特開2015-10074(P2015-10074A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015010074-経口摂取用組成物 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-10074(P2015-10074A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】経口摂取用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/12 20060101AFI20141216BHJP
   A61K 36/18 20060101ALI20141216BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20141216BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20141216BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20141216BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20141216BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20141216BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20141216BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20141216BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20141216BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20141216BHJP
   A61K 36/00 20060101ALI20141216BHJP
【FI】
   A61K31/12
   A61K35/78 C
   A61P1/16 101
   A61P35/00
   A61P39/06
   A61P29/00
   A61P3/06
   A61P37/08
   A61P25/28
   A61P9/00
   A61K47/26
   A61K35/78 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-137929(P2013-137929)
(22)【出願日】2013年7月1日
(71)【出願人】
【識別番号】507186687
【氏名又は名称】株式会社セラバリューズ
(71)【出願人】
【識別番号】504124370
【氏名又は名称】竹内 洋文
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 洋文
(72)【発明者】
【氏名】田原 耕平
(72)【発明者】
【氏名】今泉 厚
(72)【発明者】
【氏名】高橋 司
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD69N
4C076FF34
4C088AB81
4C088AC13
4C088BA08
4C088BA14
4C088MA02
4C088MA07
4C088MA52
4C088NA11
4C088ZA15
4C088ZA36
4C088ZA76
4C088ZB11
4C088ZB13
4C088ZB26
4C088ZB33
4C206AA02
4C206CB14
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA72
4C206NA11
4C206ZA15
4C206ZA36
4C206ZA76
4C206ZB11
4C206ZB13
4C206ZB26
4C206ZC33
(57)【要約】
【課題】経口吸収性が改善されたクルクミノイド含有組成物の提供。
【解決手段】(A)クルクミンおよび(B)酵素処理ステビアを含有する経口摂取用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)クルクミンおよび(B)酵素処理ステビアを含有する経口摂取用組成物。
【請求項2】
(A)クルクミンと(B)酵素処理ステビアとの質量比(A/B)が0.2〜1である請求項1記載の経口摂取用組成物。
【請求項3】
(A)クルクミンが、クルクミン、クルクミン含有ウコン色素およびクルクミンとガティガムとを含有する組成物から選ばれるものである請求項1又は2記載の経口摂取用組成物。
【請求項4】
酵素処理ステビアが、ステビオール配糖体に酵素の存在下に糖を転移させた糖転移ステビアである請求項1〜3のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クルクミンを含有する経口摂取用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クルクミンは、ウコンの根茎から得られるウコン色素の主成分であるクルクミノイドの一つである。クルクミノイドは、利胆剤として古くから知られている他、腫瘍形成阻害作用、抗酸化作用、抗炎症作用、コレステロール低下作用、抗アレルギー作用、脳疾患予防作用、心疾患予防治療作用等を有することが知られている(特許文献1、2、非特許文献1〜9)。クルクミンはこのような生理活性を有することから、医薬品、化粧品、栄養補助食品への応用が検討されている。
【0003】
ところが、クルクミンは水に対する溶解性が低く、経口摂取した際の吸収率が低いという問題がある。これを解決すべく微粒子化したクルクミノイドとガティガムを組み合わせることにより、経口吸収性が向上することが報告されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−41817号公報
【特許文献2】特願2010−260816号公報
【特許文献3】特開2009−263638号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Samaha HS, Kelloff GJ, Steele V, Rao CV, Reddy BS., Cancer Res., 57, 1301-5 (1997)
【非特許文献2】Huang MT, Lou YR, Ma W, Newmark HL, Reuhl KR, Conney AH., Cancer Res., 54, 5841-7 (1994)
【非特許文献3】Sreejayan, Rao MN., J Pharm Pharmacol., 46, 1013-6 (1994)
【非特許文献4】Srimal RC, Dhawan BN., J Pharm Pharmacol., 25, 447-52 (1973)
【非特許文献5】Rao DS, Sekhara NC, Satyanarayana MN, Srinivasan M., J Nutr., 100, 1307-16 (1970)
【非特許文献6】Babu PS, Srinivasan K,., Mol Cell Biochem., 166, 169-75 (1997)
【非特許文献7】Yano S, Terai M, Shimizu KL, Futagami Y, Horie S., Natural Medicines, 54, 325-9 (2000)
【非特許文献8】Maher P, Akaishi T, Schubert D, Abe K., Neurobiol Aging., Jul 16. [Equb ahead of print] (2008)
【非特許文献9】Morimoto T, Sunagawa Y, KawamuraT, Takaya T, Wada H, Nagasawa A, Komeda M, Fujita M, Shimatsu A, Kita T, Hasegawa K. J Clin Invest., 118, 868-878 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記クルクミノイドとガティガムを組み合わせた組成物の経口吸収性は未だ十分ではなく、クルクミノイドのさらなる経口吸収性の改善と高含有化の手段が望まれていた。
従って、本発明の課題は、クルクミノイドの経口吸収性を改善したクルクミノイド含有組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は、クルクミンに種々の成分を配合してその経口吸収性を検討してきたところ、クルクミンと酵素処理ステビアとを組み合わせて配合すれば、クルクミンの経口吸収性が飛躍的に向上し、また意外にもクルクミンの含有率が高いにもかかわらず、味も良好な経口摂取用組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の[1]〜[4]を提供するものである。
[1](A)クルクミンおよび(B)酵素処理ステビアを含有する経口摂取用組成物。
[2](A)クルクミンと(B)酵素処理ステビアとの質量比(A/B)が0.2〜1である[1]記載の経口摂取用組成物。
[3](A)クルクミンが、クルクミン、クルクミン含有ウコン色素およびクルクミンとガティガムとを含有する組成物から選ばれるものである[1]又は[2]記載の経口摂取用組成物。
[4]酵素処理ステビアが、ステビオール配糖体に酵素の存在下に糖を転移させた糖転移ステビアである[1]〜[3]のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経口摂取用組成物は、種々の生理活性を有するクルクミンを含有し、経口摂取後クルクミンが速やかに吸収され、血中に移行するので、クルクミンの生理活性が確実かつ速やかに得られる。また、本発明の経口摂取用組成物は、クルクミンの含有率が高いにもかかわらず、クルクミンの苦味が良好にマスキングされており、長期間摂取可能であるとともに、口腔内で溶解する剤形とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】各クルクミン製剤の経口吸収性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の経口摂取用組成物は、(A)クルクミンおよび(B)酵素処理ステビアを含有する。
【0012】
(A)クルクミンは、ウコン色素に含まれるクルクミノイドの主成分であり、下記構造式で表される化合物である。
【0013】
【化1】
【0014】
本発明経口摂取用組成物に用いられるクルクミンは、化学合成されたクルクミンを用いてもよいし、ウコン色素として流通しているものを用いてもよい。ウコン色素としては、ショウガ科ウコン(Curcuma longa LINNE)の根茎の乾燥物を粉末にしたウコン末、該ウコン末を適当な溶媒(例えば、エタノール、油脂、プロピレングリコール、ヘキサン、アセトンなど)を用いて抽出して得られる粗製クルクミン或いはオレオレジン(ターメリックオレオレジン)、および精製したクルクミンを挙げることができる。
【0015】
また、クルクミンは粉砕して1μm以下の微粒子として用いるのが、吸収性の点で好ましい。
【0016】
また、クルクミンは、ガティガムとクルクミンとを含有する組成物(特開2009−263638号公報)として用いてもよい。当該ガティガムおよびクルクミン含有組成物中のガティガムの含有量は、クルクミン100質量部に対して1〜300質量部が好ましく、1〜200質量部がより好ましく、10〜100質量部がさらに好ましい。当該組成物は、ガティガム含水溶液に、1μm以下に粉砕したクルクミンを混合し、さらに粉砕処理することにより得られる組成物が好ましい。再度の粉砕処理によりクルクミンの粒子径は1μm以下、さらに0.9μm以下、さらに0.5μm以下になっているのが好ましい。
【0017】
(B)酵素処理ステビアは、ステビオール配糖体に酵素の存在下に糖を転移させた糖転移ステビアである。ここで、ステビオール配糖体は、ステビア抽出物の主成分であり、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドC、ズルコサイドA、ルブソサイド、ステビオールサイドまたはレバウディオサイドBから選ばれる1種または2種以上の配糖体である。転移させる糖としてはグルコースが好ましい。酵素としては、α−グルコシルトランスフェラーゼが用いられる。このような酵素処理ステビアは、常温で中性の水に対し、2000g/水L以上の溶解度を有する。この酵素処理ステビアは、その乾燥物中に、α−グルコシルステビオール配糖体および未反応のステビオール配糖体の総量として80.0%(重量%)以上を含み、α−グルコシルステビオール配糖体65.0%以上を含む。なお、通常酵素処理ステビアには未反応のステビアが含まれるため、酵素処理ステビアとは、ステビア抽出物とステビア抽出物にグルコースが付加した物質の混合物である。
【0018】
(A)クルクミンと(B)酵素処理ステビアの含有質量比(A/B)は、クルクミンの吸収性および味の点から、0.2〜1が好ましく、0.3〜1がより好ましく、0.5〜1がさらに好ましい。
また、本発明経口摂取用組成物中の(A)クルクミンの含有量は、1回投与量の低減、味、経口吸収性の点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上、さらに30質量%以上が好ましい。また、(A)クルクミンの含有量は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。具体的には、10〜80質量%が好ましく、15〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。ここで、クルクミンの含有量は、クルクミンとしての量である。
【0019】
本発明の経口摂取用組成物の形態としては、医薬品および機能性食品、特定保健用食品等が挙げられる。
【0020】
本発明における機能性食品は、具体的には、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;加工乳、発酵乳等の乳製品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、ふりかけ、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ等の医薬品、医薬部外品などが挙げられ、これらを製造するに当り通常用いられる添加物とを用いることができる。
【0021】
上記の添加物としては、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、マンニット、デキストリン、クエン酸、クエン酸ソーダ、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンC、ビタミンB類、ビタミンE、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。なお、本発明の組成物には界面活性剤は含有しないのが好ましい。
【0022】
また、本発明の経口摂取用組成物の形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤などが挙げられる。これらの製剤とするには、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤等を用いることができる。
【0023】
本発明の経口摂取用組成物の1日投与量は、通常成人あたりクルクミン量として一般に安全が確認されている0.03gから12gが好ましい。
【実施例】
【0024】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】
参考例1
(クルクミン)
ショウガ科ウコン(Curcuma longa LINNE)の根茎の乾燥品(ウコン粉末)から温時エタノールにより抽出・調製し、結晶状のクルクミンが80%(重量%)以上を含むクルクミン粉末として調製した。
【0026】
参考例2
(酵素処理ステビア)
ステビオサイド、レパウディオサイドA、レバウディオサイドC、ズルコサイA、ルブソサイド、ステビオールビオサイド、レバウディオサイドBから選ばれる1種または2種以上のステビオール配糖体を含むステビア抽出物に、α−グルコシルトランスフェラーゼを用いることでグルコースを付加して得られるステビア抽出物とステビア抽出物にグルコースが付加することにより、乾燥時の重量%として、α−グルコシルステビオール配糖体および未反応のステビオール配糖体の総量が80.0%(重量%)以上、α−グルコシルステビオール配糖体として65.0%(重量%)以上を含む混合物として得た。
【0027】
参考例3
(セラクルミン)
セラクルミンは、ガティガム含水溶液(1〜10%)にクルクミンを最終濃度として10質量%添加した後、当該水溶液中で平均粒子径が1μm以下となるまで湿式粉砕処理した。これに、pH調整、賦形剤、保存安定性の向上のため、クエン酸、デキストリン、マルトース、グリセロールを添加することにより製剤を調製した。簡便には、クルクミン濃度として10%(重量%)以上、クルクミノイドとして12%(重量%)以上を含む製剤「CR−011L」および「CR−031P」が(株)セラバリューズから入手可能である。
【0028】
実施例1
(A:B=1:5クルクミン製剤1)
経口吸収性の向上を目的とした製剤に対するネガティヴコントロール製剤の作成を目的として、物理混合物製剤を調製した。クルクミン0.2g、酵素処理ステビア1gの粉末を機械的に混合し、クルクミン製剤1(A:B=1:5)を得た。
【0029】
実施例2
クルクミン1gをエタノール0.36Lに、糖転移ステビア1gを蒸留水0.24Lへ溶解させ、これを速やかに混合後、入口温度140℃、出口温度70℃、スプレー圧力0.13MPa、流速10mL毎分、オリフィス圧力75mmHgにて速やかに噴霧乾燥を行うことにより、クルクミン製剤2(A:B=1:1)を得た。
【0030】
実施例3
クルクミンを1.2g、糖転移ステビアを1.8gとする以外は、実施例2と同様にして、クルクミン製剤3(A:B=1:1.5)を得た。
【0031】
実施例4
クルクミンを1.2g、糖転移ステビアを2.4gとする以外は、実施例1と同様にして、クルクミン製剤4(A:B=1:2)を得た。
【0032】
実施例5
クルクミンを6g、糖転移ステビアを18gとする以外は、実施例1と同様にして、クルクミン製剤5(A:B=1:3)を得た。
【0033】
実施例6
クルクミンを4g、糖転移ステビアを20gとする以外は、実施例1と同様にして、クルクミン製剤6(A:B=1:5)を得た。
【0034】
試験例1
各製剤を所定量採取し、メスシリンダーを用いて、注射用水で10mLにメスアップし、転倒混和して分散させて試料液(クルクミンとして2mg/mL)を調製した。
SDラット(日本チャーハス・リバー(株)、雄性、7週齢、170〜259g、n=4、5)を12時間以上絶食した後、試料液を強制経口投与した。投与後1、2、4hr後に、頸静脈から無麻酔下で約0.5mL採血し、クルクミン血漿中濃度を測定した。結果を図1に示す。
【0035】
図1に示すように、(A)クルクミンに(B)糖転移ステビアをA/B=0.2〜1の割合で添加した製剤は経口吸収性が飛躍的に向上した。さらにA/B=0.3〜1の場合が良好であり、特にA/B=0.5〜1の場合が良好であった。
【0036】
また、実施例2〜6のクルクミン製剤中のクルクミン粒子の粒子径を測定したところ、実施例2〜6において1μm以下、特に実施例4では160nm程度、実施例5、6では100nm以下であり、良好に微粒子化されていた。
【0037】
また、実施例2〜6のクルクミン製剤は、1製剤あたりのクルクミン含有量が多いにもかかわらず、クルクミンの苦味がマスキングされており、味が良好であった。
図1