特開2015-111100(P2015-111100A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NSI株式会社の特許一覧
特開2015-111100ため池等にヘリコプター等の飛行体その他を用いて粒粉ゼオライトを散布することにより放射性物質を含む汚染物質を吸着させ流出及び飛散を防止することによりため池等を除染する方法
<>
  • 特開2015111100-ため池等にヘリコプター等の飛行体その他を用いて粒粉ゼオライトを散布することにより放射性物質を含む汚染物質を吸着させ流出及び飛散を防止することによりため池等を除染する方法 図000003
  • 特開2015111100-ため池等にヘリコプター等の飛行体その他を用いて粒粉ゼオライトを散布することにより放射性物質を含む汚染物質を吸着させ流出及び飛散を防止することによりため池等を除染する方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-111100(P2015-111100A)
(43)【公開日】2015年6月18日
(54)【発明の名称】ため池等にヘリコプター等の飛行体その他を用いて粒粉ゼオライトを散布することにより放射性物質を含む汚染物質を吸着させ流出及び飛散を防止することによりため池等を除染する方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/12 20060101AFI20150522BHJP
【FI】
   G21F9/12 501J
   G21F9/12 501F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【公開請求】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-177576(P2014-177576)
(22)【出願日】2014年9月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.試験 1)発行日 平成26年7月7日 2)試験場所 福島県伊達市霊山町下小国地区のため池 3)試験を行った者 岩城 誠(地方再生支援機構株式会社 代表取締役) 4)公開された発明の内容 東京電力福島第1原発事故に伴い放射性物質で汚染された農業用ため池の新たな除染方法として、有人ヘリコプターで上空から放射性セシウムを吸着する粒状のゼオライトを散布し、ため池の底に約2センチの層を作ることで、セシウムの拡散を防ぎ、効率的に除染できることの実証実験を行った。 2.新聞発表 1)発行日 平成26年7月8日 2)刊行物 福島民友 平成26年7月8日(朝刊第7面) 3)公開者 福島民友新聞社 4)公開された発明の内容 福島民友新聞社が、福島民友の平成26年7月8日付朝刊第7面にて、斉藤充弘等が発明した発明について、東京電力福島第1原発事故に伴い放射性物質で汚染された農業用ため池の新たな除染方法として、有人ヘリコプターで上空から放射性セシウムを吸着する粒状のゼオライトを散布する実証実験が2014年7月7日、伊達市霊山町で行われたこと、ため池の底に約2センチの層を作ることで、セシウムの拡散を防ぐこと、およびため池の除染は搬入路の確保が難しいが、ヘリコプターならその必要がなく、効率的に除染できることが発表された。 3.テレビ放映 1) 放送日 平成26年7月7日 2) 放送番組 福島放送「ふくしまスーパーJチャンネル」 3) 公開者 株式会社福島放送 4) 公開された発明の内容 「ため池の除染実証実験・ヘリコプターからゼオライトを散布」について、ため池や森林の除染を希望する人の役に立ちたいと、放射性セシウムを吸着するというゼオライトを伊達市霊山町下小国地区のため池に撒く実証実験が、NPO法人により実施されたこと、実験を行ったNPO法人・岩城誠は「ため池も森林も人が入れない。そこを除染しなければいけない」との話、実験の結果を県などに伝え将来は森林除染に活用したい考えについて、及びゼオライト散布の実証実験(伊達市霊山町下小国)の映像を放映した。 4.株式会社ピー・インターナショナル 1) 公開日 平成26年8月21日 2) 公開場所等 株式会社ピー・インターナショナル 住所 東京都港区芝公園1−2−9 ハナイビル5F 役員 権代 憲策 3) 公開者 岩城 誠 4) 公開された発明の内容
(71)【出願人】
【識別番号】507301730
【氏名又は名称】NSI株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田淡路町二丁目23番地2
(71)【出願人】
【識別番号】514189114
【氏名又は名称】一般財団法人 国土災害管理財団
【住所又は居所】東京都中央区日本橋蠣殻町1−5−1
(71)【出願人】
【識別番号】514220945
【氏名又は名称】地方再生支援機構株式会社
【住所又は居所】福島県郡山市八山田4丁目77
(74)【代理人】
【識別番号】100102886
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 光夫
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 充弘
【住所又は居所】千葉県千葉市中央区矢作町990−5
(72)【発明者】
【氏名】神山 清明
【住所又は居所】千葉県柏市今谷上町7−44
(72)【発明者】
【氏名】岩城 誠
【住所又は居所】埼玉県比企郡滑川町都14番地23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】広範囲にわたってスピーディーかつ確実に、ため池等の放射性物質を含む汚染物質を取り除く除染方法を提供する。
【解決手段】放射性物質を含む汚染物質が底部等に堆積しているため池等の上から飛行体その他を用いて粉粒状のゼオライトを空中散布し、汚染物質を含む底部等の表面をゼオライト層で覆い、ゼオライトにより汚染物質を吸着し、封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を含む汚染物質が底部等に堆積しているため池等の上から飛行体その他を用いて粉粒状のゼオライトを空中散布し、汚染物質を含む底部等の表面をゼオライト層で覆い、ゼオライトにより汚染物質を吸着し、封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止する、ため池等の除染方法であって、ゼオライト層はゼオライトにより汚染物質を吸着し、封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止するのに有効な厚さを有し、かつ汚染物質を含む底部等の表面に渡りゼオライト層により被覆する、ため池等の除染方法。
【請求項2】
放射性物質を含む汚染物質が底部等に堆積しているため池等の上から飛行体を用いて粉粒状のゼオライトを空中散布する、請求項1に記載のため池の除染方法。
【請求項3】
ゼオライト層の厚さが、10mm〜500mmの厚さである、請求項1または2に記載のため池等の除染方法。
【請求項4】
前記粉粒状ゼオライトが、1mm〜50mmの粉粒状ゼオライト粒子からなる、請求項1乃至3のいずれかに記載のため池等の除染方法。
【請求項5】
農業水取水口をため池等の上部位置近傍に設け、シルトフェンスを農業用水取水口の近傍に配置しゼオライト及び放射性物質を含む濁り水の流出を防止する、請求項1乃至4のいずれかに記載のため池等の除染方法。
【請求項6】
シルトフェンスは表面にゼオライト含有の吸着布を設けている、請求項5に記載のため池等の除染方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ため池等の除染方法に関し、より詳しく述べると、本発明はため池等にヘリコプター等の飛行体その他を用いて粒粉ゼオライトを散布することによりため池を除染する方法に関する。本願で言う「ため池等」には、ため池の他、山林、湖沼、ダム、河川、空き地、農地、海岸線を含むものとする。また、本願で言う「飛行体」には航空法で言う航空機、有人及び無人ヘリコプターを含み、「その他」には船舶及び陸上から噴射機等を用いて放出することによる散布方法を含む。
【背景技術】
【0002】
従来のため池等の除染方法について、以下に概説する。
1.基本方針
(1)政府が平成25年度の実証実験として実施し、応用技術を確立させている。
(2)環境省は、住宅周辺の池の除染を守備範囲とする。
(3)農林水産省及び市町村は、ダムやため池を対象とし、財政は福島再生加速交付金で対応している。
(4)環境省は、池について対象外としていたが、健康被害に影響の恐れがあるものは除染を行うとの方針に転換した。
【0003】
2.「安全な水」確保、帰還を支援
(1)国及び福島県の調査では、避難指示区域を中心にダムや池の底から濃度の高い放射性物質が検出された。
(2)安全な水が確保できなければ、住民の帰還そのものが慎重にならざるを得なくなる。
【0004】
3.従来の方法
従来、ため池の除染方法は以下の方法によって行われてきた。
(1)湖底の土壌を吸上げ放射性物質が多く含まれる粘土質を除去する。
(2)放射性物質を含む濁り水が流出しないよう「シルトフェンス」を設置する。
(3)取水口を表層に位置変更する。
(4)湖底の泥が巻き上がるのを防ぐため、湖底部をセメントで固化被覆する。
【0005】
4.ため池の状況
(1)全てのため池への陸上からのアクセスは、必ずしも容易とは言えない。
(2)ため池の底は、泥だけではなく、枯れ木、落葉などの山地から流れてくる全ての自然物で構成される。
(3)除染作業の種類によっては、季節や天候等により作業可能時期が限定される。
(4)前記3.(1)〜(4)項目の除染方法の中から実施することを基本としている。
【0006】
5.ため池除染事業の目標
ため池の底に蓄積されている汚染物質を除去又は封じ込め、最終的には水中の放射線量を常時規定値以下に維持し、農業用水及び飲料として利用できる環境にすることを目標としている。
従来の対策1、対策2については下記の問題点がある。
(1)対応策1:ため池の底に蓄積された汚染物質(泥等に付着)を除去する。
問題点1:ため池の水を排水し汚染された泥を除去するには、膨大な労
力と多大な輸送費用等が必要。
2:除去した泥を保管する場所が無い。放射線量の高い泥を保管
する施設の確保が必要。処分場の確保、長期の保管。
3.さらに汚染されていない土で覆う場合、隙間なく覆うことは
不可能に近い。
4.周囲の森林除染が済んでいないので、時間が経てば、周辺の
山林から新たに汚染物質が流れ込み、以前と同じ状況に戻る。
5.ため池を遮断するだけでは田畑へ流れ出る危険が残る。田植
えの時には従来の下方の取水口からの給水が必要となる。
【0007】
(2)対応策2:ため池の底の表面をコンクリート等で覆い、汚染物質が浮遊しないようにする。
問題点1:ため池の水を排水し表面をコンクリート等で固めるには、膨
大な労力と多大な材料費が必要。
2:時間が経てば、周辺の山林から汚染物質が流れ込み、以前と
同じ状況に戻る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ため池等に飛行体その他を用いてゼオライトを空中から散布しため池等の底部(地表)「以下(底部等)という」の表面をゼオライト層で覆い、放射性物質を含む汚染物質を封じ込め流出及び飛散を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、放射性物質を含む汚染物質が底部等に堆積しているため池等の上から飛行体その他を用いて粉粒状のゼオライトを空中散布し、汚染物質を含む底部等の表面をゼオライト層で覆い、ゼオライトにより汚染物質を吸着し、封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止する、ため池等の除染方法であって、ゼオライト層はゼオライトにより汚染物質を吸着し、封止し、汚染物質の浮遊、飛散を防止するのに有効な厚さを有し、かつ汚染物質を含む底部等の表面に渡りゼオライト層により被覆する、ため池等の除染方法。
【0010】
以下の態様は、本発明に係るため池等の除染方法の好ましい態様である。
(2)放射性物質を含む汚染物質が底部等に堆積しているため池等の上から飛行体を用いて粉粒状のゼオライトを空中散布する。
(3)ゼオライト層の厚さは、10mm〜500mmの厚さである。ゼオライト層の具体的な厚さは、ため池等の底形状、地表の違い、汚染状況に応じて決定される
(4)前記粉粒状ゼオライトは、1mm〜50mmの粒子からなる。ゼオライトの具体的粉粒形状は、ため池等の底形状、地表の違い、汚染状況に応じて決定される。
(5)ため池の場合は、農業水取水口をため池の上部位置近傍に設け、汚染物質を吸着する能力を有するシルトフェンスを農業用水取水口の近傍に配置し放射性物質を含む濁り水の流出を防止する。
(6)該シルトフェンスは表面にゼオライト含有の吸着布を設けている。
【発明の効果】
【0011】
(1)ゼオライトを飛行体その他からため池等に空中から広範囲に散布してゼオライトにより汚染物質を吸着し、汚染物質の浮遊、飛散を防止するのに有効な厚さのゼオライト層でため池底部等を覆い、汚染物質を含む底部等の表面をゼオライト層で被覆することにより、汚染物質を底部等に封じ込め、ため池等に溜まった水に溶解しないように、又は、地表から飛散しないようにすることができる。
(2)ゼオライト層により、ため池等の水中のセシウム等の汚染物質を規定値以下にし、汚染されていない農業用水の確保ができる。ゼオライトは水質浄化作用があるので、セシウムの吸着に供されなかったゼオライトはため池の水質浄化に貢献できる。
【0012】
(3)使用するゼオライトは比重が1.0より大きいので散布後浮遊せず沈降する間に、セシウム等を吸着・底に沈殿して離さないので、セシウムを含む汚染物質を田畑へ流入しない。(試験に使用したゼオライトの比重は1.6)
(4)ゼオライトは飽和状態になるまで汚染物質を吸着・封止でき、周辺の山林から新たに汚染物質が流入してもゼオライト層中の未吸着ゼオライトが吸着し離さないので、除染効果が継続する。また、不足する場合には、ゼオライトを飛行体その他によりため池等に空中から追加散布することでセシウムを規定値以下に抑えることができる。
(5)ゼオライトは無害であり、土壌改良及び水質の浄化能力があるのでその他の有害物質も除去し、農業用水の確保が容易で、飲用水に有害物が混入するのを阻止する。
(6)ため池等の農業用水取水口位置近傍にシルトフェンスを配置し、ため池等の浮遊する汚染物質はシルトフェンスにより確実に捕獲する。
【0013】
(7)比重が1.0より大きくで水に溶けないゼオライトを使用しているのでセシウムを吸着したゼオライトは、ため池が風雨でかき乱されても水中に浮遊しない。
(8)ため池等の水を農業用水として用いても、当該農業用水はゼオライトで吸着されて封じ込まれてセシウムが含まれていないので、風評被害に対峙できる農作物が生産できる。仮に、農業作業者が農業用水に不安を感じた時及びセシウム等の放射性物質が発見された場合は、飛行体及びその他によりゼオライトを追加散布することによって懸念される残留放射性物質を吸着させることができる。従って、農業作業者及び住民帰還後安心して農作業や生活ができる。
(9)除染の時期、場所及び天候(一部荒天を除く。)を選ばないため計画通りの除染を実施できる。(陸路の場合は降雪等の影響を受ける。)
(10)所定の高度を飛ぶ飛行体を用いて散布を行う場合は、被爆の恐れがないので、周辺の放射線量の高い危険地域の散布も可能である。
(11)ため池等の泥の撤去等の方法と比較して、除染費用を大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るため池等の除染方法のうち、ヘリコプターにより空中からゼオライトを散布し底を覆って封じ込める方法の概略を示すイメージ図である。
図2】本発明に係るため池等の除染方法を模式的を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の完成の経緯を述べる。
2011年3月11日の東日本大震災により地震・津波により東北の多くの沿岸地は壊滅的な被害を受け、また福島の東北電力の原子力発電所の崩壊によって近隣地区の住民は放射能汚染により非難せざるを得ず、また農作地も放置されたままである。なるべく早い時期に帰郷したいという住民も多く、また農業作業者は豊かな農地をそのまま放置したままにせずに、以前と同じように活用し豊かな暮らしを取り戻したいと願っている。
【0016】
また、当事者である福島県も住民たちの早期の帰郷と農業従事者のもとの場所で農業をしたいという県民の要望にあらゆる手段を使って答えていきたいという強い思いと使命感がある。その一方、国及び福島県の調査では、避難指示区域を中心にダムやため池等の底部から濃度の高い放射性物質が検出され、安全な水が確保できなければ、住民の帰郷、農業従事者による農業の再開については慎重にならざるを得ない状況にある。
【0017】
本出願人は従来比較的高価であったゼオライトを大量かつ安定に継続的に生産できるめどがつき、このゼオライトを用いてため池等を除染して安全な水と空気を得ることができないかとの発想のもと鋭意研究を行い本発明を完成したものである。本出願人が従来比較的高価であったゼオライトを大量かつ安定に継続的に生産できるめどがついたということ自体非常に画期的なことであり、それを積極的に活用し、これまでは除染を汚染物質を除去することのみを検討してきたことに対して、汚染物質を除去することなくその場に封じ込めて流出や飛散しないようにしたことが本発明完成のための第1の観点である。
【0018】
一方、除染を必要とするため池等は福島には非常に多数存在している。上述した通り、全てのため池等への陸上からのアクセスは、必ずしも容易とは言えず、除染作業の種類によっては、季節や天候等により作業可能時期が限定される。本出願人は非常に多数存在している除染を必要とするため池等に対してなるべく短期に除染が可能で、かつため池等へのアクセスに影響されず、季節にもさほど影響されない除染方法としてヘリコプター等の飛行体を用いて粒粉ゼオライトを空中散布することによりため池を除染する方法を考えた。これが本発明完成のための第2の観点である。
【0019】
さらに、出願人は、農作物に散布するように単に農作物あるいは土壌にまばらに散布するような方法では、放射性物質を含む汚染物質を完全に吸着し、封じこめることはできないことを突き止めた。即ち、ため池等の底部等に堆積している放射性物質を含む汚染物質上に飛行体その他を用いて粉粒状のゼオライを空中散布し、汚染物質を含む底部等の表面をゼオライト層とし、ゼオライト層の厚さを汚染物質を吸着し、封止し、汚染物質の浮遊を防止するのに有効な厚さとし、汚染物質を含む底部の全面に渡りゼオライト層により被覆することにより、ため池等を除染する方法に至った。ゼオライト層を形成するに十分多量のゼオライトを散布することにより、ゼオライトをより早く散布させ、放射性物質を含む汚染物質をそれに吸着しゼオライト層中に封止する。これが本発明完成のための第3の観点である。本発明は、これらの第1の観点、第2の観点及び第3の観点が相互に密接かつ複合的・総合的に支え合い本発明を完成に導いたものである。
【0020】
ゼオライトは、イオン化の強い自然岩石であり、セシウムを積極的に吸着すると一般的に評価されている。本発明で用いるゼオライトはゼオライト鉱山で採掘・粉砕したゼオライト原石を加工乾燥させ、粒度を揃えることによって製造され、比較的安価な粉粒状のゼオライトとして本発明でため池等の除染に用いることができる。ゼオライトの粒径は、1mm〜50mmとすることが好ましい。1mm未満のものは沈降せずに浮遊しやすく、また50mmより大きいものは散布上適当とは言えない。但し、1mm未満の微粉末も当然に混入されており、また50mmより大きい粒子を含むものも本発明で用いる粒状のゼオライトから排除するものではない。
【0021】
飛行体その他を用いて粒粉ゼオライトを空中から散布する手段を採用することにより、ため池等がどの地域に位置していても、スピーディーにゼオライト層を形成するのに必要な多量の粉粒状のゼオライトを散布することが可能となる。空中散布の高さは、有効なゼオライト層が形成することが可能であれば限定されないが、10m〜100mの高さが好ましい。散布速度も特に限定されるものではないが、例えば240kgのゼオライトを最大50秒で散布可能である。なお、ヘリコプター等の飛翔体によるゼオライト散布は、航空法に則り航空機使用事業の免許を有した企業が実施することにより安全は確保される。散布装置としては、従来の飛翔体用散布装置を用いることができる。
【0022】
農業水取水口をため池等の上部位置近傍に設け、シルトフェンス農業用水取水口の近傍に配置し未沈降微粒子状ゼオライトを含む濁り水の流出を防止することが好ましい。さらに、シルトフェンスは表面にゼオライト含有の吸着布を設ける。これによりセシウムがため池等の水に混じって外部に流出するのを確実に防止することができる。
【0023】
除染コスト的には、航空機の利用料は高価であるが、他の方法における長期作業に伴う人件費は航空機の利用料よりは高価である(費用対効果が期待できる)。大量のゼオライトを散布するが、比較的安価で得られるようになったゼオライトによりコストは抑えられる。以下に、本発明のため池等の除染方法と従来の地上要員による散布を実施した場合の費用を試算する。
(例)敷地1000平方メートルの場所への散布による比較
(1)地上要員による散布を実施した場合
時間約60日
要員数準備員8名、散布員8名、補助員2名、測定員2名
資機材の経費ボート2隻借上げ費10万円、輸送費:不明
(運べないため池もある。)
費用(人件費、宿泊費を含む。)
参考(散布密度) 密度が不均一
安全性 被爆の恐れあり
【0024】
(2)空中散布を実施した場合
時間15日
要員数パイロット1名、整備士1名、準備員4名、測定員2名(自衛隊
OBの活用)
資機材の経費中型ヘリコプター借上げ費用
人件費
参考(散布密度) 密度が均一
安全性 被爆の恐れ無し
上記(1)、(2)の場合を比較試算すると、(1)地上要員による陸上散布は60日、(2)空中散布は15日で、空中散布が短期間で処理が可能であることが分かる
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のため池等の除染方法によれば、放射線物質を含む汚染物質で汚染された山林等を含むため池等を除染し、放射性物質及び汚染物質を底面または地表にゼオライト層で吸着し、封止することにより、ため池等の水及び地表面を封じ込めにより除染して、水を農業用水、生活用水に活用することを可能とし、また、近くの山林から汚染物質が飛散しないようにすることにより、避難中の人々の帰郷を促し、農作物の安全な栽培を可能とするので、産業上利用可能性は大である。
図1
図2