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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年6月26日
【発行日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20161216BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   F01N3/08 GZAB
   B01D53/94 222
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2014-552787(P2014-552787)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年12月18日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100143797
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 文徳
(74)【代理人】
【識別番号】100176201
【弁理士】
【氏名又は名称】小久保 篤史
(72)【発明者】
【氏名】浅浦 慎也
【住所又は居所】日本国愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3G091
4D048
4D148
【Fターム(参考)】
3G091AA10
3G091AA12
3G091AA17
3G091AA18
3G091AB02
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3G091AB05
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3G091EA33
3G091HA09
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(57)【要約】
本発明は、内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、選択還元型触媒へ還元剤を供給する供給装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、還元剤の供給量を適量にすることを課題とする。この課題を解決するために、本発明は、内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、選択還元型触媒へ還元剤を供給する供給装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、単位時間あたりに選択還元型触媒へ流入する排気の流量と選択還元型触媒から流出する排気に含まれる還元剤の濃度との乗算値が余剰の還元剤量に相関する特性に基づいて、供給装置から供給される還元剤の量を調整するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、
選択還元型触媒へ還元剤又は還元剤の前駆体である還元剤を供給する供給装置と、
前記選択還元型触媒へ単位時間あたりに流入する排気の流量を取得する取得手段と、
前記選択還元型触媒から流出する排気に含まれる還元剤の濃度を測定する測定手段と、
前記取得手段により取得された排気流量と、前記測定手段により測定された還元剤濃度と、前記選択還元型触媒においてNOの浄化に消費されない還元剤の量である余剰還元剤量が前記排気流量と前記還元剤濃度との乗算値に相関する関係と、に基づいて余剰還元剤量を演算し、算出された余剰還元剤量をパラメータとして還元剤の供給量を調整する制御手段と、
を備える内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
請求項1において、前記制御手段は、余剰還元剤量が目標余剰還元剤量と等しくなるように還元剤の供給量を調整する内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
請求項1において、前記選択還元型触媒の温度に相関する温度を検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された温度が高いときは低いときに比べ、余剰還元剤量が多くなるとともに前記選択還元型触媒に吸着されている還元剤の量である還元剤吸着量が少なくなる特性に基づいて還元剤吸着量を演算し、算出された還元剤吸着量が目標還元剤吸着量と等しくなるように還元剤の供給量を調整する内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒へ還元剤を供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気浄化装置として、選択還元型触媒(SCR:Selective Catalytic Reduction)と、該選択還元型触媒へ還元剤を供給する供給装置と、を備えたものが知られている。このような排気浄化装置において、内燃機関から排出されるNOの量と選択還元型触媒におけるNO浄化率とに基づいて、選択還元型触媒における還元剤の消費量(NOの浄化に寄与する還元剤の量)を算出する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、特許文献1には、還元剤の消費量に基づいて選択還元型触媒に吸着されている還元剤の量を演算し、還元剤の吸着量に応じて還元剤の供給量を調整する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−293737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、選択還元型触媒に吸着されている還元剤の量は、選択還元型触媒の温度や選択還元型触媒を通過する排気の流量によって変化する場合がある。そのため、上記した従来の技術によると、選択還元型触媒へ供給される還元剤の量が不適当な量になる可能性があった。
【0005】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、選択還元型触媒へ還元剤を供給する供給装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、還元剤の供給量を適量にすることができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するために、内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、選択還元型触媒へ還元剤を供給する供給装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、単位時間あたりに選択還元型触媒へ流入する排気の流量と選択還元型触媒から流出する排気に含まれる還元剤の濃度との乗算値が余剰の還元剤量に相関する特性に基づいて、供給装置から供給される還元剤の量を調整するようにした。
【0007】
詳細には、本発明に係わる内燃機関の排気浄化装置は、
内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、
選択還元型触媒へ還元剤を供給する供給装置と、
前記選択還元型触媒へ単位時間あたりに流入する排気の流量を取得する取得手段と、
前記選択還元型触媒から流出する排気に含まれる還元剤の濃度を測定する測定手段と、
前記取得手段により取得された排気流量と、前記測定手段により測定された濃度と、前記選択還元型触媒においてNOの浄化に消費されない還元剤の量である余剰還元剤量が前記排気流量と前記濃度の乗算値に相関する特性と、に基づいて余剰還元剤量を演算し、算出された余剰還元剤量をパラメータとして前記供給装置から供給される還元剤の量を制御する制御手段と、
を備えるようにした。
【0008】
ここでいう「供給装置」は、還元剤を供給するものであってもよく、排気中又は選択還元型触媒において還元剤に変化する物質(還元剤の前駆体)を供給するものであってもよい。
【0009】
供給装置から供給された還元剤は、選択還元型触媒に吸着される。選択還元型触媒に吸着された還元剤の一部は、排気中に含まれるNOを窒素や水等に還元するための還元剤として消費される。NOの還元に消費されない余剰の還元剤は、選択還元型触媒から脱着したり、又は選択還元型触媒に残存したりする。
【0010】
ただし、供給装置が還元剤を供給し続けた場合は、単位時間あたりにNOの浄化に消費される還元剤の量(還元剤消費量)が徐々に増加する。また、余剰還元剤量が徐々に減少するとともに、単位時間あたりに選択還元型触媒から脱着する還元剤の量(還元剤脱着量)が徐々に増加する。そして、還元剤の供給量の積算値が所定量以上になると、余剰還元剤量と還元剤脱着量とが平衡状態になる。このような平衡状態が成立しているときは、選択還元型触媒に吸着されている還元剤の量が略一定量(平衡吸着量)に維持される。
【0011】
よって、選択還元型触媒に吸着されている還元剤の量(還元剤吸着量)が平衡吸着量と等しくなるように、還元剤の供給量が調整されると、選択還元型触媒から脱着する還元剤の量を少なく抑えつつ、選択還元型触媒のNO浄化率を高めることが可能となる。
【0012】
ところで、余剰還元剤量は、排気が選択還元型触媒を通過するときの空間速度(SV: Space Velocity)によって変化する。例えば、空間速度が高いときは低いときに比べ、余剰還元剤量が多くなる。余剰還元剤量が多い場合は少ない場合に比べ、還元剤消費量が少なくなるとともに、選択還元型触媒から脱着する還元剤の量が多くなる。したがって、還元剤の供給量は、排気が選択還元型触媒を通過するときの空間速度に応じて補正されることが望ましい。
【0013】
このような要求に対し、本願発明者が鋭意の実験及び検証を行った結果、余剰還元剤量は、排気が選択還元型触媒を通過するときの空間速度と選択還元型触媒から流出した排気に含まれる還元剤の濃度との乗算値に相関するという知見を得た。なお、排気が選択還元型触媒を通過するときの空間速度は、単位時間あたりに選択還元型触媒へ流入する排気の流量(排気流量)に置き換えることもできる。
【0014】
よって、本発明の内燃機関の排気浄化装置は、取得手段により取得された排気流量と測定手段により測定された還元剤濃度との乗算値(余剰還元剤量)をパラメータとして還元剤の供給量を調整することにより、余剰還元剤量が過剰に多くなったり、又は過剰に少なくなったりする事態を回避するようにした。
【0015】
ここで、供給装置から供給される還元剤の量は、余剰還元剤量が目標余剰量と等しくなるように制御されてもよく、又は還元剤吸着量が目標吸着量と等しくなるように制御されてもよい。
【0016】
余剰還元剤は選択還元型触媒から脱着するため、余剰還元剤量が目標余剰量と等しくなるように還元剤の供給量が調整された場合は、選択還元型触媒から排出される還元剤の量を少なく抑えることが可能になる。
【0017】
一方、選択還元型触媒のNO浄化率は還元剤吸着量によって変化するため、還元剤吸着量が目標吸着量と等しくなるように還元剤の供給量が制御された場合は、選択還元型触媒のNO浄化率を所望のNO浄化率に近似させることが可能になる。
【0018】
なお、還元剤吸着量が目標吸着量と等しくなるように還元剤の供給量を調整する場合は、選択還元型触媒が実際に吸着している還元剤の量を特定する必要がある。ここで、選択還元型触媒は、該選択還元型触媒の温度が高いときは低いときに比べ、余剰還元剤量が多くなるとともに還元剤吸着量が少なくなる特性を有する。よって、選択還元型触媒の温度と余剰還元剤量から還元剤吸着量を求めることができる。例えば、選択還元型触媒の温度に基づく係数をKdとした場合に、以下の式(1)が成立する。
還元剤吸着量=(余剰還元剤量)/Kd・・・(1)
【0019】
前記係数Kdは、選択還元型触媒の仕様によって変化する値であるが、選択還元型触媒の仕様に適した値を予め実験的に求めておくことが可能である。よって、前記相関関係に基づいて算出された余剰還元剤量を前記式(1)に代入することにより、還元剤吸着量を算出することができる。
【0020】
上記した方法により算出された還元剤吸着量が目標吸着量と等しくなるように、還元剤の供給量が調整されると、選択還元型触媒のNO浄化率を目標NO浄化率に近似させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、選択還元型触媒へ還元剤を供給する供給装置と、を備えた内燃機関の排気浄化装置において、還元剤の供給量を適量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明を適用する内燃機関の吸排気系の概略構成を示す図である。
図2】アンモニア流入量とアンモニア消費量と余剰アンモニア量とアンモニア脱着量とアンモニア吸着量との経時変化を示す図である。
図3】排気流量が変化した場合の余剰アンモニア量とアンモニア消費量の割合を示す図である。
図4】排気流量の変化に応じてアンモニアの添加量を補正した場合の余剰アンモニア量とアンモニア消費量の割合を示す図である。
図5】第1の実施例において、添加弁からアンモニアを添加する際にECUが実行する処理ルーチンを示すフローチャートである。
図6】第2の実施例において、添加弁からアンモニアを添加する際にECUが実行する処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
<実施例1>
先ず、本発明の第1の実施例について図1乃至図5に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される内燃機関の吸排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、圧縮着火式の内燃機関(ディーゼルエンジン)であるが、希薄燃焼運転される火花点火式の内燃機関(ガソリンエンジン)であってもよい。
【0025】
内燃機関1には、吸気通路2及び排気通路3が接続されている。吸気通路2と排気通路3には、遠心過給機(ターボチャージャ)4のコンプレッサ4aとタービン4bがそれぞれ配置されている。
【0026】
ターボチャージャ4のコンプレッサ4aより上流側の吸気通路2には、エアフローメータ5及びスロットル弁6が設けられている。エアフローメータ5は、吸気通路2を流通する新気(空気)の量(質量)を検出するセンサである。スロットル弁6は、吸気通路2を流通する空気の量(吸入空気量)を調整する弁機構である。
【0027】
ターボチャージャ4のタービン4bより下流側の排気通路3には、排気の流れ方向の上流側から順に、酸化触媒7、フィルタ8、添加弁11、選択還元型触媒9(以下、SCR触媒9と称する。)、及びアンモニアスリップ触媒10が設けられている。
【0028】
フィルタ8は、排気中の粒子状物質(PM)を捕集する。酸化触媒7は、排気中に含まれる炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等を酸化する。なお、酸化触媒7は、フィルタ8に担持されてもよい。また、酸化触媒7は、酸化機能のみを有するものに限られず、例えば、三元触媒であってもよい。
【0029】
SCR触媒9は、アンモニア(NH)を還元剤として排気中のNOを還元する触媒である。添加弁11は、SCR触媒9に還元剤たるアンモニアを供給するために、排気中にアンモニアを添加する。なお、添加弁11は、最終的にアンモニアに変化する物質(アンモニアの前駆体)を添加するものであってもよい。例えば、添加弁11は、尿素水を添加するものであってもよい。この場合、添加弁11から尿素水として添加された尿素は排気の熱で加水分解されアンモニアとなる。
【0030】
本実施例においては、添加弁11が本発明に係る供給装置に相当する。ただし、本発明に係る供給装置から供給される物質はアンモニア(又はアンモニアの前駆体)に限られるものではなく、SCR触媒においてNOを還元させるための還元剤として機能する物質であればよい。また、本発明に係る供給装置から供給される還元剤は固体、液体、気体の何れの状態のものであってもよい。
【0031】
アンモニアスリップ触媒10は酸化機能を有している。このアンモニアスリップ触媒10において、SCR触媒9から流出したアンモニアがNに酸化される。これにより、車両の外部へのアンモニアの流出が抑制される。
【0032】
フィルタ8と添加弁11の間の排気通路3には、NOセンサ12が設けられている。SCR触媒9とアンモニアスリップ触媒10の間の排気通路3には、排気温度センサ13とNHセンサ14が設けられている。NOセンサ12は、SCR触媒9へ流入する排気に含まれるNOの濃度を測定するセンサである。排気温度センサ13は、SCR触媒9から流出する排気の温度を測定するセンサである。NHセンサ14は、SCR触媒9から流出する排気に含まれるアンモニアの濃度を測定するセンサであり、本発明に係わる測定手段に相当する。
【0033】
内燃機関1には、電子制御ユニット(ECU)20が併設されている。ECU20は内燃機関1の運転状態等を制御するユニットである。ECU20には、前記したエアフローメータ5、NOセンサ12、排気温度センサ13、NHセンサ14に加え、クランクポジションセンサ21及びアクセル開度センサ22が電気的に接続されている。クランクポジションセンサ21は、内燃機関1のクランク角度を検出する。アクセル開度センサ22は、内燃機関1を搭載した車両のアクセル開度を検出する。上記した各種センサの出力信号は、ECU20に入力される。
【0034】
また、ECU20は、スロットル弁6や添加弁11等の各種機器と電気的に接続され、前記した各種センサの出力信号に基づいて各種機器を制御する。例えば、ECU20は、SCR触媒9に供給されるアンモニアの量が適量となるように、添加弁11を制御する。以下では、本実施例における添加弁11の制御方法について述べる。
【0035】
添加弁11からSCR触媒9へ供給されたアンモニアは、SCR触媒9に吸着される。SCR触媒9に吸着されたアンモニアの一部は、排気中のNOを窒素(N)や水(HO)に還元するための還元剤として消費される。また、還元剤として消費されない余剰のアンモニアは、SCR触媒9に残存する。SCR触媒9に残存したアンモニアのうちの一部は、NOの還元に消費されずにSCR触媒9から脱着する。この脱着したアンモニアは、アンモニアのまま、又は、酸化されてNOとなって、又は、NOから還元されてNとなってSCR触媒9から流出する。
【0036】
図2は、添加弁11が一定量のアンモニアを供給し続けた場合において、単位時間あたりにSCR触媒9へ流入するアンモニア量(アンモニア流入量)と、SCR触媒9において単位時間あたりに還元剤として消費されるアンモニア量(アンモニア消費量)と、SCR触媒9において還元剤として消費されずに残存するアンモニアの単位時間あたりの量(余剰アンモニア量)と、単位時間あたりにSCR触媒9から脱着するアンモニアの量(アンモニア脱着量)と、SCR触媒9に吸着されているアンモニアの量(アンモニア吸着量)と、の経時変化を示す図である。
【0037】
図2に示すように、SCR触媒9におけるアンモニア吸着量が略零の状態から一定量のアンモニアが供給され続けると、アンモニア消費量、アンモニア脱着量、及びアンモニア吸着量が徐々に増加する。一方、余剰アンモニア量は、時間の経過とともに徐々に減少する。アンモニアの供給量の積算値が所定量以上になると(図2中のt)、余剰アンモニア量とアンモニア脱着量が略等しくなる(平衡状態)。余剰アンモニア量とアンモニア脱着量が平衡状態あるときは、アンモニア消費量が略一定量(単位時間あたりに還元されるNOの量が略一定量)になるとともに、SCR触媒9に吸着されているアンモニアの量(アンモニア吸着量)も略一定量になる。以下では、余剰アンモニア量とアンモニア脱着量が平衡状態にあるときのアンモニア吸着量を平衡吸着量と称する。
【0038】
単位時間あたりに添加弁11から供給されるアンモニアの量(アンモニア供給量)は、余剰アンモニア量とアンモニア脱着量が平衡状態になるように調整される。言い換えると、アンモニア吸着量が平衡吸着量を維持するように、アンモニア供給量が調整される。例えば、アンモニア吸着量が目標吸着量(平衡吸着量)に達しているときは、アンモニア供給量は、アンモニア消費量とアンモニア脱着量の総和に等しくされる。このようにアンモニア供給量が制御されると、SCR触媒9から流出するアンモニアの量を少なく抑えつつ、NO浄化率を高めることができる。
【0039】
ところで、余剰アンモニア量やアンモニア脱着量は、排気がSCR触媒9を通過する際の空間速度(SV:Space Velocity)に応じて変化する。言い換えると、余剰アンモニア量やアンモニア脱着量は、単位時間あたりにSCR触媒へ流入する排気の量(排気流量)に応じて変化する。例えば、図3に示すように、排気流量が多いときは少ないときに比べ、余剰アンモニア量が多くなるとともに、アンモニア消費量が減少する。その結果、SCR触媒9から流出するアンモニアの量が過剰に多くなる可能性がある。
【0040】
そこで、本実施例では、余剰アンモニア量が目標余剰量と等しくなるように、添加量を調整するようにした。ここで、本願発明者が鋭意の実験及び検証を行った結果、余剰アンモニア量は、単位時間あたりにSCR触媒9へ流入する排気の量(排気流量)とSCR触媒9から流出する排気に含まれるアンモニアの濃度との乗算値に相関するという知見を得た。
【0041】
すなわち、余剰アンモニア量をNHmass、排気流量をFlw、アンモニア濃度をCnh3とした場合に、以下の式(2)が成立する。
NHmass=Flw*Cnh3・・・(2)
【0042】
ここで、排気流量Flwは、SCR触媒9より上流の排気通路3において2次エア等が供給されない限り、内燃機関1の吸入空気量と同等になる。よって、排気流量Flwとしては、エアフローメータ5の出力信号を用いることができる。アンモニア濃度Cnh3としては、NHセンサ14の出力信号を用いることができる。
【0043】
ECU20は、エアフローメータ5の出力信号とNHセンサ14の出力信号を前記式(2)に代入することにより、余剰アンモニア量NHmassを算出する。そして、ECU20は、余剰アンモニア量NHmassが目標余剰量と等しいか否かを判別する。余剰アンモニア量NHmassと目標余剰量が相異する場合は、それらの差をパラメータとしてアンモニアの目標添加量を調整(補正)する。例えば、前述した図3に示した例のように、余剰アンモニア量NHmassが目標余剰量より多い場合は、ECU20は、アンモニアの目標添加量から、余剰アンモニア量NHmassと目標余剰量の差分(余剰アンモニア量NHmassから目標余剰量を差し引いた値)を減算する。このような方法によってアンモニア添加量が調整されると、図4に示すように、排気流量が増加した場合であっても、余剰アンモニア量を目標余剰量にすることができる。
【0044】
以下、本実施例におけるアンモニア添加量の制御手順について図5に沿って説明する。図5は、ECU20が添加弁11からアンモニアを添加させるときに実行する処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは、予めECU20のROMに記憶されており、ECU20によって周期的に実行される。
【0045】
図5の処理ルーチンでは、ECU20は、先ずS101の処理において、排気温度センサ13の出力信号(排気温度)を読み込む。
【0046】
S102の処理では、ECU20は、S101の処理で読み込まれた排気温度がNHセンサ14の活性温度範囲にあるか否かを判別する。S102の処理において否定判定された場合は、ECU20は、S101へ戻る。S102の処理において肯定判定された場合は、ECU20は、S103の処理へ進む。
【0047】
S103の処理では、ECU20は、添加弁11からアンモニアを添加可能な状態にあるか否かを判別する。すなわち、S101の処理で読み込まれた排気温度がSCR触媒9の活性温度範囲にあるか否かを判別する。S103の処理において否定判定された場合は、ECU20は、S101の処理へ戻る。S103の処理において肯定判定された場合は、ECU20は、S104の処理へ進み、目標添加量のアンモニアを添加するように添加弁11を制御する。
【0048】
S105の処理では、ECU20は、NHセンサ14の出力信号(アンモニア濃度Cnh3)を読み込む。
【0049】
S106の処理では、ECU20は、エアフローメータ5の出力信号(排気流量Flw)を読み込む。ECU20がS106の処理を実行することにより、本発明に係わる取得手段が実現される。
【0050】
S107の処理では、ECU20は、S105の処理で読み込まれたアンモニア濃度Cnh3とS106の処理で読み込まれた排気流量Flwを前記式(2)に代入することにより、余剰アンモニア量NHmassを算出する。
【0051】
S108の処理では、ECU20は、S107の処理で算出された余剰アンモニア量NHmassが目標余剰量と等しいか否かを判別する。なお、S108の処理では、ECU20は、余剰アンモニア量NHmassと目標余剰量との差が予め定められた許容値以下であるときは、余剰アンモニア量NHmassと目標余剰量が等しいと判定してもよい。
【0052】
S108の処理において肯定判定された場合は、ECU20は、本ルーチンの実行をいったん終了する。S108の処理において否定判定された場合は、ECU20は、S109の処理へ進み、アンモニア添加量を補正する。詳細には、余剰アンモニア量NHmassが目標余剰量より多い場合は、ECU20は、余剰アンモニア量NHmassと目標余剰量の差分(余剰アンモニア量NHmassから目標余剰量を差し引いた量)を目標添加量から減算する。一方、余剰アンモニア量NHmassが目標余剰量より少ない場合は、ECU20は、余剰アンモニア量NHmassと目標余剰量の差分(目標余剰量から余剰アンモニア量NHmassを差し引いた量)を目標添加量に加算する。このような方法により目標添加量が補正されると、排気流量Flwが変化した場合に、余剰アンモニア量NHmassを目標余剰量と同等にすることができる。その結果、SCR触媒9から流出するアンモニアの量が過剰に多くなる事態を回避することができる。
【0053】
なお、ECU20がS107及びS108の処理を実行することにより、本発明に係わる制御手段が実現される。
【0054】
以上述べた実施例によれば、排気流量Flwが変化した場合であっても、余剰アンモニア量NHmassが目標余剰量と等しくなるように、アンモニア添加量を調整することが可能になる。その結果、SCR触媒9から流出するアンモニアの量が過剰に多くなる事態を回避することができる。
【0055】
<実施例2>
次に、本発明の第2の実施例について図6に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施例と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0056】
前述した第1の実施例では、余剰アンモニア量が目標余剰量と等しくなるようにアンモニアの添加量を調整する例について述べたが、本実施例では、SCR触媒9のアンモニア吸着量が目標吸着量と等しくなるようにアンモニアの添加量を調整する例について述べる。
【0057】
余剰アンモニア量は、排気流量が少ないときに比して多いときに多くなる傾向がある。アンモニア吸着量は、余剰アンモニア量と同様に、排気流量が少ないときに比して多いときに多くなる傾向がある。つまり、排気流量については、余剰アンモニア量とアンモニア吸着量が同様の傾向(比例関係)を示す。
【0058】
しかしながら、SCR触媒9の温度(床温)については、余剰アンモニア量とアンモニア吸着量が異なる傾向を示す。すなわち、SCR触媒9の温度が高いときは低いときに比べ、余剰アンモニア量が多くなるが、アンモニア吸着量が少なく傾向がある。これらの傾向を鑑みると、以下の式(3)が成立する。なお、式(3)中のΣNHは、アンモニア吸着量を示し、KdはSCR触媒9の温度に応じた係数を示す。
ΣNH=NHmass/Kd・・・(3)
【0059】
ここで、前記係数Kdは、SCR触媒9の温度が高くなるほど、アンモニア吸着量ΣNHが少なくなるように定められた値である。詳細には、前記係数Kdは、SCR触媒9の温度が高くなるほど大きな値になる係数である。このような係数Kdは、SCR触媒9の仕様によって変化するが、内燃機関1の排気通路3に配置されるSCR触媒9の仕様に適した係数Kdを予め実験等を利用した適合処理によって求めておくことが可能である。よって、本実施例においては、SCR触媒9の温度と係数Kdとの関係を規定したマップ(以下、「係数マップ」と称する)を予め求めておくとともに、係数マップをECU20のROMに記憶させておくものとする。なお、SCR触媒9の温度は該SCR触媒9から流出する排気の温度に相関するため、排気温度センサ13の出力信号をSCR触媒9の温度として用いてもよい。また、SCR触媒9の温度は、内燃機関1の運転状態(吸入空気量、燃料噴射量、機関回転数等)から演算されてもよい。
【0060】
このような方法によれば、実際のアンモニア吸着量ΣNHを求めることができる。そして、ECU20は、実際のアンモニア吸着量ΣNHと目標吸着量とを比較し、それらの差分に応じてアンモニアの添加量を補正すればよい。詳細には、実際のアンモニア吸着量ΣNHが目標吸着量より多い場合は、ECU20は、アンモニア吸着量ΣNHと目標吸着量の差分(アンモニア吸着量ΣNHから目標吸着量を差し引いた値)を目標添加量から減算すればよい。また、実際のアンモニア吸着量ΣNHが目標吸着量より少ない場合は、ECU20は、アンモニア吸着量ΣNHと目標吸着量の差分(目標吸着量からアンモニア吸着量ΣNHを差し引いた値)を目標添加量に加算すればよい。
【0061】
上記した方法によってアンモニアの添加量が調整(補正)されると、排気流量やSCR触媒9の温度が変化した場合であっても、実際のアンモニア吸着量ΣNHを目標吸着量(例えば、平衡吸着量)に近似させることができる。その結果、SCR触媒9のNO浄化率を所望のNO浄化率に近似させることも可能になる。
【0062】
以下、本実施例におけるアンモニア添加量の制御手順について図6に沿って説明する。図6は、ECU20が添加弁11からアンモニアを添加させるときに実行する処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは、予めECU20のROMに記憶されており、ECU20によって周期的に実行される。なお、図6中において、前述した図5の処理ルーチンと同様の処理については同等の符号が付されている。
【0063】
図6の処理ルーチンでは、ECU20は、S107の処理を実行した後に、S201の処理を実行する。S201の処理では、ECU20は、S101の処理で読み込まれた排気温度(SCR触媒9の温度)と前記係数マップに基づいて、SCR触媒9の温度に適した係数Kdを求める。ECU20は、S107の処理で算出された余剰アンモニア量NHmassと前記係数Kdを前記式(3)に代入することにより、実際のアンモニア吸着量ΣNHを演算する。
【0064】
ECU20は、S201の処理を実行した後にS202の処理へ進み、S201の処理で算出されたアンモニア吸着量ΣNHが目標吸着量と等しいか否かを判別する。その際、ECU20は、アンモニア吸着量ΣNHと目標吸着量との差が許容値以下であることを条件として、アンモニア吸着量ΣNHと目標吸着量が等しいと判定してもよい。
【0065】
S202の処理において肯定判定された場合は、ECU20は、本ルーチンの実行をいったん終了する。一方、S202の処理において否定判定された場合は、ECU20は、S203の処理へ進み、アンモニアの添加量(目標添加量)を補正する。例えば、アンモニア吸着量ΣNHが目標吸着量より多い場合は、ECU20は、アンモニア吸着量ΣNHと目標吸着量の差(アンモニア吸着量ΣNHから目標吸着量を差し引いた値)を目標添加量から減算する。一方、アンモニア吸着量ΣNHが目標吸着量より少ない場合は、ECU20は、アンモニア吸着量ΣNHと目標吸着量の差(目標吸着量からアンモニア吸着量ΣNHを差し引いた値)を目標添加量に加算する。
【0066】
以上述べた実施例によれば、排気流量FlwやSCR触媒9の温度が変化した場合であっても、アンモニア吸着量ΣNHを目標吸着量に近似させることができる。その結果、SCR触媒9のNO浄化率を所望のNO浄化率に近似させることができる。
【0067】
なお、前述した第1の実施例と第2の実施例は、適当に組み合わせることができる。例えば、内燃機関1から排出されるNOの量が多くなり易い高負荷運転時はアンモニア吸着量ΣNHが目標吸着量と等しくなるようにアンモニアの添加量が補正され、内燃機関1を搭載した車両の走行速度が小さいときや該車両の停車時は余剰アンモニア量NHmassが目標余剰量と等しくなるようにアンモニアの添加量が補正されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 内燃機関
2 吸気通路
3 排気通路
4 ターボチャージャ
5 エアフローメータ
6 スロットル弁
7 酸化触媒
8 フィルタ
9 SCR触媒
10 アンモニアスリップ触媒
11 添加弁
12 NOセンサ
13 排気温度センサ
14 NHセンサ
20 ECU
21 クランクポジションセンサ
22 アクセル開度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6

【手続補正書】
【提出日】2015年7月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、
前記選択還元型触媒へ還元剤又は還元剤の前駆体である還元剤を供給する供給装置と、
前記選択還元型触媒へ単位時間あたりに流入する排気の流量を取得する取得手段と、
前記選択還元型触媒から流出する排気に含まれる還元剤の濃度を測定する測定手段と、
前記取得手段により取得された排気流量と、前記測定手段により測定された還元剤濃度と、前記選択還元型触媒においてNOの浄化に消費されない還元剤の量である余剰還元剤量が前記排気流量と前記還元剤濃度との乗算値に相関する関係と、に基づいて余剰還元剤量を演算し、算出された余剰還元剤量をパラメータとして還元剤の供給量を調整する制御手段と、
前記選択還元型触媒の温度に相関する温度を検出する検出手段と、
を備え
前記制御手段は、前記検出手段により検出された温度が高いときは低いときに比べ、余剰還元剤量が多くなるとともに前記選択還元型触媒に吸着されている還元剤の量である還元剤吸着量が少なくなる特性に基づいて還元剤吸着量を演算し、算出された還元剤吸着量が目標還元剤吸着量と等しくなるように還元剤の供給量を調整する内燃機関の排気浄化装置。
【国際調査報告】