
前記複数のシフトピースと前記シフトセレクト軸の軸方向に係合可能な複数の係合部材と、を備え、
前記シフトセレクト軸は、変速段のセレクトに対応して回転し、かつ、変速段のシフトに対応して前記軸方向に移動可能に設けられ、
前記複数のシフトピースの各シフトピースは、前記シフトフォークのいずれかに対応するように前記軸方向に離間して設けられ、
前記複数の係合部材の各係合部材は、前記複数のシフトフォークのいずれかに設けられ、
前記複数のシフトピースと前記複数の係合部材とは、前記シフトセレクト軸の回転位相に応じて、前記軸方向に係合する前記シフトピースと前記係合部材との組み合わせが異なるように配置され、
前記複数のシフトピースは、前記シフトセレクト軸とは別部材であり、かつ、前記シフトセレクト軸に設けた複数の取付部にそれぞれ固定され
前記複数の取付部の各取付部は、前記シフトセレクト軸の周面に形成された穴であり、
前記シフトピースは、前記穴に挿入される軸状の部材であり、
前記係合部材は、前記シフトセレクト軸が挿通する筒状の部材であり、
前記筒状の部材の周壁は、前記シフトピースが挿通する溝を備え、
前記溝の内壁部は、いずれかの変速段に対応し、かつ、前記シフトピースと前記軸方向に係合する第一の壁部と、前記第一の壁部に対して前記シフトピースが通過可能な隙間を介して前記軸方向に対向する第二の壁部と、を有し、
前記溝は、前記第一の壁部および前記第二の壁部の周囲に形成され、前記シフトセレクト軸の回転方向に前記隙間と連通する開口部を含む、
ことを特徴とするシフト機構。
【請求項2】
請求項1に記載のシフト機構であって、
前記第一の壁部の、前記シフトセレクト軸側の端部は先細り形状となっている、
ことを特徴とするシフト機構
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシフト機構であって、
前記穴は前記シフトセレクト軸を貫通する貫通穴であり、
前記シフトピースは、前記貫通の各端部から突出した部分を有する、
ことを特徴とするシフト機構。
【請求項4】
請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のシフト機構であって、
前記シフトセレクト軸と係合し、前記シフトセレクト軸の前記軸方向の移動に対して抵抗するディテント装置を更に備える、
ことを特徴とするシフト機構。
【請求項5】
車両用トランスミッションにおいて、複数のシフトフォークを選択的に移動させるシフト機構であって、
前記複数のシフトフォークを支持するシフトセレクト軸と、
前記シフトセレクト軸に設けられた複数のシフトピースと、
前記複数のシフトピースと前記シフトセレクト軸の軸方向に係合可能な複数の係合部材と、を備え、
前記シフトセレクト軸は、変速段のセレクトに対応して回転し、かつ、変速段のシフトに対応して前記軸方向に移動可能に設けられ、
前記複数のシフトピースの各シフトピースは、前記シフトフォークのいずれかに対応するように前記軸方向に離間して設けられ、
前記複数の係合部材の各係合部材は、前記複数のシフトフォークのいずれかに設けられ、
前記複数のシフトピースと前記複数の係合部材とは、前記シフトセレクト軸の回転位相に応じて、前記軸方向に係合する前記シフトピースと前記係合部材との組み合わせが異なるように配置され、
前記複数のシフトピースは、前記シフトセレクト軸とは別部材であり、かつ、前記シフトセレクト軸に設けた複数の取付部にそれぞれ固定され
前記シフトセレクト軸を回転させる機構を更に備え、
前記機構は、
前記シフトセレクト軸に固定されたアーム部材と、
前記シフトセレクト軸と平行な揺動軸の回りに揺動可能なレバー部材と、を備え、
前記レバー部材は、
前記揺動軸から径方向に離間し、前記シフトセレクト軸を回転させるための動作力が入力される入力部と、
前記揺動軸から径方向に離間し、前記アーム部材に前記動作力を伝達する伝達部と、を備え、
前記入力部と前記揺動軸との距離よりも前記伝達部と前記揺動軸との距離の方が長い、
ことを特徴とするシフト機構。
【請求項6】
請求項に記載のシフト機構であって、
前記レバー部材は、前記シフトセレクト軸が挿通する開口部を備える、
ことを特徴とするシフト機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用トランスミッションのシフト機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用マニュアルトランスミッションでは、シフトレバーに対する乗員の操作に連動して選択変速段に応じたシフトフォークを移動させ、シフトフォークの押圧により選択変速段に対応した歯車同士をかみ合わせて選択変速段を成立させる。
【0003】
特許文献1にはシフトフォークを移動させるシフト機構が開示されている。特許文献1のシフト機構は、共通軸上に複数のシフトフォークを支持し、共通軸の回転と軸方向への移動によりシフトフォークの選択と、シフトフォークの移動とを行うものである。このシフト機構は、シフトフォーク毎に軸を必要とする構成と比較して軸数が減るため、コンパクト化の点で有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58−81629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシフト機構では、シフトフォークと共通軸との軸方向の係合及び係合解除を、共通軸の周面に形成した凸部と、シフトフォークの内周面に形成した凹凸とにより実現している。しかし、凸部や凹凸の形成は生産性が悪い場合がある。
【0006】
本発明の目的は、共通軸上に複数のシフトフォークを支持し、共通軸の回転と軸方向への移動によりシフトフォークの選択と、シフトフォークの移動とを行う構成において、生産性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、車両用トランスミッションにおいて、複数のシフトフォークを選択的に移動させるシフト機構であって、前記複数のシフトフォークを支持するシフトセレクト軸と、前記シフトセレクト軸に設けられた複数のシフトピースと、前記複数のシフトピースと前記シフトセレクト軸の軸方向に係合可能な複数の係合部材と、を備え、前記シフトセレクト軸は、変速段のセレクトに対応して回転し、かつ、変速段のシフトに対応して前記軸方向に移動可能に設けられ、前記複数のシフトピースの各シフトピースは、前記シフトフォークのいずれかに対応するように前記軸方向に離間して設けられ、前記複数の係合部材の各係合部材は、前記複数のシフトフォークのいずれかに設けられ、前記複数のシフトピースと前記複数の係合部材とは、前記シフトセレクト軸の回転位相に応じて、前記軸方向に係合する前記シフトピースと前記係合部材との組み合わせが異なるように配置され、前記複数のシフトピースは、前記シフトセレクト軸とは別部材であり、かつ、前記シフトセレクト軸に設けた複数の取付部にそれぞれ固定され、前記複数の取付部の各取付部は、前記シフトセレクト軸の周面に形成された穴であり、前記シフトピースは、前記穴に挿入される軸状の部材であり、前記係合部材は、前記シフトセレクト軸が挿通する筒状の部材であり、前記筒状の部材の周壁は、前記シフトピースが挿通する溝を備え、前記溝の内壁部は、いずれかの変速段に対応し、かつ、前記シフトピースと前記軸方向に係合する第一の壁部と、前記第一の壁部に対して前記シフトピースが通過可能な隙間を介して前記軸方向に対向する第二の壁部と、を有し、前記溝は、前記第一の壁部および前記第二の壁部の周囲に形成され、前記シフトセレクト軸の回転方向に前記隙間と連通する開口部を含む、ことを特徴とするシフト機構が提供される。
【0008】
この構成によれば、前記シフトセレクト軸を共通軸として複数のシフトフォークを支持し、その回転と軸方向の移動によりシフトフォークの選択と、シフトフォークの移動とを行うことができる。また、前記シフトピースを前記シフトセレクト軸と別部材とし、両者を固定する構成としたことで、該シフトピースを前記シフトセレクト軸に一体に形成する場合よりも生産性を向上できる。また、前記穴に前記シフトピースを挿入することで両者の組み付けが完了するため、生産性を向上できる。また、前記係合部材の内周面に前記シフトピースと係合する部分を設ける構成よりも比較的簡易に前記係合部材を生産できる
本発明においては、前記第一の壁部の、前記シフトセレクト軸側の端部は先細り形状となっていてもよい。
【0011】
また、本発明においては、前記穴は前記シフトセレクト軸を貫通する貫通穴であり、前記シフトピースは、前記貫通の各端部から突出した部分を有してもよい。
【0012】
この構成によれば、前記シフトピースの両端部を前記係合部材に係合させることができ、前記シフトフォークの移動をより確実なものとすることができる。
【0015】
また、本発明においては、前記シフトセレクト軸と係合し、前記シフトセレクト軸の前記軸方向の移動に対して抵抗するディテント装置を更に備えてもよい。
【0016】
この構成によれば、シフトフォーク毎にディテント装置を設ける構成に比べて、簡易な構成とすることができる。
【0017】
また、本発明によれば、車両用トランスミッションにおいて、複数のシフトフォークを選択的に移動させるシフト機構であって、前記複数のシフトフォークを支持するシフトセレクト軸と、前記シフトセレクト軸に設けられた複数のシフトピースと、前記複数のシフトピースと前記シフトセレクト軸の軸方向に係合可能な複数の係合部材と、を備え、前記シフトセレクト軸は、変速段のセレクトに対応して回転し、かつ、変速段のシフトに対応して前記軸方向に移動可能に設けられ、前記複数のシフトピースの各シフトピースは、前記シフトフォークのいずれかに対応するように前記軸方向に離間して設けられ、前記複数の係合部材の各係合部材は、前記複数のシフトフォークのいずれかに設けられ、前記複数のシフトピースと前記複数の係合部材とは、前記シフトセレクト軸の回転位相に応じて、前記軸方向に係合する前記シフトピースと前記係合部材との組み合わせが異なるように配置され、前記複数のシフトピースは、前記シフトセレクト軸とは別部材であり、かつ、前記シフトセレクト軸に設けた複数の取付部にそれぞれ固定され、前記シフトセレクト軸を回転させる機構を更に備え、前記機構は、前記シフトセレクト軸に固定されたアーム部材と、前記シフトセレクト軸と平行な揺動軸の回りに揺動可能なレバー部材と、を備え、前記レバー部材は、前記揺動軸から径方向に離間し、前記シフトセレクト軸を回転させるための動作力が入力される入力部と、前記揺動軸から径方向に離間し、前記アーム部材に前記動作力を伝達する伝達部と、を備え、前記入力部と前記揺動軸との距離よりも前記伝達部と前記揺動軸との距離の方が長くてもよい。
【0018】
この構成によれば、前記シフトセレクト軸を共通軸として複数のシフトフォークを支持し、その回転と軸方向の移動によりシフトフォークの選択と、シフトフォークの移動とを行うことができる。また、前記シフトピースを前記シフトセレクト軸と別部材とし、両者を固定する構成としたことで、該シフトピースを前記シフトセレクト軸に一体に形成する場合よりも生産性を向上できる。また、より少ない動作量で、前記シフトセレクト軸をより大きな範囲で回転させることができる。
【0019】
また、本発明においては、前記レバー部材は、前記シフトセレクト軸が挿通する開口部を備えてもよい。
【0020】
この構成によれば、前記レバー部材が前記シフトセレクト軸上に配設されるので、機構のコンパクト化を図れる。
【発明の効果】
【0021】
以上述べた通り、本発明によれば、共通軸上に複数のシフトフォークを支持し、共通軸の回転と軸方向への移動によりシフトフォークの選択と、シフトフォークの移動とを行う構成において、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るシフト機構を備えるマニュアルトランスミッションのスケルトン図。
図2図1のシフト機構の説明図。
図3】(A)は図2のI-I線断面図、(B)はシフトセレクト軸及びシフトピースの図2におけるII-II線断面図、(C)はシフトセレクト軸及びシフトピースの図2におけるIII-III線断面図、(D)はシフトセレクト軸及びシフトピースの図2におけるIV-IV線断面図、(E)は別例の説明図。
図4図1のシフト機構の動作例の説明図。
図5図1のシフト機構の動作例の説明図。
図6】(A)はシフト機構の説明図、(B)はレバー部材の説明図、(C)はアーム部材の説明図。
図7】(A)は図1のシフト機構の組み立て例の説明図、(B)は別例のシフト機構の組み立て例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係るシフト機構1を備えるマニュアルトランスミッションAのスケルトン図である。マニュアルトランスミッションAは前進6段の変速段を選択可能なトランスミッションである。なお、同図は前進段に関する構成を示し、後進段に関する構成は省略している。
【0024】
マニュアルトランスミッションAはクラッチCLを介してエンジンEGの駆動力が入力されて回転するメイン軸MSを備える。また、メイン軸MSと平行にカウンタ軸CSが設けられている。
【0025】
メイン軸MSには、メイン軸MSに固定された歯車G11及びG21と、メイン軸MSに対して相対回転可能な歯車G31、G41及びG51、G61が支持されている。カウンタ軸CSには、カウンタ軸CSに固定された歯車G01、G32、G42、G52及びG62と、カウンタ軸CSに対して相対回転可能な歯車G12及びG22が支持されている。
【0026】
歯車G11と歯車G12とは1速段を構成する歯車対であり、常時噛み合っている。
歯車G21と歯車G22とは2速段を構成する歯車対であり、常時噛み合っている。歯車G31と歯車G32とは3速段を構成する歯車対であり、常時噛み合っている。歯車G41と歯車G42とは4速段を構成する歯車対であり、常時噛み合っている。歯車G51と歯車G52とは5速段を構成する歯車対であり、常時噛み合っている。歯車G61と歯車G62とは6速段を構成する歯車対であり、常時噛み合っている。
【0027】
歯車G01は差動装置DFの歯車G02と常時噛み合っている。メイン軸MSに入力された駆動力は減速されて差動装置DFに出力されることになる。
【0028】
カウンタ軸CSには、シンクロ機構を構成するシンクロスリーブSS1がカウンタ軸CSの軸方向に移動可能に設けられている。シンクロスリーブSS1が同図右側に移動すると歯車G12とカウンタ軸CSとが回転方向に固定されて1速段が確立される。すなわち、メイン軸MSに入力された駆動力が歯車G11、G12を介してカウンタ軸CSに伝達され、更に差動装置DFに出力される。同様にシンクロスリーブSS1が同図左側に移動すると歯車G22とカウンタ軸CSとが回転方向に固定されて2速段が確立される。
【0029】
メイン軸MSには、シンクロ機構を構成するシンクロスリーブSS2がメイン軸MSの軸方向に設けられている。シンクロスリーブSS2が同図右側に移動すると歯車G31とメイン軸MSとが回転方向に固定されて3速段が確立される。すなわち、メイン軸MSに入力された駆動力が歯車G31、G32を介してカウンタ軸CSに伝達され、更に差動装置DFに出力される。同様にシンクロスリーブSS2が同図左側に移動すると歯車G41とメイン軸MSとが回転方向に固定されて4速段が確立される。
【0030】
メイン軸MSには、シンクロ機構を構成するシンクロスリーブSS3がメイン軸MSの軸方向に設けられている。シンクロスリーブSS3が同図右側に移動すると歯車G51とメイン軸MSとが回転方向に固定されて5速段が確立される。すなわち、メイン軸MSに入力された駆動力が歯車G51、G52を介してカウンタ軸CSに伝達され、更に差動装置DFに出力される。同様にシンクロスリーブSS3が同図左側に移動すると歯車G61とメイン軸MSとが回転方向に固定されて6速段が確立される。
【0031】
シフト機構1は、シフトセレクト軸2と、シフトフォークユニット(以下SFユニットとも呼ぶ。)3〜5とを備える。SFユニット3〜5は、それぞれ、シフトフォーク31〜51、係合部材32〜52を備える。SFユニット3〜5は変速段数に応じた数が設けられる。
【0032】
シフトセレクト軸2は、後述する機構によって、変速段のセレクト操作によりその軸心回りに回転し(矢印Dr方向)、変速段のシフト操作によりその軸方向(矢印D方向)に移動可能に設けられており、SFユニット3〜5を支持している。矢印Drで示す回転をセレクト動作と呼び、矢印Dで示す軸方向の移動をシフト動作と呼ぶ場合がある。
【0033】
シフトフォーク31はシンクロスリーブSS1を操作して1速段及び2速段のインギアを行う。1速段のインギアを行う場合、シフトセレクト軸2と共に同図右側へ移動し、シンクロスリーブSS1を同図右側へ移動させて歯車G12とカウンタ軸CSとを回転方向に固定させる。同様に、2速段のインギアを行う場合、シフトセレクト軸2と共に同図左側へ移動し、シンクロスリーブSS1を同図左側へ移動させて歯車G22とカウンタ軸CSとを回転方向に固定させる。
【0034】
シフトフォーク41はシンクロスリーブSS2を操作して3速段及び4速段のインギアを行う。3速段のインギアを行う場合、シフトセレクト軸2と共に同図右側へ移動し、シンクロスリーブSS2を同図右側へ移動させて歯車G31とメイン軸MSとを回転方向に固定させる。同様に、4速段のインギアを行う場合、シフトセレクト軸2と共に同図左側へ移動し、シンクロスリーブSS2を同図左側へ移動させて歯車G41とメイン軸MSとを回転方向に固定させる。
【0035】
シフトフォーク51はシンクロスリーブSS3を操作して5速段及び6速段のインギアを行う。5速段のインギアを行う場合、シフトセレクト軸2と共に同図右側へ移動し、シンクロスリーブSS3を同図右側へ移動させて歯車G51とメイン軸MSとを回転方向に固定させる。同様に、6速段のインギアを行う場合、シフトセレクト軸2と共に同図左側へ移動し、シンクロスリーブSS3を同図左側へ移動させて歯車G61とメイン軸MSとを回転方向に固定させる。
【0036】
図2図3Dを参照して、シフト機構1について更に説明する。図2はシフト機構1の説明図であり、特にシフトセレクト軸2とSFユニット3〜5の説明図である。同図において、SFユニット3〜5は一部破断図として図示されている。図3(A)は図2のI-I線断面図、図3(B)はシフトセレクト軸2及びシフトピースP1の図2におけるII-II線断面図、図3(C)はシフトセレクト軸2及びシフトピースP2の図2におけるIII-III線断面図、図3(D)はシフトセレクト軸2及びシフトピースP3の図2におけるIV-IV線断面図である。
【0037】
シフトセレクト軸2は、本実施形態の場合、円柱状の軸であり、その一方端部2aと他方端部2bとの間に複数のSFユニット3〜5が支持されている。他方端部2b側には複数の係合部21〜23が軸方向に連続的に形成されている。本実施形態の場合、係合部21〜23はシフトセレクト軸2の周面に形成された環状の溝である。
【0038】
係合部21〜23にはディテント装置6が係合する。ディテント装置6は、本実施形態の場合、係合部材61と係合部材61をシフトセレクト軸2側へ常時付勢する付勢部材62とを備える。本実施形態の場合、係合部材61は球体であり、付勢部材62はコイルばねである。係合部材61は、シフトセレクト軸2の軸方向の位置に応じて係合部21〜23のうちの一つと係合し、シフトセレクト軸2の軸方向の移動に対して抵抗する。これにより、シフト動作後にシフトセレクト軸2が元の位置に戻ってしまう事態等を回避する。シフトセレクト軸2の軸方向の移動力が所定の力に達すると、付勢部材62の付勢力に抗して押し上げられ係合部材61は係合部21〜23の間の山の部分を乗り上げて別の係合部21〜23と係合する。こうして、シフトセレクト軸2の軸方向の位置をより確実に3か所とすることができる。
【0039】
係合部材61が係合部22と係合している場合、変速段はニュートラルである。係合部材61が係合部21と係合している場合、変速段は偶数段である。係合部材61が係合部23と係合している場合、変速段は奇数段である。
【0040】
本実施形態では、このようにディテント装置6をシフトセレクト軸2に係合する構成とすることで、シフトフォーク毎にディテント装置を設ける構成に比べて、簡易な構成とすることができる。
【0041】
シフトセレクト軸2には、複数のシフトピースP1〜P3が設けられている。シフトピースP1〜P3は、SFユニット3〜5の数(つまり3つ)と同数設けられており、SFユニット3〜5に対応するようにシフトセレクト軸2の軸方向に離間して設けられている。詳細には、シフトピースP1はSFユニット3に、シフトピースP2はSFユニット4に、シフトピースP3はSFユニット4に、それぞれ対応している。
【0042】
シフトピースP1〜P3は、シフトセレクト軸2とは別部材である。本実施形態の場合、シフトピースP1〜P3は円柱軸状の部材であり、シフトセレクト軸2に設けた複数の取付部H1〜H3にそれぞれ固定されている。取付部H1〜H3は本実施形態の場合、シフトセレクト軸2の周面に形成された穴であり、シフトピースP1〜P3は取付部H1〜H3に挿入されている。本実施形態の場合、特に、取付部H1〜H3は、シフトセレクト軸2の軸心を通過してシフトセレクト軸2を貫通する貫通穴とされている。シフトピースP1〜P3の各両端部は、取付部H1〜H3の各端部から突出している。換言すると、シフトピースP1〜P3の各両端部はシフトセレクト軸2の周面から突出している。このため、後述する係合部材32〜52との係合箇所が2か所(両端部)となり、シフトセレクト軸2の移動によるSFユニット3〜5の移動をより確実なものとすることができる。
【0043】
シフトピースP1〜P3は、例えば、取付部H1〜H3に圧入することで取付部H1〜H3に固定される。この他、シフトピースP1〜P3をネジ軸、取付部H1〜H3をネジ穴として両者の締結によりシフトピースP1〜P3を固定してもよい。いずれにしても、シフトピースP1〜P3をシフトセレクト軸2と別部材とし、両者を固定する構成としたことで、シフトピースP1〜P3をシフトセレクト軸2に一体に形成する場合よりも生産性を向上できる。特に本実施形態では取付部H1〜H3を穴としたので、穴にシフトピースP1〜P3を挿入することで両者の組み付けが完了するため、生産性を向上できる。また、取付部H1〜H3を本実施形態のように貫通穴とすることで、穴の深さ管理が不要となり、加工がより容易化する。
【0044】
取付部H1〜H3の構成として、例えば、図3(E)に示すように有底の穴Hとすることも可能である。この場合、シフトピースPはその一方端部のみがシフトセレクト軸2の周面から突出し、他方端部は突出しない構成となる。また、穴Hの深さ管理が必要な場合がある。取付部H1〜H3は穴以外にも、シフトピースを固定できればどのようなものでもよい。
【0045】
SFユニット3〜5は、本実施形態の場合、シフトフォーク31〜51と、対応する係合部材32〜52とが一体に形成されている。しかし、シフトフォークと係合部材とを別部材とし、両者をボルト等で締結して互いに固定する構造であってもよく、各係合部材がいずれかのシフトフォークに設けられていればよい。
【0046】
SFユニット3〜5は、シフトセレクト軸2が貫通する穴3a〜5aをそれぞれ備える。穴3aはシフトフォーク31と係合部材32とを横断するように形成されている。穴4a及び5aも同様である。
【0047】
穴3aのD方向両端部には、それぞれ、シフトセレクト軸2が挿通するブッシュを設けてもよい。ブッシュを設けることで、シフトフォーク31の作動時にシンクロスリーブSS1からの反力をブッシュで受けることができる。穴4a及び5aも同様である。
【0048】
シフトフォーク31はC字型のフォーク部分を有し、このフォーク部分がシンクロスリーブSS1と係合する。また、シフトフォーク31はフォーク部分から離間して、穴3aが形成された根元部分を有している。シフトフォーク41、51も同様の構成である。

係合部材32はシフトフォーク31の根元部分と連続した筒状の部材である。本実施形態の場合、係合部材31は一方端部1a側から他方端部1b側へ向かって僅かに縮径した円筒形状である。係合部材42、52も同様の構成である。
【0049】
係合部材32〜52がそれぞれ備える係合部及び開口部について説明する。まず、図2及び図3(A)を参照して係合部材42の係合部42a及び開口部42bについて説明する。
【0050】
係合部材42は、シフトピースP2とD方向に係合する係合部42aを備える。本実施形態の場合、係合部42aは、シフトセレクト軸2の軸心に対して互いに対象となる位置に2か所形成されているが、1か所であってもよい。特に、例えば、シフトピースP2等の構成として図3(E)のような構成例を採用した場合、係合部42aは1か所でよいことになる。
【0051】
各係合部42aは一対の壁部W3、W4から構成されている。壁部W3と壁部W4とはD方向に互いに対向して配置され、その間にはシフトピースP2が通過可能な空隙が形成されている。この空隙はシフトピースP2が通過可能な範囲でできるだけ狭く形成される。
【0052】
壁部W3は3速段に対応している。変速段のセレクト操作が3−4速段である場合、壁部W3は図2図3(A)に示すようにシフトピースP2と対向した状態となる。そして、3速段へのシフト操作によってシフトセレクト軸2のD方向の一方の方向の移動すると、シフトピースP2が壁部W3に当接して係合状態となり、SFユニット4全体がシフトセレクト軸2と共に移動する。
【0053】
壁部W4は4速段に対応している。変速段のセレクト操作が3−4速段である場合、壁部W4は図2図3(A)に示すようにシフトピースP2と対向した状態となる。そして、4速段へのシフト操作によってシフトセレクト軸2のD方向の他方の方向の移動すると、シフトピースP2が壁部W4に当接して係合状態となり、SFユニット4全体がシフトセレクト軸2と共に移動する。
【0054】
変速段のセレクト操作が3−4速段以外の場合、シフトピースP2と壁部W3又は壁部W4との当接は避けなければならない。本実施形態の場合、図3(A)に示すように壁部W3の内側端部(シフトセレクト軸2側の端部)は先細り形状となっている。これにより、シフトピースP2が壁部W3から少しずれた位置にあれば、シフトピースP2と壁部W3とが互いに当接しないようになる。壁部W4も同様の構成を有している。
【0055】
係合部42aの周囲には、壁部W3と壁部W4との間の空隙に連通した開口部42bが形成されている。本実施形態の場合、周方向で係合部42aの両側に開口部42bが形成されており、開口部42bはD方向に延設されている。変速段のセレクト操作が3−4速段以外の場合、開口部42bにはシフトピースP2が挿通する。これにより、シフトピースP2と係合部材42とが係合することを回避する。
【0056】
係合部材32や係合部材52は、基本的に係合部材42と同様の構成である。簡単に説明すると、係合部材32は、シフトピースP1とD方向に係合する係合部32aを備える。本実施形態の場合、係合部32aは、シフトセレクト軸2の軸心に対して互いに対象となる位置に2か所形成されているが、1か所であってもよい。
【0057】
各係合部32aは一対の壁部W1、W2から構成されている。壁部W1と壁部W2とはD方向に互いに対向して配置され、その間にはシフトピースP1が通過可能な空隙が形成されている。壁部W1は1速段に対応し、壁部W2は2速段に対応している。変速段のセレクト操作が1−2速段である場合、壁部W1と壁部W2との間にシフトピースP1が位置する。図2の例はセレクト操作が3−4速段である場合を示しており、シフトピースP1は壁部W1と壁部W2との間に位置していない。壁部W1と壁部W2の構造や機能は壁部W3、壁部W4と同様である。
【0058】
係合部32aの周囲には、壁部W1と壁部W2との間の空隙に連通した開口部32bが形成されている。本実施形態の場合、周方向で係合部32aの片側に開口部32bが形成されており、開口部32bはD方向に延設されている。変速段のセレクト操作が1−2速段以外の場合、開口部32bにはシフトピースP2が挿通し、シフトピースP1と係合部材32とが係合することを回避する。
【0059】
係合部材52は、シフトピースP3とD方向に係合する係合部52aを備える。本実施形態の場合、係合部52aは、シフトセレクト軸2の軸心に対して互いに対象となる位置に2か所形成されているが、1か所であってもよい。
【0060】
各係合部52aは一対の壁部W5、W6から構成されている。壁部W5と壁部W6とはD方向に互いに対向して配置され、その間にはシフトピースP3が通過可能な空隙が形成されている。壁部W5は5速段に対応し、壁部W6は6速段に対応している。変速段のセレクト操作が5−6速段である場合、壁部W5と壁部W6との間にシフトピースP3が位置する。図2の例はセレクト操作が3−4速段である場合を示しており、シフトピースP3は壁部W5と壁部W6との間に位置していない。壁部W5と壁部W6の構造や機能は壁部W3、壁部W4と同様である。
【0061】
係合部52aの周囲には、壁部W5と壁部W6との間の空隙に連通した開口部52bが形成されている。本実施形態の場合、周方向で係合部52aの両側に開口部52bが形成されており、開口部52bはD方向に延設されている。変速段のセレクト操作が5−6速段以外の場合、開口部52bにはシフトピースP3が挿通する。これにより、シフトピースP3と係合部材52とが係合することを回避する。
【0062】
このように本実施形態では係合部32a〜52a及び開口部32b〜52bは、係合部材32〜52の半加工品に対するドリル加工やミリング加工による穴あけ作業で形成できる。したがって、係合部材の内周面にシフトピースと係合する部分を設ける構成よりも比較的簡易に係合部材を生産できる。
【0063】
複数のシフトピースP1〜P3と複数の係合部材32〜52とは、シフトセレクト軸2の回転位相に応じて、軸方向(D方向)に係合するシフトピースと係合部材の組み合わせが異なるように配置されている。具体的には、図3(B)〜図3(D)に示すように複数のシフトピースP1〜P3の取付位置の位相(シフトセレクト軸2の回転方向の位置)を異ならせており、概ね60度ずらしている。逆に、係合部32a〜52aの位置は同じ位相としている。これにより、シフトセレクト軸2の回転位相に応じて、係合するシフトピースと係合部材の組み合わせが一つのみとなるようにしている。
【0064】
なお、本実施形態の場合、複数のシフトピースP1〜P3の回転方向の位置を異ならせる構成としたが、係合部材32〜52側の構成(例えば係合部32a〜32bの回転方向の相対位置)を異ならせてもよく、あるいは双方を異ならせてもよい。
【0065】
図4及び図5を参照して具体的な変速動作例について説明する。図4の状態ST1はニュートラルの状態を示し、変速段のセレクト操作が3−4速段である状態(無操作)を示している。シフトピースP2は係合部42aに位置しており、シフトピースP1及びP3は係合部32a及び52aに位置せず、開口部32b及び52bに位置している。
【0066】
状態ST1から4速段へのシフト操作が行われると、状態ST2に示すようにシフトセレクト軸2が矢印方向に動く。このとき、係合部42aの壁部W4がシフトピースP2と係合し、SFユニット4、つまり、シフトフォーク41がシフトセレクト軸2と同方向に移動し4速段にインギアする。
【0067】
状態ST1から3速段へのシフト操作が行われると、状態ST3に示すようにシフトセレクト軸2が矢印方向に動く。このとき、係合部42aの壁部W3がシフトピースP2と係合し、SFユニット4、つまり、シフトフォーク41がシフトセレクト軸2と同方向に移動し3速段にインギヤする。
【0068】
図5の状態ST4は変速段のセレクト操作が1−2速段であり、シフトセレクト軸2が所定量回転した状態を示している。シフトピースP1は係合部32aに位置しており、シフトピースP2及びP3は係合部42a及び52aに位置せず、開口部42b及び52bに位置している。
【0069】
状態ST4から2速段へのシフト操作が行われると、状態ST5に示すようにシフトセレクト軸2が矢印方向に動く。このとき、係合部32aの壁部W2がシフトピースP1と係合し、SFユニット3、つまり、シフトフォーク31がシフトセレクト軸2と同方向に移動し2速段にインギアする。1速段へのシフト操作が行われた場合はシフトセレクト軸2の移動が逆方向になり、壁部W1がシフトピースP1と係合することになる。
【0070】
図5の状態ST6は変速段のセレクト操作が5−6速段であり、シフトセレクト軸2が所定量回転した状態を示している。シフトピースP3は係合部52aに位置しており、シフトピースP1及びP2は係合部32a及び42aに位置せず、開口部32b及び42bに位置している。シフト操作時の動作は他の変速段と同様であり、5速段へのシフト動作の場合はシフトセレクト軸2が同図で右側へ移動し、シフトピースP3と壁部W5とが係合してシフトフォーク51を同図右側へ移動させる。6速段へのシフト動作の場合はシフトセレクト軸2が同図で左側へ移動し、シフトピースP3と壁部W6とが係合してシフトフォーク51を同図左側へ移動させる。
【0071】
こうして本実施形態では、シフトセレクト軸2を共通軸として複数のシフトフォーク31〜51を支持し、その回転と軸方向の移動によりシフトフォーク31〜51の選択と、シフトフォーク31〜51の移動とを行うことができる。
【0072】
次に、シフト機構1のうち、シフトセレクト軸2をDr方向に回転させ、D方向に移動させる機構について図6(A)〜図6(C)を参照して説明する。図6(A)はシフト機構1の説明図、図6(B)はレバー部材74の説明図、図6(C)はアーム部材761の説明図である。
【0073】
シフト機構1は、シフトセレクト軸2をDr方向に回転させる伝達機構7と、シフトセレクト軸2をD方向に移動させる伝達機構8とを備える。車室内に配置されるシフトレバーSLと、リンク機構7及び8とは、ワイヤW1、W2で連結されている。シフトレバーSLのシフトパターンPTは、上側に奇数段が、下側に偶数段が配置されたH型のシフトパターンである。シフトレバーSLに対するセレクト操作(矢印D1方向)の操作力を動作力とし、この動作力がワイヤW1及び伝達機構7を介してシフトセレクト軸2へ伝達される。また、シフトレバーSLに対するシフト操作(矢印D2方向)の操作力を動作力とし、この動作力がワイヤW2及び伝達機構8を介してシフトセレクト軸2へ伝達される。
【0074】
伝達機構7は、リンク71と、軸72と、リンク73と、レバー部材74と、伝達部材75とを備える。シフトセレクト軸2の一方端部2aはスリーブ9に回転自在に支持されており、レバー部材74はスリーブ9に隣接して配置されている。
【0075】
リンク71は軸72に固定されている。リンク71にはワイヤW1が接続されており、セレクト操作により軸72の軸心72aを揺動中心として揺動する。リンク71の揺動により軸72が回転し、リンク73も軸72の軸心72aを揺動中心として揺動する。リンク73の端部はレバー部材74の上端部に係合している。レバー部材74は軸部742を備え、軸部742が不図示の支持部材により回転自在に支持されている。軸部742はその軸方向がシフトセレクト軸2と平行である。リンク73の揺動によりレバー部材74は軸心742aを揺動中心として揺動する。
【0076】
図6(A)及び(B)に示すように、レバー部材74は、板状の部分に軸部742を設けた部材である。軸部742は本実施形態の場合、円筒形状の部材である。本実施形態の場合、レバー部材74が軸部742を一体に備える構成としたが、両者を別部材とし、軸部742に相当する軸の周りにレバー部材が揺動自在であってもよい。板状の部分は、上部の入力部741と、下部の伝達部744と、を備える。
【0077】
入力部741は本実施形態の場合、角型の切欠きとして形成されている。リンク73の端部73aはこの入力部741内に挿入され、端部73aは図6(B)で左右方向に揺動する。その結果、レバー部材74は軸心742aを揺動中心として図6(B)で時計回り、反時計回りに揺動する。
【0078】
伝達部742は、本実施形態の場合、図6(B)で上下方向に延びる長穴となっている。伝達部742には、後述するピン751aが挿入される。
【0079】
軸部742は、入力部741と伝達部742との間に位置している。換言すると、入力部741は軸部742から径方向に離間し、伝達部744も軸部742から径方向に離間している。
【0080】
入力部741と軸心742aとの距離L1と、伝達部744と軸心742aとの距離L2とを比較すると、L1<L2の関係にある。したがって、入力部741の変位量に対して、伝達部744の変位量は大きくなる。これは、より少ないセレクト動作量(操作量)で、シフトセレクト軸2をより大きな範囲で回転させることができることを意味する。つまり、マニュアルトランスミッションAのケース内の少ない作動スペースで回転角増幅を行うことができる。
【0081】
入力部741と伝達部742との間にはシフトセレクト軸2が挿通する開口部743が形成されている。開口部743はレバー部材74の揺動範囲に対するシフトセレクト軸2の干渉範囲を考慮した形状をなしており、本実施形態では円弧状に湾曲した長穴である。開口部743を設けない構成も採用可能であるが、この場合、レバー部材74をシフトセレクト軸2の軸方向で外側に配置する構成となる。本実施形態の場合、開口部743をシフトセレクト軸2が挿通するので、図6(A)に示すようにレバー部材74をシフトセレクト軸2上に配設することができる。これは、シフトセレクト軸2の一方端部2a周辺の機構のコンパクト化、省スペース化に寄与する。
【0082】
伝達部材75はシフトセレクト軸2に固定されている。伝達部材75はアーム部材751と、スリーブ部材752と、アーム部材753とを一体的に備える。アーム部材751とアーム部材753とはD方向に離間して互いに対向した板状の部材であり、スリーブ部材752はアーム部材751とアーム部材753とを接続する円筒状の部材である。
【0083】
図6(A)及び図6(C)に示すように、アーム部材751は板状の部材の端部にピン751aを立設した構成である。アーム部材751は、ピン751aから離間して穴751bを有する。この穴751bにはシフトセレクト軸2が挿通する。
【0084】
ピン751aはレバー部材74の伝達部744に挿入される。シフトレバーSLを起点としたセレクト操作はレバー部材74の揺動を生じさせ、更に、伝達部744を介してアーム部材751を揺動させる。この結果、シフトセレクト軸2が回転することになる。
【0085】
伝達機構8は、シフト操作によって矢印D3方向に揺動する揺動部材81を備える。揺動部材81の端部はアーム部材751とアーム部材753との間に挿入され、揺動部材81の揺動によりシフトセレクト軸2がD方向に移動することになる。
【0086】
次に、上述したシフト機構1の組付性について説明する。図3(A)の例では、シフトフォーク41のフォーク形状が左右非対称とされている。他のシフトフォーク31、51のフォーク形状も同様である。これは、シンクロスリーブSS1〜SS3に対してシフトセレクト軸2及びFSユニット3〜5を組み付ける際に有利な場合がある。
【0087】
図7(A)はその説明図であり、シンクロスリーブSS1及びSS2に対するFSユニット3及び4の装着例を模式的に示している。同図の例では、シフトフォーク31及び41の先端が、シンクロスリーブSS1及びSS2の中心を通る線(つまりメイン軸MSとカウンタ軸CSの軸心を通る線)Lよりも先で内側に回り込まないように、フォーク形状を左右非対称としている。図示しないがシフトフォーク51も同様である。このため、セレクト軸2及びFSユニット3〜5を先組みし、図7(A)で矢印で示すように組み付けたユニットをシンクロスリーブへ差し込むように装着することで、これらの組み立てができる。
【0088】
一方、シフトフォークのフォーク形状は左右対称とした方が剛性バランス上、有利な場合がある。この場合、図7(A)のような組み立てが困難な場合がある。図7(B)はその一例を示す。同図の例ではフォーク形状が左右対称であるシフトフォーク31及び41の先端が線Lよりも先で内側に回り込んでいるため、図7(A)の例のようにセレクト軸2及びFSユニット3〜5を先組みすると、シンクロスリーブへの装着が困難となる。
【0089】
図7(B)の例の場合、FSユニット3〜5を対応するシンクロスリーブSS1〜SS3へ装着した後、FSユニット3〜5にシフトセレクト軸2を差し込む。更に、シフトピースP1〜P3をシフトセレクト軸2に取り付ける。以上により組み立てが完了する。このように、シフトフォークのフォーク形状をを左右対称とした場合でも本実施形態は実施可能である。
【0090】
<他の実施形態>
上記実施形態は、本発明をマニュアルトランスミッションに適用した例について説明したが、本発明は、トルクコンバータ式やデュアルクラッチ式等のオートマティックトランスミッションにも適用可能である。この場合、乗員の操作力に代えて、変速段のセレクト、シフトのための動作力を発生する駆動源(モータ等)を含む駆動ユニットを設けてシフト機構を動作させればよい。
【符号の説明】
【0091】
A マニュアルトランスミッション
P1〜P3 シフトピース
1 シフト機構
2 シフトセレクト軸
31、41、51 シフトフォーク
32、42、52 係合部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7