ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和7(ワ)10447 不正競争行為差止等請求事件
| 裁判所 | 請求棄却 大阪地方裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和8年7月30日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 当事者 | 原告株式会社ジェイクラフト 被告株式会社with |
| 法令 |
不正競争 不正競争防止法2条1項1号8回 不正競争防止法2条1項20号7回 商標法3条1項5号1回 商標法3条1項1回 |
| キーワード | 商標権14回 侵害7回 差止3回 損害賠償2回 無効1回 実施1回 |
| 主文 | 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
| 事件の概要 | 1 本判決で用いる呼称(略語) (1) 原告商標1:別紙原告商標権目録(1)記載の商標 (2) 原告商標2:別紙原告商標権目録(2)記載の商標 (3) 被告標章1:別紙被告標章目録1記載の標章(IW波) (4) 被告標章2:別紙被告標章目録2記載の標章(S.IW波) (5) 被告ウェブサイト:別紙ウェブサイト目録記載の各ウェブページ2 原 告の請求 本件は、原告が、被告ウェブサイト及び被告商品の取扱説明書等において、 被告が被告標章1及び同2を付す行為が、 「商品等表示」として混同惹起行為 (不正競争防止法2条1項1号)に当たるとともに、商標的使用に当たり、原 告の原告商標1及び同2に係る商標権を侵害する(商標法37条1項1号、2 号)ほか、別紙被告商品目録記載の商品(ただし、同別紙で「S.IW波」の 文字列も含める形での対象商品の特定は原告によるものである。 |
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令和8年7月30日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和7年(ワ)第10447号 不正競争行為差止等請求事件
口頭弁論終結日 令和8年6月10日
判 決
原 告 株式会社ジェイクラフト
代表者代表取締役
訴訟代理人弁護士 溝 上 哲 也
同 古 荘 宏
訴訟代理人弁理士 山 本 進
被 告 株式会社with
代表者代表取締役
訴訟代理人弁護士 辻 本 希 世 士
同 辻 本 良 知
同 松 田 さ と み
同 小 池 康 弘
同 村 上 崇
主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 被告は、別紙ウェブサイト目録記載の各ウェブページに表示されている、別紙被告商品目録記載の商品に関する広告を内容とする情報に、別紙被告標章目録記載の各標章を付して、電磁的方法による提供をしてはならない。2 被告は、別紙ウェブサイト目録記載の各ウェブページに電磁的方法によって提供されている、別紙被告商品目録記載の商品に関する広告を内容とする情報から、別紙被告標章目録記載の各標章を削除せよ。3 被告は、別紙被告標章目録記載の被告標章2を付した別紙被告商品目録記載
5 の商品を譲渡、引き渡し、若しくは販売のために展示をしてはならない。4 被告は、別紙被告商品目録記載の商品から別紙被告標章目録記載の被告標章2を削除せよ。5 被告は、原告に対し、1222万9198円及びこれに対する令和7年7月1日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本判決で用いる呼称(略語)
(1) 原告商標1:別紙原告商標権目録(1)記載の商標
(2) 原告商標2:別紙原告商標権目録(2)記載の商標
(3) 被告標章1:別紙被告標章目録1記載の標章(IW波)
(4) 被告標章2:別紙被告標章目録2記載の標章(S.IW波)
(5) 被告ウェブサイト:別紙ウェブサイト目録記載の各ウェブページ2 原告の請求本件は、原告が、被告ウェブサイト及び被告商品の取扱説明書等において、被告が被告標章1及び同2を付す行為が、「商品等表示」として混同惹起行為(不正競争防止法2条1項1号)に当たるとともに、商標的使用に当たり、原告の原告商標1及び同2に係る商標権を侵害する(商標法37条1項1号、2号)ほか、別紙被告商品目録記載の商品(ただし、同別紙で「S.IW波」の文字列も含める形での対象商品の特定は原告によるものである。)の取扱説明書等において被告標章2を付す行為は、品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)にも当たると主張して、被告に対し、不正競争防止法3条 1項及び商標法36条1項に基づく被告ウェブサイトにおける被告標章1及び2の使用及び被告標章2を付した上記商品の譲渡等の差止め、不正競争防止法3条2項及び商標法36条2項に基づく被告ウェブサイト及び上記商品の取扱説明書等からの被告標章1及び2の表記の削除を求めるとともに、不正競争防止法4条及び民法709条に基づく1222万9198円の損害賠償金及びこれ
5 に対する令和7年7月1日(不法行為の後日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を請求する事案である。3 前提事実(争いのない事実、掲記各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)
(1) 当事者ア 原告は、平成13年4月に、電子応用医療機器の開発・製造及び販売等を目的として設立された株式会社である。イ 被告は、平成22年2月に、衣料品、日用雑貨品、食料品、化粧品、医薬品、医薬部外品、医療機器等の輸入・製造・販売等を目的として設立された株式会社である。
(2) 原告商品ア 原告は、 自ら 開発 した特殊な 電気 波形を「IW波 ( Inter WidenedWave)」と名付け、平成17年以降、その出力を機能として備えた美顔器である商品名「セルキュア」「セルキュア4T」「セルキュア4TPLUS」「ハンディマジック」「ルーナノーバ」「CCS」「ビューティーキュア」「ハリウッドライン」「ハリケア」「セルキュア4T++」「セルキュア4Tプロ」「セルショット」「セルキュアプロ」「ジェーナプロ」の各商品(以下「原告商品」という。)を、順次、発売した(甲18、27、弁論の全趣旨)。イ 原告は、平成19年11月以降、ベレガ株式会社を専属販売代理店として、同社のウェブサイトやオンラインショップでも、原告商品を販売するようになった。原告のウェブサイトにおいては、「セルキュアシリーズは、2005年に鋭意研究の末に見出した独自の特許取得済み技術、この低周波を「IW波(Inter Widened Wave)」と名付け、低周波での活性化が期待できます。」と記載されている(甲27)。
5 また、原告は、原告商品に同梱されている取扱説明書、原告のウェブサイト、ベレガ株式会社のウェブサイト、オンラインショップ、展示会のパンフレット、美容雑誌等において、原告商品が発する波形を、「IW波」( 甲 1 4 の 1 )、「 I . W 波 」「 I . W . 波 」「 I . W . 波 ( interwindwave)」「I.W波 Interwind Wave effect」「I.W波(Inter Windwave)」(甲5、14の2ないし10、甲15ないし18、29、30、32)と記載している(なお、被告は、上記証拠関係を前提に、原告商品に関連しての記載は「I.W波」又は「I.W.波」に限定されており、「IW波」との記載はないと主張している。)。
(3) 原告の商標権原告は、原告商標1及び2に係る商標権を有している(甲3)。
(4) 被告の行為被告は、遅くとも令和5年8月までに、商品名に「MAGIC LIFT」(マジックリフト)と付した美顔器(以下、「被告商品」という。ただし、原告は、被告商品について、別紙被告商品目録記載のとおり、「S.IW波」の文字列も含める形で特定されるべきと主張している。)の販売を開始し、被告商品に同梱されているパンフレット、簡単ガイド及び取扱説明書において、被告商品が発する波形を「S.IW波」(被告標章2)と記載している(甲19から23まで、33、弁論の全趣旨。被告は、被告商品の販売開始時期を令和5年5月と主張するのに対し、原告はこの時期の販売開始を否認している。)。
(5) 本訴に至る経緯ア 原告は、令和7年5月8日付けで、被告に対し、被告ウェブサイト等における被告標章1及び2の使用等の差止め、削除等及び損害賠償金の支払等を求める旨の内容証明郵便を発し、同郵便は、翌9日、被告に到達
5 した(甲25)。イ 被告は、令和7年6月6日付けで、原告に対し、上記郵便記載の原告の請求には応じられない旨の内容証明郵便を発し、同郵便は、後日、原告に到達した(甲26)。ウ 原告は、令和7年10月2日、本件訴えを提起した。4 争点
(1) 不正競争防止法2条1項1号の成否(争点1)ア 「IW波」の商品等表示該当性及び周知性イ 被告標章1及び2の商品等表示該当性
(2) 不正競争防止法2条1項20号の成否(品質等誤認表示該当性)(争点2)
(3) 商標権侵害の成否(争点3)ア 商標の類否イ 被告標章2の商標的使用該当性ウ 権利濫用
第3 争点に対する当事者の主張
1 争点1(不正競争防止法2条1項1号の成否)について
【
(原告の主張)
】
(1) 「IW波」の商品等表示該当性及び周知性
原告商品に使用されている「IW波」の表示は、原告の特許技術を実施した商品を示すためにこれまで多用されてきており、出所表示機能及び自他商品識別機能を有している。また、「IW波」は、技術的用語にはなく、原告が新しく名付けた造語であるから、原告商品に採用されている特許を取得した波形を示唆する意味で機能することがあったとしても、商品等表示としても機能している。原告商品は、シリーズ累計で合計12万1228台もの販売実績があり、特に、「セルキュア4TPLUS」は、令和2年には年間18,229台販
5 売されるなどのヒット商品となり、令和3年6月に販売を開始した「セルキ
ュア4T++」と共に主力商品となっている。また、ビューティー・ワールド・ジャパンその他の展示会において多数回出品され、多数の美容雑誌において紹介されているほか、全国各地の百貨店の催事でも販売されている。その取扱説明書においては、漏れなく「IW波」と表示されているほか、原告は、上記展示会等において、「IW波」の表示と共にその技術内容を説明し、その効果の広告を行ってきた。このような販売実績に鑑みれば、原告商品に使用されている「IW波」の表示は、美容業界において既に一般的なネーミングになり、遅くとも、被告商品の販売が開始される前の令和5年7月には、美容機器の分野において、原告技術及び原告商品を示す表示として取引者・需要者に周知となっていたといえる。仮に、被告商品の開始時期が同年5月であったとしても、2か月程度の差異でしかなく、そのときまでに周知性を獲得していたとの評価に違いはなく、
(被告の主張)
するような先使用権が成立する余地もない。すなわち、いずれにしても、「IW波」は被告商品の販売開始までに商品等表示として周知となっていたものといえる(先使用権については、原告の商品等表示を模倣するとともに、後記のとおり品質誤認を生じさせるという不正な目的を被告が有していたことからも否定されるものといえる。)。したがって、「IW波」は、不正競争防止法2条1項1号所定の「商品等表示」に該当する。
(2) 被告標章1及び同2の商品等表示該当性
被告標章2は、原告商品の商品等表示として周知の「IW波」に「S.」を付加しただけのものであって、その使用態様からしても、需要者に出所の混同を生じさせるものとして、被告商品の商品等表示にあたるものといえる。また、被告ウェブサイトの「IW波をさらに進化させた独自開発のS.IW波を採用」との記載は、被告標章2が被告標章1の「IW波」に由来して
5 いることを表しているから、被告商品が被告標章1を中心とした商品群の一
種であるとの出所表示の役割を果たしている。したがって、被告標章1及び同2は、不正競争防止法2条1項1号所定の「商品等表示」に該当する。【
(被告の主張)
】
(1) 「IW波」の商品等表示該当性及び周知性
ア 原告は、原告商品に「IW波」と記載されていることを前提に主張を展開するが、原告商品に付されているのは「I.W波」又は「I.W.波」であり、「IW波」とは記載されていない。記載されていない標章が周知性のある商品等表示として保護される余地はない。イ 上記の点を措くとしても、「IW波」は、出所表示機能や自他商品識別機能を果たす態様で記載されておらず、商品等表示として保護されない。すなわち、原告は、「I.W波」や「I.W.波」は、原告が開発した波の状態を説明する用語であると主張し、これらが商品等表示でないことを自認している。実際に、原告商品が掲載された雑誌記事等を見ても、「I.W波」等は、原告商品から出力される波形を説明する用語として記載されているにすぎず、「干渉波」の一種であると理解すればよいことが説明されている。また、原告商品には、「セルキュア4TPlus」や「セルキュア4T++」という商品名が付されているから、原告商品の出所は同商品名によって識別され、「I.W波」等は、原告商品の機能の一部を説明する記載であると理解するのが自然かつ妥当である。したがって、「IW波」が原告商品の出所表示機能や自他商品識別機能等を果たす態様で表記されている事実は存在せず、「IW波」は、不正競争防止法2条1項1号所定の「商品等表示」に該当しない。ウ しかも、「IW波」は、原告が周知性を獲得したと主張する令和5年7月時において周知性を獲得したとはいえない。すなわち、原告商品は、
5 平成19年から令和7年までの19年間の累計販売台数でも12万12
28台にすぎず、原告が周知性を獲得したと主張する令和5年の前年に至っては、全ての商品の販売台数を合計しても1万台余りにすぎず、このようなわずかな使用実績により「IW波」の表示の周知性が立証されるはずはない。また、原告は、美容雑誌への掲載、ビューティー・ワールド・ジャパンへの出店、百貨店での催事及び原告商品の取扱説明書に「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」と記載されていることを指摘して、周知性を獲得した旨主張するが、原告が周知性を獲得したと主張する令和5年7月時における周知性は、同時点までの事情でのみ裏付けられるから、当該時点以降の事情や証拠は「IW波」の周知性を裏付けるものとして不適格であり、参照されるべきではない。この点を措くとしても、原告商品は、各美容雑誌のごく一部のページ等で紹介されているにすぎないし、その紹介の中で「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」と必ず記載されているわけでもない。ビューティー・ワールド・ジャパンについては、原告商品が出展されていたことを客観的に裏付ける資料はなく、そのチラシやパンフレットがどの程度配布されていたかも不明である上、「IW波」の表示は、チラシ等に記載された原告商品に係る説明文の中でごく小さな文字で用いられているにすぎない。百貨店の催事についても、その販売期間は1週間程度の短期間である上、そのチラシ等のうち一般消費者に頒布された枚数は不明であり、「IW波」の表示は、そのチラシ等の中の原告商品に係る説明文の中でごく小さな文字で記載されているにすぎない。取扱説明書についても、同様であり、原告商品の購入者等の目にしか触れない書類である上、「IW波」の表示は、原告商品に係る説明文にごく小さな文字で用いられているにすぎない。
5 したがって、令和5年7月時において、「IW波」の表示が周知性を獲
得したとはいえない。エ また、仮に、「IW波」が令和5年7月に周知性を獲得していたのだとしても、被告商品は令和5年5月には販売を開始したのであるから、被告は、被告標章1及び同2について先使用権を有するもので、いずれにしても、
(原告の主張)
は失当である。
(2) 被告標章1及び同2の商品等表示該当性
ア 被告標章1については、被告ウェブサイトの限られた個所において、「IW波をさらに進化させた独自開発のS.IW波を採用」と記載しているだけである。被告標章1は、被告商品が備える波形の比較対象として記載されているにとどまり、特定の商品の出所を示しているわけでもなく、被告商品が備えている波形を示すものでもない。イ 被告標章2については、例えば、被告ウェブサイトに、「何度もテストを重ねた独自開発のS.IW波」「S.IW波によって深部の表情筋に刺激を与え」などと記載されている。このように、被告標章2は、被告商品が備える波形の内容や同波形により被告商品の使用者に生じる効果を説明するために記載されており、被告商品の出所を示すものとしては機能していない。また、被告商品の商品名は、「MAGIC LIFT」であるから、被告商品の出所は、同商品名によって識別される。被告標章2は、被告商品の機能の一部を説明する記載であると理解するのが自然かつ妥当である。したがって、被告標章が被告商品の出所表示機能や自他商品識別機能等を果たす態様で記載されている事実は存在せず、被告標章は、不正競争防止法2条1項1号所定の「商品等表示」に該当しない。
2 争点2(不正競争防止法2条1項20号の成否)について
【
(原告の主張)
】
5 被告は、被告商品を広告・宣伝する目的で開設した被告ウェブサイトにおい
て、「IW波をさらに進化させた独自開発のS.IW波を採用」等と記載した上、「S.IW波+温熱効果でむくみの解消と老廃物の排出をサポート」などと記載し、被告商品に同梱されたパンフレット、簡単ガイド、取扱説明書においても、上記と同様に、適用する波形の内容とその商品の品質を表示している。一般的な需要者からすれば、被告のこのような表示は、被告商品が原告の独自に開発した「IW波」とは性質が異なる波形を有するものであるにもかかわらず、その冒頭に「S.」を付加しただけの被告標章2「S.IW波」とするものであるから、被告商品による波形が原告商品の「IW波」と同内容ないしその一種であるかのように理解される。さらに、被告ウェブサイトには、「IW波をさらに進化させた独自開発のS.IW波を採用」と記載されており、あたかも被告商品の波形が原告の「IW波」を引き継いで改良されている旨の説明をしており、需要者において、「IW波」と同内容ないしその一種である波形がより改良されたものであると誤って理解されることが必至である。被告商品の出力波形は、原告商品の「IW波」とは全く異なる波形であって、技術も全く異なるから、これらは、商品の品質等を誤認させる表示であることは明らかである。したがって、被告の上記行為は、不正競争防止法2条1項20号所定の品質について誤認させるような表示に該当する。【
(被告の主張)
】原告の上記主張は、被告標章2が、原告商品が発する干渉波とされる「IW波」に依拠していることを前提とするが、「IW波」は周知ではないから、被告が「IW波」に依拠しようとしたところで、被告標章2に触れた需要者において、被告商品の波形が原告商品の波形に依拠していると理解する余地はない。この点を措くとしても、「IW波」は、原告が独自に名付けた造語である「interwind wave」(原告商標1を構成する「Inter Widened Wave」は使用さ
5 れていない。)の頭文字の略称であるのに対し、被告標章2は、一般の干渉波
である「interference wave」と異なり、これを進化させたシングル回路の中周波を備えることを示唆するものである。しかも、被告ウェブサイト等において、被告商品は独自の波形を備えるものであることや、被告商品の波形は、IW波(ここでいうIW波は、一般の干渉波の略称である。)と異なることが明確にされているから、被告標章2の記載より、需要者において、被告商品の波形が原告商品の一種であるとか、原告商品の波形を改良したものであると理解する余地はない。したがって、被告標章2は、不正競争防止法2条1項20号所定の品質について誤認させるような表示に該当しない。
3 争点3(商標権侵害の成否)について
【
(原告の主張)
】
(1) 商標の類否
以下のとおり、原告商標1と被告標章1及び同2、原告商標2と被告標章2は、外観・呼称・観念・取引の実情の観点からみて、類似している。そして、原告商標1及び同2の指定商品である「業務用美容マッサージ器」及び「家庭用電気マッサージ器」と被告標章1及び同2が付されている被告商品の「美顔器」は、同一又は類似することが明らかであるから、被告による被告商品の販売等の行為は、原告商標1及び同2に係る商標権を侵害する。ア 原告商標1と被告標章1原告商標1は、「IW波」を大きく表示した下部に、二段併記で、小さく「Inter Widened Wave」と表記するものであり、被告標章1は、「IW波」である。原告商標1は、上記のとおり二段併記されているところ、上下二段のうち大きく目立つ方である「IW波」の部分が分離観察される。原告商標1から分離観察された「IW波」の部分と被告標章1「IW波」は、外
5 観上、全く同一であるし、いずれも「アイダブリューハ」と発音される
から、呼称も全く同一である。他方、原告商標1から分離観察された部分及び被告標章1(「IW波」)は、特定の意味を有しない造語であり、何らかの波の略称ではないし、原告商標1の下段部分も、「葬る」「広げられた」「波」との意味を有するが、一連では何ら特定の意味は有しないし、そもそも原告が採択した造語であるから、何らかの波程度の意味に理解されるにすぎず、観念上の対比はできない。したがって、原告商標1と被告標章1は類似する。イ 原告商標1と被告標章2原告商標1は、上記のとおりであり、「IW波」の部分が分離観察される。被告標章2は、「S.IW波」である。原告商標1から分離観察された「IW波」の部分と被告標章2を対比すると、外観上、冒頭に「S」と「.」が付加されているだけの相違しかない。「.」は前半と後半を区切るものであって、先頭には「S」のローマ字1文字しかない。特許庁の審査基準において、ローマ字の1字若しくは2字からなる表記は、商標法3条1項5号の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」として登録されない場合に該当するから、被告標章2は、「S.」の部分がありふれた標章に該当するか、「IW波」の一種と理解されて分離観察される。そうすると、原告商標1から分離観察された部分と被告標章2から分離観察された部分は、同一であるから、外観上類似し、いずれも「アイダブリューハ」と発音されるから、呼称も全く同一である。他方、原告商標1と被告標章2は、上記のとおり、観念上の対比はできない。したがって、原告商標1と被告標章2は類似する。ウ 原告商標2と被告標章2原告商標2は、「S.IW波」を大きく表記した下部に、二段併記で小
5 さく「Super.Inter Widened Wave」と表記するものであり、被告標章2は、
「S.IW波」である。原告商標2は、上記のとおり二段併記されているところ、原告商標1と同様に、上下二段のうち大きく目立つ方である「S.IW波」の部分が分離観察される。原告商標2から分離観察された「S.IW波」の部分と被告標章2「S.IW波」は、外観上、全く同一であるし、いずれも「エスアイダブリューハ」と発音されるから、呼称も全く同一である。他方、原告商標2から分離観察された部分及び被告標章2(「S.IW波」)は、特定の意味を有しない造語であり、何らかの波の略称ではないし、原告商標2の下段部分も、「極上の」「葬る」「広げられた」「波」との意味を有するが、一連では何ら特定の意味は有しないし、そもそも原告が採択した造語であるから、何らかの波程度の意味に理解されるにすぎず、観念上の対比はできない。したがって、原告商標2と被告標章2は類似する。
(2) 被告標章1及び同2の商標的使用該当性
前記1【
(原告の主張)
】(2)で主張したところにより、被告標章1及び同2は、いずれも出所表示機能や自他商品識別機能を果たす態様で使用されており、商標権侵害が成立する。
(3) 権利濫用
原告商標に基づく請求が権利濫用に該当する旨の
(被告の主張)
は、争う。【
(被告の主張)
】
(1) 商標の類否
以下のとおり、原告商標1と被告標章1及び同2、原告商品2と被告標章2は、外観・呼称・観念・取引の実情の観点からみて、非類似である。ア 原告商標1と被告標章1原告商標1は、英語語句を連ねた長いローマ字を上下二段で構成してい
5 るのに対し、被告標章1は、2字のローマ字と1字の和字という極めて
短い記号的表記にとどまるから、両者は、外観上、全く異質の視覚的な印象を提供する。そして、原告商標1の上段は下段の略語であり、上段と下段は関連付けて観察されるから、分離して観察すべきではない。原告商標1は、「インターワイデンドウェーブ」の称呼を含むのに対し、被告標章1は、「アイダブリュウ・ハ」と発音されるから、両者は、称呼上、明確に区別される。原告商標1の上段と被告標章1は、2字のローマ字と1字の和字によって構成されることにより何らかの略語の展開を想起させるものの、特定の具体的な観念を特定することはできないから、両者は一致しない。また、原告商標1は、下段に「Inter Widened Wave」の表記があるため、「相互に広がった波」という、英語の語意に基づく漠然とした観念を想起 さ せ る 。 と り わ け 、 上 段 の 「 I 」「 W 」「 波 」 が 下 段 の 「 Inter 」「Widened」「Wave」の頭文字ないし意味に対応するから、原告商標1は上記観念において理解されるが、被告標章1からこのような観念は生じず、両者は明確に区別される。したがって、原告商標1と被告標章1は類似しない。イ 原告商標1と被告標章2原告商標1は、英語語句を連ねた長いローマ字を上下二段で構成しているのに対し、被告標章2は、被告標章1の先頭にさらに「S.」が付された記号的表記にとどまるから、両者は、外観上、全く異質の視覚的な印象を提供する。原告商標1は、「インターワイデンドウェーブ」の称呼を含むのに対し、被告標章2は、「エス・アイダブリュウ・ハ」と発音されるから、両者は、称呼上、明確に区別される。原告商標1の上段と被告標章2は、2ないし3字のローマ字と1字の和
5 字によって構成されることにより何らかの略語の展開を想起させるもの
の、特定の具体的な観念を特定することはできないから、両者は一致しない。原告商標1は、上記のとおり、下段に「相互に広がった波」という、英語の語意に基づく漠然とした観念を想起させ、上段が下段の頭文字ないし意味に対応するから、原告商標1は上記観念において理解されるが、被告標章2からこのような観念は生じず、両者は明確に区別される。したがって、原告商標1と被告標章2は類似しない。ウ 原告商標2と被告標章2原告商標2は、英語語句を連ねた長いローマ字を上下二段で構成しているのに対し、被告標章2は、被告標章1の先頭にさらに「S.」が付された記号的表記にとどまるから、両者は、外観上、全く異質の視覚的な印象を提供する。そして、原告商標2の上段は下段の略語であり、上段と下段は関連付けて観察されるから、分離して観察すべきではない。原告商標2は、「スーパーインターワイデンドウェーブ」の称呼を含むのに対し、被告標章2は、「エス・アイダブリュウ・ハ」と発音されるから、両者は、称呼上、明確に区別される。原告商標2の上段と被告標章2は、「.」で区切られた3字のローマ字と1字の和字によって構成されることにより何らかの略語の展開を想起させるものの、特定の具体的な観念を特定することはできないから、両者は一致しない。原告商標2は、下段に「Super.Inter Widened Wave」の表記があるため、「相互に広がった素晴らしい波」という、英語の語意に基づく漠然とした観念を想起させ、とりわけ、上段の「S」「I」「W」「波」が下段の「Super」「Inter」「Widened」「Wave」の頭文字ないし意味に対応するから、原告商標2は上記観念において理解されるが、被告標章2からこのような観念は生じず、両者は明確に区別される。
5 したがって、原告商標2と被告標章2は類似しない。
(2) 被告標章1及び同2の商標的使用該当性
被告標章1は、被告ウェブサイトの限られた個所において、「IW波をさらに進化させた独自開発のS.IW波を採用」と記載しているだけである。被告標章1は、被告商品が備える波形の比較対象として記載されているにとどまり、特定の商品の出所を示しているわけではなく、被告商品が備える波形を示すものでもない。被告標章2は、被告ウェブサイトにおいて、「何度もテストを重ねた独自開発のS.IW波」「S.IW波によって深部の表情筋に刺激を与え」などと記載されている。被告標章2は、被告商品が備える波形の内容や同波形により被告商品の使用者に生じる効果を説明するために記載されており、被告商品の出所を示すものとしては機能していないし、被告商品の出所は、「MAGIC LIFT」という商品名によって識別されており、被告標章2は、被告商品の機能の一部を説明する記載であると理解するのが自然かつ妥当である。したがって、被告標章1及び同2は、いずれも出所表示機能や自他商品識別機能を果たす態様で使用されておらず、商標的使用に該当しないから、商標権侵害は成立しない。
(3) 権利濫用
原告商品の波形は、「I.W波」又は「I.W.波」と「Interwind wave」であり、原告商標1を構成する「IW波」や「Inter Widened Wave」は使用されていないし、原告商標2を構成する「S.IW波」や「Super.InterWidened Wave」も使用されていない。しかも、原告商標1及び同2のように、「 I W 波 」 な い し 「 S . I W 波 」 と 「 Inter Widened Wave 」 な い し「Super.Inter Widened Wave」が上下二段で使用されている態様も見当たらない。
5 原告商品は、
(原告の主張)
によれば、販売開始から10年以上、商標登録出願から2年以上経過していることに鑑みれば、客観的にみて、原告が近い将来に原告商標1及び同2を使用する蓋然性はない。また、被告商品のプレスリリース後に原告商標の登録出願がされていることからすると、原告商標1及び同2は、もっぱら被告標章1及び同2に対する権利行使の目的という不正な目的で登録を受けたものと解される。したがって、原告商標1及び同2は、商標法3条1項柱書が定める商標の登録要件を欠き、同項柱書に違反する無効事由(同法46条1項1号)を包含し、原告商標1及び同2に基づく原告の権利行使には、不正な目的もうかがわれるから、権利濫用に該当するものとして許されない。
第4 当裁判所の判断
1 認定事実前記前提事実、掲記各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1) 原告商品の販売経過美顔器の商品シリーズである原告商品は、平成17年に「セルキュア」の販売が開始されて以降、各商品が順次、販売され、商品の種別は総数13に上っている。他方、売上実績は、各商品によって相当のばらつきがあり、売上げが伸び悩んだ商品は、順次販売が終了されていったもので、令和5年時に販売が継続されていたものは、主に「セルキュア4TPLUS」及び「セルキュア4T++」の2種であった(「ルーナノーバ」及び「ジェーナプロ」も販売されていたが、令和5年の販売台数は、原告の主張を前提にしても、「ルーナノーバ」につき100台、「ジェーナプロ」につき75台にとどまる。)。このうち、長らく販売実績上主力となっていたのは、平成26年に販売を開始した「セルキュア4TPLUS」であるが、令和7年になって、令和3年販売開始の「セルキュア4T++」の販売数量が「セルキュア4TP
5 LUS」を上回るようになった。
(2) IW波の記載についてア 原告のウェブサイト(甲27)において、「セルキュアシリーズは、2005年に鋭意研究の末に見出した独自の特許取得済み技術、この低周波を「IW波(Inter Widened Wave)」と名付け、低周波での活性化が期待できます。」(前提事実(2)ウ)、「セルキュア 干渉波美顔機器 エステサロンの業務用機器のレベルで4つのモードで行い、色々な肌の悩みに対応する。家庭用総合美顔器です。特許取得商品。特許取得済み技術:IW波(Inter Widened Wave)」(甲27)と記載されている(ただし、このような記載は、本訴訟提起の数か月前である令和7年8月時のものとして認定できるもので、令和5年5月までの記載は、証拠上明らかではない。)。イ 原告商品の取扱説明書(甲18)には、次のとおりの体裁で「I.W.波」との文字列が記載されている。まず、平成17年に販売が開始された「セルキュア」(甲18の1)の取扱説明書には、大きめの文字で「CellCure」との商品名がロゴで表記されるとともに「取扱説明書」と記載され、続いてセルキュアの取扱説明書である旨の説明文が記載され、更に続けて、「本商品はお肌のケアを目的としております。 セルキュアは、独自開発のI.W.波(interwind wave)を使用しておりますので、刺激をおさえて効果的にご使用ができます。」と小さめの文字で記載されている(「interwind」の部分はママ。以下、同じ。)が、「I.W.波」の部分が文字の大きさや書体として、他の記述と比べて強調するような体裁となっているわけではない。また、上記取扱説明書の本文中に、商品の使用方法の説明等とともに、「お顔や頭皮など全身のお肌のケアができ、引き締め効果や新陳代謝 の 向 上 促 進 が 期 待 で き ま す 。」「 セ ル キ ュ ア は 、 独 自 の I . W . 波
5 (interwind wave)でお肌に対して刺激が少なく行えるようになっております。」と他の説明文と同じ文字の大きさで記載されている(甲18の1)。続いて、平成19年から令和3年にかけて順次販売が開始された「セルキュア4T」(甲18の2)、「ハンディマジック」(甲18の4)、「ルーナノーバ」(甲18の5)、「セルキュアスペシャル24」(甲18の6)、「ビューティーキュア」(甲18の7)、「ハリウッドライン」(甲18の8)、「ハリケア」(甲18の9)、「セルキュア4Tプロ」(甲18の11)、「セルショット」(甲18の12及び13)、「ジェーナプロ」(甲18の15及び16)の各取扱説明書においても、同様の記載がある。平成26年に販売が開始され、原告商品の中で主力商品となった「セルキュア4TPLUS」(甲18の3)の取扱説明書においても、表紙に大きめの文字で「CELL CURE 4T PLUS」の商品名と「取り扱い説明書」の文字が記載され、その本文に「本製品の特徴」として、「本商品は、独自開発のI.W.波を使用しておりますので、刺激を抑えて効果的にお顔や頭皮など全身のお肌のケアができ、引き締め効果や新陳代謝の向上が期待できます。」と記載されているが、「I.W.波」の部分について、文字の大きさや書体として特に目立つ体裁とはなっていない。加えて、さらに小さな文字で、「医療業界でも注目された、独自電流器波形「I.W.波」(特許取得波形※)が身体各組織の深層まで入り込み、細胞レベルでトリートメントします。洗浄から始まる「キレイの基本」を作り上げることで、若々しい元気なお顔へ導きます。」と記載されている。また、使用方法の説明等とともに、「[セルキュアモード]I.W.波(干渉波)※特許取得波形」「[マイクロカレント]I.W.波(干渉波)※特許取得波形 細胞を活性 [表情筋EMS]表情筋を鍛える」と記載されていた。令和3年に販売が開始された「セルキュア
5 4T++」(甲18の10)の取扱説明書においても、「セルキュア4TPLUS」(甲18の3)の取扱説明書と同様の記載がされている。ウ 原告商品の専属販売代理店であるベレガ株式会社のウェブサイトには、「【医療業界】でも注目された特許波を使用した I.W波 IneterwindWave effect 特許取得済美顔器※ ※特許第4759694号(2011年6月に取得) 独自電流器波形[I.W波](特許取得波形)が身体各組織の深層へ入り込み、細胞レベルでトリートメント。」と記載されており、「I.W波」が他の記述と比べて大きな文字で記載されているほか、上記ア及びイと同様の記載もされている(甲29。ただし、このような記載は、本訴訟提起の数か月前である令和7年8月時のものとして認定できるもので、令和5年5月までの記載は、証拠上明らかではない。)。他方、原告商品のうち主力商品である「セルキュア4TPLUS」を取り扱う他社運営のオンラインショップ(甲30)では、商品名が目立つ態様で記載されているほか、特許証の写真を掲載しつつ、「I.W波」の説明がされているものの、その記述上赤字で強調がされているのは作用効果の部分で、「I.W波」の部分は文字の大きさや色などとして特に強調されていない。また、「セルキュア4TPLUS」の特徴として「4種類のトリートメント」の機能を備え、ボタン1つで切り替えられる(だからこそ、商品名に「4T」の文字を含めている。)ことが挙げられ、「I.W波」は、4種類のトリートメントのうちの1種の名称として記載されている。「セルキュア4T++」の店舗販売を行う別会社のウェブサイト(甲32)では、同商品の特徴として、やはり「4種類のトリートメント」の機能を挙げているものの、それら4種のトリートメントの名称として「I.W波」の記載はない一方、一部のトリートメントの内容説明では「I.W波」の記載があるが、その部分を文字の大きさ等で特に強調し
5 た記載がされているわけではない。エ 令和元年11月から令和4年11月にかけて原告商品が掲載された雑誌記事(甲5の1ないし11、甲5の13ないし16)には、以下の記載ないし同旨の記載がされているが、いずれも商品名が大きな文字で記載されている場合が多いのに比べ、比較的小さな文字で機能に関する記述がされているもので、当該記述の中で「I.W波」の部分の文字の大きさや書体が特に強調されたものとはなっていない。「セルキュア4T PLUS ・・・毛穴や皮膚レベルのクレンジングに、表情筋エクササイズ、独自のI.W波が生むマイクロカレントによる細胞活性、美容成分の浸透促進と、これ一台で4つのトリートメントが可能。」(甲5の8)オ 令和4年10月開催の展示会であるビューティー・ワールド・ジャパン大阪会場のパンフレット(甲14の1)には、「IW波」との記載が原告商品の商品名よりも大きな文字でされているほか、令和5年2月開催の同福岡会場や同年5月開催の同東京会場の各パンフレット(甲14の2及び14の5)においても、原告商品の掲載箇所に商品名よりも大きな文字で「I.W波」と記載されている(ただし、令和5年5月より後の同展示会で、同様に「I.W波」との記載がされているパンフレットは多数証拠提出されている[甲14の3、4、6~10、15]のとは対照的に、令和4年10月より前から、同展示会のパンフレットで、「IW波」や「I.W波」と記載した商品掲載がされていたことを認めるに足りる証拠はない。)。
(3) 被告商品並びに被告標章1及び同2ア 被告は、令和5年5月に、被告商品の販売を開始した(乙1、13~17)。イ 被告商品の取扱説明書(甲20)には、表紙の中央に特に大きな文字で
5 「MAGIC LIFT」と商品名が記載され、その本文1頁目及び2頁目にも、特に大きく、太い文字で「MAGIC LIFT」と商品名が記載される一方、2頁目の商品名の上部にやや大きめの文字で「S.IW波美顔器」と記載されている。本文中には、被告商品の各モードの操作方法として、「S.IW波モード S.IW波は主に表情筋のエクササイズに効果的で、独自開発のシングル回路で中周波をスイープさせます。ピリピリ感を抑えながらシワ改善、リフトアップ、むくみ・くすみの改善、フェイスラインの引き締めに効果が期待できます。」「S.IW波+温熱モード S.IW波と同時に温熱を加えることでリンパの流れを一層良くして、むくみの解消と老廃物の排出をサポートします。」「S.IW波とヒーターが同時使用できるので、より高い効果が期待できます。」と記載されている。また、被告商品と同梱されているパンフレット(甲22)には、大きな文字で「MAGIC LIFT」と記載され、操作方法の説明として、「S.IW波+温熱モードでリンパを流して化粧ノリをUP!」「S.IW波モードで 独自波形で的確&ピンポイントにアプローチ」「S.IW波+温熱モードで温熱をプラスしてより高い効果を!」などと記載されている。ウ 被告ウェブサイト(甲19)には、被告商品について、「S.IW波でお肌の細胞を活性化」「何度もテストを重ねた独自開発のS.IW波」「S.IW波によって深部の表情筋に刺激を与え、お肌のたるみ、リフトアップ、ほうれい線、二重あごの改善が期待できます。」「S.IW波とはシングル回路で中周波をスイープさせることで表皮部である基底細胞、真皮部である基底層、繊維芽細胞のさらにその奥にある表情筋まで深く届き、効果的にエクササイズを働きかけるMAGIC LIFTならではの波形です。(特許出願中)」「S.IW波+温熱効果でむくみの解
5 消と老廃物の排出をサポート」「IW波をさらに進化させた独自開発のS.IW波を採用。シングル回路で中周波をスイープさせることにより、IW波をさらに奥まで浸透させる波形を実現しています。お肌の細胞を活性化し、さらに深部にある筋肉の細胞を活性化しながら、ピリピリ感を抑えて肌に吸い付くような新感覚の表情筋エクササイズが実感できます。」などと記載されている。エ 被告商品のパンフレット(甲21)には、表紙に、特に大きく、太い文字で「MAGIC LIFT」と商品名が目立つように記載され、その最下部に小さめの文字で「S.IW波 美顔器」と記載されており、2枚目以降の背景にも「MAGIC LIFT」と大きく印刷されており、その本文に、上記イと同様の商品説明がされている。オ 被告商品について説明する上記いずれの媒体においても、「S.IW波」が何の略称であるかの説明はされていない。(3) 商標登録原告は、被告が被告商品の販売を開始して間もない令和5年8月9日、原告商標1及び同2に係る商標出願をし、原告商標1については同年12月13日に、原告商標2については令和6年5月2日に、商標登録された(他方、原告において、「IW波」あるいは「S.IW波」との文字列での商標登録を受けたことを認めるに足りる証拠はない。)。
2 争点1(不正競争防止法2条1項1号の成否について)(1) 「IW波」の商品等表示該当性及び周知性ア 原告は、「IW波」の文字列が、原告商品に係る商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)として、被告商品の販売開始までに周知なものとなっていた旨主張する。ここで、商品等表示は、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」、すなわち、
5 商品表示又は営業表示であると規定されているところ、まず原告商品における「IW波」の文字列がこのような意味での商品等表示に該当するかを検討する必要がある。そして、原告は、被告商品の販売開始までに「IW波」が商品等表示として周知性を獲得した旨主張するものであるが、前記1で認定したとおり、被告商品の販売開始は令和5年5月と認められるところ、商品等表示該当性を判断するに当たっては、その時点までの事実関係を前提とすべきものといえる。なお、前記1の認定によれば、原告商品においては、「IW波」との文字列が使われることは多くなく、むしろ、「I.W.波」あるいは「I.W波」と記載されることが多かったものと認められるが、これらはローマ字の大文字2字と漢字1字において共通しており、それら文字間の「.」の有無の差異にとどまるため、「I.W.波」及び「I.W波」との記載の使用態様等も踏まえて、「IW波」の商品等表示該当性を検討することとする。イ まず、原告商品は、顔や頭皮に一定の物理的作用を及ぼして肌の美容効果を促進しようとする美顔器の一種であり、原告商品の特徴としては、原告が開発し、特許を取得したとする特殊な電気波形を出力する機能を備えていることが挙げられる。原告は、この独自の電気波形に対し、「Inter Widened Wave」と名付け、その略称である「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」とともに、原告商品に係る取扱説明書や雑誌記事などで、原告商品の特徴としての記述を行ってきたところではある(認定事実(2))。しかし、まずこのような原告商品における「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」の位置づけからして、「IW波」は、美顔器に係る商品表示や営業表示ではなく、原告商品が備える機能の一部を示す名称の略称
5 というほかない。現に、原告商品には、「セルキュア」「セルキュア4TPLUS」などの商品名が別にある上、取扱説明書において「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」が記載されている文脈をみても、例えば、原告商品の最初の商品である「セルキュア」では、「本商品はお肌のケアを目的としております。セルキュアは、独自開発のI.W.波(interwind wave)を使用しておりますので、刺激をおさえて効果的にご使用ができます。お顔や頭皮など全身のお肌のケアができ、引き締め効果や新陳代謝の向上促進が期待できます。」「刺激を感じない時がありますが、異常ではありません。そのままご使用ください。セルキュアは、独自のI.W.波(interwind wave)でお肌に対して刺激が少なく行えるようになっております。」などとして、商品の効能・使用方法の説明として記載されており(甲18の1)、また、原告商品のうち主力商品である「セルキュア4TPLUS(甲18の3)」の取扱説明書においても、「本製品の特徴」として、「本商品は、独自開発のI.W.波を使用しておりますので、刺激を抑えて効果的にお顔や頭皮など全身のお肌のケアができ、引き締め効果や新陳代謝の向上が期待できます。医療業界でも注目された、独自電流器波形「I.W.波」(特許取得波形※)が身体各組織の深層まで入り込み、細胞レベルでトリートメントします。」などと、やはり商品の効能・使用方法の説明として記載されている。このことは、前記1で認定のとおり、原告商品が掲載された雑誌記事等、原告商品を紹介する他の媒体においても同様である。このような原告商品における「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」の位置づけ、当該文字列の実際の使われ方やその文脈を踏まえると、「IW波」は、商品等表示に該当しないというべきである。ウ 他方、一般に、ある語が一次的には商品の機能を示すものであったとしても、当該商品の広告等において使用された結果、特定の出所を表示す
5 るものとの実態を有するに至る場合があり得ることを否定するものではない。しかし、「IW波」の語は、「I」「W」のローマ字の2字に、波や波形といった対象との関係では普通名称たる「波」の字を組み合わせたものである。一般に、ローマ字の2字からなる標章は、極めて簡単で、かつありふれた標章と解されることに加え、普通名称の部分に識別力はないと解されることからすると、これらを組み合わせた「IW波」との文字列自体は、識別力がないとまでいうかはともかく、さほどの識別力を伴うものとはいえず、出所表示としての実態を有するに至りにくいものといわざるを得ない。加えて、「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」の語の令和5年5月に至るまでの使用態様等をみても、前記1で認定したとおり、原告商品の取扱説明書において、商品名が文字の大きさ等で強調されているのとは対照的に、商品に係る説明本文中で、他の記述部分と文字の大きさや書体等として特に差別化されることなく記述されているにとどまり、原告商品を紹介する雑誌記事等の媒体においても、同様であった。他方、展示会であるビューティー・ワールド・ジャパンにおいて、令和4年10月の大阪会場での開催以降、パンフレット上で、原告商品について、「IW波」ないし「I.W波」が商品名よりも大きな字で記載されるようになったことが認められる(甲14)が、令和5年5月までの期間に限定すると、上記令和4年10月の大阪会場ほか、令和5年2月開催の福岡会場と同年5月開催の東京会場の計3回に限られ、これらより前の展示会等で、「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」の語がパンフレット上で積極的に用いられていたことを認めるに足りる証拠はない(なお、原告が、当該波形について、自らが名付けた「Inter WidenedWave」ではなく、「interwind wave」との誤記を繰り返してきたことや、
5 「IW波」ないし「I.W波」「I.W.波」との間で表記の揺れが見られることからも、この波形の名称ないし略称をもって、商品等表示の実態を備えさせるまでの広告宣伝上の位置づけはされていなかったことがうかがわれる。)。以上の事実関係を踏まえると、原告商品のうち長らく主力商品であった「セルキュア4TPLUS」とその後継と理解される商品名の「セルキュア4T++」をはじめ、原告商品の販売台数が、令和元年以降、概ね年間1万台、令和2年及び令和3年については2万台ないしそれに近い販売台数に至っていたという原告の主張を前提にしても、一次的には原告商品の機能に係る名称の略称である「IW波」との語が、原告商品の出所表示としての実態を有するに至ったと認めることはできない(このことは、被告商品の販売が開始された令和5年5月までの事情を総合考慮してのものであるが、原告が元々周知性獲得の時期として主張していた令和5年7月までの時期で考えたとしても、この数か月の間に、上記判断を左右するほどの事情の変化があったことを認めるに足りる証拠はない。)。(2) 小活したがって、「IW波」との文字列は、不正競争防止法2条1項1号所定の商品等表示に該当せず、その余の争点について判断するまでもなく、同号所定の混同惹起行為があったとする原告の主張は採用することができない。
3 争点2(不正競争防止法2条1項20号の成否について)原告は、被告商品が、原告商品の出力する「IW波」とは性質が異なる波形を発するものである(このこと自体は被告も争うところではない。)にもかかわらず、被告標章2(「S.IW波」)は、これに「S.」を冒頭に付加しただけであり、需要者をして、原告の「IW波」と同内容かその一種(原告商品を引き継いで改良されたもの)であるかのように誤認させるものであり、これを
5 その取扱説明書等に付すことは、品質等誤認惹起行為(不正競争防止法2条1項20号)に該当する旨主張する。しかし、まず、被告標章2の「S.IW波」という語自体は、ローマ字の大文字3字とピリオドに、「波」の字を組み合わせたもので、一般に知られた英単語などではないため、需要者にとって、何らかの波の名称ないしその略称である程度が観念されるにすぎず、特定の品質・内容を想起させるものとはいえない。他方、原告は、「S.IW波」との語が、「IW波」との部分を含み、これに「S.」との文字列を加えたにとどまる上、「IW波をさらに進化させた」との記述もあるため、原告商品が出力する「IW波(Inter Widened Wave)」と同種の波形を出力する旨需要者を誤認させる旨主張する趣旨と解されるが、前記1で認定したとおり、被告商品の説明において、「S.IW波」の文字列のうち「IW波」の部分が、原告商品の出力する波形である「Inter Widened Wave」(ないし、その誤記と考えられる「interwind wave」)の略称である旨の言及がされているわけではないこと(認定事実(2))、他方で、前記2でも論じたとおり、「IW波」はローマ字2字と普通名称からなる文字列で、波の種類等を十分に識別できるものとはいえないこと(例えば、被告の主張するとおり、干渉波の英語表記である Interference Wave の略称としても、了解可能ではある。)、被告ウェブサイト(甲19)では、「S.IW波」について、「S.IW波とはシングル回路で中周波をスイープさせることで表皮部である基底細胞、真皮部である基底層、繊維芽細胞のさらにその奥にある表情筋まで深く届き、効果的にエクササイズを働きかけるMAGIC LIFTならではの波形です。(特許出願中)」と説明されており(認定事実(2)イ)、その説明は、原告商品の「IW波」の説明に係る記述とは異なっていること(認定事実(1)ア)からすると、「S.IW波」の文字列(被告標章2)をもって、原告商品の出力する波形と同種のものである旨の表示がされているとまではいえず、この意味
5 においても、商品の備える品質等を誤認させる表示とはいえない。なお、被告標章2は、「IW波」との対比で考えると、ローマ字の1字「S」とピリオド「.」を付加したものであるが、この部分も、商品の品質・内容について特定の意味内容を想起させるわけではなく、やはり需要者の誤認を招くものとはいえない。したがって、被告商品の取扱説明書等に被告標章2を付すことが不正競争防止法2条1項20号所定の品質等誤認惹起行為に該当する旨の原告の主張は採用することができない。
4 争点3(商標の類否について)(1) 判断基準商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり(最高裁昭和39年(行ツ)第110号昭和43年2月27日
第三小法廷判決・民集22巻2号399頁、最高裁平成6年(オ)第110
2号平成9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号平成5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号平成20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
5 (2) 原告商標1と被告標章1についてこれを本件についてみると、原告商標1は、別紙原告商標権目録(1)記載のとおり、大きなフォントの「IW波」との文字(上段部分)と小さめのフォントの「Inter Widened Wave」(下段部分)の文字列の二段から成る結合商標であり、大きめのフォントで強調された上段部分の「IW波」が、下段部分の「Inter Widened Wave」の文字列のそれぞれの頭文字を取った略称となっている。このような構成に鑑みれば、原告商標1は、上段部分と下段部分の結びつきが強く、需要者に対しても一体のものとの印象を与えるから、原告商標1と被告標章1の類否を判断するに当たっては、二段併記された原告商標1を一連一体のものとして把握し、その構成部分全体を対比するのが相当である。この点、原告は、原告商標1のうち大きく目立っている上段部分の「IW波」を分離観察すべきである旨主張する。しかし、「IW波」は、上記2(1)で説示したとおり、ローマ字2字に「波」の漢字を組み合わせたものであり、それ自体に強い識別力が伴うものとはいえない一方、下段の「Inter Widened Wave」の文字列は、辞書に掲載されるなど一般的に認知されている波の名称等ではなく、相応に強い識別力を有するものといえるから、文字の大きさの違いを考慮しても、上段部分が需要者に対して出所識別標識として強く支配的な印象を与えるなどということはない上、上記のとおり、上段は下段の略称という関係性もあるのであるから、上段部分のみを分離して、商標の類否を判断することは許されない。原告の上記主張は、採用することができない。これを前提に、原告商標1と被告標章1(「IW波」)を対比すると、原告商標1は上記のような上下二段表記の結合商標であるのに対し、被告標章1はローマ字2文字及び和文字1文字の組み合わせで、外観及び称呼上、類似しないことは明らかであるし、観念上も、両者は何らかの「波」であるとい
5 う限りにおいて共通するものの、原告商標1が「Inter」や「Widened」といった英単語の意味内容に伴う観念を想起させるのに対し、被告標章1の「IW」の部分は特定の意味内容を有するものではなく、両者は観念においても相違するものといえる。したがって、原告商標1と被告標章1は、類似しない(被告標章1については、前記1(3)の認定事実に照らせば、そもそも、被告商品との関係で商標的に使用されているともいえない。)。(3) 原告商標1と被告標章2について上記(2)で論じたことを前提に、原告商標1と被告標章2(「S.IW波」)を対比すると、原告商標1は上記のような上下二段表記の結合商標であるのに対し、被告標章2はローマ字3文字、ピリオド及び和文字1文字の組み合わせで、外観及び称呼上、類似しないことは明らかであるし、観念上も、両者は何らかの「波」であるという限りにおいて共通するものの、原告商標1が「Inter」や「Widened」といった英単語の意味内容に伴う観念を想起させるのに対し、被告標章2の「S.IW」の部分は特定の意味内容を有するものではなく、両者は観念においても相違するものといえる。したがって、原告商標1と被告標章2は、類似しない。
(4) 原告商標2と被告標章2について原告商標2は、別紙原告商標目録(2)記載のとおり、大きめのフォントの「S.IW波」(上段部分)と小さめのフォントの「Super.Inter WidenedWave」(下段部分)の二段から成る結合商標であり、大きめのフォントで強調された上段部分の「S.IW波」が、下段部分の「Super.Inter WidenedWav」の文字列のそれぞれの頭文字を取った略称となっている。このような構成に鑑みれば、原告商標2についても、原告商標1と同様に、一連一体のものとして把握すべきであり、被告標章2との類否を判断するに当たっては、二段併記された原告商標2の構成部分全体を対比するのが相当である。
5 この点、原告は、原告商標2についても、上段部分の「S.IW波」を分離観察すべきである旨主張するが、「S.IW波」は、「IW波」に比べれば長い文字列であるものの、それ単体としては識別力が強い単語とはいえない「Super」の頭文字としてのローマ字の「S」1字とピリオドが加わっているにとどまる一方、下段の「Super.Inter Widened Wave」は、辞書に掲載されるなど一般的に認知されている波の名称等ではなく、相応に強い識別力を有するものといえるから、文字の大きさの違いを考慮しても、上段部分が需要者に対して出所識別標識として強く支配的な印象を与えるなどということはない上、上記のとおり、上段は下段の略称という関係性もあるのであるから、上段部分のみを分離して、商標の類否を判断することは許されない。原告の上記主張は、採用することができない。これを前提に、原告商標2と被告標章2(「S.IW波」)を対比すると、原告商標2は上記のような上下二段表記の結合商標であるのに対し、被告標章2はローマ字3文字、ピリオド及び和文字1文字の組み合わせで、外観及び称呼上、類似しないことは明らかであるし、観念上も、両者は何らかの「波」であるという限りにおいて共通するものの、原告商標2が「Super」「Inter」「Widened」といった英単語の意味内容に伴う観念を想起させるのに対し、被告標章2の「S.IW」の部分は特定の意味内容を有するものではなく、両者は観念においても相違するものといえる。したがって、原告商標2と被告標章2は、類似しない。
(5) 小活以上のとおり、原告商標1と被告標章1及び同2、原告商標2と被告標章2はいずれも類似しないから、他の争点に対する判断に入るまでもなく、商標権侵害は成立しない。
第5 結論
よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、
5 主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官
松 川 充 康
裁判官
小 野 健
裁判官
横 井 真 由 美
(別 紙)
原告商標権目録(1)
1)登録番号 第6762170号
2)出 願 日 令和5年(2023年)8月9日
3)登 録 日 令和5年(2023年)12月13日
4)登録商標
5)商品の区分及び指定商品第10類 業務用美容マッサージ器、医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)、治療用機械器具、家庭用電気マッサージ器第11類 美容用又は衛生用の家庭用電熱用品類
(別 紙)
原告商標権目録(2)1)登録番号 第6801325号2)出 願 日 令和5年(2023年)8月9日3)登 録 日 令和6年(2024年)5月2日4)登録商標5)商品の区分及び指定商品第10類 業務用美容マッサージ器、業務用電気マッサージ器、医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)、特定周波数の電流を利用した治療用機械器具、家庭用電気マッサージ器、家庭用美容マッサージ器第11類 美容用又は衛生用の家庭用電熱用品類
(別 紙)
被告標章目録1 被告標章1: IW波2 被告標章2: S.IW波
(別 紙)
ウェブサイト目録「https://magiclift.jp/」のURLにより特定されるインターネットのウェブページ及び同ドメイン名下において存在する全てのインターネットウェブページ
(別 紙)
被告商品目録S.IW波 美顔器「MAGIC LIFT」
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