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特許 平成31年(行ケ)第10019号及び第10030号「L-グルタミン酸生産菌及びL-グルタミン酸の製造方法」(知的財産高等裁判所 令和2年3月25日)

7月15日(水)配信

 

【事件概要】

 この事件は、原告が特許無効審判の請求を不成立とした審決の取消しを求めた事案である。知的財産高等裁判所は原告らの請求を棄却した。

判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【主な争点】

 19型変異コリネ型細菌に関し、請求項11の記載が明細書のサポート要件に適合するか否か。

 

【結論】

 本件発明の課題は、「コリネ型細菌を用いたL-グルタミン酸の製造において、L-グルタミン酸生産能力を向上させる新規な技術を提供すること」であり、本件発明11の中には、誘導条件下のみならず、非誘導条件下においても生産能力の向上を図るものが含まれているところ、誘導条件下において、19型変異を導入した株であるATCC13869-19株の生産能力が野生株に比して向上していることは、本件明細書の実施例10…に開示されているといえるから、当業者は、19型変異について、誘導条件下でグルタミン酸の生産能力向上がみられるものであることを認識できるといえる。

 次に、実施例8は、非誘導条件下での19型変異株の生産能力向上についてした実験である…。…、それらの記載から、当業者は、19型変異について、非誘導条件下でも本件発明の課題を解決できるものであることを認識するといえる。

 以上からすると、19型変異に関して、本件発明11にサポート要件違反…があるとはいえない…。

 

【コメント】

 原告らは、「実施例8における野生株と19型変異株のグルタミン酸生産量の違いは誤差の範囲内にすぎず,当業者は,実施例8からグルタミン酸の生産能力が向上したとは認識できない」などと主張したが、裁判所は、他の実施例におけるブランク値及び野生株のグルタミン酸生産量の値を根拠に、「これらの値とは異なる実施例8における野生株と19型変異株とのグルタミン酸生産量の違いが誤差に基づくものということはできない」などとして原告らの主張を採用しなかった。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 吉住 和之)

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