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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2014年6月26日
【発行日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161216BHJP
【FI】
   H02M7/48 L
   H02M7/48 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2014-552905(P2014-552905)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2013年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-274290(P2012-274290)
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】岡松 昌志
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770BA11
5H770CA05
5H770CA06
5H770DA01
5H770FA01
5H770FA13
5H770HA03Y
5H770JA14W
5H770JA17W
(57)【要約】
電力変換装置は、直流電力を変換して出力交流電圧を有する交流電力を発生するインバータと、インバータと電気的に接続されたキャパシタ回路とを備える。キャパシタ回路は、インバータ回路の起動時に、出力交流電圧のゼロクロス点から所定の待機期間だけ経過した時点で、出力交流電圧に対して実質的にπ/4ラジアンずれた位相を有するキャパシタ電圧をインバータに供給し始めるように動作する。インバータは、インバータに供給されたキャパシタ電圧と直流電力とから出力交流電力を発生するように動作する。所定の待機時間は、出力交流電圧の位相の2πn+3π/4ラジアンまたは2πn+7π/4ラジアンに相当する期間である(nは0以上の整数)。この電力変換装置は、起動後、早期に入力電力のリップル電力を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を変換して出力交流電圧を有する交流電力を発生するインバータと、
前記インバータと電気的に接続されて、キャパシタを有するキャパシタ回路と、
を備え、
前記キャパシタ回路は、前記インバータ回路の起動時に、前記出力交流電圧のゼロクロス点から所定の待機期間だけ経過した時点で、前記出力交流電圧に対して実質的にπ/4ラジアンずれた位相を有するキャパシタ電圧を前記インバータに供給し始めるように動作し、
前記インバータは、前記キャパシタ電圧と前記直流電力とから前記出力交流電力を発生するように動作し、
前記所定の待機時間は、前記出力交流電圧の位相の2πn+3π/4ラジアンまたは2πn+7π/4ラジアンに相当する期間である(nは0以上の整数)、電力変換装置。
【請求項2】
前記キャパシタを放電させる放電回路をさらに備えた、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記放電回路は、前記インバータの起動までに前記キャパシタを放電させる、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記放電回路は、前記出力交流電圧の前記ゼロクロス点から前記所定の待機期間だけ経過した前記時点までに前記キャパシタを放電させる、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記キャパシタは前記インバータから供給された電力で充電されるように構成されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記キャパシタ回路は、前記インバータの起動時から、前記出力交流電圧の前記ゼロクロス点から前記所定の待機期間だけ経過した前記時点までは前記キャパシタ電圧を出力しないように動作する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記キャパシタ電圧は前記出力交流電圧に対して実質的にπ/4ラジアン進む位相を有する、請求項1に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力から交流電力への変換を行うことが可能な電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の直流電力を交流電力へ変換して出力する従来の電力変換装置としての単相電力調整装置が、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
図7は特許文献1に記載されている電力調整装置104を含む電力系統100の概略図である。電力調整装置104は単相電力調整装置である。電力系統100は、AC負荷106及びエネルギー貯蔵部108に接続されている電力調整装置104とエネルギー源102とを有する。AC負荷106は、公共電源網と単相接続されていても良い。エネルギー源102は、例えば、太陽電池等である。エネルギー貯蔵部108は、例えばキャパシタ等の蓄電素子である。電力調整装置104と一体になっている制御装置は、電力が使用可能で有効な場合には、いつでもエネルギー源102から最大電力を引き出すために、最適な電力点で電力系統100の動作を維持するように作用する。電力調整装置104は、例えばインバータ等である。
【0004】
次に、電力調整装置104を含む電力系統100の動作を説明する。電力系統100は第1AC波形を電力調整装置104の出力にて検出する。そして、第1AC波形と同じ周波数である第2AC波形がエネルギー貯蔵部108で生成される。第2AC波形は第1AC波形の位相に対してπ/4ラジアンだけ位相をずらす。それによってエネルギー源102により供給される電力の二倍周波数リップル電力を最小にすることができる。すなわち、エネルギー貯蔵部108内へまたは外へ流れている、第2AC波形を有する電気エネルギーは、電力調整装置104とエネルギー貯蔵部108との間に設けられるインターフェース部のスイッチング動作により制御され、ずれた第2AC波形を追跡し、それによって二倍の周波数を有するリップル電力を補償する。
【0005】
電力調整装置104(インバータ)を含む電力系統100は、エネルギー源102により供給される電力の二倍周波数のリップル電力を低減することができる。しかし、リップル電力が安定して低減するまでに数10秒のオーダーで時間がかかる場合がある。その間は、電力が不安定となり、AC負荷106の動作に影響を与える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−501635号公報
【発明の概要】
【0007】
電力変換装置は、直流電力を変換して出力交流電圧を有する交流電力を発生するインバータと、インバータと電気的に接続されたキャパシタ回路とを備える。キャパシタ回路は、インバータ回路の起動時に、出力交流電圧のゼロクロス点から所定の待機期間だけ経過した時点で、出力交流電圧に対して実質的にπ/4ラジアンずれた位相を有するキャパシタ電圧をインバータに供給し始めるように動作する。インバータは、インバータに供給されたキャパシタ電圧と直流電力とから出力交流電力を発生するように動作する。所定の待機時間は、出力交流電圧の位相の2πn+3π/4ラジアンまたは2πn+7π/4ラジアンに相当する期間である(nは0以上の整数)。
【0008】
この電力変換装置は、起動後、早期に入力電力のリップル電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明の実施の形態1における電力変換装置のブロック回路図である。
図2図2は実施の形態1における電力変換装置の信号を示す図である。
図3図3は実施の形態1における電力変換装置の他の信号を示す図である。
図4図4は比較例の電力変換装置の信号を示す図である。
図5A図5Aは他の比較例の電力変換装置の信号を示す図である。
図5B図5B図5Aに示す信号の拡大図である。
図6A図6Aは本発明の実施の形態2における電力変換装置のブロック回路図である。
図6B図6Bは実施の形態2における他の電力変換装置のブロック回路図である。
図7図7は従来の電力調整装置を含む電力系統の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電力変換装置11のブロック回路図である。電力変換装置11は、直流電力が入力されるように構成された入力端子13と、入力端子13と電気的に接続されたインバータ15と、インバータ15と電気的に接続された出力端子17と、インバータ15と電気的に接続されたキャパシタ回路19とを備える。インバータ15は直流電力を、出力交流電圧Vacを有する交流電力に変換するように構成されている。出力端子17は変換された交流電力を出力するように構成されている。インバータ15は、起動時に、交流電力の出力交流電圧Vacの波形のゼロクロス点から所定の待機期間が経過したときに、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19から供給し始めるようにキャパシタ回路19を制御する。所定の待機期間は実質的に出力交流電圧Vacの位相の2πn+3π/4ラジアンまたは2πn+7π/4ラジアンに相当する期間である(nは0以上の整数)。
【0011】
図7に示す電力調整装置104(インバータ)を含む電力系統100は、エネルギー源102により供給される電力の二倍周波数のリップル電力を低減することができる。しかし、電力系統100における制御がインバータの起動直後に行なわれると、直ちにリップル電力が低減されるのではなく、電力系統100のインピーダンスによりリップル電力が安定して低減するまでに数10秒のオーダーで時間がかかる可能性がある。その間は、電力が不安定となり、AC負荷106の動作に影響を与える可能性がある。
【0012】
図1に示す実施の形態1における電力変換装置11では、インバータ15の起動後、出力交流電圧Vacのゼロクロス点から上記の所定の待機期間が経過した時点で、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアン進むようにずれたキャパシタ電圧Vcの波形をキャパシタ回路19がインバータ15へ供給し始める。これにより、キャパシタ回路19のキャパシタの初期充電時におけるキャパシタ電圧Vcの変化する方向と、電力変換装置11の安定駆動時におけるキャパシタ電圧Vcの変化の方向が合致する。その結果、位相が実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcの波形がキャパシタ回路19からインバータ15へ供給されても、その時点でほぼ安定駆動時におけるキャパシタ電圧Vcの波形と同等の波形が得られ、直ちにリップル電力が安定する。ゆえに、起動後、早期にインバータ15に入力される入力電力Piに含まれるリップル電力を低減することができる。
【0013】
以下、より具体的に本実施の形態1における電力変換装置11の構成、動作について説明する。なお、実施の形態1における電力変換装置11の入力端子13には、直流電源21が出力する直流電力が入力されて交流電力に変換されて出力端子17から出力される。
【0014】
図1において、電力変換装置11の入力端子13には直流電源21が電気的に接続されている。実施の形態1では直流電源21は太陽電池である。直流電源21が発電した直流電力は、入力端子13から電力変換装置11に入力される。
【0015】
一方、電力変換装置11の出力端子17には、商用の系統電源23が電気的に接続される。電力変換装置11から出力される交流電力は系統電源23を介して接続される電気製品などの負荷に供給される。また、この交流電力は系統電源23へ逆潮流するようにしてもよいし、出力端子17は系統電源23を介さず負荷にのみ電気的に接続されてその負荷にのみ交流電力を供給してもよい。
【0016】
電力変換装置11の入力端子13にはインバータ15が電気的に接続される。インバータ15はスイッチング素子を有する。そのスイッチング素子は入力端子13から入力された直流電力を切り替えて、電力変換装置11はその直流電力を系統電源23に適合する例えば100Vで周波数60Hzの出力交流電圧Vacを有する交流電力に変換するように構成されている。電力変換装置11はインバータ15をはじめ電力変換装置11の全体を制御する制御回路15Aを備える。インバータ15の出力が出力端子17に接続される。
【0017】
インバータ15にはキャパシタ回路19が電気的に接続されている。キャパシタ回路19は電力を蓄えるキャパシタ19Aを有する。キャパシタ19Aはインバータ15から供給された電力で充電されるように構成されている。キャパシタ回路19は、キャパシタ19Aに蓄積された電力から、インバータ15が生成する出力交流電圧Vacに対し実質的にπ/4ラジアンずらしたキャパシタ電圧Vcを生成してインバータ15へ供給するように構成されている。なお、以下の説明において、実質的にπ/4ラジアン進むようにずらした波形は、キャパシタ回路19が波形生成の位相誤差範囲内でπ/4ラジアン進むようにずらした波形であってもよい。すなわち、波形の位相が誤差±eラジアンを有する場合には、π/4ラジアンずらした波形とは、実質的にπ/4±eラジアンずらした波形となる。
【0018】
次に、電力変換装置11の動作について説明する。
【0019】
まず、電力変換装置11の起動から時間が十分経過した時点での動作である定常動作について説明する。インバータ15の制御回路15Aは、インバータ15から出力される出力交流電圧Vacの波形を取り込む。次に、制御回路15Aは、キャパシタ回路19に内蔵されるキャパシタ19Aの充放電電力を活用して、出力交流電圧Vac対して実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcを生成してインバータ15へ供給する。インバータ15は、キャパシタ回路19が生成したキャパシタ電圧Vcを取り込むためのインターフェース回路を有する。このインターフェース回路は制御回路15Aにより制御される。制御回路15Aは、キャパシタ19Aの充放電によりキャパシタ回路19は出力交流電圧Vacに対して実質的にπ/4ラジアンずれた位相を有するキャパシタ電圧Vcを生成するようキャパシタ回路19を制御する。制御回路15Aはインターフェース回路を制御して、キャパシタ回路19で生成されたキャパシタ電圧Vcをインバータ15へ供給する。このような動作により、直流電源21からインバータ15に入力される入力電力Piのリップル電力を低減することができる。
【0020】
キャパシタ回路19のキャパシタ19Aは、電力変換装置11の使用が終了した後に、その内部抵抗により自然放電される。そして、電力変換装置11を再起動する際には、キャパシタ19Aが放電し切っている可能性が高い。この状態で、直ちにキャパシタ回路19により実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcを生成しようとしても、キャパシタ19Aへの充電期間を考慮すると、起動初期の段階でのキャパシタ電圧Vcは定常時のキャパシタ電圧Vcの波形と異なる波形を有する。このような波形のキャパシタ電圧Vcを用いると、入力電力Piのリップル電力を十分低減できない可能性がある。
【0021】
実施の形態1における電力変換装置11の起動時の動作を説明する。図2は電力変換装置11の出力交流電圧Vacとキャパシタ電圧Vcとインバータ15に入力される入力電力Piとを示す。図2において、縦軸は電圧もしくは電力を示し、横軸は時刻を示す。
【0022】
まず、時刻t0で電力変換装置11が起動すると、インバータ15は図2に示す出力交流電圧Vacを発生する。出力交流電圧Vacの周波数は60Hzであり実効値は100Vである。
【0023】
インバータ15の制御回路15Aは、発生した出力交流電圧Vacを検出し、時刻t0から時刻t1までの1周期分におけるゼロクロス点Vac0を検知する。制御回路15Aは、起動した時刻t0からゼロクロス点Vac0を検知する時刻t1までのゼロクロス検知期間P0には、キャパシタ回路19を動作させず、キャパシタ回路19が出力するキャパシタ電圧Vcは0Vのままである。
【0024】
時刻t0から時刻t1までのゼロクロス検知期間P0はキャパシタ回路19が動作していないので、リップル電力を低減する動作も行われていない。したがって、図2に示すように、ゼロクロス検知期間P0では、インバータ15に入力される入力電力Piは周期的に出現するピーク値が経時的に大きくなり大きなリップル電力が発生する。このように、入力電力Piの変動が経時的に大きくなるので、インバータ15による交流変換の精度に影響を及ぼす可能性が高くなる。
【0025】
実施の形態1における電力変換装置11では、早期に入力電力Piのリップル電力を低減するために、インバータ15の制御回路15Aは、ゼロクロス点Vac0を検知した時刻t1から所定の待機期間TD1が経過した時刻t2からキャパシタ回路19の動作を開始し、図2に示すように、出力交流電圧Vacに対し実質的にπ/4ラジアン進むようにずれたキャパシタ電圧Vcを生成させ始める。キャパシタ電圧Vcを、制御回路15Aが時刻t2からインバータ15へ供給することにより、時刻t2以降に入力電力Piのピーク値が経時的に大きくなることはなく、入力電力Piが安定化する。所定の待機期間TD1は出力交流電圧Vacの位相の3π/4ラジアンに相当する期間である。
【0026】
電力変換装置11の起動後早期に入力電力Piを安定化させる動作について、以下に説明する。
【0027】
時刻t2において、出力交流電圧Vacは経時的に低下している。また、時刻t2における定常動作時、すなわち電力変換装置11が低リップル状態で安定駆動されている時の出力交流電圧Vacに対し位相が実質的にπ/4ラジアン進むようにずれたキャパシタ電圧Vcの変化分であるキャパシタ電圧変化Vciも経時的に低下する。
【0028】
一方、キャパシタ電圧Vcは、ゼロクロス点Vac0から所定の待機期間TD1が経過した時刻t2ではキャパシタ電圧Vcが0である。所定の待機期間TD1は実質的に出力交流電圧Vacの位相の3π/4ラジアンに相当する期間である。時刻t2から制御回路15Aがキャパシタ回路19を動作させ始めると、キャパシタ回路19のキャパシタ19Aの充電が開始される。上記したように時刻t2で出力交流電圧Vacは経時的に低下しているので、キャパシタ電圧Vcが負になる方向に充電される。したがって、キャパシタ19Aを充電する電圧の変化分である充電電圧変化Vcjでは経時的に電圧が低下してキャパシタ19Aが充電される。なお、図2において、時刻t2での電圧変化Vci、Vcjは、これらの変化の方向が同じであるので重なっている。
【0029】
これらのことから、時刻t2以降では、定常動作時におけるリップル電力を低減するためのキャパシタ電圧Vcのキャパシタ電圧変化Vciの変化の方向と、キャパシタ19Aの充電電圧変化Vcjの変化の方向とが同じとなる。ゆえに、時刻t2以降において、電圧変化Vci、Vcjを合成した電圧の変化は、定常動作時におけるキャパシタ電圧Vcの変化と同じ方向である。換言すれば、本来、充放電を繰り返すキャパシタ19Aの定常動作時において、キャパシタ19Aが負電位方向へ充電されるタイミングが時刻t2である。このタイミング、すなわち、ゼロクロス点Vac0から3π/4ラジアンに相当する待機期間TD1が経過した時点で、キャパシタ回路19から実質的にπ/4ラジアン進むようにずれたキャパシタ電圧Vcを生成してインバータ15に供給し始めることで、その時点から直ちに入力電力Piのリップル電力を低減することができる。このような動作により、電力変換装置11は早期にリップル電力を低減することが可能となる。
【0030】
なお、上記の説明では、ゼロクロス点Vac0から3π/4ラジアンに相当する待機期間TD1が経過した時点で制御回路15Aはキャパシタ回路19を動作させ始める。所定の待機期間TD1は厳密に位相の3π/4ラジアンに相当する期間に限定されるものではなく、誤差範囲内で実質的に出力交流電圧Vacの位相の3π/4ラジアンに相当する期間であればよい。
【0031】
時刻t2以降では、図2に示すように、入力電力Piのリップル電力が低減され、それ以降の周期(時刻t3〜時刻t4、時刻t4〜時刻t5、時刻t5〜時刻t6、時刻t6〜時刻t7、…)においても、リップル電力が継続して抑制されている。
【0032】
なお、キャパシタ回路19を起動するタイミングは、出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から実質的に3π/4ラジアンに相当する待機期間TD1が経過した時刻t2に限定されるものではなく、制御回路15Aは時刻t2の1周期以上先の時点でキャパシタ回路19を起動してもよい。この場合も、上記理由により、キャパシタ回路19の起動後、早期にリップル電力を低減することができる。従って、インバータ15の制御回路15Aは、起動時に、交流電力における出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から所定の待機期間TD1が経過した時点で、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19から供給し始める。所定の待機期間TD1は実質的に出力交流電圧Vacの位相の2πn+3π/4ラジアンに相当する期間である(nは0以上の整数)。これは、キャパシタ回路19が動作していないn個の周期の間に発生する入力電力Piのリップル電力が問題とならない仕様の電力変換装置11に適用できる。しかし、キャパシタ回路19の起動が遅れると、起動までの期間は、例えば図2に示す時刻t1から時刻t2までの期間では、入力電力Piにリップル電力が重畳されるので、整数nはできるだけ小さい方が望ましい。
【0033】
次に、早期に入力電力Piのリップル電力を低減する電力変換装置11の他の動作について説明する。図3は電力変換装置11のその動作での信号を示す。図3において図2に示す信号と同じ部分には同じ参照符号を付す。
【0034】
まず、時刻t0で電力変換装置11が起動すると、インバータ15は図3に示す出力交流電圧Vacを発生する。出力交流電圧Vacの周波数は60Hzであり、実効値は100Vである。
【0035】
インバータ15の制御回路15Aは、発生した出力交流電圧Vacを検出し、時刻t0から時刻t1までの1周期分におけるゼロクロス点Vac0を検知する。ゼロクロス点Vac0を検知するまでのゼロクロス検知期間P0ではキャパシタ回路19は動作しておらず、図3に示すように、キャパシタ電圧Vcは0Vのままである。ゆえに、電力変換装置11はリップル電力を低減する動作を行っていないので、図3に示すように、入力電力Piは周期的に出現するピーク値が経時的に大きくなる。その結果、入力電力Piの変動が経時的に大きくなり、インバータ15による交流変換精度に影響を及ぼす可能性が高くなる。
【0036】
図3に示すように、早期に入力電力Piのリップル電力を低減するために、制御回路15Aは、ゼロクロス点Vac0を検知した時刻t1から所定の待機期間TD2が経過した時刻t8からキャパシタ回路19の動作を開始する。制御回路15Aは、図3に示すように、出力交流電圧Vacに対し実質的にπ/4ラジアン進むようにずれた位相を有するキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19に生成させてインバータ15に供給し始める。所定の待機期間TD2は出力交流電圧Vacの位相の7π/4ラジアンに相当する期間である。キャパシタ電圧Vcを制御回路15Aがインバータ15へ供給することにより、図3に示すように、時刻t8以降に入力電力Piのピーク値が経時的に大きくなることはなく、安定化する。
【0037】
電力変換装置11の起動後すぐに入力電力Piを安定化させる動作について、以下に説明する。
【0038】
時刻t8において出力交流電圧Vacは経時的に上昇している。また、時刻t8における定常動作時のキャパシタ電圧Vcの変化分であるキャパシタ電圧変化Vciも経時的に上昇している。
【0039】
ゼロクロス点Vac0から7π/4ラジアンに相当する期間が経過した時刻t8では、キャパシタ電圧Vcが0である。時刻t8から制御回路15Aがキャパシタ回路19を動作させ始めると、キャパシタ回路19のキャパシタ19Aの充電が開始される。上記のように、時刻t8で出力交流電圧Vacは経時的に上昇しているので、キャパシタ電圧Vcが正になる方向にキャパシタ19Aが充電される。したがって、キャパシタ19Aを充電する電圧の変化分である充電電圧変化Vcjは時刻t8において経時的に上昇する。なお、図3において、時刻t8以降でのキャパシタ電圧変化Vciと充電電圧変化Vcjの変化の方向が同じであるので、重なっている。
【0040】
これらのことから、時刻t8以降では、定常動作時におけるリップル電力を低減するためのキャパシタ電圧Vcのキャパシタ電圧変化Vciの変化の方向と、キャパシタ19Aを充電する電圧の充電電圧変化Vcjの変化の方向とが同じとなる。ゆえに、時刻t8以降において、電圧変化Vci、Vcjの変化の方向は、定常動作時におけるキャパシタ電圧Vcの変化と同じ方向になる。換言すれば、充放電を繰り返すキャパシタ19Aの定常動作時において、キャパシタ19Aが正方向へ充電されるタイミングが時刻t8である。このタイミング、すなわち、ゼロクロス点Vac0から7π/4ラジアンに相当する待機期間TD2が経過した時点(時刻t8)で、出力交流電圧Vacに対して実質的にπ/4ラジアン進むようにずれた位相を有するキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19が生成してインバータ15に供給し始めることで、その時点(時刻t8)から直ちに入力電力Piのリップル電力を低減することができる。このような動作により、電力変換装置11は早期にリップル電力を低減することが可能となる。
【0041】
このように、キャパシタ回路19は、インバータ15の起動時から、出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から所定の待機期間(TD1、TD2)だけ経過した時点まではキャパシタ電圧Vcを出力しないように動作する。
【0042】
なお、上記の説明では、ゼロクロス点Vac0から7π/4ラジアンに相当する待機期間TD2が経過した時点で、制御回路15Aはキャパシタ回路19を動作させるが、待機期間TD2は厳密に7π/4ラジアンに相当する期間に限定されるものではなく、誤差範囲内で実質的に7π/4ラジアンに相当する期間であってもよい。
【0043】
時刻t8以降では、図3に示すように、入力電力Piのリップル電力が低減され、それ以降の周期(時刻t3〜時刻t4、時刻t4〜時刻t5、時刻t5〜時刻t6、時刻t6〜時刻t7、…)においてもリップル電力が継続して抑制されている。
【0044】
なお、キャパシタ回路19を起動するタイミングは、出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から実質的に7π/4ラジアンに相当する期間が経過した時点(時刻t8)に限定されるものではなく、制御回路15Aは時刻t8の1周期以上先でキャパシタ回路19を起動してもよい。この場合も、上記動作により、キャパシタ回路19の起動後、早期にリップル電力を低減することができる。すなわち、インバータ15の制御回路15Aは、起動時に、交流電力の出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から所定の待機期間TD2が経過した時点で、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアン進むようにずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19から供給し始める。所定の待機期間TD2は実質的に出力交流電圧Vacの位相の2πn+7π/4ラジアンに相当する期間であってもよい(nは0以上の整数)。キャパシタ回路19が起動するまでのn個の周期の間に発生する入力電力Piのリップル電力が問題とならない仕様の電力変換装置11に適用できる。しかし、キャパシタ回路19の起動が遅れると、それまでの期間は、例えば図3に示す時刻t1から時刻t8までの期間のように、入力電力Piにリップル電力が重畳され、その大きさが経時的に大きくなるので、整数nはできるだけ小さい方が望ましい。
【0045】
以上のことから、インバータ15の制御回路15Aは、起動時に、交流電力における出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から所定の待機期間(TD1、TD2)が経過した時点で、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアン進むようにずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19がインバータ15に供給し始める。所定の待機期間(TD1、TD2)は実質的に出力交流電圧Vacの位相の2πn+3π/4ラジアンまたは2πn+7π/4ラジアンに相当する期間である(nは0以上の整数)。これにより、起動時の入力電力Piに重畳されるリップル電力を低減することができる。
【0046】
図4は比較例の電力変換装置の信号を示す。図4において、図2と同じ部分には同じ参照番号を付す。図4に示す比較例の電力変換装置では、出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0を検知した時刻t1に、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19からインバータ15に供給し始める。
【0047】
まず、時刻t0でその電力変換装置が起動すると、インバータ15は図4に示す出力交流電圧Vacを発生する。出力交流電圧Vacの周波数は60Hzであり、実効値は100Vである。
【0048】
インバータ15の制御回路は、発生した出力交流電圧Vacを検出し、時刻t0から時刻t1までの1周期におけるゼロクロス点Vac0を検知する。ゼロクロス点Vac0を検知するまでのゼロクロス検知期間P0では、キャパシタ回路19は動作しておらず、図4に示すように、キャパシタ電圧Vcは0Vのままである。ゆえに、リップル電力を低減する動作も行われていないので、インバータ15に入力される入力電力Piは周期的に出現するピーク値が経時的に大きくなる。
【0049】
制御回路はゼロクロス点Vac0を検知した時刻t1で直ちにキャパシタ回路19の動作を開始する。これにより、図4に示すように、出力交流電圧Vacに対して実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19は生成する。この場合のキャパシタ電圧Vcの波形は、定常時のキャパシタ電圧Vcの波形と異なる。
【0050】
時刻t1において、図4に示すように、出力交流電圧Vacは経時的に上昇している。これに対し、時刻t1における定常動作時のキャパシタ電圧Vcの変化分であるキャパシタ電圧変化Vciは、キャパシタ電圧Vcが出力交流電圧Vacに対し実質的にπ/4ラジアンずれているので、ピークの時点の手前でピークの電圧よりも低い電圧となる。そして、時刻t1以降では、定常動作時のキャパシタ電圧変化Vciがピークを呈した後、経時的に低下する。
【0051】
一方、図4に示すように、ゼロクロス点Vac0を検知した時刻t1ではキャパシタ電圧Vcが0である。時刻t1から制御回路がキャパシタ回路19を動作させると、キャパシタ回路19のキャパシタ19Aの充電が開始される。上記したように、時刻t1で出力交流電圧Vacは経時的に上昇しているので、キャパシタ電圧Vcが正になる方向にキャパシタ19Aが充電される。したがって、図4に示すように、キャパシタ19Aを充電する電圧での変化分である充電電圧変化Vcjは経時的に上昇する。
【0052】
これらのことから、時刻t1以降では、定常動作時におけるリップル電力を低減するためのキャパシタ電圧Vcの変化分であるキャパシタ電圧変化Vciの方向と、キャパシタ19Aを充電する電圧の変化分である充電電圧変化Vcjの方向とが異なる。ゆえに、時刻t1以降において、電圧変化Vci、Vcjを合成した電圧変化は、図4に示すように一度上昇してから下降する。そして、その後も多周期に亘って、キャパシタ電圧Vcのピーク値、平均値が経時的に徐々に上昇していく。図4に示すキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19からインバータ15へ供給すると、図4に示すように、時刻t1以降で、入力電力Piのリップル電力が発生し続ける。但し、図4に示す入力電力Piにおけるリップル電力は経時的には小さくなる傾向にあるので、時間が経てば、いずれ電力変換装置のインピーダンスにより、リップル電力が低減される。この場合、図2図3に示すような安定したリップル電力が得られるまでには、電力変換装置の仕様にもよるが、数10秒程度を要する。したがって、図4に示す信号による起動時の動作では、起動後、直ちにリップル電力が安定化しない。
【0053】
図5Aは他の比較例の電力変換装置の信号を示す。図5Aにおいて、図2と同じ部分には同じ参照番号を付す。図5Aに示す信号により動作する電力変換装置では、出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から実質的にπ/4ラジアンに相当する期間が経過した時点(時刻t9)から、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19からインバータ15に供給する。
【0054】
まず、時刻t0で電力変換装置11が起動すると、インバータ15は出力交流電圧Vacを発生する。出力交流電圧Vacの周波数は60Hzであり、実効値は100Vである。
【0055】
インバータ15の制御回路は、発生した出力交流電圧Vacを検出し、時刻t0から時刻t1までの1周期分におけるゼロクロス点Vac0を検知する。ゼロクロス点Vac0を検知するまでのゼロクロス検知期間P0では、キャパシタ回路19は動作しておらず、図5Aに示すように、キャパシタ電圧Vcは0Vのままである。ゆえに、リップル電力を低減する動作も行われていないので、図5Aに示すように、入力電力Piでは周期性に出現するピーク値が経時的に大きくなる。
【0056】
その後、ゼロクロス点Vac0から所定の待機期間TD3が経過した時刻t9で、制御回路はキャパシタ回路19の動作を開始する。これにより、図5Aに示すように、キャパシタ回路19は出力交流電圧Vacに対して実質的にπ/4ラジアンずれた位相を有するキャパシタ電圧Vcを生成する。所定の待機期間TD3は実質的に出力交流電圧Vacの位相のπ/4ラジアンに相当する期間である。この場合に発生するキャパシタ電圧Vcは定常時のキャパシタ電圧Vcと異なる。
【0057】
時刻t9において出力交流電圧Vacは経時的に上昇している。これに対し、時刻t9における定常動作時のキャパシタ電圧Vcの変化分であるキャパシタ電圧変化Vciは低下している。
【0058】
図5Aに示すように、ゼロクロス点Vac0から実質的にπ/4ラジアンに相当する待機期間TD3が経過した時刻t9では、キャパシタ電圧Vcが0である。時刻t9から制御回路がキャパシタ回路19を動作させると、キャパシタ回路19のキャパシタ19Aの充電が開始される。上記したように、時刻t9で出力交流電圧Vacは経時的に上昇しているので、キャパシタ電圧Vcが正になる方向にキャパシタ19Aは充電される。したがって、図5Aで示すキャパシタ19Aを充電する電圧の変化分である充電電圧変化Vcjは経時的に上昇する。
【0059】
図5Bは、時刻t9付近におけるキャパシタ電圧変化Vci、充電電圧変化Vcj、キャパシタ電圧Vcを示す。時刻t9以降で、キャパシタ電圧Vcの変化分であるキャパシタ電圧変化Vciは経時的に低下し、充電電圧変化Vcjは経時的に上昇している。しかし、充電電圧変化Vcjの上昇に比べ、キャパシタ電圧変化Vciの低下の度合いが大きいので、時刻t9以降において、電圧変化Vci、Vcjの合成波形は、図5Bに示すように緩やかに下降する。その後、図5Aに示すように、多周期に亘って、キャパシタ電圧Vcのピーク値、平均値が経時的に上昇していく。図5Aに示すキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19からインバータ15へ供給すると、時刻t9以降で、インバータ15に入力される入力電力Piのリップル電力が発生し続ける。但し、時間が経てば、いずれ電力変換装置11のインピーダンスにより入力電力Piのリップル電力が低減される。この場合、図2図3に示すリップル電力のように安定化するまでには、電力変換装置11の仕様にもよるが、数10秒程度を要する。したがって、図5Aに示す起動時の動作を行うと、起動後、直ちにはリップル電力が安定化しない。
【0060】
これらのことから、電力変換装置11の起動時に、図4に示す、出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0で位相が実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19から供給し始めた場合は、入力電力Piのリップル電力が大きい。また、図5Aに示す、出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0検知後、実質的にπ/4ラジアンに相当する待機期間TD3が経過した時点で、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアンずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19から供給し始めた場合でも、入力電力Piのリップル電力が大きい。
【0061】
実施の形態1における電力変換装置11では、インバータ15の制御回路15Aは、起動時に、交流電力における出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から所定の待機期間(TD1、TD2)が経過した時点で、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアン進むようにずれたキャパシタ電圧Vcをキャパシタ回路19から供給し始める。所定の待機期間(TD1、TD2)は、実質的に出力交流電圧Vacの位相の2πn+3π/4ラジアンまたは2πn+7π/4ラジアンに相当する期間である(nは0以上の整数)その結果、キャパシタ回路19のキャパシタ19Aの初期充電時におけるキャパシタ電圧Vc(充電電圧変化Vcj)の変化方向と、電力変換装置11の安定駆動時におけるキャパシタ電圧Vc(キャパシタ電圧変化Vci)の変化方向が合致する。その結果、出力交流電圧Vacに対して位相が実質的にπ/4ラジアン進むようにずれたキャパシタ電圧Vcがキャパシタ回路19からインバータ15へ供給され始めた時点においてほぼ安定駆動時におけるキャパシタ電圧Vcと同等のキャパシタ電圧Vcが供給されて、直ちにリップル電力が安定する。ゆえに、電力変換装置11では起動後、早期にリップル電力を低減することができる。
【0062】
(実施の形態2)
図6Aは本発明の実施の形態2における電力変換装置11Bのブロック回路図である。図6Aにおいて、図1に示す実施の形態1における電力変換装置11と同じ部分には同じ参照符号を付す。
【0063】
実施の形態2における電力変換装置11Bは、図1に示す実施の形態1における電力変換装置11に、キャパシタ回路19と電気的に接続された放電回路25をさらに備える。放電回路25は、電力変換装置11Bの使用終了時に、キャパシタ回路19のキャパシタ19Aの電荷を早期に放電する。したがって、電力変換装置11Bの再起動時に、キャパシタ19Aに電荷が残留している可能性が低減され、より確実に入力電力Piのリップル電力を低減することができる。
【0064】
以下、実施の形態2における電力変換装置11Bの詳細な構成について説明する。放電回路25はキャパシタ回路19と電気的に接続される。具体的には、放電回路25はキャパシタ19Aの両端に接続される。放電回路25は、例えば互いに直列に接続された放電抵抗25Aとトランジスタからなるスイッチ25Bとからなる直列回路で構成される。スイッチ25Bはインバータ15の制御回路15Aとも電気的に接続される。したがって、スイッチ25Bは制御回路15Aによりオンまたはオフの状態に切替される。
【0065】
次に、電力変換装置11Bの動作について述べる。
【0066】
まず、実施の形態2における電力変換装置11Bは起動時、および通常動作時は実施の形態1における電力変換装置11と同様に動作する。
【0067】
電力変換装置11Bの動作終了時に、制御回路15Aはインバータ15の動作を停止するとともに、放電回路25のスイッチ25Bをオンにするように動作する。これにより、キャパシタ19Aの両端に放電抵抗25Aが接続されるので、キャパシタ19Aは放電抵抗25Aにより急速に放電される。なお、スイッチ25Bはトランジスタに限定されるものではなく、他の半導体スイッチ素子やリレーなど、外部からオン、オフの制御ができるスイッチで構成される。
【0068】
放電抵抗25Aの抵抗値およびキャパシタ19Aの容量値は予め制御回路15Aのメモリに記憶されている。これらの値から、制御回路15Aは放電が完了する放電完了期間を計算することができる。制御回路15Aは、スイッチ25Bをオンにしてから、計算された放電完了期間が経過すると、スイッチ25Bをオフにする。このような動作により、キャパシタ19Aに蓄積した電荷を急速に放電することが可能となる。
【0069】
これにより、電力変換装置11Bを再起動する際、キャパシタ19Aの電圧やキャパシタ電圧Vcは0Vであるので、実施の形態1における電力変換装置11と同様の動作でリップル電力をより確実に低減することができる。
【0070】
なお、放電回路25を備えていない電力変換装置11では、使用を終了してからキャパシタ19Aが自己放電し終わるまでに電荷がキャパシタ19Aに残っている。その間に、再起動を行うと、キャパシタ電圧Vcが0Vではないので、電力変換装置11の起動を行っても、キャパシタ電圧Vcが実施の形態1における図2図3に示した信号からずれる可能性がある。この場合は、キャパシタ電圧Vcが安定化するまでに時間がかかり、その時間リップル電力を低減することができない場合がある。したがって、キャパシタ19Aの容量が大きい場合、あるいは、キャパシタ19Aの内部抵抗値が大きい場合は、実施の形態2における放電回路25は有効である。
【0071】
以上の構成、動作により、電力変換装置11Bの使用終了時に、キャパシタ回路19のキャパシタ19Aの電荷を早期に放電できる。したがって、電力変換装置11Bの再起動時に、キャパシタ19Aに電荷が残留している可能性が低減され、より確実にリップル電力の低減を行うことが可能となる。
【0072】
なお、実施の形態2では、制御回路15Aがキャパシタ19Aの放電完了期間を計算して求めている。制御回路15Aは、放電完了期間を予め求めて記憶してもよい。この場合、制御回路15Aが計算をする手間が省けるので、制御が容易になる。
【0073】
放電回路25は、インバータ15の起動までにキャパシタ19Aを放電させる。もしくは、放電回路25は、出力交流電圧Vacのゼロクロス点Vac0から所定の待機期間(TD1、TD2)だけ経過した時点までにキャパシタ19Aを放電させてもよい。
【0074】
図6Bは実施の形態2における他の電力変換装置11Cのブロック回路図である。図6Bにおいて、図6Aに示す電力変換装置11Bと同じ部分には同じ参照番号を付す。図6Aに示す電力変換装置11Bでは、放電回路25はスイッチ25Bと放電抵抗25Aの直列回路で構成されている。図6Bに示す電力変換装置11Cでは、放電回路25はスイッチ25Bを有しておらず放電抵抗25Aを有する。電力変換装置11Cでは、キャパシタ19Aの容量値と放電抵抗25Aの抵抗値によりキャパシタ19Aの放電が完了する放電完了期間が一義的に決定される。放電完了期間に応じて、電力変換装置11Cの再起動までの期間を規定することができる、制御回路15Aは、その期間以内には電力変換装置11Cを再起動しないように動作する。この動作により、スイッチ25Bが不要となり、その制御も不要となるので、回路構成および制御が容易になる。但し、この構成では、放電抵抗25Aには常に電流が流れるので、放電抵抗25Aの抵抗値を、電力変換装置11Cの効率に大きく影響しない程度に大きくする構成が望ましい。
【0075】
実施の形態1、2における出力交流電圧Vacの周波数と実効値の具体的な数値は一例であり、これらの数値に限定されるものではない。
【0076】
また、実施の形態1、2では、電力変換装置11、11B、11Cは直流電源の直流電圧を交流電圧に変換して出力するが、これに限定されるものではなく、一般的なインバータ回路に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明にかかる電力変換装置は、起動時のリップル電力を早期に低減できるので、特に直流電力を交流電力へ変換する電力変換装置として有用である。
【符号の説明】
【0078】
11,11B、11C 電力変換装置
15 インバータ
19 キャパシタ回路
19A キャパシタ
25 放電回路
Vac 出力交流電圧
Vac0 ゼロクロス点
Vc キャパシタ電圧
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】