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特許 令和6年(行ケ)第10039号「エンボスを有する袋」
(知的財産高等裁判所 令和6年12月25日)

1月7日(水)配信

 

【事件概要】
 本件は、拒絶査定不服審判事件において、「本件審判の請求は、成り立たない。」とした審決が維持された事例である。
判決文を「IP Force 知財判決速報/裁判例集」で見る

 

【争点】
 主な争点は、引用発明1において「梨地部位」をストライプ状の複数の凹凸の列とすることには、阻害要因があるか否かである。

 

【結論】
 審決は、本願発明1の袋では、インクを用いずにロゴマークを表現したものが「単位エンボス(3)」であり、「袋(1)は、その一部又は全面に1つ又は連続した単位エンボス(3)を有し、前記単位エンボス(3)は、複数の凹凸の列を含み、」であるのに対し、引用発明1の袋では、インクを用いずにロゴマークを表現したものが「梨地部位」であり、「手提げ袋8は、その表面に梨地部位を有し、前記梨地部位は、微少な凹凸が施され、」る点で相違するが、袋の「一部又は全面」にロゴマーク等を表現したものとすることは、当業者が適宜なし得る設計事項であると判断した。
 これに対し、原告は、引用発明1において「梨地部位」は、必須の課題解決原理であり、これをストライプ状の複数の凹凸の列とすることには、阻害要因があると主張した。
 判決は、引用発明1の「梨地部位」と引用文献2記載事項の「複数の波の列」は、いずれも印刷工程を設けることなく、フィルム表面上に微小な凹凸を形成することで模様を表現するという共通の作用、機能を有するものであり、引用発明1の「梨地部位」による模様の表現に替えて、引用文献2記載事項の「複数の波の列」による模様の表現を適用したとしても、引用発明1における「特別に印刷工程を設けなくとも、通常の製膜工程、製袋工程或いは製袋・充填工程に組み込める簡易な図柄表現方法」という課題を解決し得るものといえるから、引用発明1の「梨地部位」が必須の課題解決原理とまでいうことはできず、引用発明1に引用文献2記載事項を組み合わせることにつき、引用発明1の課題解決原理を没却するような阻害要因があるということはできないと判示した。

 

【コメント】
 更に、原告は、引用文献2記載事項は、プレスロールに金属線を周回させることにより、その表面形状をフィルムに転写するというものであって、ロゴマーク部分のみに金属線を密に並列させることを認識し得ないから、組合せの動機付けはないと主張したが、判決は、引用文献2記載事項において、円筒ロール面をロゴマーク等の局所的な模様とし、その他の部分を切欠き部としてピアノ線を密接巻回すれば、フィルムにロゴマーク等の局所的な模様に対応した波形が形成されることは模様に求められる視認性等に応じて当業者が適宜選択し得る設計事項であるとして、原告の主張を採用しなかった。

 

(執筆担当:創英国際特許法律事務所 弁理士 阿部 寛)

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