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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年6月26日
【発行日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/02 20060101AFI20161216BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20161216BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20161216BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20161216BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20161216BHJP
   F16D 48/02 20060101ALI20161216BHJP
   F16H 61/14 20060101ALI20161216BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20161216BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   B60K6/20 360
   B60K6/48ZHV
   B60K6/54
   B60K6/20 310
   F16D25/14 640K
   F16H61/14 601J
   B60W10/00 102
   B60W10/02
   B60W10/06
   B60W10/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
【出願番号】特願2014-552773(P2014-552773)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年12月17日
(11)【特許番号】特許第6004007号(P6004007)
(45)【特許公報発行日】2016年10月5日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】仲西 直器
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】吉川 雅人
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】松谷 慎太郎
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3D202
3D241
3J053
3J057
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB05
3D202BB37
3D202BB64
3D202BB67
3D202CC42
3D202DD05
3D202DD32
3D202DD33
3D202DD34
3D202DD35
3D202FF04
3D202FF13
3D241AA21
3D241AA31
3D241AA59
3D241AA66
3D241AB01
3D241AC01
3D241AC02
3D241AC06
3D241AC07
3D241AC09
3D241AC14
3D241AC15
3D241AC16
3D241AC18
3D241AC19
3D241AC20
3D241AD02
3D241AD04
3D241AD10
3D241AD22
3D241AD23
3D241AD31
3D241AD51
3D241AE02
3D241AE03
3D241AE04
3D241AE07
3D241AE14
3D241AE20
3D241AE23
3D241AE31
3D241AE37
3J053CA03
3J053CB14
3J053CB23
3J053CB26
3J053DA24
3J057AA04
3J057GA22
3J057GA23
3J057GA26
3J057GB02
3J057GB04
3J057GB05
3J057GB13
3J057GB36
3J057GB40
3J057HH02
3J057JJ01
(57)【要約】
エンジンの運転後にクラッチの解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度を上昇させるようなエンジン始動に際して、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させる。
始動ショックが発生し易いもののエンジン14が比較的速やかに始動される第1のエンジン始動制御と、エンジン14の始動が比較的遅くされるものの始動ショックが抑制され易い第2のエンジン始動制御とを、エンジン14の始動が要求されるときの状況に合わせて使い分けることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、電動機と、該エンジンと該電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、
前記エンジンを始動する際には、該エンジンの自立運転が可能となると該クラッチの解放乃至スリップ状態にて該エンジンの回転速度を上昇させるものであり、
更に、前記エンジンの回転速度の上昇中において該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、
前記エンジンの回転速度の上昇中に該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてから該エンジンの回転速度を低下させることで該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いは該同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
人為的操作に因る前記エンジンの始動が要求されると、前記第1のエンジン始動制御を行う一方で、
前記人為的操作に因らない前記エンジンの始動が要求されると、前記第2のエンジン始動制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記電動機と前記駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機を更に備えており、
前記第1のエンジン始動制御は、前記第2のエンジン始動制御と比べて、前記変速機のギヤ比がハイギヤ比であるときに行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記人為的操作に因る前記エンジンの始動と該人為的操作に因らない該エンジンの始動とが重なって要求された場合は、前記第1のエンジン始動制御を優先して行うことを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記電動機と前記駆動輪との間の動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチを有する流体式伝動装置を更に備えており、
前記エンジンを始動する際に前記ロックアップクラッチが係合されている場合には、該ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始した後に該エンジンの運転を開始させるものであり、
前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記エンジンの運転を開始させる時期が遅くされることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始してから実際にスリップするまでの期間が長いことを特徴とする請求項5に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチを備える車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンと、電動機と、そのエンジンとその電動機との間の動力伝達経路に設けられてエンジンを駆動輪から切り離すことができるクラッチとを備える車両が良く知られている。このような車両では、クラッチを解放した状態でエンジンが停止させられる。そのような状態からエンジンを始動する種々の手法が提案されている。例えば、特許文献1には、上記車両において、エンジンの始動が要求されると、クラッチを係合に向けて制御することで、電動機の出力トルク(特に区別しない場合は、パワーも力も同意)にてエンジンを回転駆動させて(クランキングさせて)エンジンを始動する技術が提案されている。また、特許文献2には、上記車両において、エンジンの始動が要求されると、エンジンの完爆後にクラッチの解放状態にてエンジン回転速度を上昇させ、エンジン回転速度が電動機回転速度よりも高くなった後にクラッチの係合を開始する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−131037号公報
【特許文献2】特開2011−16390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたような技術では、速やかなエンジン始動が期待できるものの、クラッチを係合に向けて制御するときのトルク容量(以下、クラッチトルク)と、エンジンをクランキングする為に増加された分の電動機トルク(以下、電動機補償トルク)とにずれが生じるとショックが発生する可能性がある。一方で、特許文献2に記載されたような技術では、クラッチを係合に向けて制御するときに上記電動機補償トルクを出力していないので、クラッチの係合ショックを抑制することができる。しかしながら、特許文献2に記載されたような技術では、特許文献1に記載されたような技術と比較すると、クラッチの完全係合が遅くなってエンジンの動力を用いた走行に移行するまでに時間を要するので、例えば加速要求に対する車両応答性が低下する可能性がある。尚、上述したような課題は未公知であり、エンジン始動に際してエンジンの完爆後にクラッチの解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度を上昇させる技術を用いる場合に、始動ショックを抑制することと速やかにエンジン始動することとを両立させることについて未だ提案されていない。ここでのエンジン始動は、単にエンジンが完爆して(運転を開始して)自立運転可能になるまでのことの他に、クラッチが完全係合されるまでのエンジン始動に関わる一連の制御作動のことでもある。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジンの運転後(自立運転可能後)にクラッチの解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度を上昇させるようなエンジン始動に際して、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させることができる車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成する為の第1の発明の要旨とするところは、(a) エンジンと、電動機と、そのエンジンとその電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、(b) 前記エンジンを始動する際には、そのエンジンの自立運転が可能となるとそのクラッチの解放乃至スリップ状態にてそのエンジンの回転速度を上昇させるものであり、(c) 更に、前記エンジンの回転速度の上昇中においてそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、(d) 前記エンジンの回転速度の上昇中にそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてからそのエンジンの回転速度を低下させることでそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いはその同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うことにある。
【発明の効果】
【0007】
このようにすれば、始動ショックが発生し易いもののエンジンが比較的速やかに始動される第1のエンジン始動制御と、エンジンの始動が比較的遅くされるものの始動ショックが抑制され易い第2のエンジン始動制御とを、エンジンの始動が要求されるときの状況に合わせて使い分けることができる。よって、エンジンの運転後にクラッチの解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度を上昇させるようなエンジン始動に際して、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させることができる。
【0008】
ここで、第2の発明は、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、人為的操作に因る前記エンジンの始動が要求されると、前記第1のエンジン始動制御を行う一方で、前記人為的操作に因らない前記エンジンの始動が要求されると、前記第2のエンジン始動制御を行うことにある。このようにすれば、人為的操作に因るエンジン始動要求(以下、ユーザ要求という)と、人為的操作に因らないエンジン始動要求(つまり人為的操作とは無関係に制御装置が指令するエンジン始動要求(以下、システム要求という))とでエンジン始動制御を切り替えることで、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを適切に両立させることができる。つまり、車両が速やかに加速することを求める為に始動ショックの抑制よりも応答性の向上が望まれるようなユーザ要求による始動では、速やかな始動が実現できる。加えて、ユーザ操作とは無関係にエンジンを始動する為にユーザにとっては応答性の向上よりも始動ショックの抑制が望まれるようなシステム要求による始動では、ショックが抑制された始動が実現できる。
【0009】
また、第3の発明は、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記電動機と前記駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機を更に備えており、前記第1のエンジン始動制御は、前記第2のエンジン始動制御と比べて、前記変速機のギヤ比がハイギヤ比であるときに行うことにある。このようにすれば、ハイギヤ比である程ショックに対する感度が低くなり易いことに対して、ハイギヤ比である程第1のエンジン始動制御を行い易くすることで、ハイギヤ比では速やかに始動させることができ、ローギヤ比ではショックを低減させることができる。よって、ハイギヤ比では余計な燃料噴射を抑えて燃費が向上させられ、ローギヤではドライバビリティが向上させられる。
【0010】
また、第4の発明は、前記第2の発明に記載の車両の制御装置において、前記人為的操作に因る前記エンジンの始動とその人為的操作に因らないそのエンジンの始動とが重なって要求された場合は、前記第1のエンジン始動制御を優先して行うことにある。このようにすれば、ユーザ要求による始動の応答性を向上させることができ、ドライバビリティが向上させられる。また、例えばシステム要求による始動中にユーザ要求があった場合は、そのままでは応答性が低下する可能性があることに対して、ユーザ要求による始動時のエンジン始動制御である第1のエンジン始動制御に切り換えることで、応答性の低下を抑制できる。
【0011】
また、第5の発明は、前記第1の発明乃至第4の発明の何れか1つに記載の車両の制御装置において、前記電動機と前記駆動輪との間の動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチを有する流体式伝動装置を更に備えており、前記エンジンを始動する際に前記ロックアップクラッチが係合されている場合には、そのロックアップクラッチのスリップへの移行を開始した後にそのエンジンの運転を開始させるものであり、前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記エンジンの運転を開始させる時期が遅くされることにある。このようにすれば、第2のエンジン始動制御による始動時には、ロックアップクラッチのスリップによるショック低減効果がより得られ易くなって、ショックをより低減できる。
【0012】
また、第6の発明は、前記第5の発明に記載の車両の制御装置において、前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始してから実際にスリップするまでの期間が長いことにある。このようにすれば、ロックアップクラッチを急いでスリップへ移行させるとショックが発生し易くなることに対して、ショックが発生し難いようにロックアップクラッチをゆっくりとスリップへ移行させることで、第2のエンジン始動制御による始動時のショックをより一層低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明が適用される車両に備えられた動力伝達装置の概略構成を説明する図であると共に、車両における制御系統の要部を説明する図である。
図2】電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図3】ロックアップクラッチの制御に用いられるロックアップ領域線図の一例を示す図である。
図4】EV走行とエンジン走行との切替えに用いられるEV/EHV領域マップの一例を示す図である。
図5】電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジンの運転後に断接クラッチの解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度を上昇させるようなエンジン始動に際して始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させる為の制御作動を説明するフローチャートである。
図6図5のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、好適には、前記変速機は、常時噛み合う複数対の変速ギヤを2軸間に備える公知の同期噛合型平行2軸式変速機などの手動変速機、種々の自動変速機などである。この自動変速機は、自動変速機単体、流体式伝動装置を有する自動変速機、或いは副変速機を有する自動変速機などにより構成される。例えば、この自動変速機は、複数組の遊星歯車装置を備えた公知の遊星歯車式自動変速機、同期噛合型平行2軸式変速機ではあるが油圧アクチュエータによりギヤ段が自動的に切換られる公知の同期噛合型平行2軸式自動変速機、同期噛合型平行2軸式自動変速機であるが入力軸を2系統備える型式の所謂DCT(Dual Clutch Transmission)、変速比が無段階に連続的に変化させられる所謂ベルト式無段変速機や所謂トロイダル式無段変速機などにより構成される。
【0015】
また、好適には、前記エンジンは、例えば燃料の燃焼によって動力を発生するガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、そのエンジンと前記電動機との間の動力伝達経路に設けられた前記クラッチは、湿式或いは乾式の係合装置である。
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明が適用される車両10に備えられた動力伝達装置12の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、走行用駆動力源として機能するエンジン14及び電動機MGを備えたハイブリッド車両である。動力伝達装置12は、非回転部材としてのトランスミッションケース20内において、エンジン14側から順番に、エンジン断接用クラッチK0(以下、断接クラッチK0という)、トルクコンバータ16、及び自動変速機18等を備えている。また、動力伝達装置12は、自動変速機18の出力回転部材である変速機出力軸24に連結されたプロペラシャフト26、そのプロペラシャフト26に連結されたディファレンシャルギヤ28、そのディファレンシャルギヤ28に連結された1対の車軸30等を備えている。このように構成された動力伝達装置12は、例えばFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型の車両10に好適に用いられる。動力伝達装置12において、エンジン14の動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、断接クラッチK0が係合された場合に、エンジン14と断接クラッチK0とを連結するエンジン連結軸32から、断接クラッチK0、トルクコンバータ16、自動変速機18、プロペラシャフト26、ディファレンシャルギヤ28、及び1対の車軸30等を順次介して1対の駆動輪34へ伝達される。このように、動力伝達装置12は、エンジン14から駆動輪34までの動力伝達経路を構成する。
【0018】
トルクコンバータ16は、エンジン14(及び電動機MG)と駆動輪34との間の動力伝達経路に設けられている。トルクコンバータ16は、入力側回転部材であるポンプ翼車16aに入力された動力を流体を介して伝達することで出力側回転部材であるタービン翼車16bから出力する流体式伝動装置である。ポンプ翼車16aは、断接クラッチK0を介してエンジン連結軸32と連結されていると共に、直接的に電動機MGと連結されている。タービン翼車16bは、自動変速機18の入力回転部材である変速機入力軸36と直接的に連結されている。トルクコンバータ16は、ポンプ翼車16aとタービン翼車16bとの間を直結する公知のロックアップクラッチ38を備えている。従って、ロックアップクラッチ38は、エンジン14及び電動機MGと駆動輪34との間の動力伝達経路を機械的に直結した状態とすることが可能である。ポンプ翼車16aにはオイルポンプ22が連結されている。オイルポンプ22は、エンジン14(及び/又は電動機MG)によって回転駆動されることにより、自動変速機18の変速制御や断接クラッチK0の係合解放制御などを実行する為の作動油圧を発生する機械式のオイルポンプである。ロックアップクラッチ38は、オイルポンプ22が発生する油圧を元圧とし車両10に設けられた油圧制御回路50によって係合解放制御される。
【0019】
電動機MGは、電気エネルギから機械的な動力を発生させる発動機としての機能及び機械的なエネルギーから電気エネルギを発生させる発電機としての機能を有する所謂モータジェネレータである。電動機MGは、動力源であるエンジン14の代替として、或いはそのエンジン14と共に走行用の動力を発生させる走行用駆動力源として機能する。電動機MGは、エンジン14により発生させられた動力や駆動輪34側から入力される被駆動力から回生により電気エネルギを発生させ、その電気エネルギをインバータ52を介して蓄電装置54に蓄積する等の作動を行う。電動機MGは、断接クラッチK0とトルクコンバータ16との間の動力伝達経路に連結されており(すなわち作動的にポンプ翼車16aに連結されており)、電動機MGとポンプ翼車16aとの間では、相互に動力が伝達される。従って、電動機MGは、断接クラッチK0を介することなく自動変速機18の変速機入力軸36と動力伝達可能に連結されている。
【0020】
断接クラッチK0は、例えば互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型の油圧式摩擦係合装置であり、オイルポンプ22が発生する油圧を元圧とし油圧制御回路50によって係合解放制御される。その係合解放制御においては、例えば油圧制御回路50内のリニヤソレノイドバルブ等の調圧により、断接クラッチK0のトルク容量(以下、K0トルクという)が変化させられる。断接クラッチK0の係合状態では、エンジン連結軸32を介してポンプ翼車16aとエンジン14とが一体的に回転させられる。一方で、断接クラッチK0の解放状態では、エンジン14とポンプ翼車16aとの間の動力伝達が遮断される。すなわち、断接クラッチK0を解放することでエンジン14と駆動輪34とが切り離される。電動機MGはポンプ翼車16aに連結されているので、断接クラッチK0は、エンジン14と電動機MGとの間の動力伝達経路に設けられて、その動力伝達経路を断接するクラッチとしても機能する。
【0021】
自動変速機18は、エンジン14及び電動機MGと駆動輪34との間の動力伝達経路の一部を構成し、走行用駆動力源(エンジン14及び電動機MG)からの動力を駆動輪34側へ伝達する変速機である。自動変速機18は、例えば変速比(ギヤ比)γ(=変速機入力回転速度Nin/変速機出力回転速度Nout)が異なる複数の変速段(ギヤ段)が選択的に成立させられる公知の遊星歯車式多段変速機、或いはギヤ比γが無段階に連続的に変化させられる公知の無段変速機などである。自動変速機18では、例えば油圧アクチュエータが油圧制御回路50によって制御されることにより、運転者のアクセル操作や車速V等に応じて所定のギヤ段(ギヤ比)が成立させられる。
【0022】
車両10には、例えば断接クラッチK0やロックアップクラッチ38の係合解放制御などに関連する車両10の制御装置を含む電子制御装置80が備えられている。電子制御装置80は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置80は、エンジン14の出力制御、電動機MGの回生制御を含む電動機MGの駆動制御、自動変速機18の変速制御、断接クラッチK0のトルク容量制御、ロックアップクラッチ38のトルク容量制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や電動機制御用や油圧制御用等に分けて構成される。電子制御装置80には、各種センサ(例えばエンジン回転速度センサ56、タービン回転速度センサ58、出力軸回転速度センサ60、電動機回転速度センサ62、アクセル開度センサ64、スロットルセンサ66、バッテリセンサ68など)による検出値に基づく各種信号(例えばエンジン14の回転速度であるエンジン回転速度Ne、タービン回転速度Ntすなわち変速機入力軸36の回転速度である変速機入力回転速度Nin、車速Vに対応する変速機出力軸24の回転速度である変速機出力回転速度Nout、電動機MGの回転速度である電動機回転速度Nmg、運転者による車両10に対する駆動要求量に対応するアクセル開度θacc、電子スロットル弁のスロットル弁開度θth、蓄電装置54の充電状態(充電容量)SOCなど)が、それぞれ供給される。電子制御装置80からは、例えばエンジン14の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、電動機MGの作動を制御する為の電動機制御指令信号Sm、断接クラッチK0やロックアップクラッチ38や自動変速機18の油圧アクチュエータを制御する為に油圧制御回路50に含まれる電磁弁(ソレノイドバルブ)等を作動させる為の油圧指令信号Spなどが、スロットルアクチュエータや燃料噴射装置等のエンジン制御装置、インバータ52、油圧制御回路50などへそれぞれ出力される。
【0023】
図2は、電子制御装置80による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図2において、ロックアップ制御手段すなわちロックアップ制御部82は、例えば図3に示すようなロックアップオフ領域とスリップ領域とロックアップオン領域とを有する予め定められた関係(マップ、ロックアップ領域線図)から、実際の車速V及びスロットル弁開度θthで示される車両状態に基づいて制御すべきロックアップクラッチ38の作動状態(解放、スリップ係合、スリップ無しに係合する完全係合)を判断し、判断した作動状態へ切り換える為のロックアップクラッチ38の係合油圧(LU油圧)の指令値(LU指令圧)を油圧制御回路50へ出力する。このLU指令圧は、前記油圧指令信号Spの1つである。
【0024】
ハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部84は、エンジン14の駆動を制御するエンジン駆動制御部としての機能と、インバータ52を介して電動機MGによる駆動力源又は発電機としての作動を制御する電動機作動制御部としての機能を含んでおり、それら制御機能によりエンジン14及び電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行する。例えば、ハイブリッド制御部84は、アクセル開度θaccや車速Vに基づいて運転者による車両10に対する駆動要求量(すなわちドライバ要求量)としての要求駆動トルクTouttgtを算出し、伝達損失、補機負荷、自動変速機18のギヤ比γ、蓄電装置54の充電容量SOC等を考慮して、その要求駆動トルクTouttgtが得られる走行用駆動力源(エンジン14及び電動機MG)の出力トルクとなるようにその走行用駆動力源を制御する指令信号(エンジン出力制御指令信号Se及び電動機制御指令信号Sm)を出力する。前記駆動要求量としては、駆動輪34における要求駆動トルクTouttgt[Nm]の他に、駆動輪34における要求駆動力[N]、駆動輪34における要求駆動パワー[W]、変速機出力軸24における要求変速機出力トルク、及び変速機入力軸36における要求変速機入力トルク、走行用駆動力源(エンジン14及び電動機MG)の目標トルク等を用いることもできる。また、駆動要求量として、単にアクセル開度θacc[%]やスロットル弁開度θth[%]やエンジン14の吸入空気量[g/sec]等を用いることもできる。
【0025】
具体的には、ハイブリッド制御部84は、例えば図4に示すようなモータ走行領域(EV領域)とエンジン走行領域(EHV領域)とを有する予め定められた関係(EV/EHV領域マップ)から、実際の車速V及び駆動要求量(アクセル開度θacc、要求駆動トルクTouttgt等)で示される車両状態に基づいて走行モードを切り替える。ハイブリッド制御部84は、車両状態がEV領域にある場合には、走行モードをモータ走行モード(以下、EVモード)とし、電動機MGのみを走行用の駆動力源として走行するモータ走行(EV走行)を行う。一方で、ハイブリッド制御部84は、車両状態がEHV領域にある場合には、走行モードをエンジン走行モードすなわちハイブリッド走行モード(以下、EHVモード)とし、少なくともエンジン14を走行用の駆動力源として走行するエンジン走行すなわちハイブリッド走行(EHV走行)を行う。
【0026】
また、例えば蓄電装置44の充電容量SOC及び/又は蓄電装置温度に応じた放電可能な電力(パワー)すなわち出力制限Woutに基づいて放電が制限された為にEV走行できない場合、蓄電装置44の充電が要求された場合、或いはエンジン14やエンジン14に関連する機器の暖機が必要な場合等には、ハイブリッド制御部84は、車両状態がEV領域にある場合であっても、エンジン14を作動させて走行するEHV走行を行う。
【0027】
ハイブリッド制御部84は、EV走行を行う場合には、断接クラッチK0を解放させてエンジン14とトルクコンバータ16との間の動力伝達経路を遮断すると共に、電動機MGにEV走行に必要なMGトルク(モータトルク、電動機トルク)Tmgを出力させる。一方で、ハイブリッド制御部84は、EHV走行を行う場合には、断接クラッチK0を係合させてエンジン14とトルクコンバータ16との間の動力伝達経路を接続すると共に、エンジン14にEHV走行に必要なエンジントルクTeを出力させつつ必要に応じて電動機MGにアシストトルクとしてMGトルクTmgを出力させる。
【0028】
ハイブリッド制御部84は、EV走行中に、エンジン14の始動が要求されると、走行モードをEVモードからEHVモードへ切り換え、エンジン14を始動させてEHV走行を行う。エンジン14を始動する方法としては、例えば解放されている断接クラッチK0を係合に向けて制御しつつ(見方を換えれば電動機MGによりエンジン14を回転駆動しつつ)、エンジン点火や燃料供給などを開始してエンジン14を始動する始動方法Aがある。この始動方法Aでは、エンジン始動に必要なトルクであるエンジン始動トルクをエンジン14側へ伝達する為のK0トルクが得られるように、断接クラッチK0の係合油圧(K0油圧)の指令値(K0指令圧)が出力される。上記エンジン始動トルクは、断接クラッチK0を介してエンジン14側へ流れる分のMGトルクTmgに相当することから、その分だけ駆動輪34側へ流れる分のMGトルクTmgが減少させられる。その為、この始動方法Aでは、駆動トルクToutの落ち込みを抑制する為に、要求駆動トルクTouttgtを満たす為に必要なMGトルクTmgに加えて、エンジン始動トルクをエンジン14側へ伝達する為のK0トルクに相当するMGトルク分が増大される(以下、この増大分をK0補償トルク(MG補償トルク)という)。
【0029】
また、エンジン14を始動する方法としては、例えば回転停止中の又は非作動中のエンジン14の複数の気筒のうちの所定の気筒内(例えば膨張行程にある気筒内)に燃料を噴射し且つ爆発(着火)させることでエンジン14を始動する所謂着火始動による始動方法Bである。この始動方法Bでは、着火始動によるエンジン14の始動完了後(すなわちエンジン14の運転後(自立運転可能後))に、断接クラッチK0の解放乃至スリップ状態にてエンジン14の自立運転でエンジン回転速度Neを上昇させる。そして、エンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgと同期した後に或いはその同期に向かっているときに、断接クラッチK0の完全係合に向けた制御を開始する。また、この始動方法Bでは、エンジン14のクランク角度によってエンジン始動時のエンジン14のフリクショントルク(ポンピングロスに相当するコンプレッショントルク+摺動抵抗に相当するメカニカルフリクショントルク)が変化する為、着火始動によりエンジン14が確実に自立運転可能となるように、一時的にK0トルクを増大してMG補償トルクを出力することでその着火始動をアシストしても良い。
【0030】
ここで、部品のばらつきや制御のばらつきなど(例えば断接クラッチK0の摩擦係数の変化や油圧応答性のばらつきなど)により、実際のK0トルクをK0指令圧から正確に推定できない可能性がある。そうすると、MG補償トルクと実K0トルクとの発生タイミングや絶対値にずれが生じ、駆動トルクToutが変動してエンジン始動時のショック(始動ショック)が発生する可能性がある。このような現象は、始動方法Bと比較して、MG補償トルクが必須となる或いはより大きくされる始動方法Aの方が、顕著に現れると考えられる。また、始動方法Bでは、例えば断接クラッチK0を解放した状態にてエンジン14の自立運転によりエンジン回転速度Neを電動機回転速度Nmgと同期させた後に、断接クラッチK0を完全係合するなどの態様が可能であり、断接クラッチK0の係合ショックに伴う始動ショックを、始動方法Aと比較して抑制することが可能である。その為、本実施例では、断接クラッチK0が解放された状態でのエンジン14の停止時にエンジン14を始動する際には、エンジン14の運転後に(すなわちエンジン14の自立運転が可能となると)断接クラッチK0の解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度Neを上昇させるような上記始動方法Bの態様を用いる。
【0031】
ところで、上記始動方法Bでは、上述したように始動ショックを抑制することが可能である反面、断接クラッチK0の完全係合が遅くなってEHV走行に移行するまでに時間を要する為に、加速要求に対する車両応答性が低下する可能性がある。上記始動方法Bの態様を用いる場合に、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させることが望まれる。
【0032】
そこで、本実施例の電子制御装置80は、上記始動方法Bにてエンジン14を始動する際には、エンジン回転速度Neの上昇中においてエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgへ到達する前に、断接クラッチK0の完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、エンジン回転速度Neの上昇中にエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgを超えてからエンジン回転速度Neを低下させることでエンジン回転速度Neが電動機回転速度Neと同期した後に或いはその同期に向かっているときに、断接クラッチK0の完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行う。上記第1のエンジン始動制御では、断接クラッチK0にて積極的にエンジン回転速度Neを電動機回転速度Neと同期させるので、始動ショックが発生し易いものの、エンジン14が比較的速やかに始動される。上記第2のエンジン始動制御では、エンジン14を回転速度制御することによりエンジン回転速度Neを電動機回転速度Neと同期させるので、エンジン14の始動が比較的遅くされるものの始動ショックが抑制され易い。
【0033】
エンジン14の始動が要求されるときの状況には、例えばアクセル踏み込み操作などの人為的操作(ユーザ操作)により要求駆動トルクTouttgtが増大したり車速Vが高くなったりして、車両状態がEV領域からEHV領域へと遷移したことによってエンジン14の始動が要求されるユーザ要求(ドライバ要求)によるときがある。加えて、エンジン14の始動が要求されるときの状況には、例えば蓄電装置44の充電容量SOC及び/又は出力制限Woutに基づいてEV走行できない場合、蓄電装置44の充電が要求された場合、或いはエンジン14等の暖機が必要な場合などの人為的操作に因らずに電子制御装置80によってエンジン14の始動が要求されるシステム要求によるときがある。そしてユーザ要求による始動では、例えば車両10が速やかに加速することを求める為に始動ショックの抑制よりも応答性の向上が望まれると考えられる。一方で、システム要求による始動では、例えばユーザ操作とは無関係にエンジン14を始動する為にユーザにとっては応答性の向上よりも始動ショックの抑制が望まれると考えられる。そこで、電子制御装置80は、ユーザ要求による始動では、前記第1のエンジン始動制御を行う一方で、システム要求による始動では、前記第2のエンジン始動制御を行う。
【0034】
本実施例での車両10は、自動変速機18を備えている。自動変速機18のギヤ段(ギヤ比γ)が高車速側のギヤ段(ギヤ比)であるハイギヤ段(ハイギヤ比)である程、ショックに対する感度が低くなり易いと考えられる。そこで、電子制御装置80は、前記第1のエンジン始動制御は、前記第2のエンジン始動制御と比べて、自動変速機18のギヤ段(ギヤ比γ)がハイギヤ段(ハイギヤ比)であるときに行うようにしても良い。
【0035】
本実施例での車両10は、ロックアップクラッチ38を有するトルクコンバータ16を備えている。ロックアップクラッチ38がスリップ係合乃至解放されているときには、ロックアップクラッチ38が係合されているときと比較して、始動ショックが抑制され易いと考えられる。そこで、電子制御装置80は、エンジン14を始動する際にロックアップクラッチ38が係合されている場合には、ロックアップクラッチ38のスリップへの移行を開始した後にエンジン14の運転を開始させる(例えば着火始動の実行を開始する)。
【0036】
上記ロックアップクラッチ38のスリップによるショック低減効果を得られ易くするには、着火始動の開始時期を遅らせることが考えられる。加えて、前記第2のエンジン始動制御では、エンジン14の始動が遅くなってもショックが抑制された方が良いと考えられる。そこで、電子制御装置80は、前記第2のエンジン始動制御では、前記第1のエンジン始動制御と比べて、エンジン14の運転を開始させる時期(例えば着火始動の開始時期)を遅らせる。
【0037】
また、エンジン14を始動する際にロックアップクラッチ38を係合からスリップへの移行させる場合、ロックアップクラッチ38を急いでスリップへ移行させると解放ショックが発生し易くなると考えられる。そこで、電子制御装置80は、前記第2のエンジン始動制御では、前記第1のエンジン始動制御と比べて、ロックアップクラッチ38のスリップへの移行を開始してから実際にスリップするまでの期間を長くする(すなわち係合からスリップへゆっくりと移行する)。
【0038】
ユーザ要求とシステム要求とが重なる場合がある。ユーザ要求があるのであれば、始動ショックを抑制することよりもエンジン始動の応答性を向上させることを優先させた方が良いと考えられる。例えば、システム要求による始動中にユーザ要求があった場合に、前記第2のエンジン始動制御をそのまま継続すると、応答性が低下する可能性がある。そこで、電子制御装置80は、ユーザ要求による始動とシステム要求による始動とが重なって要求された場合は、前記第1のエンジン始動制御を優先して行う。従って、電子制御装置80は、システム要求による始動として前記第2のエンジン始動制御を実行中にユーザ要求が為された場合には、その第2のエンジン始動制御の実行を中止して、前記第1のエンジン始動制御を行う。
【0039】
より具体的には、図2に戻り、走行状態判定手段すなわち走行状態判定部86は、例えばエンジン14の始動を要求するエンジン始動要求が有るか否かを判定する。例えば、走行状態判定部86は、車両状態がEV領域からEHV領域へと遷移した場合、EV走行が制限された場合、蓄電装置44の充電が要求された場合、及びエンジン14等の暖機が必要な場合などの少なくとも1つであるときには、エンジン始動要求が有ると判定する。加えて、走行状態判定部86は、エンジン始動要求が有ると判定した場合には、そのエンジン始動要求による始動がユーザ要求による始動であるか否かを、例えばアクセル踏み込み操作などのユーザ操作に伴って車両状態がEV領域からEHV領域へと遷移したか否かに基づいて判定する。更に、走行状態判定部86は、自動変速機18のギヤ段(ギヤ比γ)が所定のローギヤ段(ローギヤ比)側であるか否かを判定する。この所定のローギヤ段(ローギヤ比)側とは、例えばエンジン始動の際に前記第1のエンジン始動制御を実行すると始動ショックが抑制されないとして予め定められたギヤ段(ギヤ比γ)を含む、それよりもローギヤ段(ローギヤ比)側のギヤ段(ギヤ比γ)である。
【0040】
ロックアップ制御部82は、例えばロックアップクラッチ38をスリップ無しに係合しているときに、走行状態判定部86によりエンジン始動要求が有ると判定された場合には、ロックアップクラッチ38のスリップ係合に向けてLU油圧を低下させる所定のLU指令圧を油圧制御回路50へ出力する。この際、ロックアップ制御部82は、走行状態判定部86によりユーザ要求による始動であると判定されるか或いは自動変速機18のギヤ段(ギヤ比γ)が所定のローギヤ段(ローギヤ比)側でないと判定される場合には、その場合以外の場合と比較して、LU油圧の低下勾配が大きな所定のLU指令圧を出力する。
【0041】
ハイブリッド制御部84は、走行状態判定部86によりエンジン始動要求が有ると判定された場合には、着火始動による始動方法Bを用いてエンジン14を始動する。この際、ハイブリッド制御部84は、走行状態判定部86によりユーザ要求による始動であると判定されるか或いは自動変速機18のギヤ段(ギヤ比γ)が所定のローギヤ段(ローギヤ比)側でないと判定される場合には、ユーザ要求による始動制御として前記第1のエンジン始動制御を実行する。ハイブリッド制御部84は、走行状態判定部86によりユーザ要求による始動でないと判定され且つ自動変速機18のギヤ段(ギヤ比γ)が所定のローギヤ段(ローギヤ比)側であると判定される場合には、システム要求による始動制御として前記第2のエンジン始動制御を実行する。
【0042】
ハイブリッド制御部84は、前記第1のエンジン始動制御を実行する際には、エンジン始動要求が有ると判定されたことで直ぐに着火始動を開始しても良いし、或いはロックアップクラッチ38に実際にスリップが発生してから着火始動を開始しても良い。また、ハイブリッド制御部84は、着火始動中にK0トルクを所定トルク分だけ増大させると共に、そのK0トルクに相当するMG補償トルクを電動機MGから出力させる。ハイブリッド制御部84は、着火始動完了後には、K0トルクを零乃至微小トルクに維持して、エンジン回転速度制御により自立運転にてエンジン回転速度Neを上昇させる。ハイブリッド制御部84は、エンジン回転速度Neの上昇中においてエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgへ到達する直前に断接クラッチK0の完全係合に向けてK0トルクを増大させる。例えば、エンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgを超えるときにK0トルクの実際値が立ち上がるようにK0トルクを増大させる。ハイブリッド制御部84は、エンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgを超えた後には、エンジン回転速度Neが一定の変化にて電動機回転速度Nmgに向かって低下するように、エンジントルクTeに応じてK0トルク(=Te+エンジン回転速度Neを引き下げるトルク)を変化させると共に、そのK0トルクに相当するMG補償トルクを電動機MGから出力させる。ハイブリッド制御部84は、エンジン回転速度Neが低下して電動機回転速度Nmgと同期した後には、エンジントルクTeを駆動輪34側へ適切に伝達する為のK0トルクが得られるように(例えば断接クラッチK0を完全係合する為の最終的なK0トルクが得られるように)、K0指令圧(例えばK0クラッチ圧の最大値に対応する最大K0指令圧)を出力する。尚、上記微小トルクは、断接クラッチK0の応答性を向上する為のものであり、例えば断接クラッチK0のパッククリアランスを詰める為のK0油圧の正側のマージンにより生じる程度のK0トルクである。或いは、別の観点では、微小トルクに維持すると、エンジン回転速度Neの上昇により電動機回転速度Nmgを超えるときにMG補償トルクの正負が入れ替わる為に、その入れ替わりのタイミングを誤るとショックが発生する可能性がある。従って、このようなショックが問題にならない程度のK0トルクを持たせて断接クラッチK0スリップさせても良い。
【0043】
一方で、ハイブリッド制御部84は、前記第2のエンジン始動制御を実行する際には、ロックアップクラッチ38に実際にスリップが発生してから着火始動を開始する。この着火始動中の制御や着火始動完了後にK0トルクを零乃至微小トルクに維持して自立運転にてエンジン回転速度Neを上昇させる制御については、前記第1のエンジン始動制御時と同様である。ハイブリッド制御部84は、エンジン回転速度Neが上昇して電動機回転速度Nmgを超えた後は、K0トルクを零乃至微小トルクに維持したまま、エンジン回転速度制御により自立運転にてエンジン回転速度Neを電動機回転速度Nmgに向かって低下させる。ハイブリッド制御部84は、エンジン回転速度Neが低下して電動機回転速度Nmgと同期した後には、断接クラッチK0の完全係合に向けてK0トルクを増大させる。
【0044】
図5は、電子制御装置80の制御作動の要部すなわちエンジン14の運転後(着火始動完了後)に断接クラッチK0の解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度Neを上昇させるようなエンジン始動に際して始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させる為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。図6は、図5のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートである。
【0045】
図5において、先ず、走行状態判定部86に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、例えばエンジン始動要求が有るか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが肯定される場合(図6のt1時点)は走行状態判定部86に対応するS20において、例えばユーザ要求による始動であるか否かが判定される。このS20の判断が否定される場合は走行状態判定部86に対応するS30において、例えば自動変速機18のギヤ段(ギヤ比γ)が所定のローギヤ段(ローギヤ比)側であるか否かが判定される。上記S20の判断が肯定されるか或いは上記S30の判断が否定される場合はハイブリッド制御部84に対応するS40において、ユーザ要求による始動制御として前記第1のエンジン始動制御が実行される(図6(上段)のt1時点乃至t5時点)。一方で、上記S30の判断が肯定される場合はハイブリッド制御部84に対応するS50において、システム要求による始動制御として前記第2のエンジン始動制御が実行される(図6(下段)のt1時点乃至t5’時点)。
【0046】
図6のタイムチャートは、例えばユーザ要求による始動制御の場合(上段)の一例と、システム要求による始動制御の場合(下段)の一例とを同じタイムスケール上に表したものである。ユーザ要求による始動制御の指令が出力されると(t1時点)、比較的早くロックアップクラッチ38がスリップへ移行させられ(t2時点)、着火始動が実行される。着火始動完了後の自立運転によるエンジン回転速度Neの上昇中においてエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgへ到達する時点(t3時点)よりも前にK0トルクが増大させられる。エンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgを超えた後には、K0トルクが変化させられることでエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgに向かって低下させられる(t3時点乃至t4時点)。エンジン回転速度Neと電動機回転速度Nmgとの同期が完了すると(t4時点)、断接クラッチK0を完全係合にする為のK0指令圧が出力されると共にロックアップクラッチ38の係合に向けてLU油圧が増大させられる(t4時点以降)。その後、ロックアップクラッチ38が再係合されて一連のユーザ要求によるエンジン始動制御が比較的速やかに完了させられる(t5時点)。一方で、システム要求による始動制御の指令が出力されると(t1時点)、比較的ゆっくりとロックアップクラッチ38がスリップへ移行させられて(t2’時点)、解放ショックが緩和させられる。その後、着火始動が実行され、着火始動完了後には自立運転にてエンジン回転速度Neが上昇させられる(t2’時点乃至t3’時点)。エンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgを超えた(t3’時点以降)後には、自立運転にてエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgに向かって低下させられる(t3’時点乃至t4’時点)。エンジン回転速度Neと電動機回転速度Nmgとの同期が完了すると(t4’時点)、断接クラッチK0の完全係合に向けてK0トルクが増大させられると共にロックアップクラッチ38の係合に向けてLU油圧が増大させられる(t4’時点以降)。その後、ロックアップクラッチ38が再係合されて一連のシステム要求によるエンジン始動制御が完了させられる(t5’時点)。
【0047】
上述のように、本実施例によれば、始動ショックが発生し易いもののエンジン14が比較的速やかに始動される第1のエンジン始動制御と、エンジン14の始動が比較的遅くされるものの始動ショックが抑制され易い第2のエンジン始動制御とを、エンジン14の始動が要求されるときの状況に合わせて使い分けることができる。よって、エンジン14の運転後に断接クラッチK0の解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度Neを上昇させるようなエンジン始動に際して、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させることができる。
【0048】
また、本実施例によれば、ユーザ要求による始動制御では前記第1のエンジン始動制御を行う一方で、システム要求による始動制御では前記第2のエンジン始動制御を行うので、ユーザ要求とシステム要求とでエンジン始動制御を切り替えることで、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを適切に両立させることができる。つまり、ユーザ要求による始動では速やかな始動が実現でき、システム要求による始動ではショックが抑制された始動が実現できる。
【0049】
また、本実施例によれば、前記第1のエンジン始動制御は、前記第2のエンジン始動制御と比べて、自動変速機18のギヤ比γが比較的ハイギヤ比であるときに行うので、すなわちハイギヤ比である程第1のエンジン始動制御を行い易くするので、ハイギヤ比では速やかに始動させることができ、ローギヤ比ではショックを低減させることができる。よって、ハイギヤ比では余計な燃料噴射を抑えて燃費が向上させられ、ローギヤではドライバビリティが向上させられる。
【0050】
また、本実施例によれば、ユーザ要求による始動とシステム要求による始動とが重なって要求された場合は、前記第1のエンジン始動制御を優先して行うので、ユーザ要求による始動の応答性を向上させることができ、ドライバビリティが向上させられる。また、例えばシステム要求による始動中にユーザ要求があった場合は、ユーザ要求による始動時のエンジン始動制御である第1のエンジン始動制御に切り換えることで、応答性の低下を抑制できる。
【0051】
また、本実施例によれば、エンジン14を始動する際にロックアップクラッチ38が係合されている場合には、ロックアップクラッチ38のスリップへの移行を開始した後にエンジン14の運転を開始させるものであり、前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、エンジン14の運転を開始させる時期が遅くされるので、第2のエンジン始動制御による始動時には、ロックアップクラッチ38のスリップによるショック低減効果がより得られ易くなって、ショックをより低減できる。
【0052】
また、本実施例によれば、前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、ロックアップクラッチ38のスリップへの移行を開始してから実際にスリップするまでの期間が長いので、ショックが発生し難いようにロックアップクラッチ38をゆっくりとスリップへ移行させることで、第2のエンジン始動制御による始動時のショックをより一層低減できる。
【0053】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0054】
例えば、前述の実施例において、エンジン14が吸気バルブタイミング(吸気弁の開時期及び又は閉時期)を適宜変更することができる吸気弁駆動装置を備えるような場合、システム要求による始動制御時には、吸気バルブタイミングを進角させることでエンジン回転速度Neと電動機回転速度Nmgとを同期させるようにしても良い。また、システム要求による始動制御時には、スロットル弁開度θthを閉じることでエンジン回転速度Neと電動機回転速度Nmgとを同期させるようにしても良い。また、吸気バルブタイミングを進角させることと、スロットル弁開度θthを閉じることとを組み合わせても良い。このようにすれば、始動時間を短縮できて、ドライバビリティや燃費が向上させられる。
【0055】
また、前述の実施例において、断接クラッチK0が同期するまで(すなわちエンジン回転速度Neと電動機回転速度Nmgとが同期するまで)、エンジン14の点火時期を上死点より後に設定しても良い。このようにすれば、始動時間を短縮できて、ドライバビリティや燃費が向上させられる。
【0056】
また、前述の実施例では、エンジン回転速度Neと電動機回転速度Nmgとが同期してから断接クラッチK0を完全係合させたが、これに限らない。例えば、エンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgとの同期に向かって変化しているときに、断接クラッチK0を完全係合させても良い。このようにすれば、ショックの抑制には多少不利になるものの、エンジン始動の応答性が向上させられる。
【0057】
また、前述の実施例では、電動機MGにてアシストしつつ着火始動によってエンジン14を始動したがこれに限らない。例えば、電動機MGによるアシストは必ずしも必要ない。また、着火始動に変えて、電動機MGとは別に設けられたスタータモータによってエンジン14を始動するものであっても良い。要は、エンジン14を始動する際に、エンジン14の運転後に断接クラッチK0の解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度Neを上昇させるものであれば、本発明は適用され得る。
【0058】
また、前述の実施例における図5のフローチャートは、ステップS20及びステップS30の少なくとも一方が設けられるものであっても良い。
【0059】
また、前述の実施例では、流体式伝動装置としてトルクコンバータ16が用いられていたが、トルクコンバータ16に替えて、トルク増幅作用のない流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式伝動装置が用いられても良い。また、流体式伝動装置によるショック低減効果を得ない場合には、この流体式伝動装置は必ずしも設けられなくても良い。
【0060】
また、前述の実施例において、車両10には、自動変速機18が設けられていたが、自動変速機18のギヤ比γに応じてエンジン始動制御を切り替えるという態様を除き、この自動変速機18は必ずしも設けられなくても良い。
【0061】
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
10:車両
14:エンジン
16:トルクコンバータ(流体式伝動装置)
18:自動変速機(変速機)
34:駆動輪
38:ロックアップクラッチ
80:電子制御装置(制御装置)
K0:エンジン断接用クラッチ(クラッチ)
MG:電動機
図1
図2
図3
図4
図5
図6

【手続補正書】
【提出日】2015年6月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、電動機と、該エンジンと該電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、
前記エンジンを始動する際には、該エンジンの自立運転が可能となると該クラッチの解放乃至スリップ状態にて該エンジンの回転速度を上昇させるものであり、
更に、前記エンジンの回転速度の上昇中において該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、
前記エンジンの回転速度の上昇中に該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてから該エンジンの回転速度を低下させることで該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いは該同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うものであり、
前記第1のエンジン始動制御と前記第2のエンジン始動制御とを前記エンジンの始動が要求されたときの車両状態に基づいて使い分けることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
人為的操作に因る前記エンジンの始動が要求されると、前記第1のエンジン始動制御を行う一方で、
前記人為的操作に因らない前記エンジンの始動が要求されると、前記第2のエンジン始動制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機を更に備えており、
前記第1のエンジン始動制御は、前記第2のエンジン始動制御と比べて、前記変速機のギヤ比がハイギヤ比であるときに行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記人為的操作に因る前記エンジンの始動と該人為的操作に因らない該エンジンの始動とが重なって要求された場合は、前記第1のエンジン始動制御を優先して行うことを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチを有する流体式伝動装置を更に備えており、
前記エンジンを始動する際に前記ロックアップクラッチが係合されている場合には、該ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始した後に該エンジンの運転を開始させるものであり、
前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記エンジンの運転を開始させる時期が遅くされることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始してから実際にスリップするまでの期間が長いことを特徴とする請求項5に記載の車両の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記目的を達成する為の第1の発明の要旨とするところは、(a) エンジンと、電動機と、そのエンジンとその電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、(b) 前記エンジンを始動する際には、そのエンジンの自立運転が可能となるとそのクラッチの解放乃至スリップ状態にてそのエンジンの回転速度を上昇させるものであり、(c) 更に、前記エンジンの回転速度の上昇中においてそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、(d) 前記エンジンの回転速度の上昇中にそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてからそのエンジンの回転速度を低下させることでそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いはその同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うものであり、(e) 前記第1のエンジン始動制御と前記第2のエンジン始動制御とを前記エンジンの始動が要求されたときの車両状態に基づいて使い分けることにある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、第3の発明は、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機を更に備えており、前記第1のエンジン始動制御は、前記第2のエンジン始動制御と比べて、前記変速機のギヤ比がハイギヤ比であるときに行うことにある。このようにすれば、ハイギヤ比である程ショックに対する感度が低くなり易いことに対して、ハイギヤ比である程第1のエンジン始動制御を行い易くすることで、ハイギヤ比では速やかに始動させることができ、ローギヤ比ではショックを低減させることができる。よって、ハイギヤ比では余計な燃料噴射を抑えて燃費が向上させられ、ローギヤではドライバビリティが向上させられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、第5の発明は、前記第1の発明乃至第4の発明の何れか1つに記載の車両の制御装置において、前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチを有する流体式伝動装置を更に備えており、前記エンジンを始動する際に前記ロックアップクラッチが係合されている場合には、そのロックアップクラッチのスリップへの移行を開始した後にそのエンジンの運転を開始させるものであり、前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記エンジンの運転を開始させる時期が遅くされることにある。このようにすれば、第2のエンジン始動制御による始動時には、ロックアップクラッチのスリップによるショック低減効果がより得られ易くなって、ショックをより低減できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
また、例えば蓄電装置54の充電容量SOC及び/又は蓄電装置温度に応じた放電可能な電力(パワー)すなわち出力制限Woutに基づいて放電が制限された為にEV走行できない場合、蓄電装置54の充電が要求された場合、或いはエンジン14やエンジン14に関連する機器の暖機が必要な場合等には、ハイブリッド制御部84は、車両状態がEV領域にある場合であっても、エンジン14を作動させて走行するEHV走行を行う。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
そこで、本実施例の電子制御装置80は、上記始動方法Bにてエンジン14を始動する際には、エンジン回転速度Neの上昇中においてエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgへ到達する前に、断接クラッチK0の完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、エンジン回転速度Neの上昇中にエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgを超えてからエンジン回転速度Neを低下させることでエンジン回転速度Neが電動機回転速度Nmgと同期した後に或いはその同期に向かっているときに、断接クラッチK0の完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行う。上記第1のエンジン始動制御では、断接クラッチK0にて積極的にエンジン回転速度Neを電動機回転速度Nmgと同期させるので、始動ショックが発生し易いものの、エンジン14が比較的速やかに始動される。上記第2のエンジン始動制御では、エンジン14を回転速度制御することによりエンジン回転速度Neを電動機回転速度Nmgと同期させるので、エンジン14の始動が比較的遅くされるものの始動ショックが抑制され易い。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
エンジン14の始動が要求されるときの状況には、例えばアクセル踏み込み操作などの人為的操作(ユーザ操作)により要求駆動トルクTouttgtが増大したり車速Vが高くなったりして、車両状態がEV領域からEHV領域へと遷移したことによってエンジン14の始動が要求されるユーザ要求(ドライバ要求)によるときがある。加えて、エンジン14の始動が要求されるときの状況には、例えば蓄電装置54の充電容量SOC及び/又は出力制限Woutに基づいてEV走行できない場合、蓄電装置54の充電が要求された場合、或いはエンジン14等の暖機が必要な場合などの人為的操作に因らずに電子制御装置80によってエンジン14の始動が要求されるシステム要求によるときがある。そしてユーザ要求による始動では、例えば車両10が速やかに加速することを求める為に始動ショックの抑制よりも応答性の向上が望まれると考えられる。一方で、システム要求による始動では、例えばユーザ操作とは無関係にエンジン14を始動する為にユーザにとっては応答性の向上よりも始動ショックの抑制が望まれると考えられる。そこで、電子制御装置80は、ユーザ要求による始動では、前記第1のエンジン始動制御を行う一方で、システム要求による始動では、前記第2のエンジン始動制御を行う。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
より具体的には、図2に戻り、走行状態判定手段すなわち走行状態判定部86は、例えばエンジン14の始動を要求するエンジン始動要求が有るか否かを判定する。例えば、走行状態判定部86は、車両状態がEV領域からEHV領域へと遷移した場合、EV走行が制限された場合、蓄電装置54の充電が要求された場合、及びエンジン14等の暖機が必要な場合などの少なくとも1つであるときには、エンジン始動要求が有ると判定する。加えて、走行状態判定部86は、エンジン始動要求が有ると判定した場合には、そのエンジン始動要求による始動がユーザ要求による始動であるか否かを、例えばアクセル踏み込み操作などのユーザ操作に伴って車両状態がEV領域からEHV領域へと遷移したか否かに基づいて判定する。更に、走行状態判定部86は、自動変速機18のギヤ段(ギヤ比γ)が所定のローギヤ段(ローギヤ比)側であるか否かを判定する。この所定のローギヤ段(ローギヤ比)側とは、例えばエンジン始動の際に前記第1のエンジン始動制御を実行すると始動ショックが抑制されないとして予め定められたギヤ段(ギヤ比γ)を含む、それよりもローギヤ段(ローギヤ比)側のギヤ段(ギヤ比γ)である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4

【手続補正書】
【提出日】2016年6月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、電動機と、該エンジンと該電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、
前記エンジンを始動する際には、該エンジンの自立運転が可能となると該クラッチの解放乃至スリップ状態にて該エンジンの回転速度を上昇させるものであり、
更に、前記エンジンの回転速度の上昇中において該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、
前記エンジンの回転速度の上昇中に該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてから該エンジンの回転速度を低下させることで該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いは該同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うものであり、
前記第1のエンジン始動制御と前記第2のエンジン始動制御とを前記エンジンの始動が要求されたときの車両状態に基づいて使い分けるものであり、
人為的操作に因る前記エンジンの始動が要求されると、前記第1のエンジン始動制御を行う一方で、
前記人為的操作に因らない前記エンジンの始動が要求されると、前記第2のエンジン始動制御を行うことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記人為的操作に因る前記エンジンの始動と該人為的操作に因らない該エンジンの始動とが重なって要求された場合は、前記第1のエンジン始動制御を優先して行うことを特徴とする請求項に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
エンジンと、電動機と、該エンジンと該電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、
前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機を更に備えており、
前記エンジンを始動する際には、該エンジンの自立運転が可能となると該クラッチの解放乃至スリップ状態にて該エンジンの回転速度を上昇させるものであり、
更に、前記エンジンの回転速度の上昇中において該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、
前記エンジンの回転速度の上昇中に該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてから該エンジンの回転速度を低下させることで該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いは該同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うものであり、
前記第1のエンジン始動制御と前記第2のエンジン始動制御とを前記エンジンの始動が要求されたときの車両状態に基づいて使い分けるものであり、
前記第1のエンジン始動制御は、前記第2のエンジン始動制御と比べて、前記変速機のギヤ比がハイギヤ比であるときに行うことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチを有する流体式伝動装置を更に備えており、
前記エンジンを始動する際に前記ロックアップクラッチが係合されている場合には、該ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始した後に該エンジンの運転を開始させるものであり、
前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記エンジンの運転を開始させる時期が遅くされることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
エンジンと、電動機と、該エンジンと該電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、
前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチを有する流体式伝動装置を更に備えており、
前記エンジンを始動する際には、該エンジンの自立運転が可能となると該クラッチの解放乃至スリップ状態にて該エンジンの回転速度を上昇させるものであり、
更に、前記エンジンの回転速度の上昇中において該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、
前記エンジンの回転速度の上昇中に該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてから該エンジンの回転速度を低下させることで該エンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いは該同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うものであり、
前記第1のエンジン始動制御と前記第2のエンジン始動制御とを前記エンジンの始動が要求されたときの車両状態に基づいて使い分けるものであり、
前記エンジンを始動する際に前記ロックアップクラッチが係合されている場合には、該ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始した後に該エンジンの運転を開始させるものであり、
前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記エンジンの運転を開始させる時期が遅くされることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項6】
前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始してから実際にスリップするまでの期間が長いことを特徴とする請求項4又は5に記載の車両の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記目的を達成する為の第1の発明の要旨とするところは、(a) エンジンと、電動機と、そのエンジンとその電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、(b) 前記エンジンを始動する際には、そのエンジンの自立運転が可能となるとそのクラッチの解放乃至スリップ状態にてそのエンジンの回転速度を上昇させるものであり、(c) 更に、前記エンジンの回転速度の上昇中においてそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、(d) 前記エンジンの回転速度の上昇中にそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてからそのエンジンの回転速度を低下させることでそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いはその同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うものであり、(e) 前記第1のエンジン始動制御と前記第2のエンジン始動制御とを前記エンジンの始動が要求されたときの車両状態に基づいて使い分けるものであり、(f) 人為的操作に因る前記エンジンの始動が要求されると、前記第1のエンジン始動制御を行う一方で、(g) 前記人為的操作に因らない前記エンジンの始動が要求されると、前記第2のエンジン始動制御を行うことにある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
このようにすれば、始動ショックが発生し易いもののエンジンが比較的速やかに始動される第1のエンジン始動制御と、エンジンの始動が比較的遅くされるものの始動ショックが抑制され易い第2のエンジン始動制御とを、エンジンの始動が要求されるときの状況に合わせて使い分けることができる。よって、エンジンの運転後にクラッチの解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度を上昇させるようなエンジン始動に際して、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させることができる。具体的には、人為的操作に因るエンジン始動要求(以下、ユーザ要求という)と、人為的操作に因らないエンジン始動要求(つまり人為的操作とは無関係に制御装置が指令するエンジン始動要求(以下、システム要求という))とでエンジン始動制御を切り替えることで、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを適切に両立させることができる。つまり、車両が速やかに加速することを求める為に始動ショックの抑制よりも応答性の向上が望まれるようなユーザ要求による始動では、速やかな始動が実現できる。加えて、ユーザ操作とは無関係にエンジンを始動する為にユーザにとっては応答性の向上よりも始動ショックの抑制が望まれるようなシステム要求による始動では、ショックが抑制された始動が実現できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
ここで、第2の発明は、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記人為的操作に因る前記エンジンの始動とその人為的操作に因らないそのエンジンの始動とが重なって要求された場合は、前記第1のエンジン始動制御を優先して行うことにある。このようにすれば、ユーザ要求による始動の応答性を向上させることができ、ドライバビリティが向上させられる。また、例えばシステム要求による始動中にユーザ要求があった場合は、そのままでは応答性が低下する可能性があることに対して、ユーザ要求による始動時のエンジン始動制御である第1のエンジン始動制御に切り換えることで、応答性の低下を抑制できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、第3の発明の要旨とするところは、(a) エンジンと、電動機と、そのエンジンとその電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、(b) 前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路の一部を構成する変速機を更に備えており、(c) 前記エンジンを始動する際には、そのエンジンの自立運転が可能となるとそのクラッチの解放乃至スリップ状態にてそのエンジンの回転速度を上昇させるものであり、(d) 更に、前記エンジンの回転速度の上昇中においてそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、(e) 前記エンジンの回転速度の上昇中にそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてからそのエンジンの回転速度を低下させることでそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いはその同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うものであり、(f) 前記第1のエンジン始動制御と前記第2のエンジン始動制御とを前記エンジンの始動が要求されたときの車両状態に基づいて使い分けるものであり、(g) 前記第1のエンジン始動制御は、前記第2のエンジン始動制御と比べて、前記変速機のギヤ比がハイギヤ比であるときに行うことにある。このようにすれば、始動ショックが発生し易いもののエンジンが比較的速やかに始動される第1のエンジン始動制御と、エンジンの始動が比較的遅くされるものの始動ショックが抑制され易い第2のエンジン始動制御とを、エンジンの始動が要求されるときの状況に合わせて使い分けることができる。よって、エンジンの運転後にクラッチの解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度を上昇させるようなエンジン始動に際して、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させることができる。又、ハイギヤ比である程ショックに対する感度が低くなり易いことに対して、ハイギヤ比である程第1のエンジン始動制御を行い易くすることで、ハイギヤ比では速やかに始動させることができ、ローギヤ比ではショックを低減させることができる。よって、ハイギヤ比では余計な燃料噴射を抑えて燃費が向上させられ、ローギヤではドライバビリティが向上させられる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、第4の発明は、前記第1の発明乃至第3の発明の何れか1つに記載の車両の制御装置において、前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチを有する流体式伝動装置を更に備えており、前記エンジンを始動する際に前記ロックアップクラッチが係合されている場合には、そのロックアップクラッチのスリップへの移行を開始した後にそのエンジンの運転を開始させるものであり、前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記エンジンの運転を開始させる時期が遅くされることにある。このようにすれば、第2のエンジン始動制御による始動時には、ロックアップクラッチのスリップによるショック低減効果がより得られ易くなって、ショックをより低減できる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、第5の発明の要旨とするところは、(a) エンジンと、電動機と、そのエンジンとその電動機との間の動力伝達経路に設けられたクラッチとを備える車両の制御装置であって、(b) 前記電動機と駆動輪との間の動力伝達経路に設けられたロックアップクラッチを有する流体式伝動装置を更に備えており、(c) 前記エンジンを始動する際には、そのエンジンの自立運転が可能となるとそのクラッチの解放乃至スリップ状態にてそのエンジンの回転速度を上昇させるものであり、(d) 更に、前記エンジンの回転速度の上昇中においてそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度へ到達する前に、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第1のエンジン始動制御と、(e) 前記エンジンの回転速度の上昇中にそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度を超えてからそのエンジンの回転速度を低下させることでそのエンジンの回転速度が前記電動機の回転速度と同期した後に或いはその同期に向かっているときに、前記クラッチの完全係合に向けた制御を開始する第2のエンジン始動制御との何れか一方を行うものであり、(f) 前記第1のエンジン始動制御と前記第2のエンジン始動制御とを前記エンジンの始動が要求されたときの車両状態に基づいて使い分けるものであり、(g) 前記エンジンを始動する際に前記ロックアップクラッチが係合されている場合には、そのロックアップクラッチのスリップへの移行を開始した後にそのエンジンの運転を開始させるものであり、(h) 前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記エンジンの運転を開始させる時期が遅くされることにある。このようにすれば、始動ショックが発生し易いもののエンジンが比較的速やかに始動される第1のエンジン始動制御と、エンジンの始動が比較的遅くされるものの始動ショックが抑制され易い第2のエンジン始動制御とを、エンジンの始動が要求されるときの状況に合わせて使い分けることができる。よって、エンジンの運転後にクラッチの解放乃至スリップ状態にてエンジン回転速度を上昇させるようなエンジン始動に際して、始動ショックの抑制とエンジン始動の応答性の向上とを両立させることができる。又、第2のエンジン始動制御による始動時には、ロックアップクラッチのスリップによるショック低減効果がより得られ易くなって、ショックをより低減できる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、第6の発明は、前記第4の発明又は第5の発明に記載の車両の制御装置において、前記第2のエンジン始動制御は、前記第1のエンジン始動制御と比べて、前記ロックアップクラッチのスリップへの移行を開始してから実際にスリップするまでの期間が長いことにある。このようにすれば、ロックアップクラッチを急いでスリップへ移行させるとショックが発生し易くなることに対して、ショックが発生し難いようにロックアップクラッチをゆっくりとスリップへ移行させることで、第2のエンジン始動制御による始動時のショックをより一層低減できる。
【国際調査報告】