特表-14097460IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年6月26日
【発行日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20161216BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20161216BHJP
   F02D 21/08 20060101ALI20161216BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20161216BHJP
   F16H 61/14 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
   F01N3/08 A
   F01N3/36 R
   F02D21/08 301Z
   F02D29/00 G
   F02D21/08 301C
   F16H61/14 602P
   F16H61/14 602H
   F01N3/08 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
【出願番号】特願2014-552845(P2014-552845)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年12月20日
(11)【特許番号】特許第5949945号(P5949945)
(45)【特許公報発行日】2016年7月13日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 雄介
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3G091
3G092
3G093
3J053
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA10
3G091AA11
3G091AA12
3G091AA18
3G091AB06
3G091AB13
3G091CA18
3G091CB09
3G091DA08
3G091EA01
3G091EA07
3G091GB01W
3G091GB02W
3G091GB03W
3G091GB04W
3G091GB05W
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091GB17X
3G091HA15
3G091HB05
3G092AA01
3G092AA02
3G092AA18
3G092AB02
3G092AB03
3G092DC10
3G092EA14
3G092FA05
3G092HD07Z
3G092HF15Z
3G093AA01
3G093AA05
3G093AB01
3G093BA03
3J053CA05
3J053CB03
3J053CB08
3J053CB09
3J053CB11
3J053CB14
3J053CB26
3J053DA04
3J053DA06
3J053DA17
3J053DA24
3J053EA05
3J053FB01
(57)【要約】
内燃機関において、機関排気通路内に排気浄化触媒(13)と炭化水素供給弁(15)が配置されており、排気浄化触媒(13)下流の排気ガスを再循環させる低圧排気ガス再循環装置(LPL)を具備している。トルクコンバータ(27)のロックアップクラッチ(66)の係合作用を行うべきときに、低圧排気ガス再循環装置(LPL)による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁(15)から予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、ロックアップクラッチ(66)の非摺動係合が禁止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関排気通路内に排気浄化触媒を配置すると共に排気浄化触媒上流の機関排気通路内に炭化水素供給弁を配置し、該排気浄化触媒の排気ガス流通表面上には貴金属触媒が担持されていると共に該貴金属触媒周りには塩基性の排気ガス流通表面部分が形成されており、該排気浄化触媒は、排気浄化触媒に流入する炭化水素の濃度を予め定められた範囲内の振幅および予め定められた範囲内の周期でもって振動させると排気ガス中に含まれるNOを還元する性質を有すると共に、該炭化水素濃度の振動周期を該予め定められた範囲よりも長くすると排気ガス中に含まれるNOの吸蔵量が増大する性質を有しており、機関運転時に炭化水素供給弁から該予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されると排気ガス中に含まれるNOxが排気浄化触媒において浄化される内燃機関において、排気浄化触媒下流の機関排気通路内の排気ガスを吸気通路内に再循環させる低圧排気ガス再循環装置を具備しており、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータが機関の出力軸と変速機との間に配置されており、ロックアップクラッチの係合作用が行われていないときには機関の出力軸が変速機の入力軸に流体的に連結され、ロックアップクラッチの係合作用が行われると機関の出力軸が変速機の入力軸に機械的に連結され、ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、常に又は機関出力のトルク変動の大きさに応じてロックアップクラッチの非摺動係合が禁止される内燃機関。
【請求項2】
ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、ロックアップクラッチの非摺動係合に加えてロックアップクラッチの摺動係合も禁止される請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、ロックアップクラッチの摺動係合が行われる請求項1に記載の内燃機関。
【請求項4】
ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチの非摺動係合が禁止される請求項1に記載の内燃機関。
【請求項5】
ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチの非摺動係合に加えてロックアップクラッチの摺動係合も禁止される請求項4に記載の内燃機関。
【請求項6】
ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチの摺動係合が行われる請求項1に記載の内燃機関。
【請求項7】
ロックアップクラッチの係合状態を制御するための圧力制御装置を具備しており、ロックアップクラッチの摺動係合が行われるときには、変速機の入力軸のトルク変動レベルが予め定められた境界トルク変動レベルとなるように該圧力制御装置によってロックアップクラッチの係合状態がフィードバック制御される請求項6に記載の内燃機関。
【請求項8】
ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチの非摺動係合が禁止されると共にロックアップクラッチの摺動係合が禁止され、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値よりも小さいときにはロックアップクラッチの摺動係合が行われる請求項1に記載の内燃機関。
【請求項9】
炭化水素供給弁から該予め定められた周期でもって炭化水素を噴射することにより排気ガス中に含まれるNOxを浄化する第1のNOx浄化方法と、排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比を該予め定められた周期よりも長い周期でもってリッチにすることにより排気浄化触媒から吸蔵NOxを放出させてNOxを浄化する第2のNOx浄化方法とが選択的に用いられ、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われている状態で第2のNOx浄化方法によるNOx浄化作用が行われているときに、排気浄化触媒から吸蔵NOxを放出すべく排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比がリッチにされたときには該低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が一時的に停止される請求項1に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
機関排気通路内にNOx吸蔵還元触媒が配置されると共にNOx吸蔵還元触媒上流の機関排気通路内に炭化水素供給弁が配置されており、NOx吸蔵還元触媒下流の機関排気通路内の排気ガスを吸気通路内に再循環させる低圧排気ガス再循環装置を具備しており、NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxを放出させるときには炭化水素供給弁から炭化水素を供給してNOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリッチにするようにした内燃機関が公知である(例えば特許文献1を参照)。ところが、この内燃機関ではNOx吸蔵還元触媒からNOxを放出すべく炭化水素供給弁から炭化水素が噴射されると、多量の炭化水素を含んだ排気ガスが低圧排気ガス再循環装置により吸気通路内に再循環される。その結果燃焼室内の空燃比が低くなるために燃焼変動が生じ、搭乗者に不快感を与えるトルク変動が発生してしまう。そこで、この内燃機関では、このようなトルク変動が生じるのを阻止するために、NOx吸蔵還元触媒からNOxを放出すべく炭化水素供給弁から炭化水素が噴射されたときには、低圧排気ガス再循環装置による炭化水素の再循環時期に同期させて吸気通路内に再循環される再循環排気ガス量を低下させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−222972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、NOx吸蔵還元触媒からNOxを放出させるための炭化水素供給弁からの炭化水素の噴射作用は比較的長い周期でもって行われる。このように炭化水素供給弁からの炭化水素の噴射周期が比較的長い場合には、低圧排気ガス再循環装置による炭化水素の再循環時期に同期させて吸気通路内に再循環される再循環排気ガス量を低下させることは可能である。しかしながら、NOx吸蔵還元触媒からNOxを放出させるための炭化水素の噴射周期よりも短い周期でもって炭化水素供給弁から炭化水素を噴射することによりNOxを浄化するようにした新たなNOx浄化方法を用いたときには、炭化水素の噴射周期が短いために、低圧排気ガス再循環装置による炭化水素の再循環時期に同期させて吸気通路内に再循環される再循環排気ガス量を低下させることは不可能である。また、吸気通路内に再循環される排気ガス量を低下させると、燃焼室内で発生するNOx量が増大するという別の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、NOx吸蔵還元触媒からNOxを放出させるための炭化水素の噴射周期よりも短い周期でもって炭化水素供給弁から炭化水素を噴射することによりNOxを浄化するようにした新たなNOx浄化方法を用いたときに、搭乗者に伝わるトルク変動のレベルを低下させるようにした内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、機関排気通路内に排気浄化触媒を配置すると共に排気浄化触媒上流の機関排気通路内に炭化水素供給弁を配置し、排気浄化触媒の排気ガス流通表面上には貴金属触媒が担持されていると共に貴金属触媒周りには塩基性の排気ガス流通表面部分が形成されており、排気浄化触媒は、排気浄化触媒に流入する炭化水素の濃度を予め定められた範囲内の振幅および予め定められた範囲内の周期でもって振動させると排気ガス中に含まれるNOを還元する性質を有すると共に、炭化水素濃度の振動周期をこの予め定められた範囲よりも長くすると排気ガス中に含まれるNOの吸蔵量が増大する性質を有しており、機関運転時に炭化水素供給弁からこの予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されると排気ガス中に含まれるNOxが排気浄化触媒において浄化される内燃機関において、排気浄化触媒下流の機関排気通路内の排気ガスを吸気通路内に再循環させる低圧排気ガス再循環装置を具備しており、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータが機関の出力軸と変速機との間に配置されており、ロックアップクラッチの係合作用が行われていないときには機関の出力軸が変速機の入力軸に流体的に連結され、ロックアップクラッチの係合作用が行われると機関の出力軸が変速機の入力軸に機械的に連結され、ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上述の予め定められた周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、常に又は機関出力のトルク変動の大きさに応じてロックアップクラッチの非摺動係合が禁止される内燃機関が提供される。
【発明の効果】
【0007】
低圧排気ガス再循環装置により炭化水素が再循環されたときに機関において発生するトルク変動がトルクコンバータにおいて吸収されるようにロックアップクラッチの係合作用が制御され、それによって搭乗者に伝わるトルク変動のレベルが低下される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は圧縮着火式内燃機関の全体図である。
図2図2Aおよび2Bはトルクコンバータを図解的に示した図である。
図3図3はトルクコンバータにおける動力伝達効率等を示す図である。
図4図4は触媒担体の表面部分を図解的に示す図である。
図5図5は排気浄化触媒における酸化反応を説明するための図である。
図6図6は排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比の変化を示す図である。
図7図7はNOx浄化率を示す図である。
図8図8Aおよび8Bは排気浄化触媒における酸化還元反応を説明するための図である。
図9図9Aおよび9Bは排気浄化触媒における酸化還元反応を説明するための図である。
図10図10は排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比の変化を示す図である。
図11図11はNOx浄化率を示す図である。
図12図12は炭化水素の噴射周期ΔTとNOx浄化率との関係を示す図である。
図13図13Aおよび13Bは炭化水素の噴射時間等を示す図である。
図14図14はNOx放出制御を示す図である。
図15図15は排出NOx量NOXAのマップを示す図である。
図16図16は燃料噴射時期を示す図である。
図17図17は炭化水素供給量WRのマップを示す図である。
図18図18はNOx浄化制御を行うためのフローチャートである。
図19図19は排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比の変化等を示す図である。
図20図20A、20Bおよび20Cは低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が行われる運転領域等を示す図である。
図21図21はロックアップ制御を行うためのフローチャートである。
図22図22はロックアップ制御を行うための別の実施例を示すフローチャートである。
図23図23は排気浄化触媒への流入排気ガスの空燃比の変化等を示す図である。
図24図24はロックアップ制御を行うための更に別の実施例を示すフローチャートである。
図25図25はロックアップ制御を行うための更に別の実施例を示すフローチャートである。
図26図26はロックアップ制御を行うための更に別の実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に圧縮着火式内燃機関の全体図を示す。
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内に夫々燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドを夫々示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6bを介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口は吸気ダクト6aおよび吸入空気量検出器8を介してエアクリーナ9に連結される。吸気ダクト6b内にはアクチュエータにより駆動されるスロットル弁10が配置され、吸気ダクト6b周りには吸気ダクト6b内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置11が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置11内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
【0010】
一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口は排気管12aを介して排気浄化触媒13の入口に連結される。本発明による実施例では、この排気浄化触媒13はNOx吸蔵触媒からなる。排気浄化触媒13の下流にはパティキュレートフィルタ14が配置されており、パティキュレートフィルタ14の出口は排気管12bに連結される。排気浄化触媒13上流の排気管12a内には圧縮着火式内燃機関の燃料として用いられる軽油その他の燃料からなる炭化水素を供給するための炭化水素供給弁15が配置される。図1に示される実施例では炭化水素供給弁15から供給される炭化水素として軽油が用いられている。なお、本発明はリーン空燃比のもとで燃焼の行われる火花点火式内燃機関にも適用することができる。この場合、炭化水素供給弁15からは火花点火式内燃機関の燃料として用いられるガソリンその他の燃料からなる炭化水素が供給される。
【0011】
一方、排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路16を介して互いに連結され、EGR通路16内には電子制御式EGR制御弁17が配置される。また、各燃料噴射弁3は燃料供給管18を介してコモンレール19に連結され、このコモンレール19は電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ20を介して燃料タンク21に連結される。燃料タンク21内に貯蔵されている燃料は燃料ポンプ20によってコモンレール19内に供給され、コモンレール19内に供給された燃料は各燃料供給管18を介して燃料噴射弁3に供給される。
【0012】
一方、パティキュレートフィルタ14下流の排気管12b内にはアクチュエータによって駆動される排気制御弁22が配置され、この排気制御弁22とパティキュレートフィルタ14との間の排気管14内はEGR通路23を介して吸気管6aに連結される。このEGR通路23内には電子制御式EGR制御弁24が配置され、更にEGR通路23周りにはEGR通路23内を流れる排気ガスを冷却するための冷却装置24が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置24内に導かれ、機関冷却水によって排気ガスが冷却される。また、機関本体1には、機関の出力軸に連結されたトルクコンバータ27が取り付けられており、このトルクコンバータ27には変速機28が連結される。即ち、トルクコンバータ27が機関の出力軸と変速機28との間に配置されている。
【0013】
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。排気浄化触媒13の下流には排気浄化触媒13の温度を検出するための温度センサ25が取付けられており、この温度センサ25および吸入空気量検出器8の出力信号は夫々対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁3、スロットル弁10の駆動用アクチュエータ、炭化水素供給弁15、EGR制御弁17,24、燃料ポンプ20および排気制御弁22の駆動用アクチュエータに接続される。また、トルクコンバータ27および変速機28は入力ポート35および出力ポート36の双方に接続されている。
【0014】
上述したように、図1に示される実施例では、EGR通路16および EGR制御弁17からなる排気ガス再循環装置HPLと、EGR通路23および EGR制御弁24からなる排気ガス再循環装置LPLとの二つの排気ガス再循環装置が設けられている。この場合、図1からわかるように、排気ガス再循環装置HPLでは排気マニホルド5内の排気ガスが再循環され、排気ガス再循環装置LPLでは排気浄化触媒13およびパティキュレートフィルタ14下流の排気管12b内の排気ガスが再循環される。ところでこの場合、排気マニホルド5内の排気ガスの圧力は、排気浄化触媒13およびパティキュレートフィルタ14下流の排気管12b内の排気ガスの圧力に比べてかなり高い。従って、排気ガス再循環装置HPLを以下、排気タービン7b上流の機関排気通路内の比較的高圧の排気ガスをコンプレッサ7a下流の吸気通路内に再循環させる高圧排気ガス再循環装置と称し、排気ガス再循環装置LPLを以下、排気浄化触媒13およびパティキュレートフィルタ14下流の機関排気通路内の比較的低圧の排気ガスをコンプレッサ7a上流の吸気通路内に再循環させる低圧排気ガス再循環装置と称する。
【0015】
図2Aおよび2Bはトルクコンバータ27の構造を図解的に示している。なお、図2Aおよび2Bにおいて、鎖線Zはトルクコンバータ27の中心軸線を示しており、図2Aおよび2Bはこの中心軸線Zに対して片側のみの構造を示している。図2Aおよび2Bを参照すると、60は機関の出力軸と共に回転するフロントカバー、61は変速機28の入力軸、62はフロントカバー60に固定されてフロントカバー60と共に回転するポンプインペラ、63は変速機28の入力軸61に固定されて変速機28の入力軸61と共に回転するタービンランナ、64は変速機28の本体により支持された一方向クラッチ機構65により中心軸線Zの回りにおいて一方向にのみ回転可能なステータ、66は変速機28の入力軸61と共に回転しかつ中心軸線Z方向に移動しうるように変速機28の入力軸61にスプライン嵌合されたロックアップクラッチ、67は図2Aおよび2Bにおいてロックアップクラッチ66の左側に作用する作動油圧とロックアップクラッチ66の右側に作用する作動油圧との油圧差を制御するための圧力制御装置を夫々示す。
【0016】
圧力制御装置67は、例えばソレノイドにより駆動されるスプール弁を有している。図2Aにおいて矢印Fで示されるように、オイルポンプから吐出された作動油が圧力制御装置67のスプール弁による流路切替え作用によりフロントカバー60の内壁面とロックアップクラッチ66との間に送り込まれと、図2Aにおいてロックアップクラッチ66の左側に作用する作動油圧がロックアップクラッチ66の右側に作用する作動油圧よりも高くなる。このときには、ロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面から離れ、従ってロックアップクラッチ66は係合していない。これに対し、図2Bにおいて矢印Fで示されるように、オイルポンプから吐出された作動油が圧力制御装置67のスプール弁による流路切替え作用によりロックアップクラッチ66の右側に送り込まれと、図2Bにおいてロックアップクラッチ66の右側に作用する作動油圧がロックアップクラッチ66の左側に作用する作動油圧よりも高くなる。このときには、ロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面上に圧接され、それによりロックアップクラッチ66は係合状態となる。
【0017】
図2Aに示されるように、ロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面から離れているとき、即ちロックアップクラッチ66の係合作用が行われていないときには、矢印Kで示されるように作動油が流れ、ポンプインペラ62の回転に引きずられてタービンランナ63が回転する。即ち、このときには、機関の出力軸が変速機28の入力軸61に流体的に連結され、それによって変速機28の入力軸61が回転せしめられる。一方、図2Bに示されるようにロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面上に圧接せしめられているとき、即ちロックアップクラッチ66の係合作用が行われているときには、フロントカバー60の回転力がロックアップクラッチ66を介して変速機28の入力軸61に伝達される。即ち、このときには、機関の出力軸が変速機28の入力軸61に機械的に連結される。
【0018】
なお、図2Bに示されるようにロックアップクラッチ66の係合作用が行われているときのロックアップクラッチ66の係合状態には二つの係合状態がある。一つは、ロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面上に摺動することなく圧接せしめられているとき、即ちロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面上に完全に結合されているときである。このときには、フロントカバー60、ポンプインペラ62、タービンランナ63および変速機28の入力軸61が一緒に回転する。このようにロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面上に完全に結合されているときのロックアップクラッチ66の係合状態を、以下非摺動係合と称する。
【0019】
もう一つは、ロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面上に摺動しつつ圧接せしめられているときである。このときには、フロントカバー60の回転力が一方ではロックアップクラッチ66を介して変速機28の入力軸61に伝達され、他方ではポンプインペラ62とタービンランナ63との流体的な結合を介して変速機28の入力軸61に伝達される。このときには、変速機28の入力軸61の回転速度は機関の出力軸の回転速度よりも遅くなる。このようにロックアップクラッチ66がフロントカバー60の内壁面上に摺動しつつ圧接せしめられているときのロックアップクラッチ66の係合状態を、以下摺動係合、或いはフレックスロックアップと称する。この場合、ロックアップクラッチ66の係合状態は圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比を変化させることによって任意に制御することができる。
【0020】
図3に、トルクコンバータ27の動力伝達効率と、変速機28の入力軸61におけるトルク変動レベルと、圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比と、トルクコンバータ27の動力伝達における流体分担率(=流体的な結合により伝達される動力/全伝達動力)との関係を示している。この流体分担率が0(%)であると言うことは、全ての動力が機械的に伝達されること、即ちロックアップクラッチ66が非摺動係合をしていることを意味している。これに対して、流体分担率が100(%)であると言うことは、全ての動力が流体的に伝達されること、即ちロックアップクラッチ66が係合していないことを意味している。また、流体分担率が0(%)でもなく100(%)でもないと言うことは、一部の動力が機械的に伝達され、一部の動力が流体的に伝達されること、即ちロックアップクラッチ66が摺動係合をしていることを意味している。
【0021】
図3に示されるように、トルクコンバータ27の動力伝達効率は、流体分担率が0(%)のとき、即ちロックアップクラッチ66が非摺動係合しているときには100(%)であり、このトルクコンバータ27の動力伝達効率は流体分担率が増大するにつれて低下する。一方、図3には、変速機28の入力軸61におけるトルク変動レベルの変化が示されている。なお、このトルク変動レベルは基準振動加速度に対する実際の振動加速度の比を表しており、図3に示される変速機28の入力軸61におけるトルク変動レベルは、機関出力のトルク変動レベルが70(dB)であるときを例にとって示されている。図3からわかるように、変速機28の入力軸61におけるトルク変動レベルは流体分担率が増大すると急速に低下する。なお、本発明による実施例では、ロックアップクラッチ66の係合状態は圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比を変化させることによって制御されており、図3に示される例では、圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比が大きくされるほど、ロックアップクラッチ66の係合の度合いが強くなる。
【0022】
ところで、機関の出力トルクが変動し、それにより変速機28の入力軸61がトルク変動を生じると車両の駆動力が変動する。このとき、トルク変動が生じたことが搭乗者によって感知される。この場合、ロックアップクラッチ66が非摺動係合状態から摺動係合状態に切換えられていると、変速機28の入力軸61に生ずるトルク変動は小さくなり、従って、搭乗者に伝わるトルク変動のレベルが小さくなる。なお、この場合、変速機28の入力軸61におけるトルク変動レベルが低い場合には、搭乗者は特に不快感を与えることはないが、変速機28の入力軸61におけるトルク変動レベルが大きくなると、搭乗者に不快感を与えるようになる。図3におけるトルク変動レベルXDは、搭乗者に不快感を与えるトルク変動レベルの境界値を示しており、変速機28の入力軸61におけるトルク変動レベルがこの境界トルク変動レベルXDよりも低くなれば、搭乗者に不快感を与えることがなくなる。即ち、変速機28の入力軸61におけるトルク変動レベルが境界トルク変動レベルXDとなる流体分担率HRよりも流体分担率が低くされれば、搭乗者に不快感を与えないことになる。このトルク変動レベルXDは実験により予め求められている。
【0023】
次に、図4を参照しつつ図1に示される排気浄化触媒13について説明する。なお、図4は、図1に示される排気浄化触媒13の基体上に担持された触媒担体の表面部分を図解的に示している。この排気浄化触媒13では図4に示されるように例えばアルミナからなる触媒担体50上には白金Ptからなる貴金属触媒51が担持されており、更にこの触媒担体50上にはカリウムK、ナトリウムNa、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類金属、ランタノイドのような希土類および銀Ag、銅Cu、鉄Fe、イリジウムIrのようなNOxに電子を供与しうる金属から選ばれた少なくとも一つを含む塩基性層53が形成されている。この場合、排気浄化触媒13の触媒担体50上には白金Ptに加えてロジウムRh或いはパラジウムPdを担持させることができる。なお、排気ガスは触媒担体50上に沿って流れるので貴金属触媒51は排気浄化触媒13の排気ガス流通表面上に担持されていると言える。また、塩基性層53の表面は塩基性を呈するので塩基性層53の表面は塩基性の排気ガス流通表面部分54と称される。
【0024】
炭化水素供給弁15から排気ガス中に炭化水素が噴射されるとこの炭化水素は排気浄化触媒13において改質される。本発明ではこのとき改質された炭化水素を用いて排気浄化触媒13においてNOxを浄化するようにしている。図5はこのとき排気浄化触媒13において行われる改質作用を図解的に示している。図5に示されるように炭化水素供給弁15から噴射された炭化水素HCは触媒51によって炭素数の少ないラジカル状の炭化水素HCとなる。
【0025】
図6は炭化水素供給弁15からの炭化水素の供給タイミングと排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inの変化とを示している。なお、この空燃比(A/F)inの変化は排気浄化触媒13に流入する排気ガス中の炭化水素の濃度変化に依存しているので図6に示される空燃比(A/F)inの変化は炭化水素の濃度変化を表しているとも言える。ただし、炭化水素濃度が高くなると空燃比(A/F)inは小さくなるので図6においては空燃比(A/F)inがリッチ側となるほど炭化水素濃度が高くなっている。
【0026】
図7は、排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度を周期的に変化させることによって図6に示されるように排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inを周期的にリッチにしたときの排気浄化触媒13によるNOx浄化率を排気浄化触媒13の各触媒温度TCに対して示している。さて、長期間に亘るNOx浄化に関する研究の結果、排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度を予め定められた範囲内の振幅および予め定められた範囲内の周期でもって振動させると、図7に示されるように400℃以上の高温領域においても極めて高いNOx浄化率が得られることが判明している。
【0027】
更にこのときには窒素および炭化水素を含む多量の還元性中間体が塩基性層53の表面上に、即ち排気浄化触媒13の塩基性排気ガス流通表面部分54上に保持又は吸着され続けており、この還元性中間体が高NOx浄化率を得る上で中心的役割を果していることが判明している。次にこのことについて図8Aおよび8Bを参照しつつ説明する。なお、これら図8Aおよび8Bは排気浄化触媒13の触媒担体50の表面部分を図解的に示しており、これら図8Aおよび8Bには排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度が予め定められた範囲内の振幅および予め定められた範囲内の周期でもって振動せしめたときに生ずると推測される反応が示されている。
【0028】
図8Aは排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度が低いときを示しており、図8Bは炭化水素供給弁15から炭化水素が供給されて排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされたとき、即ち排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度が高くなっているときを示している。
【0029】
さて、図6からわかるように排気浄化触媒13に流入する排気ガスの空燃比は一瞬を除いてリーンに維持されているので排気浄化触媒13に流入する排気ガスは通常酸素過剰の状態にある。このとき排気ガス中に含まれるNOの一部は排気浄化触媒13上に付着し、排気ガス中に含まれるNOの一部は図8Aに示されるように白金51上において酸化されてNO2となり、次いでこのNO2は更に酸化されてNO3となる。また、NO2の一部はNO2-となる。従って白金Pt51上にはNO2- とNO3とが生成されることになる。排気浄化触媒13上に付着しているNOおよび白金Pt51上において生成されたNO2-とNO3は活性が強く、従って以下これらNO、NO2-およびNO3を活性NOx*と称する。
【0030】
一方、炭化水素供給弁15から炭化水素が供給されて排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされるとこの炭化水素は排気浄化触媒13の全体に亘って順次付着する。これら付着した炭化水素の大部分は順次酸素と反応して燃焼せしめられ、付着した炭化水素の一部は順次、図5に示されるように排気浄化触媒13内において改質され、ラジカルとなる。従って、図8Bに示されるように活性NOx*周りの炭化水素濃度が高くなる。ところで活性NOx*が生成された後、活性NOx*周りの酸素濃度が高い状態が一定時間以上継続すると活性NOx*は酸化され、硝酸イオンNO3-の形で塩基性層53内に吸収される。しかしながらこの一定時間が経過する前に活性NOx*周りの炭化水素濃度が高くされると図8Bに示されるように活性NOx*は白金51上においてラジカル状の炭化水素HCと反応し、それにより還元性中間体が生成される。この還元性中間体は塩基性層53の表面上に付着又は吸着される。
【0031】
なお、このとき最初に生成される還元性中間体はニトロ化合物R-NO2であると考えられる。このニトロ化合物R-NO2は生成されるとニトリル化合物R-CNとなるがこのニトリル化合物R-CNはその状態では瞬時しか存続し得ないのでただちにイソシアネート化合物R-NCOとなる。このイソシアネート化合物R-NCOは加水分解するとアミン化合物R-NH2となる。ただしこの場合、加水分解されるのはイソシアネート化合物R-NCOの一部であると考えられる。従って図8Bに示されるように塩基性層53の表面上に保持又は吸着されている還元性中間体の大部分はイソシアネート化合物R-NCOおよびアミン化合物R-NH2であると考えられる。
【0032】
一方、図8Bに示されるように生成された還元性中間体の周りに炭化水素HCが付着しているときには還元性中間体は炭化水素HCに阻まれてそれ以上反応が進まない。この場合、排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度が低下し、次いで還元性中間体の周りに付着している炭化水素が酸化せしめられて消滅し、それにより還元性中間体周りの酸素濃度が高くなると、還元性中間体は排気ガス中のNOxや活性NOx*と反応するか、周囲の酸素と反応するか、或いは自己分解する。それによって還元性中間体R-NCOやR-NH2図8Aに示されるようにN2,CO2,H2Oに変換せしめられ、斯くしてNOxが浄化されることになる。
【0033】
このように排気浄化触媒13では、排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度を高くすることにより還元性中間体が生成され、排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度を低下させた後、酸素濃度が高くなったときに還元性中間体が排気ガス中のNOxや活性NOx*や酸素と反応し、或いは自己分解し、それによりNOxが浄化される。即ち、排気浄化触媒13によりNOxを浄化するには排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度を周期的に変化させる必要がある。
【0034】
無論、この場合、還元性中間体を生成するのに十分高い濃度まで炭化水素の濃度を高める必要があり、生成された還元性中間体を排気ガス中のNOxや活性NOx*や酸素と反応させ、或いは自己分解させるのに十分低い濃度まで炭化水素の濃度を低下させる必要がある。即ち、排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度を予め定められた範囲内の振幅で振動させる必要がある。なお、この場合、生成された還元性中間体R-NCOやR-NH2が排気ガス中のNOxや活性NOx*や酸素と反応するまで、或いは自己分解するまでこれら還元性中間体を塩基性層53上に、即ち塩基性排気ガス流通表面部分54上に保持しておかなければならず、そのために塩基性の排気ガス流通表面部分54が設けられている。
【0035】
一方、炭化水素の供給周期を長くすると炭化水素が供給された後、次に炭化水素が供給されるまでの間において酸素濃度が高くなる期間が長くなり、従って活性NOx*は還元性中間体を生成することなく硝酸塩の形で塩基性層53内に吸収されることになる。これを回避するためには排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度を予め定められた範囲内の周期でもって振動させることが必要となる。
【0036】
そこで本発明による実施例では、排気ガス中に含まれるNOxと改質された炭化水素とを反応させて窒素および炭化水素を含む還元性中間体R-NCOやR-NH2を生成するために排気浄化触媒13の排気ガス流通表面上には貴金属触媒51が担持されており、生成された還元性中間体R-NCOやR-NH2を排気浄化触媒13内に保持しておくために貴金属触媒51周りには塩基性の排気ガス流通表面部分54が形成されており、塩基性の排気ガス流通表面部分54上に保持された還元性中間体R-NCOやR-NH2はN2,CO2,H2Oに変換せしめられ、炭化水素濃度の振動周期は還元性中間体R-NCOやR-NH2を生成し続けるのに必要な振動周期とされる。因みに図6に示される例では噴射間隔が3秒とされている。
【0037】
炭化水素濃度の振動周期、即ち炭化水素供給弁15からの炭化水素HCの噴射周期を上述の予め定められた範囲内の周期よりも長くすると塩基性層53の表面上から還元性中間体R-NCOやR-NH2が消滅し、このとき白金Pt53上において生成された活性NOx*図9Aに示されるように硝酸イオンNO3-の形で塩基性層53内に拡散し、硝酸塩となる。即ち、このときには排気ガス中のNOxは硝酸塩の形で塩基性層53内に吸収されることになる。
【0038】
一方、図9BはこのようにNOxが硝酸塩の形で塩基性層53内に吸収されているときに排気浄化触媒13内に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチにされた場合を示している。この場合には排気ガス中の酸素濃度が低下するために反応が逆方向(NO3-→NO2)に進み、斯くして塩基性層53内に吸収されている硝酸塩は順次硝酸イオンNO3-となって図9Bに示されるようにNO2の形で塩基性層53から放出される。次いで放出されたNO2は排気ガス中に含まれる炭化水素HCおよびCOによって還元される。
【0039】
図10は塩基性層53のNOx吸収能力が飽和する少し前に排気浄化触媒13に流入する排気ガスの空燃比(A/F)inを一時的にリッチにするようにした場合を示している。なお、図10に示す例ではこのリッチ制御の時間間隔は1分以上である。この場合には排気ガスの空燃比(A/F)inがリーンのときに塩基性層53内に吸収されたNOxは、排気ガスの空燃比(A/F)inが一時的にリッチにされたときに塩基性層53から一気に放出されて還元される。従ってこの場合には塩基性層53はNOxを一時的に吸収するための吸収剤の役目を果している。
【0040】
なお、このとき塩基性層53がNOxを一時的に吸着する場合もあり、従って吸収および吸着の双方を含む用語として吸蔵という用語を用いるとこのとき塩基性層53はNOxを一時的に吸蔵するためのNOx吸蔵剤の役目を果していることになる。即ち、この場合には、機関吸気通路、燃焼室2および排気浄化触媒13上流の排気通路内に供給された空気および燃料(炭化水素)の比を排気ガスの空燃比と称すると、排気浄化触媒13は、排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOxを吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸蔵したNOxを放出するNOx吸蔵触媒として機能している。
【0041】
図11は、排気浄化触媒13をこのようにNOx吸蔵触媒として機能させたときのNOx浄化率を示している。なお、図11の横軸は排気浄化触媒13の触媒温度TCを示している。排気浄化触媒13をNOx吸蔵触媒として機能させた場合には図11に示されるように触媒温度TCが300℃から400℃のときには極めて高いNOx浄化率が得られるが触媒温度TCが400℃以上の高温になるとNOx浄化率が低下する。
【0042】
このように触媒温度TCが400℃以上になるとNOx浄化率が低下するのは、触媒温度TCが400℃以上になると硝酸塩が熱分解してNO2の形で排気浄化触媒13から放出されるからである。即ち、NOxを硝酸塩の形で吸蔵している限り、触媒温度TCが高いときに高いNOx浄化率を得るのは困難である。しかしながら図6から図8Bに示される新たなNOx浄化方法では図8A,8Bからわかるように硝酸塩は生成されず或いは生成されても極く微量であり、斯くして図7に示されるように触媒温度TCが高いときでも高いNOx浄化率が得られることになる。
【0043】
本発明による実施例では、この新たなNOx浄化方法を用いてNOを浄化しうるように、炭化水素を供給するための炭化水素供給弁15を機関排気通路内に配置し、炭化水素供給弁15下流の機関排気通路内に排気浄化触媒13を配置し、排気浄化触媒13の排気ガス流通表面上には貴金属触媒51が担持されていると共に貴金属触媒51周りには塩基性の排気ガス流通表面部分54が形成されており、排気浄化触媒13は、排気浄化触媒13に流入する炭化水素の濃度を予め定められた範囲内の振幅および予め定められた範囲内の周期でもって振動させると排気ガス中に含まれるNOxを還元する性質を有すると共に、炭化水素濃度の振動周期をこの予め定められた範囲よりも長くすると排気ガス中に含まれるNOxの吸蔵量が増大する性質を有しており、機関運転時に炭化水素供給弁15から予め定められた周期でもって炭化水素を噴射し、それにより排気ガス中に含まれるNOxを排気浄化触媒13において還元するようにしている。
【0044】
即ち、図6から図8Bに示されるNOx浄化方法は、貴金属触媒を担持しかつNOxを吸収しうる塩基性層を形成した排気浄化触媒を用いた場合において、ほとんど硝酸塩を形成することなくNOxを浄化するようにした新たなNOx浄化方法であると言うことができる。実際、この新たなNOx浄化方法を用いた場合には排気浄化触媒13をNOx吸蔵触媒として機能させた場合に比べて、塩基性層53から検出される硝酸塩は極く微量である。なお、この新たなNOx浄化方法を以下、第1のNOx浄化方法と称する。
【0045】
さて、前述したように、炭化水素供給弁15からの炭化水素の噴射周期ΔTが長くなると炭化水素が噴射された後、次に炭化水素が噴射される間において、活性NOx*周りの酸素濃度が高くなる期間が長くなる。この場合、図1に示される実施例では、炭化水素の噴射周期ΔTが5秒程度よりも長くなると活性NOx*が硝酸塩の形で塩基性層53内に吸収され始め、従って図12に示されるように炭化水素濃度の振動周期ΔTが5秒程度よりも長くなるとNOx浄化率が低下することになる。従って図1に示される実施例では、炭化水素の噴射周期ΔTは5秒以下とする必要がある。
【0046】
一方、本発明による実施例では、炭化水素の噴射周期ΔTがほぼ0.3秒以下になると噴射された炭化水素が排気浄化触媒13の排気ガス流通表面上に堆積し始め、従って図12に示されるように炭化水素の噴射周期ΔTがほぼ0.3秒以下になるとNOx浄化率が低下する。そこで本発明による実施例では、炭化水素の噴射周期が0.3秒から5秒の間とされている。
【0047】
さて、本発明による実施例では、炭化水素供給弁15からの炭化水素噴射量および噴射時期を変化させることによって排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inおよび噴射周期ΔTが機関の運転状態に応じた最適値となるように制御される。この場合、本発明による実施例では、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用を行ないつつ第1のNOx浄化方法によるNOx浄化作用が行われているときの最適な炭化水素噴射量WTが、アクセルペダル40の踏み込み量Lおよび機関回転数Nの関数として図13Aに示すようなマップの形で予めROM32内に記憶されており、また、このときの最適な炭化水素の噴射周期ΔTもアクセルペダル40の踏み込み量Lおよび機関回転数Nの関数として図13Bに示すようなマップの形で予めROM32内に記憶されている。同様に、高圧排気ガス再循環装置HPLによる排気ガス再循環作用を行いつつ第1のNOx浄化方法によるNOx浄化作用が行われているときの最適な炭化水素噴射量WTおよび噴射周期ΔTもアクセルペダル40の踏み込み量Lおよび機関回転数Nの関数として夫々予めROM32内に記憶されている。
【0048】
次に図14から図17を参照しつつ排気浄化触媒13をNOx吸蔵触媒として機能させた場合のNOx浄化方法について具体的に説明する。このように排気浄化触媒13をNOx吸蔵触媒として機能させた場合のNOx浄化方法を以下、第2のNOx浄化方法と称する。
この第2のNOx浄化方法では図14に示されるように塩基性層53に吸蔵された吸蔵NOx量ΣNOXが予め定められた許容量MAXを越えたときに排気浄化触媒13に流入する排気ガスの空燃比(A/F)inが一時的にリッチにされる。排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされると、排気ガスの空燃比(A/F)inがリーンのときに塩基性層53内に吸蔵されたNOxが塩基性層53から一気に放出されて還元される。それによってNOxが浄化される。
【0049】
吸蔵NOx量ΣNOXは例えば機関から排出されるNOx量から算出される。本発明による実施例では機関から単位時間当り排出される排出NOx量NOXAがアクセルペダル40の踏み込み量Lおよび機関回転数Nの関数として図15に示すようなマップの形で予めROM32内に記憶されており、この排出NOx量NOXAから吸蔵NOx量ΣNOXが算出される。この場合、前述したように排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされる周期は通常1分以上である。
【0050】
この第2のNOx浄化方法では図16に示されるように燃焼室2内に燃料噴射弁3から燃焼用燃料Qに加え、追加の燃料WRを噴射することによって排気浄化触媒13に流入する排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされる。なお、図16の横軸はクランク角を示している。この追加の燃料WRは燃焼はするが機関出力となって現われない時期に、即ち圧縮上死点後ATDC90°の少し手前で噴射される。この燃料量WRはアクセルペダル40の踏み込み量Lおよび機関回転数Nの関数として図17に示すようなマップの形で予めROM32内に記憶されている。無論、この場合炭化水素供給弁15からの炭化水素の噴射量を増大させることによって排気ガスの空燃比(A/F)inをリッチにすることもできる。
【0051】
次に、図18を参照しつつNO浄化制御ルーチンについて説明する。なお、このルーチンは一定時間毎の割込みによって実行される。
【0052】
図18を参照するとまず初めにステップ70において、機関の運転状態が、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用を行うべき運転状態であるか否かが判別される。なお、この第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われる機関の運転状態は予め定められている。機関の運転状態が、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用を行うべき運転状態でないときにはステップ71に進んで第2のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われる。
【0053】
即ち、ステップ71では図15に示すマップから単位時間当りの排出NO量NOXAが算出される。次いでステップ72ではΣNOXに排出NO量NOXAを加算することによって吸蔵NO量ΣNOXが算出される。次いでステップ73では吸蔵NO量ΣNOXが許容値MAXを越えたか否かが判別される。ΣNOX>MAXになるとステップ74に進んで図17に示すマップから追加の燃料量WRが算出され、追加の燃料の噴射作用が行われる。このとき、排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされる。次いで、ステップ75では、低圧排気ガス再循環装置LPLを用いて排気ガスの再循環作用が行われているときには、EGR制御弁24が閉弁せしめられる。次いでステップ76ではΣNOXがクリアされる。
【0054】
即ち、排気浄化触媒13からNOを放出すべく排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされると、一部の炭化水素が排気浄化触媒13をすり抜ける。このとき、低圧排気ガス再循環装置LPLを用いて排気ガスが再循環されていた場合には、排気浄化触媒13をすり抜けた炭化水素が低圧排気ガス再循環装置LPLにより燃焼室2内に再循環される。その結果、燃焼室2内における空燃比が低下し、機関の出力トルクが変動することになる。そこで、排気浄化触媒13をすり抜けた炭化水素が燃焼室2内に再循環されないように、排気浄化触媒13から炭化水素がすり抜けている間、EGR制御弁24が閉弁せしめられる。
【0055】
一方、ステップ70において、機関の運転状態が、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用を行うべき運転状態であると判別されたときには、ステップ77に進んで、第1のNO浄化方法によるNO浄化処理が行われる。例えば、このとき低圧排気ガス再循環装置LPLを用いて排気ガスが再循環されていたとすると、炭化水素供給弁15からは図13Aに示される噴射量WTの炭化水素が図13Bに示される噴射周期ΔTでもって噴射される。このように、本発明による実施例では、炭化水素供給弁から予め定められた周期でもって炭化水素を噴射することにより排気ガス中に含まれるNOxを浄化する第1のNOx浄化方法と、排気浄化触媒13に流入する排気ガスの空燃比を予め定められた周期よりも長い周期でもってリッチにすることにより排気浄化触媒13から吸蔵NOxを放出させてNOxを浄化する第2のNOx浄化方法とが選択的に用いられ、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が行われている状態で第2のNOx浄化方法によるNOx浄化作用が行われているときに、排気浄化触媒13から吸蔵NOxを放出すべく排気浄化触媒13に流入する排気ガスの空燃比がリッチにされたときには低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が一時的に停止される。
【0056】
さて、排気浄化触媒13およびパティキュレートフィルタ14から排気管12b内に流出する排気ガスの温度は排気マニホルド5内に排出される排気ガスの温度に比べてかなり低く、従って低圧排気ガス再循環装置LPLにより燃焼室2内に再循環される排気ガスの温度は高圧排気ガス再循環装置HPLにより燃焼室2内に再循環される排気ガスの温度に比べてかなり低くなる。従って低圧排気ガス再循環装置LPLにより排気ガスを再循環した場合の方が、高圧排気ガス再循環装置HPLにより排気ガスを再循環した場合に比べて燃焼室2内における燃焼温が低下し、燃焼室2内におけるNOの生成量が低下する。即ち、低圧排気ガス再循環装置LPLを用いて排気ガスを再循環した場合の方が、高圧排気ガス再循環装置HPLを用いて排気ガスを再循環した場合に比べて燃焼室2から排出されるNOの量を低下させることができる。
【0057】
従って、本発明による実施例ではできる限り、低圧排気ガス再循環装置LPLを用いて排気ガスの再循環作用が行われ、低圧排気ガス再循環装置LPLを用いるよりも高圧排気ガス再循環装置HPLを用いた方が好ましい場合に限って、高圧排気ガス再循環装置HPLが用いられる。従って、本発明による実施例では、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときに、低圧排気ガス再循環装置LPLを用いて排気ガスが再循環されている場合もあるし、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときに、高圧排気ガス再循環装置HPLを用いて排気ガスが再循環されている場合もある。ところが、前者の場合には、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときに、低圧排気ガス再循環装置LPLを用いて排気ガスが再循環されている場合には、若干問題を生ずる。このことについて、図19を参照しつつ説明する。
【0058】
第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、即ち図19に示されるように排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチになるように炭化水素供給弁15から炭化水素が短い周期でもって噴射されているときには、前述したように、噴射された一部の炭化水素は部分酸化されるが大部分の炭化水素は完全に酸化される。従って炭化水素供給弁15から炭化水素が噴射されると排気浄化触媒13において多量の二酸化炭素COが生成される。このとき、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が行なわれていたとすると、排気浄化触媒13において生成された多量の二酸化炭素COは低圧排気ガス再循環装置LPLのEGR通路23および吸気通路6a、6bを介して燃焼室2内に再循環される。このように多量の二酸化炭素COが燃焼室2内に再循環されると図19に示されるように燃焼室2内に供給される吸入空気量中の酸素濃度が一時的に減少し、燃焼室2内における燃焼ガスの空燃比が一時的に低下する。その結果、図19に示されるように機関の出力トルクが短い周期でもって低下し、従って機関の出力トルクが変動することになる。
【0059】
この場合、第2のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている場合と同様に、排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされる毎に低圧排気ガス再循環装置LPLのEGR制御弁24を閉弁すれば機関の出力トルクが変動するのを阻止することができる。しかしながら、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)inがリッチにされる周期が極めて短く、このような短い周期で低圧排気ガス再循環装置LPLのEGR制御弁24を閉弁することにより二酸化炭素COが燃焼室2内に再循環されるのを阻止することは実際には困難である。一方、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときに、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用を停止すれば二酸化炭素COが燃焼室2内に再循環されるのを阻止することができ、それにより機関の出力トルクが変動するのを阻止することができる。しかしながら、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときに、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用を停止すると、機関から排出されるNO量が増大し、NO浄化率が低下するという問題がある。
【0060】
これに対し、図3を参照しつつ説明したように、トルクコンバータ27のロックアップクラッチ66を非摺動係合状態から摺動係合状態に切換えると、搭乗者に伝わるトルク変動のレベルを小さくすることができる。そこで、本発明では、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、ロックアップクラッチ66が非摺動係合状態とならないようにしている。一方、機関出力トルクの変動レベルが低い場合には、ロックアップクラッチ66を非摺動係合状態にしておいても、搭乗者に伝わるトルク変動のレベルは低くなっている。従って、機関出力トルクの変動レベルが低い場合には、ロックアップクラッチ66を非摺動係合状態から摺動係合状態に切換える必要はない。
【0061】
そこで、本発明では、ロックアップクラッチ66の係合作用が行われていないときには機関の出力軸が変速機28の入力軸61に流体的に連結され、ロックアップクラッチ66の係合作用が行われると機関の出力軸が変速機28の入力軸61に機械的に連結され、ロックアップクラッチ66の係合作用を行うべきときに、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁15から予め定められた周期ΔTでもって炭化水素が噴射されている場合には、常に又は機関出力のトルク変動の大きさに応じてロックアップクラッチ66の非摺動係合が禁止される。
【0062】
次に、図20Aから図20Cを参照しつつ、ロックアップクラッチ66の非摺動係合が禁止される機関の運転状態について説明する。図20Aには、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われる機関の運転領域と、高圧排気ガス再循環装置HPLによる排気ガスの再循環作用が行われる機関の運転領域とが示されており、ハッチングは低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われる機関の運転領域を示している。なお、図20Aにおいて、横軸は機関回転数Nを示しており、縦軸はアクセルペダル40の踏み込み量Lを示している。図20Aから、機関高負荷中高速運転時に低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われることがわかる。
【0063】
図20Bには、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われる機関の運転領域と、第2のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われる機関の運転領域とが示されており、ハッチングは第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われる機関の運転領域を示している。なお、図20Bにおいても、横軸は機関回転数Nを示しており、縦軸はアクセルペダル40の踏み込み量Lを示している。図20Bから、機関高負荷中高速運転時に第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われることがわかる。
【0064】
次に、図20Cには、ロックアップ制御が実施される機関の運転領域と、ロックアップ制御が実施されない機関の運転領域とが示されており、ハッチングはロックアップ制御が実施される機関の運転領域を示している。なお、図20Cにおいても、横軸は機関回転数Nを示しており、縦軸はアクセルペダル40の踏み込み量Lを示している。また、図20Cに示す例では、ロックアップ制御が実施されるとロックアップクラッチ66が非摺動係合状態とされ、ロックアップ制御が実施されていないときには、ロックアップクラッチ66の係合が解除されている。なお、図20Cから、機関中高速運転時にロックアップ制御が実施されることがわかる。
【0065】
図20Aから図20Cにおいて、機関の運転状態が黒丸Xで示される運転状態であるときには、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われており、第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている。このとき、ロックアップ制御は実施されていない。従って、このときには、機関出力トルクが変動したとしても、このトルク変動がほとんど搭乗者に伝わらないので、何ら問題は生じない。一方、機関の運転状態が黒丸Yで示される運転状態であるときには、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている状態で、ロックアップ制御が実施されている。従って、このときには、機関出力のトルク変動のレベルによっては、このトルク変動が搭乗者に伝わる場合があるので、何らかの手当てを講ずる必要がある。このとき、本発明による第1実施例では、ロックアップクラッチ66の非摺動係合が禁止される。
【0066】
図21は、この第1実施例を実行するためのロックアップ制御ルーチンを示している。なお、このルーチンは一定時間毎の割り込みによって実行される。
図21を参照すると、まず初めにステップ80では、機関の運転状態が図20Cにおいてハッチングで示されるロックアップ制御実施領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がロックアップ制御実施領域でないときには処理サイクルを完了し、機関の運転状態がロックアップ制御実施領域であるときにはステップ81に進む。ステップ81では、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がLPL領域であるとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われているときにはステップ82に進む。
【0067】
ステップ82では、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域であるか否かが判別される。機関の運転状態が第1のNO浄化方法領域であるときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、ステップ84に進んでロックアップ制御が禁止される。このとき、この第1実施例では、ロックアップクラッチ66が非摺動係合状態にならないように圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比が小さくされる。これに対し、ステップ81において、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域でないと判断されたとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われていないときにはステップ83に進み、またステップ82において、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域でないと判断されたときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われていないときにはステップ83に進む。ステップ83では、ロックアップ制御が実施される。このとき、この第1実施例では、圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比が大きくされ、ロックアップクラッチ66が非摺動係合される。
【0068】
次に、機関の出力トルクが変動したとしても、トルク変動が生じたことが搭乗者によってほとんど感知されることがないようにした第2実施例について説明する。この第2実施例では、機関の出力トルクが変動したとしても、トルク変動が生じたことが搭乗者によってほとんど感知されることがないように、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、ロックアップクラッチ66が全く係合していない状態とされる。即ち、この第2実施例では、ロックアップクラッチ66の係合作用を行うべきときに、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁15から予め定められた周期ΔTでもって炭化水素が噴射されている場合には、ロックアップクラッチ66の非摺動係合に加えてロックアップクラッチ66の摺動係合も禁止される。この場合には、図21に示されるロックアップ制御ルーチンのステップ84において、ロックアップクラッチ66の非摺動係合およびロックアップクラッチ66の摺動係合の双方が禁止される。
【0069】
次に、機関の出力トルクが変動したときに、搭乗者によって感知されるトルク変動のレベルを低減するようにした第3実施例について説明する。この第3実施例では、搭乗者によって感知されるトルク変動のレベルを低減するために、ロックアップクラッチ66の係合作用を行うべきときに低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている場合には、ロックアップクラッチ66の摺動係合が行われる。即ち、ロックアップクラッチ66のフレックスロックアップ制御が行われる。
【0070】
図22は、この第3実施例を実行するためのロックアップ制御ルーチンを示している。なお、このルーチンは一定時間毎の割り込みによって実行される。
図22を参照すると、まず初めにステップ90では、機関の運転状態が図20Cにおいてハッチングで示されるロックアップ制御実施領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がロックアップ制御実施領域でないときには処理サイクルを完了し、機関の運転状態がロックアップ制御実施領域であるときにはステップ91に進む。ステップ91では、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がLPL領域であるとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われているときにはステップ92に進む。
【0071】
ステップ92では、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域であるか否かが判別される。機関の運転状態が第1のNO浄化方法領域であるときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、ステップ94に進んで、ロックアップクラッチ66が摺動係合状態となるように、即ちフレックスロックアップ状態となるように圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比が制御される。これに対し、ステップ91において、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域でないと判断されたとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われていないときにはステップ93に進み、またステップ92において、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域でないと判断されたときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われていないときにはステップ93に進む。ステップ93では、ロックアップ制御が実施される。このとき、ロックアップクラッチ66が非摺動係合される。
【0072】
次に、機関出力61のトルク変動レベルΔDを検出し、この検出されたトルク変動レベルΔTと図3に示されるトルク変動レベルXDとを比較してロックアップクラッチ66の係合作用を制御するようにした種々の実施例について説明する。前述したように、このトルク変動レベルXDは、搭乗者に不快感を与えるトルク変動レベルの境界値を示しており、機関出力のトルク変動レベルΔTがこの境界トルク変動レベルXDよりも低くければ、搭乗者に不快感を与えることがなくなる。図23には、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときの、排気浄化触媒13への流入排気ガスの空燃比(A/F)in の変化と、燃焼室2内に供給される吸入空気量中の酸素濃度の変化と、機関の出力トルクの変化と、機関出力のトルク変動レベルΔTの変化とが示されている。また、図23には、境界トルク変動レベルXDも示されている。なお、図23の(A)は機関出力のトルク変動レベルΔTが低いときを示しており、図23の(B)は機関出力のトルク変動レベルΔTが高いときを示している。
【0073】
機関出力のトルク変動レベルΔTは、例えば機関の出力軸の回転数の変動量から電子制御ユニット30において算出されている。また、本発明による実施例では、変速機28の入力軸61のトルク変動レベルも、例えば変速機28の入力軸61の回転数の変動量から電子制御ユニット30において算出されている。本発明による第4実施例では、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている場合において、図23の(A)に示されるように機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも低いときには、ロックアップクラッチ66が非摺動係合状態とされ、図23の(B)に示されるように機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも高いいときには、ロックアップクラッチ66が非摺動係合状態となるのが禁止される。即ち、この第4実施例では、ロックアップクラッチ66の係合作用を行うべきときに、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁15から予め定められた周期ΔTでもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチ66の非摺動係合が禁止される。
【0074】
図24は、この第4実施例を実行するためのロックアップ制御ルーチンを示している。なお、このルーチンは一定時間毎の割り込みによって実行される。
図24を参照すると、まず初めにステップ100では、機関の運転状態が図20Cにおいてハッチングで示されるロックアップ制御実施領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がロックアップ制御実施領域でないときには処理サイクルを完了し、機関の運転状態がロックアップ制御実施領域であるときにはステップ101に進む。ステップ101では、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がLPL領域であるとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われているときにはステップ102に進む。
【0075】
ステップ102では、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域であるか否かが判別される。機関の運転状態が第1のNO浄化方法領域であるときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、ステップ103に進んで機関出力のトルク変動レベルΔTが算出される。次いで、ステップ104では機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも大きいか否かが判別される。トルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも大きいときにはステップ106に進んでロックアップ制御が禁止される。このとき、この第4実施例では、ロックアップクラッチ66が非摺動係合状態にならないように圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比が小さくされる。
【0076】
これに対し、ステップ101において、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域でないと判断されたとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われていないときにはステップ105に進み、またステップ102において、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域でないと判断されたときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われていないときにはステップ105に進む。更に、ステップ104において機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも小さいと判断されたときにもステップ105に進む。ステップ105では、ロックアップ制御が実施される。このとき、この第4実施例では、ロックアップクラッチ66が非摺動係合される。
【0077】
次に、機関の出力トルクが変動したとしても、トルク変動が生じたことが搭乗者によってほとんど感知されることがないようにした第5実施例について説明する。この第5実施例では、機関の出力トルクが変動したとしても、トルク変動が生じたことが搭乗者によってほとんど感知されることがないように、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチ66が全く係合していない状態とされる。即ち、この第5実施例では、ロックアップクラッチ66の係合作用を行うべきときに、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁15から予め定められた周期ΔTでもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチ66の非摺動係合に加えてロックアップクラッチ66の摺動係合も禁止される。この場合には、図24に示されるロックアップ制御ルーチンのステップ106において、ロックアップクラッチ66の非摺動係合およびロックアップクラッチ66の摺動係合の双方が禁止される。
【0078】
次に、機関の出力トルクが変動したときに、搭乗者によって感知されるトルク変動のレベルを低減するようにした第6実施例について説明する。この第6実施例では、搭乗者によって感知されるトルク変動のレベルを低減するために、ロックアップクラッチ66の係合作用を行うべきときに低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチ66の摺動係合が行われる。即ち、ロックアップクラッチ66のフレックスロックアップ制御が行われる。
【0079】
図25は、この第6実施例を実行するためのロックアップ制御ルーチンを示している。なお、このルーチンは一定時間毎の割り込みによって実行される。
図25を参照すると、まず初めにステップ110では、機関の運転状態が図20Cにおいてハッチングで示されるロックアップ制御実施領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がロックアップ制御実施領域でないときには処理サイクルを完了し、機関の運転状態がロックアップ制御実施領域であるときにはステップ111に進む。ステップ111では、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がLPL領域であるとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われているときにはステップ112に進む。
【0080】
ステップ112では、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域であるか否かが判別される。機関の運転状態が第1のNO浄化方法領域であるときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、ステップ113に進んで機関出力のトルク変動レベルΔTが算出される。次いで、ステップ114では機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも大きいか否かが判別される。トルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも大きいときにはステップ116に進んでロックアップクラッチ66のフレックスロックアップ制御が行われる。
【0081】
これに対し、ステップ111において、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域でないと判断されたとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われていないときにはステップ115に進み、またステップ112において、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域でないと判断されたときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われていないときにはステップ115に進む。更に、ステップ114において機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも小さいと判断されたときにもステップ115に進む。ステップ115では、ロックアップクラッチ66のロックアップ制御が実施される。このとき、この第6実施例では、ロックアップクラッチ66が非摺動係合される。
【0082】
次に、機関の出力トルクが変動したとしても、搭乗者に不快感を与えることがないようにした第7実施例について説明する。この第7実施例では、第6実施例と同様に、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている状態で、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときには、ロックアップクラッチ66のフレックスロックアップ制御が行われる。しかしながら、このとき、この第7実施例では、機関の出力トルクが変動したとしても、搭乗者に不快感を与えることがないように、変速機28の入力軸61のトルク変動レベルΔTが予め定められた境界トルク変動レベルXDとなるように圧力制御装置67によってロックアップクラッチ66の係合状態がフィードバック制御される。具体的に言うと、変速機の入力軸のトルク変動レベルΔTが予め定められた境界トルク変動レベルXDとなるように圧力制御装置67のソレノイドに印加される駆動パルスのデューティー比がフィードバック制御される。このとき、図3に示されるように、流体分担率はHRで示される率となる。
【0083】
次に、機関の出力トルクが変動したときに、搭乗者に不快感を与えないようにした第8実施例について説明する。この第8実施例では、図24に示される第4実施例と同様に、ロックアップクラッチ66の係合作用を行うべきときに低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われておりかつ第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われている場合には、機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも高いときには、ロックアップクラッチ66の非摺動係合が禁止される。但し、この第8実施例では、このとき機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも低い場合には、ロックアップクラッチ66の摺動係合が行われる。即ち、ロックアップクラッチ66のフレックスロックアップ制御が行われる。このように機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも低いときに、ロックアップクラッチ66が摺動係合状態とされると、搭乗者に不快感を与えることなく、トルクコンバータ27の動力伝達効率を高めることができる。
【0084】
このように、第8実施例では、ロックアップクラッチ66の係合作用を行うべきときに、低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁15から予め定められた周期ΔTでもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチ66の非摺動係合が禁止されると共にロックアップクラッチ66の摺動係合が禁止され、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値よりも小さいときにはロックアップクラッチ66の摺動係合が行われる。
【0085】
図26は、この第8実施例を実行するためのロックアップ制御ルーチンを示している。なお、このルーチンは一定時間毎の割り込みによって実行される。
図26を参照すると、まず初めにステップ120では、機関の運転状態が図20Cにおいてハッチングで示されるロックアップ制御実施領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がロックアップ制御実施領域でないときには処理サイクルを完了し、機関の運転状態がロックアップ制御実施領域であるときにはステップ121に進む。ステップ121では、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域であるか否かが判別される。機関の運転状態がLPL領域であるとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われているときにはステップ122に進む。
【0086】
ステップ122では、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域であるか否かが判別される。機関の運転状態が第1のNO浄化方法領域であるときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われているときには、ステップ123に進んで機関出力のトルク変動レベルΔTが算出される。次いで、ステップ124では機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも大きいか否かが判別される。トルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも大きいときにはステップ126に進んでロックアップクラッチ66の非摺動係合が禁止される。これに対し、ステップ124において、機関出力のトルク変動レベルΔTが境界トルク変動レベルXDよりも小さいと判別されたときにはステップ127に進んでロックアップクラッチ66が摺動係合される。即ち、ロックアップクラッチ66のフレックスロックアップ制御が行われる。
【0087】
一方、ステップ121において、機関の運転状態が図20Aにおいてハッチングで示されるLPL領域でないと判断されたとき、即ち低圧排気ガス再循環装置LPLによる排気ガスの再循環作用が行われていないときにはステップ125に進み、またステップ122において、機関の運転状態が図20Bにおいてハッチングで示される第1のNO浄化方法領域でないと判断されたときには、即ち第1のNO浄化方法によるNO浄化作用が行われていないときにはステップ125に進む。ステップ125では、ロックアップクラッチ66のロックアップ制御が実施される。このとき、この第8実施例では、ロックアップクラッチ66が非摺動係合される。
【0088】
なお、別の実施例として排気浄化触媒13上流の機関排気通路内に炭化水素を改質させるための酸化触媒を配置することもできる。
【符号の説明】
【0089】
4 吸気マニホルド
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
12a、12b 排気管
13 排気浄化触媒
14 パティキュレートフィルタ
15 炭化水素供給弁
28 トルクコンバータ
66 ロックアップクラッチ
HPL 高圧排気ガス再循環装置
LPL 低圧排気ガス再循環装置
図1
図2
図3
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図26

【手続補正書】
【提出日】2015年6月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明によれば、機関排気通路内に排気浄化触媒を配置すると共に排気浄化触媒上流の機関排気通路内に炭化水素供給弁を配置し、排気浄化触媒の排気ガス流通表面上には貴金属触媒が担持されていると共に貴金属触媒周りには塩基性の排気ガス流通表面部分が形成されており、排気浄化触媒は、排気浄化触媒に流入する炭化水素の濃度を予め定められた範囲内の振幅および予め定められた範囲内の周期でもって振動させると排気ガス中に含まれるNOxを還元する性質を有すると共に、炭化水素濃度の振動周期をこの予め定められた範囲よりも長くすると排気ガス中に含まれるNOxの吸蔵量が増大する性質を有しており、機関運転時に炭化水素供給弁からこの予め定められた範囲内の周期でもって炭化水素が噴射されると排気ガス中に含まれるNOxが排気浄化触媒において浄化される内燃機関において、排気浄化触媒下流の機関排気通路内の排気ガスを吸気通路内に再循環させる低圧排気ガス再循環装置を具備しており、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータが機関の出力軸と変速機との間に配置されており、ロックアップクラッチの係合作用が行われていないときには機関の出力軸が変速機の入力軸に流体的に連結され、ロックアップクラッチの係合作用が行われると機関の出力軸が変速機の入力軸に機械的に連結され、ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上術の予め定められた範囲内の周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、常に又は機関出力のトルク変動の大きさに応じてロックアップクラッチの非摺動係合が禁止され、ロックアップクラッチの摺動係合が行われる内燃機関が提供される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関排気通路内に排気浄化触媒を配置すると共に排気浄化触媒上流の機関排気通路内に炭化水素供給弁を配置し、該排気浄化触媒の排気ガス流通表面上には貴金属触媒が担持されていると共に該貴金属触媒周りには塩基性の排気ガス流通表面部分が形成されており、該排気浄化触媒は、排気浄化触媒に流入する炭化水素の濃度を予め定められた範囲内の振幅および予め定められた範囲内の周期でもって振動させると排気ガス中に含まれるNOxを還元する性質を有すると共に、該炭化水素濃度の振動周期を該予め定められた範囲よりも長くすると排気ガス中に含まれるNOxの吸蔵量が増大する性質を有しており、機関運転時に炭化水素供給弁から該予め定められた範囲内の周期でもって炭化水素が噴射されると排気ガス中に含まれるNOxが排気浄化触媒において浄化される内燃機関において、排気浄化触媒下流の機関排気通路内の排気ガスを吸気通路内に再循環させる低圧排気ガス再循環装置を具備しており、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータが機関の出力軸と変速機との間に配置されており、ロックアップクラッチの係合作用が行われていないときには機関の出力軸が変速機の入力軸に流体的に連結され、ロックアップクラッチの係合作用が行われると機関の出力軸が変速機の入力軸に機械的に連結され、ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた範囲内の周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、常に又は機関出力のトルク変動の大きさに応じてロックアップクラッチの非摺動係合が禁止され、ロックアップクラッチの摺動係合が行われる内燃機関。
【請求項2】
ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた範囲内の周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチの非摺動係合が禁止され、ロックアップクラッチの摺動係合が行われる請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
ロックアップクラッチの係合状態を制御するための圧力制御装置を具備しており、ロックアップクラッチの摺動係合が行われるときには、変速機の入力軸のトルク変動レベルが予め定められた境界トルク変動レベルとなるように該圧力制御装置によってロックアップクラッチの係合状態がフィードバック制御される請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
ロックアップクラッチの係合作用を行うべきときに、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われておりかつ炭化水素供給弁から上記予め定められた範囲内の周期でもって炭化水素が噴射されている場合には、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値を超えたときに、ロックアップクラッチの非摺動係合が禁止されると共にロックアップクラッチの摺動係合が禁止され、機関出力のトルク変動の大きさが予め定められた値よりも小さいときにはロックアップクラッチの摺動係合が行われる請求項1に記載の内燃機関。
【請求項5】
炭化水素供給弁から該予め定められた範囲内の周期でもって炭化水素を噴射することにより排気ガス中に含まれるNOxを浄化する第1のNOx浄化方法と、排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比を該予め定められた範囲内の周期よりも長い周期でもってリッチにすることにより排気浄化触媒から吸蔵NOxを放出させてNOxを浄化する第2のNOx浄化方法とが選択的に用いられ、上記低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が行われている状態で第2のNOx浄化方法によるNOx浄化作用が行われているときに、排気浄化触媒から吸蔵NOxを放出すべく排気浄化触媒に流入する排気ガスの空燃比がリッチにされたときには該低圧排気ガス再循環装置による排気ガス再循環作用が一時的に停止される請求項1に記載の内燃機関。
【国際調査報告】