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特開2015-152604弾性復元手段の剛性に対する作用による時計のレギュレータの周波数調節
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-152604(P2015-152604A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】弾性復元手段の剛性に対する作用による時計のレギュレータの周波数調節
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/06 20060101AFI20150728BHJP
【FI】
   G04B17/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】41
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-27462(P2015-27462)
(22)【出願日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】14155433.7
(32)【優先日】2014年2月17日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー・エスレ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ・サルチ
(72)【発明者】
【氏名】マルク・シュトランツル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可能な限り精密であるタイムベースを製造する。
【解決手段】共振器機構の周波数をその固有周波数ω0付近に調節するための方法であって、共振器機構は、ヒゲゼンマイ又は捩り針金を有する弾性復元手段40を含む。レギュレータデバイスは、周期的運動によって共振器機構に作用し、固有周波数ω0の整数倍の値の0.9〜1.1倍(整数は2〜10である)である調節周波数ωRによって、弾性復元手段40の剛性の実部及び/又は虚部における周期的変動を制御する。時計ムーブメントは共振器機構を備え、かつ弾性復元手段40の剛性における周期的変動を制御するよう配設されたレギュレータデバイス2を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計用共振器機構(1)の周波数を前記時計用共振器機構(1)の固有周波数(ω0)付近に維持及び調節するための方法であって、
前記機構は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ(4)又は捩り針金(46)又は可撓性案内部材を含む少なくとも1つの弾性復元手段(40)を含み、
周期的運動によって前記共振器機構(1)に作用する少なくとも1つのレギュレータデバイス(2)が実装されるものであり、
前記方法は、前記固有周波数(ω0)の整数倍の値の0.9〜1.1倍(前記整数は2以上10以下である)である調節周波数(ωR)によって、少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の剛性の実部及び/又は虚部における周期的変動を制御することにより、前記周期的運動が周期的な変調を行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記周期的運動は、少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の断面積の変調、及び/又は少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の弾性係数の変調、及び/又は少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の形状の変調、及び/又は少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の取り付け地点における応力の変調を行うことにより、前記共振器機構(1)の共振周波数の周期的変調を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周期的運動は、少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の前記断面積の変調を行うことにより、前記共振器機構(1)の前記共振周波数の周期的変調を行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記周期的運動は、少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の前記弾性係数の変調を行うことにより、前記共振器機構(1)の共振周波数の周期的変調を行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記周期的運動は、少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の前記形状の変調を行うことにより、前記共振器機構(1)の共振周波数の周期的変調を行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記周期的運動は、少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の前記取り付け地点における前記応力の変調を行うことにより、前記共振器機構(1)の共振周波数の周期的変調を行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記ヒゲゼンマイ(4)の外側終端カーブ(17)は、少なくとも1つの第1の取り付け地点(19)において前記ヒゲゼンマイ(4)に固定された追加のコイル(18)により局所的に裏張りされること;並びに
前記外側終端カーブ(17)に関しては前記ヒゲ持ち(5)に対して、また前記追加のコイル(18)に関しては、前記追加のコイル(18)の前記第1の取り付け地点(19)と反対側の端部(18A)に対して前記レギュレータデバイス(2)が作用することにより、前記外側終端カーブ(17)及び前記追加のコイル(18)上に反対方向に捩れが周期的に生成されること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記追加のコイル(18)は、前記外側終端カーブ(17)と同一の可撓性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記追加のコイル(18)は、前記外側終端カーブ(17)より高い剛性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記ヒゲゼンマイ(4)の外側終端カーブ(17)は、少なくとも1つの第1の取り付け地点(19)において前記ヒゲゼンマイ(4)に固定された追加のコイル(18)により局所的に裏張りされること;並びに
前記追加のコイル(18)の前記第1の取り付け地点(19)と反対側の端部(18A)に対して、前記レギュレータデバイス(2)により運動が周期的に生成されること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記追加のコイル(18)は、前記外側終端カーブ(17)と同一の可撓性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記追加のコイル(18)は、前記外側終端カーブ(17)より高い剛性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
アーム(20)は、少なくとも1つの第2の取り付け地点(21)において前記ヒゲゼンマイ(4)の前記外側終端カーブ(17)に固定されること;及び
前記アーム(20)の前記第2の取り付け地点(21)と反対側の端部(22)に対して、前記レギュレータデバイス(2)により運動が周期的に生成されること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記アーム(20)は、前記外側終端カーブ(17)より高い剛性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;及び
前記ヒゲゼンマイ(4)の前記外側終端カーブ(17)近傍に別のコイル(23)が位置決めされ、前記別のコイル(23)は、前記レギュレータデバイス(2)によって操作される支持体(24)によって第1の端部を保持され、前記支持体(24)への前記レギュレータデバイス(2)の作用下において前記外側終端カーブ(17)に周期的に接触するよう配設された第2の端部(25)は自由であること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記ヒゲゼンマイ(4)は、隔離要素(43)によって分離された少なくとも2つの伝導性ストリップ(41;42)で作製されること;並びに
前記レギュレータデバイス(2)は、前記ストリップ(41;42)に電場及び/又は磁場を周期的に印加することによって、前記2つのストリップ(41;42)の間の距離(E1;E2)を修正することにより、前記ヒゲゼンマイ(4)の総断面積及び剛性を修正するために使用されること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記ヒゲゼンマイ(4)は、絶縁要素(43)によって分離された少なくとも2つの伝導性ストリップ(41;42)で作製されること;並びに
前記レギュレータデバイス(2)は、前記2つのストリップ(41;42)を異なる電場及び/又は磁場に周期的に曝露することによって、前記ヒゲゼンマイ(4)を局所的に極性化し、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性を局所的に修正するために使用されること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;及び
周上に磁石(29)を有する回転ホイールセット(28)を備える前記レギュレータデバイス(2)を使用し、前記磁石(29)の磁場は、前記ヒゲゼンマイ(4)の前記外側終端カーブ(17)上に配置された少なくとも1つの磁石(45)と周期的に協働して、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性を周期的に修正すること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;及び
周上にエレクトレットを備える回転ホイールセット(28)を備えるレギュレータデバイス(2)を使用し、前記エレクトレットの電場は、前記ヒゲゼンマイ(4)の前記外側終端カーブ(17)上に配置された少なくとも1つのエレクトレットと周期的に協働して、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性を周期的に修正すること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、ゼンマイ‐テンプ組立体(3)に適用され、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;及び
不均一に磁化された回転ホイールセット(28)を備える前記レギュレータデバイス(2)を使用して、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性を周期的に修正すること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、少なくとも1つの前記捩り針金(46)を含む少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)を備える前記共振器機構(1)に適用されること;及び
少なくとも1つの前記レギュレータデバイス(2)は、前記捩り針金(46)の張力を周期的に変調することにより、前記弾性復元手段(40)の剛性の周期的変動を制御することによって作用するよう作製されること
を特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの前記レギュレータデバイス(2)は、少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の少なくとも1つの要素に電場及び/又は磁場を周期的に印加することによって、前記弾性復元手段(40)の剛性を修正するように作用するよう作製されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記周期的運動は、前記共振器機構(1)が備える前記弾性復元手段の剛性の変調及び前記共振器機構(1)のアンバランスの慣性の変調の両方を行うことにより、前記共振器機構(1)の前記共振周波数の周期的変調を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記周期的運動は、前記共振器機構(1)の剛性の変調及び前記共振器機構(1)の静止点の変調の両方を行うことにより、前記共振器機構(1)の前記共振周波数の周期的変調を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記調節周波数(ωR)は、前記固有周波数(ω0)の2倍であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記共振器機構(1)の剛性の実部の変調の相対振幅は、前記共振器機構(1)の品質係数の逆数の2倍超であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの前記レギュレータデバイス(2)は、電場及び/又は磁場を周期的に印加するように作用するよう作製されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
固有周波数(ω0)で発振するよう考案された少なくとも1つの時計用共振器機構(1)を含む、時計ムーブメント(10)であって、
前記時計用共振器機構(1)は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ(4)又は捩り針金(46)又は可撓性案内部材を含む少なくとも1つの弾性復元手段(40)を備える、時計ムーブメント(10)において、
前記時計ムーブメント(10)は:
前記ムーブメント(10)は、前記共振器(1)の前記固有周波数(ω0)の整数倍の値の0.9〜1.1倍(前記整数は2以上10以下である)である調節周波数(ωR)によって、前記弾性復元手段(40)の剛性における周期的変動を制御するよう配設される、少なくとも1つのレギュレータデバイス(2)を備えること;
前記レギュレータデバイス(2)は、前記共振器機構(1)の少なくとも1つの構成部品に周期的運動を与えることにより、前記構成部品に捩り力若しくは牽引力若しくは圧縮力を印加するよう、及び/又は前記共振器機構(1)の前記構成部品の位置に影響を与える少なくとも1つのツールに周期的運動を与えるよう、配設されること;並びに
少なくとも1つの前記レギュレータデバイス(2)は、少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の断面積の変調、及び/又は少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の弾性係数の変調、及び/又は少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の形状の変調、及び/又は少なくとも1つの前記弾性復元手段(40)の取り付け地点における応力の変調を行うよう配設されること
を特徴とする、時計ムーブメント(10)。
【請求項29】
前記時計用共振器機構(1)は、少なくとも1つのゼンマイ‐テンプ組立体(3)を備え、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記レギュレータデバイス(2)は、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性における周期的変動を制御すること;
前記共振器機構(1)は、少なくとも1つの第1の取り付け地点(19)において前記ヒゲゼンマイ(4)に固定された追加のコイル(18)を備え、前記追加のコイル(18)は前記ヒゲゼンマイ(4)の外側終端カーブ(17)を局所的に裏張りすること;並びに
前記レギュレータデバイス(2)は、前記外側終端カーブ(17)に関しては前記ヒゲ持ち(5)に対して、また前記追加のコイル(18)に関しては、前記追加のコイル(18)の前記第1の取り付け地点(19)と反対側の端部(18A)に対して作用することにより、前記外側終端カーブ(17)及び前記追加のコイル(18)上に反対方向に捩れを周期的に生成すること
を特徴とする、請求項28に記載の時計ムーブメント(10)。
【請求項30】
前記追加のコイル(18)は、前記外側終端カーブ(17)と同一の可撓性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項29に記載のムーブメント(10)。
【請求項31】
前記追加のコイル(18)は、前記外側終端カーブ(17)より高い剛性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項29に記載のムーブメント(10)。
【請求項32】
前記時計用共振器機構(1)は、少なくとも1つのゼンマイ‐テンプ組立体(3)を備え、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記レギュレータデバイス(2)は、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性における周期的変動を制御すること;
前記共振器機構(1)は、少なくとも1つの第1の取り付け地点(19)において前記ヒゲゼンマイ(4)に固定された追加のコイル(18)を備え、前記追加のコイル(18)は前記ヒゲゼンマイ(4)の外側終端カーブ(17)を局所的に裏張りすること;並びに
前記レギュレータデバイス(2)は、前記追加のコイル(18)の前記第1の取り付け地点(19)と反対側の端部(18A)に対して、運動を周期的に生成すること
を特徴とする、請求項28に記載の時計ムーブメント(10)。
【請求項33】
前記追加のコイル(18)は、前記外側終端カーブ(17)と同一の可撓性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項32に記載のムーブメント(10)。
【請求項34】
前記追加のコイル(18)は、前記外側終端カーブ(17)より高い剛性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項32に記載のムーブメント(10)。
【請求項35】
前記時計用共振器機構(1)は、少なくとも1つのゼンマイ‐テンプ組立体(3)を備え、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記レギュレータデバイス(2)は、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性における周期的変動を制御すること;
前記共振器機構(1)は、少なくとも1つの第2の取り付け地点(21)において前記ヒゲゼンマイ(4)の前記外側終端カーブ(17)に固定されたアーム(20)を含むこと;及び
前記レギュレータデバイス(2)は、前記アーム(20)の前記第2の取り付け地点(21)と反対側の端部(22)に対して、運動を周期的に生成すること
を特徴とする、請求項28に記載の時計ムーブメント(10)。
【請求項36】
前記アーム(20)は、前記外側終端カーブ(17)より高い剛性を有するよう選択されることを特徴とする、請求項35に記載のムーブメント(10)。
【請求項37】
前記時計用共振器機構(1)は、少なくとも1つのゼンマイ‐テンプ組立体(3)を備え、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記レギュレータデバイス(2)は、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性における周期的変動を制御すること;
前記共振器機構(1)は、前記ヒゲゼンマイ(4)の前記外側終端カーブ(17)近傍に別のコイル(23)を含み、前記別のコイル(23)は、前記レギュレータデバイス(2)によって操作される支持体(24)によって第1の端部を保持され、前記支持体(24)への前記レギュレータデバイス(2)の作用下において前記外側終端カーブ(17)に周期的に接触するよう配設された第2の端部(25)は自由であること
を特徴とする、請求項28に記載の時計ムーブメント(10)。
【請求項38】
前記時計用共振器機構(1)は、少なくとも1つのゼンマイ‐テンプ組立体(3)を備え、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記レギュレータデバイス(2)は、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性における周期的変動を制御すること;
前記ヒゲゼンマイ(4)は、隔離要素(43)によって分離された少なくとも2つの伝導性ストリップ(41;42)で作製されること;並びに
前記レギュレータデバイス(2)は、前記ストリップ(41;42)に電場及び/又は磁場を周期的に印加することによって、前記2つのストリップ(41;42)の間の距離(E1;E2)を修正することにより、前記ヒゲゼンマイ(4)の総断面積及び剛性を修正するよう配設されること
を特徴とする、請求項28に記載の時計ムーブメント(10)。
【請求項39】
前記時計用共振器機構(1)は、少なくとも1つのゼンマイ‐テンプ組立体(3)を備え、前記ゼンマイ−テンプ組立体(3)のヒゲゼンマイ(4)は前記弾性復元手段(40)を形成し、その第1の外側端部(6)をヒゲ持ち(5)に、第2の内側端部(8)をヒゲ玉(7)に保持されること;
前記レギュレータデバイス(2)は、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性における周期的変動を制御すること;及び
前記レギュレータデバイス(2)は、周上に磁石(29)を有する回転ホイールセット(28)を備え、前記磁石(29)の磁場は、前記ヒゲゼンマイ(4)の前記外側終端カーブ(17)上に配置された少なくとも1つの磁石(45)と周期的に協働して、前記ヒゲゼンマイ(4)の剛性を周期的に修正すること
を特徴とする、請求項28に記載の時計ムーブメント(10)。
【請求項40】
前記レギュレータデバイス(2)の前記調節周波数(ωR)は、前記共振器機構(1)の前記固有周波数(ω0)の2倍であることを特徴とする、請求項28に記載のムーブメント(10)。
【請求項41】
請求項28に記載のムーブメントを少なくとも1つ含む、時計(30)であって、
前記時計は腕時計であることを特徴とする、時計(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用共振器機構の周波数をその固有周波数付近に維持及び調節する方法に関し、上記機構は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ又は捩り針金又は可撓性案内部材を含む弾性復元手段を含み、周期的運動によって上記共振器機構に作用する少なくとも1つのレギュレータデバイスが実装される。
【0002】
本発明はまた、固有周波数で発振するよう考案された少なくとも1つの時計用共振器機構を含む時計ムーブメントにも関し、上記時計用共振器機構は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ又は捩り針金又は可撓性案内部材を備える少なくとも1つの弾性復元手段を含む。
【0003】
本発明はまた、少なくとも1つのこのような時計ムーブメントを含む時計、より具体的には腕時計にも関する。
【0004】
本発明は、機械式腕時計製作におけるタイムベース、特にゼンマイ‐テンプ共振器に基づいたタイムベースの分野に関する。
【背景技術】
【0005】
時計のタイムベースの性能の向上に対する模索は不変の関心事である。機械式腕時計の時間測定性能に対する有意な制約は従来のインパルス脱進機の使用によるものであり、いずれの脱進機の解決策も、このタイプの干渉を回避できない。
【0006】
同一の出願人による特許文献1は、第1の低周波共振器(例えばおよそ数ヘルツ)及び第2の高周波共振器(例えば約1キロヘルツ)を含む結合式共振器を開示している。この発明は、第1の共振器及び第2の共振器が恒久的な機械的結合手段を含み、上記結合により、外部干渉を受けた場合、例えば衝撃を受けた場合に周波数を安定させることを可能とすることを特徴とする。
【0007】
PATEK PHILIPPE SAによる特許文献2は、ヒゲゼンマイによって機械的に維持される発振テンプと、テンプを同期するための固定の部材に磁気結合された振動部材とを含む、時計ムーブメントを調節するための可動組立体を開示している。テンプ及び振動部材は、振動及び同時に発振する同じ単一の、可動要素で形成される。振動部材の振動周波数は、テンプの発振周波数の整数倍である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1843227A1号
【特許文献2】スイス特許第615314A3号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、可能な限り精密であるタイムベースを製造することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、時計用共振器機構の周波数をその固有周波数付近に維持及び調節するための方法に関し、上記機構は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ又は捩り針金又は可撓性案内部材を含む少なくとも1つの弾性復元手段を含み、周期的運動によって上記共振器機構に作用する少なくとも1つのレギュレータデバイスが実装される。本方法は、上記固有周波数の整数倍の値の0.9〜1.1倍(上記整数は2以上10以下である)である調節周波数によって、少なくとも1つの上記弾性復元手段の剛性の実部及び/又は虚部における周期的変動を制御することにより、上記周期的運動が周期的な変調を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の特徴によると、上記周期的運動は、少なくとも1つの上記弾性復元手段の断面積の変調、及び/又は少なくとも1つの上記弾性復元手段の弾性係数の変調、及び/又は少なくとも1つの上記弾性復元手段の形状の変調、及び/又は少なくとも1つの上記弾性復元手段の取り付け地点における応力の変調を行うことにより、上記共振器機構の共振周波数の周期的変調を行う。
【0012】
本発明の特徴によると、上記共振器機構の少なくとも1つの構成部品に対して、又は上記共振器機構の上記構成部品の位置に影響を与えるツールに対して周期的運動を与える、少なくとも1つの上記レギュレータデバイスを実装する。上記周期的運動は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ又は捩り針金又は可撓性案内部材を含む少なくとも1つの弾性復元手段を備える上記共振器機構に対して与えられ、少なくとも1つの上記レギュレータデバイスは、断面積及び/又は弾性係数の及び/又は形状及び/又は取り付け地点における応力を変調することによって上記弾性復元手段の剛性における周期的変動を制御することにより作用するよう作製される。
【0013】
本発明はまた、固有周波数で発振するよう考案された少なくとも1つの時計用共振器機構を含む時計ムーブメントにも関し、上記時計用共振器機構は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ又は捩り針金又は可撓性案内部材を備える少なくとも1つの弾性復元手段を含む。上記時計ムーブメントは:上記ムーブメントが、上記共振器の上記固有周波数の整数倍の値の0.9〜1.1倍(上記整数は2以上10以下である)である調節周波数によって、上記弾性復元手段の剛性における周期的変動を制御するよう配設される、少なくとも1つのレギュレータデバイスを備えること;上記レギュレータデバイスが、上記共振器機構の少なくとも1つの構成部品に周期的運動を与えることにより、上記構成部品に捩り力若しくは牽引力若しくは圧縮力を印加するよう、及び/又は上記共振器機構の上記構成部品の位置に影響を与える少なくとも1つのツールに周期的運動を与えるよう、配設されること;並びに少なくとも1つの上記レギュレータデバイスが、少なくとも1つの上記弾性復元手段の断面積の変調、及び/若しくは少なくとも1つの上記弾性復元手段の弾性係数の変調、及び/若しくは少なくとも1つの上記弾性復元手段の形状の変調、及び/若しくは少なくとも1つの上記弾性復元手段の取り付け地点における応力の変調を行うよう配設されることを特徴とする。
【0014】
本発明はまた、少なくとも1つのこのような時計ムーブメントを含む時計、より具体的には腕時計にも関する。
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことにより、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、長さを変動させることができるよう作製された振り子の概略図である。
図2図2は、互いに対して取り付けられた2つのゼンマイ−テンプを有する音叉の概略図である。
図3図3は、ヒゲゼンマイに固定された、ヒゲゼンマイの外側終端カーブを局所的に裏張りする追加のコイルと、外側終端カーブ及び上記追加のコイルにおいて反対方向の捩れを生成するためのレギュレータデバイスとを有するゼンマイ−テンプ組立体の、ヒゲゼンマイの部分概略図である。
図4図4は、追加のコイル及び上記追加のコイルの一方の端部を作動させるレギュレータデバイスを、図3と同様の様式で示す。
図5図5は、アームが取り付けられたヒゲゼンマイ、及び上記アームの一方の端部を作動させるレギュレータデバイスを示す。
図6図6は、外側終端カーブの近傍に別のコイルを有するヒゲゼンマイを示し、この別のコイルは、レギュレータデバイスによって操作される支持体によって第1の端部を保持され、上記支持体へのレギュレータデバイスの作用下において外側終端カーブに周期的に接触するよう配設された第2の端部は自由である。
図7図7は、隔離要素によって分離された2つの伝導性ストリップを備えるヒゲゼンマイを示す。図7Aは、印加される電場に応じたヒゲゼンマイの断面図を示す。図7Bは、印加される電場に応じた、図7Aとは異なるヒゲゼンマイの断面図を示す。
図8図8は、周上に磁石を有する回転ホイールセットを備えるレギュレータデバイスを示し、上記磁石の磁場は、ヒゲゼンマイの外側終端カーブ上に配置された磁石と周期的に協働する。
図9図9は、捩り針金を保持するヒゲ玉を含むテンプを備える共振器機構を示し、この共振器機構は張力の周期的変動を制御する。
図10図10は、本発明によって調節される共振器機構を有する機械式ムーブメントを含む腕時計のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的は、機械式時計、特に機械式腕時計を可能な限り精密に作製するためのタイムベースを製造することである。
【0018】
上記目的を達成する1つの方法は、直接的に又は脱進機を介して、異なる共振器を連携させることからなる。
【0019】
脱進機機構に関連する不安定性の因子を克服するために、パラメトリック共振器システムにより、脱進機の影響を低減し、これによって腕時計をより精密なものとすることができる。
【0020】
本発明によると、パラメトリック発振器は、発振を維持するために、発振器のパラメータのうちの1つを、調節すべき発振器システムの固有周波数の整数倍の値の0.9〜1.1倍である調節周波数ωRによって変動させることからなる、パラメトリックな作動を利用し、上記整数は2以上10以下である。この調節周波数ωRは好ましくは、固有周波数ω0の整数倍(特に2倍)である。
【0021】
慣例により、そしてこれらを明確に区別するために、「レギュレータ(regulator)」2はここでは発振器を指し、ここでは「共振器(resonator)」1と呼ばれる他方の維持されるシステムの周波数を維持及び調節するために使用される。
【0022】
次元1のパラメトリック共振器のラグランジアンLは:
【0023】
【数1】
【0024】
ここでTは運動エネルギ、Vはポテンシャルエネルギであり、上記共振器の慣性I(t)、剛性k(t)及び静止位置x0(t)は時間の周期関数であり、xは共振器の一般化座標である。
【0025】
強制及び減衰パラメトリック共振器の方程式は、ラグランジアンLに関するラグランジュ方程式によって、強制関数f(t)及び散逸機構を考慮したランジュバンの力(Langevin force):
【0026】
【数2】
【0027】
を加えることにより得られ、ここでxにおける一次導関数の係数は:
【0028】
【数3】
【0029】
であり、β(t)>0は損失を表す項であり、ここでゼロ次項の係数は共振周波数
【0030】
【数4】
【0031】
に依存する。
【0032】
関数f(t)は非強制発振器の場合、値0をとる。
【0033】
この関数f(t)も周期関数であるか、又はディラックのインパルス表現関数である。
【0034】
本発明は、維持用又はレギュレータ発振器の作用によって、調節すべき発振器システムの固有周波数ω0の整数倍の値の0.9〜1.1倍(上記整数は2以上、特に2である)である調節周波数ωRを用いて剛性の実部及び/又は虚部を修正することにより、項β(t)、ω(t)のうちの一方又は他方又は全てを変動させることからなる。
【0035】
特定の実施形態では、調節周波数ωRは、調節すべき発振器システムの固有周波数ω0の整数倍、特に2倍である。
【0036】
ある変形例では、静止位置x0(t)は、調節すべき発振器システムの固有周波数ω0の整数倍の値の0.9〜1.1倍(上記整数は2以上、特に2である)である調節周波数ωRにより、パラメータβ(t)、ω(t)と同時に変動する。
【0037】
好ましくは、全ての項β(t)、ω(t)、x0(t)は、好ましくは調節すべき共振器システムの固有周波数ω0の整数倍(特に2倍)である調節周波数ωRによって変動する。
【0038】
従って一般に、パラメトリック項の変調に加えて、維持又は調節に使用する発振器は、非パラメトリック維持項f(t)を導入し、非パラメトリック維持項f(t)の振幅はパラメトリックレジームが得られたら無視できる(W.B.Case,The pumping of a swing from the standing position,Am.J.Phys.64,215(1996))。
【0039】
変形例では、強制項f(t)は第2の維持機構によって導入され得る。
【0040】
この方程式のパラメータは、周波数項ω及び摩擦損失項βである。発振器品質係数はQ=ω/βで定義される。
【0041】
この現象のより良い理解のために、これを長さが変動する振り子に例えることができる。このような場合、
【0042】
【数5】
【0043】
であり、ここでLは振り子の長さ、gは重力の引力である。
【0044】
この特定の例では、長さLが、周波数2ω及び十分な変調振幅δL(δL/L>2β/ω)によって、時間に関して周期的に変調された場合、システムはシステム自体を減衰させることなく周波数ωで発振する(D.Rugar及びP.Grutter,Mechanical parametric amplification and thermomechanical noise squeezing,PRL67,699(1991);A.H.Nayfeh及びD.T.Mook,Nonlinear Oscillations, Wiley-Interscience,(1977))。
【0045】
この原理は、機械式ゼンマイ‐テンプ共振器(ヒゲゼンマイの一方の端部はテンプと一体であるヒゲ玉に固定され、他方の端部はヒゲ持ちに固定されている)を含む時計又は腕時計において使用できる。
【0046】
このタイプのゼンマイ‐テンプシステムのパラメトリック維持は特に、周期的にヒゲ持ちを可動にすることにより達成できる。
【0047】
発振を維持でき、システムの精度は明らかに向上する。
【0048】
また、励振発振周波数(発振規則性を安定化させる必要があるシステムの周波数の2倍)の選択により、1回の完全な振動にわたる変調を実施すること、及びゼロ又は負減衰を得ることが可能となる。
【0049】
このようなパラメトリック発振器システムの工業化は、2つの必須の機能:エネルギ供給及び計数と関係がある。
【0050】
これらの2つの機能は、図2に示すように、互いに対して取り付けられた2つのゼンマイ‐テンプを有する音叉を用いて、分離してよい。ここで、周波数2ωで発振する一方のゼンマイ‐テンプは脱進機に関連し、周波数ωで発振する他方のゼンマイ‐テンプは計数機能に関連する。
【0051】
周波数項を発振させるのではなく摩擦損失を修正するか、又はアンバランスを用いてテンプの慣性を修正することが好ましい場合がある。
【0052】
効率を最大とするために、維持は有利には、維持される共振器周波数の整数倍の周波数、特に2倍の周波数によって実施される。機械的維持手段は様々な形態をとってよい。
【0053】
本発明は、ヒゲゼンマイの剛性を変動させることからなる。
【0054】
上記周波数の2倍における励起は、矩形波信号又はパルス波信号を用いて達成でき、正弦波による励起は不要である。
【0055】
維持用レギュレータは極めて精密である必要はない:精度のいずれの欠如は振幅の損失のみをもたらし、周波数の変動は伴わない(当然、周波数が非常に変動しやすい場合はこれを回避すべきであり、例外である)。実際、これら2つの発振器、維持するレギュレータ及び維持される共振器は結合されないが、単一方向において一方が他方を維持する。
【0056】
好ましい実施形態では、これら2つの発振器の間に連結用ゼンマイは存在しない。
【0057】
本発明は他の公知の結合式発振器とは異なることは明白である:実際、本発明の実装は2つの発振器間のエネルギの伝達の可逆性を必要とせず、寧ろ可能な限り、一方の共振器から他方の共振器へと単一方向にエネルギを伝達する。
【0058】
より具体的には、本発明は、弾性復元手段の剛性に対する作用による、時計用共振器の周波数調節に関する。
【0059】
従って本発明は、時計用共振器機構1の周波数をその固有周波数ω0付近に調節する方法に関する。この方法は、共振器機構1の少なくとも1つの構成部品に対して、又は共振器機構1の上記構成部品の位置若しくは剛性に影響を与えるツールに対して周期的運動を与える、少なくとも1つのレギュレータデバイス2を実装する。
【0060】
上記周期的運動は、上記固有周波数ω0の整数倍の値の0.9〜1.1倍である(上記整数は2以上10未満である)調節周波数ωRを用いて、少なくとも共振器機構1が備える弾性復元手段の剛性に作用することにより、少なくとも共振器機構1の共振周波数の周期的変調を行う。
【0061】
本発明の特定の実装形態では、周期的運動は、共振器機構1の剛性の変調及び共振器機構1の慣性の変調により、共振器機構1の共振周波数の周期的変調を行う。
【0062】
本発明の特定の実装形態では、周期的運動は、上記共振器機構1が備える弾性復元手段(限定するものではないが特にゼンマイ)の断面積の変調、及び/又は共振器機構1が備える弾性復元手段の弾性係数の変調、及び/又は上記共振器機構1が備える弾性復元手段の形状の変調を行うことにより、共振器機構1の共振周波数の周期的変調を行う。
【0063】
特定の用途において、この周期的運動は、共振器機構1が備える弾性復元手段(特にゼンマイ)の有効長さの変調も行うことによる、共振器機構1の共振周波数の周期的変調も必要とする場合がある。
【0064】
本発明の特定の実装形態では、周期的運動は、共振器機構1の剛性の変調及び共振器機構1の静止点の変調の両方を行うことにより、共振器機構1の共振周波数の周期的変調を行う。
【0065】
図示した特定の用途において、共振器機構1の少なくとも1つの構成部品に対して、又は共振器機構1の上記構成部品の位置に影響を与えるツールに対して周期的運動を与える、少なくとも1つの上記レギュレータデバイス2を実装する。この周期的運動は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ4又は捩り針金46又は特に仮想ピボットを有する可撓性かつ弾性の案内部材(微細機械加工可能な材料用の技術、「MEMS」、「LIGA」等を用いて単一部品として作製された、バタフライ案内部材、若しくは4つのカラー、可撓性ストリップ若しくは交差ストリップのセットを有するRCC案内部材等)を備える少なくとも1つの弾性復元手段40を備える共振器機構1に対して与えられ、少なくとも1つの上記レギュレータデバイス2は、断面積及び/又は弾性係数の及び/又は形状及び/又は取り付け地点における応力を変調することによって弾性復元手段40の剛性の周期的変動を制御することにより作用するよう作製される。
【0066】
形状の変調はここでは、外部応力の影響下での、弾性復元手段の自由形状に対する変形を指し、例えばヒゲゼンマイがその収縮及び延展中に示す、動作時の通常の変形を指すものではない。上記変調は例えば、接触によって、空気力学的摩擦によって、磁力若しくは静電気力由来等の非接触力によって、又はその他の手段によって誘発される変形である。
【0067】
当然のことながら、ここで考察する弾性復元手段40は、共振器機構1の発振周波数を保証するために使用される手段である。
【0068】
本発明の好ましい応用例は腕時計に関し、より具体的には、弾性復元手段40が捩り針金で形成された応用例に関する。
【0069】
本発明によると、本方法は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ4又は捩り針金46又は可撓性案内部材46を含む少なくとも1つの弾性復元手段40を備える共振器機構1に適用され、少なくとも1つのレギュレータデバイス2は、弾性復元手段40の剛性の実部及び/又は虚部における周期的変動を制御することにより作用するよう作製され、上記剛性の実部は共振器機構1の周波数を画定し、上記剛性の虚部は共振器機構1の品質係数を画定する。
【0070】
図3〜8に示す変形例(図が過密になるのを回避するため、テンプは図示されていない)では、本方法をゼンマイ−テンプ組立体3に適用し、このゼンマイ−テンプ組立体3のヒゲゼンマイ4は弾性復元手段40を形成し、その第1の外側端部6をヒゲ持ち5に、第2の内側端部8をヒゲ玉7に保持され、少なくとも1つのレギュレータデバイス2は、ヒゲゼンマイ4の剛性の実部及び/又は虚部の周期的変動を制御することにより作用するよう作製される。
【0071】
図3の変形例では、ヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17は、少なくとも1つの第1の取り付け地点19においてヒゲゼンマイ4に固定された追加のコイル18により局所的に裏張りされ、外側終端カーブ17に関してはヒゲ持ち5に対して、また追加のコイル18に関しては、追加のコイル18の第1の取り付け地点19と反対側の端部18Aに対してレギュレータデバイス2が作用することにより、外側終端カーブ17及び追加のコイル18上に反対方向に捩れが周期的に生成される。この二重の捩れは、ヒゲゼンマイの位置をその平面内で修正することなく、ヒゲゼンマイの剛性を修正できるという利点を有する。
【0072】
図4の変形例では、ヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17は、少なくとも1つの第1の取り付け地点19においてヒゲゼンマイ4に固定された追加のコイル18により局所的に裏張りされ、追加のコイル18の第1の取り付け地点19と反対側の端部18Aに対して、レギュレータデバイス2により運動が周期的に生成される。従ってこれにより、外側終端カーブの剛性及びこれに伴ってヒゲゼンマイの剛性が修正される。レギュレータデバイスを使用してヒゲ持ち5及び端部18Aを移動させることもできる。
【0073】
追加のコイル18に特定の剛性を付与でき、また特に:
−追加のコイル18を、外側終端カーブ17と同一の可撓性を有するよう選択する;又は
−追加のコイル18を、外側終端カーブ17より高い剛性を有するよう選択する。
【0074】
図5の変形例では、アーム20は少なくとも1つの第2の取り付け地点21においてヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17に固定され、アーム20の第2の取り付け地点21と反対側の端部22に対して、レギュレータデバイス2により運動が周期的に生成される。特定の変形例では、アーム20は外側終端カーブ17より高い剛性を有するよう選択される。
【0075】
図6の変形例では、ヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17近傍に別のコイル23が位置決めされ、この別のコイル23は、共振器機構1の静止状態においては弾性復元手段40から完全に独立しており、かつ弾性復元手段40から離間しており、またこの別のコイル23は、レギュレータデバイス2によって操作される支持体24によって第1の端部を保持され、支持体24へのレギュレータデバイス2の作用下において外側終端カーブ17に周期的に接触するよう配設された第2の端部25は自由である。上記別の湾曲したコイル23は、ヒゲゼンマイ4に周期的に接近し、場合によっては接着して、この弾性復元手段の剛性を修正する。
【0076】
図7の変形例では、ヒゲゼンマイ4は、隔離要素43によって分離された2つの伝導性ストリップ41、42で作製され、レギュレータデバイス2は、これら2つのストリップ41、42に場を周期的に印加することによって、これら2つのストリップ41、42の間の距離E1(図7A)又はE2(図7B)を修正することにより、ヒゲゼンマイ4の総断面積及び剛性を修正するために使用される。ある変形例では、これら2つのストリップ41、42には異なる場が周期的に印加される。
【0077】
特に、2つのストリップ41、42は、各ストリップの直近に位置する強磁性の又は磁化された又は静電誘導性の又は帯電している極片(特に磁石又はエレクトレット)に対して与えられる運動により、異なる電磁場及び/又は静電場及び/又は静磁場に曝され、これにより、電力又は磁力又は静電力又は静磁力がこれらストリップの間に生成され、ストリップは互いに向かって又は互いから離間するように移動する。ヒゲゼンマイ4の剛性は、その断面積の変動により修正される。上記運動は好ましくは、上記極片に対して機械的に与えられる。
【0078】
ある変形例では、2つのストリップ41、42は、ヒゲゼンマイ4を局所的に極性化してその剛性を局所的に修正するために、電場又は静電場に曝される。
【0079】
図8の変形例は、周上に磁石29を有する回転ホイールセット28を含むこのタイプのレギュレータデバイス2を使用し、上記磁石29の磁場は、ヒゲゼンマイ4上に配置された少なくとも1つの磁石45(この磁石はヒゲ玉側に配置してよい)と周期的に協働して、ヒゲゼンマイ4の剛性を周期的に修正する。ヒゲゼンマイの予備応力及び計数地点の径方向位置も周期的に修正される。
【0080】
別の変形例は、不均一に磁化された回転ホイールセット28を使用して、磁歪現象によってヒゲゼンマイ4の剛性を周期的に修正する。
【0081】
静電力を利用する変形例は、今度は周上にエレクトレットを備える回転ホイールセット28を備えるこのタイプのレギュレータデバイス2を使用し、上記エレクトレットの電場は、ヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17上に配置された少なくとも1つのエレクトレットと協働して、圧電現象によってヒゲゼンマイ4の剛性を周期的に修正する。
【0082】
更に別の変形例では、温度変化によって剛性を修正する。
【0083】
上述の全ての変形例に有効である本方法の有利な実装形態では、調節周波数ωRは固有周波数ω0の2倍である。
【0084】
本方法の有利な実装形態では、共振器機構1の剛性の実部の変調の相対振幅は、共振器機構1の品質係数の逆数の2倍超である。
【0085】
本発明はまた、固有周波数ω0で発振するよう考案された少なくとも1つの時計用共振器機構1を含む時計ムーブメント10にも関し、この時計用共振器機構1は、少なくとも1つのヒゲゼンマイ4又は捩り針金46又は可撓性案内部材を含む少なくとも1つの弾性復元手段40を備える。本発明によると、このムーブメント10は、共振器1の固有周波数ω0の整数倍の値の0.9〜1.1倍(上記整数は2以上10以下である)である調節周波数ωRによって、弾性復元手段40の剛性の周期的変動を制御する、少なくとも1つのレギュレータデバイス2を備える。
【0086】
図3〜8に示す変形例では、時計用共振器機構1は少なくとも1つのゼンマイ−テンプ組立体3を備え、このゼンマイ−テンプ組立体3のヒゲゼンマイ4は弾性復元手段40を形成し、その第1の外側端部6をヒゲ持ち5に、第2の内側端部8をヒゲ玉7に保持され、レギュレータデバイス2はヒゲゼンマイ4の剛性の周期的変動を制御する。
【0087】
図3の変形例では、ムーブメント10は追加のコイル18を含み、この追加のコイル18は、少なくとも1つの第1の取り付け地点19においてヒゲゼンマイ4に固定され、またヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17を局所的に裏張りする。レギュレータデバイス2は、外側終端カーブ17に関してはヒゲ持ち5に対して、また追加のコイル18に関しては、追加のコイル18の第1の取り付け地点19と反対側の端部18Aに対して作用することにより、外側終端カーブ17及び追加のコイル18上に反対方向に捩れを周期的に生成する。
【0088】
図4の変形例では、ムーブメント10は追加のコイル18を含み、この追加のコイル18は、少なくとも1つの第1の取り付け地点19においてヒゲゼンマイ4に固定され、またヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17を局所的に裏張りする。レギュレータデバイス2は、追加のコイル18の第1の取り付け地点19と反対側の端部18Aに対して、運動を周期的に生成する。
【0089】
追加のコイル18は、外側終端カーブ17と同一の可撓性を有するか、又は外側終端カーブ17より遥かに高い剛性を有する。
【0090】
図5の変形例では、ムーブメント10はアーム20を含み、このアーム20は少なくとも1つの第2の取り付け地点21においてヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17に固定され、レギュレータデバイス2は、アーム20の第2の取り付け地点21と反対側の端部22に対して、運動を周期的に生成する。
【0091】
特定の実施形態では、アーム20は外側終端カーブ17より高い剛性を有する。
【0092】
図6の変形例では、ムーブメント10は、ヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17近傍に別のコイル23を含み、この別のコイル23は、レギュレータデバイス2によって操作される支持体24によって第1の端部を保持され、支持体24へのレギュレータデバイス2の作用下において外側終端カーブ17に周期的に接触するよう配設された第2の端部25は自由である。
【0093】
図7の変形例では、ヒゲゼンマイ4は、隔離要素43によって分離された2つの伝導性ストリップ41、42を含み、レギュレータデバイス2は、これら2つのストリップ41、42を(上述の「場」の定義の広い意味において)電場及び/又は磁場に周期的に曝露することによって、これら2つのストリップ41、42の間の距離E1、E2を修正することにより、ヒゲゼンマイ4の総断面積及び剛性を修正するよう配設される。特にレギュレータデバイス2は、これら2つのストリップ41、42を異なる電場に周期的に曝露するよう配設される。
【0094】
図8の変形例では、レギュレータデバイス2は、周上に磁石29を有する回転ホイールセット28を含み、上記磁石29の磁場は、ヒゲゼンマイ4の外側終端カーブ17上に配置された少なくとも1つの磁石45と周期的に協働して、ヒゲゼンマイ4の剛性を周期的に修正する。
【0095】
図9の変形例では、共振器機構1は、弾性復元手段40を形成する捩り針金46を保持するヒゲ玉7を備える少なくとも1つのテンプ26を含み、レギュレータデバイス2は、捩り針金46の張力における周期的変動を制御する。
【0096】
更に別の変形例では、小型電子モジュールによって起動される圧電層でゼンマイ又はヒゲゼンマイを部分的に又は完全に被覆することによって、ゼンマイ又はヒゲゼンマイの剛性を変動させるために、静電層又は要素を実装してもよい。
【0097】
好ましくは、レギュレータデバイス2の調節周波数ωRは共振器機構1の固有周波数ω0の2倍である。
【0098】
本発明はまた、少なくとも1つのこのような時計ムーブメント10を含む時計、より具体的には腕時計30にも関する。
【符号の説明】
【0099】
1 時計用共振器機構
2 レギュレータデバイス
3 ゼンマイ‐テンプ組立体
4 ヒゲゼンマイ
5 ヒゲ持ち
6 弾性復元手段の第1の外側端部
7 ヒゲ玉
8 弾性復元手段の第2の内側端部
10 時計ムーブメント
17 外側終端カーブ
18 追加のコイル
18A 第1の取り付け地点と反対側の端部
19 追加のコイルの第1の取り付け地点
20 アーム
21 アームの第2の取り付け地点
22 第2の取り付け地点と反対側の端部
23 別のコイル
24 支持体
25 第2の端部
28 回転ホイールセット
29 磁石
30 時計
40 弾性復元手段
41;42 伝導性ストリップ
43 隔離要素
45 磁石
46 捩り針金
E1;E2 2つのストリップの間の距離
ω0 固有周波数
ωR 調節周波数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10