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新しいタイプの商標 出願開始から11年 ~さまざまな音商標~

7月17日(金)配信

 2015年4月1日。改正商標法の施行により、それまでの文字や図形といった枠組みを超えた「新しいタイプの商標」について、出願及び登録が可能となりました。
 従来の文字や図形、記号といった商標だけでなく、音や動き、色彩のみ、ホログラム、図形を付する位置など、これまで商標として保護ができなかった非伝統的商標も出願・登録が解禁され、現在に至ります。

新しいタイプの商標とは?

 そんな新しいタイプの商標には、以下の5種類があります。登録件数、出願件数とあわせて見てみましょう。

 (括弧内の数字は 2026年5月26日 時点)

 ・音商標(登録 391件,出願 828件)
 ・動き商標(登録 229件,出願 327件)
 ・色彩のみからなる商標(登録 12件,出願 594件)
 ・ホログラム商標(登録 16件,出願 28件)
 ・位置商標(登録 207件,出願 747件)

 

 5種類の中でも「音商標」は最も出願件数が多く、企業やブランドにとって「音」を権利化するニーズの高さが伺えます。

今回は「音商標」に注目!

 音商標と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?

商標登録 第5804299号 (IP Force 商標広報)

【登録番号】5804299
【称呼】ヒサミツ
【区分 指定商品・指定役務】第5類 薬剤(農薬に当たるものを除く。)
【類似群コード】第5類 01B01
【権利者】久光製薬株式会社
【出願日】2015年4月1日
【登録日】2015年11月6日

 こちらは久光製薬株式会社の有名なフレーズ「ヒサミツ♪」です。
 このように音楽、音声、自然音などで構成される商標は、2015年から「音商標」として登録できるようになりました。
 現在までに登録されている音商標の多くは、今挙げた例のように歌詞(言語的要素)を含んでいますが、歌詞のない音商標も存在します。一体どのような商標なのでしょうか。

歌詞のない音商標とは?

 多くの人が「歌詞のない音商標」として真っ先に思い浮かべるのは、「ラッパのマークの正露丸」でおなじみ、大幸薬品株式会社の音商標でしょう。誰しも一度と言わず耳にしたことがある、あのメロディです。

商標登録 第5985746号 (IP Force 商標広報)

【登録番号】第5985746号
【称呼】ー
【区分 指定商品・指定役務】第5類 胃腸薬
【類似群コード】第5類 01B01
【権利者】大幸薬品株式会社
【出願日】2015年4月1日
【登録日】2017年10月6日

 

 このような「音楽的要素のみで構成される商標」の最大の特徴は、商標の音楽的要素そのものに「識別力」があると認められたことです。
 本来、単なるメロディなどの音楽的要素は、それ単体では識別力を有しないとされています。しかし「使用の結果、消費者の間で広く認識されているものについては、商標登録を認める」という規定があります(商標法第3条第2項)。
 このメロディは、長期間にわたってCMなどで使用され、全国的に広く知られた結果、独自の識別力を獲得したことで商標登録に至っています。

 

 他にはどんな「音楽的要素のみで構成される商標」があるのか、見てみましょう。

 

■CMでおなじみ インテルのサウンドロゴ

商標登録 第5985747号 (IP Force 商標広報)

【登録番号】第5985747号
【称呼】ー
【区分 指定商品・指定役務】第9類 マイクロプロセッサ、ソフトウェアのプログラムが可能なコンピュータ用マイクロプロセッサ
【類似群コード】第9類 11C01
【権利者】インテル・コーポレーション
【出願日】2015年4月1日
【登録日】2017年10月6日

 

■こちらもCMでおなじみ MUFGのサウンドロゴ

商標登録 第6115375号 (IP Force 商標広報)

【登録番号】第6115375号
【称呼】ー
【区分 指定商品・指定役務】第36類 銀行業務、預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ 等
【類似群コード】第36類 36A01、36A02、36A03、36B01、36B02、36C01、36H01
【権利者】株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
【出願日】2016年10月3日
【登録日】2019年1月18日

 

■20世紀フォックス(現:20世紀スタジオ)の映画本編が始まる時はこのメロディ

商標登録 第6159412号 (IP Force 商標広報)

【登録番号】第6159412号
【称呼】ー
【区分 指定商品・指定役務】第41類 映画の制作及び配給
【類似群コード】第41類 41E02
【権利者】トゥエンティース センチュリー フォックス フィルム コーポレーション
【出願日】2017年7月6日
【登録日】2019年7月5日

 

■スーパーで必ず耳にするメロディ でも企業名はなじみがない、群馬電機

商標登録 第6608744号 (IP Force 商標広報)

【登録番号】第6608744号
【称呼】ー
【区分 指定商品・指定役務】第9類 携帯式デジタル音声再生機、音声による電子広告表示装置
【類似群コード】第9類 11B01、11C01
【権利者】群馬電機株式会社
【出願日】2021年3月2日
【登録日】2022年9月1日

 

 制度開始から11年が経ちました。この間、登録された音商標は391件に上り、企業やブランドの戦略として「音の権利化」は着実に浸透してきています。しかしその一方で、言葉の力を借りない「音楽的要素のみからなる商標」の登録は全体のわずか数パーセントにすぎません。
 これを「日本の市場に音商標が定着した証」として捉えるか、あるいは「依然として狭き門である証」として捉えるか。知財に関わる皆さんの目には、どのように映っているでしょうか。