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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年6月26日
【発行日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20161216BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20161216BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20161216BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20161216BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20161216BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/24 E
   F01N3/28 301E
   F01N3/36 D
   F01N3/02 321A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2014-552785(P2014-552785)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年12月18日
(11)【特許番号】特許第5910759号(P5910759)
(45)【特許公報発行日】2016年4月27日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100143797
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 文徳
(74)【代理人】
【識別番号】100176201
【弁理士】
【氏名又は名称】小久保 篤史
(72)【発明者】
【氏名】高田 圭
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大橋 伸基
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中山 茂樹
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】見上 晃
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 健治
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】松尾 潤一
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】塚本 佳久
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大月 寛
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】山本 一郎
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA11
3G091AA17
3G091AA18
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA14
3G091CA17
3G091CA18
3G091DA01
3G091EA18
3G091EA33
3G091HA10
3G091HA15
3G091HB05
3G190AA02
3G190AA12
3G190AA13
3G190BA17
3G190CA01
3G190CB13
3G190CB18
3G190CB23
3G190CB26
3G190DA03
3G190DB05
3G190DB12
3G190DB85
(57)【要約】
SCR触媒を担持したフィルタの再生処理時に、アンモニアが流出することを抑制する。酸化機能を有する前段触媒と、前段触媒に燃料を供給する燃料供給装置と、前段触媒より下流側の排気通路に設けられるフィルタであって選択還元型NOx触媒が担持されたフィルタと、フィルタにアンモニアを供給するアンモニア供給装置と、フィルタ再生処理を実行するフィルタ再生処理実行部と、フィルタ再生処理を実行していない場合には、内燃機関から排出されるNOx量に応じた量のアンモニアを供給し、フィルタ再生処理を実行している場合には、内燃機関から排出されるNOx量から、前段触媒を通過する燃料により還元されるNOx量を減じたNOx量に応じた量のアンモニアを供給する制御部と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられ、酸化機能を有する前段触媒と、
前記前段触媒に燃料を供給する燃料供給装置と、
前記前段触媒より下流側の排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタであって、アンモニアを還元剤として排気中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒が担持されたフィルタと、
前記フィルタにアンモニア又はアンモニアの前駆体を供給するアンモニア供給装置と、
前記燃料供給装置から前記前段触媒に燃料を供給することで、前記フィルタの温度を粒子状物質の酸化が促進される所定のフィルタ再生温度まで上昇させ、それによって前記フィルタに堆積した粒子状物質を酸化させて除去するフィルタ再生処理を実行するフィルタ再生処理実行部と、
前記フィルタ再生処理を実行していない場合には、前記内燃機関から排出されるNOx量に応じた量のアンモニア又はアンモニアの前駆体を前記アンモニア供給装置により供給し、前記フィルタ再生処理を実行している場合には、前記内燃機関から排出されるNOx量から、前記燃料供給装置により供給される燃料であって前記前段触媒を通過する燃料により還元されるNOx量を減じたNOx量に応じた量のアンモニアまたはアンモニアの前駆体を前記アンモニア供給装置により供給する制御部と、
を備える内燃機関の排気浄化システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記フィルタ再生処理を実行している場合に、前記アンモニア供給装置により供給されるアンモニア又はアンモニアの前駆体の量を、前記フィルタの温度に基づいて変更する請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記フィルタ再生処理を実行している場合に、前記アンモニア供給装置により供給するアンモニア又はアンモニアの前駆体の量を、前記フィルタに流入する排気中の水分量に基づいて変更する請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化装置として、フィルタに選択還元型NOx触媒(以下、SCR触媒と称する)を担持させたものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。フィルタは、排気中の粒子状物質(以下、PMと称する)を捕集する。SCR触媒は、アンモ二ア(NH)を還元剤として排気中のNOxを還元する。以下、このようなSCR触媒を担持したフィルタをSCRFと称する場合もある。
【0003】
排気浄化装置としてSCRFを採用することで、フィルタとSCR触媒とを別々に排気通路に設けた場合に比べて、排気浄化装置の大きさをより小さくすることができる。そのため、排気浄化装置の搭載性を向上させることができる。また、SCRFを採用することで、排気通路におけるより上流側にSCR触媒を配置することが可能となる。排気通路におけるSCR触媒の配置がより上流側であるほど、該SCR触媒が排気の熱によって加熱され易くなる。そのため、SCR触媒の暖機性の向上や、SCR触媒におけるNOx浄化率の向上を図ることができる。
【0004】
ここで、SCRFには、捕集されたPMが堆積する。そのため、SCRFを備えた排気浄化システムにおいて、フィルタ再生処理が実行される。フィルタ再生処理は、SCRFに堆積したPMを酸化させて除去する処理である。フィルタ再生処理は、SCRFよりも上流側の排気通路に設けられた酸化機能を有する触媒である前段触媒に燃料(HC)を供給することで実現される。前段触媒において燃料が酸化されると、SCRFに流入する排気が酸化熱によって加熱される。そのため、SCRFの温度を、PMの酸化が促進されるフィルタ再生温度まで上昇させることができる。
【0005】
なお、SCR触媒よりも上流の排気通路に、HCを添加するHC添加弁と、尿素水を添加する尿素添加弁と、を備え、SCR触媒によるNOxの浄化に必要な尿素水量が所定の上限量を上回る場合には、尿素水の供給に追加してHCを供給することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
ところで、SCRFを備えた排気浄化システムにおいて、フィルタ再生処理を実施するときには、前段触媒に多量のHCが供給される。フィルタよりも下流側にSCR触媒が備わる従来の排気浄化システムでは、フィルタ再生処理時に前段触媒及びフィルタにおいてHCがほとんど酸化されるため、SCR触媒に流入するHCの量は比較的少なかった。しかし、SCRFの上流には前段触媒しか存在しないため、前段触媒で酸化されなかったHCがSCRFに流入する虞がある。そして、HCがSCRFに流入すると、その一部がNOxを還元させる。このため、SCRFに流入するNOx量に基づいてアンモニアを供給すると、HCにより還元されたNOxの分だけ、アンモニアが過剰となる。すなわち、NOxを還元するために必要となるよりも多くのアンモニアが供給されることになる。そして、余ったアンモニアがSCRFから流出することにより、アンモニアが無駄になる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2007−501353号公報
【特許文献2】特開2008−157188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、SCR触媒を担持したフィルタの再生処理時に、アンモニアが流出することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために本発明による内燃機関の排気浄化システムは、
内燃機関の排気通路に設けられ、酸化機能を有する前段触媒と、
前記前段触媒に燃料を供給する燃料供給装置と、
前記前段触媒より下流側の排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタであって、アンモニアを還元剤として排気中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒が担持されたフィルタと、
前記フィルタにアンモニア又はアンモニアの前駆体を供給するアンモニア供給装置と、
前記燃料供給装置から前記前段触媒に燃料を供給することで、前記フィルタの温度を粒子状物質の酸化が促進される所定のフィルタ再生温度まで上昇させ、それによって前記フィルタに堆積した粒子状物質を酸化させて除去するフィルタ再生処理を実行するフィルタ再生処理実行部と、
前記フィルタ再生処理を実行していない場合には、前記内燃機関から排出されるNOx量に応じた量のアンモニア又はアンモニアの前駆体を前記アンモニア供給装置により供給し、前記フィルタ再生処理を実行している場合には、前記内燃機関から排出されるNOx量から、前記燃料供給装置により供給される燃料であって前記前段触媒を通過する燃料により還元されるNOx量を減じたNOx量に応じた量のアンモニアまたはアンモニアの前駆体を前記アンモニア供給装置により供給する制御部と、
を備える。
【0010】
本発明に係る内燃機関の排気浄化システムにおいては、前段触媒及びSCRFが内燃機関の排気通路において上流側から順に設けられている。そして、SCRFには、アンモニア供給装置からアンモニア又はアンモニアの前駆体が供給される。SCRFに担持されたSCR触媒では、供給されたアンモニア又は供給されたアンモ二アの前駆体から生成されるアンモニアを還元剤として排気中のNOxが還元される。また、燃料供給装置から前段触媒に燃料が供給されることで、SCRFに堆積したPMを除去するためのフィルタ再生処理が実行される。
【0011】
フィルタ再生処理が実行される際に、前段触媒において酸化されずに該前段触媒を通り抜けたHCはSCRFに流入する。このようにしてSCRFに流入するHCは、NOxを還元する還元剤となる。
【0012】
そして、本発明では、フィルタ再生処理を実行している場合には、HCにより還元されるNOxの分だけ、アンモニア供給装置から供給するアンモニア又はアンモニアの前駆体の量を減少させる。ここで、フィルタ再生処理を実行していない場合には、HCによるNOxの還元が殆どないため、内燃機関から排出されるNOx量に応じてアンモニアを供給すれば、還元剤量に過不足が生じることを抑制できる。一方、フィルタ再生処理を実行している場合には、内燃機関から排出されるNOxがHC及びアンモニアで還元される。このため、内燃機関から排出されるNOx量からHCで還元される分のNOx量を減算して、残りのNOx量に応じてアンモニアを供給すれば、還元剤量に過不足が生じることを抑制できる。このように、SCRFにおいて還元剤量に過不足が生じないため、SCRFからアンモニアが流出することを抑制できる。
【0013】
本発明においては、前記制御部は、前記フィルタ再生処理を実行している場合に、前記アンモニア供給装置により供給されるアンモニア又はアンモニアの前駆体の量を、前記フィルタの温度に基づいて変更することができる。
【0014】
ここで、フィルタの温度に応じてSCR触媒において反応するアンモニア量が変化するため、該フィルタの温度に応じて供給するアンモニア量を変化させれば、還元剤量に過不足が生じることを抑制できる。
【0015】
本発明においては、前記制御部は、前記フィルタ再生処理を実行している場合に、前記アンモニア供給装置により供給するアンモニア又はアンモニアの前駆体の量を、前記フィルタに流入する排気中の水分量に基づいて変更することができる。
【0016】
フィルタに流入する排気中の水分量に応じてSCR触媒において反応するアンモニア量が変化するため、該フィルタに流入する排気中の水分量に応じて供給するアンモニア量を変化させれば、還元剤量に過不足が生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、SCR触媒を担持したフィルタの再生処理時に、アンモニアが流出することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例に係る内燃機関の吸排気系の概略構成を示す図である。
図2】フィルタ再生処理が実行される前から、フィルタ再生処理が完了した後までの、SCR触媒の温度、SCRFへ流入するHC量(HC流入量)、SCRFに流入又は流出するNOx量、アンモニア添加弁からのアンモニア供給量、SCRFから流出するアンモニア量(アンモニア流出量)の推移を示したタイムチャートである。
図3】排気中に水分が含まれる場合と、排気中に水分が含まれない場合と、の夫々について、SCR触媒の温度と、HCによるNOx浄化率と、の関係を示した図である。
図4】フィルタ再生処理の実行時におけるアンモニア添加弁からのアンモニア供給量Qredを決定するときのブロック図である。
図5】Gegr/(Ga+Gf)と、内燃機関の気筒内での燃焼前に既に含まれている水分量Qh2oiと、の関係を示した図である。
図6】空燃比(Ga/Gf)と、内燃機関の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocとの関係を示した図である。
図7】燃料量Gfと、内燃機関の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocとの関係を示した図である。
図8】燃料添加弁からの燃料供給量Qaddと、前段触媒において発生する水分量Qheoeとの関係を示した図である。
図9】前段触媒温度Tdocと、前段触媒において発生する水分量Qheoeとの関係を示した図である。
図10】実施例に係るフィルタ再生処理のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
<実施例1>
ここでは、本発明に係る内燃機関の排気浄化システムを、車両駆動用のディーゼルエンジンに適用した場合について説明する。ただし、本発明に係る内燃機関は、ディーゼルエンジンに限られるものではなく、ガソリンエンジン等であってもよい。
【0021】
図1は、本実施例に係る内燃機関の吸排気系の概略構成を示す図である。内燃機関1は車両駆動用のディーゼルエンジンである。内燃機関1には吸気通路2及び排気通路3が接続されている。吸気通路2には、エアフローメータ11及びスロットル弁9が設けられている。エアフローメータ11は内燃機関1の吸入空気量を検知する。スロットル弁9は内燃機関1の吸入空気量を調整する。
【0022】
排気通路3には、第一排気温度センサ12、燃料添加弁4、前段触媒5、第一NOxセンサ13、第二排気温度センサ14、アンモニア添加弁6、SCRF7、後段触媒8、第二NOxセンサ15が排気の流れに沿って上流側から順に設けられている。
【0023】
前段触媒5は酸化触媒である。ただし、前段触媒5は、酸化機能を有する触媒であれば酸化触媒以外の触媒であってもよい。燃料添加弁4は、前段触媒5に燃料を供給すべく、排気中に燃料(HC)を添加する。
【0024】
なお、本実施例においては、燃料添加弁4が本発明に係る燃料供給装置に相当する。ただし、燃料添加弁4を設けずに、内燃機関1において、噴射された燃料が燃焼せずに排気通路3に未燃の状態で排出されるタイミングで副噴射を実行することで、前段触媒5に燃料を供給することもできる。
【0025】
SCRF7は、排気中のPMを捕集するウォールフロー型のフィルタにSCR触媒7aが担持されて構成されている。SCR触媒7aは、アンモニアを還元剤として排気中のNOxを還元する。アンモニア添加弁6は、SCRF7にアンモニアを供給すべく、排気中にアンモニアガスを添加する。SCRF7にアンモニアが供給されると該アンモニアはSCRF7に担持されたSCR触媒7aに一旦吸着する。そして、吸着したアンモニアが還元剤となって排気中のNOxが還元される。
【0026】
なお、本実施例においては、アンモニア添加弁6が本発明に係るアンモニア供給装置に相当する。ただし、本発明に係るアンモニア供給装置は、アンモニアを液体又は個体として供給する装置であってもよい。また、本発明に係るアンモニア供給装置は、アンモニアの前駆体を供給する装置であってもよい。例えば、本実施例において、アンモニア添加弁6に代えて、排気中に尿素水溶液を添加する尿素添加弁を設けてもよい。この場合、アンモニアの前駆体として尿素がSCRF7に供給される。そして、尿素が加水分解することでアンモニアが生成される。
【0027】
後段触媒8は酸化触媒である。ただし、後段触媒8は、酸化機能を有する他の触媒であってもよい。後段触媒8は、排気中のHC、CO、及びアンモニアを酸化させる。なお、本実施例においては、後段触媒8は必ずしも必要ではない。
【0028】
第一排気温度センサ12及び第二排気温度センサ14は、排気の温度を検知するセンサである。第一排気温度センサ12は、内燃機関1から流出する排気の温度または前段触媒5に流入する排気の温度を検知する。第二排気温度センサ14は、前段触媒5から流出する排気の温度またはSCRF7に流入する排気の温度を検知する。第一NOxセンサ13及び第二NOxセンサ15は排気中のNOx濃度を検知するセンサである。第一NOxセンサ13は、SCRF7に流入する排気中のNOx濃度を検知する。第二NOxセンサ15は、後段触媒8から流出する排気中のNOx濃度を検知する。
【0029】
また、排気通路3における燃料添加弁4よりも上流側には、EGR通路16の一端が接続されている。EGR通路16の他端は、吸気通路2におけるスロットル弁9よりも下流側に接続されている。また、EGR通路16にはEGR弁17が設けられている。
【0030】
このような構成によれば、内燃機関1から排出された排気の一部がEGRガスとしてEGR通路16を通して吸気通路2に導入される。これにより、EGRガスが内燃機関1に供給される。また、EGR通路16を通して吸気通路2に導入されるEGRガスの流量がEGR弁17によって調整される。なお、本実施例では、EGR通路16及びEGR弁17は必ずしも必要ではない。
【0031】
内燃機関1には、電子制御ユニット(ECU)10が併設されている。ECU10には、エアフローメータ11、第一排気温度センサ12、第一NOxセンサ13、第二排気温度センサ14、第二NOxセンサ15等の各種センサが電気的に接続されている。そして、各種センサの出力信号がECU10に入力される。ECU10は、エアフローメータ11の出力値に基づいて排気通路3における排気の流量を推定する。また、ECU10は、第一排気温度センサ12の出力値に基づいて前段触媒5の温度を推定し、第二排気温度センサ14の出力値に基づいてSCRF7の温度(即ちSCR触媒7aの温度)を推定する。
【0032】
さらに、ECU10には、スロットル弁9、燃料添加弁4、アンモニア添加弁6、及びEGR弁17が電気的に接続されている。そして、これらの装置がECU10によって制御される。
【0033】
ここで、SCRF7には、捕集されたPMが徐々に堆積する。そこで、本実施例においては、ECU10によって、SCRF7に堆積したPMを除去するためのフィルタ再生処理が実行される。本実施例に係るフィルタ再生処理は、燃料添加弁4から燃料を添加し、それによって燃料を前段触媒5に供給することで実現される。なお、本実施例においてはフィルタ再生処理を実行するECU10が、本発明におけるフィルタ再生処理実行部に相当する。
【0034】
前段触媒5において燃料が酸化されると酸化熱が生じる。この酸化熱によってSCRF7に流入する排気が加熱される。これにより、SCRF7の温度が上昇する。フィルタ再生処理の実行時においては、燃料添加弁4からの燃料添加量を制御することで、SCRF7の温度をPMの酸化が促進される所定のフィルタ再生温度(例えば、600〜650℃)まで上昇させる。その結果、SCRF7に堆積したPMが酸化され除去される。
【0035】
本実施例では、前回のフィルタ再生処理の実行が終了してから所定時間が経過する毎にフィルタ再生処理の実行が要求される。なお、内燃機関1を搭載した車両が所定の走行距離を走行する毎にフィルタ再生処理の実行を要求してもよい。また、SCRF7におけるPM堆積量が所定の堆積量に達する毎にフィルタ再生処理の実行を要求してもよい。SCRF7におけるPM堆積量は、内燃機関1での燃料噴射量、SCRF7に流入する排気の流量、及びSCRF7の温度等の履歴に基づいて推定することができる。
【0036】
フィルタ再生処理の実行時には、前段触媒5に供給された燃料に含まれるHCの一部が該前段触媒5において酸化されずに該前段触媒5を通り抜ける場合がある。前段触媒5を通り抜けたHCはSCRF7に流入する。SCRF7に流入したHCは、SCR触媒7aにおいてNOxを還元させる還元剤となる。
【0037】
ところで、フィルタ再生処理の実行時であっても、NOxを還元させるためにアンモニア添加弁6からアンモニアを添加している。フィルタ再生処理の実行時には、SCR触媒7aにアンモニアが吸着されても、温度が高いためにすぐに脱離する。このため、アンモニア添加弁6から添加するアンモニアの量は、NOxの還元のために必要となる量に対して過不足が生じないことが望ましい。
【0038】
ここで、フィルタ再生処理が実行されていない場合には、内燃機関1から排出されるNOx量、又は、SCRF7に流入するNOx量に応じて、アンモニア添加弁6からアンモニアを添加すればよい。すなわち、内燃機関1から排出されるNOxを還元するために必要となる量のアンモニアを供給すれば、SCR触媒7aにおいて消費されるアンモニア量と供給されるアンモニア量とが釣り合うため、SCR触媒7aにおいてアンモニア量に過不足が生じることを抑制できる。なお、内燃機関1から排出されるNOx量は、機関回転数及び機関負荷に基づいて推定することができる。また、第一NOxセンサ13の検出値と、エアフローメータ11により検出される吸入空気量から推定される排気の流量と、に基づいて、内燃機関1から排出されるNOx量を算出することもできる。なお、内燃機関1から排出されるNOx量は、SCR触媒7aに流入するNOx量と等しいとしてもよい。
【0039】
一方、フィルタ再生処理が実行されている場合には、燃料添加弁4から添加され前段触媒5において酸化されなかったHCによってもSCR触媒7aにおいてNOxが還元される。したがって、内燃機関1から排出されるNOx量、又は、SCRF7に流入するNOx量に対して、過不足が生じないようにアンモニア添加弁6からアンモニアを添加すると、HCにより還元されたNOxの分だけアンモニアが過剰となる。過剰となったアンモニアは、SCR触媒7aの温度が高いために該SCR触媒7aから脱離し、SCRF7から流出する。その後に、後段触媒8にてアンモニアを反応させることが可能であるが、アンモニアを無駄に消費することになる。
【0040】
そこで本実施例では、フィルタ再生処理が実行されている場合には、内燃機関1から排出されるNOx量、又は、SCRF7へ流入するNOx量から、HCにより還元されるNOx量を減算して求まるNOx量に応じて、アンモニア添加弁6からアンモニアを供給する。なお、内燃機関1から排出されるNOx、又は、SCRF7へ流入するNOxを全て還元するために必要となるアンモニア量から、HCにより還元される分のNOxを還元するために必要となるアンモニア量を減算することで、アンモニア添加弁6からのアンモニア供給量を算出してもよい。
【0041】
ここで、図2は、フィルタ再生処理が実行される前から、フィルタ再生処理が完了した後までの、SCRF7(SCR触媒7aとしてもよい)の温度、SCRF7へ流入するHC量(HC流入量)、SCRF7に流入又は流出するNOx量、アンモニア添加弁6からのアンモニア供給量、SCRF7から流出するアンモニア量(アンモニア流出量)の推移を示したタイムチャートである。実線は、HCにより還元されるNOx量を考慮してアンモニア供給量を減少させた場合を示し、破線は、内燃機関1から排出されるNOx量に応じてアンモニア供給量を決定した場合を示している。すなわち、破線は、HCにより還元されるNOx量を考慮しないでアンモニア供給量を決定した場合である。T1の時点においてフィルタ再生処理が開始され、T2の時点においてSCRFの温度が、PMの酸化が促進される温度である所定のフィルタ再生温度に達している。ECU10は、フィルタ再生処理を実行しているときには、SCRF7の温度が所定のフィルタ再生温度を維持するように、燃料添加弁4からの燃料添加量を調整する。そして、T3の時点において、フィルタ再生処理が終了している。T2からT3の期間において、PMが酸化され除去される。
【0042】
T1からT3の期間において燃料添加弁4から多くの燃料が添加されているため、HC流入量が増加する。このときにSCRF7に流入するNOx量は、実線の場合と破線の場合とで同じである。なお、SCRF7から流出するNOx量が、実線の場合よりも破線の場合のほうが少ないのは、還元剤が過剰に存在するためにNOx浄化率が高くなっているためである。しかし、この状態では、アンモニア添加弁6からのアンモニア供給量及びSCRF7から流出するアンモニア量が多くなってしまい、アンモニアを無駄に供給してしまう。一方、実線の場合であれば、SCRF7からNOx及びアンモニアが流出することを抑制することができる。そして、破線の場合よりも実線の場合のほうが、アンモニア添加弁6からのアンモニア供給量が少なくなるので、アンモニアの消費量を低減することができる。
【0043】
また、SCRF7に流入するHC量は、前段触媒5の温度及び燃料添加弁4からの燃料添加量と関連しているため、これらの関係を予め実験またはシミュレーションにより求めてECU10に記憶しておく。そうすると、前段触媒5の温度及び燃料添加弁4からの燃料添加量に基づいて、SCRF7に流入するHC量を求めることができる。
【0044】
ここで、SCRF7に流入するHCの全てが、NOxを還元させるとは限らない。すなわち、HCによるNOx浄化率は、SCR触媒7aの種類や、排気中の水分量、SCR触媒7aの温度によって変わる。ここで、図3は、排気中に水分が含まれる場合(実線)と、排気中に水分が含まれない場合(破線)と、の夫々について、SCR触媒7aの温度と、HCによるNOx浄化率と、の関係を示した図である。この関係は、SCR触媒7aの種類によって変わる。
【0045】
このように、水分の有無及びSCR触媒7aの温度により、HCによるNOx浄化率が変わる。そこで、本実施例では、排気中の水分量及びSCR触媒7aの温度に応じて、HCにより還元されるNOx量を補正する。なお、排気中の水分量は、内燃機関1に供給される燃料量、内燃機関1の吸入空気量、EGRガス量等から求めることができる。このようにして、HCにより還元されるNOx量をより正確に求めることで、必要となるアンモニア量をより正確に求めることができる。
【0046】
図4は、フィルタ再生処理の実行時におけるアンモニア添加弁6からのアンモニア供給量Qredを決定するときのブロック図である。
【0047】
フィルタ再生処理の実行が要求されると、101において、PMの酸化が促進される温度である目標SCRF温度Ttrgが設定される。また、102において、現時点でのSCRF7の温度(SCRF温度Tscrf)が推定される。なお、目標SCRF温度Ttrgは、所定のフィルタ再生温度(例えば、600〜650℃)であり、予め設定しておく。また、SCRF温度Tscrfは、第二排気温度センサ14の検出値と、エアフローメータ11により検出される吸入空気量Gaと、に基づいて推定される。そして、103において、SCRF7の温度を、目標SCRF温度Ttrgまで上昇させるために必要となる燃料供給量Qaddが算出される。この燃料供給量Qaddは、現時点でのSCRF7の温度(SCRF温度Tscrf)と、目標SCRF温度Ttrgと、に基づいて算出される。SCRF温度Tscrfと、目標SCRF温度Ttrgとから、燃料供給量Qaddを算出するためのマップや式を予め求めてECU10に記憶させておいてもよい。
【0048】
そして、104において、燃料供給量Qadd及び前段触媒5の温度(前段触媒温度Tdoc)に基づいて、SCRF7に流入するHC量(HC流入量Qhc)を算出する。ここで、燃料添加により前段触媒5の温度が変化する。この前段触媒5の温度(前段触媒温度Tdoc)によりHC流入量Qhcが変化するため、HC流入量Qhcを算出するときに、前段触媒温度Tdocを考慮している。前段触媒温度Tdocは、第一排気温度センサ12の検出値と、エアフローメータ11により得られる吸入空気量Gaと、内燃機関1の気筒内へ供給される燃料量Gfと、燃料添加弁4からの燃料供給量Qaddと、に応じて変化する。そこで、105において、第一排気温度センサ12の検出値と、エアフローメータ11により得られる吸入空気量Gaと、内燃機関1の気筒内へ供給される燃料量Gfと、燃料添加弁4からの燃料供給量Qaddと、に基づいて、前段触媒温度Tdocが算出される。この前段触媒温度Tdocを算出するためのマップや式を予め求めてECU10に記憶させておいてもよい。また、燃料供給量Qaddと、前段触媒温度Tdocとから、HC流入量Qhcを算出するためのマップや式を予め求めてECU10に記憶させておいてもよい。
【0049】
そして、106において、SCRF7に流入するNOx量(NOx流入量Gnox)と、SCRF温度Tscrfと、前段触媒温度Tdocと、HC流入量Qhcと、排気中の水分量Qh2oとに基づいて、SCRF7においてHCにより還元されるNOx量(NOx還元量Rnox)が算出される。NOx流入量Gnoxは、107において、第一NOxセンサ13により得られるSCRF7に流入する排気中のNOx濃度と、エアフローメータ11により得られる吸入空気量Gaと、内燃機関1の気筒内に供給される燃料量Gfと、から算出される。ここで、NOx流入量Gnoxが多くなっても、HCによるNOx浄化率はほぼ変化しないため、NOx還元量Rnoxは増加する。すなわち、NOx流入量Gnoxに応じて、NOx還元量Rnoxが変わる。また、SCRF温度Tscrfに応じてHCによるNOx浄化率が変わる。すなわち、SCRF温度Tscrfに応じて、NOx還元量Rnoxが変わる。また、HC流入量Qhcが多いほど、NOx還元量Rnoxが多くなる。また、NOx還元量Rnoxは、排気中の水分量及び前段触媒温度Tdocにより変化するが、これについては後述する。NOx流入量Gnoxと、SCRF温度Tscrfと、前段触媒温度Tdocと、HC流入量Qhcと、排気中の水分量Qh2oと、NOx還元量Rnoxと、の関係は予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておく。
【0050】
また、108において、アンモニア添加弁6からのアンモニア供給量Qredが算出される。108において算出されるアンモニア供給量Qredは、HCによるNOxを考慮していないアンモニア供給量であり、補正前のアンモニア供給量である。フィルタ再生処理が実行されていない場合には、アンモニア添加弁6から供給するアンモニア量を、108において算出されるアンモニア供給量Qredとしてもよい。108では、NOx流入量Gnoxに基づいて、SCRF7に流入するNOxを全て還元させるアンモニア量をアンモニア供給量Qredとして算出する。なお、SCRF温度Tscrfに応じてNOx浄化率が変わるため、必要となるアンモニア量も変わる。したがって、SCRF温度Tscrfに応じてアンモニア供給量Qredを補正してもよい。これらの関係は、予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておく。
【0051】
そして、109において、アンモニア供給量Qredから、NOx還元量Rnoxに対応したアンモニア量を減算することで、アンモニア供給量Qredを補正する。そして、110において、最終的なアンモニア供給量Qredが決定され、これにしたがって、アンモニア添加弁6からアンモニアを供給する。
【0052】
なお、前段触媒5におけるNOx還元量Rnoxは、排気中の水分量Qh2o及び前段触媒温度Tdocにより変化するため、NOx還元量Rnoxを排気中の水分量Qh2o及び前段触媒温度Tdocに応じて補正してもよい。ここで、排気中の水分量Qh2oは、内燃機関1の気筒内での燃焼前に既に含まれている水分量Qh2oi、内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2oc、前段触媒5において発生する水分量Qheoeに基づいて算出される。
【0053】
なお、燃料の燃焼時には以下の反応が起こる。
+(m+n/4)O→mCO+(n/2)HO・・・(式1)
【0054】
内燃機関1の気筒内での燃焼前に既に含まれている水分量Qh2oiは、吸入空気量Ga、気筒内に供給される燃料量Gf、EGRガス量Gegr、燃料のHとCとの比Rhc等から算出することができる。吸入空気量Gaは、エアフローメータ11により検出される。燃料量Gf及びEGRガス量Gegrは、内燃機関1の運転状態及びECU10に記憶されているマップから求められる。燃料のHとCとの比Rhcは、上記式1のnをmで除算した値(n/m)であり、供給されると想定される燃料のHとCとの比を予めECU10に記憶させておく。
【0055】
例えば、図5は、Gegr/(Ga+Gf)と、内燃機関1の気筒内での燃焼前に既に含まれている水分量Qh2oiと、の関係を示した図である。横軸は、EGRガス量Gegrを、吸入空気量Gaと燃料量Gfとの合計値で除算した値である。EGRガス量Gegrが多くなるほど、内燃機関1の気筒内での燃焼前に既に含まれている水分量Qh2oiが多くなる。すなわち、吸入空気量Ga、気筒内に供給される燃料量Gf、EGRガス量Gegrに基づいて、図5に示した関係に基づいて、内燃機関1の気筒内での燃焼前に既に含まれている水分量Qh2oiを算出することもできる。内燃機関1の気筒内での燃焼前に既に含まれている水分量Qh2oiを求めるためのマップまたは式は、予め実験またはシミュレーションにより求めて、ECU10に記憶させておく。
【0056】
内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocは、吸入空気量Ga、気筒内に供給される燃料量Gf、燃料のHとCとの比Rhc等から算出することができる。
【0057】
例えば、図6は、空燃比(Ga/Gf)と、内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocとの関係を示した図である。燃料量Gfが多くなるほど、内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocが多くなる。また、図7は、燃料量Gfと、内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocとの関係を示した図である。燃料量Gfが多くなるほど、内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocが多くなる。このように、図6または図7に示した関係に基づいて、内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocを算出することもできる。内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2ocを求めるためのマップまたは式は、予め実験またはシミュレーションにより求めて、ECU10に記憶させておく。
【0058】
前段触媒5において発生する水分量Qheoeは、前段触媒温度Tdoc、燃料添加弁4からの燃料供給量Qadd、燃料のHとCとの比Rhc、排気の流量等から算出することができる。なお、排気の流量は、吸入空気量Ga、気筒内に供給される燃料量Gf、EGRガス量Gegrに基づいて算出される。
【0059】
例えば、図8は、燃料添加弁4からの燃料供給量Qaddと、前段触媒5において発生する水分量Qheoeとの関係を示した図である。燃料供給量Qaddが多くなるほど、前段触媒5において発生する水分量Qheoeが多くなる。また、図9は、前段触媒温度Tdocと、前段触媒5において発生する水分量Qheoeとの関係を示した図である。前段触媒温度Tdocが高いほど、前段触媒5において発生する水分量Qheoeが多くなる。このように、図8または図9に示した関係に基づいて、前段触媒5において発生する水分量Qheoeを算出することもできる。前段触媒5において発生する水分量Qheoeを求めるためのマップまたは式は、予め実験またはシミュレーションにより求めて、ECU10に記憶させておく。
【0060】
そして、内燃機関1の気筒内での燃焼前に既に含まれている水分量Qh2oi、内燃機関1の気筒内での燃焼により発生する水分量Qh2oc、前段触媒5において発生する水分量Qheoeを合算することで、排気中の水分量Qh2oを求めることができる。なお、必要に応じて水分量を体積濃度に変換して用いてもよい。
【0061】
ここで、本実施例に係るフィルタ再生処理のフローについて図10に基づいて説明する。図10は、本実施例に係るフィルタ再生処理のフローを示すフローチャートである。本フローは、ECU10に予め記憶されており、ECU10によって繰り返し実行される。なお、本実施例においては図10に示すフローを実行するECU10が、本発明における制御部に相当する。
【0062】
ステップS201では、フィルタ再生処理の実行が要求されているか否か判定される。例えば、前回のフィルタ再生処理の実行が終了してから所定時間が経過する毎にフィルタ再生処理の実行が要求される。また、内燃機関1を搭載した車両が所定の走行距離を走行する毎にフィルタ再生処理の実行を要求してもよい。また、SCRF7におけるPM堆積量が所定の堆積量に達する毎にフィルタ再生処理の実行を要求してもよい。ステップS201で肯定判定がなされた場合にはステップS202へ進み、一方、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。なお、ステップS201で否定判定がなされた場合には、フィルタ再生処理が実施されないため、内燃機関1から排出されるNOx量またはSCRF7に流入するNOx量に応じて、アンモニア添加弁6から供給するアンモニア量を決定する。
【0063】
ステップS202では、SCRF温度Tscrf及び目標SCRF温度Ttrgに基づいて、燃料添加弁4からの燃料供給量Qaddが算出される。この燃料供給量Qaddは、SCRF7の温度をPMの酸化が促進される所定のフィルタ再生温度まで上昇させるために必要となる燃料量である。
【0064】
ステップS203では、前段触媒温度Tdoc及び燃料供給量Qaddに基づいて、SCRF7へ流入するHC量(HC流入量Qhc)が算出される。
【0065】
ステップS204では、燃料量Gf、吸入空気量Ga、EGRガス量Gegr等に基づいて、排気中の水分量Qh2oが算出される。
【0066】
ステップS205では、SCRF7へ流入する排気中のNOx濃度、吸入空気量Ga、燃料量Gfに基づいて、SCRF7へ流入するNOx量(NOx流入量Gnox)が算出される。
【0067】
ステップS206では、NOx流入量Gnox、SCRF温度Tscrf、前段触媒温度Tdoc、HC流入量Qhc、排気中の水分量Qh2oに基づいて、NOx還元量Rnoxが算出される。
【0068】
ステップS207では、NOx流入量Gnox、SCRF温度Tscrfに基づいて、アンモニア添加弁6から添加するアンモニア量(アンモニア供給量Qred)が算出される。なお、SCRF温度Tscrfに応じてNOxの浄化率が変わるため、必要となるアンモニア量も変わる。したがって、NOx流入量Gnoxだけではなく、SCRF温度Tscrfを考慮してアンモニア供給量Qredが求められる。これらの関係は、予め実験またはシミュレーション等により求めてECU10に記憶させておく。
【0069】
ステップS208では、HCによるNOx還元量Rnoxに基づいて、アンモニア供給量Qredが補正される。すなわち、HCにより還元されたNOxの分だけアンモニアが不要となるため、HCによるNOx還元量Rnoxに応じたアンモニア量が、アンモニア供給量Qredから減算される。
【0070】
なお、図10に示したフローでは、HCによるNOx還元量Rnoxに応じたアンモニア量を、アンモニア供給量Qredから減算することでアンモニア供給量Qredを補正しているが、これに代えて、NOx流入量GnoxからHCによるNOx還元量Rnoxを減算して求まるNOx量に対応したアンモニア量をアンモニア供給量Qredとして算出してもよい。
【0071】
以上説明したように本実施例によれば、フィルタ再生処理を実行しているときには、HCにより還元されるNOxの分だけ、アンモニア添加弁6から供給するアンモニア量を減少させるため、アンモニアを無駄に消費することを抑制できる。また、SCRF7よりも下流にアンモニアが流出することを抑制できる。また、SCRF7の温度または排気中の水分量を考慮してアンモニア供給量を決定することで、SCRF7よりも下流にアンモニアが流出することをより抑制できる。
【符号の説明】
【0072】
1 内燃機関
2 吸気通路
3 排気通路
4 燃料添加弁
5 前段触媒
6 アンモニア添加弁
7 SCRF
7a 選択還元型NOx触媒(SCR触媒)
8 後段触媒
9 スロットル弁
10 ECU
11 エアフローメータ
12 第一排気温度センサ
13 第一NOxセンサ
14 第二排気温度センサ
15 第二NOxセンサ
16 EGR通路
17 EGR弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】