【解決手段】 マスク80の貫通孔82の最小の半径aが、金属ポストの中心CCから下面UFの円周までの距離dより小さい。そのため、金属ポストは上向きで貫通孔を落下しパッド上に立つ。
請求項1の金属ポストの搭載方法であって、前記マスクは前記基板と対向する第2面と前記第2面と反対側の第1面を有し、前記貫通孔は前記第1面に第1開口を有すると共に前記第2面に第2開口を有し、前記第1開口の大きさは前記第2開口の大きさより大きい。
請求項6の金属ポストの搭載方法であって、前記貫通孔の側壁は前記第1面から前記第2面に向かって曲がっている曲線と前記第2面から前記第1面に向かっている垂線で形成されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るプリント配線板10が
図1に示され、その応用例1000が
図2に示されている。
図1や
図2に示されているプリント配線板10や応用例1000は金属ポスト77を有する。金属ポスト77は
図3に示される基板(下基板)101上に形成されている。
基板(下基板)101は、ICチップ等の電子部品90を実装するためのパッド(第1パッド)710Iと、上基板110を搭載するためのパッド(第2パッド)710Pを有する。上基板110にメモリなどの電子部品900が実装される。複数のパッド710Iでパッド群C4(
図4(A)参照)が形成されている。パッド群C4は、基板101の略中央に形成されている。第2パッド710Pは、パッド群C4の周りの外周領域P4(
図4(A)参照)に形成されている。第2パッド上に金属ポスト77が形成されている。金属ポストで上基板と下基板が接続される。
図1に示されているように、金属ポスト77は下面BFと下面と反対側の上面UFを有する。金属ポストの下面はパッド710Pと対向している。
【0010】
図1に示されるように金属ポストの高さ2bは、金属ポスト77の上面UFから下面BFまでの距離である。金属ポスト77の形状として、円柱が好ましい。
図1に示される金属ポスト77の形状は直円柱である。金属ポスト77は、下基板101と上基板110を電気的に接続する。
【0011】
図4(A)は実装面を示している。
図4(A)では、上側のソルダーレジスト層70Fとソルダーレジスト層70Fの開口から露出している第1パッド710Iと第2パッド710Pが示されている。隣接する第2パッド間のピッチp1は0.3mm以下である。隣接するパッドの重心間の距離がピッチである。もしくは、隣接するパッドの中心間の距離がピッチである。
【0012】
ピッチp1が0.3mm以下でも、金属ポスト77により、第1実施形態の下基板(第1のパッケージ基板)101と上基板(第2のパッケージ基板)110との間の距離が確保される。また、隣接するパッド間で絶縁が確保される。
【0013】
第1実施形態の下基板や上基板は、コア基板を有するプリント配線板であってもコアレス基板であっても良い。コア基板を有するプリント配線板やその製造方法は、例えば、JP2007227512Aに示されている。コアレス基板やその製造方法は、例えば、JP2005236244Aに示されている。コアレス基板は、交互に積層されている層間樹脂絶縁層と導体層を有し、全ての層間樹脂絶縁層の厚みが例えば60μm以下である。
【0014】
図3に示されるように、第1実施形態の下基板101は、コア基板30を有する。コア基板30は第1面Fと第1面と反対側の第2面Sとを有する絶縁基板20zと絶縁基板の第1面F上に形成されている第1導体層34Fと絶縁基板の第2面上に形成されている第2導体層34Sを有する。コア基板はさらに、絶縁基板20zに形成されているスルーホール導体用の貫通孔28をめっき膜で充填しているスルーホール導体36を有する。スルーホール導体36は、第1導体層34Fと第2導体層34Sを接続している。コア基板の第1面と絶縁基板の第1面は同じ面であり、コア基板の第2面と絶縁基板の第2面は同じ面である。
【0015】
コア基板30の第1面F上に層間樹脂絶縁層(最上の層間樹脂絶縁層)50Fが形成されている。層間樹脂絶縁層50F上に導体層(最上の導体層)58Fが形成されている。導体層58Fと第1導体層34Fやスルーホール導体は、層間樹脂絶縁層50Fを貫通するビア導体(最上のビア導体)60Fで接続されている。層間樹脂絶縁層50Fと導体層58Fとビア導体60Fで上側のビルドアップ層55Fが形成されている。第1実施形態では、上側のビルドアップ層は1層である。最上の導体層はパッド710I、710Pを有している。パッド710I、710Pは、最上の導体層に含まれる導体回路の上面や最上のビア導体の上面である。
【0016】
コア基板30の第2面Sに層間樹脂絶縁層(最下の層間樹脂絶縁層)50Sが形成されている。層間樹脂絶縁層50S上に導体層(最下の導体層)58Sが形成されている。導体層58Sと第2導体層34Sやスルーホール導体は、層間樹脂絶縁層50Sを貫通するビア導体(最下のビア導体)60Sで接続されている。層間樹脂絶縁層50Sと導体層58Sとビア導体60Sで下側のビルドアップ層55Sが形成されている。第1実施形態では、下側のビルドアップ層は1層である。最下の導体層はマザーボードと接続するためのBGAパッド71SPを有している。パッド71SPは、最下の導体層に含まれる導体回路の上面や最下のビア導体の上面である。
【0017】
上側のビルドアップ層上に上側のソルダーレジスト層70Fが形成され、下側のビルドアップ層上に下側のソルダーレジスト層70Sが形成されている。ソルダーレジスト層70Fは、第1パッド710Iを露出するための開口(第1開口)71Iと、第2パッド710Pを露出するための開口(第2開口)71Pを有する。ソルダーレジスト層70Sは、BGAパッド71SPを露出する開口71Sを有する。第1パッド710IやBGAパッド71SP上に保護膜72が形成される。第2パッド710P上に保護膜72が形成されても良い。保護膜は、Ni/AuやNi/Pd/Au、Pd/Au、OSPである。Pd/Auが落下衝撃に強い。
図1に示されるように第1パッド710IやBGAパッド71SP上に電子部品やマザーボードと接続するための半田バンプやSn膜などの接続部材76F、76Sが形成される。
接続部材76F、76Sは保護膜72上に形成される。接続部材はパッド上に直接形成されても良い。保護膜がOSPの場合、OSP除去後、接続部材はパッド上に直接形成される。接続部材は無くてもよい。
【0018】
図3に示される下基板101は、中間基板とも称される。
図4(A)は、下基板の実装面を示す。
図4(A)のX1−X1間の下基板101の断面が
図3に示される。パッド710P上に金属ポスト77が形成される。
図4(B)に金属ポスト77の上面UFとソルダーレジスト層70Fの上面と、ソルダーレジスト層の開口及び金属ポストから露出するパッド710I、710Pが示される。
図4(B)のX2−X2間のプリント配線板10の断面が
図1に示される。
【0019】
第2パッド710Pの直径2gは55μm〜210μmである。パッドの直径はソルダーレジスト層から露出している部分の導体(導体回路やビア導体)の直径である。金属ポスト77の直径2aは、直径2gより小さい。金属ポストの直径2aとパッドの直径2gの比(2a/2g)は、0.5から0.9であることが好ましい。パッド間のピッチを小さくすることができる。ピッチp1が0.3mm以下でも、下基板101と上基板110との間の接続信頼性が高い。また、金属ポスト間の絶縁信頼性が高い。ピッチp1は、100μm〜300μmである。ピッチp1が100μmより小さいと、金属ポスト間の絶縁信頼性が低下しやすい。また、金属ポストが細くなるので、上基板と下基板間の接続信頼性が低下する。ピッチp1が300μmを越えると、プリント配線板10のサイズが大きくなる。そのため、金属ポストに働く応力が大きくなるので、上基板と下基板間の接続信頼性が低下する。
【0020】
ピッチp1が0.3mm以下の場合、金属ポスト77の高さ(上面UFから下面BFまでの距離)2bは50μm〜150μmである。接合部材16の厚みj1は、15μm〜30μmである。金属ポスト77の上面からパッドの上面までの高さ(金属ポストの高さ+接合部材の厚み)Hは、65μm〜180μmである。
図6(A)に示されるように、金属ポストの高さは上面UFから下面BFまでの距離(長さ)2bと一致する。
【0021】
金属ポストのアスペクト比(高さ2b/径2a)は1より大きいことが好ましい。金属ポストで上基板と下基板間の応力が緩和される。接続信頼性が高くなる。アスペクト比(2b/2a)は、1.5〜3であることが好ましい。上基板と下基板間の応力が緩和される。また、金属ポストが疲労で劣化しない。上基板110と下基板101間の接続信頼性が高くなる。
【0022】
第2パッド710P上に保護膜72を形成することができる。第2パッド上に保護膜が形成されると、接合部材16は保護膜上に形成される。接合部材を第2パッド上に直接形成することができる。保護膜72の例として、Ni/AuやNi/Pd/Au、Sn、OSPなどが挙げられる。保護膜72がOSPの場合、OSPが除去され、第2パッド上に保護膜を介することなく接合部材16が形成される。
【0023】
金属ポストは所定の径を有する金属線を所定長さで切断することで製造される。その他、金属ポストは金属箔などの金属板を打ち抜くことで製造される。金属板の厚みや金型を選定することで、所望の金属ポストが製造される。例えば、パッド上に接合部材が形成され、その接合部材上に金属ポストがマウンターで搭載される。そして、リフローで金属ポストがパッドに接合部材で固定される。金属ポストの表面にめっきやスパッタなどで半田やSnなどの低融点金属からなる金属膜が形成されてもよい。金属ポストの表面に金や錫などの保護膜が形成されても良い。錫が好ましい。低融点金属からなる金属膜は保護膜を介して金属ポスト上に形成されてもよい。低融点金属からなる金属膜で金属ポストが覆われると、金属ポスト上に形成されている低融点金属からなる金属膜で応力が緩和される。金属ポストの信頼性が向上する。金属ポストの表面は金属ポストの上面と下面と側面を含む。金属ポストの下面だけに低融点金属からなる金属膜や保護膜が形成されても良い。例えば、金属ポストがめっきレジストなどの樹脂に埋められ、金属ポストの下面が研磨などで露出される。そして、金属ポストの下面に低融点金属からなる金属膜や保護膜が形成される。このように、接合部材付金属ポストが形成される。接合部材付金属ポストが用いられる場合、リフローや超音波でパッド710Pに直接接合部材付金属ポストが接合されても良い。あるいは、パッド上に形成されている半田やSnなどの接合部材を介して接合部材付金属ポストがリフローや超音波でパッドに接合されても良い。
【0024】
金属ポストはプリント配線板と別に製造される。
金属線や金属箔は銅や銅合金で形成されていることが好ましい。金属ポストは銅や銅合金で形成されていることが好ましい。接合部材はSn/Ag半田やSn/Ag/Cu半田で形成されることが好ましい。
【0025】
第1実施形態のプリント配線板10は、パッド710P上に下基板と別に製造されている金属ポスト77を有する。金属ポストは接合部材16でパッド710Pに固定されている。
第1実施形態では、金属ポストが下基板101と別に作られる。例えば、金属ポストは金属箔や金属線から形成される。そのため、第1実施形態の金属ポストの太さや長さのバラツキは小さい。従って、金属ポストを介して下基板101に上基板を搭載する歩留りが高い。実装しやすい下基板101を提供することができる。金属ポストの太さや長さのバラツキが大きいと、特定の金属ポストに応力が集中しやすいので、接続信頼性が低い。しかしながら、第1実施形態では、金属ポストの太さや長さのバラツキが小さいので、上基板110と下基板101との間の接続信頼性が高い。
【0026】
下基板と別に形成される金属ポストの直径2aはパッド710Pの直径2gより小さい。そのため、ピッチp1が小さくなっても、隣接する金属ポスト間のスペースの距離を大きくすることができる。第1実施形態では、ピッチp1を小さくすることができる。隣接する金属ポスト間のスペースの距離が大きいので、ピッチp1が0.3mm以下でも、金属ポスト間の絶縁信頼性が高い。ピッチp1が0.25mm以下になると、金属ポストが細くなる。接続信頼性を高くするため、金属ポストのアスペクト比(2b/2a)は1.5以上であることが好ましい。パッド710Pの数が多くなると、プリント配線板のサイズが大きくなる。しかしながら、金属ポストのアスペクト比(2b/2a)が2以上であると、上基板の物性と下基板の物性の違いに起因する応力が金属ポストで緩和される。比(2b/2a)が3.5を越えると金属ポストがヒートサイクルで劣化する。物性の例は熱膨張係数やヤング率である。
【0027】
図2に示されるように、下基板101と上基板110は、高い剛性を有する金属ポスト77と金属ポスト77を挟む接合部材16、112で接続される。接合部材は半田が好ましい。接合部材の剛性は金属ポストの剛性より低い。上基板と下基板間の熱応力が接合部材で緩和される。金属ポストで上基板と下基板を有する電子機器の強度が保たれる。
第1実施形態では、金属ポストが金属箔や金属線から形成される。そして、リフローや超音波などで金属ポストがパッド上に搭載される。従って、製造方法が簡略化される。
【0028】
以下にプリント配線板へ金属ポスト77を固定する方法が示される。
図3に中間基板(下基板)101が示される。
図3に示されている中間基板はパッド710Pを有し、そのパッド710Pに金属ポストが搭載される。
図3に示されている中間基板は、例えば、JP2012069926Aに示される方法で製造される。中間基板のソルダーレジスト層70Fの開口71I、71Pにより露出されるパッド710I、710PにOSP(Organic Solderability Preservative)膜72が形成されている。ここで、OSP膜の代わりに、ニッケル−金膜、ニッケル−パラジウム−金膜などの保護膜が形成されてもよい。
【0029】
図3に示される下基板101の第1パッド710Iに第1半田76Fが形成される。第2パッド710Pに第2半田16が形成される(
図5)。第2半田16の融点は第1半田76Fの融点より高い。第1半田と第2半田の融点の差は約20度から約40度である。
図5では、BGAパッド71SPにBGAバンプ76Sが形成されている。BGAバンプ76Sの融点は第1半田の融点より低いことが好ましい。BGAバンプと第1半田の融点の差は約20度から約40度である。金属ポスト搭載後、あるいは、上基板搭載後、BGAバンプは形成されても良い。
【0030】
0.1mmΦの銅線を切断することで金属ポスト77が形成される(
図6(A)参照)。金属ポスト77の直径2aは0.1mmΦであり、半径aは0.05mmであり、高さ2bは0.12mmである。
図6(A)に示されるように、金属ポストは中心CCと上面UF、下面BFを有する。
図6(A)の金属ポストは円柱なので、上面や下面は円柱の底面である。
図6(A)の金属ポストの形状は直円柱である。
図6(A)に示されている金属ポストの高さの半分の位置を通り、かつ、金属ポストの下面に平行な面で金属ポストを切断することで得られる円は中心円MFである。中心円MFは
図6(A)中に点線で示されている。中心円MFの中心が金属ポストの中心CCである。
中心CCと下面BFの中心との間の距離(高さ2bの半分)bは0.06mmである。中心CCと上面UFの中心との間の距離(高さ2bの半分)bは0.06mmである。中心CCと下面BFの円周との間の距離dは(0.06
2+0.05
2)
1/2mmである。
【0031】
貫通孔82を有するマスク80が準備される(
図5)。マスクは第1面FFと第1面と反対側の第2面SSを有するマスク部材800とマスク部材800を貫通する貫通孔82で形成されている。そして、貫通孔82は第1面FFに第1開口82Uを有し、第2面SSに第2開口82Bを有する。マスク部材の形状は板状である。マスク部材は金属または樹脂で形成されている。マスクの第2面SSが下基板の実装面MSFと対向している。
【0032】
マスク80の平面図が
図4(C)に示される。
図4(C)のX3−X3間のマスクの断面が
図5に示される。
マスク80の貫通孔82は、下基板101の第2パッド710Pに対応する位置に形成されている。
図7(B)に貫通孔の断面の拡大図が示されている。貫通孔の第2開口82Bの径は第1開口82Uの径より小さいことが好ましい。
図5や
図7に示される貫通孔の側壁82Wは、第1面から第2面に向かって曲がっている。
図5や
図7に示される貫通孔の側壁は凸状に曲がっている。
図13(B)では、貫通孔の側壁は凹状に曲がっている。
図5や
図7では、側壁は第2面まで曲がっている。しかしながら、
図13(C)に示されるように、側壁は第1面と第2面の途中まで曲がっている曲線と第2面から第1面に向かう直線で形成されても良い。第2面から第1面に向かう直線は第1面に垂直である。直線は垂線である。第1面と第2面の途中まで曲がっている曲線は凸状の曲線である。
【0033】
図6(C)に示されている貫通孔の側壁は直線である。
図6(C)の側壁は第1面に対し斜めである。
図7(C)は開口の平面を示す。第1開口82Uの直径は2eであって、第1開口82Uの半径はeである。第2開口82Bの直径は2cであり、第2開口82Bの半径はcである。第1開口82Uの径2eと第2開口82Bの径2cとの差は、マスクの厚みf1と略等しい。この例では、マスクの厚みf1は0.09mmであり、金属ポスト77の直径2aは0.1mmΦであり、高さ2bは0.12mmであり、第2開口82Bの直径2cは0.11mmΦであり、第1開口82Uの直径2eは、0.2mmΦである。
図5や
図7に示されているマスクの貫通孔の側壁82Wの勾配は、第1面FFから第2面SSに向かって徐徐に大きくなっている。このため、金属ポストが、貫通孔のスロープ(側壁82W)に沿って落下し易い。そのため、金属ポストを全ての第2パッド710P上に搭載することができる。これにより、高い信頼性を有するPOPパッケージを提供するための金属ポストを有するプリント配線板を製造することができる。実施形態によれば、金属ポストの搭載歩留りが高くなる。
【0034】
図6(A)は立っている状態の金属ポスト77の斜視図を示している。
図6(B)は、マスクの部分的な平面図とマスク上の金属ポストを示している。
図6(A)の金属ポストの形状は直円柱である。
図6(B)では、第1開口82Uと第2開口82Bが示されている。また、
図6(B)に示されている金属ポストはマスク上で横を向いている。
図6(B)では、貫通孔上に横になっている金属ポストが位置している。金属ポストの中心CCと下面BFの円周との間の距離dは、下面BFの半径(a)の二乗と金属ポストの高さの半分の値(b)の二乗との和の平方根の値である。同様に、金属ポストの中心CCと上面UFの円周との間の距離dは、上面UFの半径(a)の二乗と金属ポストの高さの半分の値(b)の二乗との和の平方根の値である。つまり、距離dは以下の式を満足している。
d=(a
2+b
2)
1/2
貫通孔の半径の最小値は、距離dより小さい。そのため、マスク上で横向きの金属ポストは貫通孔を通過しない。第2パッド上に横向きの金属ポストが形成されない。
第1実施形態の貫通孔の径は第2開口82Bで最小値を示す。金属ポストの半径aは貫通孔の半径の最小値より小さい。第2開口の半径cは金属ポストの半径aより大きい。貫通孔の半径の最小値は貫通孔の半径の内、最小の値である。
図6(C)や
図7(B)、
図13(C)のマスクでは、貫通孔は第2開口82Bで最小の半径を有する。貫通孔が
図6(D)に示される形状を有すると、貫通孔の最小の半径は径Mineの半分の値である。
【0035】
第1実施形態のマスクの第2開口の半径cが、金属ポストの中心CCから下面BFの円周までの距離dより小さい。そのため、
図6(B)に示されるようにマスク上で横になっている金属ポストが第2開口を通過することができない。従って、金属ポストは横向きで貫通孔を落下しない。第2パッド上で横になっている金属ポストは存在し難い。金属ポストは、立ったまま貫通孔を通過する。そのため、第2パッド710P上に金属ポスト77は立ちやすい。
【0036】
図6(B)に示されるように、第1開口82Uの半径eは、金属ポストの中心から下面BFの円周までの距離dより大きい。このため、たとえ、金属ポストがマスク上を横向きで移動しても、金属ポストの下面が第1開口上に到達すると、貫通孔のスロープに沿って金属ポストの下面が、第1開口82U内に入る。そして、貫通孔の側壁がスロープを有するので、金属ポストが貫通孔のスロープ(側壁82W)に沿って落下する。その時、金属ポストの向きが横向きから上向きに変わる。そして金属ポストは、上向きで第2パッド上に落下する。金属ポストの下面BFが第2パッド上に対向するように、金属ポストが第2パッド上に置かれると、金属ポストは上向きで第2パッド上に立っている。
マスク上に上向きで立っている金属ポストが貫通孔内に入っても良い。この場合、金属ポストの下面BFがマスクの第1面に接するように、金属ポストはマスク上を移動している。
第2パッド上に金属ポストの側面が置かれると金属ポストは第2パッド上で横を向いている。マスクの第1面と金属ポストの側面が接していると、金属ポストはマスク上で横を向いている。
【0037】
図9(A)に示されるように、下基板101とマスク80との間のクリアランスCRは、金属ポスト77の高さ2bよりやや低い。このため、落下後の金属ポストは、マスクの貫通孔により保持される。そのため、落下後、金属ポストは横転しない。マスク80の貫通孔82により、金属ポストは保持されている。その状態で、リフローが行われる。リフロー中に金属ポストが横転しない。
【0038】
第2パッド上に金属ポストを固定する方法が以下に示される。
図7(A)にされるように、マスク80のアライメントマーク88と下基板101のアライメントマーク78を用いて、第2半田16を有する下基板101上にマスク80が位置決めされる。マスク80の各貫通孔82は各第2パッド710P上に位置する。下基板とマスク間にスペーサ89が配置されている。スペーサ89の高さCRは、
図9(A)のクリアランスに対応する。マスク80上に金属ポスト77が多数置かれる。
【0039】
マスク80に振動が与えられる。横向きの金属ポスト77の下面BFが貫通孔82上に移動する(
図7(A))。そして、金属ポストの下面から金属ポストが第1開口を介して貫通孔内に入る。スロープ状の側壁82Wを金属ポストが滑り下りる(
図8(A))。
図8(B)に示されるように、金属ポストの向きが横向きから上向きに変わる。金属ポストの径が貫通孔の径より小さいので、金属ポストの下面は貫通孔を通過する。
図8(C)に示されるように、接合部材16上に上向きで金属ポストは置かれる。マスク80の貫通孔82で金属ポスト77の姿勢が保持される。
【0040】
その状態でリフローが行われる。第2パッド710P上に接合部材16を介して金属ポスト77が固定される(
図9(A))。その後、マスクが除去される。
図1に示されているプリント配線板10が完成する。
金属ポスト形成後、半田バンプ76Fを形成することができる。
図1では、BGAパッド71SP上に半田バンプ76Sが形成されているが、プリント配線板10が半田バンプ76Sを有していなくてもよい。
その後、下基板上に上基板が搭載される。上基板と金属ポストが接合部材で接続される。POP基板が完成する。
【0041】
図2に示される応用例(POP基板)の製造方法が
図10に示される。
半田バンプ76Fを介してICチップなどの電子部品90の電極92がプリント配線板10の半田バンプ76Fに接続される。ICチップ90がプリント配線板10に実装される。その後、プリント配線板10の実装面上にモールド樹脂180が形成される。モールド樹脂で金属ポスト77やICチップなどの電子部品90はモールドされる(
図10(A))。金属ポスト77はモールド樹脂180内に埋まっている。金属ポスト77の上面UF及び上面に繋がっている側壁を露出する開口181がモールド樹脂180に形成される(
図10(B))。金属ポストの側面は部分的に露出される。開口181はレーザで形成される。上基板110が半田112を介して金属ポスト77に接合される。上基板がプリント配線板10に搭載される(
図2)。POP(Package on Package)基板が完成する。POP基板はBGAパッド71SP上の半田バンプ76Sを有していなくてもよい。
【0042】
上基板と金属ポストを繋ぐ半田などの接合部材で開口181が充填される。金属ポストの上面と側壁の一部を介して半田と金属ポストが接合される。両者間の接合強度が高くなる。金属ポストを介する接続信頼性が高くなる。
図10(A)、(B)に示されるように、モールド樹脂の上面180Tは金属ポストの上面UFより上に位置している。なお、開口181から露出する金属ポストの上面と側壁の一部に保護膜を形成することができる。保護膜は、例えば、ニッケル/金膜やニッケル/パラジウム/金膜である。
【0043】
図11は、マスクの別例を示す。
図11(A)では、貫通孔の形状が円柱である。直円柱が好ましい。この場合、貫通孔の直径2c2(半径c2)は第1面FF第2面SSまで一定である。貫通孔の半径c2が、
図6中に示される距離dより小さい。
【0044】
図11(B)では、貫通孔の形状は、円錐台である。
図11(B)では、第1開口82Uの径が貫通孔の最小の径と一致する。第1開口82Uの半径c3が、距離dより小さい。
【0045】
図9(B)、(C)と
図12は、改変例に係る金属ポストの搭載方法を示す。
図9(B)に示される改変例では、第2パッド710P上にSnやSn/Ag/Cu等の接合部材16が形成されている。さらに、接合部材上にフラックス18が形成されている。この改変例では、金属ポストと第2パッド間の接続信頼性を高くすることができる。
【0046】
図9(C)に示される改変例では、第2パッド710P上にSnやSn/Ag/Cuなどの接合部材16がめっきで形成されている。更に、めっきで形成されている接合部材上にフラックス18が形成されている。この改変例では、金属ポストと第2パッド間の接続信頼性を高くすることができる。
【0047】
[第1実施形態の改変例]
以下に金属ポストを搭載する別例が示される。
図12(A)に示される第1基板1003が準備される。
図12(A)に示される第1基板は、第1パッド710I上に半田バンプ76Fを有する。
図12(D)に第1実施形態の改変例に係る金属ポスト77が示されている。金属ポストの表面に低融点金属で形成されている金属膜178が形成されている。金属ポストは金属膜178で覆われている。金属膜178の厚みは、3μm〜10μmである。金属膜は、SnやSn/Ag/Cuなどで形成されている。金属膜はめっきで形成することができる。金属膜178は錫が好ましい。
【0048】
第1実施形態と同様に、第1基板1003上にマスク80が配置される。その後、マスク80上に金属ポスト77が多数置かれる(
図12(B))。第1実施形態と同様に、マスクに振動が与えられる。
図12(C)に示されるように、第2パッド710P上に金属ポストが置かれる。半田バンプ上に金属ポストが置かれると、半田バンプの表面形状は曲面なので、半田バンプ上に形成される金属ポストは傾きやすい。それに対し、第1実施形態の改変例では、第1基板が第2パッド上に半田バンプを有していない。そのため、第1実施形態の改変例では、平坦な第2パッド上に金属ポストが置かれる。そのため、金属ポストは直立しやすい。そして、第2パッド上の金属ポストは、その後、その姿勢を維持しやすい。
【0049】
第1実施形態と同様に、リフローやマスク除去などが行われる。第1実施形態の改変例では、金属ポスト上に形成されている金属膜178で金属ポストと第2パッドは接合される。金属膜から接合部材が形成される。
図1に示されるプリント配線板10が完成する。
【0050】
図13(A)に示される改変例では、金属ポスト77の下面BFにSn、Sn/Ag/Cu等の接合部材が形成されていて、第2パッド上に接合部材が形成されていない。
図13(A)に示される金属ポストは接合部材付金属ポストである。第1実施形態と同様にリフローやマスク除去が行われる。プリント配線板10が完成する。
【0051】
[参考例]
図14(A)は参考例に係る金属ポストの搭載方法を示す。
図14(B)は参考例の金属ポストの斜視図を示す。参考例の金属ポストの形状は直円柱である。
図14(C)は金属ポストの大きさと貫通孔の大きさの関係を示している。参考例の貫通孔の形状は直円柱である。
図14(C)に示されるように、参考例では、距離dは、参考例のマスクの貫通孔282の半径c4より小さい。従って、参考例によれば、
図14(A)に示されように第2パッド上に横向きの金属ポストが形成される。その結果、上基板と下基板間で接続不良が発生する。