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令和5(ワ)70502特許権侵害差止等請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所
裁判年月日 令和8年7月15日
事件種別 民事
当事者 原告S.RIDE株式会社
被告GO株式会社
対象物 情報処理装置および方法、並びにプログラム
法令 特許権
特許法100条1項1回
キーワード 進歩性48回
新規性48回
実施9回
特許権7回
無効5回
侵害3回
差止2回
刊行物1回
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 事案の要旨 本件は、発明の名称を「情報処理装置および方法、並びにプログラム」とす る特許(特許第5527045号。以下「本件特許」という。 )に係る特許権 (以下「本件特許権」という。 )を有する原告が、別紙被告プログラム目録記載 のプログラム(以下「被告プログラム」という。 )は本件特許の請求項9に記載 された発明(以下「本件発明」という。 )の技術的範囲に属し、被告による被告 プログラムの作成、使用、譲渡、貸渡し、電気通信回路を通じた提供が本件特 許権を侵害すると主張して、被告に対し、特許法100条1項に基づき、被告 プログラムの作成等の差止めを求めるとともに、同条2項に基づき、被告プロ グラムの抹消を求める事案である。

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判決文

令和8年7月15日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和5年(ワ)第70502号 特許権侵害差止等請求事件

口頭弁論終結日 令和8年4月21日

判 決

原 告 S.RIDE株式会社

同訴訟代理人弁護士 𠮷 田 和 彦

奥 村 直 樹

同訴訟代理人弁理士 工 藤 嘉 晃

同訴訟復代理人弁護士 日 野 英 一 郎

小 栗 久 典

髙 野 芳 徳

梶 井 啓 順

後 藤 直 之

同補佐人弁理士 林 陽 和

被 告 G O 株 式 会 社

同訴訟代理人弁護士 大 野 浩 之

多 田 宏 文

主 文

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

1 被告は、別紙被告プログラム目録記載のプログラムを作成し、使用し、譲渡等(譲渡、貸渡し、電気通信回線を通じた提供をいう。)し、譲渡等の申出をしてはならない。2 被告は、別紙被告プログラム目録記載のプログラムを抹消せよ。

5 第2 事案の概要1 事案の要旨本件は、発明の名称を「情報処理装置および方法、並びにプログラム」とする特許(特許第5527045号。以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、別紙被告プログラム目録記載のプログラム(以下「被告プログラム」という。)は本件特許の請求項9に記載された発明(以下「本件発明」という。)の技術的範囲に属し、被告による被告プログラムの作成、使用、譲渡、貸渡し、電気通信回路を通じた提供が本件特許権を侵害すると主張して、被告に対し、特許法100条1項に基づき、被告プログラムの作成等の差止めを求めるとともに、同条2項に基づき、被告プログラムの抹消を求める事案である。2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)

⑴ 当事者ア 原告は、一般乗用旅客自動車運送事業者等に向けた配車ソフトウェア・システムの企画、開発、設計、製造、販売、賃貸及び運営等を目的とする株式会社である。イ 被告は、インターネットを利用したサービス、システム及びアプリケーション企画、開発、運用、導入に関するコンサルティング及び保守サービス業務等を目的とする株式会社である。

⑵ 本件特許権(甲1、2)ア 原告は、以下の本件特許権を有している(本件特許出願の願書に添付された明細書及び図面を「本件明細書」といい、本件明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)。特許番号 特許第5527045号発明の名称 情報処理装置および方法、並びにプログラム

5 出願日 平成22年6月28日出願番号 特願2010-145735登録日 平成26年4月25日イ 本件特許の特許請求の範囲の請求項9の記載は以下のとおりである。所定のアプリケーションを記憶する記憶手段と、前記アプリケーションで提供されるサービスに関する情報を管理する管理手段とを少なくとも備える情報処理装置に、他の装置から、前記サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し、登録された前記サービスに関する情報を前記他の装置から供給されるデータに基づき生成し、生成された前記情報で、前記管理手段に管理されている前記情報を更新するステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。ウ 本件発明を構成要件に分説すると、次のとおりとなる(以下、分説した構成要件を、その符号に従い「構成要件A」などという。)。A 所定のアプリケーションを記憶する記憶手段と、前記アプリケーションで提供されるサービスに関する情報を管理する管理手段とを少なくとも備える情報処理装置に、他の装置から、前記サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し、B 登録された前記サービスに関する情報を前記他の装置から供給されるデータに基づき生成し、C 生成された前記情報で、前記管理手段に管理されている前記情報を更

5 新するD ステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。

⑶ 被告の行為被告は、被告プログラムを作成し、電気通信を通じた提供をしている。(甲3、4)

⑷ 先行文献及び先行製品本件特許の出願日前に販売された製品、頒布された刊行物等として、以下のものが存在した。ア 平成21年1月24日に販売開始されたFOMA端末 docomo PRIMEseries F-03A(乙9)の取扱説明書(乙8。以下「乙8文献」といい、これに記載された発明のうち、iDアプリに関するものを「乙8-1発明」、モバイルSuica登録用iアプリに関するものを「乙8-2発明」、マクドナルドトクするアプリに関するものを「乙8-3発明」、おサイフケータイに関するものを「乙8-4発明」という。)イ ケータイWatch編集部が公開した「ケータイ新機能チェック」という題名の記事(乙11。平成18年1月30日公開。以下「乙11文献」といい、乙11文献に記載された発明を「乙11発明」という。)ウ 平成21年1月24日に販売開始された携帯電話であるFOMA端末docomo PRIMEseries F-03A(乙9。以下「乙9製品」といい、乙9製品によって公然実施された発明を「乙9発明」という。)エ 公開特許公報(特開2007-179258公報。乙14。平成19年7月12日公開。以下「乙14公報」といい、乙14公報に記載された発明を「乙14発明」という。)オ 公開特許公報(特開2008-293491公報。乙15。平成20年12月4日公開。以下「乙15公報」といい、乙15公報に記載された発

5 明を「乙15発明」という。)カ 公表特許公報(特表2009-536482公報。乙16。平成21年10月8日公表。以下「乙16公報」といい、乙16公報に記載された発明を「乙16発明」という。)3 争点

⑴ 被告プログラムが本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア 構成要件Aの充足性(争点1-1)イ 構成要件AないしDの充足性(争点1-2)

⑵ 無効の抗弁の成否(争点2)ア 乙8-1発明を前提とする新規性・進歩性欠如(争点2-1)イ 乙8-3発明に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-2)ウ 乙8-4発明に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-3)エ 乙11発明に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-4)オ 乙9発明に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-5)カ 乙14発明に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-6)キ 乙15発明に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-7)ク 乙16発明に基づく新規性・進歩性欠如(争点2-8)ケ サポート要件違反(争点2-9)なお、被告は、乙8-2発明に基づく新規性・進歩性欠如も無効事由として主張していたが、本件第2回弁論準備手続期日において、主引例を乙8-2発明から乙11発明に変更した。また、原告は、訂正の再抗弁を提出していたが、本件第4回弁論準備手続期日において、訂正後の発明に係る主張を全て撤回した。4 争点に関する当事者の主張

⑴ 争点1-1(構成要件Aの充足性)について(原告の主張)

5 ア 被告プログラムは、以下の構成を有している。(ア) 態様1(支払方法としてクレジットカードが登録されている状態から「d払い」を支払方法に登録する態様と支払方法をクレジットカード払いからd払いに変更する態様)A’被告プログラム(GOアプリ)は、被告プログラム(GOアプリ)を記憶する記憶手段(メモリ)と、前記被告プログラムで提供される配車サービスへの支払サービス(クレジットカード払い及びd払いサービスを含む)に関する情報を管理する管理手段とを備えるユーザのスマートフォンに、d払いサーバから、前記d払いサービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記被告プログラム(GOアプリ)の処理により前記d払いサービスを登録する。B’被告プログラム(GOアプリ)は、登録された前記d払いサービスに関する情報を前記d払いサーバから供給されるデータに基づき生成する。C’被告プログラムは、生成された前記情報で、前記管理手段に管理されている前記情報を更新する(支払方法一覧から「d払い」を選択する、又は、支払方法の情報をクレジットカードからd払いにする)。D’被告プログラムは、A’~C’のステップを含む処理を実行させるコンピュータ(スマートフォン)が読み取り可能なプログラムである。(イ) 態様2(既に支払方法としてd払いが登録されている状態からd払いを削除する態様)A’’被告プログラム(GOアプリ)は、被告プログラム(GOアプリ)を記憶する記憶手段(メモリ)と、前記被告プログラムで提供される配車サービスへの支払サービス(d払いサービスを含む)に関する情報を管理する管理手段とを備えるユーザのスマートフォンに、d払いサーバから、前記d払いサービスを登録するためのデータを受信した

5 場合、そのデータに基づき、前記被告プログラム(GOアプリ)の処理により前記d払いサービスを登録する。B’’被告プログラム(GOアプリ)は、登録された前記d払いサービスに関する情報を前記d払いサーバから供給されるデータに基づき生成する。C’’被告プログラム(GOアプリ)は、生成された前記「d払い」サービスに関する情報で、前記管理手段に管理されているd払いサービスに関する情報を削除する。D’’被告プログラムは、A’’~C’’のステップを含む処理を実行させるコンピュータ(スマートフォン)が読み取り可能なプログラムである。イ 「前記アプリケーションで提供されるサービス」について【0036】や【0085】では、本件発明の実施例としてサービスが登録されていない状態のアプリケーションに追加でサービスが登録される場合が開示されている。このように、本件発明における「サービス」は、アプリケーションに当初から備わっているサービスに限られないことは本件明細書の記載から明らかであり、アプリケーションに当初は登録されていなくても、その後、アプリケーションの処理により追加で登録されるようなサービスも当然に技術的範囲に属することが前提とされている。また、【0036】の「クレジットの機能を実現するサービス」の記載からも明らかなとおり、アプリケーションに登録されたサービスを提供する際、第三者であるサービスプロバイダーサーバと連携することは当然の前提とされており、そのような連携が行われるサービスであることをもって、「前記アプリケーションで提供されるサービス」の充足性は左右されるものではない。そのため、「サービス」に被告プログラムのA’及び A’’における「d

5 払いサービス」が含まれることから、被告プログラムは「前記アプリケーションで提供されるサービス」を充足する。ウ 「サービスに関する情報を管理する管理手段」について「情報を管理する管理手段」は、情報を管理するための管理手段を意味するものであり、「サービスに関する情報」がいまだ管理されていない段階であっても、「サービスに関する情報」が登録された後にそのような情報を管理することができるのであれば「管理手段」に相当する。そして、上記アのとおり、被告プログラムにおけるA’及び A’’は、d払いサービスを含む支払サービスに関する情報を管理する管理手段を備えていることから、「サービスに関する情報を管理する管理手段」を充足する。エ 「前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し」について上記アのとおり、被告プログラムにおけるA’及び A’’は、その処理により、d払いサービスを登録していることから、「前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し」を充足する。オ よって、被告プログラムは、構成要件Aを充足する。(被告の主張)ア 「前記アプリケーションで提供されるサービス」について【0002】ないし【0017】の記載からすれば、本件発明は、携帯電話の機種変更の際の話として、変更後の携帯電話のビューアがアプリケーションマネージャ上に登録されているアプリケーションしか認識することができず、アプリケーションが提供する個々のサービスまでも認識して、その情報をユーザに提示することができないという課題に対し、UICCなどの所定の情報を管理する装置内の情報を、その情報を閲覧するためのビューワで正確に閲覧できるようにしたものであると記載されていることからして、「サービス」は、アプリケーションを移行する際に、そのアプリ

5 ケーションに備わっているサービス、つまり、アプリケーションで当然に備わっているサービスであることが必要である。そして、d払いサービスは、株式会社NTTドコモ(以下「NTTドコモ」という)が提供する支払サービスであり、被告プログラムで提供されるサービスではないし、クレジットカード払いもクレジットカード会社が提供する支払サービスであり、被告プログラムで提供されるサービスではない。よって、被告プログラムは「前記アプリケーションで提供されるサービス」を充足しない。イ 「サービスに関する情報を管理する管理手段」について本件発明の記載からすれば、「所定のアプリケーションを記憶する記憶手段と、前記アプリケーションで提供されるサービスに関する情報を管理する管理手段とを少なくとも備える情報処理装置」が既に存在し、当該情報処理装置に対して、「他の装置から、前記サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録」することが必要になる。被告プログラムにおいては、「d払い」を登録する前に「d払い」を既に管理する情報処理装置が存在しないことから、「d払い」を追加する態様、支払方法の情報を「クレジットカード」から「d払い」にする態様、及び「d払い」を削除する態様のいずれにおいても、構成要件Aを充足しない。ウ 「前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し」について被告プログラムにおいて、d払いサービスを登録する場合には、セキュリティコードの受信から入力までのやり取り(2段階認証)及びNTT DoCoMoのspモードパスワードの入力から「承諾番号」の取得までのやり取りは、NTTドコモのシステムとの間で直接行われており、GOアプリの処理によって行われているわけではない。

5 また、上記の登録に当たっては、ユーザが適宜操作を行うことで、「セキュリティコード」を取得して入力し、さらにspモードパスワードを入力する態様となっており、被告プログラムの処理によって「セキュリティコード」が入力され、「支払サービス(d払い)」が登録されていない。よって、被告プログラムは「前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し」を充足しない。エ 以上によれば、被告プログラムは、構成要件Aを充足しない。

⑵ 争点1-2(構成要件AないしDの充足性)について(原告の主張)ア 上記⑴(原告の主張)アのとおり、被告プログラムは、態様1では、A’ないしD’を、態様2ではA’’ないしD’’の構成を有しており、構成要件AないしDを充足する。イ 被告は、構成要件AないしDについて、サービスの「登録」、「生成」、「更新」の各ステップは一連のステップであり、他の動作が入ってはならないと主張する。しかしながら、本件発明は、「登録」、「生成」、「更新」の各ステップ自体は規定しているものの、これらの各ステップ間に別のステップやユーザ操作が介在するか否かは特段限定しておらず、ユーザ操作は技術的範囲の属否とは関係がない。(被告の主張)構成要件Aで「情報処理装置に、他の装置から、サービスを登録するためのデータを受信した場合」と記載され、構成要件Dで「ステップを含む処理を実行させるコンピュータが読み取り可能なプログラム。」が要件とされていることから、情報処理装置に、他の装置から、サービスを登録するためのデータを受信した場合に、①そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し、②登録された前記サービスに関する情報を

5 前記他の装置から供給されるデータに基づき生成し、③生成された前記情報で、前記管理手段に管理されている前記情報を更新すること(一連のステップ)をプログラムが実行する必要がある。原告の主張する被告プログラムの態様1及び態様2はいずれも、サービスを登録する場面(①)と、サービスに関する情報を生成し、更新する場面(②及び③)が分断されており、上記①ないし③の一連のステップを実行する態様となっていない。そのため、被告プログラムは構成要件AないしDを充足しない。

⑶ 争点2(無効の抗弁の成否)について別紙争点2についての当事者の主張のとおり。

第3 当裁判所の判断

1 本件明細書の記載事項

本件明細書には、以下の記載がある(図面は別紙図面目録を参照)。

⑴ 技術分野

【0001】本発明は情報処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、複数の通信プロトコルに対応するチップやカードなどで管理されているデータを更新する際などに用いて好適な情報処理装置および方法、並びにプログラムに関する。

⑵ 背景技術

【0002】携帯電話機が普及し、携帯電話機でさまざまなサービスが提供されている。図1Aを参照するに、携帯電話機11には、チップ12が組み込まれており、このチップ12に、サービス13-1やサービス13-2が書き込まれている。また、サービス13-1をユーザに提供する際の処理は、アプリケーション14-1が行い、サービス13-2をユーザに提供する際の処理は、ア

5 プリケーション14-2が行うように構成されている。

【0003】アプリケーションは、携帯電話機上のソフトウェアに書き込まれる一連の実行可能なモジュールであり、チップ上に書き込まれるサービスとは異なる。携帯電話機には、非特許文献1に示すMIDP 2.0仕様に準拠した製品であればアプリケーション管理ソフト(AMS:Application Management Software)が、非特許文献2に示すMIDP 1.0仕様に準拠した製品であれば同様の機能を持つJAM(Java(登録商標) Application Manager)が搭載されており、携帯電話に搭載されるアプリケーションの管理を行っている。ここでの管理とは、アプリケーションのダウンロード、インストール、削除といった一連の状態遷移を保持していることを指す。【0004】アプリケーション管理ソフト15は、まず、アプリケーション14-1が携帯電話機にインストールされた事を管理し、さらにアプリケーションがサービス13-1をチップ内に生成した際には、その情報も関連付けて管理する。同様にアプリケーション14-2がインストールされた後にサービス13-2をチップ内に生成した場合、その情報について関連付けを行う。例えば、アプリケーション管理ソフト15は、アプリケーション14-2を削除する場合、関連付けられているサービス13-2を事前に削除する処理を必要とする。【0005】ここで図1Bに示すように、ユーザが携帯電話機11から携帯電話機31に変えるときを考える。例えば、携帯電話機31を購入する際、その購入した店で、携帯電話機11から携帯電話機31へのデータの移行のサービスが行われる。携帯電話機11のチップ12に記憶されているサービス13-1やサービス13-2(以下、個々にサービス13-1,13-2を区別する

5 必要がない場合、単にサービス13と記述する。他も同様の記述とする)は、

携帯電話機31のチップ32に移行される。また、アプリケーション管理ソフト15の情報も、アプリケーション管理ソフト33に移行される。しかしながら、チップ12で管理されていない携帯電話機上のアプリケーション14は、携帯電話機31に移行されない。【0006】携帯電話機31のアプリケーション管理ソフト33は、チップ32に記憶されているサービス13があるが、それに対応するアプリケーション14がないと、ユーザにサービス13に対応するアプリケーション14をダウンロードするように指示するメッセージを携帯電話機31のディスプレイ上に表示させる。ユーザが、そのメッセージに対する処理として、アプリケーション14をダウンロードすることで、新しい携帯電話機31でも、サービス13を利用できる状態となる。

⑶ 先行技術文献

【0007】【非特許文献1】Mobile Information Device Profile FOR Java TM 2 MicroEdition(JSR118)【 非 特 許 文 献 2 】 Mobile Information Device Profile (JSR-37) JCPSpecification Java 2 Platform, Micro Edition, 1.0a

⑷ 発明が解決しようとする課題

【0008】上記したように、現状、チップ12でサービス13が管理され、アプリケーション管理ソフト15(33)でアプリケーション14との対応付けなどが行われているが、サービス13をUICC(Universal Integrated CircuitCard)に記憶して管理することが考えられる。図2Aに示すように、携帯電話機11のUICC51にサービス13が記憶されている状態のとき、携帯電

5 話機11からUICC51が外され、別の携帯電話機31に、そのUICC

51が装着されると、携帯電話機31でサービス13が利用できるようになることが好ましい。【0009】この場合、UICC51に記憶されているサービス13などは、差し込まれた携帯電話機31側に移行されることになるが、アプリケーション管理ソフト15の情報は、アプリケーション管理ソフト33には移行されない。その結果、アプリケーション管理ソフト15で行われていた処理を、アプリケーション管理ソフト33で行うことができず、結果として、UICC51に記憶されているサービス13が利用できない可能性がある。【0010】そこで、図2Bに示すように、携帯電話機11に、ビューワ(Viewer)71を設けることが考えられる。このビューワ71は、各携帯電話機が備え、UICC51が管理しているサービスなどを閲覧できるように構成される。例えば、携帯電話機11に装着されていたUICC51が外されて、携帯電話機31に装着された場合、携帯電話機31もビューワ71を備えているため、そのビューワ71により、UICC51で管理されているサービスを閲覧することができる。【0012】UICC51は、例えば、図3に示すような構成とされている。UICCハードウェア101の上に、UICC内のアプリケーションマネージャ102があり、この上に、アプリケーション103、アプリケーション104、アプリケーション105が管理されている。アプリケーション103は、例えば、クレジットカードの機能を実現するサービスを提供するためのアプリケーションである。アプリケーション104は、例えば、交通機関に乗り降りするときの料金の支払いなどのときに用いられるトランスポート系のサー

5 ビスを提供するためのアプリケーションである。

【0014】アプリケーション105は、総合サービスを提供するためのアプリケーションであり、サービス106-1、サービス106-2、サービス106-3を提供する。例えば、サービス106-1は、クレジットの機能を実現するサービスであり、サービス106-2は、トランスポート系のサービスを提供するサービスであり、サービス106-3は、クーポンを提供するサービスである。【0015】このようなアプリケーションが登録されているときに、ビューワ71により、UICC51で管理されているアプリケーションの閲覧が行われると、例えば、図4に示したような表示が行われる。ビューワ71は、アプリケーション103、アプリケーション104、アプリケーション105を認識するため、アプリケーション103が提供するサービスのサービス名である“サービス103”、アプリケーション104が提供するサービスのサービス名である“サービス104”という名称をユーザに提供する。そして、アプリケーション105が提供するサービスは、複数あるが、アプリケーション105の総称である“サービス105”という名称が、ユーザに提供される。【0016】このように、アプリケーション105は、サービス106-1乃至106-3を提供するが、ビューワ71は、UICC内のアプリケーションマネージャ102上に登録されているアプリケーション103乃至105しか認識できず、アプリケーション105が提供するサービス106-1乃至106-3までも認識して、その情報をユーザに提示することができない。【0017】本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、例えば、UIC

5 Cなどの所定の情報を管理する装置内の情報を、その情報を閲覧するための

ビューワで正確に閲覧できるようにし、かつそのための更新を既存のインフラを用いて行えるようにするものである。

⑸ 課題を解決するための手段

【0027】本発明の一側面の情報処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、記憶されているアプリケーションで提供されるサービスに関する情報が管理され、他の装置から、サービスを登録するためのデータが受信された場合、そのデータに基づき、アプリケーションの処理によりサービスが登録され、登録されたサービスに関する情報が、他の装置から供給されるデータに基づき生成され、生成された情報で、管理されている情報が更新される。

⑹ 発明の効果

【0029】本発明の一側面によれば、情報を管理している装置内の情報を、既存のインフラを用いて更新することができる。

⑺ 発明を実施するための形態

【0032】[システムについて]図5は、本発明が適用されるシステムの一実施の形態の構成を示す図である。図5に示したシステムは、携帯電話機201とリーダライタ202から構成される。携帯電話機201とリーダライタ202は、非接触により通信を行う。ここでは携帯電話機201として説明を続けるが、リーダライタ202と通信を行い、何らかのデータを保持するICカードなどにも本発明を適用することができる。【0033】[携帯電話機201の構成について]

5 図6は、携帯電話機201の内部構成を示す図である。携帯電話機201

は、ホスト221、UICC(Universal Integrated Circuit Card)222を含 み 、 ホ ス ト 2 2 1 と U I C C 2 2 2 は 、 U A R T ( UniversalAsynchronous Receiver Transmitter)223でデータの授受を行えるように接続されている。また、携帯電話機201とリーダライタ202との非接触な通信を制御するCLF(Contactless Frontend)224も、携帯電話機201は含む構成とされている。【0035】UICC222は、UICCハードウェア251、アプリケーションマネージャ252、レジストリ253を備える。またUICC222は、ここでは、第1アプリケーション254、第2アプリケーション255、および第3アプリケーション256を記憶し、管理するとする。第1アプリケーション254は、例えば、携帯電話機201でクレジットカードの機能を実現するサービスを提供するためのアプリケーションである。また例えば、第2アプリケーション255は、交通機関に乗り降りするときの料金の支払いなどのときに用いられるトランスポート系のサービスを携帯電話機201で提供するためのアプリケーションである。【0036】また例えば、第3アプリケーション256は、総合サービスを提供するためのアプリケーションである。後述するように、第3アプリケーション256は、クレジットの機能を実現するサービス、トランスポート系のサービス、クーポンを提供するサービスなど、複数のサービスを提供するためのアプリケーションである。図6には図示していないが、図14を参照して後述するように、UICC222にサービスが追加で登録されることがあり、UICC222は、登録されたサービスを記憶し、管理する機能も有する。各アプリケーションは、アプリケーションマネージャ252によって、管理される

5 ものであるが、同じ実行環境で管理される事に限定されない。一例として、

アプリケーションマネージャ252がJavaCardTMを搭載し、1つのアプリケーションがソフトウェアにより実現されていても、他のアプリケーションが、ROMの工場出荷時に書き込まれている場合や、別チップとして提供される場合もあり得る。【0038】また、アプリケーションマネージャ252は、CLF224を介して供給されたコマンドを解釈し、その解釈に基づき、アプリケーションにデータを供給したり、アプリケーションからのデータを、CLF224に供給したりする処理を実行する。レジストリ253は、アプリケーションが提供するサービスの名称やサービス種別といったサービスに関する情報を管理する。【0080】ここで、再度図6を参照する。図6に示したように、UICC222で、

第1アプリケーション254、第2アプリケーション255、および第3ア

プリケーション256が管理されているとき、ビューワ241による処理が実行されると、例えば、図12に示すような画面がユーザに提供される。画面とは、例えば、携帯電話機201のディスプレイ401に表示される画面のことである。【0081】図12に示すようにビューワ241は、アプリケーションマネージャ252が認識した第1アプリケーション254、第2アプリケーション255、

第3アプリケーション256を認識する。そしてビューワ241は、第1ア

プリケーション254が提供するサービスの名称である“第1サービス”、第2アプリケーション255が提供するサービスの名称である“第2サービス”、および第3アプリケーション256が提供するサービスの名称である“第3サービス”を、ディスプレイ401に表示させる。

5 【0082】

第3アプリケーション256は、総合サービスであり、図13に示すよう

に複数のサービスを提供できる。すなわち、図13に示した例では、第3アプリケーション256は、第3-1サービス257、第3-2サービス258、および第3-3サービス259を提供できるように構成されている。【0083】このように、第3アプリケーション256が、第3-1サービス257、

第3-2サービス258、および第3-3サービス259を提供できる場合

であっても、ビューワ241は、アプリケーションマネージャ252上に登録されている第1アプリケーション254、第2アプリケーション255、

第3アプリケーション256しか認識できず、第3-1サービス257、第

3-2サービス258、および第3-3サービス259までも認識して、その情報をユーザに提示することができない。【0084】これは、レジストリ253で、登録されているサービスの情報が管理されているからである。ここで、アプリケーションやサービスの登録について説明する。【0085】図14に示すように、UICC222に第3-1サービス257が登録されていない状態(登録されていないことを示すために、図14においては、点線で示す。またアプリケーションなどは図示していない)のときに、第3-1サービス257を登録する際、UICC222の外部から、サービスを登録するためのデータ431が送信される。サービスを登録するためのデータは、サービス登録データとする。このサービス登録データ431は、第3-1サービス257を登録するためのものである。このようなサービス登録データ431によるサービスの登録は、現状でも行われているインフラを用

5 いて行うことができる。図14を使って説明すると、リーダライタ202か

らCLF224を経由して、UICC222にサービス登録データ431を渡すことが出来る。または、ホスト221からUARTを経由して、UICC222にデータを渡すことも可能である。【0086】しかしながら、サービス登録データ431で第3-1サービス257を登録しても、アプリケーションマネージャ252のレジストリ253には、第3-1サービス257の情報は登録されない。そのため、そのようなサービスが登録されたことが認識できない。よって、レジストリ253で管理されている情報を更新するために、サービス種別や名前を登録するための処理が行われる必要がある。【0087】例えば、サービス種別・名前コマンド432をアプリケーションマネージャ252に対して送信し、アプリケーションマネージャ252での管理情報(レジストリ253内の情報)を更新する必要がある。この場合、第3アプリケーション256には、第3-1サービス257が含まれること(新たに登録されたこと)を、サービス種別・名前コマンド432でアプリケーションマネージャ252のレジストリ253に登録する必要がある。【0089】既存のインフラをできる限り生かしつつも、ビューワ241で、個々のサービスが閲覧できるようにするためには、上記したように、サービス登録データ431とサービス種別・名称コマンド432をそれぞれ送信してサービス名を登録することが考えられる。ここでは、第3アプリケーション256が複数のサービスを含んでいるとして説明したが、第1アプリケーション254や第2アプリケーション255が複数のサービスを含んでいるような場合でも、同様のことが言える。

5 【0090】

図7乃至11を参照して説明したように、第1アプリケーション254、

第2アプリケーション255、第3アプリケーション256のそれぞれは、

複数の通信路によりアクセス可能である。第3アプリケーション256は、通信路351乃至354(図9)があるため、例えば、通信路351で、第3-1サービス257を登録し、通信路352で、レジストリ253の情報を更新することができる。【0091】このようなことを可能にするためには、リーダライタ202が、携帯電話機201に対して登録や更新の処理を実行するとき、どの通信路を用いて登録を行い、どの通信路を用いて更新を行うかを判断し、その判断に基づき、適切なコマンド、例えば、選択した通信路に適合したプロトコルのパケットでのコマンドを生成する必要がある。【0092】[リーダライタの構成について]そこで、リーダライタ202は、図15に示すような機能を有する構成とされる。すなわち、リーダライタ202は、通信制御部501、通信方式決定部502、サービス登録部503、および更新処理部504を備える。通信制御部501は、所定のアプリケーション(例えば、第3アプリケーション256)と、アプリケーションで提供されるサービス(例えば、第3-1サービス257)を管理するアプリケーションマネージャ252を備えるUICC222との非接触な通信を制御する。【0093】通信方式決定部502は、UICC222に対して所定のサービスの登録を行うときの通信方式と、レジストリ253に対する更新を行うときの通信方式をそれぞれ決定する処理を行う。

5 【0094】

サービス登録部503は、通信方式決定部502により決定された通信方式で、UICC222に所定のサービスを登録するためのコマンドの生成などを実行する。更新処理部504は、通信方式決定部502により決定された通信方式で、UICC222のレジストリ253で管理されている情報を更新するためのコマンドの生成などを実行する。【0344】[効果について]このように、UICC222に、例えば、第3アプリケーション256で提供されるサービスが単独で登録されていても、異なる携帯電話機201で共通して用いられるビューワ241から、個々のサービスの存在を確認できるようになる。このような確認が行えるようになることで、上記したように、ユーザ側に個々のサービスの存在を認識させるための画面を提示することが可能となる。【0345】またその表示は、例えば、図34に示したように、他のアプリケーションで提供されるサービスと同列のサービスとしてユーザに参照させることができる表示とすることができる。また、新たなサービスであっても、既に登録されているサービスと同列のサービスとして表示することが可能となる。または、図33に示したように、所定のアプリケーションで提供されるサービスは、そのアプリケーションと関連付けられた、階層的な表示とすることも可能となる。【0346】また、サービスの存在確認が行えるようになれば、必要時に対向のアプリケーションの追加を行うことが可能となる。すなわち、サービスとアプリケーションの関係性に自由度を持たせることが可能となる。

5 【0347】

またサービスの登録やサービス名の登録は、既存のインフラをできる限り生かして行うことができる。よって、UICC222でサービスを管理するようにシステムが移行しても、移行後に係るコストを低減させることが可能となる。さらに、インフラを生かすことができることで、大幅な変更を伴わないでシステムの移行などが実行できるようになるため、ユーザにとっても、開発者側にとっても、システム移行にともなう混乱を生じさせるようなことを防ぐことが可能となる。

2 争点1-1(構成要件Aの充足性)について

⑴ 「前記アプリケーションで提供されるサービス」の意義

ア 構成要件Aは、「所定のアプリケーションを記憶する記憶手段と、前記アプリケーションで提供されるサービスに関する情報を管理する管理手段とを少なくとも備える情報処理装置に、他の装置から、前記サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し、」と規定しているところ、本件発明の構成要件において、これ以外に「アプリケーション」と「サービス」の関係等についての記載はない。そして、本件明細書には、「アプリケーション」と「サービス」の関係に関する記載として、「UICCハードウェア101の上に、UICC内のアプリケーションマネージャ102があり、この上に、アプリケーション103、アプリケーション104、アプリケーション105が管理されている。アプリケーション103は、例えば、クレジットカードの機能を実現するサービスを提供するためのアプリケーションである。アプリケーション104は、例えば、交通機関に乗り降りするときの料金の支払いなどのときに用いられるトランスポート系のサービスを提供するためのアプリケーションである。」(【0012】)、「アプリケーション105は、総合サー

5 ビスを提供するためのアプリケーションであり、サービス106-1、サ

ービス106-2、サービス106-3を提供する。例えば、サービス106-1は、クレジットの機能を実現するサービスであり、サービス106-2は、トランスポート系のサービスを提供するサービスであり、サービス106-3は、クーポンを提供するサービスである。」(【0014】)、「また例えば、第3アプリケーション256は、総合サービスを提供するためのアプリケーションである。後述するように、第3アプリケーション256は、クレジットの機能を実現するサービス、トランスポート系のサービス、クーポンを提供するサービスなど、複数のサービスを提供するためのアプリケーションである。」(【0036】)、「サービスの存在確認が行えるようになれば、必要時に対向のアプリケーションの追加を行うことが可能となる。」(【0346】)との記載があることが認められ、これらの記載は、アプリケーションがサービスとされる機能を提供するものであり、他のサービスを利用する場合には当該サービスに対応するアプリケーションの追加が必要であることを示すものであると理解することができる。そうすると、構成要件Aにおいて「前記アプリケーションで提供されるサービス」とあるのも、アプリケーション自体がサービスとされる機能そのものを提供する場合を指すものであると解するのが相当である。イ これに対し、原告は、本件発明における「サービス」は、アプリケーションに当初から備わっているサービスに限られないことは本件明細書の【0036】や【0085】の記載から明らかであり、アプリケーションに当初は登録されていなくても、その後、アプリケーションの処理により追加で登録されるようなサービスも当然に技術的範囲に属することが前提とされ、当該サービスを提供する際、第三者であるサービスプロバイダーサーバと連携することは当然の前提とされているのであるから、そのような連携が行われるサービスであることをもって「前記アプリケーションで

5 提供されるサービス」の充足性は左右されない旨主張する。

しかしながら、【0036】や【0085】には、UICCにサービスが追加で登録され得ることが記載されているにすぎず、アプリケーションとサービスの関係を定めるものではないことからすれば、これらの本件明細書の記載をもって、構成要件Aの「前記アプリケーションで提供されるサービス」について、実際のサービスは第三者のサービスプロバイダーサーバと連携して、当該サーバにより提供されるものを含むものであると解釈すべきであるとはいえず、原告の上記主張は採用することができない。

⑵ 被告プログラムの充足性

証拠(甲5ないし10、28)及び弁論の全趣旨によれば、被告プログラムは、GO Payと呼ばれるタクシー料金の決済機能を有しているところ、GO Payは、d払いと連携することによりd払いを利用することが可能となるものの、d払いはNTTドコモが提供する決済機能であって、GOPayは個々のタクシー料金の決済手段として連携したd払いを利用するものであると認められる。そうすると、d払いは、被告プログラムが備えるアプリケーションであるGO Pay自体がサービスとして提供するものであるとはいえないことから、被告プログラムは構成要件Aの「前記アプリケーションで提供されるサービス」を充足しない。

3 小括

以上によれば、被告プログラムは構成要件Aを充足しないから、その余の点について検討するまでもなく、被告プログラムが本件発明の技術的範囲に属し、被告による被告プログラムの作成等が本件特許権を侵害すると認めることはできない。

第4 結論

よって、原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文の

5 とおり判決する。

東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官澁 谷 勝 海裁判官本 井 修 平裁判官浅 川 浩 輝(別紙)被告プログラム目録「GO タクシーが呼べるアプリ 旧MOV×JapanTaxi」以上(別紙)争点2についての当事者の主張

1 争点2-1(乙8-1発明を前提とする新規性・進歩性欠如)について

5

(被告の主張)

⑴ 乙8-1発明の構成

乙8文献には、乙8-1発明に関し、次の構成が記載されている。a11:「iDアプリ」を記憶し、「iDアプリ」を用いて提供されるカードでの支払いサービスに関する情報を管理する携帯電話に、サーバから、「iDアプリ」を用いて提供されるカードでの支払いサービスを登録するためのデータを受信し、(カードアプリのデータを用いつつ)取得されたデータに基づき、カードでの支払いサービスを登録し、b11:登録された「iDアプリ」を用いて提供されるカードでの支払いサービスに関する情報を、サーバからダウンロードしたデータに基づいて生成し、c11:生成された「iDアプリ」を用いて提供されるカードでの支払いサービスに関する情報で、管理される情報を更新する、d11:ステップを含む処理を実行させるためのプログラム。

⑵ 新規性・進歩性の欠如

本件発明の構成は、乙8-1発明の構成と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。仮に相違点があるとしても些細なものであり、本件発明は進歩性を有しない。

(原告の主張)

⑴ 乙8-1発明について

乙8-1発明に係る「iDアプリ」と「カードアプリ」とは別個のアプリである。すなわち、乙8-1発明は、「iDアプリ」及び「カードアプリ」という二つのアプリケーションによる処理を開示したものであり、「iDアプリ」という単一のアプリケーションによる処理を開示したものではない。したがって、乙8-1発明は、単一の「所定のアプリケーション」による処理を規定した本件発明とは全く異なるものである。

5 その結果、乙8-1発明には、本件発明における「サービスを登録」や「ア

プリケーションの処理により…サービスを登録」といった構成に対応した開示が存在せず、乙8-1発明における「カードアプリ」はあくまで「アプリケーション」であって、本件発明における「アプリケーションで提供されるサービス」にも相当しない。

⑵ 本件発明と乙8-1発明の相違点

上記⑴を踏まえ、本件発明と乙8-1発明とを対比すると、少なくとも、以下の点において相違する。

① 本件発明は「アプリケーションで提供されるサービスに関する情報を管

理する」ものであるのに対して、乙8-1発明ではアプリケーションでサービスが提供される構成は開示されていない点

② 本件発明では「アプリケーションの処理により…サービスを登録」する

ものであるのに対して、乙8-1発明では、サービスが登録されず、それゆえ、「アプリケーションの処理により…サービスを登録」する構成が存在しない点

③ 本件発明は、「登録された前記サービスに関する情報」を特定するもので

あるのに対して、乙8-1発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

④ 本件発明は、「生成された前記(サービスに関する)情報」で「管理手段

に管理されている前記(サービスに関する)情報を更新」(構成要件C)することを必要とするのに対して、乙8-1発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

⑶ 新規性・進歩性を有すること

上記⑵のとおり、本件発明と乙8-1発明との間には、実質的相違点が存在することから新規性を欠く旨の

(被告の主張)

には理由がない。また、被告は、上記各相違点を開示した副引例を証拠として提出さえして

5 おらず、これら各相違点に係る構成が周知技術や設計事項であったことを示

す証拠も提出していないし、まして、組合せの容易性についても何ら主張立証がない。そうすると、各相違点の内容に具体的に入り込むまでもなく、被告による進歩性違反の主張には理由がない。

2 争点2-2(乙8-3発明に基づく新規性・進歩性欠如)について

(被告の主張)

⑴ 乙8-3発明の構成

乙8文献には、乙8-3発明に関し、次の構成が記載されている。a13:「マクドナルド トクするアプリ」を記憶し、「マクドナルド トクするアプリ」で提供される「かざすクーポン」を用いた支払サービスに関する情報を管理する携帯電話に、サーバからダウンロードした「かざすクーポン」を用いた支払サービスを登録するためのデータを受信し、そのデータに基づき、「マクドナルド トクするアプリ」の処理により「かざすクーポン」を用いた支払サービスを登録し、b13:登録された「かざすクーポン」を用いた支払サービスに関する情報を、サーバからダウンロードしたデータに基づいて生成し、c13:生成された「かざすクーポン」を用いた支払サービスに関する情報で、管理される情報を更新する、d13:ステップを含む処理を実行させるためのプログラム。

⑵ 新規性・進歩性の欠如

本件発明の構成は、乙8-3発明の構成と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。仮に相違点があるとしても些細なものであり、本件発明は進歩性を有しない。

(原告の主張)

⑴ 乙8-3発明について

乙8-3発明は、アプリケーションとしての「マクドナルド トクするアプリ」

5 とサービスとしての「かざすクーポン」機能が一体となっており、「アプリケー

ション」とは別個に「サービス」は存在しない。すなわち、乙8-3発明に関しては、①「マクドナルド トクするアプリ」というアプリケーションで提供される機能としての「かざすクーポン」サービス機能、②「かざすクーポン」サービスにおいて提供されるクーポンそのもののデータとしての割引クーポンのデータが存在するところ、

(被告の主張)

は、これら①及び②の両者を混同するものであり、乙8-3発明において、ダウンロードされているのはクーポンのデータそのもの(上記②) であって、「サービスを登録するためのデータ」ではない

⑵ 本件発明と乙8-3発明の相違点

上記⑴を踏まえ、本件発明と乙8-3発明とを対比すると、少なくとも、以下の点において相違する。

① 本件発明においては、「サービスを登録するためのデータを受信した場合

…サービスを登録」することが必要であるのに対し、乙8-3発明においては、アプリケーションである「マクドナルド トクするアプリ」が「サービス」である「『かざすクーポン』サービス機能」に先行して記憶される構成が存在しない点

② 本件発明は「アプリケーションの処理により…サービスを登録」するも

のであるのに対して、乙8-3発明では、アプリケーションとサービスが当初から一体になっており、サービスは「登録」されず、「アプリケーションの処理により…サービスを登録」する構成が存在しない点

③ 本件発明は、「サービスを登録するためのデータを受信」することを必要

とするのに対して、乙8-3発明ではクーポンのデータそのものは受信するものの、「『かざすクーポン』サービス機能」を登録するためのデータを受信することはない点

④ 本件発明は、「登録された前記サービスに関する情報」を特定するのに対

5 して、乙8-3発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

⑤ 本件発明は、「生成された前記(サービスに関する)情報」で「管理手段

に管理されている前記(サービスに関する)情報を更新」(構成要件C)することを必要とするのに対して、乙8-3発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

⑶ 新規性・進歩性を有すること

上記⑵のとおり、本件発明と乙8-3発明との間には、実質的相違点が存在することから新規性を欠く旨の

(被告の主張)

には理由がない。また、被告は、上記各相違点を開示した副引例を証拠として提出さえしておらず、これら各相違点に係る構成が周知技術や設計事項であったことを示す証拠も提出していないし、まして、組合せの容易性についても何ら主張立証がない。そうすると、各相違点の内容に具体的に入り込むまでもなく、被告による進歩性違反の主張には理由がない。

3 争点2-3(乙8-4発明に基づく新規性・進歩性欠如)について

(被告の主張)

⑴ 乙8-4発明の構成

乙8文献には、乙8-4発明に関し、次の構成が記載されている。a14:「おサイフケータイ対応iアプリ」を記憶し、「おサイフケータイ対応iアプリ」で提供されるサービスに関する情報を管理する携帯電話に、ドコモショップの店頭などに設置されている専用の機器から受信した「おサイフケータイ対応iアプリ」で提供されるサービスを登録するためのデータを受信し、そのデータに基づき当該「おサイフケータイ対応iアプリ」で提供されるサービスを登録し、b14:登録された「おサイフケータイ対応iアプリ」で提供されるサービスに関する情報を、前記専用の機器から供給されるデータに基づいて生成し、

5 c14:生成された前記サービスに関する情報で、管理される情報を更新す

る、d14:ステップを含む処理を実行させるためのプログラム。

⑵ 新規性・進歩性の欠如

本件発明の構成は、乙8-4発明の構成と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。仮に相違点があるとしても些細なものであり、本件発明は進歩性を有しない。

(原告の主張)

⑴ 乙8-4発明について

乙8-4発明に係る「おサイフケータイ対応iアプリ」は、様々なアプリの分類・総称にすぎず、「おサイフケータイ対応iアプリ」という名称のアプリが実体として存在するわけではない。また、個別のアプリ(「iDアプリ」「モバイルSuicaアプリ」「マクドナルド トクするアプリ」)についても、乙8-4発明で行われていることは、単にデータを新機種へと引き継ぐことであって、「ドコモショップの店頭などに設置されている専用の機器から」「サービスを登録するためのデータ」が受信されているわけではない。すなわち、乙8-4発明において、引継ぎを行う新機種ではアプリケーションがダウンロードされる際に当該アプリケーションが提供するサービス自体も含まれているから、別途、「サービスを登録するためのデータ」が受信されることもあり得ない。

⑵ 本件発明と乙8-4発明の相違点

上記⑴を踏まえ、本件発明と乙8-4発明とを対比すると、少なくとも、以下の点において相違する。

① 本件発明においては、「サービスを登録するためのデータを受信した場合

…サービスを登録」することが必要であるのに対し、乙8-4発明におい

5 ては、アプリケーションである「おサイフケータイ対応iアプリ」がサー

ビスに先行して記憶される構成が存在しない点

② 本件発明は「アプリケーションの処理により…サービスを登録」するも

のであるのに対して、乙8-4発明では、アプリケーションとサービスとは当初から一体化しており、「アプリケーションの処理により…サービスを登録」する構成が存在しない点

③ 本件発明は、「登録された前記サービスに関する情報」を特定するのに対

して、乙8-4発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

④ 本件発明は、「生成された前記(サービスに関する)情報」で「管理手段

に管理されている前記(サービスに関する)情報を更新」(構成要件C)することを必要とするのに対して、乙8-4発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

⑶ 新規性・進歩性を有すること

上記⑵のとおり、本件発明と乙8-4発明との間には、実質的相違点が存在することから新規性を欠く旨の

(被告の主張)

には理由がない。また、被告は、上記各相違点を開示した副引例を証拠として提出さえしておらず、これら各相違点に係る構成が周知技術や設計事項であったことを示す証拠も提出していないし、まして、組合せの容易性についても何ら主張立証がない。そうすると、各相違点の内容に具体的に入り込むまでもなく、被告による進歩性違反の主張には理由がない。

4 争点2-4(乙11発明に基づく新規性・進歩性欠如)について

⑴ 乙11発明の構成

乙11文献には、乙11発明に関し、次の構成が記載されている。a7:「モバイルSuicaアプリ」を記憶するための記憶手段と、「モバイルSuicaアプリ」で提供される「Suica利用状況確認」、「SF(電子マネー)」、「定期券購入・変更・払戻」、「Suicaグリーン

5 券購入・払戻」等のサービスに関する情報を管理するための管理手段

とを備える携帯電話に、サーバ等の他の装置から、「Suica利用状況確認」、「SF(電子マネー)」、「定期券購入・変更・払戻」、「Suicaグリーン券購入・払戻」等のサービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、当該サービスを登録し、b7:登録された「Suica利用状況確認」、「SF(電子マネー)」、「定期券購入・変更・払戻」、「Suicaグリーン券購入・払戻」等のサービスに関する新しい情報を、サーバ等の他の装置から供給されるデータに基づいて生成し、c7:生成された前記サービスに関する新しい情報で、「Suica利用状況確認」、「SF(電子マネー)」、「定期券購入・変更・払戻」、「Suicaグリーン券購入・払戻」に関する情報を更新する(例えばSuicaの利用履歴、チャージの残高、定期券の購入、Suicaグリーン券の購入に関する情報を更新する)、d7:ステップを含む処理を実行させるためのプログラム。

⑵ 新規性・進歩性の欠如

本件発明の構成は、乙11発明の構成と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。仮に相違点があるとしても些細なものであり、本件発明は進歩性を有しない。

⑶ 時機に後れた攻撃防御方法ではないこと

乙11発明に基づく新規性・進歩性欠如の主張は、原告が撤回した訂正に基づいて行われたものであり、時機に後れた攻撃防御方法ではない。

(原告の主張)

⑴ 時機に後れた攻撃防御方法であること

被告は、

(原告の主張)

にかかわらず、乙11発明に基づく無効理由を早期に提出できたはずであり、乙11文献を検討しても特段被告がこれを早期に提出す

5 ることができなかった理由は見当たらない。仮にこれを審理するということに

なると、訴訟の完結を遅延させることは明らかであるから、乙11発明に基づく無効理由は時機に後れたものとして却下されるべきである。

⑵ 乙11発明について

乙11発明は、「モバイルSuicaアプリ」という単一のアプリケーションに、ダウンロード当初から「Suica利用状況確認」「SF(電子マネー)」及び「定期券購入・変更・払戻」というSuicaに関するサービスが含まれたものであって、アプリケーションとサービスは予め一体となっている。それゆえ、少なくとも、公然実施発明である、モバイルSuicaアプリについては、「サーバ等の他の装置から、「Suica利用状況確認」、「SF(電子マネー)」、「定期券購入・変更・払戻」、「Suicaグリーン券購入・払戻」等のサービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、当該サービスを登録し、」という構成を全く備えない点で相違するし、モバイルSuicaアプリは、アプリがダウンロードされた当初からアプリケーションにサービスが備わったもの(アプリサービス一体型)であり、本件発明の特徴の一つである「サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録」に係る構成要件に相当する構成を備えない点でも相違する。

⑶ 新規性・進歩性を有すること

上記⑵のとおり、本件発明と乙11発明との間には、実質的相違点が存在することから新規性を欠く旨の

(被告の主張)

には理由がない。また、被告は、上記各相違点を開示した副引例を証拠として提出さえしておらず、これら各相違点に係る構成が周知技術や設計事項であったことを示す証拠も提出していないし、まして、組み合わせの容易性についても何ら主張立証がない。そうすると、各相違点の内容に具体的に入り込むまでもなく、被告による進歩性違反の主張には理由がない。

5 5 争点2-5(乙9発明に基づく新規性・進歩性欠如)について

(被告の主張)

乙9発明は、乙8-1、3及び4並びに乙11発明の公然実施品に係る発明である。そのため、上記1ないし4のとおり、本件発明は、乙9発明として公然実施された発明であるから新規性を欠く。仮に相違点があるとしても些細なものであり、本件発明は進歩性を有しない。

(原告の主張)

否認ないし争う。上記1ないし4のとおり、本件発明と乙9発明との間には、実質的相違点が存在することから新規性を欠く旨の

(被告の主張)

には理由がない。また、被告は、上記各相違点を開示した副引例を証拠として提出さえしておらず、これら各相違点に係る構成が周知技術や設計事項であったことを示す証拠も提出していないし、まして、組み合わせの容易性についても何ら主張立証がない。そうすると、各相違点の内容に具体的に入り込むまでもなく、被告による進歩性違反の主張には理由がない。

6 争点2-6(乙14発明に基づく新規性・進歩性欠如)について

⑴ 乙14発明の構成

乙14公報には、乙14発明に関し、次の構成が記載されている。a3:電子マネーアプリを記憶し、電子マネーアプリで提供される電子マネーサービスに関する情報を管理する携帯端末に、サーバからダウンロードした電子マネーサービスを登録するためのデータを受信し、そのデータに基づき、電子マネーサービスを登録し、b3:登録された電子マネーサービスに関する情報を、サーバから供給されるデータに基づいて生成し、c3:生成された電子マネーサービスに関する情報で、管理される情報を更

5 新する、

d3:ステップを含む処理を実行させるためのプログラム。

⑵ 新規性・進歩性の欠如

本件発明の構成は、乙14発明の構成と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。仮に相違点があるとしても些細なものであり、本件発明は進歩性を有しない。

(原告の主張)

⑴ 乙14発明について

乙14発明は、電子マネーアプリ111が携帯端末にダウンロードされた当初から、「アプリケーション」としての「電子マネーアプリ111」と、「サービス」としての「電子マネーサービス」とが一体化した発明であって、それぞれが別個に存在するものではない。そのため、乙14発明において、「アプリケーションの処理により」「登録」される「サービス」が存在しない以上、乙14発明は、「登録された前記サービスに関する情報を……生成」することを必要とする構成要件Bや、「生成された前記(登録されたサービスに関する)情報で、前記管理手段に管理されている前記情報を更新する」構成要件Cに相当するステップも存在し得ない。

⑵ 本件発明と乙14発明の相違点

上記⑴を踏まえ、本件発明と乙14発明とを対比すると、少なくとも、以下の点において相違する。

① 本件発明においては、「サービスを登録するためのデータを受信した場合

…サービスを登録」することが必要であるのに対し、乙14発明においては、アプリケーションである「マネーアプリ」が「電子マネーサービス」に先行して記憶される構成が存在しない点

② 本件発明は「アプリケーションの処理により…サービスを登録」するも

のであるのに対して、乙14発明は、アプリケーションとサービスとは当

5 初から一体化しており、「アプリケーションの処理により…サービスを登録」

する構成が存在しない点

③ 本件発明は、「登録された前記サービスに関する情報」を特定するのに対

して、乙14発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

④ 本件発明は、「生成された前記サービスに関する情報」で「管理手段に管

理されている前記(サービスに関する)情報を更新」(構成要件C)することを必要とするのに対して、乙14発明のモバイルバンキングは本件発明における「サービス」に該当せず、それゆえ、モバイルバンキングの選択は、サービスに関する情報の生成にもサービスに関する情報の「更新」にも該当しない点

⑶ 新規性・進歩性を有すること

上記⑵のとおり、本件発明と乙14発明との間には、実質的相違点が存在することから新規性を欠く旨の

(被告の主張)

には理由がない。また、被告は、上記各相違点を開示した副引例を証拠として提出さえしておらず、これら各相違点に係る構成が周知技術や設計事項であったことを示す証拠も提出していないし、まして、組合せの容易性についても何ら主張立証がない。そうすると、各相違点の内容に具体的に入り込むまでもなく、被告による進歩性違反の主張には理由がない。

7 争点2-7(乙15発明に基づく新規性・進歩性欠如)について

(被告の主張)

⑴ 乙15発明の構成

乙15公報には、乙15発明に関し、次の構成が記載されている。a4:電子決済システム1によるサービスを受けるための移動体通信端末20用ソフトウェア(以下「電子決済用アプリ」という。)を記憶し、電子決済用アプリで提供される支払・決済サービス、振替サービス及び電子契約申請サービスに関する情報を管理する移動体通信端末20に、

5 サーバから支払・決済サービス、振替サービス及び電子契約申請サー

ビスを登録するためのデータを受信し、そのデータに基づき、電子決済用アプリの処理により前記サービスを登録し、b4:登録された前記サービスに関する情報を、サーバから供給されるデータに基づいて生成し、c4:生成された前記サービスに関する情報で、管理される情報を更新する、d4:ステップを含む処理を実行させるためのプログラム。

⑵ 新規性・進歩性の欠如

本件発明の構成は、乙15発明の構成と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。仮に相違点があるとしても些細なものであり、本件発明は進歩性を有しない。

(原告の主張)

⑴ 乙15発明について

乙15発明は、アプリケーション(「移動体通信端末20用ソフトウェア」)及びサービス(「支払」)が一体となった発明であり、本件発明のように「サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録」する構成は存在しない。そのため、乙15発明は、本件発明のような「他の装置から、前記サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録」という処理を実行するものではないし、「サービスに関する情報」が「生成」(構成要件B)されることもなく、「生成された前記(サービスに関する)情報で、前記管理手段に管理されている前記情報を更新する」(構成要件C参照)に相当する構成も存在しない。

⑵ 本件発明と乙15発明の相違点

上記⑴を踏まえ、本件発明と乙15発明とを対比すると、少なくとも、以下の点において相違する。

5 ① 本件発明においては、「サービスを登録するためのデータを受信した場合

…サービスを登録」することが必要であるのに対し、乙15発明においては、アプリケーションである「電子決済用アプリ」が「サービス」に先行して記憶される構成が存在しない点

② 本件発明は「アプリケーションの処理により…サービスを登録」するも

のであるのに対して、乙15発明では、アプリケーションとサービスが当初から一体になっており、サービスは登録されず、「アプリケーションの処理により…サービスを登録」する構成が存在しない点

③ 本件発明は、「登録された前記サービスに関する情報」を特定するのに対

して、乙15発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

④ 本件発明は、「生成された前記(サービスに関する)情報」で「管理手段

に管理されている前記(サービスに関する)情報を更新」(構成要件C)することを必要とするのに対して、乙15発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

⑶ 新規性・進歩性を有すること

上記⑵のとおり、本件発明と乙15発明との間には、実質的相違点が存在することから新規性を欠く旨の

(被告の主張)

には理由がない。また、被告は、上記各相違点を開示した副引例を証拠として提出さえしておらず、これら各相違点に係る構成が周知技術や設計事項であったことを示す証拠も提出していないし、まして、組合せの容易性についても何ら主張立証がない。そうすると、各相違点の内容に具体的に入り込むまでもなく、被告による進歩性違反の主張には理由がない。

8 争点2-8(乙16発明に基づく新規性・進歩性欠如)について

(被告の主張)

⑴ 乙16発明の構成

乙16公報には、乙16発明に関し、次の構成が記載されている。

5 a4:音楽に関するソフトウェアアプリケーションを記憶し、前記音楽に関

するソフトウェアアプリケーションで提供される音楽コンテンツの提供サービスに関する情報を管理する携帯無線コンピューティング装置に、リモートサーバから音楽コンテンツの提供サービスを登録するためのデータを受信し、そのデータに基づき、前記音楽に関するソフトウェアアプリケーションの処理により前記サービスを登録し、b4:登録された音楽コンテンツの提供サービスに関する情報を、リモートサーバから供給されるデータに基づいて生成し、c4:生成された音楽コンテンツの提供サービスに関する情報で、管理される情報を更新する、d4:ステップを含む処理を実行させるためのプログラム。

⑵ 新規性・進歩性の欠如

本件発明の構成は、乙16発明の構成と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。仮に相違点があるとしても些細なものであり、本件発明は進歩性を有しない。

(原告の主張)

⑴ 乙16発明について

乙16発明は、アプリケーションMusicStation及び音楽の再生機能等の「サービス」が当初から一体となったソフトウェアであり、本件発明のように「サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録(する)」という構成をそもそも備えない。また、乙16発明でダウンロードされることになるのは、「音楽コンテンツ」という音楽データそのものであって、本件発明のように「サービスを登録するためのデータ」が受信されるわけではない。

⑵ 本件発明と乙16発明の相違点

5 上記⑴を踏まえ、本件発明と乙16発明とを対比すると、少なくとも、以下

の点において相違する。

① 本件発明においては、「サービスを登録するためのデータを受信した場合

…サービスを登録」することが必要であるのに対し、乙16発明においては、アプリケーションである「MusicStation」が「サービス」である「音楽コンテンツの提供サービス」に先行して記憶される構成が存在しない点

② 本件発明は「アプリケーションの処理により…サービスを登録」するも

のであるのに対して、乙16発明では、アプリケーションとサービスが当初から一体になっており、サービスは「登録」されず、「アプリケーションの処理により…サービスを登録」する構成が存在しない点

③ 本件発明は、「サービスを登録するためのデータを受信」することを必要

とするのに対して、乙16発明では音楽コンテンツデータそのものは受信するものの、「音楽コンテンツの提供サービスを登録するためのデータ」を受信することはない点

④ 本件発明は、「登録された前記サービスに関する情報」を特定するのに対

して、乙16発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

⑤ 本件発明は、「生成された前記(サービスに関する)情報」で「管理手段

に管理されている前記(サービスに関する)情報を更新」(構成要件C)することを必要とするのに対して、乙16発明ではこれに相当する構成の開示が存在しない点

⑶ 新規性・進歩性を有すること

上記⑵のとおり、本件発明と乙16発明との間には、実質的相違点が存在することから新規性を欠く旨の

(被告の主張)

には理由がない。また、被告は、上記各相違点を開示した副引例を証拠として提出さえしておらず、これら各相違点に係る構成が周知技術や設計事項であったことを示す証

5 拠も提出していないし、まして、組合せの容易性についても何ら主張立証がな

い。そうすると、各相違点の内容に具体的に入り込むまでもなく、被告による進歩性違反の主張には理由がない。

9 争点2-9(サポート要件違反)について

(被告の主張)

⑴ 本件明細書【0017】で「本発明は、このような状況に鑑みてなされたも

のであり、例えば、UICCなどの所定の情報を管理する装置内の情報を、その情報を閲覧するためのビューワで正確に閲覧できるようにし、かつそのための更新を既存のインフラを用いて行えるようにするものである。」と記載されていることからして、「その情報を閲覧するためのビューワで正確に閲覧できる」ことは解決すべき必須の課題である。これに対し、原告は本件発明において、「ビューワ」は関係がないと主張しており、

(原告の主張)

を前提とすると、本件発明は当業者が当該発明の課題を解決することができると認識可能な範囲のものとなっておらず、サポート要件に違反する。

⑵ 本件発明の「サービス」は、アプリケーションに含まれるサービスを意味し

ているところ、仮に原告が主張するように、本件発明が「支払サービス(クレジットカード払い及びd払いサービスを含む)」をGOアプリに連携させることで利用可能とする態様を、その技術的範囲に含むというのであれば、発明の詳細な説明に記載されていない発明にまで、本件発明の技術的範囲を拡張することになる。また、「所定の情報を管理する装置内の情報を、その情報を閲覧するためのビューワで正確に閲覧できる」という本件発明が解決しようとする課題とは全く関係のない態様にまで権利範囲を拡張することになる。そのため、本件発明はサポート要件に違反する。

⑶ 本件明細書【0085】で「リーダライタ202からCLF224を経由し

て、UICC222にサービス登録データ431を渡すことが出来る。」ことが

5 示されており、ユーザが「セキュリティコード」等を入力すること等は全く想

定されていない。これに対し、原告は、「同意する」という選択を行った後で送られてくる「セキュリティコード」をユーザが入力してログインし、さらにNTT DoCoMoのspモードパスワードを入力することが必要となっており、ユーザが適宜操作を行うことで、「セキュリティコード」を取得しかつ入力し、さらにspモードパスワードを入力する態様となっているにもかかわらず、本件発明の構成要件Aを充足すると主張し、また、既に登録されているサービスに対して、ユーザの操作を用いて支払方法の情報を変更する態様や支払方法の情報を削除する態様についても、構成要件Cを充足すると主張する。このような原告の解釈は、ユーザの操作を介入するとは解釈することができない「前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録する」や、「生成された前記情報で、前記管理手段に管理されている前記情報を更新する」という用語を不当に拡張して解釈するものであって、「特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明」にまで技術的範囲を拡張するものである。そのため、本件発明はサポート要件に違反する。

⑷ 本件発明の解決すべき課題の記載、本件明細書【0038】において「サー

ビスに関する情報」として「アプリケーションが提供するサービスの名称やサービス種別といったサービスに関する情報」と記載され、サービス名やサービス種別以外に「サービスに関する情報」が示されていないことからして、構成要件Bの「前記サービスに関する情報」及び構成要件Cの「生成された前記情報」は、アプリケーションに含まれるサービスを認識することができる情報である必要があり、本件明細書で示されるように「サービス名やサービス種別」である必要があり、それ以上に拡張することができるものではない。そのため、構成要件Bの「前記サービスに関する情報」及び構成要件Cの

5 「生成された前記情報」が限定されていない本件発明はサポート要件に違反す

る。

⑸ 構成要件A及びBではサービスに関する情報を管理する管理手段を備える情

報処理装置が、他の装置から、当該同じサービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、当該同じサービスを登録することが要件となっている。本件明細書【0080】ないし【0091】、【0036】、【0308】及び図32では、サービスに関する情報を管理する管理手段を備える情報処理装置が、他の装置から、当該同じサービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、当該同じサービスを登録することは全く記載されていないことから、構成要件A及びBの「前記サービス」はサポートされていない。

(原告の主張)

⑴ 本件発明は、【0017】に開示されるとおり、「生成された…情報で、前記

管理手段に管理されている前記情報を更新する」ことを、その技術的特徴と捉えて特許としたものであり、被告が主張するような「ビューワ」を課題解決のために必須とするものではない。そして、当業者は、本件発明によって、本件明細書に記載された「更新を既存のインフラを用いて行えるようにする」という課題解決を認識することができるのであるから、特許請求の範囲はサポートされている。

⑵ 本件発明において、アプリケーションにサービスが「登録」された上で、こ

れをユーザに「提供」するに当たっては、例えばクレジットカードサービスのクレジットサーバの場合を考えても明らかなとおり、第三者(サービスプロバイダー) との「連携」が当然必要となる。本件明細書はこのような場合を当然に想定しているものであり、

(被告の主張)

は誤りである。

⑶ 本件明細書は、「前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録する」

処理が行われる契機がユーザの操作であるのか、あるいは、プログラムの動作

5 によるものであるかを限定したものではないから、「想定されて」いるかどうか

を問題とする

(被告の主張)

に理由はない。

⑷ 本件明細書【0038】では、「レジストリ253は、アプリケーションが提

供するサービスの名称やサービス種別といったサービスに関する情報を管理する。」として、「サービスに関する情報」を「サービス名」や「サービス種別」に限定しないことを明確にしている。そもそも、特許明細書に記載される例は、あくまで発明の実施例であり、特許発明の技術的範囲がこれに限定されるわけではなく、技術的範囲は原則として特許請求の範囲に基づき定められるものであって、

(被告の主張)

は、典型的な実施例限定解釈であることからしても誤りである。

⑸ 構成要件Aの前段に特定される「サービス」は、情報処理装置の管理手段が

持つ機能の説明をするために特定されているのであり、情報処理装置の管理手段がかかる機能を客観的に有するか、という観点で、対比される構成であり、構成要件Aの後段における「他の装置から、前記サービスを登録するためのデータを受信した場合、そのデータに基づき、前記アプリケーションの処理により前記サービスを登録し、」との特定は、具体的なサービスを登録する処理について規定されているものであり、構成要件Aの後段の「サービス」は、具体的なサービスと対比されるべきものであることが理解できる。そのため、当業者であれば、本件発明において特定された技術的内容から、構成要件Aの後段における具体的な「サービス」が、構成要件Aの前段における情報処理装置の管理手段が持つ機能を説明するための「サービス」と一致する必要はないことを理解することができる。そして、構成要件Bにおいて特定される「サービス」も、具体的な「サービス」に関する情報を生成する処理について規定されているものであるから、構成要件Aの前段における「サービス」と一致する必要はないことを理解することができる。以上(別紙)図面目録図1図2図3図4図5図6図9図12図13図14図15図33図34以上

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