特開2015-197320(P2015-197320A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-197320(P2015-197320A)
(43)【公開日】2015年11月9日
(54)【発明の名称】欠陥検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20151013BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20151013BHJP
【FI】
   G01N21/88 H
   G01N21/956 A
   G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-74098(P2014-74098)
(22)【出願日】2014年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】本田 敏文
(72)【発明者】
【氏名】浦野 雄太
(72)【発明者】
【氏名】松本 俊一
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛渡
(72)【発明者】
【氏名】大谷 祐子
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB02
2G051BA05
2G051BA06
2G051BA10
2G051BA11
2G051BB01
2G051BB03
2G051BB05
2G051BB09
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CA08
2G051CB05
2G051CC07
2G051CC11
2G051DA07
2G051DA08
2G051EA16
2G051EA19
2G051EA24
2G051EC05
(57)【要約】
【課題】
微小な欠陥からの散乱光を、背景散乱光の影響を小さくして欠陥からの散乱光を顕在化させることにより確実に検出できるようにする。
【解決手段】
偏光状態と強度分布とを調整したレーザを傾斜した方向から試料に照射し、散乱光を集光して複数の検出器で検出し、検出した信号を処理して試料の表面の欠陥を抽出し、この抽出した欠陥の情報を出力する欠陥検査方法において、散乱光を検出することを、試料で発生した散乱光を集光レンズで集光し、この集光された散乱光の偏光の方向を調整し、偏光の方向に応じて分離して複数の検出器で検出することにより行い、欠陥を抽出することを、複数の検出器からの出力信号に対して、散乱光の偏光の方向ごとに分離されたそれぞれの散乱光の検出信号にゲインをかけて処理してノイズと欠陥を判別して欠陥を検出することにより行うようにした。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部から発射されたレーザの偏光状態と強度分布とを調整して一方向に長くそれに直交する方向に短い光に成形して試料の表面に該試料の表面の法線方向に対して傾斜した方向から照射し、
該レーザが照射された前記試料で発生した散乱光を集光して複数の検出器で検出し、
該複数の検出器で検出して得た信号を処理して前記試料の表面の欠陥を抽出し、
該抽出した欠陥の情報を出力する
欠陥検査方法であって、
前記散乱光を集光して複数の検出器で検出することを、前記レーザが照射された前記試料で発生した散乱光を集光レンズで集光し、該集光レンズで集光された前記散乱光の偏光の方向を調整し、該偏光の方向が調整された前記散乱光を偏光の方向に応じて分離し、該偏光の方向ごとに分離されたそれぞれの散乱光を前記複数の検出器で検出することにより行い、
前記検出して得た信号を処理して前記試料の表面の欠陥を抽出することを、前記散乱光を検出した前記複数の検出器からの出力信号に対して、前記散乱光の偏光の方向ごとに分離されたそれぞれの散乱光の検出信号にゲインをかけて調整された信号を処理してノイズと欠陥を判別して欠陥を検出することにより行う
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
請求項1記載の欠陥検査方法であって、前記分離されたそれぞれの散乱光の検出信号の信号光量、または散乱光の検出信号の変動を算出し、該算出した信号量又は検出信号の変動に基づいて前記ゲインを決定することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の欠陥検査方法であって、前記散乱光を検出することを、前記試料の表面に照射されるレーザの照射方向に対して異なる複数の方位角方向で検出することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の欠陥検査方法であって、前記集光レンズで集光された前記散乱光の偏光の方向を調整することを、領域毎に進相軸の方向が異なる波長板を用いて調整することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の欠陥検査方法であって、前記散乱光を検出することが、前記一方向に長くそれに直交する方向に短く成形したレーザが照射される前記試料上の領域に対して、前記一方向に長い方向に直交する方向に散乱した光を前記直交する方向の両側でそれぞれ検出することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項6】
レーザを発射する光源部と、
該光源部から発射したレーザの偏光状態と強度分布とを調整して一方向に長くそれに直交する方向に短い光に成形して試料の表面に該試料の表面の法線方向に対して傾斜した方向から照射するレーザ照射部と、
該レーザ照射部によりレーザが照射された前記試料で発生した散乱光を集光して検出する散乱光検出部と、
該散乱光検出部の複数の検出器で検出して得た信号を処理して前記試料の表面の欠陥を抽出する欠陥信号処理部と、
該欠陥信号処理部で抽出した欠陥の情報を出力する出力部と
を備えた欠陥検査装置であって、
前記散乱光検出部は、前記レーザが照射された前記試料で発生した散乱光を集光する集光レンズと、該集光レンズで集光された前記散乱光の偏光の方向を調整する偏光調整部と、該偏光調整部で偏光の方向が調整された前記散乱光を偏光の方向に応じて分離する偏光分離部と、該偏光分離部で偏光の方向ごとに分離されたそれぞれの散乱光を検出する複数の検出器とを有し、
前記欠陥信号処理部は、前記散乱光を検出した前記散乱光検出部の複数の検出器からの出力信号に対してゲインを設定するゲイン設定部と、該ゲイン設定部で設定されたゲインで調整された前記複数の検出器からの出力信号を処理してノイズと欠陥を判別して欠陥を検出する欠陥判定部とを有する
ことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項7】
請求項6記載の欠陥検査装置であって、前記ゲイン設定部は、前記偏光分離部で分離されたそれぞれの散乱光を検出した前記散乱光検出部の複数の検出器の検出信号量、または複数の検出器の散乱光の検出信号の変動を算出し、該算出した信号量又は検出信号の変動に基づいて前記ゲインを決定することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の欠陥検査装置であって、前記散乱光検出部は、前記レーザ照射部で前記試料の表面に照射されるレーザの照射方向に対して異なる方位角方向に複数配置されていることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の欠陥検査装置であって、前記偏光調整部は、領域毎に進相軸の方向が異なる波長板を有し、該波長板を用いて前記集光レンズで集光された前記散乱光の偏光の方向を調整することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項10】
請求項6乃至9の何れかに記載の欠陥検査装置であって、前記散乱光検出部は、前記レーザ照射部により一方向に長くそれに直交する方向に短く成形したレーザが照射される前記試料上の領域を、前記一方向に長い方向に直交する方向に対向して1対配置されていることを特徴とする欠陥検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試料表面に存在する微小な欠陥を検査し、欠陥の位置、種類および寸法を判定して出力する欠陥検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板や薄膜基板等の製造ラインにおいて、製品の歩留りを維持・向上するために、半導体基板や薄膜基板等の表面に存在する欠陥の検査が行われている。欠陥検査の従来技術としては特開2010−190722号公報(特許文献1)が知られている。
【0003】
特許文献1では、「検出光路を偏光分岐して少なくとも1つ以上の光路にてアレイ状の空間フィルタを配置し、正常パターンからの回折光や散乱光をフィルタリングする」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−190722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体等の製造工程で用いられる欠陥検査には、微小な欠陥を検出すること、検出した欠陥の寸法を高精度に計測すること、試料を非破壊で(例えば試料を変質させること無く)検査すること、同一の試料を検査した場合に例えば検出欠陥の個数、位置、寸法、欠陥種に関して実質的に一定の検査結果が得られること、一定時間内に多数の試料を検査することなどが求められる。
【0006】
前記特許文献1に述べられた技術では、特に、例えば寸法20nm以下の微小な欠陥については、欠陥から発生する散乱光が極めて微弱となるため、背景散乱光との弁別が困難になる。微小な欠陥を検出する際には、照明偏光として直線偏光照明を斜入射することで試料からの背景散乱光に対して相対的に強い強度で欠陥散乱光を検出できる。ここで試料からの背景散乱光や欠陥からの散乱光の偏光方向は、散乱光の放出方向により変化することが一般的である。すなわち、偏光分岐を行い、欠陥散乱光をできる限り多く検出することは困難である。
【0007】
また、空間フィルタは特定の周期を背景パターンがもつ場合には有効であるが、背景パターンのもつ空間周波数が広く分布している場合には、空間フィルタで遮光する領域が広くなり、欠陥散乱光の検出を阻害するという課題があった。
【0008】
すなわち、欠陥サイズの微小化は、検査試料面からの反射光、散乱光による相対的な欠陥信号の強度低下を引き起こし、欠陥の検出を困難にしている。従来の技術では、偏光検出を行うことによりこの課題に対応しているものがあったが、原理的に欠陥信号と試料面からの背景光とを分離することができなかった。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、試料からの背景散乱光に埋もれてしまうような微小な欠陥からの散乱光を、背景散乱光の影響を小さくして欠陥からの散乱光を顕在化させることにより確実に検出できるようにする欠陥検査装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明では、光源部から発射されたレーザの偏光状態と強度分布とを調整して一方向に長くそれに直交する方向に短い光に成形して試料の表面に該試料の表面の法線方向に対して傾斜した方向から照射し、レーザが照射された試料で発生した散乱光を集光して複数の検出器で検出し、複数の検出器で検出して得た信号を処理して試料の表面の欠陥を抽出し、この抽出した欠陥の情報を出力する欠陥検査方法において、散乱光を集光して複数の検出器で検出することを、レーザが照射された試料で発生した散乱光を集光レンズで集光し、この集光レンズで集光された散乱光の偏光の方向を調整し、この偏光の方向が調整された散乱光を偏光の方向に応じて分離し、偏光の方向ごとに分離されたそれぞれの散乱光を複数の検出器で検出することにより行い、検出して得た信号を処理して試料の表面の欠陥を抽出することを、散乱光を検出した複数の検出器からの出力信号に対して、散乱光の偏光の方向ごとに分離されたそれぞれの散乱光の検出信号にゲインをかけて調整された信号を処理してノイズと欠陥を判別して欠陥を検出することにより行うようにした。
【0011】
また、上記課題を解決するために本発明では、欠陥検査装置を、レーザを発射する光源部と、この光源部から発射したレーザの偏光状態と強度分布とを調整して一方向に長くそれに直交する方向に短い光に成形して試料の表面にこの試料の表面の法線方向に対して傾斜した方向から照射するレーザ照射部と、このレーザ照射部によりレーザが照射された試料で発生した散乱光を集光して検出する散乱光検出部と、この散乱光検出部の複数の検出器で検出して得た信号を処理して試料の表面の欠陥を抽出する欠陥信号処理部と、この欠陥信号処理部で抽出した欠陥の情報を出力する出力部とを備えて構成し、散乱光検出部は、レーザが照射された試料で発生した散乱光を集光する集光レンズと、この集光レンズで集光された散乱光の偏光の方向を調整する偏光調整部と、偏光調整部で偏光の方向が調整された散乱光を偏光の方向に応じて分離する偏光分離部と、この偏光分離部で偏光の方向ごとに分離されたそれぞれの散乱光を検出する複数の検出器とを有し、
欠陥信号処理部は、散乱光を検出した散乱光検出部の複数の検出器からの出力信号に対してゲインを設定するゲイン設定部と、このゲイン設定部で設定されたゲインで調整された複数の検出器からの出力信号を処理してノイズと欠陥を判別して欠陥を検出する欠陥判定部とを有して構成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、試料全面を短時間で走査し、試料に熱ダメージを低減しつつ微小な欠陥を検出すること、検出欠陥の寸法を高精度に算出すること、および安定した検査結果を出力することが可能か欠陥検査装置および検査方法を提供することができる。
【0013】
上記以外の課題、構成、および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の全体概略構成を示すブロック図である。
図1B】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置のアッテネータの構成を示すブロック図である。
図1C】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置のビームモニタの構成を示すブロック図である。
図2A】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の照明部により実現される試料表面の照明強度分布形状を示す照明部のブロック図である。
図2B】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の照明部により実現される試料表面の照明強度分布形状を術減する照明部の回折光学素子の側面図である。
図3】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の照明部の構成を示す図で、照明強度分布形状がガウス分布を形成する照明部のブロック図である。
図4】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の照明部の構成を示す図で、照明強度分布形状が第1種第1次のベッセル関数またはsinc関数に類似した分布を形成する照明部のブロック図である。
図5】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の照明部の構成を示す図で、照明強度分布制御部に解説光学素子を採用した構成の照明部のブロック図である。
図6】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の照明部により実現される照明強度分布形状を示す試料の平面図である。
図7A】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の照明部により実現される回転ステージで駆動して試料上をらせん状に照明するときの試料上の照射領域の軌跡を示す試料の平面図である。
図7B】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の照明部により実現される2軸の併進ステージを用いて試料上を直線に沿って照明するときの試料上の照射領域の軌跡を示す試料の平面図である。
図8】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の複数の検出部で構成された検出部を示すブロック図である。
図9】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の低角度検出部が検出する方位角と天頂角における散乱光の分布を示す分布図である。
図10A】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の低角度検出部の平面的な配置を示す低角度検出部の平面図である。
図10B】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置における回転角制御方法を示す図で、試料面からの偏光方向とそれに直行する偏光方向に分離する場合の試料からの散乱光の偏光方向と1/2波長板の進相軸、偏光制御されたのちの偏光方向を示す図である。
図11A】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置における欠陥信号のSN比のシミュレーション結果を示すグラフで、前方散乱光検出系で検出した偏光角度に対するSN比の分布を示すグラフである。
図11B】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置における欠陥信号のSN比のシミュレーション結果を示すグラフで、速報散乱光検出系で検出した偏光角度に対するSN比の分布を示すグラフである。
図12】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置の低角度検出部を簡易な構成にした場合の平面的な配置を示す低角度検出部の平面図である。
図13A】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置における欠陥判定方式を説明する検出信号を多次元空間にプロットした状態を示すグラフである。
図13B】本発明の実施例1に係る欠陥検査装置における欠陥判定方式を実行するための手段の構成を示すブロック図である。
図14】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の低角度検出部が検出する方位角と天頂角における散乱光の分布を示す分布図である。
図15A】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の低角度検出部の瞳面に入射する散乱光の偏光の分布を示す偏光分布図である。
図15B】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の低角度検出部の瞳面に入射する散乱光の偏光を制御する1/2波長板の偏光状態を示す1/2波長板の平面図である。
図15C】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の低角度検出部の瞳面に入射する球状欠陥からの散乱光の偏光の分布を示す偏光分布図である。
図15D】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の低角度検出部の瞳面に入射する球状欠陥からの散乱光の偏光を制御する1/2波長板の偏光状態を示す1/2波長板の平面図である。
図16A】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の検出部の構成を示すブロック図である。
図16B】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の検出部に用いる1/2波長板の構成を示す1/2波長板の平面図である。
図17A】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の検出部の簡易版の構成を示すブロック図である。
図17B】本発明の実施例1の変形例1に係る欠陥検査装置の検出部の簡易版の構成において用いるアパーチャの平面図である。
図18】本発明の実施例1の変形例2に係る欠陥検査装置の低角度検出部が検出する方位角と天頂角における散乱光の分布を示す分布図である。
図19】本発明の実施例1の変形例2に係る欠陥検査装置の低角度検出部に用いる5分割した偏光板の平面図である。
図20】本発明の実施例1の変形例2に係る欠陥検査装置の低角度検出部に用いる別の構成の5分割した偏光板の平面図である。
図21】本発明の実施例2に係る欠陥検査装置の検出部の構成を示すブロック図である。
図22】本発明の実施例2に係る欠陥検査装置の検出部に用いる1/2波長板の構成を示す1/2波長板の平面図である。
図23】本発明の実施例2に係る欠陥検査装置の検出部に用いる1/2波長板の別な構成を示す1/2波長板の平面図である。
図24】本発明の実施例2に係る欠陥検査装置の検出部に用いる分割波長板の別な構成を示す分割波長板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1Aは本実施例における欠陥検査装置の概略構成を示すブロック図の例である。本実施例における欠陥検査装置は、照明部101、検出部102、試料Wを載置可能なステージ103、信号処理部105、制御部53、表示部54、入力部55、を有する。照明部101はレーザ光源2、アッテネータ3、出射光調整部4、ビームエキスパンダ5、偏光制御部6、照明強度分布制御部7を適宜備える。
【0017】
上記した構成を備えた欠陥検査装置において、レーザ光源2から射出されたレーザ光ビームは、アッテネータ3で所望のビーム強度に調整され、出射光調整部4で所望のビーム位置、ビーム進行方向に調整され、ビームエキスパンダ5で所望のビーム径に調整され、偏光制御部6で所望の偏光状態に調整され、照明強度分布制御部7で所望の強度分布に調整され、試料Wの検査対象領域に照射される。
【0018】
照明部101の光路中に配置された出射光調整部4の反射ミラー401、402の位置と角度により試料Wの表面に対する照明光の入射角が決められる。照明光の入射角は微小な欠陥の検出に適した角度に設定される。
【0019】
照明入射角が大きいほど、すなわち照明仰角(試料Wの表面と照明光軸との成す角)が小さいほど、試料表面上の微小異物からの散乱光に対してノイズとなる試料表面の微小凹凸からの散乱光(ヘイズと呼ばれる)が弱まるため、微小な欠陥の検出に適する。このため、試料Wの表面の微小凹凸からの散乱光が微小欠陥検出の妨げとなる場合には、照明光の入射角は好ましくは75度以上(照明仰角15度以下)に設定するのがよい。
【0020】
一方、斜入射照明において照明入射角が小さいほど微小異物からの散乱光の絶対量が大きくなるため、欠陥からの散乱光量の不足が微小欠陥検出の妨げとなる場合には、照明光の入射角は好ましくは60度以上75度以下(照明仰角15度以上30度以下)に設定するのがよい。
【0021】
また、斜入射照明を行う場合、照明部101の偏光制御部6における偏光制御により、照明の偏光をP偏光とすることで、その他の偏光と比べて試料Wの表面上の欠陥からの散乱光が増加する。また、試料Wの表面の微小凹凸からの散乱光が微小欠陥検出の妨げとなる場合には、照明の偏光をS偏光とすることで、その他の偏光と比べて試料Wの表面の微小凹凸からの散乱光が減少する。
【0022】
また、必要に応じて、図1Aに示すように、照明部101の光路中にミラー21を挿入し、適宜他のミラー211,212を配置することにより、照明光路が変更され、試料Wの表面に対して実質的に垂直な方向から照明光が照射される(垂直照明)。このとき、試料面上の照明強度分布は照明強度分布制御部7vにより、斜入射照明と同様に制御される。ミラー21と同じ位置にビームスプリッタを挿入することで、斜入射照明と試料Wの表面の凹み状の欠陥(研磨キズや結晶材料における結晶欠陥)からの散乱光を得るには、試料Wの表面に実質的に垂直に入射する垂直照明が適する。なお、図1Aに示す照明強度分布モニタ24については後に詳説する。
【0023】
ミラー21が照明部101の光路中から外れた位置に待機した状態では、高原2から発射されたレーザはミラー213で反射されて照明強度分布制御部7、照明強度分布モニタ24を透過したのち、ミラー214で反射されて、試料Wの表面に斜め方向(試料Wの表面の法線方向に対して傾いた方向)から入射して、試料Wの表面を照明する。なお、試料Wに照明光を照射するときには、照明強度分布モニタ24のミラー243は、照明光の光路から退避している。
【0024】
レーザ光源2としては、試料Wの表面近傍の微小な欠陥を検出するには、試料Wの内部に浸透しづらい波長として、短波長(波長355nm以下)の紫外または真空紫外のレーザビームを発振し、かつ出力2W以上の高出力のものが用いられる。出射ビーム径は1mm程度である。試料Wの内部の欠陥を検出するには、試料Wの内部に浸透しやすい波長として、可視あるいは赤外のレーザビームを発振するものが用いられる。
【0025】
アッテネータ3は、図1Bに示すように、第一の偏光板301と、照明光の光軸周りに回転可能な1/2波長板302と、第二の偏光板303を適宜備える。アッテネータ3に入射した光は、第一の偏光板301により直線偏光に変換され、1/2波長板302の遅相軸方位角に応じて偏光方向が任意の方向に回転され、第二の偏光板303を通過する。1/2波長板302の方位角を制御することで、光強度が任意の比率で減光される。
【0026】
アッテネータ3に入射する光の直線偏光度が十分高い場合は第一の偏光板301は必ずしも必要ない。アッテネータ3は入力信号と減光率との関係が事前に較正されたものを用いる。アッテネータ3として、グラデーション濃度分布を持つNDフィルタを用いることも、互いに異なる複数の濃度のNDフィルタを切替えて使用することも可能である。
【0027】
出射光調整部4は複数枚の反射ミラー401,402を備える。ここでは二枚の反射ミラーで構成した場合の実施例を説明するが、これに限られるものではなく、三枚以上の反射ミラーを適宜用いても構わない。ここで、三次元の直交座標系(XYZ座標)を仮に定義し、反射ミラーへの入射光が+X方向に進行しているものと仮定する。第一の反射ミラー401は入射光を+Y方向に偏向するよう設置され(XY面内での入射・反射)、第二の反射ミラー402は第一の反射ミラー401で反射した光を+Z方向に偏向するよう設置される(YZ面内での入射・反射)。各々の反射ミラー401,402は平行移動とあおり角調整により、出射調整部4から出射する光の位置、進行方向(角度)が調整される。
【0028】
前記のように、第一の反射ミラー401の入射・反射面(XY面)と第二の反射ミラー402の入射・反射面(YZ面)が直交するような配置とすることで、出射調整部4から出射する光(+Z方向に進行)のXZ面内の位置、角度調整と、YZ面内の位置、角度調整とを独立に行うことができる。
【0029】
ビームエキスパンダ5は二群以上のレンズ群を有し、入射する平行光束の直径を拡大する機能を持つ。例えば、凹レンズ501と凸レンズ502の組合せを備えるガリレオ型のビームエキスパンダが用いられる。ビームエキスパンダ5は二軸以上の並進ステージに設置され、所定のビーム位置と中心が一致するように位置調整が可能である。また、ビームエキスパンダ5の光軸と所定のビーム光軸が一致するようにビームエキスパンダ5全体のあおり角調整機能が備えられる。レンズ501と502との間隔を調整することにより、光束直径の拡大率を制御することが可能である(ズーム機構)。
【0030】
ビームエキスパンダ5に入射する光が平行でない場合には、レンズの間隔の調整により、光束の直径の拡大とコリメート(光束の準平行光化)が同時に行われる。光束のコリメートはビームエキスパンダ5の上流にビームエキスパンダ5と独立にコリメートレンズを設置して行ってもよい。ビームエキスパンダ5によるビーム径の拡大倍率は5倍から10倍程度であり、光源から出射したビーム径1mmのビームが5mmから10mm程度に拡大される。
【0031】
偏光制御部6は、1/2波長板601、1/4波長板602によって構成され、照明光の偏光状態を任意の偏光状態に制御する。照明部101の光路の途中において、行路中に出し入れ可能なミラー221で光路を変換してビームモニタ22に入射させることで、ビームモニタ22よって、ビームエキスパンダ5に入射する光、および照明強度分布制御部7に入射する光の状態が計測される。
【0032】
図2A乃至図5に、照明部101より試料Wの表面に導かれる照明光軸120と照明強度分布形状との位置関係の模式図を示す。なお、図2A乃至図5における照明部101の構成は図1Aに示した照明部101の構成の一部を示したものであり、出射光調整部4、ミラー21、ビームモニタ22等は省略されている。図2Aに、斜入射照明の入射面(照明光軸と試料Wの表面法線とを含む面)の断面の模式図を示す。斜入射照明は入射面内にて試料Wの表面に対して傾斜している。照明部101により入射面内において実質的に均一の照明強度分布が作られる。照明強度が均一である部分の長さは、単位時間当たりに広い面積を検査するため、100μmから4mm程度である。
【0033】
図3に、試料Wの表面法線を含みかつ斜入射照明の入射面に垂直な面の断面の模式図を示す。この面内で、試料Wの表面上の照明強度分布は中心に対して周辺の強度が弱い照明強度分布を成す。より具体的には、照明強度分布制御部7に入射する光の強度分布を反映したガウス分布、あるいは、図4に示すような、照明強度分布制御部7の開口形状を反映した第一種第一次のベッセル関数あるいはsinc関数に類似した強度分布となる。この面内での照明強度分布の長さ(最大照明強度の13.5%以上の照明強度を持つ領域の長さ)は、試料Wの表面から発生するヘイズを低減するため、前記入射面内における照明強度が均一である部分の長さより短く、2.5μmから20μm程度である。
【0034】
照明強度分布制御部7は、後述する非球面レンズ、回折光学素子、シリンドリカルレンズアレイ、ライトパイプなどの光学素子を備える。照明強度分布制御部7を構成する光学素子は図2A図3に示されるように、照明光軸に垂直に設置される。
【0035】
照明強度分布制御部7は、入射する光の位相分布および強度分布に作用する光学素子を備える。照明強度分布制御部7を構成する光学素子として、図2Bに示すように、回折光学素子71(DOE:Diffractive Optical Element:図5参照)が用いられる。回折光学素子71は、入射光を透過する材質からなる基板の表面に、光の波長と同等以下の寸法の微細な起伏形状を形成したものである。入射光を透過する材質として、紫外光用には溶融石英が用いられる。回折光学素子71を通過することによる光の減衰を抑えるため、反射防止膜によるコーティングが施されたものを用いるとよい。前記の微細な起伏形状の形成にはリソグラフィ法が用いられる。
【0036】
ビームエキスパンダ5を通過後に準平行光となった光を、回折光学素子71を通過させることにより、回折光学素子71の起伏形状に応じた試料面上照明強度分布が形成される。回折光学素子の71起伏形状は、試料表面上で形成される照明強度分布が前記入射面内で入射方向に長く、それと直角な方向に短く均一な分布となるよう、フーリエ光学理論を用いた計算に基づいて求められた形状に設計され、製作される。
【0037】
照明強度分布制御部7に備えられる光学素子は、入射光の光軸との相対位置、角度が調整可能となるよう、二軸以上の並進調整機構(図示せず)、および二軸以上の回転調整機構(図示せず)が備えられる。さらに、光軸方向の移動によるフォーカス調整機構(図示せず)が設けられる。回折光学素子71と同様の機能を持つ代替の光学素子として、非球面レンズ、シリンドリカルレンズアレイとシリンドリカルレンズとの組合せ、ライトパイプと結像レンズとの組合せを用いてもよい。
【0038】
照明部101における照明光の状態がビームモニタ22によって計測される。ビームモニタ22は、図1Cに示すように、位置計測手段2211、角度計測手段2212、波面計測手段2213を備え、出射光調整部4を通過した照明光の位置および角度(進行方向)、あるいは照明強度分布制御部7に入射する照明光の位置および波面を計測して出力する。
【0039】
照明光の位置計測は、照明光の光強度の重心位置を計測することによって行われる。具体的な位置計測手段2211としては、光位置センサ(PSD:Position Sensitive Detector)、あるいはCCDセンサやCMOSセンサなどのイメージセンサが用いられる。ミラー2201で反射されてビームモニタ22に入射した照明光を出し入れ可能なミラー2202で反射させて、位置計測手段2211に入射させ、照明光の光強度の重心位置を計測する。
【0040】
照明光の角度計測は前記位置計測手段2211より光源2から遠く離れた位置、あるいはコリメートレンズによる集光位置に設置された角度計測手段2212によって行われる。具体的な角度計測手段2212としては、光位置センサあるいはイメージセンサが用いられる。ミラー2201で反射されてビームモニタ22に入射した照明光を出し入れ可能なミラー2203で反射させて、角度計測手段2212に入射させ、照明光の角度を計測する。
【0041】
角度計測手段2212によって計測された集光された照明光の位置、照明光の角度の情報は制御部53に入力され、表示部54に表示される。照明光位置あるいは角度が所定の位置あるいは角度からずれていた場合は、前記出射光調整部4において所定の位置に戻るよう調整される。
【0042】
照明光の波面計測は、照明強度制御部7に入射する光の平行度を測定するために行われる。波面計測手段2213としては、シアリング干渉計による計測、あるいはシャックハルトマン波面センサによる計測が行われる。ミラー2201で反射されてビームモニタ22に入射した照明光は、出し入れ可能なミラー2202,2293がそれぞれ光路から退避した状態で波面計測手段2213に入射する。
【0043】
シアリング干渉計は、両面を平坦に研磨した厚さ数mm程度の光学ガラスを照明光路中に斜めに傾斜させて挿入し、表面による反射光と裏面による反射光とをスクリーンに投影した際に観測される干渉縞の模様によって、照明光の発散・収束状態を計測するものであり、シグマ光機社製SPUV−25などがある。スクリーン位置にCCDセンサやCMOSセンサなどのイメージセンサを設置すれば照明光の発散・収束状態の自動計測が可能である。
【0044】
シャックハルトマン波面センサは、細かなレンズアレイによって波面を分割してCCDセンサなどのイメージセンサに投影し、投影位置の変位から個々の波面の傾斜を計測するものである。シアリング干渉計と比較して、部分的な波面の乱れなど詳細な波面計測を行うことができる。
【0045】
波面計測により照明強度制御部7に入射する光が準平行光でなく、発散あるいは収束していることが判明した場合、前段のビームエキスパンダ5のレンズ群501,502を光軸方向に変位させることで、準平行光に近づけることができる。また、波面計測により照明強度制御部7に入射する光の波面が部分的に傾斜していることが判明した場合、空間光変調素子(SLM:Spatial Light Modulator)の一種である空間光位相変調素子72を照明強度制御部7の前段に挿入し、波面が平坦になるよう光束断面の位置ごとに適当な位相差を与えることで、波面を平坦に近づける、すなわち照明光を準平行光に近づけることができる。
【0046】
以上の波面精度計測・調整手段により、照明強度分布制御部7に入射する光の波面精度(所定の波面(設計値あるいは初期状態)からのずれ)がλ/10rms以下に抑えられる。
【0047】
照明強度分布制御部7において調整された試料Wの表面上の照明強度分布は、照明強度分布モニタ24によって計測される。なお、図1Aで示したように、垂直照明を用いる場合でも、同様に、照明強度分布制御部7vにおいて調整された試料面上の照明強度分布が照明強度分布モニタ24vによって計測される。照明強度分布モニタ24はレンズ241を介して試料面をCCDセンサやCMOSセンサなどのイメージセンサ242上に結像して画像として検出するものである。
【0048】
照明強度分布モニタ24で検出された照明強度分布の画像は制御部53において処理され、強度の重心位置、最大強度、最大強度位置、照明強度分布の幅、長さ(所定の強度以上あるいは最大強度値に対して所定の比率以上となる照明強度分布領域の幅、長さ)などが算出され、表示部54において照明強度分布の輪郭形状、断面波形などと共に表示される。
【0049】
斜入射照明を行う場合、試料Wの表面の高さ変位によって、照明強度分布の位置の変位およびデフォーカスによる照明強度分布の乱れが起こる。これを抑制するため、試料Wの表面の高さを計測し、高さがずれた場合は照明強度分布制御部7、あるいはステージ103のZ軸による高さ調整によりずれを補正する。
【0050】
照明部101によって試料Wの表面上に形成される照度分布形状(照明スポット20)と試料走査方法について図6及び図7Aを用いて説明する。試料Wとして円形の半導体シリコンウェハを想定する。ステージ103は、並進ステージ、回転ステージ、試料面高さ調整のためのZステージ(いずれも図示せず)を備える。照明スポット20は前述の通り一方向に長い照明強度分布を持ち、その方向をS2とし、S2に実質的に直交する方向をS1とする(図6参照)。回転ステージの回転運動によって、回転ステージの回転軸を中心とした円の円周方向S1に、並進ステージの並進運動によって、並進ステージの並進方向S2に走査される。走査方向S1の走査により試料を1回転する間に、走査方向S2へ照明スポット20の長手方向の長さ以下の距離だけ走査することにより、図7Aに示すように、照明スポットが試料W上にてらせん状の軌跡Tを描き、試料1の全面が走査される。
【0051】
図7Bは回転ステージの代わりに2軸の併進ステージを備えた構成における照明スポットの走査を示す。S1方向に走査することで、照明スポットS1方向に照明スポット長さで帯状に試料面を一定速度で走査する。試料端部においてS2方向に走査幅だけ併進ステージを移動して視野を移動し、逆方向にS1方向に一定速度で走査を行う。
【0052】
図8に検出部102の配置の側面図を示す。試料Wの法線に対して、検出部102による検出方向(検出開口の中心方向)のなす角を、検出天頂角と定義する。検出部102は、検出天頂角が45度以下の高角検出部102hと、検出天頂角が45度以上の低角検出部102lを適宜用いて構成される。高角検出部102h、低角検出部102l各々は、各々の検出天頂角において多方位に散乱する散乱光をカバーするよう、複数の検出部からなる。
【0053】
図9に低角検出部102lに属する検出部が検出する方位と天頂角を示す。各検出部の検出領域は3次元的に天頂角と方位角で規定される。900は天頂角度を半径r、方位角度を角度θとしたときの散乱光の分布を表示する。矢印901はP偏光の斜方照明の入射方向を示す。9011は、斜方照明による試料Wの表面の照射領域を示す。903で示す矢印は試料からの散乱光の偏光方向である。9lf、9lf’、9ls、9ls’9lb、9lb’は102lに属する6検出部が検出する散乱光の領域を示している。9lfは前方散乱光、9lbは後方散乱光であり、一般に9lfは9lbに対して散乱光強度は弱い。すなわち、9lfは欠陥の背景散乱光に対するコントラストが相対的に9lbに対して強くなる。902lf、902ls、902lbはそれぞれ9lf、9ls、9lbの試料wからの散乱光の偏光に対して直交する偏光方向を表す。
【0054】
図10Aに9lf、9lf’、9ls、9ls’9lb、9lb’で表される領域を検出する検出部の構成の一実施例を示す。照明スポット20から発生した散乱光を低角検出部102lに属する102lf、102lf’、102ls、102ls’、102lb、102lb’の各検出部で検出する。
【0055】
検出部102lsを構成する各要素について説明する。検出部1021sは、集光手段1000、偏向制御手段1001、偏光ビームスプリッタ1002、レンズ1003及び1004、光受光部1005、1006を備えて構成されている。このような構成において、集光手段1000で光を検出した後、偏光制御手段1001で偏光方向を回転させる。偏向制御手段1001としては典型的には回転可動機構を備えた1/2λ波長板を用いる。偏向制御手段1001としては、この他に外部からの電気制御によって偏光方向を制御可能な液晶素子やEO変調器も適用可能である。
【0056】
偏光ビームスプリッタ1002は、偏光方向が互いに直交する2つの偏光成分に分離して光路を分岐する。それぞれの光路に分岐された各偏光成分は、レンズ1003、および1004で集光され、それぞれ受光した光を電気信号強度に変換する光受光部1005、1006に導かれる。この構成を10Aに示したすべての検出部に適用する。各受光部の検出電気信号は図1の105の信号処理部に送り、欠陥検出処理を実施する。
【0057】
図10Bは、偏向制御手段1001の回転角制御方法を示す。図10Bは試料面からの偏光方向とそれに直交する偏光方向に分離する場合の方式を示している。偏向制御手段1001は1/2波長板、1001aは試料面からの偏光方向、1001bは1/2波長板の進相軸、1001cは1001aが偏光制御されたのちの偏光方向である。偏光方向1001cは、偏光ビームスプリッタ1002でレンズ1003が配置される光路に分岐する。この結果、偏光ビームスプリッタ1002でレンズ1004が配置される光路の側に分岐される光には試料面からの散乱光の光量が最小になる。
【0058】
図11A及び図11Bは、試料面に球状の欠陥、ノイズとして試料面からの散乱光量の0.5乗に比例するショットノイズを仮定した場合に期待できるSN比のシミュレーション結果を示す。図11Aは検出部102lfで検出される信号のSN比の分布、図11Bは検出部102lsで検出される信号のSN比の分布である。図11A及び図11B共に、横軸は偏向制御手段1001で回転させる偏光角度である。
【0059】
図11A及び図11Bにおいて、曲線1102は、偏光ビームスプリッタ1002で分岐してレンズ1004が配置される光路の側に進んだ光の欠陥散乱光量、曲線1103は偏光ビームスプリッタ1002で分岐してレンズ1004が配置される光路の側に進んだ光を受光部1106で検出するショットノイズ強度、曲線1104は期待される欠陥SN比を表している。図11Aの1105、および図11Bの1112は、期待される欠陥SN比が最大になる回転角度を示している。
【0060】
図11Aの前方散乱光を検出する検出部102lfの欠陥SN比を表すグラフにおいて、回転角がほぼ0度の位置1105において偏光ビームスプリッタ1002で分岐してレンズ1004を透過した光を検出する受光部1006は最良の欠陥SN比となる。一方、偏光ビームスプリッタ1002を直進する光路の受光部1005においてはこのとき、1106で表される欠陥散乱光、およびノイズを検出するため、欠陥SN比がほぼ最悪となり、きわめて低い欠陥SN比の信号しか得ることができない。
【0061】
一方、図11Bの側方の散乱光を検出する102lsの欠陥SN比を表すグラフにおいては、回転角度が1112の位置において、偏光ビームスプリッタ1002で分岐してレンズ1004を透過した光を検出する受光部1006で最良の欠陥SN比を得ることができるものの、欠陥散乱光は受光部1006の側では少なく、偏光ビームスプリッタ1002を直進してレンズ1003を透過する光路側でより多く検出される。
【0062】
一般的に試料Wの表面の状態は製造状態の変動によって変化するため、欠陥SN比は必ずしも図11A及び図11Bのグラフで示された角度で最良値を得るとは限らない。そこで、信号処理部105では試料面からの散乱光をモニタし、偏光で分岐した2つの光路の受光部からの信号にゲインを設定し、統合するとよい。
【0063】
具体的には、偏光で分岐した各受光部の信号強度をI0,I1と置き、これに対してかけるバンドパスフィルタをBL、あらかじめシミュレーションで得られた各受光部で検出されると期待される散乱光量をS0,S1とおいた場合、ゲインをそれぞれ、S0/(conv(BL,I0))、S1/(conv(BL,I1))と動的に設定して加算統合を行うことで、欠陥SN比の向上を図ることができる。
【0064】
図11A及び図11Bのグラフに見るように、前方散乱光を検出する検出部、102lfでは、偏光で光路を2つに分岐しても、一方の欠陥SN比を最適化すると、もう一方の光路では十分な欠陥SN比を得ることができず、上記の式で算出してもゲインは極めて小さくなる現象が発生する。そこで、装置が複雑になることを回避して、かつ感度向上効果を得るためには、図10Aの光学系配置図の簡易版である図12の配置を選択する。
【0065】
図12に示した光学系では、偏光による光路分岐を実施した場合に両方の分岐光路に多くの欠陥散乱信号が期待できる側方の散乱光を検出する検出部102ls、102ls´にのみ偏光による光路分岐を行う実施例である。前方散乱光を検出する検出部102lfの光学系に示した1201は回転可動機構部を備えた偏光フィルタである。光路分岐を実施しない前方散乱光を検出する検出部102lf、102lf´、後方散乱光を検出する検出部102lb、102lb´には、それぞれ回転可動機構部を備えた偏光フィルタ1201を配置して、試料面からの散乱光の偏光方向の光を遮光するよう、回転角度を設定する。
【0066】
図1Aの信号処理部105で実行する本発明の欠陥判定方式の実施例を図13Aに示す。図13Aは各検出部で検出した散乱光を電気信号に変換し、これに高周波のバンドパスフィルタを行って得られた信号強度を多次元空間にプロットした図である。この多次元空間の偏光方向を示す各軸のうち、偏光方向1306、および1307は、図12に示した検出部102lsの受光部1005及び1006で検出して得られた散乱光の信号強度であり、偏光方向1306は試料面の偏光方向と一致すると期待された偏光方向、偏光方向1307は試料面の偏光方向と直交すると期待される偏光方向である。また、散乱光の偏光方向1308は試料面の偏光方向と一致すると期待された検出部102ls’で検出された信号強度である。
【0067】
図13Aの面1302はノイズと欠陥の判別面であり、この判別面1302よりも原点から離れた位置にある点1303、1304は欠陥、原点側にある点1305はノイズである。点1304は球状ではない欠陥であり、偏光方向1307では十分な信号を得られていない。本手法は、偏光方向1306の信号と偏光方向1307の信号と同時に用いるため、従来の手法で困難であった点1304の欠陥と点1303の欠陥とを同時に検出することが可能である。
【0068】
実際の試料面では散乱光を検出した領域の表面状態によって偏光方向が変化するため、検査の間、常に試料からの偏光方向が一定になるわけではない。よって、ノイズである1305の分布は領域ごとに変化する。ノイズは一般に試料からの散乱光の0.5乗に比例する。
信号処理部105で実行する具体的な判定方法の一実施例を図13Bに示す。
各検出部からの光量I0を1351、Iiを1352、INを1352に示す。
1353,1355,1357は高周波のバンドパスフィルタ、1354、1356、1358は低周波のバンドパスフィルタであり、1359、1360、1361はゲインである。ここで低周波のバンドパスフィルタ1354、1356、1358のフィルタ特性をBLで表す。ゲインは典型的にはSi/conv(BL,Ii)に比例するように設定する。欠陥の期待される信号値は一般に個別には不明であるため、あらかじめシミュレーション、あるいは実験値より固定値で設定する。一方、conv(BL,Ii)は低周波のバンドパスフィルタ1354、1356、1358の出力値であり、リアルタイムに変化する。1362は加算器である。1363は判定手段である。本構成により、図13Aに示した判別面1302での分離を実現する。
【0069】
なお、ここでは試料からの背景散乱光量に基づきゲインを設定する方法について述べたが、これ以外にも、光量Iiの一定時間内の標準偏差σiを算出し、期待される信号値Siをσiで正規化した値をゲインにする方法や、σiを異なる同一の設計領域、たとえば試料が半導体ウェハであった場合には、異なるダイの同一の領域の明度の変動を用いて算出する方法など、異なった方式を用いてノイズ量を推定し、これらのノイズ量に反比例したゲインを設定する方法を採用可能である。
【0070】
本実施例によれば、試料からの背景散乱光量に基づきゲインを設定することができるようになり、試料上の微細な欠陥からの散乱光を検出して、SN比の高い欠陥信号を得ることができるようになった。
[変形例1]
実施例1の変形例1として、実施例1で説明した検出部と異なる光学系配置の実施例を示す。照明部は実施例1で説明した照明部101と同じであるので、説明を省略する。本実施例においては、検出部の構成が、実施例1で説明した検出部102の構成と異なる。
図14に、本変形例1における検出部が検出する試料Wからの散乱光の方位と天頂角を示す。図14における900、901、902lf、90sls、902lb、903は図9で説明したものと同一である。領域1401、1402は集光レンズが捕捉する散乱光の領域であり、1403は矢印901の方向からの照明による試料Wの表面での照明領域を示す。図9で説明した構成では6つの検出部で同時検出する構成として説明したが、図14に示した構成では、2つの検出部で、実施例1の場合よりも大きな開口を有する集光レンズを用いて検出する場合を示している。本実施例では、照明強度分布制御部7を調整して照明領域1403が図9のそれに対して相対的に長くなるように設定した。領域1401、1402からの散乱光を検出する検出部は照明領域1403の長手方向と直交し、結像検出を可能にしている。
【0071】
図15A乃至図15Dに、領域1401の検出部の瞳位置における偏光方向を示す。図9に示したように各検出部の検出領域91f、91f´、91s、91s´、91b、91b´を配置した構成に対して、本実施例では核検出部の検出領域1401,1402が比較的大きく、集光レンズの開口を大きくすることができる。その結果、各集光レンズの瞳位置において、検出領域1401,1402の内の試料、あるいは欠陥からの散乱光の偏光方向が異なる。
【0072】
図15Aは試料からの散乱光のうちの領域1401における散乱光の検出部の瞳位置における偏光方向1501を示す。図15Bは、図15Aの領域1401における散乱光の偏光方向に対して領域ごとに異なる進相軸を持てるよう設計された1/2波長板1502である。1/2波長板1502は4つの領域15021乃至15024に分割され、各領域において、点線で示される進相軸をもつように製作する。このように制作された1/2波長板1502を検出部の瞳位置に設置することにより、偏光方向1501で示される試料からの偏光方向は瞳位置に設置された1/2波長板1502を透過した後において、同一の方向に揃えられる。図15Cは球状の欠陥からの散乱光の、瞳における偏光方向1503を示しており、図15Dは瞳における偏光方向1503に合わせて領域毎に進相軸の方向が異なる1/2 波長板1504を示している。この1/2波長板1504を、球状欠陥からの散乱光を後段で同一の偏光方向になるよう設定する。
【0073】
図16Aに、図14の領域1401を検出するための、本実施例における検出部1600の光学系配置図を示す。1601は集光レンズであり、ここで検出した光を分割1/2波長板1602に導く。分割1/2波長板1602の構成は前述した図15Bに示した1/2波長板1502、あるいは図15Dに示した1/2波長板1504を用いる。図示していない制御機構により、波長板1602は複数そろえた異なる設計のものを切り替えることができるようにしておく。1603は偏光ビームスプリッタであり、偏光の違いにより2つの光路に分岐させる。1613、1614はさらに光路を分岐するための領域毎に進相軸が異なる1/2波長板であり、図16Bにその構成を示す。
【0074】
1/2波長板1614は2つの領域1615と1616に分割されており、その進相軸は45度だけずれている。一般に、領域1615と1616は図16Aのs2軸の方向に領域が分割され、前方散乱光と後方散乱光に分割できるようにしている。本実施例では、領域1615を通過したものがその後段の偏光ビームスプリッタ1604においてレンズ1606が配置された光路に全光量が透過するよう進相軸を設定し、領域1616を通過するすべての光はレンズ1607の配置される光路に向かうように設定してある。
【0075】
1610と1611は結像型のラインセンサであり、空間的に分離された複数の画素の光量を一括して検出する。典型的にはAPD1次元アレイや、1次元CCDセンサを用いる。1606のレンズが1610のセンサに試料面の像を結像させ、レンズ1607がセンサ1611に試料面の像を結像させる。センサ1610と1611は、図示していない位置制御機構を備え、センサに配置される各画素が複数のセンサ1610と1611間でアライメントされるように調整することを可能にする。
【0076】
1618、1619は信号変換部であり、それぞれ、センサ1610、1611で得られた信号に対して、所望のゲイン、G1,G2をかける。1620は加算部であり、信号変換部1618、1619の対応する画素毎に加算を行う。1621はゲイン設定部であり、画素毎に時間方向の低周波フィルタリングを行い、この算出光量に基づき、信号変換部1618、1619のゲインを設定する。典型的には、検出光量の強さに反比例したゲインを与えるようにする。
【0077】
1617は1614とほぼ同一の2領域に分割した1/2波長板であり、1/2波長板1617で偏光方向を変えられた光は、その後段の偏光ビームスプリッタ1605により光路分岐をして、レンズ1608、1609によってそれぞれ結像型のリニアセンサ1612、1613に試料面の像を結像する。図示されない、ゲイン設定部、信号変換部、加算部を介して検出光を変換し、1620の結果とあわせて欠陥判定を行う。
【0078】
図16Aに示した構成によれば、瞳を2分岐してそれぞれセンサで検出、ゲインを乗じて加算することで、高SNが期待できる瞳を通過する光に対しては高いゲイン、それ以外は弱いゲインを設定することで統合して得られる信号のSNを高くすることが可能になる。
【0079】
図17A図16に示した検出部1600の簡易版の構成の実施例である。図16に示した構成では偏光ビームスプリッタ1603の後段にさらに光路を分岐する偏光ビームスプリッタ1604、1605を設け、瞳分割を行っていたが、図17Aに示した構成では分割を行わず、アパーチャ1701、1702を設ける。図17Bにアパーチャ1701の例を示すように、アパーチャ1701、1702には、領域毎に透過率の異なるNDフィルタを用い、典型的には前方散乱光の透過率を高く設定する。
【0080】
本変形例によれば、試料上の微細な欠陥からの散乱光を検出して、SN比の高い欠陥信号を得ることができるようになった。
[変形例2]
図18に、実施例1の第2の変形例として、実施例1及び変形例1とは異なる光学系配置をした際の、レンズで捕捉する散乱光の説明図を示す。照明部は実施例1で説明した照明部101と同じであるので、説明を省略する。本変形例では、照明強度分布制御部7を調整して斜方照明光による試料Wの照明領域1403が図9のそれに対して相対的に長くなるように設定した。本変形例における検出部1600の構成は、変形例1において図16Aを用いて説明した構成と基本的には一緒なので、説明を省略する。
【0081】
図18において、矢印1800はレーザによる照明の方向を示す。1801、1802はそれぞれレンズで検出する散乱光の捕捉範囲を示す。1803は試料面における照明パターンである。この照明パターン1803の長手方向は、変形例1において図14で説明した照明パターン1403の長手方向に対して90度ずれている。この長手方向の向きを90度ずらすことは、照明強度分布制御部7の回折光学素子71を長手方向の向きが90度ずらすのに適した素子(図示せず)と差し替えることにより実現できる。試料の走査方向はこの照明パターン1803の長手方向と直交するS1方向になる。
【0082】
領域1804は直接反射光を除去する領域であり、典型的には後段にミラー(図示せず)を設けて光路から除外する。領域1805は照明を透過させるため、検出領域外となる範囲である。
【0083】
図19は、レンズで検出する散乱光の捕捉範囲1801の領域を検出する検出部の瞳に入れる5分割した1/2波長板1900の説明図である。1901から1905はそれぞれ1/2波長板1900の分割領域を示し、試料面の散乱光の偏光方向は点線の矢印1906で示し、各領域の1/2波長板の進相軸を実線の矢印1907で示す。領域毎に波長板の進相軸を調整し、試料面からの散乱の偏光が揃うように分割された1/2波長板1900を用いる。これにより、後段に配置する偏光ビームスプリッタによって、試料面からの散乱光を通す光路と、通さない光路に分岐させ、通さない光路で特にコントラストの高い欠陥SNを得ることができるようになる。
【0084】
図20図19と異なる設計の分割1/2波長板2000である。2001から2005はそれぞれ分割1/2波長板2000の分割領域を示し、点線の矢印2006で欠陥からの散乱光の偏光方向、実線の矢印2007で欠陥の偏光方向を直線状にするための各領域の進相軸を示す。この分割1/2波長板2000により、後段の偏光ビームスプリッタによって、全欠陥散乱光を分岐後の1光路に導くことが可能になる。
【0085】
本変形例によれば、試料上の微細な欠陥からの散乱光を検出して、SN比の高い欠陥信号を得ることができるようになった。
【実施例2】
【0086】
本発明の第2の実施例を、図を用いて説明する。
図21は、実施例2における検出部を直上に1つ備えた欠陥検査装置の構成を示す。本実施例における照明部は、実施例1において図1Aで説明した照明部101のうち、照明強度分布制御部7vを介してして試料Wを垂直方向から照明する系を持たず、照明強度分布制御部7を介してして試料Wを斜方から照明光2100で照明する光学系を備えている。照明強度分布制御部7を介してして試料Wを斜方から照明光2100で照明する光学系の構成については、実施例1で説明したものと重複するので説明を省略する。
【0087】
図21に示した構成において、図示していない照明部からのP偏光の斜方照明2100により、試料Wの表面を照明して得られる試料面からの光を対物レンズ2101により捕捉する。2103は分割1/2波長板であり、詳細な構造は後述する。2102、2104はリレーレンズである。2105は偏光ビームスプリッタであり、光路を2つに分岐する。2106は可動型の空間フィルタであり典型的には後方散乱光を遮光する。2107は分割型の1/2波長板であり、偏光ビームスプリッタ2108でさらに光路を2分岐するために用いる。2109、2110、2111は結像レンズであり、それぞれ後段のセンサ2112、2113、2114のセンサ面に結像させる。センサとしては典型的には二次元CCDや、TDIリニアセンサを用いる。
【0088】
図22に分割1/2波長板2103の一実施例を示す。1/2波長板2103は同心円状に分割した複数の1/2波長板21031を組み合わせて構成したものであり、実線の矢印2201が進相軸となっている。点線の矢印2202は粒子状の欠陥からの散乱する光の偏光方向を示す。点線の矢印2202の偏光方向は実線の矢印2201で設定した進相軸の方向によって、一点鎖線の矢印2203の偏光に変換する。これにより、後段の偏光ビームスプリッタ2105により粒子状の欠陥散乱光が完全に捕捉される光路と、それ以外の光路に分離することが可能になる。ただし、非粒子状の欠陥の場合、偏光方向が粒子状のものと異なるため、すべての種類の欠陥散乱光が1つの光路で完全に捕捉されるわけではない。
【0089】
図23は、図22とは異なる構成の分割1/2波長板2103´の実施例である。実線の矢印2301は分割波長板の進相軸の方向であり、図示していない照明部からの斜方照明2300による試料Wの表面からの偏光2302を2303の偏光方向に変換する。進相軸の方向は、偏光ビームスプリッタ2105及び2108による光路の切り替えのみではなく、特に欠陥の散乱方向の位相が分割1/2波長板2103´を通過した後に領域毎にずれが最小になるように設定する。一方、試料Wの表面からの散乱光は位相が180度ずれると結像面(センサ2112、2113、2114のセンサ面)において輝点状の干渉が消える傾向があり、試料Wの表面からの散乱光の位相はなるべく揃わないように設定する。
【0090】
図24は、分割波長板2107の構成の一実施例である。ここでは図22に示すように、対物レンズ2101の後段に分割波長板2103を配置した場合の設定を示す。分割波長板2107は、領域2403,2404,2405に分けられている。このうち、領域2403,2404とは、1/2波長板で構成されている。
【0091】
分割波長板2107の領域2401と2402とにおいて、粒子状の欠陥からの散乱光の偏光方向と試料Wの表面からの散乱光の偏光方向が直交するため、粒子状の欠陥に対してSN比の高い信号を得られる領域となる。実線の矢印2301は1/2波長板2403及び2404の進相軸を示し、点線の矢印2302は1/2波長板2403及び2404に導かれる光の偏光方向を示す。領域2401及び2402における散乱光の偏光方向は1/2波長板2403の進相軸と位相が180度ずれ、後段の偏光ビームスプリッタ2108を完全に透過し、センサ2114に導かれる。
【0092】
一方、1/2波長板2403の領域2401及び2402以外の領域を透過した光は偏光ビームスプリッタ2108において分岐し、センサ2114と2113の両方で検出される。1/2波長板2404の領域を透過した光は1/2波長板2403の領域2401、あるいは2402を透過した光に対して偏光が90度回転しており、この領域を透過した光はすべて偏光ビームスプリッタ2108で反射されてセンサ2113に導かれる。領域2405は遮光領域である。試料面からの散乱光強度が強すぎ、欠陥のコントラストが不十分な領域として遮光する。
【0093】
センサ2112、2113、2114で得られたそれぞれの画像は、図16Aに図示したゲイン機構1618、1619、加算部1620のような機構を用いて加算統合を行う。また、統合方法としてはこの方法のみではなく、たとえば、統合前の画像をすべて演算ユニットに取り込み、図13Aの特徴量空間で、公知の判定手法、たとえば、サポートベクターマシンのような判別機を用いて欠陥とノイズを識別することも可能である。
【0094】
本実施例によれば、上方検出系で検出した信号で、試料上の微細な欠陥からの散乱光を検出して、SN比の高い欠陥信号を得ることができるようになった。
【符号の説明】
【0095】
2・・・光源 3・・・アッテネータ 4・・・出射光調整部 5・・・ビームエキスパンダ 6・・・偏光制御部 7・・・照明強度分布制御部 24・・・照明強度分布モニタ 53・・・制御部 54・・・表示部 55・・・入力部 101・・・照明部 102・・・検出部 103・・・ステージ部 105・・・信号処理部
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24