特開2015-147808(P2015-147808A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2015-147808アニオン性治療剤を含む水性眼用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-147808(P2015-147808A)
(43)【公開日】2015年8月20日
(54)【発明の名称】アニオン性治療剤を含む水性眼用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20150724BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150724BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20150724BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20150724BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20150724BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20150724BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150724BHJP
   A61K 31/277 20060101ALI20150724BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20150724BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150724BHJP
【FI】
   A61K45/00
   A61K47/10
   A61K47/04
   A61K47/02
   A61K9/08
   A61P27/02
   A61P43/00 111
   A61K31/277
   A61K47/14
   A61K47/38
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-104162(P2015-104162)
(22)【出願日】2015年5月22日
(62)【分割の表示】特願2012-506147(P2012-506147)の分割
【原出願日】2010年4月14日
(31)【優先権主張番号】61/170,397
(32)【優先日】2009年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】バーグワティ ピー. カブラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD22
4C076DD30
4C076DD38
4C076DD50
4C076EE32
4C076FF12
4C076FF39
4C084AA17
4C084MA17
4C084NA03
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZC201
4C084ZC202
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA11
4C206MA37
4C206NA03
4C206ZA33
4C206ZC20
(57)【要約】
【課題】アニオン性治療剤を含む水性眼用組成物を提供すること
【解決手段】本発明は、複数用量の眼用組成物の提供に関する。上記組成物は、米国薬局方保存効力要件、および類似の保存剤基準(例えば、欧州薬局方および日本薬局方)を満たすために、十分な抗菌活性を有する。上記組成物は、アニオン性薬物を含みかつ所望の特徴(例えば、安定性、保存効力、所望のpH、所望の重量オスモル濃度、これらの組み合わせなど)を示す眼用組成物の形成を可能にする成分のバランスを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願との相互参照)
本願は、米国特許法§119に基づき、2009年3月3日に出願された米国仮特許出願第61/157,010号に対する優先権を主張する。この仮特許出願の全内容は参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、アニオン性治療剤を含みかつ透明性、物理的安定性、保存効力、所望の重量オスモル濃度、所望のpHもしくはこれらの任意の組み合わせを示す水性眼用組成物に関する。より具体的には、本発明は、アニオン性ホスホジエステラーゼ酵素(PDE−4)インヒビター(例えば、シロミラスト)を含みかつ透明性、安定性、保存効力、所望の重量オスモル濃度、所望のpHもしくはこれらの任意の組み合わせを示す、水性眼用液剤に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
本発明は、アニオン性薬物を含む眼用組成物に関する。上記眼用組成物は、米国薬局方(「USP」)および/もしくは他の国における類似のガイドラインの保存効力要件を満たすために十分な抗菌活性を有するように、処方される。保存効力に加えて、上記組成物は、代表的には、1つ以上の他の望ましい属性(例えば、安定性、所望のpH、透明性、所望の重量オスモル濃度、これらの組み合わせなど)を示す。保存および任意の他の所望の属性を達成する能力は、保存効力をなお維持しながら、より大きな張度もしくは重量オスモル濃度上昇剤および/またはより少量の抗菌性保存剤もしくは保存補助物質(preservative aid)を上記組成物中に存在させる処方物成分の特有の組み合わせに基づく。
【0004】
患者によって複数回利用される眼用組成物は、しばしば、「複数用量」の性質があると言及される。このような組成物は、当業者に周知の手順を介して、滅菌条件下で製造され得る。しかし、製品のためのパッケージングが、そこに含まれる上記組成物が、大気および他の潜在的な微生物汚染源(例えば、ヒト患者の手)に曝されるようにいったん開けられると、上記製品の滅菌性は損なわれ得る。
【0005】
微生物汚染のリスクへの複数用量製品の頻繁な、反復した曝露に起因して、このような汚染が起こらないようにするための手段を使用することは必要である。上記使用される手段は、(i)本明細書中で「抗菌性保存剤」といわれる、組成物中の微生物の増殖を妨げる化学的薬剤;もしくは(ii)容器内の薬学的組成物に達する微生物のリスクを防止もしくは低減させるパッケージングシステムであり得る。
【0006】
先行技術の複数用量眼用組成物は、一般に、細菌、真菌および他の微生物の増殖を防止するために、1種以上の抗菌性保存剤を含んだ。このような組成物は、直接的にもしくは間接的に、いずれかで角膜と接触した状態になり得る。上記角膜は、外来の化学的薬剤に特に敏感である。その結果として、角膜に対する有害な影響の可能性を最小限にするために、角膜に対して比較的非毒性である抗菌性保存剤を使用すること、およびこのような保存剤を比較的低濃度で使用することは好ましい。
【0007】
抗菌性保存剤の抗菌効力と、潜在的な毒物学的影響との間の望ましいバランスは、しばしば、達成しがたい。より具体的には、眼用処方物を微生物汚染から妨げるために必要な抗菌剤の濃度は、上記角膜および/もしくは他の眼の組織に対する毒物効果の可能性を作り出し得る。低濃度の上記抗菌性薬剤を使用することは、一般に、このような毒性効果の可能性を低減させる助けになるが、上記低濃度は、生物学的効力(すなわち、抗菌的保存)の必要とされるレベルを達成するためには不十分であり得る。
【0008】
抗菌性保存の不適切なレベルを使用することは、微生物汚染の可能性を作り出し得る。このような汚染は、代表的には、大部分の生物学的システムにとって望ましくなく、特に、ヒトの眼にとっては望ましくない。
【0009】
上記バランスは、アニオン性治療剤を、複数用量の眼用組成物を使用して送達することが望ましい状況においてさらに複雑である。眼用組成物のために一般に使用される保存剤は、しばしば、上記組成物内で、特に、その組成物が水溶液である場合に、正に荷電している。次に、これら薬剤は、しばしば、アニオン性薬物と望ましくない様式で接触し、上記組成物の不安定性、保存効力の欠如、治療効力の欠如、これらの組み合わせなどを生じ得る。
【0010】
これらの望ましくない相互作用に対処しようとする先の試みは、代表的には、上記組成物への界面活性剤の追加を含んだ(特許文献1(これは、全ての目的で本明細書に参考として完全に援用される)を参照のこと)。しかし、眼用組成物への界面活性剤の添加は、しばしば、望ましくない。界面活性剤は、上記組成物へかなりの費用を加算し得る。さらに、一般的規則として、眼用組成物にさらなる成分を添加することはしばしば望ましくなく、ここでそれら成分の添加は、潜在的に回避され得る。
【0011】
従って、アニオン性薬物を含みかつ望ましい属性(例えば、保存効力、安定性、所望のpH、透明性、所望の重量オスモル濃度、これらの組み合わせなど)をなお示す眼用組成物が必要である。さらに、上記組成物において界面活性剤の使用もしくは少なくともより少量の界面活性剤の使用を回避することは、望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,110,493号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
よって、本発明は、水性眼用組成物に関する。上記組成物は、アニオン性治療剤を含む。上記組成物は、好ましくは、少なくとも0.05w/v%であるが、好ましくは、1.5w/v%以下の濃度であるポリオール(例えば、マンニトール)を含む。上記組成物は、好ましくは、少なくとも0.1w/v%であるが、好ましくは、0.5w/v%以下である濃度のボレートを含む。上記組成物は、重量オスモル濃度上昇剤を含む。ここで上記重量オスモル濃度上昇剤は、上記組成物全体の重量オスモル濃度を、上記重量オスモル濃度上昇剤が水で置き換えられることを除いて、上記組成物全体と正確に同じ成分を含むコントロール組成物に対して、少なくとも160mOsm/Kg上昇させる。上記重量オスモル濃度上昇剤は、好ましくは、少なくとも70mmol、およびより代表的には、少なくとも90mmolの濃度で、上記組成物中に存在する。上記重量オスモル濃度上昇剤はまた、代表的には、上記薬物の物理的安定性を増強する。上記組成物の重量オスモル濃度は、好ましくは、240〜360mOsm/kgの範囲にある。
一実施形態において、たとえば、以下の項目が提供される。
(項目1)
水性眼用組成物であって、
アニオン性治療剤;
少なくとも0.05w/v%であるが1.5w/v%以下である濃度のマンニトール;
少なくとも0.1w/v%であるが0.5w/v%以下である濃度のボレート;
重量オスモル濃度上昇剤であって、ここで該重量オスモル濃度上昇剤は、該眼用組成物の重量オスモル濃度を、該重量オスモル濃度上昇剤が水で置き換えられかつ必要であれば、pHが、水酸化ナトリウムもしくは塩化水素を使用することによって、該眼用組成物のものと同じ値にされることを除いて、該眼用組成物と正確に同じ成分を含むコントロール組成物に対して少なくとも160mOsm/Kg上昇させ、ここで該重量オスモル濃度上昇剤は、少なくとも70mmolである濃度で該組成物中に存在し、ここで該重量オスモル濃度上昇剤はまた、該組成物の物理的安定性もしくは透明性を増強する、重量オスモル濃度上昇剤;ならびに
水を含み、ここで該眼用組成物の重量オスモル濃度は、240〜360mOsm/kgの範囲である、水性眼用組成物。
(項目2)
前記アニオン性治療剤は、約5〜約9のpHで負電荷のカルボン酸基を含む、項目1に記載の水性眼用組成物。
(項目3)
前記治療剤は、PDE−4インヒビターである、項目1または2に記載の水性眼用組成物。
(項目4)
前記治療剤は、シロミラストである、項目1、2または3に記載の水性眼用組成物。
(項目5)
前記マンニトールは、少なくとも0.08w/v%であるが、0.12w/v%以下である濃度である、項目1〜4のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目6)
前記重量オスモル濃度上昇剤は、塩化ナトリウム、トロメタミンもしくはこれらの組み合わせである、項目1〜5のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目7)
正に荷電した抗菌剤をさらに含む、項目1〜6のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目8)
前記抗菌剤は、ポリマー性4級アンモニウム化合物である、項目1に記載の水性眼用組成物。
(項目9)
前記抗菌剤は、ポリクオタニウム−1である、項目7または8に記載の水性眼用組成物。
(項目10)
前記正に荷電した抗菌剤は、少なくとも0.0001w/v%であるが0.0012w/v%以下である濃度で前記組成物中に存在する、項目7、8または9に記載の水性眼用組成物。
(項目11)
前記組成物は、欧州薬局方A、欧州薬局方Bもしくはその両方を満たす、項目1〜10のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目12)
前記組成物は、いかなる塩化ベンザルコニウムをも実質的に含まない、項目1〜11のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目13)
前記重量オスモル濃度上昇剤は、塩化ナトリウムである、項目1〜12のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目14)
前記ボレートの濃度は、0.4w/v%以下であり、前記マンニトールの濃度は、0.2w/v%以下である、項目1〜13のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目15)
前記組成物は、いかなる界面活性剤をも実質的に含まない、項目1〜14のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目16)
前記組成物は、いかなる界面活性剤をも全く含まない、項目1〜15のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目17)
前記眼用組成物のpHは、約6〜約8である、項目1〜16のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目18)
前記治療剤の濃度は、少なくとも0.01w/v%でありかつ0.5w/v%以下である、項目1〜17のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目19)
前記治療剤は、シロミラストであり、該治療剤の濃度は、少なくとも0.01w/v%でありかつ0.3w/v%以下である、項目1〜18のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
(項目20)
前記組成物の濁度は、2NTU未満である、項目1〜19のいずれか1項に記載の水性眼用組成物。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、本明細書中に組み込まれかつその一部を構成し、本発明の局面を例示し、説明と一緒に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
図1図1は、0.22w/v% シロミラスト、0.3w/v% ホウ酸、0.1w/v% マンニトール、0.0006w/v%もしくは0.0012w/v% ポリクオタニウム−1の存在下で、種々の量の塩化ナトリウムを含み、水酸化ナトリウムでpHを7.6に調節した眼用組成物の濁度レベルを示すチャートである。
図2図2は、0.7w/v% NaCl、0.3w/v% ホウ酸、0.1w/v% マンニトールの存在下で、種々の量の抗菌剤および種々の量の治療剤を含み、トロメタミンでpHを7.6に調節した眼用組成物の濁度レベルを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、眼用組成物、特に、アニオン性治療剤、ならびにこのような薬剤の送達に特に適した水性ビヒクルを含む水性眼用液剤の提供に基づき予測される。上記眼用組成物は、安定性、透明性、保存効力、所望の重量オスモル濃度、所望のpHもしくはこれらの任意の組み合わせを示す。このような特徴は、水中で、重量オスモル濃度上昇剤、ボレート、ポリオール、保存剤、pH調節剤、および治療剤のうちの3種、4種、5種もしくは全ての注意深くバランスを取った組み合わせを介して、上記液剤内で達成される。
【0016】
別段示されなければ、本発明の眼用組成物の成分に対して提供されるパーセンテージは、重量/体積(w/v)パーセンテージである。
【0017】
上記組成物は、少なくとも1種の、および潜在的には複数のアニオン性治療剤を含む。本明細書で使用される場合、アニオン性治療剤は、酸性基を含みかつ約5〜約9、およびより好ましくは、約6〜約8のpHで、溶液中で負電荷を示す任意の治療剤である。1つの好ましい実施形態において、上記アニオン性治療剤は、負電荷を示すために1個以上のカルボン酸基を含む。適切なアニオン性治療剤の例としては、アニオン性PDE−4インヒビターであるスプロフェン、ジクロフェナク、ケトロラク、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のビヒクルが特に望ましい1つの特に好ましいアニオン性治療剤は、シロミラストである。
【0018】
本発明は、角膜もしくは隣接する眼の組織が刺激される状態、または組成物の頻繁な適用を必要とする状態(例えば、ドライアイ患者の処置において)の処置に関連して、複数用量の眼用組成物の提供に関し得る。本発明の組成物は、人工涙液、眼の潤滑剤、およびドライアイ状態を処置するために使用される他の組成物、ならびに眼の炎症もしくは不快感を含む他の状態の分野で有用であり得る。1つの特定のアニオン性治療剤であるシロミラストは、ドライアイの処置において望ましい効力を示した。従って、本発明の組成物は、特に、本発明の組成物がシロミラストを含む場合、例えば、点眼剤として、ドライアイの処置としてヒトの眼に投与され得る。本発明の組成物はまた、眼のアレルギーを処置するために使用され得る。シロミラスト含有液剤のための本発明のビヒクルの使用は、特に有利である。なぜなら、シロミラストは、溶液中で安定化させるのが特に困難であり得るからである。
【0019】
本発明の組成物は、代表的には、少なくとも約0.001w/v%およびより代表的には、少なくとも約0.01w/v% アニオン性治療剤を含む。上記組成物はまた、代表的には、約1.0w/v%以下、より代表的には、約0.5w/v%以下のアニオン性治療剤を含む。シロミラストが上記組成物中に含まれる場合、シロミラストは、代表的には、上記組成物のうちの少なくとも0.01w/v%およびさらにより代表的には、少なくとも0.05w/v%であり、代表的には、上記組成物のうちの0.4w/v%以下、およびさらにより代表的には、0.3w/v%以下、およびさらにおそらく約0.22w/v%以下である。
【0020】
本発明の組成物はまた、潜在的には、上記1種以上のアニオン性治療剤とともに使用され得る1種以上のさらなる治療剤を含み得る。一般に、そして限定されないが、上記組成物に適したこのようなさらなる治療剤としては、抗緑内障薬剤、抗脈管形成薬剤;抗感染薬剤;抗炎症剤;増殖因子;免疫抑制剤;および抗アレルギー剤が挙げられる。抗緑内障薬剤としては、β遮断薬(例えば、ベタキソロールおよびレボベタキソロール);カルボニックアンヒドラーゼインヒビター(例えば、ドルゾラミド);プロスタグランジン(例えば、トラボプロスト、ビマトプロスト、およびラタノプロスト);セロトニン作動剤;ムスカリン作動剤;ドパミン作働性アゴニストが挙げられる。抗脈管形成薬剤としては、レセプターチロシンキナーゼインヒビターが挙げられる。増殖因子としては、EGFもしくはVEGFが挙げられる。抗アレルギー剤としては、オロパタジン、エメダスチン(emadestine)、セチリジン(cetrizine)、ケトチフェンおよびエピナスチンが挙げられる。抗感染剤としては、モキシフロキサシンおよびガチフロキサシンが挙げられる。
【0021】
上記眼用薬物は、薬学的に受容可能な塩の形態で存在し得る。
【0022】
上記眼用組成物はまた、重量オスモル濃度上昇剤を含む。上記重量オスモル濃度上昇剤は、塩、弱塩基、これらの組み合わせなどから構成され得る。上記重量オスモル濃度上昇剤は、代表的には、少なくとも140mOsm/Kg、より代表的には、少なくとも160mOsm/Kgおよびさらにより代表的には、少なくとも180mOsm/Kgとして、上記眼用組成物の全体的な重量オスモル濃度に寄与する。このような実施形態において、上記眼用組成物は、上記重量オスモル濃度上昇剤が水と置き換えられ、かつ必要であれば、pHが、水酸化ナトリウムもしくは塩化水素を使用することによって上記眼用組成物のものと同じ値にされることを除いて、上記眼用組成物と正確に同じ成分を含むコントロール組成物の重量オスモル濃度より少なくとも140mOsm/Kg、より代表的には、少なくとも160mOsm/Kgおよびさらにより代表的には、少なくとも180mOsm/Kg大きい重量オスモル濃度を、代表的には有する。1つの好ましい実施形態において、上記重量オスモル濃度上昇剤は、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、トロメタミンもしくはこれらの任意の組み合わせから構成される(comprised of)か、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる。非常に好ましい実施形態において、上記重量オスモル濃度上昇剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、トロメタミンもしくはこれらの任意の組み合わせから構成されるか、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる。特に好ましい実施形態において、上記重量オスモル濃度上昇剤は、実質的に完全に(すなわち、少なくとも70重量%)、もしくは完全に塩化ナトリウムである。
【0023】
本発明の組成物は、代表的には、少なくとも約70mmol、より代表的には、少なくとも80mmol、さらにより代表的には、少なくとも約90mmolおよびさらにおそらく少なくとも約110mmolの重量オスモル濃度上昇剤を含む。上記組成物は、代表的には、約250mmol以下およびより代表的には、約200mmol以下、およびさらにより代表的には、約180mmol以下の重量オスモル濃度上昇剤を含む。上記重量オスモル濃度上昇剤が、実質的に完全に(すなわち、少なくとも70重量%)もしくは完全に塩化ナトリウムである場合、上記組成物は、代表的には、少なくとも50mmolおよびさらにより代表的には、少なくとも85mmolの塩化ナトリウム、およびさらにおそらく少なくとも約100mmolの塩化ナトリウムを含む。上記組成物は、代表的には、250mmol以下、およびさらにより代表的には、200mmol以下、およびなおより代表的には、180mmol以下の塩化ナトリウムを含む。
【0024】
本発明の組成物はまた、代表的には、ボレートおよびポリオールを含む。本明細書で使用される場合、用語「ボレート」とは、ホウ酸、ホウ酸の塩、ホウ酸エステル誘導体および他の薬学的に受容可能なホウ酸エステル、またはこれらの組み合わせに言及するものとする。最も適切なのは、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン、および他のこのようなホウ酸塩である。本明細書で使用される場合、用語「ポリオール」は、互いに対してトランス配置にはない2個の隣り合う炭素原子の各々の上に少なくとも1個のヒドロキシル基を有する任意の化合物を含む。上記ポリオールは、得られる錯体が水溶性でありかつ薬学的に受容可能である限りにおいて、直鎖状もしくは環式の、置換もしくは置換されていない、またはこれらの混合物であり得る。このような化合物の例としては、糖、糖アルコール、糖酸およびウロン酸が挙げられる。好ましいポリオールは、糖、糖アルコール、および糖酸であり、これらとしては、マンニトール、グリセリン、キシリトール、ソルビトールおよびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。マンニトールは、本明細書中に含まれる実施例で例示されるように、特に好ましいポリオールである。このように、好ましい実施形態において、上記組成物のポリオールは、完全にもしくは実質的に完全に(すなわち、少なくとも70重量%)マンニトールである。
【0025】
公知であるように、ボレートは、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールおよびマンニトール)と相互作用して、ボレートポリオール錯体を形成する。このような錯体のタイプおよび比率は、互いに対してトランス配置にはない隣り合う炭素原子上のポリオールのOH基の数に依存する。成分であるポリオールおよびボレートの重量/体積%が、錯体の一部であろうとそうでなかろうと、それらの量を含み得ることは理解されるものとする。
【0026】
ポリオールは、上記組成物のうちの代表的には、少なくとも0.005w/v%、より代表的には、少なくとも0.05w/v%、およびさらにおそらく少なくとも0.09w/v%である。ポリオールは、上記組成物のうちの代表的には、2.0w/v%以下、より代表的には、1.0w/v%以下、およびさらにおそらく0.2w/v%以下である。好ましい実施形態において、上記ポリオールは、マンニトールを含むか、または完全にもしくは実質的に完全にマンニトールであり、マンニトールの量は、上記組成物のうちの少なくとも0.03w/v%、より代表的には、少なくとも0.07w/v%、およびさらにおそらく少なくとも0.09w/v%であり、代表的には、上記組成物のうちの1.5w/v%以下、より代表的には、1.0w/v%以下、およびさらにおそらく0.13w/v%以下である。
【0027】
ボレートは、特に、上記ボレートが完全にもしくは実質的に完全にホウ酸である場合、上記組成物のうちの代表的には、少なくとも0.05w/v%、より代表的には、少なくとも0.18w/v%、およびさらにおそらく少なくとも0.27w/v%であり、上記組成物のうちの代表的には、1.0w/v%以下、より代表的には、0.5w/v%以下、さらにより代表的には、0.4w/v%以下、およびさらにおそらく0.35w/v%以下もしくは0.33w/v%である。
【0028】
本発明の組成物は、代表的には、保存剤を含む。潜在的な保存剤としては、過酸化水素、塩素含有保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)などが挙げられるが、これらに限定されない。しかし、好ましい局面によれば、本発明の眼用組成物は、いかなる塩素含有保存剤をも実質的に含まず、特に、塩化ベンザルコニウムを実質的に含まない。上記眼用組成物中に含まれる最も好ましい保存剤は、ポリマー性4級アンモニウム化合物である。
【0029】
本明細書で使用される場合、語句「〜を実質的に含まない」とは、上記眼用組成物の成分に言及する場合、上記眼用液剤が、その特定の成分を完全に欠いているか、またはその特定の成分の名目上の量を含むに過ぎないかのいずれかであり得ることを企図することを意味する。
【0030】
本発明の組成物において有用な上記ポリマー性4級アンモニウム化合物は、抗菌効果を有しかつ眼に受容可能であるものである。このタイプの好ましい化合物は、米国特許第3,931,319号;同第4,027,020号;同第4,407,791号;同第4,525,346号;同第4,836,986号;同第5,037,647号および同第5,300,287号;ならびにPCT出願 WO 91/09523(Dziaboら)に記載されている。最も好ましいポリマーアンモニウム化合物は、2,000〜30,000の間の数平均分子量を有するポリクオタニウム1(さもなければ、POLYQUAD.RTMもしくはONAMERM.RTMとして公知)である。好ましくは、上記数平均分子量は、3,000〜14,000の間である。
【0031】
上記ポリマー性4級アンモニウム化合物は、上記眼用組成物のうちの約0.00001w/v%より多い、より代表的には、約0.0003w/v%より多い、およびさらにおそらく約0.0004w/v%より多いかもしくはさらに0.0007w/v%である量で、本発明の組成物中に一般に使用される。さらには、上記ポリマー性4級アンモニウム化合物は、一般に、上記眼用組成物のうちの約0.01w/v%未満、より代表的には、約0.003w/v%未満、さらにより代表的には、約0.0015w/v%未満、およびさらにおそらく約0.0007w/v%未満である量で、本発明の組成物中に使用される。
【0032】
上記に加えて、本発明の組成物はまた、種々のタイプの薬学的賦形剤(例えば、界面活性剤、粘度改変剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)もしくはこれらの組み合わせ)などを含み得る。しかし、前述のさらなる賦形剤のうちの1種もしくは全てを回避することは、本発明の組成物の望ましい利点であり得る。1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、いかなる界面活性剤をも実質的に含まない(すなわち、0.05w/v%未満、より好ましくは、0.01w/v%未満の界面活性剤を含む)か、またはいかなる界面活性剤をも完全に含まない。
【0033】
有利なことには、本発明の組成物は、複数の望ましい属性のうちの1つもしくは組み合わせを示し得る。上記組成物は、比較的低濃度で、高度の保存効力を達成しながらなお、ポリオール(例えば、マンニトール)、保存剤(例えば、ポリクオタニウム−1)および/もしくはボレート(例えば、ホウ酸)の組み合わせを使用し得る。次に、本発明の組成物は、代表的には、ヒトの眼に滴下した際に、眼と、より大きな生体適合性を示す。さらには、このような比較的低濃度のポリオール、保存剤および/もしくはボレートは、しばしば、上記組成物内でより高い濃度の重量オスモル濃度上昇剤の存在を許容し得、このような重量オスモル濃度上昇剤(特に、塩化ナトリウム)は、アニオン性薬物を含む組成物に対して望ましいおよび/もしくは必要とされる透明性および物理的安定性を提供し得る。特定の実施形態において、これら組み合わせは、別の方法では、類似の組成物に存在し得る濁度を回避し得る。好ましくは、上記組成物の濁度は、3 NTU(ネフェロ分析濁度ユニット)未満、より代表的には、2 NTU未満、およびさらにおそらく1.5 NTU未満である。
【0034】
本発明は、上記組成物が米国局方保存効力要件、ならびに水性薬学的組成物についての他の保存効力基準を満たすことを可能にするために十分な抗菌活性を有する複数用量の眼用組成物の提供に特に関する。
【0035】
米国および他の国/地域における複数用量の眼用液剤についての上記保存効力基準は、以下の表に示される:
【0036】
【表1】

米国薬局方27について上記で同定される基準は、米国薬局方の以前の版に示される要件と実質的に同一である。
【0037】
本発明の組成物は、一般に、滅菌水性液剤として処方される。本発明の組成物はまた、眼および/もしくは上記組成物で処置されるべき他の組織と適合性であるように処方される。眼への直接適用が意図された上記眼用組成物は、眼と適合性のpHおよび張度を有するように処方される。上記組成物が、懸濁物もしくは他のタイプの液剤であり得ることもまた、企図される。
【0038】
上記組成物は、代表的には、4〜9、好ましくは、5.5〜8.5、および最も好ましくは、5.5〜8.0の範囲にあるpHを有する。特に望ましいpH範囲は、6.0〜8.0であり、より具体的には、6.4〜7.8である。シロミラストが上記アニオン性薬物として含まれる場合、そのpHは、好ましくは、6.8〜8.0、より好ましくは、6.8〜7.9、およびさらにより好ましくは、7.2〜7.9の範囲にある。上記組成物は、代表的には、少なくとも200ミリオスモル/キログラム(mOsm/kg)、より代表的には、少なくとも240mOsm/kgおよびさらにより代表的には、少なくとも260mOsm/kgである重量オスモル濃度を有する。上記組成物は、代表的には、380mOsm/kg以下、より代表的には、360mOsm/kg以下、およびさらにより代表的には、330mOsm/kg以下である重量オスモル濃度を有する。
【0039】
出願人は、本開示において全ての引用される参考文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメーターが、範囲、好ましい範囲、もしくは上側の好ましい値と下側の好ましい値のリストのいずれかとして提供される場合、これは、範囲が別個に開示されているか否かに拘わらず、任意の上側の範囲の上限もしくは好ましい値と任意の下側の範囲加減もしくは好ましい値との任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示すると理解されるべきである。数値範囲が本明細書に記載される場合、別段示されなければ、上記範囲は、そのエンドポイント、ならびに上記範囲内の全ての整数および有理数を含むことが意図される。本発明の範囲が、範囲をきていする場合に記載される特定の値に限定されることは、意図されない。
【0040】
本発明の他の実施形態は、本明細書および本明細書中に開示される本発明の実施を考慮すれば、当業者に明らかである。本明細書および実施例は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によって示される本発明の範囲および趣旨とともに、例示に過ぎないとみなされることが意図される。
【0041】
以下の表Aは、本発明の眼用組成物の例示的な好ましい処方物に適した例示的成分およびそれらの成分についての望ましい重量/体積%のリストを提供する。
【表A】
【0042】
表A中の重量/体積%は、それら重量/体積%のうちの±10%、±20%、±30%、±90%だけ変動し得、それら分散が、本発明の成分についての範囲を作り出すために具体的に使用され得ることが理解される。例えば、10%の成分の重量/体積%と分散±20%は、上記成分が、8〜12w/v%の重量/体積%範囲を有し得ることを意味する。
【0043】
以下の実施例は、本発明の選択された実施例をさらに例示するために示される。その実施例に示される処方物は、眼用の薬学的組成物の分野において当業者に周知である手順を使用して調製した。
【実施例】
【0044】
実施例A〜Yの処方物は、本発明の望ましい状況の例示として提供される。上記実施例は、本発明の眼用組成物の抗菌活性および/もしくは保存効力、ならびに他の望ましいその属性を例示する。実施例A〜Yにおける成分のパーセンテージは、重量/体積%である。
【0045】
(実施例A〜D)
表Bは、処方物A〜D、およびそれら処方物に関するデータを提供する。
【表B】
【0046】
上記4つの実施例A〜Dは、本発明の例示的組成物の保存効力を示す。上記実施例は、特に、本発明の組成物において使用される場合、マンニトールの保存効力を示す。認められ得るように、マンニトールを含む上記組成物は、A.Nigerについて欧州薬局方B基準を満たした。
【0047】
(実施例E〜J)
表Cは、組成物E〜J、およびそれら処方物に関するデータを提供する。
【表C】
【0048】
上記6つの実施例E〜Jは、本発明の教示に従う組成物の高度の保存効力を示す。実施例E〜Jの上記組成物は、欧州薬局方B基準を満たす。
【0049】
本発明の図1を参照すると、0.4%(68mmol)以上の濃度の塩化ナトリウムを含む本発明の組成物が、どのように、別の方法ではこのようなシロミラスト含有組成物と関連し得る濁度、曇りを回避するかを示す。図2のグラフは、シロミラストとともに、より低濃度のポリクオタニウム−1の使用が、固定濃度の塩化ナトリウムでのより低い濁度を生じることを示す。
【0050】
(実施例K〜O)
表Dは、組成物K〜O、およびそれら組成物に関するデータを提供する。
【表D】
【0051】
上記5つの実施例K〜Oは、ポリオールがA.Nigerに対する保存を高めるとして本発明において上記ポリオールとして使用される場合、マンニトールが優れていることを示す。
【0052】
(実施例P〜T)
表Eは、組成物P〜T、およびそれら組成物に関するデータを提供する。
【表E】
【0053】
上記5つの実施例P〜Tもまた、ポリオールがA.Nigerに対する保存を高めるとして、本発明において上記ポリオールとして使用される場合に、マンニトールが優れていることを示す。
【0054】
(実施例U〜X)
表Fは、組成物U〜X、およびそれら組成物に関するデータを提供する。これら組成物は、約290mOsm/Kgの重量オスモル濃度を有する。
【表F】
【0055】
上記5つの実施例U〜Xは、本発明の組成物がより低濃度のポリクオタニウム−1で所望の保存効力を示す能力を示す。
【0056】
(実施例Y)
表Gは、組成Yおよびその組成物に関するデータを提供する。
【表G】
【0057】
本発明の組成物は、表Gで示されるように、クエン酸ナトリウム(例えば、クエン酸ナトリウム二水和物)によって提供される重量オスモル濃度から利益を得ることができるが、クエン酸ナトリウムはまた、特定の処方物において保存効力にいくらかの望ましくない影響を有し得る。
【0058】
以下の表Hは、0.3w/v%シロミラストおよび0.001w/v% ポリクオタニウム−1を含む水性組成物の濁度に対する種々の賦形剤の影響を示す。
【表H】
図1
図2
【外国語明細書】
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