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5月10日
4月14日(火)配信
「令和7年度 パテントコンテスト・デザインパテントコンテスト」の表彰式が、去る3月16日に行われた。
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本稿では受賞作品の中から特に目を引いた発明に焦点を当て、受賞者の着眼点や発想を紹介していく。
表彰式当日、会場で行われたプレゼンテーションの中で、ひときわ印象に残ったのが「わさび」をテーマにした発明だった。
一見すると身近すぎる題材だが、その着眼点は意外にも鋭い。
「複数人で食事をする場面で感じた不便さがきっかけです。わさびって一皿に山盛りで出てくることが多いと思うんですが、最初の人が使った箸で取り分けると、ちょっと気になる方もいますよね。」
そう語るのは、本発明の創作者の大村さんと大鋸さんだ。

写真(左)大村 柳雲さん (右)大鋸 海斗さん
確かに、気にしない人もいれば、少し抵抗を感じる人もいる。誰もが口には出さないものの、どこかに引っかかる。
そんな“微妙な違和感”が、このアイデアの出発点になっている。
「それに、一度取り分けると盛り付けが崩れてしまって、見た目もあまりよくなくなってしまうんです。」
味そのものではなく、“食事体験”としての満足度に関わる部分に目を向けている点も印象的だった。
こうした気づきから、「最初から一人分ずつ、きれいな形で出せたらいいのではないか」という発想に至ったという。
そのアイデアを形にしたのが、チューブ調味料を花形に絞り出すことができるキャップである。
「キャップ先端に半円状の穴を設けることことで、わさびを花のような形で絞り出せるようにしています。特別な技術がなくても、誰でも簡単にきれいな形を作ることができ、盛り付けを美しく演出できます。また、花びら一 枚の量も工夫し、5口の半円状の穴のサイズを調整して、花びらが取りやすくなるようにしました。」
実際に仕組みを聞いてみると、構造自体はシンプルだ。
しかし、その“シンプルさ”こそが使いやすさにつながっている。
さらに、使い勝手にも細かな配慮が見られた。
「アタッチメント部と蓋部の構造にも工夫を重ねたことで、取り付けたときに“カチッ”とした感触があり、ペンのような爽快感があります。また、チューブ口を下向きに立てられるので、中身が自然と抽出口に集まり、最後まで無駄なく調味料を使用することも可能です。」単に形を整えるだけでなく、「使いたくなる体験」まで設計されている点に、この発明の面白さがある。

もっとも、この発明は一度の挑戦で完成したものではなかった。
「令和7年度のコンテストでは一次審査を通過できず、悔しい思いをしました。振り返ると、意匠としての見せ方がまだ十分ではなかったと思います。」
その言葉の通り、単なるアイデアではなく、「どこに価値があるのか」をどう表現するかが問われていた。デザインのブラッシュアップに加え、実際の製品化を見据えた設計へと落とし込んでいく。
「金型による射出成形を意識して、形状も見直しました。」
形状の改良だけでなく、チューブ調味料への取り付け方法や構造面についても検討は重ねられている。中でも、量産を見据えた設計への見直しは大きなポイントだった。
デザインだけではなく、「作れるか」「量産できるか」といった視点を取り入れたことで、発明としての完成度は大きく高まった。
こうした試行錯誤の積み重ねが、今回の受賞へとつながったのだろう。
「できなかったことを、誰でもできるようにしたかったんです。」
この言葉に、本発明の本質が端的に表れている。
これまで、きれいな盛り付けは“少し器用な人ができること”だった。
それを、道具ひとつで誰でも再現できるようにする。
特別な技術や専用器具を必要とせず、チューブ調味料に装着するだけで花形の盛り付けが可能になる。
さらに本製品は、デコレーション用途に加え、通常のチューブ調味料と同様の使い方も可能であり、用途に応じて使い分けができるという利便性も備えている。
その結果、見た目の美しさだけでなく、取り分けの手間や衛生面の不安といった複数の課題が同時に解決されている。
このように、一つの工夫によって複数の価値を生み出している点が、本発明の大きな特徴といえるだろう。

今回の取り組みを通じて、「日常の中に発明のヒントがあると気づいた」と話す。何気ない違和感や、「こうだったらいいのに」という感覚。
そうした小さな気づきを見過ごさず、形にしていくことの重要性を実感したという。
同時に、アイデアを形にすることの難しさと面白さも強く感じたと振り返る。思いついたものをそのまま形にすればよいわけではなく、デザインを何度も見直し、「どこに価値があるのか」を考え続ける必要があった。
また、金型による射出成形を意識した設計に取り組む中で、ものづくりには見た目のデザインだけでなく、「作りやすさ」や「構造」といった視点も欠かせないと気づいた。実際に形にするためには、多くの視点が必要になる。
こうした経験を通じて、知財やデザインに対する興味も一層深まった。自分のアイデアをどうすればより良くできるのかを考えながら、今後も挑戦を続けていきたいという。
身近なわさびをきっかけに生まれたこの発明は、特別な発想からではなく、日常の中の観察から生まれている。
日常の中にある小さな違和感こそが、新しい発明の出発点になるのだ。
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