特開2015-123689(P2015-123689A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-123689(P2015-123689A)
(43)【公開日】2015年7月6日
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 21/00 20060101AFI20150609BHJP
【FI】
   B43K21/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-270557(P2013-270557)
(22)【出願日】2013年12月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118898
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 立昌
(72)【発明者】
【氏名】相沢 吉敏
(72)【発明者】
【氏名】阿部 成雄
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353FA04
2C353FE02
2C353FE11
2C353FE14
(57)【要約】
【課題】 軸筒前端から突出する筆記芯の前側部分を効果的に保護する。
【解決手段】 軸筒10と、該軸筒10の前側開口部11aに挿通されるとともに該軸筒10の前端から前方へ突出したホルダー20と、該ホルダー20の内周面に接して該ホルダー20に挿通されるとともに該ホルダー20の前端から前方へ突出するように軸筒10に支持された筆記芯30とを備えた筆記具において、軸筒10とホルダー20の間に、前記ホルダー20に加わる軸筒径外方向の力により前記ホルダー20を軸筒及び前記筆記芯に相対し前進させる運動方向変換手段が具備されている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒と、該軸筒の前側開口部に挿通されるとともに該軸筒の前端から前方へ突出したホルダーと、該ホルダーの内周面に接して該ホルダーに挿通されるとともに該ホルダーの前端から前方へ突出するように軸筒に支持された筆記芯とを備えた筆記具において、
軸筒と前記ホルダーの間に、前記ホルダーに加わる軸筒径外方向の力により前記ホルダーを軸筒及び前記筆記芯に相対し前進させる運動方向変換手段が具備されていることを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記運動方向変換手段は、軸筒と前記ホルダーとのうちの少なくとも一方に、カム斜面を設け、前記ホルダーを、前記カム斜面を介して軸筒に進退可能に係合してなり、
前記カム斜面は、前記ホルダーに加わる軸筒径外方向の力により前記一方に対する他方に摺接して前記ホルダーを前進させるように傾斜していることを特徴とする請求項1記載の筆記具。
【請求項3】
前記カム斜面は、前記ホルダーの外周面と軸筒の前側開口部とのうちの少なくとも一方に、前方へ向かって拡径するように設けられ、前記一方に対する他方に摺接して前記ホルダーを前進させることを特徴とする請求項2記載の筆記具。
【請求項4】
前記ホルダーは、軸筒及び前記筆記芯に相対し前進した前進位置と、その前進前の初期位置との間で進退するように設けられ、前記初期位置では軸筒の前側開口部に対し軸筒径方向へ移動不能に嵌り合い、前記前進位置では前記前側開口部に対し軸筒径方向への遊びを有する状態で嵌り合うように形成されることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の筆記具。
【請求項5】
前記ホルダーを軸筒に対し後方へ付勢するように、ホルダー付勢部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の筆記具。
【請求項6】
前記筆記芯を、前記ホルダーよりも後方側で軸筒に対し軸筒径方向へ微動可能に支持したことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の筆記具。
【請求項7】
軸筒内に、前方側を縮径する段部と、該段部よりも後方側で前方へ向かって拡径する筆記芯支持傾斜面とを備え、
前記筆記芯の外周部に、径外方向へ突出する筆記芯支持部を備え、
前記筆記芯支持部は、軸筒内周面と、前記段部と、前記筆記芯支持傾斜面との間の空間に設けられることで、前後方向及び軸筒径方向へ微動可能であることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の筆記具。
【請求項8】
前記筆記芯は、鉛芯と該鉛芯を繰出し可能に保持する鉛芯繰出し機構とを有するシャープペンシル用筆記芯であり、繰り出される前記鉛芯を前記ホルダーに挿通するように軸筒内に支持されていることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の筆記具。
【請求項9】
前記鉛芯繰出し機構は、鉛芯を内在するとともに軸筒内で進退するように保持された芯タンクと、該芯タンクの前端に接続されて鉛芯を挟持するチャックと、該チャックに対し後方側へ外れるように嵌り合うクラッチリングと、前記クラッチリングよりも前方側で鉛芯を弾性的に保持する芯ブレーカと、前記チャック及び前記クラッチリングを進退可能に内在するとともに前記芯ブレーカを進退不能に内在する保持筒と、該保持筒に対し前記芯タンクを後方へ付勢する芯タンク付勢部材とを備え、前記保持筒内に、前記クラッチリングを後方側から受ける後側当接部と前方へ移動した際の同クラッチリングを前方側から受ける前側当接部とを設けたことを特徴とする請求項8記載の筆記具。
【請求項10】
前記ホルダーを、前記保持筒の前端側に、進退可能に嵌め合せたことを特徴とする請求項9記載の筆記部。
【請求項11】
前記チャックと前記芯ブレーカとの間に位置するとともに鉛芯を挿通した状態で進退可能なスライド筒と、該スライド筒を前記保持筒に対し後方へ付勢するスライド筒付勢部材とを具備したことを特徴とする請求項9又は10記載の筆記具。
【請求項12】
軸筒内に、前記筆記芯を前記軸筒に対し前方へ付勢する筆記芯付勢部材を設け、前記筆記芯が、所定の筆圧以上の後方への力により、前記筆記芯付勢部材の付勢力に抗して後退するようにしたことを特徴とする請求項1乃至11何れか1項記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシルや、ボールペン、サインペン、マーカーペン、修正ペン等、軸筒の前端から筆記部を突出させるようにした筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、特許文献1に記載されるもののように、軸筒(40)と、該軸筒(40)の前側開口部に挿通されるとともに該軸筒(40)の前端から前方へ突出したホルダー(スライダー10)と、該ホルダー(スライダー10)に挿通されるとともに該ホルダー(スライダー10)の前端から前方へ鉛芯(1)を突出させた筆記芯(繰出し機構20及び芯タンク22等)とを備えたシャープペンシルがある。
【0003】
通常、前記のようなシャープペンシルでは、軸筒(40)を適度な角度に傾けた状態で握られ、前記ホルダー(スライダー10)から突出した鉛芯(1)が紙面に押し付けられて筆記が行われる。
このため、鉛芯(1)に対しては、軸方向の押圧力と、該軸方向に交差方向の押圧力が加わることになり、前記押圧力によって鉛芯(1)が折れてしまうおそれがある。
また、前記のようにして、ホルダーから突出した筆記芯の前側部分(例えば、鉛芯等)を損傷してしまうという問題は、シャープペンシルのみならず、ボールペン(特に先端チップが細長なニードルタイプのボールペン)や、サインペン、マーカーペン、修正ペン等についても起こり得ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−11582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、軸筒前端から突出する筆記芯の前側部分を効果的に保護することができる筆記具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための一手段は、軸筒と、該軸筒の前側開口部に挿通されるとともに該軸筒の前端から前方へ突出したホルダーと、該ホルダーの内周面に接して該ホルダーに挿通されるとともに該ホルダーの前端から前方へ突出するように軸筒に支持された筆記芯とを備えた筆記具において、軸筒と前記ホルダーの間に、前記ホルダーに加わる軸筒径外方向の力により前記ホルダーを軸筒及び前記筆記芯に相対し前進させる運動方向変換手段が具備されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、軸筒前端から突出する筆記芯の前側部分を効果的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る筆記具の一例を示す断面図である。
図2】同筆記具の要部拡大斜視図である。
図3】進退部材と軸筒との係合関係を示す平面図である。
図4】同筆記具の前端側拡大断面図であり、(a)は通常の筆記状態を示し、(b)はホルダーが前進した状態を示す。なお、本図においては、(a)に対し移動した部分のみをハッチングして(b)に示している。
図5】同筆記具について、ホルダーが前進した状態を示す全体断面図である。
図6】同筆記具の要部断面図であり、(a)は通常状態を示し、(b)は筆記芯が後方へ押された状態を示す。なお、本図においては、(a)に対し移動した部分のみをハッチングして(b)に示している。
図7】同筆記具の要部断面図であり、(a)は通常状態を示し、(b)は芯タンクに前方への押圧力が加わった状態を示す。なお、本図においては、(a)に対し移動した部分のみをハッチングして(b)に示している。
図8】本発明に係る筆記具の他例を示す前端側拡大断面図であり、(a)は通常の筆記状態を示し、(b)はホルダーが前進した状態を示す。なお、本図においては、(a)に対し移動した部分のみをハッチングして(b)に示している。
図9】(a)〜(c)の各々にカム斜面の変形例を示す断面図である。
図10】本発明に係る筆記具の他例を示す要部断面図である。
図11】本発明に係る筆記具の他例を示す要部断面図である。
図12】本発明に係る筆記具の他例を示す要部断面図である。
図13】ホルダーの他例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態の第一の特徴は、軸筒と、該軸筒の前側開口部に挿通されるとともに該軸筒の前端から前方へ突出したホルダーと、該ホルダーの内周面に接して該ホルダーに挿通されるとともに該ホルダーの前端から前方へ突出するように軸筒に支持された筆記芯とを備えた筆記具において、軸筒と前記ホルダーの間に、前記ホルダーに加わる軸筒径外方向の力により前記ホルダーを軸筒及び前記筆記芯に相対し前進させる運動方向変換手段が具備されている(図4参照)。
この構成によれば、筆記芯におけるホルダーから突出した部分に、筆圧等により軸筒径外方向の力が加わり、該力がホルダーに加わると、ホルダーが軸筒及び筆記芯に相対し前進し、筆記芯の前側を覆い保護する。このため、筆記芯の損傷等を防ぐことができる。
このように、前記特徴を具備した発明は、筆圧で前進するホルダーによって筆記芯の前側部分を効果的に保護するという従来技術にはない技術思想を有するものである。
【0010】
なお、前記「運動方向変換手段」の具体例としては、前記ホルダーの軸筒径外方向の運動を軸筒前進方向の運動に変換するようにカム斜面(傾斜面)を用いた態様や、前記ホルダーの軸筒径外方向の運動を軸筒前進方向の運動に変換するようにリンク部材を用いた態様等が挙げられる。
また、前記「筆記芯」の具体例としては、鉛芯をホルダーに挿通して該ホルダーの前端から前方へ突出させるようにしたシャープペンシル用筆記芯(シャープペンシル用リフィールと呼称される場合もある)や、先端チップをホルダーに挿通して該ホルダーの前端から前方へ突出させるようにしたボールペン用筆記芯(ボールペン用リフィール)、ホルダーに挿通されるとともに該ホルダーの前端から筆記部を前方へ突出させるようにしたサインペンやマーカーペンの芯体、または修正ペン用筆記芯等が挙げられる。
また、前進した際の前記ホルダーを初期位置に戻す手段は、特に限定しないが、例えば、前記ホルダーを軸筒に対し後方へ付勢するようにホルダー付勢部材を設けた態様や、前記ホルダーに接続されるとともに軸筒外に露出したレバー部材を設け、該レバー部材に対する手動操作により前記ホルダーが初期位置に戻されるようにした態様等とすることが可能である。
【0011】
第二の特徴としては、前記運動方向変換手段は、軸筒と前記ホルダーとのうちの少なくとも一方に、カム斜面を設け、前記ホルダーを、前記カム斜面を介して軸筒に進退可能に係合してなり、前記カム斜面は、前記ホルダーに加わる軸筒径外方向の力により前記一方に対する他方に摺接して前記ホルダーを前進させるように傾斜している。
この構成によれば、ホルダーから前方へ突出した筆記芯に対し軸筒径外方向の力が加わり、この力がホルダーに加わると、前記カム斜面が前記一方に対する他方に摺接して前記ホルダーが筆記芯に相対し前進する。
なお、前記「軸筒と前記ホルダーとのうちの少なくとも一方に、カム斜面を設け、前記ホルダーを、前記カム斜面を介して軸筒に進退可能に係合してなり」という構成には、前方へ向かって拡径するカム斜面を前記ホルダーの外周面に設け、このカム斜面を介して前記ホルダーを軸筒の前側開口部に進退可能に係合した態様(図4参照)や、前方へ向かって拡径するカム斜面を軸筒の前側開口部に設け、このカム斜面を介して前記ホルダーを軸筒の前側開口部に進退可能に係合した態様(図8参照)、後方へ向かって拡径するカム斜面を前記ホルダーの後端部に設け、このカム斜面を介して前記ホルダーを軸筒の前端縁に進退可能に係合した態様(図10参照)等を含む。
また、前記「カム斜面」には、直線状の傾斜面(図4参照)や、凸曲面状の傾斜面(図9(a)参照)、凹曲面状の傾斜面(図9(b)参照)、断続的な傾斜面(図9(c)参照)等を含む。
【0012】
第三の特徴としては、より好ましい具体的態様として、前記カム斜面は、前記ホルダーの外周面と軸筒の前側開口部とのうちの少なくとも一方に、前方へ向かって拡径するように設けられ、前記一方に対する他方に摺接して前記ホルダーを前進させる。
【0013】
第四の特徴としては、より好ましい具体的態様として、前記ホルダーは、軸筒及び前記筆記芯に相対し前進した前進位置と、その前進前の初期位置との間で進退するように設けられ、前記初期位置では軸筒の前側開口部に対し軸筒径方向へ移動不能に嵌り合い、前記前進位置では前記前側開口部に対し軸筒径方向への遊びを有する状態で嵌り合うように形成される。
【0014】
第五の特徴としては、前記ホルダーを軸筒に対し後方へ付勢するように、ホルダー付勢部材を設けた。
この構成によれば、筆記芯に対する交差方向の力が解除された際に、ホルダーを、ホルダー付勢部材の付勢力によって自動的に後退させることができる。
【0015】
第六の特徴としては、より好ましい具体的態様として、前記筆記芯を、前記ホルダーよりも後方側で軸筒に対し軸筒径方向へ微動可能に支持した。
【0016】
第七の特徴としては、より好ましい具体的態様として、軸筒内に、前方側を縮径する段部と、該段部よりも後方側で前方へ向かって拡径する筆記芯支持傾斜面とを備え、前記筆記芯の外周部に、径外方向へ突出する筆記芯支持部を備え、前記筆記芯支持部は、軸筒内周面と、前記段部と、前記筆記芯支持傾斜面との間の空間に設けられることで、前後方向及び軸筒径方向へ微動可能である。
【0017】
第八の特徴としては、より好ましい具体的態様として、前記筆記芯は、鉛芯と該鉛芯を繰出し可能に保持する鉛芯繰出し機構とを有するシャープペンシル用筆記芯であり、繰り出される前記鉛芯を前記ホルダーに挿通するように軸筒内に支持されている。
ここで、前記「シャープペンシル用筆記芯」には、鉛芯をノック操作により繰り出すようにした構成や、鉛芯を回転操作により繰り出すようにした構成、鉛芯を当該筆記具を振る操作により繰り出すようにした構成、周知のシャープペンシル用筆記芯(シャープペンシル用リフィール)の構造を適用することが可能である。さらに、前記「シャープペンシル用筆記芯」には、突出した鉛芯を筆圧により回転させる機構を備えたシャープペンシル用筆記芯や、突出した鉛芯を押しボタン操作等により回転させる機構を備えたシャープペンシル用筆記芯等も含む。
前記構成によれば、鉛芯をホルダーから前方へ突出させた状態で該鉛芯に交差方向の力が加わった場合に、該鉛芯を前進するホルダーによって覆い保護することができる。
【0018】
第九の特徴としては、より好ましい具体的態様として、前記鉛芯繰出し機構は、鉛芯を内在するとともに軸筒内で進退するように保持された芯タンクと、該芯タンクの前端に接続されて鉛芯を挟持するチャックと、該チャックに対し後方側へ外れるように嵌り合うクラッチリングと、前記クラッチリングよりも前方側で鉛芯を弾性的に保持する芯ブレーカと、前記チャック及び前記クラッチリングを進退可能に内在するとともに前記芯ブレーカを進退不能に内在する保持筒と、該保持筒に対し前記芯タンクを後方へ付勢する芯タンク付勢部材とを備え、前記保持筒内に、前記クラッチリングを後方側から受ける後側当接部と前方へ移動した際の同クラッチリングを前方側から受ける前側当接部とを設けた。
【0019】
第十の特徴としては、前記ホルダーを、前記保持筒の前端側に、進退可能に嵌め合せた。
この構成によれば、ホルダーの進退動作を、よりスムーズにすることができる。
【0020】
第十一の特徴としては、前記チャックと前記芯ブレーカとの間に位置するとともに鉛芯を挿通した状態で進退可能なスライド筒と、該スライド筒を前記保持筒に対し後方へ付勢するスライド筒付勢部材とを具備した。
この構成によれば、例えば、チャックと芯ブレーカとの間に折れた鉛芯が詰まるようなことを、これらの間に介在するスライド筒によって防ぐことができる。
【0021】
第十二の特徴としては、軸筒内に、前記筆記芯を前記軸筒に対し前方へ付勢する筆記芯付勢部材を設け、前記筆記芯が、所定の筆圧以上の後方への力により、前記筆記芯付勢部材の付勢力に抗して後退するようにした。
この構成によれば、筆記芯に対し後方への過剰な押圧力が加わると、筆記芯及び進退部材が、筆記芯付勢部材の付勢力に抗して後退する。よって、筆記芯が損傷するようなことを防ぐことができる。
【実施例】
【0022】
次に、上記特徴を有する好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書中、軸筒軸方向とは、軸筒の中心線の延びる方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であって筆記部の先端方向を意味する。また、「後」とは、軸筒軸方向の前記一方側に対する逆方向側を意味する。また、「軸筒径方向」とは、軸筒軸方向に対し直交する方向を意味する。また、「軸筒径外方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味する。「軸筒径内方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心へ近づく方向を意味する。
【0023】
この筆記具1は、図1及び図2に示すように、軸筒10と、該軸筒10の前側開口部11aに挿通されるとともに該軸筒10の前端から前方へ突出したホルダー20と、該ホルダー20に鉛芯31を挿通させて該ホルダー20の前端から前方へ突出させる筆記芯30と、筆記芯30(詳細には筆記芯支持部32g20)に対し後方から当接するとともに軸筒10に対し所定量進退可能な進退部材40と、該進退部材40を軸筒10に対し前方へ付勢する筆記芯付勢部材50とを具備している。
なお、本実施例において、筆記芯30は、鉛芯31を含む複数の部材からなるものであり、鉛芯31のみを示すものではない。
【0024】
軸筒10は、図示例によれば、前側軸筒11の後端側に、螺合や嵌合、接着等の接続手段によって後側軸筒12を接続し固定してなり、前端側を先細り状にした略長尺筒状に形成される。
この軸筒10の他例としては、一本の筒体からなる態様や、筒体の先端側に別体の先口を接続した態様、3本以上の筒体からなる態様等とすることが可能である。
【0025】
この軸筒10の先端側には、ホルダー20を挿通し前方へ突出させるための前側開口部11aが設けられる。この前側開口部11aは、その後側の部分よりも軸筒10内周面を縮径しており、この縮径部分の内側の後端面により、ホルダー付勢部材13の前端を受けている。
この前側開口部11aは、図示例によれば、軸筒軸心と略平行な円筒状の孔の内周面であり、その前端縁の部分には、ホルダー20のカム斜面20aとの摩擦抵抗を軽減するためにR面取り状の凸曲面部11bが設けられる。
【0026】
また、軸筒10内周面において、ホルダー20よりも後側(詳細にはバネ受け部21よりも後側)には、前方側を縮径する環状の段部11cが設けられる。この段部11cは、後述する筆記芯30の突起32g21を前方から受け、筆記芯30全体の前方への移動を規制する。
また、軸筒10内周面において、段部11cよりも後側には、前方側を縮径する環状の段部11nが設けられる。この段部11nは、後述する進退部材40の前端を前方から受けるように当接して、進退部材40の前方への移動を規制する。
【0027】
また、軸筒10の周壁には、軸筒径外方向へ凹むとともに軸筒軸方向へ延設された凹部12aが設けられ、この凹部12aには、進退部材40が所定量進退するように係合されている。
この凹部12aは、図3に示すように、後側軸筒12の周壁の前端側に、該周壁を貫通する平面視矩形状の孔を設け、該孔を含む後側軸筒12の前端側を、前側軸筒11内に挿入することで凹状に形成される。該凹部12aの軸筒軸方向の長さは、進退部材40を所定量進退可能なように適宜に設定される。
【0028】
ホルダー付勢部材13は、図示例によれば、中心側にホルダー20を遊挿した圧縮コイルバネであり、バネ受け部21を介してホルダー20を後方へ付勢している。
なお、このホルダー付勢部材13の他例としては、エラストマー樹脂やゴム等の弾性体を用いた態様や、板バネ等の弾性体を用いた態様、ホルダー付勢部材13をその後方から引っ張る引張バネを用いた態様とすることが可能である。
【0029】
ホルダー20は、軸筒10及び筆記芯30に相対し前進した前進位置と、その前進前の初期位置との間で進退するように、該ホルダー20外周部のカム斜面20aを介して前側開口部11a(詳細には凸曲面部11b)に進退可能に係合している。
そして、ホルダー20は、前記初期位置(図4(a)参照)では、環状のカム斜面20aを軸筒10の前側開口部11aに全周にわたって接触させることで、前側開口部11aに対し軸筒径方向へ移動不能に嵌り合う。また、ホルダー20は、カム斜面20aよりも後側の部分の外形を前側開口部11a内径よりも小さくしているため、前記前進位置(図4(b)参照)では、前記前側開口部11aに対し軸筒径方向へ移動可能な遊びを有する状態で嵌り合う。
また、ホルダー20は、軸筒10内のホルダー付勢部材13によって軸筒後方へ付勢されている。
【0030】
より詳細に説明すれば、このホルダー20は、前側開口部11aを前後方向へ貫通する略円筒状の部材であり、その外周部分に、前側開口部11aの前端縁(詳細には凸曲面部11b)に摺接する環状のカム斜面20aを有する。
このカム斜面20aは、前方へ向かって拡径する円錐面状に形成され、前側開口部11a(詳細には凸曲面部11b)に摺接するように配置されて、ホルダー20に加わる軸筒径外方向の力により該ホルダー20を軸筒10及び筆記芯30に相対し前進させる運動方向変換手段を構成する。
そして、ホルダー20におけるカム斜面20aよりも前側の部分は、図示例によれば縮径される。
【0031】
また、ホルダー20の内部には、カム斜面20aよりも前側で鉛芯31の外周面に摺接可能な鉛芯摺動孔20bと、該鉛芯摺動孔20bよりも後側で拡径されるとともに筆記芯30に摺接可能な筆記芯摺動孔20cとを有する。
【0032】
鉛芯摺動孔20bは、鉛芯31の外周面に接触又は近接するように、鉛芯31の外径よりも若干大きい内径に形成された孔であり、ホルダー20の前端部から後方へ延びて筆記芯摺動孔20c内に連通している。
【0033】
筆記芯摺動孔20cは、筆記芯30の前端側の外周面に接触又は近接するように、筆記芯30前端側の前側保持部32g1の外径よりも若干大きい内径に形成された孔である。
なお、図示例の筆記芯摺動孔20cは、前側保持部32g1の外周面形状に沿って、前方へ縮径する段付き状に形成されるが、この筆記芯摺動孔20cの他例としては、筆記芯30の前端側に摺接して進退するようにすれば、段のない円筒状とすることも可能である。
【0034】
上記構成のホルダー20は、外周のカム斜面20aを介して軸筒10の前側開口部11aに進退可能に係合するとともに、軸筒10内に挿入される。そして、軸筒10内において、ホルダー20の後端側の外周面には、バネ受け部21が嵌合等の接続手段により接続固定されている。
【0035】
バネ受け部21は、ホルダー20の後端側の外径よりも大きい外径を有するとともに軸筒10内周面に対し隙間を有する筒状の部材であり、その前端側の環状段部を、ホルダー付勢部材13の後端に当接させている。このバネ受け部21は、前記隙間により、軸筒軸心に対し若干傾くことが可能である(図5参照)。
なお、このバネ受け部21の他例としては、ホルダー20に対し一体に形成された部位とすることも可能である。すなわち、例えば、ホルダー20の後端側の外周面に突起を設けて、該突起をホルダー付勢部材13の後端に後方から当接させる構成としてもよい。
【0036】
筆記芯30は、鉛芯31と該鉛芯31を繰出し可能に保持する鉛芯繰出し機構32とを有するシャープペンシル用筆記芯であり、繰り出される鉛芯31をホルダー20に挿通するように軸筒10内に配置されている。
この筆記芯30は、軸筒10内で軸筒軸方向及び軸筒径方向へ微動するように柔軟に支持され、この支持構造により、ホルダー20の傾動を容易にしている。
【0037】
鉛芯31は、長尺円柱状の周知のシャープペンシル用鉛芯である。
【0038】
鉛芯繰出し機構32は、鉛芯31を内在するとともに軸筒10内で所定量進退するように保持された芯タンク32aと、該芯タンク32aの前端に接続されて鉛芯31を挟持するチャック32bと、該チャック32bに対し後方側へ外れるように嵌り合うクラッチリング32cと、クラッチリング32cよりも前方側で鉛芯を弾性的に保持する芯ブレーカ32dと、チャック32bと芯ブレーカ32dとの間に位置するとともに鉛芯31を挿通した状態で進退可能なスライド筒32eと、該スライド筒32eを後述する保持筒32gに対し後方へ付勢するスライド筒付勢部材32fと、これらチャック32b、クラッチリング32c、芯ブレーカ32d、スライド筒32e及びスライド筒付勢部材32f等を内在する保持筒32gと、該保持筒32gに対し芯タンク32aを後方へ付勢する芯タンク付勢部材32hとを備える。
【0039】
芯タンク32aは、複数の鉛芯31を収納可能な長尺円筒状に形成され、その後端部を、軸筒10の後端開口部の近くに配置している。この芯タンク32aは、弾性的に撓ることが可能なように合成樹脂材料から成型されている。
この芯タンク32aの後端には、鉛芯31を軸筒10後方から芯タンク32a内へ導く鉛芯導入管32iが接続される。そして、該鉛芯導入管32iの後部側には、鉛芯導入管32iの後端開口部を塞ぐ消しゴム32jと、該消しゴム32jを後方から覆うノックキャップ32kとが、それぞれ着脱可能に接続されている。ノックキャップ32kの後端側は、ノック操作が可能なように軸筒10の後端から後方へ突出している。
【0040】
また、芯タンク32aの前端には、接続部材32mが一体的に接続される。
接続部材32mは、芯タンク32aの前端に固定されて鉛芯31を挿通する略筒状の部材であり、その前端にチャック32b後端側を固定するとともに、前後方向の中央側の鍔部分により芯タンク付勢部材32hの後端を受けている。
なお、他例としては、この接続部材32mを省き、芯タンク32aの前端側に直接的にチャック32b後端側を接続するとともに、芯タンク付勢部材32hの後端を芯タンク32aの前端縁によって直接的に受ける構成とすることも可能である。
【0041】
チャック32bは、弾性的に撓むことが可能な合成樹脂材料又は金属材料から形成され、鉛芯31の周囲に位置するように同芯状に配置された複数(例えば2〜4程度)の爪部を備え、これら爪部を軸筒径内方向へ撓ませることで鉛芯31を後退不能に挟持し、これら爪部を弾性的に復元することで鉛芯31を解放する。
このチャック32bは、前記爪部を含む前端側部分が、保持筒32g内に挿入される。前記爪部の前端側は、その外径部分が後側部分よりも拡径している。
【0042】
クラッチリング32cは、略円筒状の部材であり、後述する保持筒32gの内周面に対し所定量進退するように係合している。
このクラッチリング32cは、チャック32bの複数の爪部に対し後方側から嵌り合って、前記複数の爪部を閉じた状態に保持し、チャック32bと共に前進した際に、保持筒32gに係止されて、前記複数の爪部から後方へ外れる。
なお、前記チャック32b及びクラッチリング32cは、周知構造のものとすることが可能である。
【0043】
芯ブレーカ32dは、合成ゴムやエラストマー樹脂等の弾性体からなる円筒状部材であり、保持筒32gの前端側内部に進退不能に嵌合され、内部に挿通される鉛芯31を弾性的に把持する。
【0044】
スライド筒32eは、外周面の段部によりスライド筒付勢部材32fの後端を受けるとともに、中心部に鉛芯31を遊挿する略円筒状の部材であり、スライド筒付勢部材32fにより後方へ付勢されて、チャック32bの前端に当接している。このスライド筒32eの内径は、鉛芯31の外径よりも若干大きく設定されている。
【0045】
スライド筒付勢部材32fは、鉛芯31の周囲に環状に位置する圧縮コイルバネであり、その前端を保持筒32g内に係止するとともに、後端をスライド筒32eに当接させている。
このスライド筒付勢部材32fの他例としては、エラストマー樹脂やゴムからなる弾性体や、スライド筒32eを後方へ引っ張るようにした引張バネ等とすることも可能である。
【0046】
保持筒32gは、ホルダー20内に進退可能に挿入された前側保持部32g1と、該前側保持部32g1の後端側に一体的に接続された後側保持部32g2とから一体に構成される。
なお、本実施例では、特に生産性の良好な態様として、保持筒32gを前記のように複数部材から構成したが、他例としては、これらを一体の部材から構成することも可能である。
【0047】
前側保持部32g1は、前方側を縮径した段部を有する略筒状に形成され、前端側と後端側の外周面をそれぞれホルダー20の内面に摺接させて、ホルダー20の筆記芯摺動孔20cに挿入されている。
この前側保持部32g1の内部には、上記したチャック32bの前端側、クラッチリング32c、芯ブレーカ32d、スライド筒32e及びスライド筒付勢部材32fが挿入されている。
この前側保持部32g1の内周面には、クラッチリング32cを後方側から受ける後側当接部32g11と、前方へ移動した際の同クラッチリング32cを前側から受ける前側当接部32g12とが設けられる。図示例によれば、後側当接部32g11は、後側保持部32g2の前端部である。また、前側当接部32g12は、前側保持部32g1の前部側を縮径してなる段部である。
【0048】
後側保持部32g2の内部には、その前側に、チャック32bの基端側が固定されるとともに、後側に、接続部材32mの前端側が進退可能に挿入されている。
また、後側保持部32g2の前端部は、前側保持部32g1に接続固定され、後側保持部32g2の後端部は、芯タンク付勢部材32hの前端を受けている。
【0049】
また、後側保持部32g2の後部側の外周部には、径外方向へ突出する筆記芯支持部32g20が設けられる。この筆記芯支持部32g20は、軸筒10内周面と、段部11cと、筆記芯支持傾斜面41との間の空間に設けられることで、前後方向及び軸筒径方向へ微動可能である。
詳細に説明すれば、この筆記芯支持部32g20は、軸筒10内の段部11cに対し後方から当接可能な突起32g21と、該突起32g21よりも後側で進退部材40の筆記芯支持傾斜面41に対し前方から当接可能な当接部32g22とを有する。
【0050】
突起32g21は、筆記芯30を、軸筒10に対し前進不能であって且つホルダー20の前進に伴う傾動により、軸筒径方向へ移動するように、軸筒10に係合している。
詳細に説明すれば、突起32g21は、図2に示すように、後側保持部32g2の外周部に、軸筒周方向に間隔を置いて複数(図示例によれば4つ)設けられる。各突起32g21は、軸筒径外方向へ突出している。軸筒10内周面と各突起32g21との間には、筆記芯30の軸筒径方向への移動を可能にする隙間が確保される。すなわち、複数の突起32g21は、その外径が、軸筒10内径よりも小さく設定されている。
なお、前記複数の突起32g21は、環状やその他の形状の突起に置換することが可能である。
【0051】
また、当接部32g22は、突起32g21よりも後側に、突起32g21と一体に設けられ、後述する進退部材40前端の筆記芯支持傾斜面41に摺接する凸曲状に形成される。
そして、軸筒10内周面の段部11cと、進退部材40前端の筆記芯支持傾斜面41との間の幅は、突起32g21及び当接部32g22を前後方向へ微動可能なように設定される。
【0052】
よって、前記構成によれば、筆記芯支持部32g20(詳細には、複数の突起32g21及び当接部32g22)は、軸筒径方向へ所定量微動可能になり、且つ軸筒軸方向へも所定量微動可能になる。このため、筆記芯30全体は、図5に示すように、これら突起32g21及び当接部32g22を支点にして、その前側の部分を軸筒径方向の一方へ回動させることが可能であり、この回動の際、前記支点の後側の部分は軸筒径方向の反対側へ回動する。
【0053】
また、進退部材40は、その中心側に筆記具1を遊挿する略円筒状の部材である。この進退部材40の前端面の内径寄りには、前方へ向かって略円錐面状に拡径する筆記芯支持傾斜面41が形成される。
この筆記芯支持傾斜面41は、鉛芯繰出し機構32側の当接部32g22に摺接して、ホルダー20及び鉛芯繰出し機構32の傾き運動を容易にする。
【0054】
また、進退部材40の外周面には、筆記芯付勢部材50の前端を受ける段部42が設けられ、該段部42よりも後側に、軸筒10側の凹部12aに対し進退可能に係合する係合突起43が設けられる。段部42は、前側を拡径させる環状の段部である。
係合突起43は、軸筒10側の複数の凹部12aにそれぞれ対応するように、複数(図示例によれば2つ)設けられる。各係合突起43は、図3に示すように、進退部材40の周壁に形成されるU字状の切欠きの内側部分に設けられている。この構成によれば、係合突起43を軸筒径方向へ弾性的に容易に撓ませることができ、ひいては、図3に示すように、進退部材40を後側軸筒12内へ挿入して、係合突起43を凹部12a内に係止する作業を容易にすることができる。
各係合突起43は、凹部12a内で前後方向へ移動可能であり、通常状態では、後述する筆記芯付勢部材50の付勢力により凹部12a内の前端寄りに保持されている。
【0055】
筆記芯付勢部材50は、進退部材40の外周部に環状に装着され、その前端を進退部材40外周の段部42に当接させるとともに、その後端を、後側軸筒12前端である段部12bに当接させて、進退部材40を前方へ付勢している。
この筆記芯付勢部材50の弾発力は、筆記芯30が所定の筆圧以上の後方への力により後退するように、適宜に設定される。
【0056】
なお、筆記具1には、上記した4つの付勢部材が設けられるが、これら付勢部材の付勢力は、小さい順に、スライド筒付勢部材32f、ホルダー付勢部材13、筆記芯付勢部材50、芯タンク付勢部材32hとなっている。
【0057】
次に、上記構成の筆記具1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
先ず、鉛芯31を突出させるには、ノックキャップ32kに対し軸筒10に相対する押圧力が加わると、保持筒32gが筆記芯支持部32g20を段部11cに当接させて前進不能になり、この状態で、芯タンク32aの前進に伴い、チャック32bが鉛芯31を挟持して前進し、鉛芯31の前端側が芯ブレーカ32dによって弾性的に挟持され、さらに、その前進の途中でクラッチリング32cが保持筒32g(詳細には、前側当接部32g12)に係止されて外れ、チャック32bが軸筒径外方向へ開放する。そして、前記押圧力が除去されると、チャック32bが、後退しクラッチリング32cに嵌ることで狭まり、鉛芯31を再度挟持する。これらの動作が、ノック操作により繰り返されて、鉛芯31は前進し、ホルダー20の前端から突出する。
そして、前記チャック32bの前進の際には、図7(a)(b)に示すように、チャック32bに押されて、鉛芯31を覆い保護するスライド筒32eも、スライド筒付勢部材32fの付勢力に抗して前進する。
鉛芯31における芯ブレーカ32dとスライド筒32eの間の部分が、スライド筒32eによって覆い保護されるため、当該筆記具1の落下等によって鉛芯31が折れたり、折れた鉛芯や、残芯となった鉛芯等が、芯ブレーカ32dとチャック32bとの間に詰まったりするようなことも防ぐことができる。
【0058】
また、軸筒10を傾けて被筆記面Pに押し付けた通常の筆記状態においては、図4(a)に示すように、ホルダー20から前方へ突出した筆記芯30の鉛芯31に対し、被筆記面Pから、該鉛芯31に交差する方向(換言すれば、軸筒径方向)の反力(筆圧)を受ける。この際、この反力が通常の筆圧範囲よりも大きい場合には、この反力を受けて、ホルダー20は、該ホルダー20のカム斜面20aを前側開口部11a(詳細には凸曲面部11b)に摺接させて軸筒径外方向へ移動しながら、ホルダー付勢部材13の付勢力に抗して前進する。この前進の際、鉛芯31を含む筆記芯30は、筆記芯支持部32g20を前後方向及び軸筒径方向へ微動可能なため(図1及び図5参照)、ホルダー20及び鉛芯繰出し機構32と共に傾くようにして軸筒径方向へ移動する。
そして、筆記芯30を構成する鉛芯31の前端側が、前進したホルダー20によって覆われて保護される(図4(b)参照)。
【0059】
また、鉛芯31が被筆記面Pから離れて、前記反力が除去されると、ホルダー20が、ホルダー付勢部材13の付勢力によって後退し、初期位置に戻される。
【0060】
なお、ホルダー付勢部材13の付勢力は、鉛芯31に対する通常の交差方向の筆圧ではホルダー20が前進せず、且つ鉛芯31に対する交差方向の筆圧により鉛芯31が折れてしまう前にホルダー20が前進するように適宜に設定されている。
【0061】
また、前記前進時の筆記芯30全体の動きを説明すれば、筆記芯30は、図5に示すように、突起32g21及び当接部32g22を支点にした前側の部分を、軸筒径方向の一方(図5によれば上方)へ回動させながら、その後方側の部分(芯タンク32a等)を軸筒径方向の他方へ回動させる。
そして、芯タンク32aは、後端側の鉛芯導入管32iを軸筒内周面に当接させることで弾性的に撓む。このような筆記芯30全体の回動により、ホルダー20は、傾動するようにして、スムーズに径外方向へ移動しながら前進する。
なお、前記回動の際、ホルダー20から接続部材32mまでの軸筒軸方向の範囲は、略直線状に維持される。このため、前記範囲が曲がって鉛芯31が折れるようなことはない。また、鉛芯31における接続部材32mから後方へ突出する部分は、図5に示すように、接続部材32mよりも内径の大きい芯タンク32a内の空間に位置するため、鉛芯31が芯タンク32a内周面との接触により折れるようなこともない。
【0062】
次に、鉛芯31に対し軸筒軸方向の押圧力を受けた場合の動作について詳細に説明する。
突出した鉛芯31を被筆記面Pに対し垂直に強く押し付ける等して、鉛芯31が後方への押圧力を受けた場合には、図6(a)(b)に示すように、前記押圧力は、先ず、鉛芯31を後退不能に挟持しているチャック32bに加わる。そして、チャック32bに加わった押圧力は、クラッチリング32c及び保持筒32g等を介して進退部材40に伝達し、進退部材40が筆記芯付勢部材50の付勢力に抗して後退する。
したがって、鉛芯31は、図6(b)に示すように、ホルダー20内に没入し、前記押圧力による損傷等から免れる。
【0063】
次に、本発明に係る筆記具における特徴部分の変形例について説明する。なお、以下に示す変形例は、上記筆記具1に対し一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳細に説明し、筆記具1と略同様の部分については、筆記具1と同一の符号を付けて重複する詳細説明を省略する。
【0064】
図8(a)(b)に示す筆記具2は、軸筒10’の前側開口部11a’にカム斜面11a’を設けている。このカム斜面11a’は、ホルダー20’に加わる軸筒径外方向の力により、該ホルダー20’を摺接させ前進させる運動方向変換手段を構成する。
軸筒10’は、上記軸筒10と同様に、単数もしくは複数の筒体から構成され、その前端側の縮径された開口部に、前方へ向かって拡径する環状のカム斜面11a’を有する。
ホルダー20’は、カム斜面11a’を介して軸筒10’前側開口部11a’に進退可能に係合するとともに、軸筒10’内のホルダー付勢部材13によって軸筒後方へ付勢され、ホルダー付勢部材13の付勢力に抗して前進した状態では軸筒径方向へ移動可能である。
すなわち、ホルダー20’は、上記ホルダー20に対し、上記カム斜面20aを軸筒10’前側開口部のカム斜面11a’に置換し、ホルダー20’の外周面に環状突起20a’を設けた構成になっている。環状突起20a’は、カム斜面11a’に摺接するように配置される。
よって、図8(a)(b)に示す筆記具2によれば、上述した筆記具1と略同様に、ホルダー20’から前方へ突出した筆記芯30の鉛芯31に、被筆記面Pから交差方向の反力(筆圧)が加わり、この反力が通常の筆圧範囲よりも大きい場合には、この反力を受けて、ホルダー20’は、該ホルダー20’の環状突起20a’を、軸筒10’の前側開口部11a’のカム斜面11a’に滑らせて軸筒径外方向へ移動しながら前進する。
よって、この筆記具2によっても、ホルダー20’から突出した鉛芯31を、前進するホルダー20’によって覆い保護することができる。
【0065】
なお、上記実施例によれば、ホルダー20(又は20’)が、軸筒径外方向へ移動しながら前進するようにして傾動する際、その後端側で、芯タンク32aが軸筒10との当接により撓むようにしたが(図5参照)、他例としては、接続部材32mに対し芯タンク32aを揺動可能に接続するようにしてもよい。この他例は、例えば、接続部材32mの後端側と芯タンク32aの前端側との一方と他方に、遊びを有する状態で軸筒径方向に嵌り合う凹部と凸部を設ければよい。
【0066】
また、上記実施例によれば、筆記芯30をシャープペンシル用筆記芯(シャープペンシル用リフィールと呼称される場合もある)としたが、他例としては、筆記芯30を、ボールペン用筆記芯(ボールペン用リフィール)や、サインペンの筆記芯、マーカーペンの筆記芯、修正ペンの筆記芯とすることも可能である。
例えば、ニードル状(換言すれば長尺円筒状)のボールペンチップを有するボールペン用筆記芯を上記筆記芯30として用いた場合には、そのボールペンチップの前記ニードル状の部分をホルダー20に挿通し、その前端部をホルダー20(又は20’)前端から前方へ突出させ、軸筒10内では、前記ボールペン用筆記芯を、上記筆記芯30と同様にして傾動可能に支持すればよい。
【0067】
なお、筆記芯30をシャープペンシル用筆記芯以外の筆記芯とした場合、該筆記芯の前端部がホルダー20(又は20’)前端から没入不能に突出した態様と、該筆記芯の前端部がホルダー20(又は20’)前端から出没する態様との双方が可能である。
【0068】
また、上記実施例によれば、カム斜面を軸筒の前端側開口部とホルダーとのうちの一方のみに設けたが、他例としては、双方に設けて、カム斜面同士の摺接によりホルダーが前進する態様とすることも可能である。
【0069】
また、上記実施例によれば、ホルダー20のカム斜面20aを断面直線状の傾斜面としたが、カム斜面の他例としては、断面凸曲面状の傾斜面(図9(a)参照)、断面凹曲面状の傾斜面(図9(b)参照)、断続的な傾斜面(図9(c)参照)等とすることが可能である。
【0070】
また、上記実施例によれば、カム斜面を、ホルダー20の外周面や、軸筒10の前側開口部に設けたが、他例としては、図10に示すように、カム斜面をホルダー20”の後端部に設けた態様とすることも可能である。
図10に示す筆記具3は、ホルダー20”の後端側に、軸筒10”の前端縁に遊嵌する環状の凹部を設け、この凹部内の径外方向側の面を、前方へ向かって縮径するカム斜面21”としている。ホルダー20”の前端側には、鉛芯31を覆うようにしてパイプ状の保護管22”が固定されている。
この筆記具3によれば、上述した実施例と同様に、筆記芯30前端の鉛芯31を介してホルダー20”に交差方向の力が加わると、カム斜面21”が軸筒10”の前端縁で滑って、ホルダー20”及び保護管22”が前進する(図10の二点鎖線参照)。すなわち、カム斜面21”は、該カム斜面21”に加わる軸筒径外方向の力によりホルダー20”を前進させる運動方向変換手段として機能する。
よって、鉛芯31の前端側を前進する保護管22”によって覆い保護することができる。
【0071】
また、上記実施例によれば、筆記芯30の筆記芯支持部32g20と筆記芯付勢部材50の間に進退部材40を介在したが、図11に示す筆記具4のように、進退部材40を省くことも可能である。
図11に示す筆記具4は、上記筆記具1から進退部材40を省き、筆記芯付勢部材50を筆記芯付勢部材50’に置換したものである。
筆記芯付勢部材50’は、前方へ向かって徐々に径を小さくした圧縮コイルスプリングであり、後端が後側軸筒12前端に受けられた状態で、前端を筆記芯支持部32g20に当接させることで、筆記芯30を直接前方へ付勢している。
よって、図11に示す筆記具4によっても、鉛芯31に後方への過剰な押圧力が加わった際に、筆記芯30を筆記芯付勢部材50’の付勢力に抗して後退させて、鉛芯31が折れるのを防ぐことができる。
【0072】
また、上記運動方向変換手段(例えばカム斜面20a等)は、ホルダーに加わる軸筒径外方向の力により該ホルダーを軸筒及び筆記芯に相対し前進させる構成であればよく、この運動方向変換手段の他例としては、図12に示す態様とすることも可能である。
【0073】
図12に示す筆記具5は、上記筆記具1に対し、ホルダー20をホルダー60に置換したものである。
ホルダー60は、軸筒10の前側開口部11aに進退可能に挿通されるとともに該軸筒10の前端から前方へ突出した略先細筒状の部材であり、内部には、筆記芯30の鉛芯31を接触させて挿通している。ホルダー60の後端側は、バネ受け部21に接続される。したがって、ホルダー60は、ホルダー付勢部材13により後方へ付勢される。
このホルダー60は、軸筒10の前側開口部11aに摺接する部分に、軸筒径内方向へ撓み可能な撓み片部61を有する。
撓み片部61は、図13に示すように、ホルダー60の後端側部分に、周方向に間隔を置いて複数設けられる。すなわち、ホルダー60の後端側部分に、周方向に間隔を置いて複数の切欠を形成することで、隣り合う切欠の間に撓み片部61が形成される。各撓み片部61の内周面側には、各撓み片部61を軸筒径内方向へ撓み可能にする空間が確保される。
これら撓み片部61は、例えば、硬質合成樹脂からなるホルダー60の後端側に、軟質合成樹脂材料(例えばエラストマー樹脂等)を二重成型することにより形成すればよい。
【0074】
よって、図12に示す筆記具5によれば、筆記芯30前端の鉛芯31を介してホルダー60に交差方向の力が加わると、ホルダー60後端側の撓み片部61が撓み、該撓み片部61の外周面にカム斜面61a(図12の二点鎖線参照)が形成される。
このため、ホルダー60は、上述した実施例と同様に、前記カム斜面61aを軸筒10の前側開口部11aに滑らせることで、ホルダー付勢部材13の付勢力に抗して前進する。この前進は、撓み片部61に作用する弾性的な復元力によって速やかに行われる。
よって、鉛芯31の前端側を、前進するホルダー60によって覆って保護することができる。
【0075】
なお、上記筆記具5によれば、ホルダー60の後端側を部分的に軟質合成樹脂材料により形成したが、他例としては、ホルダー60全体を撓み可能な合成樹脂材料から形成するとともに、その後端側部分を上記撓み片部61として機能させることも可能である。
【0076】
また、上記筆記具5によれば、ホルダー60の後端側に複数の撓み片部61を設けたが、他例としては、ホルダー60の後端側に軟質合成樹脂材料からなる連続筒状の撓み片部を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1,2,3,4,5:筆記具
10,10’,10”:軸筒
11c:段部
11a:前側開口部
13:ホルダー付勢部材
20,20’,20”,60:ホルダー
20a,11a’,21”,61a:カム斜面(運動方向変換手段)
21:バネ受け部
30:筆記芯
31:鉛芯
32:鉛芯繰出し機構
32a:芯タンク
32b:チャック
32c:クラッチリング
32d:芯ブレーカ
32e:スライド筒
32f:スライド筒付勢部材
32g:保持筒
32g1:前側保持部
32g2:後側保持部
32g12:前側当接部
32g20:筆記芯支持部
32g22:当接部
32h:芯タンク付勢部材
40:進退部材
50:筆記芯付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13