特表-14097468IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧
<>
  • 再表WO2014097468-油圧制御装置 図000003
  • 再表WO2014097468-油圧制御装置 図000004
  • 再表WO2014097468-油圧制御装置 図000005
  • 再表WO2014097468-油圧制御装置 図000006
  • 再表WO2014097468-油圧制御装置 図000007
  • 再表WO2014097468-油圧制御装置 図000008
  • 再表WO2014097468-油圧制御装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年6月26日
【発行日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】油圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20161216BHJP
   F16H 61/66 20060101ALI20161216BHJP
   F16H 59/70 20060101ALN20161216BHJP
【FI】
   F16H61/00
   F16H61/66
   F16H59/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2014-552853(P2014-552853)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2012年12月21日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 貴文
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】服部 勇仁
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】木村 謙大
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】永里 有
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552MA07
3J552NA01
3J552NB01
3J552PA20
3J552PA54
3J552QA03C
3J552QA26C
3J552QA42C
3J552QB08
3J552RA02
3J552SA36
3J552TA02
3J552TA10
3J552VA18Y
3J552VA52Y
3J552VA74Z
3J552VB01Z
3J552VD02Z
(57)【要約】
制御対象部に対してオイルを供給する供給路と前記制御対象部からオイルを排出する排出路との少なくともいずれか一方の油路に、前記制御対象部の実油圧と前記制御対象部の目標油圧との偏差に基づいて電流が制御されて、その電流に応じた量のオイルを前記制御対象部に供給しもしくは前記制御対象部から排出する制御バルブが設けられた油圧制御装置において、前記偏差に基づいて、前記実油圧を前記目標油圧に一致させるのに必要な必要油量を求め、前記制御バルブの電流値と流量との関係に基づいて前記必要油量に対応する電流値を求めるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象部に対してオイルを供給する供給路と前記制御対象部からオイルを排出する排出路との少なくともいずれか一方の油路に、前記制御対象部の実油圧と前記制御対象部の目標油圧との偏差に基づいて電流が制御されて、その電流に応じた量のオイルを前記制御対象部に供給しもしくは前記制御対象部から排出する制御バルブが設けられた油圧制御装置において、
前記偏差に基づいて、前記実油圧を前記目標油圧に一致させるのに必要な必要油量を求め、前記制御バルブの電流値と流量との関係に基づいて前記必要油量に対応する電流値を求めるように構成されていることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項2】
前記制御バルブは、電流が供給されることにより前記油路を開き、かつ該制御バルブの流入側の油圧と流出側の油圧との圧力差に応じて流量が異なるバルブを含み、
前記制御バルブの電流値と流量との関係は、前記圧力差ごとに決められた関係を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
【請求項3】
前記制御バルブは、弁体が一端部側に設けられたピストンと、そのピストンを前後動可能に収容したシリンダ部と、そのシリンダ部のうち前記弁体が収容されている第1の油室に形成された流入ポートおよび前記弁体によって開閉される流出ポートと、前記シリンダ部のうち前記弁体が収容されている第1の油室とは反対側の第2の油室とを連通させる流路径の小さい連通路と、前記電流が供給されることにより動作して前記第2の油室を前記流出ポートに接続された流出流路に選択的に連通させる電磁開閉弁とを備えたバランスピストン型のポペットバルブを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の油圧制御装置。
【請求項4】
前記制御対象部は、ベルト式無段変速機におけるプーリのベルトが巻き掛けられる溝幅を変化させる油圧室を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の油圧制御装置。
【請求項5】
前記必要油量は、変速要求に応じて前記溝幅を変化させるのに必要とする油量もしくは漏洩によって不足する油量を、前記実油圧を前記目標油圧に一致させるのに必要な油量に加減算して補正した量を含むことを特徴とする請求項4に記載の油圧制御装置。
【請求項6】
前記ベルト式無段変速機は、変速を行うために溝幅を変化させる第1プーリと、前記ベルトを挟み付ける挟圧力を発生する第2プーリとを備え、
前記制御対象部は、前記第2プーリにおける油圧室を含み、
前記第2プーリにおける油圧室の油量を変速要求に伴って補正するために用いる油量として、前記変速要求を満たすべく変化する前記第1プーリにおける油圧室の容積変化量を用いるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の油圧制御装置。
【請求項7】
前記制御バルブは、前記油圧室に連通されている前記供給路と前記排出路との両方の油路に設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の油圧制御装置。
【請求項8】
前記制御バルブは、前記油圧室に連通されている前記供給路のみに設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の油圧制御装置。
【請求項9】
前記制御バルブは、前記油圧室に連通されている前記排出路のみに設けられていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オイルが供給されて所定の動作を行うアクチュエータの油圧を制御するための油圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動力や信号を伝達するための手段として油圧が各種の分野で使用されていることを周知のとおりであり、オイルの圧力や量によって推力やトルクあるいは位置を適宜に制御することができる。その油圧を利用した装置の例が特開2011−163508号公報や特開2011−52796号公報に記載されている。これらの公報に記載されている装置は車両用の自動変速機であり、特にベルト式の無段変速機である。その無段変速機は、溝幅を変更できる駆動プーリと従動プーリとに、断面形状がいわゆるV字状をなすベルトを巻き掛け、溝幅を変化させることによって各プーリに対するベルトの巻き掛け半径が変化することにより、変速比を連続的に変化させることができるように構成されている。また、各プーリとベルトとの間の摩擦力によってトルクを伝達するように構成されている。さらに、各プーリには、油圧室(アクチュエータ)が一体的に設けられており、一方のプーリに供給するオイルの量もしくは圧力を適宜に制御することにより変速比を制御し、また他方のプーリにおける油圧室の圧力を適宜に制御することより、伝達トルク容量に関係するベルト挟圧力を制御するように構成されている。
【0003】
これらのプーリでは高い油圧を必要とするから、上記の各公報に記載された装置は、各プーリの油圧室に油圧を供給する供給路と、その油圧室から油圧を排出する排出路とを、ポペットタイプのバルブで開閉するように構成されている。このポペットタイプのバルブは、フィードバックポートを備えた従来一般の調圧バルブに替わるものである。すなわち、フィードバックポートを備えた従来一般の調圧バルブは、フィードバック圧と調圧力とをスプールを挟んで対抗させ、フィードバック圧が高い場合には、ドレーンポートを開いて油圧を排出し、またフィードバック圧が低い場合にはドレーンポートを閉じるとともに入力ポートと出力ポートとを連通させるように構成されている。したがって、フィードバック圧と調圧力とが均衡する作用するから、調圧力を高くすることにより、出力圧が高くなる。したがって、この種の調圧バルブでは、ドレーンポートの開閉を行って調圧を行い、オイルポンプで発生させた油圧の多くをドレーンポートから排出してしまうことになる。しかもスプールタイプのバルブであれば、スプールの円滑な移動を確保するための不可避的なオイルの漏れが生じる。このようにフィードバックポートを備えた従来の一般的な調圧バルブでは、オイルの漏れ量が多くなって動力の損失が問題となり、特に油圧が高い場合には、動力の損失量が大きくなる。
【0004】
そこで、上記の各公報に記載された装置は、ポペットタイプのバルブによって各プーリの油圧を制御するように構成されている。そのポペットタイプのバルブは、弁体を弁座に密着させることにより油路を閉じ、弁体が弁座から離れるのに従って開口面積が増大するバルブである。したがって、プーリの油圧室における油圧をセンサで検出し、その検出された油圧が目標圧となるように増圧側のバルブもしくは減圧側のバルブを制御することにより、プーリの油圧室における油圧を適宜に制御することができる。また、その油圧室の油圧を維持する場合、増圧側および減圧側のバルブは閉じた状態になってオイルを流さないから、油圧の無駄な排出もしくは漏れを防止もしくは抑制してエネルギ効率を向上させることができる。
【0005】
また特に、特開2011−163508号公報に記載されている装置では、弁体とピストンとを一体に構成し、高圧の入力圧と低圧の出力圧とをそのピストンを挟んで対抗させるように構成したバランスピストン形のバルブを用いている。このバルブは、それら入力圧と出力圧とに基づく推力の差によって閉弁状態を維持し、またそのピストンによって区画されている一方の油圧室を低圧部分もしくはドレーン箇所に連通させてその油圧を低下させることにより、上記の推力のバランスを崩して開弁させるように構成されている。したがって、前記一方の油圧室と低圧部分もしくはドレーン箇所とを連通させ、また遮断することにより開閉状態を切り替えることができるので、その開閉制御をソレノイドによって行うとしても、ソレノイドを容量の小さいものとして、バルブの全体としての構成を小型・軽量化できる。
【0006】
上述したポペットタイプのバルブは、油路を開閉するが、それ自体には調圧の機能はない。したがって、上述した各公報に記載されているように、プーリの油圧室の圧力をセンサによって検出し、その検出したいわゆる実油圧と目標油圧との圧力差(制御偏差)によって前記バルブにおけるソレノイドの電流をフィードバック制御している。しかしながら、ポペットタイプのバルブは、油路を開閉するだけであって調圧機能がないから、上記の制御偏差によって電流を制御したのでは、制御性が悪化する可能性がある。
【0007】
すなわち、バルブの構造によっては、電流に対する流量の増加勾配などの流量特性が変曲点を持つことがあり、そのような流量特性を持ったバルブの例は、上述したバランスピストンタイプのバルブである。このようにバルブにあっては、制御偏差が小さい場合と大きい場合とで電流に対する流量ゲインが異なってしまう。また、バルブを流れるオイルの量はその前後の差圧の影響を受けるためにバルブの前後差圧によって流量ゲインが異なったものとなる。その結果、電流を所定値に制御して得られる流量や油圧が状況によって変化してしまい、所期どおりに油圧を制御できない可能性がある。このような不都合を回避するために、制御ゲインを前後差圧などの状況に応じて補正することが考えられる。しかしながら、制御ゲインに影響を及ぼす要因は極めて多様であるから、補正に要する作業もしくは補正に使用するデータあるいはマップの作成に要する作業が多大になり、実用には適さない。
【0008】
また、例えば前述した特開2011−52796号公報に記載されている、電磁力で開閉するバルブのように流量特性に特に変曲点がないバルブであっても、同一の電流値もしくは開度の下で通過するオイルの量が前後差圧によって異なるから、安定した制御特性を得られず、制御性が悪化する。さらに、前述した各公報に記載されているように弁体を弁座に押し付けて閉弁し、弁体を弁座から離して開弁するタイプのバルブでは、弁体から弁座から離れる距離が電流に応じて増大すると、オイルが通過する開口面積が大きくなる。すなわち、電流に応じて開口面積が変化するので、この点でも電流に対する流量特性が一定でなくなり、その結果、制御性が悪化する可能性がある。上述した技術的な課題は、車両用自動変速機における油圧制御装置に限らず、産業用機械などの他の一般的な機械装置類における油圧制御装置においても生じる。
【0009】
ところで、上述した各公報に記載されている無段変速機によれば、エンジン回転数を燃費の良好な回転数に維持することができ、その制御は、車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて目標回転数を求め、実回転数がその目標回転数に一致するように無段変速機による変速比を設定することにより行われる。この制御による実質的な変速比の変化は僅かであり、したがってこのような制御は定常的な制御と言い得る。これに対して、アクセルペダルが大きく踏み込まれたり、あるいは反対にアクセルペダルが戻されてブレーキペダルが踏み込まれたりする急変速要求があった場合、一方のプーリに油圧を供給し、かつ他方のプーリから排圧することになる。このような変速の際には、プーリに供給もしくは排出するオイルの量が定常的な制御の際とは大きく異なることになる。これら定常的な制御と変速時の制御とは、必要するオイルの流量が異なるので、これらの制御を、前述した油圧センサで検出した実油圧と目標油圧との制御偏差に基づく電流値のフィードバック制御によって行うとすれば、定常的な制御での安定性が損なわれたり、これとは反対に変速制御に大きな遅れが生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、電流に応じて流量が変化するように流路を開閉するバルブによって油圧を制御する油圧制御装置の制御性を向上させることを目的とするものである。
【0011】
上記の目的を達成するために、この発明は、制御対象部に対してオイルを供給する供給路と前記制御対象部からオイルを排出する排出路との少なくともいずれか一方の油路に、前記制御対象部の実油圧と前記制御対象部の目標油圧との偏差に基づいて電流が制御されて、その電流に応じた量のオイルを前記制御対象部に供給しもしくは前記制御対象部から排出する制御バルブが設けられた油圧制御装置において、前記偏差に基づいて、前記実油圧を前記目標油圧に一致させるのに必要な必要油量を求め、前記制御バルブの電流値と流量との関係に基づいて前記必要油量に対応する電流値を求めるように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
その制御バルブは、電流が供給されることにより前記油路を開き、かつ該制御バルブの流入側の油圧と流出側の油圧との圧力差に応じて流量が異なるバルブを含み、前記制御バルブの電流値と流量との関係は、前記圧力差ごとに決められた関係を含むことができる。
【0013】
また、前記制御バルブは、弁体が一端部側に設けられたピストンと、そのピストンを前後動可能に収容したシリンダ部と、そのシリンダ部のうち前記弁体が収容されている第1の油室に形成された流入ポートおよび前記弁体によって開閉される流出ポートと、前記シリンダ部のうち前記弁体が収容されている第1の油室とは反対側の第2の油室とを連通させる流路径の小さい連通路と、前記電流が供給されることにより動作して前記第2の油室を前記流出ポートに接続された流出流路に選択的に連通させる電磁開閉弁とを備えたバランスピストン型のポペットバルブであってもよい。
【0014】
一方、この発明における前記制御対象部は、ベルト式無段変速機におけるプーリのベルトが巻き掛けられる溝幅を変化させる油圧室であってもよい。
【0015】
また、この発明における前記必要油量は、変速要求に応じて前記溝幅を変化させるのに必要とする油量もしくは漏洩によって不足する油量を、前記実油圧を前記目標油圧に一致させるのに必要な油量に加減算して補正した量を含むことができる。
【0016】
さらに、この発明で対象とすることのできる前記ベルト式無段変速機は、変速を行うために溝幅を変化させる第1プーリと、前記ベルトを挟み付ける挟圧力を発生する第2プーリとを備えた構成のものであってよく、その場合、前記制御対象部は、前記第2プーリにおける油圧室を含み、前記第2プーリにおける油圧室の油量を変速要求に伴って補正するために用いる油量として、前記変速要求を満たすべく変化する前記第1プーリにおける油圧室の容積変化量を用いるように構成されていてよい。
【0017】
そして、この発明では、前記制御バルブは、前記油圧室に連通されている前記供給路と前記排出路との両方の油路に設けることができる。
【0018】
あるいは、この発明では、前記制御バルブは、前記油圧室に連通されている前記供給路のみに設けることができる。
【0019】
もしくは、この発明では、前記制御バルブは、前記油圧室に連通されている前記排出路のみに設けることができる。
【0020】
したがって、この発明に係る油圧制御装置によれば、圧力の偏差に基づいて制御バルブの電流を制御するのにあたり、その偏差から、先ず、必要油量が求められる。オイルの供給もしくは排出の量と、油圧もしくはその変化の関係は、制御対象部やこれに関連する構成部材に応じて決まるので、その関係に基づいて必要油量を求めることができる。そして、制御バルブについての電流値と流量との関係を使用して、上記の必要油量から電流値が求められ、その電流値で制御バルブが制御される。したがって、この発明では、電流値を求めてその電流値に応じた油量を得るのではなく、必要な油量を求めて、その必要な油量を得るための電流値を求めるから、その電流値で制御バルブを制御することにより得られる油量は、上記の必要油量となる。そのため、電流の変化に対する流量の変化が大きい場合および小さい場合のいずれであっても、求められた電流値で制御バルブを制御することにより、精度良く必要油量を得ることができ、油圧の制御性が良好になる。言い換えれば、実油圧が目標油圧に精度良く追従し、実油圧が目標油圧から大きく外れたり、目標油圧の達成が遅れたり、さらには実油圧の目標油圧への収束性が悪くなるなどの事態を回避もしくは抑制することができる。
【0021】
上記の制御バルブにおける電流値と流量との関係は、その制御バルブにおける流入側と流出側との圧力差ごとに決められ、その関係を利用して前記必要油量から電流値を求めることにより、より精度の良好な制御を行うことができる。
【0022】
また、制御バルブがバランスピストン型のポペットバルブによって構成されている場合、その電流に対する流量特性が変曲点のある特性になる場合があるが、この発明では、前記必要油量に相当する電流値を求め、その電流値で制御バルブを制御するから、変曲点のある流量特性のバルブを用いたとしても、精度良く油圧制御を行うことができる。
【0023】
この発明をベルト式無段変速機の油圧制御装置に適用した場合には、プーリの油圧を制御することに伴うオイルの漏れ、あるいはドレーン箇所への流出を抑制することができるので、エネルギ効率の向上効果が大きくなる。
【0024】
また、この発明をベルト式無段変速機の油圧制御装置に適用した場合、変速比を変化させたり、あるいは何らかの理由で油圧の漏れがあることにより油圧の過不足が生じると、その油量の過不足を補正量とし、その補正量を加味して上記の電流値が求められる。そのため、電流制御が容易になるとともに、制御性を向上させることができる。
【0025】
そして、ベルト式無段変速機の挟圧力を制御するように構成した場合、変速に伴う油量の過不足を、変速を実行するために溝幅が変化させられる第1プーリにおける油圧室の容積の変化量から求めるので、変速時の油圧制御が容易になるとともに、その制御性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明に係る油圧制御装置で実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。
図2】ベルト式無段変速機における挟圧力を制御するように構成した制御例を示すブロック図である。
図3】この発明で対象とする制御バルブの電流と流量と前後差圧との関係を模式的に示す線図である。
図4】変曲点のある流量特性の一例を示す線図である。
図5】この発明で対象とすることのできるベルト式無段変速機の油圧制御装置の一例を模式的に示す油圧回路図である。
図6】そのバランスピストン型の制御バルブを模式的に示す断面図である。
図7】増圧側にバランスピストン型の制御バルブを用いた例を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明に係る油圧制御装置は、オイルによって動作するアクチュエータにオイルを供給し、もしくはそのアクチュエータからオイルを排出してそのアクチュエータの油圧を制御する装置であり、そのオイルの供給量もしくは排出量を、電流に応じて流量が変化する制御バルブによって制御するように構成されている。そのアクチュエータがこの発明における制御対象部であり、車両や産業機械などで広く一般に使用されているアクチュエータであってよい。また、この発明における制御バルブは、フィードバックポートを備えておらず、したがって調圧機能はそれ自体には備えていない。すなわち、この発明における制御バルブは、圧油の流量を制御して、制御対象部の油圧を制御するように構成されている。
【0028】
図5は車両用のベルト式無段変速機のプーリにおける油圧室を制御対象部とした油圧制御装置の例を示しており、そのベルト式無段変速機1はベルト2が巻き掛けられる駆動プーリ3と従動プーリ4とを備えている。これらのプーリ3,4は、固定シーブとその固定シーブに対して接近および離隔する可動シーブとによって構成され、可動シーブが固定シーブに対して相対的に移動することにより、両者の間に形成される溝の幅を変化させ、これにより変速比を無段階に変化させるように構成されている。そして、各プーリ3,4には可動シーブを移動させるための油圧室5,6が一体に設けられている。なお、駆動プーリ3にはエンジン7からトルクが伝達され、また従動プーリ4から図示しない駆動輪にトルクを出力するようになっている。各プーリ3,4のうちの一方のプーリの溝幅を変化させることにより、各プーリ3,4に対するベルト2の巻き掛け半径を変化させて変速を行い、また他方のプーリでベルト2を挟み付ける挟圧力を発生させて所定の伝達トルク容量を設定するように構成されている。図5に示す例では、駆動プーリ3によって変速を実行し、また従動プーリ4で挟圧力を発生するように構成されている。
【0029】
図5には従動プーリ4における油圧室6に対してオイルを供給し、また油圧室6からオイルを排出するための油圧回路の一例を模式的に示してあり、上記のエンジン7あるいは図示しないモータによって駆動されるオイルポンプ8で発生させた油圧をエンジン負荷などに応じたライン圧に調圧する調圧バルブ9が設けられており、そのライン圧が流通するライン圧油路10にアキュムレータ11が連通されている。なお、アキュムレータ11の油圧を検出する油圧センサ12がアキュムレータ11に連通して設けられており、またアキュムレータ11と調圧バルブ9との間には、アキュムレータ11から調圧バルブ9に向けた圧油の流通を阻止する逆止弁13が設けられている。
【0030】
上記のライン圧あるいはアキュムレータ11の油圧を従動プーリ4の油圧室6に導く油路である供給路14に増圧側の制御バルブ15が設けられている。また、その油圧室6をオイルパンなどのドレーン箇所に導く油路である排出路16に減圧側の制御バルブ17が設けられている。これらの制御バルブ15,17はバランスピストン型のポペットバルブであって、それぞれ同一の構成を有している。その構成を図6に拡大して示してあり、弁体15a(17a)と一体のピストン15b(17b)がシリンダ部15c(17c)の内部に前後動可能に収容されている。そのシリンダ部15c(17c)のうち弁体15a(17a)が収容されている油室15d(17d)には、高圧側の油圧が供給される流入ポート15e(17e)と、低圧箇所に向けて油圧を出力する流出ポート15f(17f)とが形成されている。なお、流出ポート15f(17f)は前記弁体15a(17a)の先端側のエンドプレート部に形成されており、弁体15a(17a)が突き当たることにより閉じ、弁体15a(17a)が後退することにより開くように構成されている。さらに、弁体15a(17a)が収容されている油室15d(17d)とはピストン15b(17b)を挟んで反対側の油室15g(17g)には、ピストン15b(17b)を前記流出ポート15f(17f)側に押圧するスプリング15h(17h)が配置され、また信号圧ポート15i(17i)が形成されている。この信号圧ポート15i(17i)と前記流入ポート15e(17e)とは絞り作用のある流路径の小さい連通路15j(17j)によって連通されている。なお、この連通路15j(17j)は、要は、各油圧室15d,15g(17d,17g)を連通するためのものであるから、ピストン15b(17b)をその軸線方向に貫通させて形成されていてもよい。そして、信号圧ポート15i(17i)に電磁開閉弁15k(17k)が連通されている。この電磁開閉弁15k(17k)は、電流に応じて開弁するバルブであって、開弁動作することにより信号圧ポート15i(17i)を前記流入ポート15e(17e)に連通させるように構成されている。すなわち、電磁開閉弁15k(17k)は、スプリング15h(17h)が配置されている油室15g(17g)を低圧箇所に選択的に連通させるように構成されている。したがって、各制御バルブ15,17は、それぞれの電磁開閉弁15k,17kの電流値に応じて流量が増大するように構成されている。
【0031】
これらの制御バルブ15,17のうち増圧側の制御バルブ15における流入ポート15eに供給路14が連通され、またその流出ポート15fが従動プーリ4における油圧室6に連通されている。これに対して減圧側の制御バルブ17における流入ポート17eに従動プーリ4における油圧室6が連通され、またその流出ポート17fがオイルパン18などのドレーン箇所に連通されている。さらに、従動プーリ4における油圧室6の油圧を検出して信号を出力する油圧センサ19が設けられている。
【0032】
そして、上記のベルト式無段変速機1を制御する電子制御装置(ECU)20が設けられている。この電子制御装置20は、マイクロコンピュータを主体にして構成されており、車速やアクセル開度ならびに上記の各油圧センサ12,19の検出信号などの入力データ、および予め記憶しているデータに基づいて演算を行い、その演算の結果を制御信号として出力するように構成されている。その制御として、各油圧センサ12,19で検出された油圧に基づいて、上記の各制御バルブ15,17(特にその電磁開閉弁15k,17k)の電流を制御するように構成されている。
【0033】
この発明に係る油圧制御装置は、上述した油圧回路を対象とする場合、以下の制御を行うように構成されている。図1はその制御例を説明するためのフローチャートであり、また図2はその制御ロジックを説明するためのブロック図である。ここで説明する例は、ベルト式無段変速機1におけるベルト挟圧力を制御する例であり、先ず、目標圧と制御圧とが読み込まれる(ステップS1)。目標圧は、ベルト式無段変速機1における挟圧力においては、アクセル開度で表される車両に対する駆動要求量や車速などに基づいて決まる圧力であり、従来知られている無段変速機で行われている制御と同様にして求めることができる。また、制御圧はこの発明における「実油圧」であって、ここに示す例では、従動プーリ4における油圧室6の油圧であり、前述した油圧センサ19によって検出される。これら目標圧と制御圧との差である目標圧偏差が算出される(ステップS2)。これは、図2のブロック図では、減算器101として示してある。
【0034】
その目標圧偏差に基づいて、制御量である圧油の流量が求められる(ステップS3)。この制御は、例えばPID制御などのフィードバック制御によって行うことができ、その制御ゲインは、応答性や安定性などを考慮して予め定めておくことができる。これに続けて、あるいは並行もしくは先行して、目標圧偏差から必要流量が求められる(ステップS4)。すなわち、目標圧偏差が必要流量に変換される。これは、主として、油圧剛性を考慮して求められる。その油圧剛性は、圧油の単位変化量に対する油圧の変化量の比率で表すことができ、例えば圧油を供給しても油圧が上昇し難ければ油圧剛性が低く、反対に少量の圧油を供給して大きく油圧が上昇すれば油圧剛性が高いことになる。この油圧剛性は対象とする油圧回路や制御対象部に固有の特性であり、実験やシミュレーションあるいは実機での測定などによって予め求めておくことができる。また、必要流量への変換は、マップを用いて行うことができ、あるいは演算式を用意してその演算式によって行うことができる。
【0035】
なお、図1に示す例では、目標圧偏差に基づく時々刻々(あるいは図1のルーチンのサイクルタイム毎)の流量を、主として油圧剛性を考慮した必要流量に変換することになるが、この制御の順序を反対にして図2に示すように、目標圧偏差を主として油圧剛性βを考慮して変換器102によって必要流量に変換し、その必要流量から比例器103や積分器104などを有する制御器によって時々刻々(あるいは制御ルーチンのサイクルタイム毎)の流量を求めることとしてもよい。
【0036】
こうして求められた流量に補正流量が加算される(ステップS5)。これは、図2のブロック図では、加算器105として示してある。この補正流量は、ベルト挟圧力については、駆動要求量に対応した油圧を維持もしくは設定するために必要とする油量に、他の要因で加算される流量であり、変速によって前述した油圧室6の容積が大きく変化することに伴う流量や、油圧センサ19の検出値の低下として現れる何らかのフェールによる圧油の不足分などである。変速やフェールが生じていない場合には、補正流量は「0」となり、その場合はステップ5では何らの制御も行わないことになる。これとは反対にダウンシフトなどの変速によって上記の油圧室6の容積が増大する場合や何らかのフェールによって圧油の漏れが生じている場合には、ステップ5で補正流量が加算され、またアップシフトなどによって上記の油圧室6の容積が減少する場合には、ステップS5で補正流量が減算(負の量が加算)される。
【0037】
これらの補正流量は、必要に応じて適宜な手法で求めることができ、例えば変速に伴う補正流量は、ベルト式無段変速機1のプーリ3,4の構造に基づいて演算できる。すなわち、エンジン7の目標回転数を達成するための目標変速比に基づいて各プーリ3,4に対するベルト2の巻き掛かり径が求まる。その巻き掛かり径での溝幅すなわち可動シーブの位置はプーリ3,4の構造から幾何学的に決まる。そして、その目標変速比での可動シーブの位置と現在の変速比での可動シーブの位置とによって油圧室4,6の容積の変化量を求めることができ、これに基づいて補正流量を決めることができる。また、前述したように油圧剛性は予め求めておくことができるから、油圧センサ19の検出値の低下量に基づいて圧油の漏れ量を知ることができ、これを補正流量とすればよい。
【0038】
上記の制御に続けて、もしくは並行して、あるいは先行して、制御バルブ15,17の前後差圧が読み込まれる(ステップS6)。フィードバックポートを備えていないポペット型のバルブでは、開弁した場合の流量が開度だけでなく前後差圧によっても異なる。図3にその例を概念的に示してあり、ノーマル・クローズタイプのバルブであれば、電流値に応じて流量が増大するが、その増大の勾配もしくは傾向は、前後差圧が大きい場合には緩やかな増加勾配となり、これに対して前後差圧が小さい場合には低電流側で増加勾配が大きく、かつ比較的低い電流で上限流量に達してしまう。このように前後差圧によって流量特性が変化するので、現在時点での流量特性を決定するために前後差圧が求められる。ここで、前後差圧は、増圧側の制御バルブ15については、各油圧センサ12,19によって検出された油圧の差であり、減圧側の制御バルブ17については、従動プーリ4における油圧室6の油圧すなわち油圧センサ19によって検出された油圧である。こうして求められた前後差圧に基づいて流量特性が決定され、その流量特性を使用して、必要流量に対応する電流値が求められる(ステップS7)。
【0039】
なお、図2に示すブロック図では、補正流量を加算した必要流量に基づいて、油圧の保持、増圧、減圧のいずれかが選択器106によって選択される。必要流量が「0」であれば、各制御バルブ15,17を閉弁状態に維持することになる。これに対して増圧するべき状態であれば、前述した増圧側の制御バルブ15についての電流値が、電流演算器107によって上記の流量特性に基づいて算出され、また減圧すべき状態であれば、前述した減圧側の制御バルブ17についての電流値が、電流演算器107によって上記の流量特性に基づいて算出される。そして、その電流値が所定の電磁開閉弁15k(17k)に制御指令信号として出力され、それに応じた量の圧油の流通が生じる。その流量は、電流値を求める根拠となった前記の必要流量である。また、変速に伴う油圧室4,6の容積の変化に応じた補正流量が加算されている場合には、その容積の変化を加えた流量である。その結果、所定のプーリ3,4における油圧室5,6の油圧が、上記の必要流量に応じた圧力に設定される。その必要流量と設定される油圧とは、前述した油圧剛性によって決まる関係にあるから、結局、制御圧が目標圧に追従もしくは一致するように制御される。
【0040】
上述したこの発明に係る油圧制御装置は、制御対象部の油圧を圧油の流量を制御して制御する場合に、制御偏差を、制御対象部の油圧剛性などの特性に基づいて目標流量に置き換え、その目標流量に基づいて制御のための電流値を求めるから、電流値の変化に対する流量の変化量が大きい流量特性であっても、制御ゲインを変更するなどの操作を必要とすることなく、安定して油圧を制御することができる。また、流量特性が小流量の場合と大流量の場合とで異なっている場合であっても、制御性を向上させることができる。すなわち、前述したバランスピストン型の制御バルブは、電磁開閉弁に通電して開くことにより、電磁開閉弁を通って高圧側から低圧側に圧油が流れ、かつピストンが移動して開弁することにより高圧側から低圧側に圧油が流れ始め、その量が開口量が増大することにより増大する。そのため、電流と流量との関係は、例えば図4に示すように変曲点のある特性になる。このような特性のバルブを、目標圧偏差から求めた制御電流で制御するとすれば、少電流・少流量の場合と、大電流・大流量の場合とで電流に対する流量のゲインが大きく異なってしまうので、精度よくかつ安定して油圧制御を行うことが困難になる。これに対して上述したこの発明に係る制御装置では、目標流量から電流値を求めるから、その制御性は電流と流量との関係が少電流・少流量の場合と大電流・大流量の場合とで異なっていても、このような流量特性によって制御性が影響されることはない。その結果、精度よく、また安定した油圧制御を行うことができ、また制御ゲインを頻繁かつ多様に変化させる必要がないなど、制御性を向上させることができる。
【0041】
なお、この発明は車両用ベルト式無段変速機の油圧制御装置に適用することにより高圧の油圧の漏れや流出を抑制してエネルギ効率を大きく向上させることができるが、この発明は上記のベルト式無段変速機の油圧制御装置以外に各種の産業機械などの広く一般の機械装置における油圧制御装置に適用することができる。また、ベルト式無段変速機の油圧制御装置に適用する場合、その油圧制御装置は増圧側と減圧側との両方にバランスピストン型の制御バルブが設けられている必要はなく、いずれか一方にのみバランスピストン型の制御バルブが設けられ、他方には従来一般的な調圧バルブが設けられていてもよい。図7は増圧側のバルブとして前述したバランスピストン型の制御バルブ15を設け、減圧側のバルブを例えば従来知られているスプールタイプのリニアソレノイドバルブからなる調圧バルブ21とした例を示している。このような構成であれば、エンジン7が停止してオイルポンプ8が停止した場合、ライン圧油路10の圧油を漏洩しないように閉じ込め、ライン圧を維持することができる。したがって、エンジン7の停止制御を行う車両において、エンジン停止時の油圧を確保するべく電動オイルポンプを備えていたり、あるいはアキュムレータ11に蓄圧するように構成されている場合、ライン圧を維持することができることにより、それらの電動オイルポンプあるいはアキュムレータ11を容量の小さいものとすることができ、ひいては車両あるいは変速機の全体としての構成を小型軽量化することができる。
【0042】
また、図7に示す構成とは反対に、減圧側のバルブにバランスピストン型の制御バルブを用い、増圧側に従来の一般的な調圧バルブを配置する構成とした場合には、前述した油圧室4,6などの制御対象部からの圧油の排出量を少なくすることができ、それに伴ってオイルポンプ8の負荷や動力損失を低減できる。また、バランスピストン型の制御バルブを用いた場合、その制御のために前後差圧を検出する必要があるが、図5図7に示すベルト式無段変速機の油圧制御装置にあってはプーリの油圧を検出する油圧センサを備えているので、これを入流側の油圧センサとして利用でき、その結果、油圧センサの数を少なくして装置の全体としての構成を簡素化、小型化することが可能になる。
【0043】
さらに、この発明における制御バルブは、例えばソレノイドで弁体を直接駆動して開閉制御する構成のバルブであってもよく、そのようなバルブを対象とする場合であっても、この発明によれば、そのバルブの電流値を、目標圧偏差に基づいて求めるから、制御の安定性が向上し、また制御ゲインの設定が容易になるなど、制御性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1…ベルト式無段変速機、 3…駆動プーリ、 4…従動プーリ、 5,6…油圧室、 7…エンジン、 12…油圧センサ、 14…供給路、 15,17…制御バルブ、 16…排出路、 15a,17a…弁体、 15b,17b…ピストン、 15c,17c…シリンダ部、 15d,17d…油室、 15e,17e…流入ポート、 15f,17f…流出ポート、 15g,17g…油室、 15h,17h…スプリング、 15i,17i…信号圧ポート、 15j,17j…連通路、 15k,17k…電磁開閉弁、 19…油圧センサ、 20…電子制御装置(ECU)、 101…減算器、 102…変換器、 103…比例器、 104…積分器、 105…加算器、 106…選択器、 107…電流演算器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】