特許第6195931号(P6195931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6195931
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】車両用中空シール
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/06 20060101AFI20170904BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20170904BHJP
【FI】
   B60R13/06
   B60J10/86
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-534329(P2015-534329)
(86)(22)【出願日】2014年8月29日
(86)【国際出願番号】JP2014072746
(87)【国際公開番号】WO2015030177
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-181265(P2013-181265)
(32)【優先日】2013年9月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【弁理士】
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【弁理士】
【氏名又は名称】大戸 隆広
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】稲井 洋平
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 発明協会公開技報公技番号2001−004663
【文献】 特開2011−189880(JP,A)
【文献】 特開2004−322948(JP,A)
【文献】 特開2008−230530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/06
B60J 10/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えたドア開口部に取り付けられ、車外側に中空部を有する車両用中空シールであって、
前記ドア開口部のフランジに取り付けられるとともに前記フランジより車外側に位置し、前記ドア開口部の開口外側に外端部を有する取付基部と、
前記取付基部から車外側に向けて設けられ、前記取付基部とともに前記中空部を形成する中空壁部と、
前記中空壁部の内部に設けられることにより前記中空部を、車外側に位置する第1中空部、および車内側に位置する第2中空部の2つに仕切るブリッジ部と、を備え、
前記第1中空部は、
前記ブリッジ部、および前記ドア開口部を開閉するドアに当接する当接部を有し、
前記当接部の車内側の内端部および前記ブリッジ部の車内側の内端部が、前記取付基部の外端部に直接接続され、
前記第2中空部は、
前記ドア開口部の開口内側に、前記ブリッジ部と前記取付基部とを連結する連結部を有し、
該連結部および前記取付基部により、前記ドア開口部の開口外側に凹んだ凹状の溝部が形成され、前記中空部が車内方向に引き込まれて前記ブリッジ部が前記連結部に当接された状態において、前記中空部が前記取付基部よりも車外側に位置し
前記連結部は、前記溝部の底部を形成し、かつ、前記取付基部に連結された第1連結部と、前記第1連結部の外端部から開口内側に向けて折り曲げられた第2連結部と、前記第2連結部の内端部から前記ブリッジ部の外端部まで延びる第3連結部とを有し、
前記溝部は、前記第2連結部が前記第1連結部から前記溝部の内部に形成される空間側に折り曲げられると、当該折り曲げられた部位が前記ブリッジ部の外端部に当接することを特徴とする車両用中空シール。
【請求項2】
前記当接部は、
車外側に突出された外端に、前記ドアに当接可能で、かつ屈曲可能に形成された屈曲部を有し、
前記当接部の前記内端部から前記屈曲部までの長さ寸法が、前記取付基部の前記ドア開口部内外方向の幅寸法より短いか、もしくは略同一である請求項1記載の車両用中空シール。
【請求項3】
前記ブリッジ部の外端部が前記当接部に接続され、
前記ブリッジ部の前記内端部から前記外端部までの長さ寸法が、前記取付基部の前記ドア開口部内外方向の幅寸法より短いか、もしくは略同一である請求項1または請求項2記載の車両用中空シール。
【請求項4】
前記第2中空部は、
前記ブリッジ部と、前記取付基部と、前記連結部と、により中空状に形成され、
前記連結部は、
前記第1連結部が、前記取付基部から車外側に張り出され、かつ前記第2連結部および前記第3連結部よりも肉厚に形成されている請求項1から3のいずれか1項記載の車両用中空シール。
【請求項5】
前記中空部は、
車内側の内端部から車外側の外端部までの長さ寸法が、前記取付基部の前記ドア開口部内外方向の幅寸法より短いか、もしくは略同一である請求項1から4のいずれか1項記載の車両用中空シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えたドア開口部に取り付けられ、車外側に中空部を有する車両用中空シールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、車体にドア開口部を備え、ドア開口部のフランジに車両用中空シールを備えている。車両用中空シールをフランジに備えることにより、ドア開口部をドアで閉じた状態において車両用中空シールの中空部がドアに接触し、ドア開口部およびドア間の間隙が車両用中空シールで密閉される。
【0003】
この車両用中空シールのなかには、車両用中空シールの取付基部がドア開口部のフランジに取り付けられ、取付基部のドア側(すなわち、車外側)に二つの中空部が連続して接続されたものが知られている。具体的には、取付基部のドア側に第1中空部が形成され、第1中空部のドア側に第2中空部が直接接続されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1の車両用中空シールは、ドア側に二つの中空部が連続して接続されているため、乗員がドア開口部から車両に乗り込む際に、第1中空部や第2中空部に乗員の身体が接触する場合がある。この場合、第1中空部や第2中空部が乗員の身体で車室側に引きずり込まれてしまうことが考えられる。
【0005】
特に、この車両用中空シールは、取付基部のドア側に第1中空部および第2中空部が連続して接続されている。よって、乗員の身体が第1中空部や第2中空部に接触した場合、第1中空部および第2中空部の2つの中空部がそれぞれ伸ばされるため全体の伸び代が大きくなる。
このため、第2中空部が車両用中空シールの取付基部まで伸ばされ、乗員の身体と車両用中空シールとの間に第2中空部が挟み込まれて損傷することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3714844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、乗員の乗車時に乗員の身体でシールが損傷することを防止できる車両用中空シールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、車両に備えたドア開口部に取り付けられ、車外側に中空部を有する車両用中空シールであって、前記ドア開口部のフランジに取り付けられるとともに前記フランジより車外側に位置し、前記ドア開口部の開口外側に外端部を有する取付基部と、前記取付基部から車外側に向けて設けられ、前記取付基部とともに前記中空部を形成する中空壁部と、前記中空壁部の内部に設けられることにより前記中空部を、車外側に位置する第1中空部、および車内側に位置する第2中空部の2つに仕切るブリッジ部と、を備え、前記第1中空部は、前記ブリッジ部、および前記ドア開口部を開閉するドアに当接する当接部を有し、前記当接部の車内側の内端部および前記ブリッジ部の車内側の内端部が、前記取付基部の外端部に直接接続され、前記第2中空部は、前記ドア開口部の開口内側に、前記ブリッジ部と前記取付基部とを連結する連結部を有し、該連結部および前記取付基部により、前記ドア開口部の開口外側に凹んだ凹状の溝部が形成され、前記中空部が車内方向に引き込まれて前記ブリッジ部が前記連結部に当接された状態において、前記中空部が前記取付基部よりも車外側に位置し、前記連結部は、前記溝部の底部を形成し、かつ、前記取付基部に連結された第1連結部と、前記第1連結部の外端部から開口内側に向けて折り曲げられた第2連結部と、前記第2連結部の内端部から前記ブリッジ部の外端部まで延びる第3連結部とを有し、前記溝部は、前記第2連結部が前記第1連結部から前記溝部の内部に形成される空間側に折り曲げられると、当該折り曲げられた部位が前記ブリッジ部の外端部に当接する車両用中空シール提供される。
【0009】
ここで、車両に乗員が乗り込む際に、乗員の身体が中空部(特に、中空部のうち、ドア開口部の開口内側の部位)に接触することが考えられる。
そこで、請求項1において、車外側の中空部をブリッジ部で第1中空部および第2中空部に仕切り、第1中空部を車外側に配置した。この第1中空部にブリッジ部およびドアに当接する当接部を有し、当接部の内端部およびブリッジ部の内端部を取付基部の外端部に直接接続させた。
【0010】
請求項2に係る発明では、好ましくは、前記当接部は、車外側に突出された外端に、前記ドアに当接可能で、かつ屈曲可能に形成された屈曲部を有し、前記当接部の前記内端部から前記屈曲部までの長さ寸法が、前記取付基部の前記ドア開口部内外方向の幅寸法より短いか、もしくは略同一である。
【0011】
請求項3に係る発明では、好ましくは、前記ブリッジ部の外端部が前記当接部に接続され、前記ブリッジ部の前記内端部から前記外端部までの長さ寸法が、前記取付基部の前記ドア開口部内外方向の幅寸法より短いか、もしくは略同一である。
【0012】
請求項4に係る発明では、好ましくは、前記第2中空部は、前記ブリッジ部と、前記取付基部と、前記連結部と、により中空状に形成され、前記連結部は、前記第1連結部が、前記取付基部から車外側に張り出され、かつ前記第2連結部および前記第3連結部よりも肉厚に形成されている。
【0013】
請求項5に係る発明では、好ましくは、前記中空部は、車内側の内端部から車外側の外端部までの長さ寸法が、前記取付基部の前記ドア開口部内外方向の幅寸法より短いか、もしくは略同一である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、第1中空部(当接部)の内端部およびブリッジ部の内端部を取付基部の外端部に直接接続させた。
よって、車両に乗車時の乗員が中空部(特に、中空部のうち、ドア開口部の開口内側の部位)に接触して、接触した部位が車内側に引き込まれた場合に、接触した部位の引込み量を当接部およびブリッジ部で小さく抑えることができる。
すなわち、接触した部位を当接部およびブリッジ部で取付基部の内端部まで引き込まないようにできる。
これにより、乗員の身体で引き込まれた中空部が損傷することを防止できる。
【0016】
請求項2に係る発明では、当接部の外端に屈曲部を有し、屈曲部をドアに当接可能で、かつ屈曲可能に形成した。よって、屈曲部をドアに当接させた状態において屈曲部を屈曲させることにより、ドアに対する屈曲部の当接力を高めることができる。
これにより、屈曲部をドアに当接させた状態を安定に保つことができ、ドアおよび屈曲部間の間隙を好適に密閉できる。
【0017】
ところで、当接部の外端に屈曲部を有することにより、車両に乗車時の乗員が屈曲部に接触することが考えられる。そこで、当接部の長さ寸法を取付基部の幅寸法より短いか、もしくは略同一とした。
これにより、屈曲部の引込量を当接部で小さく抑えることができ、乗員の引込みによる中空部の損傷を防止できる。
【0018】
請求項3に係る発明では、ブリッジ部の外端部を当接部に接続し、ブリッジ部の長さ寸法を取付基部の幅寸法より短いか、もしくは略同一とした。
これにより、当接部の引込量をブリッジ部で小さく抑えることができ、乗員の引込みによる中空部の損傷を防止できる。
【0019】
請求項4に係る発明では、第2中空部の連結部のうち、取付基部に連結される第1連結部第2連結部および第3連結部よりも肉厚に形成した。これにより、連結される部位の剛性を高めることができる。
また、乗員の身体が接触することによる中空部の引込量を、連結される部位(すなわち、肉厚部位)で小さく抑えることができ、乗員の引込みによる中空部の損傷を防止できる。
【0020】
請求項5に係る発明では、中空部の内端部から外端部までの長さ寸法を取付基部の幅寸法より短いか、もしくは略同一とした。よって、中空部の内端部から外端部までの長さ寸法を小さく抑えることができる。
これにより、中空部を乗員の身体で車内側に引き込み難い形状に形成でき、中空部の引込量を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る車両用中空シールを備えた車両を示す側面図である。
図2図1の車両から前後のサイドドアを除去した状態を示す側面図である。
図3図1の3−3線で破断した状態を示す斜視図である。
図4図3の4部拡大図である。
図5図3の中空部を示す斜視図である。
図6図3の車両用中空シールが車内側に引き込まれた状態を示す斜視図である。
図7】本発明に係る車両用中空シールを乗員の身体で車内側に引き込む例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0024】
実施例に係る車両用中空シールについて説明する。
図1図2に示すように、車両10は、車両10の前側部11に形成された前ドア開口部13と、車両10の後側部12に形成された後ドア開口部14と、前ドア開口部13に設けられた前中空シール15と、後ドア開口部14に設けられた後中空シール16とを備えている。
【0025】
さらに、車両10は、前ドア開口部13から乗降可能な前シート18と、後ドア開口部14から乗降可能な後シート19と、前ドア開口部13に開閉自在に支持される前サイドドア21と、後ドア開口部14に開閉自在に支持される後サイドドア22とを備えている。
【0026】
前ドア開口部13は車両10の前側部11に略矩形枠状に形成され、後ドア開口部14は車両10の後側部12に略矩形枠状に形成されている。
なお、後ドア開口部14および後中空シール16は、前ドア開口部13および前中空シール15と類似部材であり、以下、前側の部材13,15について詳しく説明して後側の部材14,16の詳しい説明を省略する。
【0027】
図3に示すように、前ドア開口部13は、前ドア開口部13の開口内縁13aから開口内側(矢印A方向)に向けて張り出されたフランジ25を含む。フランジ25の全周に亘って前中空シール15が嵌合されている。
【0028】
図4に示すように、前中空シール15は、フランジ25に取り付けられるフランジ取付部31と、フランジ取付部31の外取付基部38に一体に接合された中空壁部33と、中空壁部33の内部に設けられたブリッジ部34とを備えている。
外取付基部38および中空壁部33で中空部32が形成されている。
【0029】
フランジ取付部31は、芯材36が内部に埋設され、断面略U字状に形成されている。
すなわち、フランジ取付部31は、フランジ25の内側(車内45側)に設けられた内取付基部37と、フランジ25の外側(車外46側)に設けられた外取付基部38と、内取付基部37および外取付基部38の各内端部37a,38aを連結する連結基部39と、内取付基部37の外端部37bからフランジ25に向けて張り出されたフランジ支持リップ41と、内取付基部37の内端部37aから車内45側に張り出された装飾リップ42とを有する。
【0030】
内取付基部37および外取付基部38の各内端部37a,38aは、前ドア開口部13の開口内側の端部である。また、内取付基部37の外端部37bは、前ドア開口部13の開口外側の端部である。
【0031】
内取付基部37、外取付基部38および連結基部39でフランジ取付部31が断面略U字状に形成され、フランジ取付部31に開口31aが形成される。フランジ取付部31が開口31aからフランジ25に嵌合された(すなわち、組み付けられた)状態において、外取付基部38およびフランジ支持リップ41でフランジ25が挟持される。
この状態において、装飾リップ42でガーニッシュ43の外縁部43aが車内(車室)45側から覆われる。
【0032】
図5に示すように、フランジ25の外面25aに沿って外取付基部38が上下方向に延在されている。外取付基部38は、フランジ25の外面25aに取り付けられることによりフランジ25より車外46側に設けられている。
この外取付基部38は、前ドア開口部13の開口内側(矢印A方向)に設けられた内端部38aと、前ドア開口部13の開口外側(矢印B方向)に設けられた外端部38bとを有する。
この外取付基部38および中空壁部33で中空部32が形成されている。
【0033】
中空部32は、車内45側の内端部32aから車外46側の外端部32bまでの長さ寸法(以下、「中空部長さ寸法」という)がL1となるように形成されている。
一方、外取付基部38は、前ドア開口部13の開口内外方向(前ドア開口部13内外方向、すなわち矢印A、B方向)の幅寸法がW1となるように形成されている。以下、この幅寸法を「取付基部幅寸法」W1という。
また、中空部長さ寸法L1は、取付基部幅寸法W1より短いか、もしくは略同一に設定されている。換言すれば、中空部32は、中空部長さ寸法L1が取付基部幅寸法W1を超えないように形成されている。
【0034】
ところで、車両10に乗員が乗り込む際に、乗員の身体が中空部32(特に、中空部32のうち前ドア開口部13の開口内側の部位32c)に接触して、中空部32を車内45側に引き込むことが考えられる。以下、中空部32のうち前ドア開口部13の開口内側の部位を「接触部位」32cという。
【0035】
ここで、中空部32は、中空部長さ寸法L1が小さく抑えられている。よって、乗員の身体で中空部32が車内45側に引き込まれる量(すなわち、引込量)を小さく抑えることができる。
換言すれば、中空部32は、乗員が乗車する際に、乗員の身体で車内45側に引き込み難い形状に形成されている。これにより、乗員の身体で中空部32を車内45側に引き込むことにより中空部32が損傷することを防止できる。
【0036】
中空壁部33は、外取付基部38(具体的には、内端部38a)の近傍38cから車外46側に向けて張り出された内側中空壁部48と、外取付基部38の外端部38bから車外46側に向けて張り出された外側中空壁部49とを有する。
【0037】
内側中空壁部48の外端部および外側中空壁部49の外端部が接合されることにより、中空部32の外端部32bが形成される。よって、中空壁部33が略V字状に形成されている。
中空壁部33の内部にブリッジ部34が設けられ、ブリッジ部34で中空部32が第1中空部52および第2中空部53の2つに仕切られる。
第1中空部52が車外46側に位置し、第2中空部53が車内45側に位置する。
【0038】
ブリッジ部34は、中空壁部33の内部に傾斜状に設けられている。このブリッジ部34は、前ドア開口部13の開口外側で、かつ車内45側に位置する内端部34aと、前ドア開口部13の開口内側で、かつ車外46側に位置する外端部34bとを有する。
ブリッジ部34の内端部34aは、外取付基部38のうち開口外側の外端部38bに直接接続されている。また、ブリッジ部34の外端部34bは、第1中空部52の当接部55に直接接続されている。
【0039】
このブリッジ部34は、内端部34aから外端部34bまでの長さ寸法(以下、「ブリッジ部長さ寸法」という)がL2となるように形成されている。
ブリッジ部長さ寸法L2は、取付基部幅寸法W1より短いか、もしくは略同一に設定されている。換言すれば、ブリッジ部長さ寸法L2は、取付基部幅寸法W1を超えないように設定されている。
【0040】
よって、乗員の身体が第1中空部52に接触して第1中空部52(当接部55)を車内45側に引き込む際に、当接部55の引込量をブリッジ部34で小さく抑えることができる。
これにより、乗員の身体で当接部55を車内45側に引き込むことにより中空部32が損傷することを防止できる。
【0041】
第1中空部52は、第2中空部53から車外46側に張り出された部位(すなわち、当接部)55を有する。この第1中空部52は、当接部55およびブリッジ部34で中空状に形成されている。
当接部55は、ブリッジ部34および前サイドドア21(図4参照)に当接可能な部位である。この当接部55は、前ドア開口部13の開口内側に設けられた内当接部56と、前ドア開口部13の開口外側に設けられた外当接部57とを有する。
【0042】
内当接部56は、車内45側の内端部56aがブリッジ部34の外端部34bに接続されている。外当接部57は、車内45側の内端部(当接部55の内端部)57aがブリッジ部34の内端部34aと一体に外取付基部38の外端部38bに直接接続されている。
外当接部57は、中空部32の外側中空壁部49を形成する壁部である。
【0043】
さらに、内当接部56の車外46側の外端部56bおよび外当接部57の車外46側の外端部57bが略V字状に連結されることにより、中空部32の外端部32bに屈曲部58が形成される。すなわち、当接部55は、車外46側に屈曲部58を有する。
この屈曲部58は、前サイドドア21のインナパネル23(図4参照)に当接可能で、かつ屈曲可能に形成されている。
【0044】
図4に示すように、屈曲部58を前サイドドア21(具体的には、インナパネル23)に当接させた状態において、屈曲部58を屈曲させることができる。屈曲部58が屈曲することにより、インナパネル23に対する屈曲部58の当接力が高められる。
これにより、屈曲部58をインナパネル23に当接させた状態を安定に保つことができ、インナパネル23および屈曲部58間の間隙を好適に密閉できる。
【0045】
図5に戻って、中空部32をブリッジ部34で第1中空部52および第2中空部53に仕切り、第1中空部52を車外46側に配置した。この第1中空部52にブリッジ部34および前サイドドア21に当接する当接部55を有し、外当接部57の内端部57aおよびブリッジ部34の内端部34aを外取付基部38の外端部38bに直接接続させた。
【0046】
外取付基部38の外端部38bは芯材36で変形し難いように固定されている。外当接部57の内端部57aやブリッジ部34の内端部34aが変位しないように外取付基部38の外端部38bで好適に保持されている。
よって、車両10に乗車時の乗員が中空部32の接触部位32cに接触し、接触部位32cが車内45側に引き込まれた場合に、外当接部57の内端部57aやブリッジ部34の内端部34aが変位することを抑えることができる。
【0047】
接触部位32cの車内45側への引込量を当接部55およびブリッジ部34で小さく抑えることができる。
すなわち、接触部位32cを当接部55およびブリッジ部34で外取付基部38の内端部38aまで引き込まないようにできる。これにより、乗員の身体で引き込まれた中空部32が損傷することを防止できる。
【0048】
また、中空部32(具体的には、第1中空部52)の車外46側に屈曲部58が設けられている。このため、車両10に乗車時の乗員の身体が、特に屈曲部58に接触することが考えられる。
そこで、当接部55(具体的には、外当接部57)は、外当接部57の内端部57aから屈曲部58までの長さ寸法(以下、「当接部長さ寸法」という)がL3となるように形成されている。
当接部55の当接部長さ寸法L3は、取付基部幅寸法W1より短いか、もしくは略同一に設定されている。
【0049】
換言すれば、当接部55の当接部長さ寸法L3が取付基部幅寸法W1を超えないように設定されている。
当接部55の当接部長さ寸法L3を小さく抑えることにより、乗員の身体で屈曲部58を車内45側に引き込む量(引込量)を当接部55で小さく抑えることができる。これにより、乗員の身体で引き込まれた中空部32が損傷することを防止できる。
【0050】
また、内側中空壁部48は、ブリッジ部34の外端部34bおよび内当接部56の内端部56aが接続される部位(以下、「接続部位」という)48aにおいて、前ドア開口部13の開口内側の表面48bが滑らかに形成されている。
よって、車両10に乗車時の乗員が中空部32に接触した場合に、接続部位48aが屈曲の起点になることを防止できる。これにより、中空部32を乗員の身体で車内側に引き込み難い形状に形成でき、中空部32の引込量を小さく抑えることができる。
【0051】
第1中空部52の車内45側に第2中空部53が一体に設けられている。
第2中空部53は、外取付基部38から車外46側に第1中空部52まで張り出されている。この第2中空部53は、連結部61を有し、ブリッジ部34、外取付基部38および連結部61により中空状に形成されている。
連結部61および内当接部56で内側中空壁部48が形成される。
【0052】
連結部61は、外取付基部38の内端部38a(具体的には、内端部38aの近傍38c)を接続部位48aに連結する部位である。接続部位48aは、ブリッジ部34の外端部34bおよび内当接部56の内端部56aが接続される部位である。
よって、ブリッジ部34の外端部34bおよび外取付基部38(具体的には、内端部38a)の近傍38cが連結部61で連結されている。
【0053】
この連結部61は、外取付基部38(詳しくは、内端部38a)の近傍38cから車外46側に張り出された第1連結部(取付基部に連結される部位)62と、第1連結部62の外端部62aから開口内側に向けて折り曲げられた第2連結部63と、第2連結部63の内端部63aからブリッジ部34の外端部34b(接続部位48a)まで延ばされた第3連結部64とを有する。
【0054】
外取付基部38の内端部38a、第1連結部62および第2連結部63で凹状の溝部66が形成されている。よって、溝部66の内部に空間71が形成される。
第1連結部62は、外取付基部38(内端部38a)の近傍38cから車外46側に張り出され、第2、第3の連結部(連結部の他の部位)63,64より肉厚に形成されている。
【0055】
具体的には、第1連結部62の肉厚寸法T1が第2連結部63や第3連結部64の肉厚寸法T2より大きい。よって、第1連結部62は、第2連結部63や第3連結部64より剛性が高く形成されている。
これにより、乗員の身体が接触することによる中空部32の引込量を第1連結部62で小さく抑えることができ、乗員の引込みによる中空部32の損傷を防止できる。
【0056】
図6に示すように、前中空シール15に凹状の溝部66が形成されることにより、外取付基部38(内端部38a)の近傍38cおよび第2連結部63間に空間71が形成される。さらに、第1連結部62は、第2連結部63や第3連結部64より剛性が高く形成されている。
【0057】
よって、乗員の身体が中空部32の接触部位32cに接触して中空部32を車内45側に矢印Cの如く引き込む際に、第2連結部63が第1連結部62から空間71側に折り曲げられる。
これにより、接触部位32cが乗員の身体から離れる方向(前ドア開口部13の開口外側(矢印B方向))に変形し、接触部位32cを乗員の身体で車内45側に引き込み難くすることができる。
【0058】
さらに、第2連結部63が第1連結部62から折り曲げられた部位65にブリッジ部34の外端部34bが当接する。よって、接触部位32cを乗員の身体で車内45側に引き込み難くすることができる。
接触部位32cを乗員の身体でフランジ取付部31側に引き込み難くすることにより、中空部32の接触部位32cがフランジ取付部31まで引き込まれることを防止できる。
これにより、中空部32の接触部位32cが乗員の身体およびフランジ取付部31間に挟まれて損傷することを抑えることができる。
【0059】
つぎに、前中空シール15の中空部32を乗員の身体で車内45側に引き込む例を図7に基づいて説明する。
図7(a)に示すように、車両10の前ドア開口部13から乗員が矢印Dの如く車内45側に乗車する際に、乗員の身体(例えば、背中、臀部や足)75が中空部32の接触部位32cに接触する。乗員の身体75が接触部位32cに接触することにより、中空部32が車内45側に矢印Dの如く引き込まれる。
【0060】
ここで、中空部32に凹状の溝部66が形成されることにより、溝部66の内部に空間71が形成されている。さらに、第1連結部62の剛性が、第2連結部63や第3連結部64の剛性より高く設定されている。
【0061】
図7(b)に示すように、乗員の身体75で中空部32が矢印D方向に引き込まれることにより、第2連結部63が第1連結部62から空間71側に折り曲げられる。
これにより、接触部位32cが乗員の身体75から離れる方向(前ドア開口部13の開口外側(矢印B方向))に変形し、中空部32を乗員の身体75で車内45側に引き込み難くすることができる。
【0062】
図7(a)に戻って、中空部32の中空部長さ寸法L1が外取付基部38の取付基部幅寸法W1を超えないように設定されている。
また、外当接部57の内端部57aやブリッジ部34の内端部34aが外取付基部38の外端部38bに一体に直接接続されている。
さらに、ブリッジ部34のブリッジ部長さ寸法L2が取付基部幅寸法W1を超えないように設定されている。加えて、当接部55(外当接部57)の当接部長さ寸法L3が取付基部幅寸法W1を超えないように設定されている。
【0063】
図7(b)に示すように、中空部32を乗員の身体75で車内45側に一層引き込み難くすることができる。これにより、中空部32の接触部位32cがフランジ取付部31まで引き込まれることを防止できる。
これにより、中空部32の接触部位32cが乗員の身体およびフランジ取付部31間に挟まれて損傷することを抑えることができる。
【0064】
なお、本発明に係る車両用中空シールは、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、前後の中空シール15,16が以下の複数の条件を満たすように形成された例について説明したが、これに限定するものではない。
条件:中空部32に凹状の溝部66を形成した。さらに、外当接部57の内端部57aやブリッジ部34の内端部34aを外取付基部38の外端部38bに一体に直接接続した。加えて、中空部長さ寸法L1、ブリッジ部長さ寸法L2や当接部長さ寸法L3が取付基部幅寸法W1を超えないように設定した。
例えば、前後の中空シール15,16に、上記複数の条件から任意の条件を選択して採用することも可能である。
【0065】
また、前記実施例では、前中空シール15について詳しく説明したが、後中空シール16も前中空シール15と同様の効果が得られる。
【0066】
さらに、前記実施例で示した車両、前後のドア開口部、前後の中空シール、前後のサイドドア、フランジ、中空部、中空壁部、ブリッジ部、外取付基部、内側中空壁部、接続部位、第1中空部、第2中空部、当接部、外当接部、屈曲部、連結部、第1連結部および第2、第3の連結部などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、車両に備えたドア開口部に設けられ、車外側に中空部を有し、ドア開口部およびドア間の間隙を密閉する車両用中空シールを備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0068】
10…車両、13,14…前後のドア開口部(ドア開口部)、15,16…前後の中空シール(車両用中空シール)、21,22…前後のサイドドア(ドア)、25…フランジ、32…中空部、32a…中空部の内端部、32b…中空部の外端部、33…中空壁部、34…ブリッジ部、34a…ブリッジ部の内端部、34b…ブリッジ部の外端部、38…外取付基部(取付基部)、38b…外取付基部の外端部、45…車内、46…車外、48…内側中空壁部、48a…接続部位(ブリッジ部の外端部および当接部が接続される部位)、48b…接続部位の表面、52…第1中空部、53…第2中空部、55…当接部、57…外当接部、57a…外当接部の内端部(当接部の内端部)、58…屈曲部、61…連結部、62…第1連結部(取付基部に連結される部位)、63,64…第2、第3の連結部(連結部の他の部位)、L1…中空部長さ寸法(車内側の内端部から車外側の外端部までの長さ寸法)、L2…ブリッジ部長さ寸法(ブリッジ部の内端部から外端部までの長さ寸法)、L3…当接部長さ寸法(当接部の内端部から屈曲部までの長さ寸法)、W1…取付基部幅寸法(取付基部のドア開口部内外方向の幅寸法)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7