特許第6196083号(P6196083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6196083
(24)【登録日】2017年8月25日
(45)【発行日】2017年9月13日
(54)【発明の名称】自動二輪車
(51)【国際特許分類】
   B62J 15/00 20060101AFI20170904BHJP
   B62J 99/00 20090101ALI20170904BHJP
【FI】
   B62J15/00 B
   B62J99/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-144526(P2013-144526)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-16758(P2015-16758A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高崎 篤志
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−177717(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0121708(US,A1)
【文献】 特開平01−266085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 15/00,23/00,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(15)から後下方に延びるメインフレーム(16)と、
前記メインフレーム(16)の下方に配置されたエンジン(50)と、
前記エンジン(50)の前方に設けられるラジエータ(68L,68R)と、
前記ヘッドパイプ(15)に回動可能に支持されるステアリング軸に支持されるフロントフォーク(10)と、
前記フロントフォーク(10)を構成する左右のフォークアッシ(10L,10R)の中間部を連結するブリッジ(88)と、
少なくとも一部が、前記ブリッジ(88)の下方であって前記左右のフォークアッシ(10L,10R)間に設けられて前輪(2)を上方から覆うフロントフェンダ(37)と、
を備える自動二輪車であって、
前記ラジエータ(68L,68R)は、左右に一対設けられ、
正面視で前記左右のラジエータ(68L,68R)のそれぞれの内側縁(83c)と前記フロントフェンダ(37)とが重なり、前記フロントフェンダ(37)の後部に上下方向に延びる左右一対の開口(37b)を設け、
前記左右のラジエータ(68L,68R)の内側縁(83c)のそれぞれにガイド(91)を設け、前記開口(37b)に向けて延ばしたことを特徴とする自動二輪車。
【請求項2】
前記左右のラジエータ(68L,68R)の内側縁(83c)のそれぞれに、前記ラジエータ(68L,68R)のコア(83)への走行風の導入を促すガイド(91)を設け、正面視で、前記フォークアッシ(10L,10R)の内側縁と前記ガイド(91,91)の前縁との間に前記開口(37b)が配置されることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項3】
前記開口(37b)は、前記ラジエータ(68L,68R)の上下幅内に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車。
【請求項4】
前記開口(37b)は、途中で上下に分離されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の自動二輪車。
【請求項5】
正面視で前記左右のラジエータ(68L,68R)のそれぞれの内側縁(83c)と前記開口(37b)とが重なることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントフェンダを備える自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前輪の上方を覆うフロントフェンダを設けた車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に係る発明によれば、フロントフェンダの前部に開口を設けたものが開示されている。この開口により、フロントフェンダの走行抵抗を減少させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−338571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、前輪の後方にラジエータを備えるものでは、ラジエータに積極的に走行風を導くことが望まれる。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、フロントフェンダによる走行抵抗を抑えつつ、ラジエータの冷却効果を高めることができる自動二輪車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明は、ヘッドパイプ(15)から後下方に延びるメインフレーム(16)と、前記メインフレーム(16)の下方に配置されたエンジン(50)と、前記エンジン(50)の前方に設けられるラジエータ(68L,68R)と、前記ヘッドパイプ(15)に回動可能に支持されるステアリング軸に支持されるフロントフォーク(10)と、前記フロントフォーク(10)を構成する左右のフォークアッシ(10L,10R)の中間部を連結するブリッジ(88)と、少なくとも一部が、前記ブリッジ(88)の下方であって前記左右のフォークアッシ(10L,10R)間に設けられて前輪(2)を上方から覆うフロントフェンダ(37)と、を備える自動二輪車であって、前記ラジエータ(68L,68R)は、左右に一対設けられ、正面視で前記左右のラジエータ(68L,68R)のそれぞれの内側縁(83c)と前記フロントフェンダ(37)とが重なり、前記フロントフェンダ(37)の後部に上下方向に延びる左右一対の開口(37b)を設け、前記左右のラジエータ(68L,68R)の内側縁(83c)のそれぞれにガイド(91)を設け、前記開口(37b)に向けて延ばしたことを特徴とする。
【0006】
記構成において、前記左右のラジエータ(68L,68R)の内側縁(83c)のそれぞれに、前記ラジエータ(68L,68R)のコア(83)への走行風の導入を促すガイド(91)を設け、正面視で、前記フォークアッシ(10L,10R)の内側縁と前記ガイド(91,91)の前縁との間に前記開口(37b)が配置されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記開口(37b)は、前記ラジエータ(68L,68R)の上下幅内に配置されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記開口(37b)は、途中で上下に分離されていても良い。
また、上記構成において、正面視で前記左右のラジエータ(68L,68R)のそれぞれの内側縁(83c)と前記開口(37b)とが重なるようにしても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ラジエータは、左右に一対設けられ、正面視で左右のラジエータのそれぞれの内側縁とフロントフェンダとが重なり、フロントフェンダの後部に上下方向に延びる左右一対の開口を設けたので、フロントフェンダに設けられた開口により、走行風が開口を通過するようにしてフロントフェンダの走行抵抗を抑えることができるとともに、開口を通過する走行風をラジエータに当てて、ラジエータの冷却効果を高めることができる。
【0008】
また、開口は、ラジエータの上下幅内に配置されるので、開口を通過した走行風を確実にラジエータに当てることができ、ラジエータの冷却効果をより一層高めることができる。
また、開口は、途中で上下に分離されているので、開口の途中を連結して開口を上下に分離することで、フロントフェンダの剛性を高めることができる。
【0009】
また、正面視で左右のラジエータのそれぞれの内側縁と開口とが重なるので、開口を通じて左右のラジエータの内側縁に当たる走行風の一部をラジエータより車幅方向内側に流すことができ、走行風をラジエータの中央部に当てるのに比べて走行抵抗を抑えることができる。
また、ラジエータの内側縁にガイドを設け、開口に向けて延ばしたので、開口からラジエータの内側縁に流れる走行風をガイドによりラジエータに導くことができ、ラジエータに当たる走行風量を多くすることができるため、ラジエータの冷却効果をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る自動二輪車の右側面図である。
図2】自動二輪車の左側面図である。
図3】車体フレームの右側面図である。
図4】車体フレームの平面図である。
図5】エンジンの周辺の構成の断面図である。
図6】自動二輪車の前部の要部を示す右側面図である。
図7】自動二輪車の前部の要部を示す正面図である。
図8】フロントフェンダを示す説明図である。
図9】フロントフェンダの上開口の作用を示す作用図である。
図10】フロントフェンダの下開口の作用を示す作用図である。
図11】比較例のフロントフェンダの作用を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LEは車体左方を示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車1の右側面図である。図2は、自動二輪車1の左側面図である。
自動二輪車1は、車体フレームFにパワーユニットとしてのエンジン50が支持され、前輪2を支持するフロントフォーク10が車体フレームFの前端に操舵可能に支持され、後輪3を支持するスイングアーム11が車体フレームFの後部に設けられた車両である。
また、自動二輪車1は、乗員が跨るようにして着座するシート12が車体フレームFの前後の中央部の上方に設けられた鞍乗り型の車両である。更に、自動二輪車1は、砂地等の不整地の走行に適したオフロードタイプの車両であり、大きなサスペンションストロークを有するとともに、大型の燃料タンク40を備える。
【0012】
図3は、車体フレームFの右側面図である。図4は、車体フレームFの平面図である。
図1図4に示すように、車体フレームFは、パイプ材及び板材を溶接等によって結合して籠状に形成される前部フレーム13と、前部フレーム13の後部に連結される樹脂製の後部フレーム14とを備えて構成される。
前部フレーム13は、前端に設けられるヘッドパイプ15と、ヘッドパイプ15から後方へ斜め下向きに傾斜して延出する左右一対のメインフレーム16,16と、各メインフレーム16の後端から下方に延出する左右一対のピボットフレーム17,17とを備える。また、前部フレーム13は、ヘッドパイプ15の下部の後面から後下方に延出するダウンフレーム18と、ダウンフレーム18から左右に分岐して下方に延び、その後、後方へ略水平に屈曲してピボットフレーム17,17の下端に連結されるアンダーフレーム19,19とを備える。
【0013】
また、前部フレーム13は、ダウンフレーム18の上部とメインフレーム16,16の前後の中間部とを連結する補強フレーム20を備える。さらに、前部フレーム13は、左右のピボットフレーム17,17の上部間を車幅方向に連結する上部クロスメンバ21と、ピボットフレーム17,17の下部間を車幅方向に連結する下部クロスメンバ22とを備える。
メインフレーム16,16の後部、アンダーフレーム19,19の上部、及び、アンダーフレーム19,19の水平部の前端には、エンジン50が固定されるエンジンステー23a,23b,23cが設けられている。
ピボットフレーム17,17の下部には、スイングアーム11のピボット軸24を支持するピボット孔部17aがそれぞれ形成されている。スイングアーム11は前端をピボット軸24に揺動自在に軸支され、後輪3は、スイングアーム11の後端に軸支される。
【0014】
上部クロスメンバ21には、後方に突出するサスペンション連結ステー21aが設けられている。下部クロスメンバ22には、後方に突出するリンク連結ステー22aが設けられ、リンク連結ステー22aには、スイングアーム11に連結されるリンク機構25が連結される。筒状のリアサスペンションユニット26は、上端がサスペンション連結ステー21aに連結され、下端がリンク機構25に連結され、前傾して配置される。
メインフレーム16,16の後部の上面には、上方に突出する上部フレームステー16aがそれぞれ設けられている。
ピボットフレーム17,17の上下の中間部の後面には、後方に突出する下部フレームステー17bがそれぞれ形成されている。
【0015】
ヘッドパイプ15には、ステアリング軸(不図示)を介してフロントフォーク10が回動自在に軸支され、前輪2はフロントフォーク10の下端に軸支される。操向用のハンドル27はフロントフォーク10の上端に固定されている。
ヘッドパイプ15の前部には、前方に突出する前部ステー28が固定され、前部ステー28には、ヘッドライト29、板状のウインドスクリーン30及びメーター類31が支持される。
燃料タンク40は、各メインフレーム16,16の左右側方に分割して配置される左右一対の前側タンク41,42と、後部フレーム14内に設けられる後側タンク43とを備える。
シート12は、前側タンク41,42の後部に連続して後方に延び、後部フレーム14の上部に支持される。
【0016】
自動二輪車1は、樹脂製の車体カバー32を備える。車体カバー32は、フロントフォーク10の上部及びダウンフレーム18を側方から覆う左右一対のシュラウド33,33と、前側タンク41,42を上方から覆うタンクカバー34と、アンダーフレーム19及びエンジン50のクランクケース52を前方及び下方から覆うアンダーカバー35と、フロントフォーク10の下部を覆う左右一対のフォークカバー36L,36R(右側のフォークカバー36Rのみ図示)とを備える。
前輪2を上方から覆うフロントフェンダ37は、フロントフォーク10に固定される。後輪3を上方から覆うリヤフェンダ38は、シート12の後方で後部フレーム14に固定される。
ピボットフレーム17,17の下端には、乗員が足を載せる左右一対のステップ39,39が設けられている。左側のステップ39の前方には、シフトペダル44が設けられ、右側のステップ39の前方にはブレーキペダル45が設けられる。
【0017】
図5は、エンジン50の周辺の構成の断面図である。
図1図2及び図5に示すように、エンジン50は、水冷式の単気筒の4サイクルエンジンであり、籠状の前部フレーム13内に支持される。エンジン50のクランクシャフト51は、車幅方向に水平に延びて配置される。エンジン50は、クランクケース52と、クランクケース52の前部の上面から上方に突出するシリンダ部50aとを備える。シリンダ部50aは、シリンダ53と、シリンダ53の上面に連結されるシリンダヘッド54と、シリンダヘッド54の動弁室を覆うヘッドカバー55とを有する。エンジン50は、シリンダ軸Cが鉛直よりも僅かに前傾して設けられており、シリンダ53内には、コンロッド56aを介してクランクシャフト51に連結されるピストン56が設けられている。
ヘッドカバー55の上部は、側面視において補強フレーム20の下縁に重なる。
エンジン50は、上記エンジンステー23a,23b,23cの他、クランクケース52の後部の固定部52aにピボット軸24が挿通されることによっても前部フレーム13に支持されている。
【0018】
エンジン50の後部には、変速機57が内蔵されている。変速機57は、クランクシャフト51に駆動される入力軸58と、入力軸58に平行に配置される出力軸59と、シフトペダル44の変速操作によって回転されるシフトドラム60とを備える。入力軸58及び出力軸59には、常時噛合式の歯車列61が設けられており、シフトドラム60に連動するシフトフォーク62a,62bによって歯車列61が切り替えられ、変速が行われる。
出力軸59は、クランクケース52の後部から左側方に突出し、出力軸59の軸端には、ドライブスプロケット63(図2)が固定される。エンジン50の出力は、ドライブスプロケット63と後輪3のドリブンスプロケット64との間に掛け渡される駆動チェーン65を介して後輪3に伝達される。ドライブスプロケット63はスプロケットカバー(不図示)で覆われる。
【0019】
エンジン50の排気管66は、シリンダヘッド54の前面から前下方に延出した後、右側方に引き出されてアンダーフレーム19に沿って後方に延び、後輪3の右側方に配置されたマフラー67に接続される。マフラー67は、後部フレーム14に支持される。
エンジン50の冷却水が循環する板状のラジエータ68L,68Rは、ダウンフレーム18と左右のシュラウド33,33との間に一対設けられている。
前側タンク41,42は、シュラウド33,33と後部フレーム14との間に延在するとともに、メインフレーム16,16の外側方から下方に延び、シリンダ部50a及びクランクケース52の前部の側方までを覆う大きさを有する。
【0020】
エンジン50の吸気装置70は、シート12の下方且つシリンダヘッド54の後方に設けられる。吸気装置70は、外気を浄化して取り込むエアクリーナ71と、シリンダヘッド54の吸気ポート54aに接続されるスロットルボディ72と、スロットルボディ72とエアクリーナ71とを接続するコネクティングチューブ73とを有する。
エアクリーナ71は、前側タンク41,42の後方に連続して設けられるとともに、リアサスペンションユニット26の上方に位置する。本実施の形態では、エアクリーナ71、コネクティングチューブ73及びスロットルボディ72が、エンジン50側に前下方へ直線状に配置されることで吸気抵抗が低減されており、吸気効率が高い。
【0021】
エンジン50の燃料供給装置74は、吸気装置70の下方に設けられている。燃料供給装置74は、スロットルボディ72内の吸気通路に燃料を噴射するインジェクター75a,75bと、インジェクター75a,75bに燃料を供給する燃料ポンプ76とを備える。
前側タンク41,42及び後側タンク43の燃料は統合されて燃料ポンプ76に吸引され、燃料ポンプ76からインジェクター75a,75bへ吐出される。
燃料ポンプ76は、筒状に形成されており、クランクケース52の後部の上方且つリアサスペンションユニット26の前方で前傾して配置されている。
【0022】
後部フレーム14には、エアクリーナ71の後方に電装品収納部77が設けられており、電装品収納部77には、自動二輪車1の制御部としてのECU78及びバッテリー79が収納される。
後部フレーム14の下部には、後輪3の前方へ下方に延びる泥除け80が取り付けられている。
【0023】
図6は、自動二輪車1の前部の要部を示す右側面図である。
フロントフォーク10の高さ方向の中間部にフロントフェンダ37が固定され、フロントフェンダ37の後部は、両側方からシュラウド33で覆われている。フロントフェンダ37の後方には左右一対のラジエータ68L,68R(手前側のラジエータ68Rのみ図示)が配置されている。
ラジエータ68L,68Rは、アッパタンク81と、ロアタンク82と、アッパタンク81及びロアタンク82の間に配置されたコア83とからなる。アッパタンク81及びロアタンク82は、エンジン50にラジエータホースを介して接続されている。コア83は、冷却水を流すためにアッパタンク81、ロアタンク82間を接続する複数の管と、各管間に設けられた放熱用のフィンとを備える。
【0024】
フロントフェンダ37の下端37aは、ラジエータ68L,68Rのコア83の前方に近接して配置され、且つコア83の下端83aよりも上方に位置する。
ラジエータ68L,68Rは、エンジン50のシリンダ部50aの前方に配置され、ラジエータ68L,68Rの側方は、大部分がシュラウド33で覆われ、シュラウド33と前側タンク41,42との隙間86からわずかに外部に露出している。
【0025】
図7は、自動二輪車1の前部の要部を示す正面図である。
フロントフォーク10を構成する左右一対のフォークアッシ10L,10Rは、スプリング及びダンパを備えたテレスコピック型の組立体であり、フォークアッシ10L,10Rの下端で前輪2を支持している。フォークアッシ10L,10Rの下端部には、それぞれ樹脂製のフォークカバー36L,36Rが取付けられ、フォークアッシ10L,10Rの下部を前方及び側方から保護する。
フロントフェンダ37は、左右のフォークアッシ10L,10Lの間に配置され、左右のフォークアッシ10L,10Lを連結するトップブリッジ(不図示)及びボトムブリッジ88のうち、ボトムブリッジ88に固定されている。
【0026】
また、フロントフェンダ37は、左右一対のラジエータ68L,68Rの前方に配置されている。正面視で、フロントフェンダ37と、ラジエータ68L,68Rのそれぞれの内端縁、詳しくは、ラジエータ68L,68Rのコア83,83の内側縁83c,83cとが重なっている。フロントフェンダ37の後部の両側縁部には、正面視で縁にほぼ沿って縦に延びる開口37b,37bが形成されている。開口37b,37bは、車体前方からフロントフェンダ37に向かって流れる走行風を通過させる部分であり、正面視で、コア83,83の内側縁83c,83aに重なり、また、開口37b,37bは、正面視でコア83の上下幅内に配置されている。開口37bの上下方向の略中央に連結部37cが設けられている。連結部37cによって、開口37bは2つの開口である上開口37dと下開口37eとに分離される。
【0027】
上記したように、フロントフェンダ37に、正面視で左右のラジエータ68L,68Rの各コア83の内側縁83cに重なる開口37b,37bを設けることで、走行風を開口37b,37bを通じてラジエータ68L,68Rに当てることができる。従って、ラジエータ68L,68Rの冷却効果を高めることができる。更に、フロントフェンダ37の後部37hは、車幅方向中央が車幅方向外側に対して車体後方に凸となるように湾曲しているため、走行風に対して走行抵抗が大きくなる傾向があるが、本実施形態のように、フロントフェンダ37の後部37hに開口37bを設けることで、フロントフェンダ37の後部37hより前方の走行風を開口37bを通じてフロントフェンダ37の後部37hの後方へ逃がすことができ、フロントフェンダ37の走行抵抗を減少させることができる。また、開口37bに連結部37cを設けることで、連結部37cが無い場合に比べて、フロントフェンダ37の剛性を向上させることができる。
【0028】
また、フォークカバー36L,36Rは、その上部36aにラジエータ68L,68Rに向けて延びる上側面36g,36gが設けられている。従って、車体前方からフォークカバー36L,36Rの上部36aに当たった走行風を上側面36g,36gによってラジエータ68L,68Rに導くことができる。これにより、ラジエータ68L,68Rの冷却効果を高めることができる。
このように、本実施形態では、フロントフェンダ37の開口37b及びフォークカバー36L,36Rの上側面36gによって、フォークアッシ10L,10Rのそれぞれの車幅方向内側と車幅方向外側とから走行風をラジエータ68L,68Rに積極的に導くことができ、ラジエータ68L,68Rの冷却効果をより一層高めることができる。しかも、冷却効果向上のために特別な部品を必要とせず、既存の部品を利用するため、コストを抑えることができる。
【0029】
図8は、フロントフェンダ37を示す説明図である。図8(A)はフロントフェンダ37の平面図、図8(B)はフロントフェンダ37の右側面図である。
図8(A),(B)に示すように、フロントフェンダ37は、前端部が尖った形状を有するとともに前後方向に延びる前部37gと、ほぼ上下方向に延びる後部37hと、前部37g及び後部37hを連結するくびれ部37jとが一体に形成され、フロントフェンダ37の全体として、側面視がほぼ円弧形状に形成されている。
フロントフェンダ37の前部37gは、前輪2(図6参照)の上方を覆い、後部37hは、前輪2の上方斜め後方を覆う。くびれ部37jは、上部窪み部37k及び左右の側部窪み部37m,37nからなる。上部窪み部37kは、ボトムブリッジ88(図7参照)に固定される部分である。側部窪み部37m,37nは、左右のフォークアッシ10L,10R(図7参照)との干渉を避ける部分である。
後部37hには、その縁に近い位置に、平面視ではほぼ前後方向に延び、側面視ではほぼ円弧状の後面37pに沿うように、左右一対の開口37b,37bが開けられている。
【0030】
以上に述べたフロントフェンダ37の開口37bの作用を次に説明する。
図9は、フロントフェンダ37の上開口37dの作用を示す作用図であり、図6に示したIX−IX線断面を示している。なお、図9については、図11に示す比較例と共に説明する。
図9に示すように、車両が走行中、矢印A,Aで示すように、フロントフォーク10の左右のフォークアッシ10L,10Rの内側を車両後方へ流れる走行風は、矢印B,Bで示すように、フロントフェンダ37の上開口37dを通り、更にラジエータ68L,68Rにおける内側縁83c,83cの車幅方向外側を通過する。この結果、ラジエータ68L,68Rからの放熱が促され、冷却効果が高まる。
【0031】
この場合に、フォークアッシ10L,10Rと上開口37dとの距離L1は比較的短いため、例えば、図11に示すように、フロントフェンダ137に開口が設けられていないときには、フロントフェンダ137の内側の空気の流れが滞るため、矢印A,Aのように流れる走行風は、フォークアッシ10L,10Rとフロントフェンダ137との隙間を通って、フロントフェンダ137内では矢印C1,C1で示す走行風のように、対流またはフロントフェンダ137内の空気によって風の流れる方向が変えられ、矢印C2,C2に示すように、車体側方に急激に流れを変えることになり、走行抵抗としては大きくなる。また、矢印D,Dに示すようにフロントフォーク10の車幅方向外側を流れる走行風は、矢印C2,C2に示した風の流れにより邪魔されて、ラジエータ68L,68R側に流れにくくなる。
図9に戻って、矢印E,Eで示すようにフロントフォーク10の車幅方向外側を流れる走行風は、矢印C2,C2に示した風の流れが無いので邪魔されず、走行風をラジエータ68L,68Rに導ける。従って、上開口37dを設けた場合の走行抵抗の低減効果は大きい。
なお、図中の符号91,92はラジエータ68L,68Rのコア83の内側縁83c及び外側縁83dにそれぞれ設けられたガイドプレートであり、コア83への走行風の導入を促す。ガイドプレート91は、開口37bに向けて延びる、あるいは、開口37bより車幅方向内側に向けて延びている。ガイドプレート92は、前方斜め外側方に向けて延びている。
【0032】
図10は、フロントフェンダ37の下開口37eの作用を示す作用図であり、図6に示したX−X線断面を示している。
車両が走行中、矢印G,Gで示すように、フロントフォーク10の左右のフォークアッシ10L,10Rの内側を車両後方へ流れる走行風は、矢印H,Hで示すように、フロントフェンダ37の下開口37eを通過し、更に、ラジエータ68L,68Rの内端縁に設けられたガイドプレート91,91にガイドされて、ラジエータ68L,68R内を通過する。この結果、ラジエータ68L,68Rからの放熱が促され、冷却効果が高まる。
【0033】
この場合に、フォークアッシ10L,10Rと下開口37eとの距離L2は、図9に示した距離L1より長いため、例えば、下開口37eを含む開口37bが設けられていないときには、フロントフェンダ37の内側の空気の流れが滞るが、矢印G,Gのように流れる走行風は、フォークアッシ10L,10Rとフロントフェンダ37との隙間を通って、二点鎖線の矢印J,Jに示すように、フロントフェンダ37の側方を通ってラジエータ68L,68R側に流れる。このときの走行風の方向変化は小さい。従って、下開口37eを設けた場合の走行抵抗の低減効果は、図9に示した場合より小さい。
【0034】
また、車体前後方向で、左右のラジエータ68L,68Rのそれぞれの内側縁83cと開口37bとが重なるので、例えば、ラジエータ68L,68Rにガイドプレート91を設けない、あるいはガイドプレート91の面積を小さくする場合には、ラジエータ68L,68Rのそれぞれの内側縁83cに当たった走行風の一部をラジエータ68L,68R内に通過させるようにし、また一方で走行風の一部をラジエータ68L,68Rの内側方に流して、ラジエータ68L,68Rに当たる走行風量を少なくすることができので、ラジエータ68L,68Rの走行抵抗が小さくなるように調整することもできる。
【0035】
上記の図9及び図10に示したように、フロントフェンダ37に開口37bを設けることで、フロントフェンダ37の走行抵抗を小さくできるとともに、開口37bを通じてフロントフェンダ37の後方に配置された左右のラジエータ68L,68Rに走行風を当てることができ、走行抵抗低減と冷却性向上とを図ることができる。
また、フロントフェンダ37に、複数の開口(上開口37d及び下開口37e)を上下に並べて設けることで、上方に配置された上開口37dでは走行抵抗低減効果が大きくなり、下方に配置された下開口37eでは走行抵抗低減効果が小さくなる。従って、複数の開口の上下位置や、上下方向に並べられた複数の開口の数により走行抵抗を調整することが可能になる。
【0036】
また、図2及び図9に示したように、開口37bを、フロントフェンダ37の後部37hにおける車幅方向外側の縁に近い位置に設けることで、開口37bを車体前後方向に対してより大きく傾けて車幅方向内側を向けるようにすることができる。従って、開口37bの車体前後方向の投影面積をより小さくできるため、例えば、前輪2側から飛散した泥、石等が開口37bを通過するのを抑制することができ、ラジエータ68L,68R側へ飛散しにくくすることができる。走行風については、上記の泥、石等の飛散物よりも流れの方向が変化しやすいため、上記の投影面積の減少の影響は小さい。また、複数の開口(上開口37d及び下開口37e)を上下に並べて設けることで、各開口の投影面積の横幅をほぼ一定にすることができ、どの開口も同様に飛散物の通過を抑制することができる。
【0037】
以上の図2図6及び図7に示したように、ヘッドパイプ15から後下方に延びるメインフレーム16と、シリンダ軸線が上下方向に延び、メインフレーム16の下方に配置されたエンジン50と、エンジン50の前方に設けられるラジエータ68L,68Rと、ヘッドパイプ15に回動可能に支持されるステアリング軸に支持されるフロントフォーク10と、フロントフォーク10を構成する左右のフォークアッシ10L,10Rの中間部を連結するブリッジとしてのボトムブリッジ88と、ボトムブリッジ88の下方であって左右のフォークアッシ10L,10R間に設けられて前輪2を上方から覆うフロントフェンダ37と、を備える自動二輪車1であって、ラジエータ68L,68Rは、左右に一対設けられ、正面視で左右のラジエータ68L,68Rのそれぞれの内側縁83cとフロントフェンダ37とが重なり、フロントフェンダ37の後部に上下方向に延びる左右一対の開口37b,37bを設けた。
【0038】
この構成によれば、フロントフェンダ37に設けられた左右一対の開口37b,37bにより、走行風が開口37bを通過するようにしてフロントフェンダ37の走行抵抗を小さくすることができるとともに、開口37bを通過する走行風をラジエータ68L,68Rに当てて、ラジエータ68L,68Rの冷却効果を高めることができる。また、フロントフェンダ37に開口37bを設けるだけで低コストに、フロントフェンダ37の走行抵抗低減とラジエータ68L,68Rの冷却性向上とを図ることができる。
【0039】
また、開口37bは、ラジエータ68L,68Rの上下幅内に配置されるので、開口37bを通過した走行風をより確実にラジエータ68L,68Rに当てることができ、ラジエータ68L,68Rの冷却効果をより一層高めることができる。
また、開口37bは、途中で上下に分離されているので、開口37bの途中を連結して開口37bを上下に分離することで、フロントフェンダ37の剛性を高めることができる。
【0040】
また、正面視で左右のラジエータ68L,68Rのそれぞれの内側縁83cと開口37bとが重なるので、開口37bを通じて左右のラジエータ68L,68Rの内側縁83cに当たる走行風の一部をラジエータ68L,68Rより車幅方向内側に流すことができ、走行風をラジエータ68L,68Rの中央部に当てるのに比べて走行抵抗を抑えることができる。
また、ラジエータ68L,68Rの内側縁83c,83cにガイドとしてのガイドプレート91をそれぞれ設け、開口37bに向けて延ばしたので、開口37bからラジエータ68L,68Rの内側縁83c,83cに流れる走行風をガイドプレート91,91によりラジエータ68L,68Rに導くことができ、ラジエータ68L,68Rに当たる走行風量を多くすることができるため、ラジエータ68L,68Rの冷却効果をより一層高めることができる。
【0041】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、図7に示したように、開口37bを上下に二分割したが、これに限らず、開口を上下に更に多く分割しても良い。
また、本発明は、自動二輪車1に適用する場合に限らず、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
【符号の説明】
【0042】
1 自動二輪車
2 前輪
10 フロントフォーク
10L,10R フォークアッシ
15 ヘッドパイプ
16 メインフレーム
37 フロントフェンダ
37b 開口
50 エンジン
68L,68R ラジエータ
83c 内側縁
88 ボトムブリッジ(ブリッジ)
91,92 ガイドプレート(ガイド)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11