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特開2015-200509三次元形状変化検出方法、及び三次元形状加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-200509(P2015-200509A)
(43)【公開日】2015年11月12日
(54)【発明の名称】三次元形状変化検出方法、及び三次元形状加工装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20151016BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20151016BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20151016BHJP
【FI】
   G01B11/24 A
   H01L21/302 105A
   G01N21/21 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-77730(P2014-77730)
(22)【出願日】2014年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 健太
(72)【発明者】
【氏名】松井 繁
【テーマコード(参考)】
2F065
2G059
5F004
【Fターム(参考)】
2F065AA25
2F065AA30
2F065AA53
2F065CC31
2F065FF44
2F065FF48
2F065FF49
2F065GG21
2F065GG24
2F065LL67
2F065QQ16
2F065QQ25
2F065RR06
2G059AA05
2G059BB15
2G059BB16
2G059EE02
2G059EE05
2G059EE12
2G059JJ01
2G059JJ11
2G059JJ19
2G059JJ22
2G059MM01
2G059MM05
2G059MM10
5F004AA09
5F004CB09
5F004DB01
5F004EA01
5F004EB08
(57)【要約】
【課題】被加工物上に複雑な形状を形成する場合において、加工中における被加工物の三次元形状変化を追跡し、高い精度で加工を終了させるべきタイミングを検出できる技術を提供する。
【解決手段】加工中の被加工物10に白色光を照射し、被加工物表面で反射する反射光L2の強度を分光して検出し、分光データから光学的特徴量(Ψ,Δ)を算出する。算出した光学的特徴量(Ψ,Δ)に最も近いものを、ライブラリ74の中から探索し、現在の、実際の加工進捗状態(形状変化状態)に該当する三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)を求める。現在の、実際の加工進捗状態に該当する三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)と理想の最終形状の三次元特徴量(θ1,θ2、w,h,r)とを比較し、その差が所定の範囲以下になったら被加工物の加工を終了させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の三次元形状が加工される、又は所定の三次元形状が付加される被加工物の表面に、連続的又は離散的に所定の波長帯域を有する測定光を照射する測定光照射工程と、
前記被加工物の表面で反射した反射光の強度を分光して検出し、反射光の分光データを取得する分光データ取得工程と、
当該取得した分光データから所望の波長毎の光学的特徴量を求める光学的特徴量算出工程と、
前記三次元形状についての理想的な加工進捗における様々な三次元形状特徴量と前記所望の波長毎の光学的特徴量とが予め対応付けされて保存されているライブラリの中から、当該算出した光学的特徴量に最も近い光学的特徴量を探索する光学的特徴量探索工程と、
当該探索された光学的特徴量に対応する三次元形状特徴量と、前記三次元形状の理想の最終形状に対応する三次元形状特徴量とを比較する三次元形状特徴量比較工程と
を含み、
前記各工程の繰り返しにより、前記被加工物に対する前記三次元形状の加工終了を前記三次元形状特徴量比較工程の比較結果に基づいて検出する
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項2】
請求項1記載の三次元形状検出方法であって、
前記ライブラリに保存されている、前記三次元形状についての理想的な加工進捗における様々な光学的特徴量は、前記被加工物を構成する材質の情報と、前記三次元形状の理想的な加工進捗における様々な三次元形状特徴量と基に、電磁波解析を用いて計算されたものである
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項3】
請求項1記載の三次元形状検出方法であって、
前記ライブラリに保存されている、前記三次元形状についての理想的な加工進捗における様々な光学的特徴量は、前記三次元形状についての所望の理想的な加工進捗状態毎の、良好に加工が行われた前記三次元形状の光学的特徴量を実測したものである
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項4】
請求項1記載の三次元形状検出方法であって、
前記所定の三次元形状は、一次元又は二次元方向に周期的に繰り返される三次元形状である
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の三次元形状検出方法であって、
前記光学的特徴量は、分光エリプソメトリックデータである
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の三次元形状検出方法であって、
前記光学的特徴量は、分光反射率である
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項7】
所定の三次元形状が加工される、又は表面上に所定の三次元形状が付加される被加工物の表面に、連続的又は離散的に所定の波長帯域を有する測定光を照射する測定光照射工程と、
前記被加工物の表面で反射した反射光の強度を分光して検出し、反射光の分光データを取得する分光データ取得工程と、
当該取得した分光データから所望の波長毎の光学的特徴量を求める光学的特徴量算出工程と、
当該算出された光学的特徴量に対応する光学的特徴量と、予めライブラリに保存されている、前記三次元形状の理想の最終形状に対応する光学的特徴量とを比較する光学的特徴量比較工程と
を含み、
前記各工程の繰り返しにより、前記被加工物に対する前記三次元形状の加工終了を前記光学的特徴量比較工程の比較結果に基づいて検出する
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項8】
請求項7記載の三次元形状検出方法であって、
前記ライブラリに保存されている、前記三次元形状の理想の最終形状に対応する光学的特徴量は、前記被加工物を構成する材質の情報と、前記三次元形状の理想の最終形状に対応する三次元形状特徴量と基に、電磁波解析を用いて計算されたものである
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項9】
請求項7記載の三次元形状検出方法であって、
前記ライブラリに保存されている、前記三次元形状の理想の最終形状に対応する光学的特徴量は、前記三次元形状の理想的な最終形状について光学的特徴量を実測したものである
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項10】
請求項7記載の三次元形状検出方法であって、
前記所定の三次元形状は、一次元又は二次元方向に周期的に繰り返される三次元形状である
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の三次元形状検出方法であって、
前記光学的特徴量は、分光エリプソメトリックデータである
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項12】
請求項7〜10のいずれか1項に記載の三次元形状検出方法であって、
前記光学的特徴量は、分光反射率である
ことを特徴とする三次元形状検出方法。
【請求項13】
連続的又は離散的に所定の波長帯域を有する光源と、
所定の三次元形状が加工される、又は所定の三次元形状が付加される被加工物の表面に、前記光源から発せられる照明光を照射する照射手段と、
前記被加工物の表面で反射した反射光の強度を分光して検出し、反射光の分光データを取得する分光データ取得手段と、
前記分光データ取得手段が取得した分光データから所望の波長毎の光学的特徴量を求める光学的特徴量算出手段と、
前記三次元形状についての理想的な加工進捗における様々な三次元形状特徴量と前記所望の波長毎の光学的特徴量とが予め対応付けされて保存されているライブラリの中から、前記光学的特徴量算出手段が算出した光学的特徴量に最も近い光学的特徴量を探索する光学的特徴量探索手段と、
前記光学的特徴量探索手段が探索した光学的特徴量に対応する三次元形状特徴量と、前記三次元形状の理想の最終形状に対応する三次元形状特徴量とを比較する三次元形状特徴量比較手段と
を備え、
前記三次元形状特徴量比較手段が当該比較結果に基づいて前記被加工物に対する前記三次元形状の加工終了を検出する
ことを特徴とする三次元形状加工装置。
【請求項14】
請求項13に記載の三次元形状加工装置であって、
前記照射手段と前記分光データ取得手段との中の少なくとも一方は、入射光に対する出射光の偏光状態を変化させる偏光状態変化機構が設けられている
ことを特徴とする三次元形状加工装置。
【請求項15】
請求項13又は14のいずれかに記載の三次元形状加工装置であって、
前記照射手段には、当該照射手段からの出射光の前記被加工物に対する入射角を、1以上の複数の角度に変化させる入射角調整機構が設けられている
ことを特徴とする三次元形状加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に形成された微細な三次元形状を測定する装置及びその測定方法に係り、加工過程の進捗に応じて変化する被加工物の三次元形状変化過程を検出可能な三次元形状変化検出方法、及びこの三次元形状変化検出方法を用いた三次元形状加工装置に関する。特に、回折格子の溝孔のような、被加工物上に周期的に繰り返す三次元形状を形成する加工過程に用いて好適な三次元形状変化検出方法及び三次元形状加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物に形成された三次元形状の測定方法の従来例として、例えば、特許文献1〜3に記載されたような技術がある。
【0003】
特許文献1には、基板の表面に形成された薄膜を所望膜厚となるまで部分的に又は全面的に除去する基板処理を例に、
(1) 被加工物(表面に薄膜が形成された基板)上に所望の膜厚が形成されたときの反射光の強度を予め実験等で測定し、少なくとも2つの波長における各反射光の強度の設定値を決定しておく工程、
(2) 加工開始からの経過時間に従って、被加工物表面へ光を照射し、被加工物表面で反射した光を分光して、設定値を決定しておいた波長それぞれの反射光の強度の測定値を得る工程、
(3) 各波長の測定値と設定値とをそれぞれ比較し、波長毎の比較結果がいずれも所定範囲内で整合した時点を検出し、被加工物の加工を終了させる工程、
を有する基板処理方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、被加工物の表面上でマスキングが施されていない被エッチング部位がエッチングされた際に、
(1) 白色光源からの光を被加工物の所望箇所に照射する工程、
(2) エッチングの進行に伴って被エッチング部である微細孔が深くなっていくときの、微細孔の底面からの反射光とその開口部周囲の面からの反射光とを干渉させることにより得られる干渉スペクトルを測定する工程、
(3) 測定した干渉スペクトルについてフーリエ変換による周波数解析を行うことにより、エッチング孔深さ又は段差を算出する工程、
を有するエッチングモニタリング装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、被加工物の表面に形成された周期的な繰り返しパターンの断面形状を測定するスキャトロメトリ(光散乱測定)法に係り、
(1) シュミレートされた回折スペクトルの特性領域に亘って単一波長のレーザ光を被加工物に照射して、被加工物の回折スペクトルの回折強度を測定する工程、
(2) 測定した被加工物の回折スペクトルの回折強度と複数のシュミレートされた回折スペクトルの回折強度とを比較し、マッチングするスペクトルを基礎として被加工物の三次元形状を計測する工程、
を有する光波散乱測定方法が記載されている。
【0006】
また、一方で、被加工物に形成される三次元形状の例としては、図8に示すような三次元形状がある。
【0007】
図8は、被加工物上に形成される三次元形状の例を示した、三次元形状が加工された被加工物の部分断面図である。
【0008】
図8(a)は、被加工物10に形成された三次元形状11の例として、基板22の表面に形成された膜厚dが所定値d1で均一な平坦膜21を示したものである。三次元形状11の表面、すなわち平坦膜21の膜表面は、平坦な一次元構造(線状構造)又は二次元構造(面状構造)になっている。通常、このような三次元形状11としての平坦膜21は、例えば、膜21が所定値以上(d>d1)の膜厚dで積層された基板22を被加工物10として、その膜厚dが所定の膜厚d1となるように、膜表面側から膜21の一部を除去する加工、又は、基板22を被加工物10として、基板22の表面に膜厚dが所定の膜厚d1になるように膜21を積層する加工、等によって形成される。以下では、三次元形状11が形成される前の被加工物10と区別するため、三次元形状11が形成された後の被加工物10を、単に加工物と称して区別する。
【0009】
図8(b)は、被加工物10に形成された三次元形状11の例として、平坦膜21が積層された基板22を被加工物10として、被加工物10の表面すなわち平坦膜21の表面に、この表面と平行で平坦な底面23b及び垂直な内周面23sとを備えた有底孔23を示したものである。この場合、三次元形状11としての有底孔23は、孔径w、孔深さh(=h1=h2)を有する三次元構造(立体構造)になっている。
【0010】
図8(c)は、被加工物10に形成された三次元形状11の例として、回折格子30の格子溝31を示したものである。図示の例では、回折格子30は、その表面に、光を分波するために用いられる微細なブレーズ形状の溝孔33が、周期的に繰り返されて複数形成された構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−063748号公報
【特許文献2】特開2013−048183号公報
【特許文献3】特開2006−226994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載された基板処理技術を、被加工物上に非対称断面を含む三次元形状をエッチング加工する場合に適用してみても、加工中に、非対称断面を構成する三次元形状の各特徴部間でエッチングのばらつきが生じてしまうため、高い精度で加工を終了させることができなかった。そのため、特許文献1に記載されている基板処理技術は、加工物の三次元形状が、図8(a)に示した膜厚均一(d=d1)な平坦膜21のように、加工中の三次元形状11の形状変化が各部で一様な一次元構造(線状構造)又は二次元構造(面状構造)であることが前提になっている。
【0013】
また、特許文献2に記載されているエッチングモニタリング技術は、被加工物上に非対称断面を含む三次元形状をエッチング加工する場合に適用してみても、加工中に、非対称断面を構成する三次元形状の各特徴部間でエッチングのばらつきが生じるため、モニタすべき形状パラメータの数が増大してしまい、その適用が複雑となり困難であった。
【0014】
図9は、図8(c)に示した回折格子の溝孔における、三次元形状としてのブレーズ形状の個別断面図である。
【0015】
回折格子30の溝孔33の断面形状には、図9に示すようなブレーズ形状32が広く使用されている。図示のブレーズ形状32は、溝孔33,33の最深部をそれぞれ形成するブレーズ形状32の底辺角部分32a,32bの各ブレーズ角度θが、θ1,θ2で異なっており、この底辺角部分32a,32bにより規定されるブレーズ形状32の斜面(斜辺)部分32ac,32bcは、その傾斜及び長さが互い異なるようになっている。そのため、図示のような非対称断面を含むブレーズ形状32の場合、その三次元形状11を規定するためには、(イ) 底辺角部分32aのブレーズ角度θ1、(ロ) 底辺角部分32bのブレーズ角度θ2、(ハ) ブレーズ形状32(溝孔33)の幅w、(二)ブレーズ形状32の高さ(溝孔33の深さ)のh、(ホ) ブレーズ形状32の頂部部分32cの丸みr、といった5個の形状パラメータが存在する。すなわち、図示のブレーズ形状32のように、被加工物10上に形成しようとする三次元形状11が構造が複雑になればなる程、モニタが必要な形状パラメータの数は益々増大する。
【0016】
そのため、特許文献2に記載されているエッチングモニタリング技術は、被加工物10に形成しようとしている三次元形状11が、図2(b)に示した被加工物10の表面と平行で平坦な底面23b及び垂直な内周面23sとを備えた有底孔23のように、加工中に変化をモニタすべき形状パラメータが膜厚d又は溝深さh(h=h1=h2)といった一つ又はごく少数であり、深さや高さが一様な単純な孔や段差のような三次元構造(立体構造)であることが前提になっている。
【0017】
したがって、被加工物上に形成しようとする三次元形状11が図8(c)に示したブレーズ形状32のように複雑になると、特許文献2に記載されているエッチングモニタリング技術では、多数の形状パラメータ(θ1,θ2,w,h,r)それぞれの変化をモニタして加工を終了させることは困難であった。
【0018】
また、特許文献3に記載されているスキャトロメトリ(光散乱測定)法を適用した計測技術は、通常、加工装置又は加工プロセスの完了によって加工完成した加工物の欠陥検査に適用されるものであり、被加工物10の加工中に、被加工物10の三次元形状11が時間経過とともに変化していく過程を追跡する技術は含まれておらず、加工装置又は加工プロセスと組み合わせて、加工を終了させることはできなかった。
【0019】
本発明は、上述した問題点を鑑み、被加工物上に複雑な三次元形状を形成する場合においても、加工中における被加工物の三次元形状変化を逐次追跡することにより、より高い精度で被加工物に対する複雑な三次元形状の加工を終了させることができる三次元形状検出方法及び三次元形状加工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するため、本発明に係る三次元形状検出方法は、被加工物に対する三次元形状の加工中、光源からの光が照射されている被加工物の加工面から反射した反射光の強度を分光して検出することにより、所望の波長毎の光学的特徴量を求め、被加工物に対する三次元形状の加工中に逐次算出される所望の波長毎の光学的特徴量を、予め保存された理想の三次元形状に係る基準量と比較し、比較結果に基づいて被加工物に加工中の三次元形状の加工進捗を検出することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る三次元形状加工装置は、被加工物に対する三次元形状の加工中に逐次算出される所望の波長毎の光学的特徴量を、予め保存された理想の三次元形状に係る基準量と比較し、その比較結果に基づいて加工中の三次元形状が理想の最終形状の三次元形状に対して予め設定された所定の範囲以下になったときには、加工部による三次元形状の加工を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被加工物上に複雑な三次元形状を形成する場合においても、加工中における被加工物の三次元形状の変化を逐次追跡し、この加工中に追跡した被加工物の三次元形状から被加工物に対する加工を終了させるべきタイミングを検出することができるので、被加工物に形成する三次元形状が複雑な三次元形状であっても、また、加工中における被加工物の状態、加工環境等の変化により単位時間当たりの加工量等が変化若しくは変動してしまう場合においても、高い精度で被加工物に三次元形状を形成することができる。
【0023】
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】三次元形状加工装置の一実施の形態としてのドライエッチング装置の第1の実施例に設けられた分光エリプソメータ光学系の概略構成図である。
図2】本実施例のドライエッチング装置において、分光エリプソメータ光学系によって実行される三次元形状変化検出処理のフローチャートである。
図3】光学的特徴量の一例としての分光エリプソメトリックデータΨ及びΔを示した図である。
図4】三次元形状加工装置の一実施の形態としてのドライエッチング装置の第1の実施例に設けられた分光反射率検出光学系の概略構成図である。
図5】光学的特徴量の一例としての分光反射率%Rを示した図である。
図6】分光反射率検出光学系によって実行される三次元形状変化検出処理の別の実施例を示したフローチャートである。
図7】回折格子の加工において、格子溝のブレーズ形状をドライエッチングにより加工する場合の工程図を示す。
図8】被加工物上に形成される三次元形状の例を示した、三次元形状が加工された被加工物の概略断面図である。
図9】回折格子の溝孔における、三次元形状としてのブレーズ形状の個別断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る三次元形状検出方法及び三次元形状加工装置の一実施の形態について、図8(c)及び図9に示した回折格子30を形成するドライエッチング装置を例に、図面に基づいて説明する。
【0026】
なお、以下では、ドライエッチング装置を例に、本発明に係る三次元形状検出方法及び三次元形状加工装置について説明するが、本発明に係る三次元形状検出方法及び三次元形状加工装置は、被加工物に微細な非対称断面を含む三次元形状を加工するものであれば、ドライエッチング装置に限らず、ドライエッチング以外の加工方法を用いるマイクロマシニイング装置等にも適用可能である。また、被加工物に形成する三次元形状も、ドライエッチング装置の実施例に示した回折格子30の格子溝31に限られるものではなく、その断面形状もブレーズ形状32に限られるものではない。すなわち、被加工物に形成する三次元形状が、被加工物の表面の一次元又は二次元方向に周期的に繰り返し形成される微細な非対称断面を含む三次元形状であれば、適用可能である。
【0027】
始めに、本実施の形態のドライエッチング装置の構成、並びに三次元形状検出方法の手順について説明するに当たって、ドライエッチング装置を用いた回折格子の加工方法について、図7に基づき説明する。
【0028】
図7は、回折格子の加工において、格子溝のブレーズ形状をドライエッチングにより加工する場合の工程図を示す。
【0029】
図7(a)は、ドライエッチング加工の開始時に、ドライエッチング装置に被加工物として供給されるサンプルの、溝孔の延設方向に対して直交する、溝孔の並設方向に沿った断面形状である。
【0030】
図示の例で、被加工物10としてのサンプル40は、基板22としてのシリコンウェハ42上にフォトレジスト41を塗布し、パターン露光を用いて作成されたものである。この場合、シリコンウェハ42上に積層されたフォトレジスト41は、三次元形状11としてのブレーズ形状32の頂部部分32c及びこれと連なる斜面(斜辺)部分32ac,32bcを形成するための頂部側フォトレジスト部分41tが、ブレーズ形状32の底辺角部分32a,32b及びこれと連なる斜面(斜辺)部分32ac,32bcを形成するための平坦な底部側フォトレジスト部分41bに対して、ブレーズ形状32の三次元形状特徴量(形状パラメータ;底辺角θ1,θ2、幅w,高さ(深さ)h,丸みr)やブレーズ形状32における各部のエッチング速度の違い等に基づいて、図示の例では突出した非対称三角断面形状になっている。
【0031】
サンプル40は、ドライエッチング装置の反応室内に配置され、その加工部からエッチングガスやイオン,ラジカルが制御供給されて、フォトレジスト41が積層されたサンプル40の表面に対しドライエッチングが行われることにより、フォトレジスト41やフォトレジスト41が除去された部分のシリコンウェハ42の表面が加工面側から除去され、シリコンウェハ42上に回折格子30の格子溝31が形成される。
【0032】
図7(b)〜図7(d)は、ドライエッチング加工中におけるサンプル40の形状変化過程を順を追って示したものである。また、図7(e)は、ドライエッチング加工により、シリコンウェハ42上に形成された回折格子30のブレーズ形状32を示す。
【0033】
被加工物10としてのサンプル40に対し、シリコンウェハ42の基板面に対して垂直上方側から、図中に矢印で示すようなエッチング加工方向でドライエッチングを行うことにより、図7(b)に示すように、まずフォトレジスト41が除去され、フォトレジスト41の加工開始前の膜厚に応じて、シリコンウェハ42の表面も加工面側から除去され、ブレーズ形状32の当初形状が形成される。しかし、このブレーズ形状32の当初形状では、ブレーズ形状32の三次元形状特徴量は、理想的な加工終了状態(完成状態)のブレーズ形状32の三次元形状特徴量(形状パラメータ;底辺角θ1,θ2、幅w,高さ(深さ)h,丸みr)に未だなっていない。そこで、ドライエッチング加工を継続することによって、シリコンウェハ42の表面を加工面側から除去して、図7(c),図7(d)に示すように、加工途中のブレーズ形状32の断面形状を変化させながら、最終的に図7(e)に示すような、その三次元形状11を、理想的な加工終了状態(完成状態)のブレーズ形状32の三次元形状特徴量(形状パラメータ;底辺角θ1,θ2、幅w,高さ(深さ)h,丸みr)になるようにしてドライエッチング加工を終了し、シリコンウェハ42上に回折格子30の格子溝31を形成するようになっている。
【0034】
次に、本実施の形態のドライエッチング装置について、実施例毎に分けて説明する。
【0035】
<第1の実施例>
図1は、本実施例のドライエッチング装置に設けられた分光エリプソメータ光学系の概略構成図である。
【0036】
ドライエッチング装置50は、エッチング加工中のサンプル40の加工面からの反射光L2の分光データを取得するため、加工部としてのエッチングガスやイオン,ラジカルの供給部(図示せず)等が備えられた反応室(加工室)51内のステージ52上に載置されたサンプル40の被加工面に臨ませて、加工中のサンプル40の表面(被加工面)に測定光L1を照射する照射系61の照射端、及び測定光L1が照射されたサンプル40からの反射光L2が入光する反射系62の受光端が設けられた構成になっている。ドライエッチング装置50は、被加工物10のサンプル40が反応室51に対して搬入され、反応室51内でサンプル40に対してエッチング加工を施してブレーズ形状32を加工した後、反応室51内から搬出される構成になっている。
【0037】
ドライエッチング装置50には、反応室51内で加工中のサンプル40の表面に、連続的又は離散的に所定の波長帯域の測定光L1を照射し、加工中のサンプル40からの反射光L2の分光データを取得するため、分光エリプソメータ光学系60が備えられている。分光エリプソメータ光学系60は、光源63、偏光素子64、偏光素子65、回転駆動装置66、分光検出器67、光信号増幅器68、A/D変換器69、コンピュータ70を有する構成になっている。分光エリプソメータ光学系60は、低角度でサンプル40の表面に反射する反射光L2を測定する。
【0038】
光源63には、多数の波長を含む光を照射できるように、連続的又は離散的に所定の波長帯域の光を発光できる光源が適用されている。照射系61の光源63から出射した光(白色光)は、偏光素子64を介して、被加工物10としてのサンプル40の表面(加工面)に測定光L1として照射される。なお、図示の例では、サンプル40の表面(加工面)に対する測定光L1の入射角は、所定角度で固定されているが、照射系61に、測定光L1の入射角を複数の角度に変化させる入射角調整機構を設けて、例えば、被加工物10や被加工物10に形成される三次元形状11の種類の違い応じて、測定光L1の入射角を調整可能にしてもよい。
【0039】
この測定光L1の照射を受け、サンプル40の表面で反射した反射光L2は、その出射側に設置された反射系62の偏光素子65に入射する。その際、偏光素子65は回転駆動装置66によって回転され、偏光素子65に入射する反射光L2の偏光状態を変化させることができるようになっている。偏光素子65を通過した反射光L2は、分光データ取得部としての分光検出器67に入射する。分光検出器67は、偏光素子65を通過した反射光L2の強度を、所定の波長帯域毎に分光して検出する。分光検出器67により分光検出された所定の波長帯域毎の反射光L2の強度は、光信号増幅器68により増幅され、A/D変換器69でアナログ信号をデジタル信号に変換されて、コンピュータ70に取り込まれる。なお、図示の例では、反射系62の偏光素子65を回転駆動装置66により回転し、偏光素子65に入射する反射光L2の偏光状態を変化させることができる構成としたが、照射系61の偏光素子64を回転駆動装置66により回転し、被加工物10に照射する測定光L1の偏光状態を変化させる構成としてもよい。
【0040】
コンピュータ70は、CPU、メモリ、通信用や入出力用のインターフェース等を備えたマイクロコンピュータを有して構成されており、本実施例では、光学的特徴量算出部71、光学的特徴量探索部72、三次元形状特徴量比較部73として機能するとともに、その三次元形状特徴量比較部73は、エッチング加工終了部としてもさらに機能するようになっている。また、コンピュータ70のメモリは、光学的特徴量探索部72が現在加工中のブレーズ形状32の形状状態に最も近い三次元形状特徴量を探索するためのライブラリ74にもなっている。
【0041】
次に、コンピュータ70によって構成された光学的特徴量算出部71、光学的特徴量探索部72、三次元形状特徴量比較部73、及びライブラリ74それぞれの機能について、図2に基づいて説明する。
【0042】
図2は、本実施例のドライエッチング装置において、分光エリプソメータ光学系によって実行される三次元形状変化検出処理のフローチャートである。
【0043】
分光エリプソメータ光学系60による三次元形状変化検出処理では、コンピュータ70は、光学的特徴量算出部71として、被加工物10に所望の三次元形状11に対応した光学的特徴量を、基準データとして算出するようになっている(ステップS10)。
【0044】
図示の例では、ブレーズ形状32を有した回折格子30を加工する際に加工進捗に応じて変化するブレーズ形状32(三次元形状11)の形状変化状態の中の、所望の複数のブレーズ形状32(三次元形状11)の形状変化状態それぞれに対応した光学的特徴量を、基準データとして算出するようになっている。この基準データとしての所望の複数のブレーズ形状32の形状変化状態それぞれに対応した光学的特徴量は、理想的なブレーズ形状32(三次元形状11)のエッチング加工が良好に行われているときの、加工の進捗に応じた加工中のブレーズ形状32に係るものであり、その中には、加工終了時における理想的なブレーズ形状32に対応した光学的特徴量も含まれている。
【0045】
基準データとしての、所望のブレーズ形状32の形状変化状態それぞれに係る光学的特徴量は、例えば、通信用或いは入出力用のインターフェースを介して回折格子30の加工開始に際して予め設定入力された被加工物10の材質情報や、理想的なブレーズ形状32のエッチング加工が良好に行われたときの加工の進捗に応じて逐次変化するブレーズ形状32の三次元形状特徴量に基づいて、コンピュータ70が光学的特徴量算出部71として実際の加工開始に際して事前に算出する。図示の例では、被加工物10の材質情報としては、フォトレジスト41やシリコンウェハ42の屈折率や光の吸収計数が該当する。また、ブレーズ形状32の三次元形状特徴量としては、図9に示した、(イ) 底辺角部分32aのブレーズ角度θ1、(ロ) 底辺角部分32bのブレーズ角度θ2、(ハ) ブレーズ形状32(溝孔33)の幅w、(二)ブレーズ形状32の高さ(溝孔33の深さ)のh、(ホ) ブレーズ形状32の頂部部分32cの丸みr、等といった形状パラメータが該当する。
【0046】
その上で、光学的特徴量算出部71としてのコンピュータ70は、これら設定入力された被加工物10の材質情報や、理想的な加工の進捗に従って良好に変化するブレーズ形状32の三次元形状特徴量(形状パラメータ;底辺角θ1,θ2、幅w,高さ(深さ)h,丸みr)を基に、理想的な加工の進捗に従って良好に変化するブレーズ形状32の光学的特徴量を、所望の加工進捗状態(形状変化状態)に対応するブレーズ形状32毎に、エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)で算出する。その際におけるエリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)の算出は、RCWA(Rigorous Coupled Wave Analysis;厳密結合波解析法)や、有効媒質近似でフレネルの式を使用することによって、被加工物10の材質情報と三次元形状特徴量とから算出することができる。また、所望の加工進捗状態(形状変化状態)に対応するブレーズ形状32自体の選択は、エッチング加工のプロセス変動等も考慮して、理想的な加工の進捗に従って良好に変化するブレーズ形状32の中から複数選択される。
【0047】
この場合、光学的特徴量として算出するエリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)は、理想的な加工進捗状態(形状変化状態)毎のブレーズ形状32それぞれに、連続的又は離散的に所定の波長帯域を有する光源63からの光(白色光)を照射した場合の、図3に示すような、反射光L2の波長毎に対応して算出された分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)である。
【0048】
図3は、光学的特徴量の一例としての分光エリプソメトリックデータΨ及びΔを示した図である。
【0049】
コンピュータ70は、光学的特徴量算出部71として、理想的な加工の進捗に従って良好に変化する様々なブレーズ形状32毎に算出した光学的特徴量としての分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を、その算出に用いた理想的な加工進捗状態(形状変化状態)のブレーズ形状32の三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)と対応付けて、メモリに記憶する。これにより、コンピュータ70のメモリには、理想的な加工進捗状態の様々なブレーズ形状32毎に、三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)とその分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)とが対応付けられたライブラリ74が保存されることになる(S20)。
【0050】
なお、この理想的な加工進捗状態(形状変化状態)毎のブレーズ形状32それぞれの光学的特徴量としての分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)の算出については、所望の理想的な加工進捗状態毎の、良好に加工が行われた被加工物それぞれについて、分光エリプソメータ光学系60又は別途分光エリプソメータを用いて実測してた得た分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)の実測値を用いることもできる。
【0051】
また、ライブラリ74については、本実施例のドライエッチング装置50では、その分光エリプソメータ光学系60のコンピュータ70が算出して保存する構成としたが、例えば、ライブラリ74自体がドライエッチング装置50と通信接続された加工管理装置によって予め算出、保存されており、ドライエッチング装置50には、この加工管理装置からダウンロードされたライブラリ74が保存・更新される構成であってもよい。
【0052】
加工装置としてのドライエッチング装置50では、所望のブレーズ形状32を有した回折格子30を加工開始するのに際して、このようにしてライブラリ74が準備されると、例えば、反応室(加工室)51内のステージ52に載置されたサンプル40に対し、加工部80としての供給部からエッチングガスやイオン,ラジカルを供給開始させたり、又は、搬入/搬出機構によりエッチングガスやイオン,ラジカルが供給されている反応室51内のステージ52にサンプル40を搬入したり等して、所望のブレーズ形状32を有した回折格子30を加工開始できるようになる。
【0053】
ドライエッチング装置50は、所望のブレーズ形状32を有した回折格子30のエッチング加工を実際に開始すると、分光エリプソメータ光学系60では、光源63及び偏光素子64からなる照射系61、偏光素子65,回転駆動装置66及び分光検出器67からなる反射系62が作動開始して、実際の加工の進捗に従って逐次変化するブレーズ形状32からの偏光素子65を通過した反射光L2を、分光検出器67により所定の波長帯域毎に分光して、光信号増幅器68で増幅し、A/D変換器69でデジタル信号に変換して、所定の波長帯域毎の反射光L2の強度を検出する(S30)。これにより、分光検出器67では、実際の加工開始によって逐次変化しているサンプル40表面のブレーズ形状32の実際の形状状態が、その加工進捗状態(形状変化状態)毎に応じて、所望の波長毎の強度として逐次検出され、測定されることになる。
【0054】
そこで、分光エリプソメータ光学系60のコンピュータ70は、光学的特徴量算出部71として、ブレーズ形状32の実際の加工進捗に応じて測定された所望の波長毎の反射光L2の強度を分光検出器67から逐次取り込んで、この取り込んだ所望の波長毎の反射光L2の強度に基づいて、現在の加工中のブレーズ形状32の、所望の波長毎の光学的特徴量である分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を逐次算出する(S40)。これにより、サンプル40の実際の加工が開始されると、光学的特徴量算出部71としてのコンピュータ70は、今度は、現在の、加工中のブレーズ形状32に係る、図3に示したような分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を、逐次算出することになる。
【0055】
その上で、コンピュータ70は、現在の、加工中のブレーズ形状32に係る分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を算出する毎に、今度は光学的特徴量探索部72として、ライブラリ74として保存されている、理想的な加工進捗状態(形状変化状態)に応じた様々なブレーズ形状32毎の分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)の中から、今回算出結果の、現在加工中のブレーズ形状32に係る分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)と最も一致する、所定の理想的な加工進捗状態の分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を探索する(S50)。
【0056】
そして、コンピュータ70は、三次元形状特徴量比較部73として、その探索結果の所定の理想的な加工進捗状態の分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)に対応付けられた三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)を取得する(S60)。この場合、探索結果の所定の理想的な加工進捗状態の分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)から求められた三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)は、現在実際に加工中のブレーズ形状32の加工進捗状態(形状変化状態)を最も反映したものであり、実際の測定値に極めて近い値に該当する。
【0057】
これにより、被加工物10としてのサンプル40に形成する三次元形状11が、図8(a),(b)に示した平坦膜21や有底孔23のように加工中に変化をモニタすべき形状パラメータが一つ又はごく少数である三次元構造(立体構造)であるか、又は図8(c)及び図9に示したブレーズ形状32のように加工中に変化をモニタすべき形状パラメータが多数になる複雑な三次元構造であるかに拘わらず、三次元形状11からの所望の波長毎の反射光L2の強度を測定検出するだけで、被加工物10としてのサンプル40に形成する三次元形状11が回折格子30の繰り返し格子溝33のように複雑になっても、多数の形状パラメータを個別に測定検出して三次元形状11を統合的に解析するまでもなく、容易かつ迅速に、現在の、実際の加工進捗状態(形状変化状態)における三次元形状11を取得できるようになっている。
【0058】
その上で、コンピュータ70は、さらに三次元形状特徴量比較部73として、現在の加工中のブレーズ形状32の、ステップS50の探索結果に基づき取得された、現在の、実際の加工進捗状態(形状変化状態)に該当する三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)を、ライブラリ74の中の理想的な加工終了状態(完成状態)のブレーズ形状32の三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)と比較する(S70)。そして、コンピュータ70は、三次元形状特徴量比較部73として、この比較結果に基づいて、現在、加工中の三次元形状11である回折格子30の格子溝31の加工が終了したか否かを判定する(S80)。
【0059】
コンピュータ70は、この比較の結果、現在の、実際の加工進捗状態(形状変化状態)に該当する三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)が、理想的な加工終了状態(完成状態)のブレーズ形状32の三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)に対し、両者間の差が予め設定された所定の範囲以下になっていれば、反応室51内にエッチングガスやイオン,ラジカルを供給する供給部、或いは反応室51内に対しサンプル40を搬入/搬出する搬入/搬出機構等といったドライエッチング装置50の加工部80に加工終了信号を出力し、被加工物10に対する三次元形状11の加工を終了させる。一方、両者間の差が予め設定された所定の範囲以下になっていなければ、コンピュータ70は、ステップS30以下の処理を繰り返し、被加工物10に対する三次元形状11の加工を続行する。
【0060】
この結果、本実施例のドライエッチング装置50によれば、被加工物10であるサンプル40上に回折格子30の格子溝31のような複雑な三次元形状11を形成する場合であっても、加工中における被加工物10の三次元形状11の形状変化を容易かつ迅速に追跡しながら、高い精度で加工を終了させることができる。
【0061】
加えて、本実施例の場合は、三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)と光学的特徴量(Ψ,Δ)との間に一意的な相関がとれない場合であっても、加工中における被加工物10の三次元形状11の形状変化を追跡していることによって、三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)と光学的特徴量(Ψ,Δ)との間の一意的な相関を実質的にとることができ、高い精度で加工を終了させることができる。
【0062】
さらに、加工中における被加工物10の状態や加工環境等の変化により、例えば、被加工物10の単位時間当たりの加工量に変化若しくは変動が生じてしまう等といったプロセス変動がドライエッチング装置50に生じた場合であっても、加工中における被加工物10の三次元形状変化を追跡することにより、このプロセス変動が及ぼす加工超過や加工不足といった悪影響を抑えて、被加工物10に複雑な三次元形状11を高い精度で加工することができる。
【0063】
また、上述した三次元形状変化検出処理では、ステップS60で求めた現在の、実際の加工進捗状態(形状変化状態)に該当する三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)は、ステップS70で理想的な加工終了状態(完成状態)のブレーズ形状32の三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)との比較に用いることについてだけ説明したが、実際の加工進捗状態(形状変化状態)に該当する三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)や、これら三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)に基づきシュミレーションした三次元形状11の画像を逐次表示することも可能である。これによれば、被加工物10の実際の加工中にプロセス変動が生じても、その経時的な変化の違いから視覚的に把握できる。
【0064】
<第2の実施例>
第1の実施例のドライエッチング装置50では、光学的特徴量として分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を用いた場合について示したが、光学的特徴量として、被加工物10に照射される照射光L1の光量に対し、被加工物10で反射した反射光L2の光量比を波長毎に算出した分光反射率を用いた場合でも、同様の効果を得ることができる。なお、本実施例の説明では、光学的特徴量として分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を用いた第1の実施例のドライエッチング装置50と同一若しくは同様な構成又は手順については同一符号を付して、重複する詳細な説明は省略する。
【0065】
図4は、光学的特徴量として分光反射率を用いた本実施例のドライエッチング装置に設けられた分光反射率検出光学系の概略構成図である。
【0066】
ドライエッチング装置50は、図4に示すように、反応室51内で加工中のサンプル40の表面に測定光L1を照射し、そのサンプル40からの反射光L2を受光して、加工中のサンプル40による反射光L2の分光データを取得するするため、分光反射率検出光学系90が備えられている。分光反射率検出光学系90は、光源63、ハーフミラー94、偏光素子95、対物レンズ96、分光検出器67、光信号増幅器68、A/D変換器69、コンピュータ70を有する構成になっている。
【0067】
照射系61の光源63から出射した光(白色光)は、ハーフミラー94でその方向を変え、偏光素子95及び対物レンズ96を介して、被加工物10の垂直上方から、被加工物10としてのサンプル40の表面(加工面)に測定光L1として照射される。この測定光L1の照射を受け、サンプル40の表面で反射した反射光L2は、再び対物レンズ96及び偏光素子95を通って、ハーフミラー94を透過して、分光データ取得部としての分光検出器67に入射する。分光検出器67により分光検出された所定の波長帯域毎の反射光L2の強度は、光信号増幅器68により増幅され、A/D変換器69でアナログ信号をデジタル信号に変換されて、コンピュータ70に取り込まれる。
【0068】
その上で、図1に示した、第1の実施例の分光エリプソメータ光学系60のコンピュータ70の場合は、光学的特徴量として分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を用い、光学的特徴量算出部71、光学的特徴量探索部72、光学的特徴量比較部75として機能して三次元形状変化検出処理を行うのに対して、本実施例のドライエッチング装置では、分光反射率検出光学系90のコンピュータ70は、光学的特徴量として分光反射率を用い、光学的特徴量算出部71、光学的特徴量探索部72、光学的特徴量比較部75として機能して三次元形状変化検出処理を行う。
【0069】
そのため、本実施例では、分光反射率検出光学系90のコンピュータ70は、図2のステップS10で示した基準データの算出処理では、理想的な加工の進捗に従って良好に変化するブレーズ形状32に係る光学的特徴量を、理想的な加工進捗状態(形状変化状態)毎のブレーズ形状32それぞれに、連続的又は離散的に所定の波長帯域を有する光源63から出射した光(白色光)を照射した場合の、図5に示すような反射光L2の波長毎に対応して算出された分光反射率%Rで算出する。
【0070】
図5は、光学的特徴量の一例としての分光反射率%Rを示した図である。
【0071】
したがって、本実施例では、分光反射率検出光学系90のコンピュータ70は、図2のステップS20で示したライブラリ74の保存処理では、理想的な加工進捗状態(形状変化状態)の様々なブレーズ形状32毎に、三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)とその分光反射率%Rとが対応付けられたライブラリ74が保存されることになる。そして、図2のステップS30以下で示した、ドライエッチング装置50が所望のブレーズ形状32を有した回折格子30のエッチング加工を実際に開始した処理では、分光反射率検出光学系90のコンピュータ70は、図2のステップS40では、光学的特徴量算出部71として、現在の加工中のブレーズ形状32の、所望の波長毎の分光反射率%Rを逐次算出し、ステップS50では、光学的特徴量探索部72として、現在加工中のブレーズ形状32に係る分光反射率%Rと最も一致する、所定の理想的な加工進捗状態の分光反射率%Rを探索し、ステップS60では、三次元形状特徴量比較部73として、その探索結果の所定の理想的な加工進捗状態の分光反射率%Rに対応付けられた三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)を取得するようになっている。
【0072】
<第3の実施例>
第1及び第2の実施例では、分光エリプソメータ光学系60又は分光反射率検出光学系90のコンピュータ70は、図1又は図4に示すように、光学的特徴量算出部71、光学的特徴量探索部72、三次元形状特徴量比較部73として機能する構成としたが、本実施例では、分光エリプソメータ光学系60又は分光反射率検出光学系90のコンピュータ70は、光学的特徴量算出部71として機能する点は同じであるが、光学的特徴量探索部72、三次元形状特徴量比較部73として機能するのに代えて、光学的特徴量比較部75として機能するようになっている。
【0073】
図6は、ドライエッチング装置が分光エリプソメータ光学系を備えている場合を例に、分光反射率検出光学系によって実行される三次元形状変化検出処理の別の実施例を示したフローチャートである。
【0074】
図6において、ステップS10で示す基準データの算出処理では、図2のステップS10で示した基準データの算出処理と同様に、所望のブレーズ形状32を有した回折格子30を加工開始するのに際して、コンピュータ70は、光学的特徴量算出部71として、被加工物10の材質情報と、ブレーズ形状32(三次元形状11)の理想的な加工終了状態(完成状態)に対応した三次元形状特徴量とに基づいて、基準データとして、RCWAを用いてブレーズ形状32(三次元形状11)の理想的な加工終了状態の分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)で算出する(S10)。
【0075】
ステップS21で示すライブラリ74の保存処理では、図2のステップS20で示したライブラリ74の保存処理とは異なり、コンピュータ70は、この算出したブレーズ形状32の理想的な加工終了状態の分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)をメモリに記憶し、メモリに光学的特徴量のライブラリ74を作成する。
【0076】
ステップS30で示す、ドライエッチング装置50がエッチング加工を実際に開始した後の、所定の波長帯域毎の反射光L2の強度の測定処理では、コンピュータ70は、光学的特徴量算出部71として、図2のステップS30と同様に、実際の加工開始によって逐次変化しているサンプル40表面のブレーズ形状32の実際の形状状態を、反射光L2の所望の波長毎の強度として逐次検出して測定する。
【0077】
ステップS40で示す、光学的特徴量である分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)の算出処理では、コンピュータ70は、光学的特徴量算出部71として、図2のステップS40で示した分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)の算出処理と同様に、ブレーズ形状32の実際の加工進捗に応じて測定された所望の波長毎の反射光L2の強度を分光検出器67から逐次取り込んで、この取り込んだ所望の波長毎の反射光L2の強度に基づいて、現在の加工中のブレーズ形状32の、所望の波長毎の光学的特徴量である分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を逐次算出する(S40)。
【0078】
ステップS71で示す現在の、加工中のブレーズ形状32と理想的な加工終了状態(完成状態)のブレーズ形状32との比較処理では、図2のステップS70で示した比較処理とは異なり、コンピュータ70は、三次元形状特徴量比較部73としてではなく、光学的特徴量比較部75として、現在の加工中のブレーズ形状32の、ステップS40の算出結果に基づき取得された、現在の、実際の加工進捗状態(形状変化状態)に対応する分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)を、ライブラリ74の中の理想的な加工終了状態(完成状態)のブレーズ形状32の分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)と比較する。
【0079】
ステップS81で示す現在の、加工中の三次元形状11の加工終了判定処理では、図2のステップS80で示した加工終了判定処理とは異なり、コンピュータ70は、三次元形状特徴量比較部73としてではなく、光学的特徴量比較部75として、現在の、実際の加工進捗状態(形状変化状態)に対応する分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)が、理想的な加工終了状態(完成状態)のブレーズ形状32の分光エリプソメトリックデータ(Ψ,Δ)に対し、両者間の差が予め設定された所定の範囲以下になっているか否かで判定する。
【0080】
本実施例では、第1及び第2の実施例とは異なり、被加工物10の三次元形状11について、加工中の三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)の変化をモニタするかわりに、RCWAを用いて予め算出し、基準データとしてライブラリ74に保存してある、ブレーズ形状32(三次元形状11)の理想的な加工終了状態の光学的特徴量(Ψ,Δ)若しくは%Rと、被加工物10の加工中に得られる、現在の、実際の加工進捗状態(形状変化状態)に対応する光学的特徴量(Ψ,Δ)若しくは%Rとを比較し、その差が所定値以下になったら加工を終了させるようになっている。
【0081】
本実施例によれば、三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)と光学的特徴量(Ψ,Δ)若しくは%Rとの間に一意的な相関がある場合には、加工中の三次元形状特徴量(θ1,θ2、w,h,r)の変化をモニタせずとも、第1及び第2の実施例の場合と同様に、加工中における被加工物10の三次元形状11の変化を逐次追跡しながら、高い精度で被加工物10に三次元形状11を形成することができる。
【0082】
以上、本発明に係る三次元形状検出方法及び三次元形状加工装置について説明したが、本発明の実施の形態は上記説明した実施の形態に限られるものではなく、被加工物上に三次元形状を形成する場合において、加工中における被加工物の三次元形状の変化を逐次追跡しながら、この加工中に追跡した被加工物の三次元形状から被加工物に対する加工を終了させるべきタイミングを検出するものであればよい。
【符号の説明】
【0083】
10 被加工物、 11 三次元形状、 22 基板、 21 平坦膜、
22 基板、 21 平坦膜、 23 有底孔、 23b 底面、
23s 内周面、 30 回折格子、 31 格子溝、 32 ブレーズ形状、
32a,32b 底辺角部分、 32c 頂部部分、
32ac,32bc 斜面(斜辺)部分、 33 溝孔、 40 サンプル、
41 フォトレジスト、 41t 頂部側フォトレジスト部分、
41b 底部側フォトレジスト部分、 42 シリコンウェハ、
50 ドライエッチング装置、 51 反応室、 52 ステージ、
60 分光エリプソメータ光学系、 61 照射系、 62 反射系、
63 光源、 64 偏光素子、 65 偏光素子、 66 回転駆動装置、
67 分光検出器、 68 光信号増幅器、 69 A/D変換器、
70 コンピュータ、 71 光学的特徴量算出部、 72 光学的特徴量探索部、
73 三次元形状特徴量比較部、 74 ライブラリ、
75 光学的特徴量比較部、 80 加工部、90 分光反射率検出光学系、
94 ハーフミラー、 95 偏光素子、 96 対物レンズ
図1
図2
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図9