【解決手段】走行先の経路に関する情報として、走行中区間の道路リンクと走行先区間の道路リンクとを取得し(ステップS10)、両リンクの相対角度Xを求める(ステップS11)。その後、求めた相対角度Xに基づいて、運転者(ユーザ)の視線移動先に対応する表示位置((G1)〜(G5)のいずれか)に運転支援情報を表示させるようにした(ステップS12〜S20)。
前記予測部は、少なくとも走行可能な経路の形状を含んだデータから、前記経路における走行中区間と、前記走行中区間の先に位置する走行先区間とを特定し、両区間の相対角度を求め、
前記表示制御部は、前記相対角度に基づいて、前記運転者の視線移動先に対応する位置に前記情報の表示先を変更することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
前記予測部は、道路区間を示す線分である道路リンクの情報から、走行中区間の道路リンクと走行先区間の道路リンクとを特定し、両リンクの相対角度を求めることを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
前記予測部は、現在位置に基づいて走行中区間の道路リンクを特定し、目的地までの誘導経路に基づいて前記走行先区間の道路リンクを特定することを特徴とする請求項3に記載の情報表示装置。
前記表示制御部は、前記相対角度が、左右への視線移動が相対的に小さい予め定めた角度範囲内の場合に、直進走行時に対応する表示領域に前記情報を表示させ、前記相対角度が、前記角度範囲を超える場合に、前記直進走行時に対応する表示領域以外の表示領域に前記情報を表示させることを特徴とする請求項5に記載の情報表示装置。
前記予測工程では、少なくとも走行可能な経路を含んだ地図データから、前記経路における走行中区間と、前記走行中区間の先に位置する走行先区間とを特定し、両区間の相対角度を求め、
前記表示制御工程では、前記相対角度に基づいて、前記ユーザの視線移動先に対応する位置に前記情報の表示先を変更することを特徴とする請求項8に記載の情報表示方法。
前記予測工程では、道路区間を示す線分である道路リンクの情報から、走行中区間の道路リンクと走行先区間の道路リンクとを特定し、両リンクの相対角度を求めることを特徴とする請求項9に記載の情報表示方法。
前記予測工程では、現在位置に基づいて走行中区間の道路リンクを特定し、目的地までの誘導経路に基づいて前記走行先区間の道路リンクを特定することを特徴とする請求項10記載の情報表示方法。
前記表示制御工程では、前記相対角度に基づき、前記ユーザの異なる視線移動先に対応する複数の表示領域のうち、視線移動先に対応するいずれかの前記表示領域に前記情報を表示させることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の情報表示方法。
前記表示制御工程では、前記相対角度が、左右への視線移動が相対的に小さい予め定めた角度範囲内の場合に、直進走行時に対応する表示領域に前記情報を表示させ、前記相対角度が、前記角度範囲を超える場合に、前記直進走行時に対応する表示領域以外の表示領域に前記情報を表示させることを特徴とする請求項12に記載の情報表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施形態に係る車両用情報表示装置1の設置態様を模式的に示した図であり、
図2は車両用情報表示装置1を含む運転支援システムを示したブロック図である。
図1に示すように、車両用情報表示装置1は、車両2のフロントウィンドウ3下方のダッシュボード4内に配置され、車両2のハンドル2A等を操作する運転者5(ユーザ)に向けて種々の情報を表示する車載装置として構成され、HUD31と、記憶部41と、制御部51とを備えている。
HUD31は、いわゆるヘッドアップディスプレイ(HUD)であり、フロントウィンドウ3に像を投影することで虚像7を、フロントウィンドウ3を通して見える風景(前景とも称する)に重畳して表示する表示部として機能する装置である。
なお、この車両用情報表示装置1は、虚像7として、運転操作に関わる情報(例えば、速度警告)を表示することで、運転者5の運転を支援する運転支援装置としても機能するものである。
【0010】
車両2には、車両用情報表示装置1の他に、
図2に示すように、車両コントローラ10や周辺検知装置12が設けられており、これらが車両用情報表示装置1を含めてCAN(Controller Area Network)11によって接続され、相互に情報を授受している。なお、CAN11に代えて他の車載LAN等の任意の通信回線を用いることもできる。
【0011】
車両コントローラ10は、車両2の走行に係る情報である走行情報を検出し、車両用情報表示装置1に出力する。より具体的には、車両コントローラ10は、走行情報として、少なくとも車両2の車速を示す車速情報と、ブレーキが操作状態か否かを示すブレーキ操作情報とを検出して出力する。すなわち、車両コントローラ10は、車速センサ22と、ブレーキ操作センサ23とを備えている。車速センサ22は、車輪の回転数や変速機の出力側の回転数を計測することにより車両2の車速を検出するセンサであり、ブレーキ操作センサ23はサイドブレーキが操作状態か否かを検出するセンサである。なお、走行情報には、これらの他にも任意の情報を含めることができ、また、この種の情報検出のために、車両コントローラ10に適宜のセンサを設けるようにしても良い。
【0012】
周辺検知装置12は、車両2(自車両)の周辺に存在する物体を検知する装置であり、特に、走行方向前方に存在する物体と車両2との位置関係を検知する。本実施形態では、周辺検知装置12は、周辺を撮像するカメラ25と、撮像画像に所定の処理を施す画像処理部26とを備えている。
カメラ25は、少なくとも車両2の走行方向前方を含む周辺を逐次に撮像する小型のCCD等の撮像装置である。画像処理部26は、カメラ25により撮像された撮像画像に対して画像認識処理を施して所定の対象物の有無を検出する。所定の対象物としては、例えば、走行方向前方を走行する先行車両、歩行者、路上設置物、路上障害物、走行レーン等である。さらに、画像処理部26は、上記の対象物が検出された場合、その対象物の大きさや自車両から対象物までの距離や方向を求め、車両2から対象物との位置関係及びその変化量を、撮像画像の画像処理によって算出する。
なお、周辺検知装置12には、カメラ25を用いない装置を用いても良く、例えば、レーダ測距装置を用いても良い。また、カメラ方式とレーダ方式とを併用し、認識結果を補間するように構成しても良い。
【0013】
HUD31は、投影装置35、及び、投影光学系36を備えている。投影装置35は、制御部51の制御の下、虚像7の投影像を投影光学系36に入射する。投影光学系36は投影装置35の投影像を、車両2のフロントウィンドウ3に投影する光学系であり、フロントウィンドウ3に設定した所定の大きさの投影面3A(
図1)に投影像を拡大投影する。なお、投影光学系36を構成する光学素子には反射型光学素子、及び、透過型光学素子を適宜に用いることができる。またHUD31による虚像7の表示方式には、任意の方式を用いることができる。
【0014】
図2に示すように、記憶部41は、地図用データベース42と、表示用データベース43とを備えている。なお、
図2、及び、以下の説明においては、データベースを「DB」と表記する。地図用DB42は、車両2が走行し得る経路の情報である経路情報42Aを含んだ地図データを格納し、経路情報42Aは、車両2等の通行する道路の情報である道路情報を含んでいる。道路情報は、
図3に例示するような道路リンク(
図3中、符号Lを付して示す線)を含むデータで構成されている。
道路リンクは、道路の形状を所定の区間毎に直線近似したものであり、それぞれの道路リンクの結節点には道路ノード(
図3中、符号Nを付して示す点)が付され、これら道路リンク及び道路ノードによって、道路網が表現されている。なお、
図3では、車両2の位置を三角図形で示しており、この三角図形の最も鋭角の頂点が車体前側を示し、つまり、車両の移動方向を示している。
【0015】
道路リンクには、
図4(A)に示すように、道路リンクを特定するユニークな番号(リンクID)、各道路リンクが示す道路区間の起点・終点、リンク長、道路種別(国道、都道府県道・・・)等が付与される。道路ノードには、
図4(B)に示すように、道路ノードを特定するユニークな番号(ノードID)、道路ノードを介して接続される道路リンク同士の通行規制やレーン情報等が付与される。また、経路情報32Aには道路の法定速度や種々の規制情報も含まれている。また、各道路ノードに対応して、その地点で目印となる交差点の名称や、付近に有る施設の記号データ、交差点の画像データ等も含むようにしても良い。この経路情報32Aには、道路ノードと道路リンクを含む公知の情報を広く適用可能である。
【0016】
図2に示す表示用DB43は、表示対象の情報を格納する。表示対象の情報には、大別すると、運転者5の運転を支援するための運転支援情報GA(後述する
図9(A)等を参照)と、運転支援情報GA以外の情報(以下、非運転支援情報と言う)GT(後述する
図9(A)等を参照)とがある。本実施形態では、運転支援情報GAを格納する運転支援用DB33Aと、非運転支援情報GTを格納する非運転支援用DB33Bとに分類して格納している。なお、データベースを分類する方法に限らず、運転支援情報GAか否かを判別可能にした上で、共通のデータベースに構成しても良い。
運転支援情報GAは、運転操作に関わる情報であり、例えば、速度警告、障害物警報(歩行者警報を含む)、走行レーン逸脱警告、前方車間警報に対応する表示情報である。また、非運転支援情報GTは、例えば、時刻情報である。
【0017】
制御部51は、虚像7(
図1)に対応する表示画像を生成し、HUD31に表示させる処理等を行うものであり、
図2に示すように、位置検出部52と、ナビゲーション部53と、予測部54と、表示制御部55とを備えている。
位置検出部52は、車両2の現在位置を検出する位置検出処理(位置検出工程)を行うものであり、GPS(Global Positioning System)等の測位機能を備えている。ナビゲーション部53は、予め指示された目的地への経路案内を行うナビゲーション処理を行う。具体的には、目的地が設定されると、地図用DB32に記憶された経路情報32Aに基づいて目的地までの誘導経路を検索し、音声や情報表示により経路案内を行う。このナビゲーション処理には、公知のナビゲーション処理を広く適用可能である。なお、ナビゲーション用プログラムや、運転支援情報GAに関わる各種処理等を行うための制御プログラムは、制御部51内の不図示のROMに記憶され、不図示のCPU(コンピュータ)により読み出して実行される。
【0018】
表示制御部55は、虚像7(
図1)として、ナビゲーション用の画像や、車両コントローラ10の出力情報や周辺検知装置12の出力情報に基づく運転支援情報GA等の表示が行われるように制御する(表示制御工程)。なお、表示制御部55は、記憶部41に記憶された各種情報を用いて、HUD31の表示画面に対応する画像を生成し、この画像に対応する映像信号をHUD31に出力することによって、運転者5の前方に様々な画像を表示させる。
【0019】
図2に示す予測部54は、運転者5の視線移動先を予測する予測処理(予測工程)を行うものであり、例えば、車両2のこれからの走行方向に基づいて運転者5がこれから見る方向を予測すべく、車両2の走行先に関する情報を取得し、この情報に基づいて運転者5の視線移動先を上記予測処理により特定する
この予測部54は、走行中区間特定部54Aと、走行先区間特定部54Bとを備えており、走行中区間特定部54Aは、位置検出部52が検出した現在位置に基づいて経路情報32Aを参照することにより、現在の走行区間、つまり、走行中区間の道路リンクを特定する。また、走行先区間特定部54Bは、走行中区間の道路リンクの走行先に位置する走行区間、つまり、走行先区間の道路リンクを特定する。
【0020】
より具体的には、走行先区間特定部54Bは、ナビゲーション部53によって目的地までの経路案内を行っている場合、誘導経路に基づいて経路情報32Aを参照し、誘導経路上であって、走行中区間の道路リンクから予め定めた距離内(本実施形態では100m内)に道路ノードが存在するか否かを判定し、存在する場合に、最も近い道路ノードにつながる道路リンクを、走行先区間の道路リンクとして特定する。なお、上記予め定めた距離は適宜に変更しても良い。
【0021】
一方、ナビゲーション部53が経路案内を行っていない場合や誘導経路を設定していない場合には、上記の誘導経路に基づく走行先区間の道路リンクの特定ができない。この場合、走行先区間特定部54Bは、走行中区間特定部54Aによって特定した道路リンクに関連する情報に基づいて、走行先区間の道路リンクを特定する処理を行う。
例えば、走行中区間の道路リンクの種別(国道、都道府県道・・・)及び車両2の進行方向等に基づいて、走行中区間の道路リンクを含む同一道路を同じ進行方向に走行したと仮定し、その場合に予め定めた距離内(本実施形態では100m内)の道路ノードが存在するか否かを判定し、存在する場合に、最も近い道路ノードを始点とする道路リンクを、走行先区間の道路リンクとして特定する。なお、走行先区間の道路リンクや走行中区間の道路リンクを特定する処理は、上記の処理に限定する必要はなく、他の処理を適用しても良い。
【0022】
予測部54は、上記の各リンクを特定する処理を、繰り返し実行することにより、両リンクをほぼリアルタイムで特定する。但し、車速が零のときやサイドブレーキ操作中で停車中と判断できる場合は、上記処理を中断することが好ましく、車速が予め定めた閾値を超えて走行中と判断できる場合に上記処理を行うことが好ましい。
予測部54が各リンクを特定する処理を行うと、表示制御部55は、走行中区間の道路リンクと、走行先区間の道路リンクとの相対角度X(角度差)を算出し、相対角度Xに基づいて運転支援情報GAの表示位置を変更する後述する表示位置変更処理を行う。
なお、
図2は、本願発明を理解容易にするために、車両用情報表示装置1の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、車両用情報表示装置1の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。
【0023】
図5はHUD31により運転者5の前方に表示される虚像7を、フロントウィンドウ3を通して見える道路RDと共に示した図である。なお、
図3中、符号DA,DB,DCは道路RDの両端及び中央線を示し、符号DA,DC間が車両2の走行レーンLNを示している。
また、
図5には、HUD31により誘導経路を示す誘導画像GLを、運転者5から見て上記道路RD(走行レーンLN)に重なるように表示するとともに、HUD31が運転支援情報GA等の情報を表示する複数の表示領域(G1),(G2),(G3),(G4),(G5)、(G6)、(G7)を示している。
【0024】
本実施形態では、運転支援情報GAを表示する表示領域が、5つの表示領域(G1),(G2),(G3),(G4),(G5)とされている。これら表示領域(G1)〜(G5)は、運転者5から見て、フロントウィンドウ3の全幅を利用して左右に間隔を空けて設けられ、左端から右側に行くに従って表示領域(G1),(G2),(G3),(G4),(G5)の順に設けられている。また、左右中央の表示領域G3は運転者5から見て左右中央に設けられる。
【0025】
図6は表示位置変更処理を示したフローチャートである。なお、この表示位置変更処理は繰り返し実行される処理である。
まず、制御部51は、予測部54により走行中区間の道路リンクと、走行先区間の道路リンクとを特定する処理を行う(ステップS10)。次に、制御部51は、予測部54により特定された、走行中区間の道路リンクと、走行先区間の道路リンクとの相対角度Xを算出する処理を行う(ステップS11)。この相対角度Xは、走行中区間から走行予定区間に至る屈曲角度、つまり、走行先のカーブ角度に相当するため、相対角度Xが0°又は180°の場合は直線経路であることを示す。
図7は相対角度Xと車両2との関係を示している。
【0026】
図7では車両2を三角画像で示し、
図7の上方向が車両2の進行方向に相当し、
図7の右方向が車両2の右方向に相当し、
図7の左方向が車両2の左方向に相当している。
図7に示すように、0°<相対角度X<180°の範囲が、走行中の道路リンクに対して走行先区間の道路リンクが左向きであることを示しており、すなわち、走行先が左カーブ(左折を含む)であることを示している。
また、180°<相対角度X<360°の範囲は、走行中区間の道路リンクに対して走行先区間の道路リンクが右向きであることを示しており、すなわち、走行先が右カーブ(右折を含む)であることを示している。
【0027】
本実施形態では、運転時は運転者5の視線が走行先の道路RDに移動することに着目し、走行中区間の道路リンクと走行先区間の道路リンクとの相対角度Xを求め、表示領域(G1)〜(G5)のうち運転者5の視線の移動先に最も近い表示領域に運転支援情報GAを表示するようにしている。
本実施形態では、相対角度Xを、左右のカーブのそれぞれに対して大・中・小の三段階のカーブに分類し、この分類に基づいて運転者5の視線の移動先に最も近い表示領域を特定する。より具体的には、同
図7に示すように、左への大カーブの範囲LLを、相対角度Xが112.5°未満の範囲とし、左への中カーブの範囲LMを、相対角度Xが112.5°以上、且つ、157.5°未満の範囲とし、左への小カーブの範囲LSを、相対角度Xが157.5°以上、且つ、180.0°未満の範囲としている。
【0028】
また、右への小カーブの範囲RSを、相対角度Xが180.0°以上、且つ、202.5°未満の範囲とし、右への中カーブの範囲RMを、相対角度Xが202.5°以上、且つ、247.5°未満の範囲とし、右への大カーブの範囲RLを、相対角度Xが247.5°以上の範囲としている。
そして、相対角度Xと表示位置(表示領域(G1)〜(G5))との対応関係を記述したテーブルデータDTを用意しておき、このテーブルデータDTに基づいて運転者5の視線移動先に対応する表示位置を容易に特定可能にしている。
【0029】
図8はテーブルデータDTの内容を示した図である。このテーブルデータDTは、記憶部41または制御部51に記憶されており、左への大カーブの範囲LL(相対角度Xが112.5°未満)の表示位置を、最も左側の表示領域(G1)にすること、及び、左への中カーブの範囲LM(相対角度Xが112.5°以上、且つ、157.5°未満)の表示位置を、表示領域(G1)よりも左右内側の左領域に位置する表示領域(G2)にすることが記述されている。
【0030】
また、テーブルデータDTには、左右への視線移動が相対的に小さいと予想される小カーブの範囲LS,RS(相対角度Xが157.5°以上、且つ、202.5°未満)の表示位置を、左右中央の表示領域(G3)にすること、右への中カーブの範囲RM(相対角度Xが202.5°以上、且つ、247.5°未満)の表示位置を、表示領域(G3)よりも右側に位置する表示領域(G4)にすること、及び、右への大カーブの範囲RL(相対角度Xが247.5°以上)の表示位置を、表示領域(G4)よりも右側に位置する表示領域(G5)にすることが記述されている。
【0031】
図6に戻り、制御部51は、上記テーブルデータDTを参照することにより、ステップS11で算出した相対角度Xに対応する表示位置((G1)〜(G5)のいずれか)を特定し、特定した表示位置に運転支援情報GAを表示させる。
具体的には、表示制御部55は、相対角度Xが112.5°未満の場合(ステップS12;Yes)、表示位置(G1)に運転支援情報GAを表示させる(ステップS13)。また、表示制御部55は、相対角度Xが112.5°以上、且つ、157.5°未満の場合(ステップS14;Yes)、表示位置(G2)に運転支援情報GAを表示させる(ステップS15)。
【0032】
また、表示制御部55は、相対角度Xが157.5°以上、且つ、202.5°未満の場合(ステップS16;Yes)、表示位置(G3)に運転支援情報GAを表示させる(ステップS17)。また、表示制御部55は、相対角度Xが202.5°以上、且つ、247.5°未満の場合(ステップS18;Yes)、表示位置(G4)に運転支援情報GAを表示させ(ステップS19)、それ以外の場合(相対角度Xが247.5°以上の場合)、表示位置(G5)に運転支援情報GAを表示させる(ステップS20)。
【0033】
このようにして運転支援情報GAの表示位置は、表示直前に得た相対角度Xに対応する表示位置とされる。このため、相対角度Xを得る毎に表示位置が更新され、例えば、運転支援情報GAを比較的長く表示している場合には、表示開始の時点で、表示位置(G1)に表示した場合でも、その後、相対角度Xの変更により、表示位置が他の表示位置((G2)〜(G5)のいずれか)に変更されることもある。なお、
図6において、ステップS10、S11が運転者5の視線移動先を予測する予測工程に相当し、ステップS12以降が予測結果に基づいて情報の表示位置を変更する表示制御工程に相当している。
【0034】
続いて、具体的な表示例を説明する。
図9(A)及び
図9(B)は車両2が略直線の道路RDを走行する場合の表示例を示している。
図9(A)に示すように、走行中の道路RDが直線道路の場合、走行中区間の道路リンクと走行先区間の道路リンクとの相対角度Xは略零となる。このため、適正速度であることを示す「KEEP SPEED」の運転支援情報GAを表示する場合、左右中央の表示領域(G3)に運転支援情報GAが表示される。
直線道路の走行時は、運転者5の視線移動先は左右中央であると考えられるため、運転者5の視線移動先に運転支援情報GAを表示することができる。従って、運転者5が運転支援情報GAを容易に見ることができる。なお、
図9(A)及び以下に説明する表示例では、時刻を示す非運転支援情報GTも表示した状態を示している。
図9(A)に示すように、時刻を示す非運転支援情報GTは予め定めた表示領域(G6)に表示される。
【0035】
図9(B)に示すように、走行先の道路RDが小カーブの場合、相対角度Xは112.5°以上、且つ、157.5°未満となり、運転支援情報GAは、直線道路の走行時と同じ位置の表示領域(G3)に表示される。この場合、運転者5の視線移動先は、左右中央若しくはその近傍に位置すると考えられるため、運転者5の視線移動先に運転支援情報GAを表示することができる。従って、小カーブの場合でも、運転者5が運転支援情報GAを容易に見ることができる。なお、非運転支援情報GTは表示領域(G6)に表示される。
【0036】
図10(A)及び
図10(B)は、車両2が左カーブの道路RDを走行する場合の表示例を示している。
図10(A)に示すように、走行先の道路RDが左への中カーブの場合、相対角度Xは112.5°以上、且つ、157.5°未満となり、運転支援情報GAは、表示領域(G2)に表示される。
また、
図10(B)に示すように、走行先の道路RDが左への大カーブの場合、相対角度Xは112.5°未満となり、運転支援情報GAは、表示領域(G1)に表示される。一般的に、運転者5の視線はカーブの曲がる方向に移動すると考えられるため、
図10(A)及び
図10(B)の場合も、運転者5の視線移動先に運転支援情報GAを表示することができる。従って、左カーブの場合でも、運転者5が運転支援情報GAを容易に見ることができる。なお、非運転支援情報GTは表示領域(G6)に表示される。
【0037】
図11(A)及び
図11(B)は、車両2が右カーブの道路RDを走行する場合の表示例を示している。
図11(A)に示すように、走行先の道路RDが右への中カーブの場合、相対角度Xは202.5°以上、且つ、247.5°未満となり、運転支援情報GAは、表示領域(G4)に表示される。
また、
図11(B)に示すように、走行先の道路RDが右への大カーブの場合、相対角度Xは247.5°以上となり、運転支援情報GAは、表示領域(G5)に表示される。このようにして、右カーブの場合でも、運転者5の視線移動先に運転支援情報GAを表示することができ、運転者5が運転支援情報GAを容易に見ることができる。なお、非運転支援情報GTは表示領域(G6)に表示される。
【0038】
また、交差点を左折する場合には、相対角度Xは約90°となるため、
図10(B)と同様に、運転支援情報GAは、表示領域(G1)に表示される。交差点の左折時には、運転者5の視線は大きく左に移動すると考えられるため、障害物警報等の運転支援情報GAを、左右中央の表示領域(G3)に表示していたのでは、運転者5の視野から外れてしまうおそれがある。また、運転者5が左折中に、表示領域(G1)の情報を見るために視線を移動したりすることで運転者5の負荷が高まってしまう可能性がある。
本実施形態では、左折時に左側の表示領域(G1)に運転支援情報GAを表示するため、走行先を見る運転者5の視線移動先に運転支援情報GAを表示することができ、上記の不具合を解消できる。さらに、本実施形態の構成によれば、交差点の右折時には、右側の表示領域(G5)に運転支援情報GAが表示されるため、交差点の右折時においても、走行先を見る運転者5の視線移動先に運転支援情報GAを表示することができ、運転者5が運転支援情報GAを容易に見ることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、予測部54(
図2)により走行先の経路に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、ユーザである運転者5の視線移動先を予測し、表示制御部55(
図2)により、予測した視線移動先に運転支援情報GAの表示先を変更するので、視線検出用のカメラを用いることなく、運転者5が運転支援情報GAを容易に見ることができる。
視線検出用のカメラを用いた場合には、部品点数の増加等によりコストが増加し、さらに、運転者5がサングラスをかけた状態では視線を検出することができない、といった不具合が生じるが、本実施形態では、このような不具合がない。
【0040】
しかも、予測部54は、少なくとも走行可能な経路の形状を含んだデータから、その経路における走行中区間と、この走行中区間の先に位置する走行先区間とを特定し、両区間の相対角度Xを求める。そして、表示制御部55は、相対角度Xに基づいて、運転者5の視線移動先に対応する位置に運転支援情報GAの表示先を変更する。これにより、走行可能な経路の形状に基づく車両2のこれからの走行方向を、運転者5の視線移動先として精度良く求めることができる。
【0041】
また、運転者5の視線がこれから向かうであろう方向に、運転支援情報GAを表示するので、運転者5は運転支援情報GAの表示位置によって、操舵する方向を事前に知ることができる、という効果も得られる。これによって、運転者5は、より余裕を持った操舵操作を行うことができる。
【0042】
さらに、予測部54は、道路区間を示す線分である道路リンクの情報から、走行中区間の道路リンクと走行先区間の道路リンクとを特定し、上記相対角度Xとして、両リンクの相対角度を求めるので、道路リンクの情報を利用して運転者5の視線移動先を簡易かつ高精度に予測することができる。しかも、地図表示やナビゲーションに広く使用される道路リンクの情報を用いるので、視線移動先の予測専用の情報が不要である。
【0043】
また、予測部54は、現在位置に基づいて走行中区間の道路リンクを特定し、目的地までの誘導経路に基づいて走行先区間の道路リンクを特定するので、両リンクを精度良く特定することができる。また、誘導経路が設定されていない場合には、走行中区間の道路リンクを含む同じ道路を走行したと仮定した場合の走行予定区間の道路リンクを特定するので、走行予定区間の道路リンクを継続して求めることができ、視線検出用のセンサや予測専用の情報が不要である。
【0044】
また、
図5に示すように、運転者5の異なる視線移動先に対応する複数の表示領域(G1)〜(G5)を有し、表示制御部55は、相対角度Xに基づき視線移動先に対応するいずれかの表示領域に運転支援情報GA(
図9〜
図11)を表示させるので、複数の表示領域(G1)〜(G5)の中から、運転者5の視線移動に合わせて適切な表示位置を選択することができる。
【0045】
また、表示制御部55は、
図6及び
図9(B)に示すように、相対角度Xが、左右への視線移動が相対的に小さい予め定めた角度範囲LS,RS(
図7)内の場合に、直進走行時に対応する表示領域(G3)に運転支援情報GAを表示させる。また、表示制御部55は、
図6、
図10及び
図11に示すように、相対角度Xが前記角度範囲LS,RSを超える場合に、表示領域(G3)以外の表示領域(G1)、(G2)、(G4)、(G5)に運転支援情報GAを表示させる。これらによって、運転支援情報GAを運転者5の視線移動先から大きくずれない位置に表示でき、また、左右への小カーブが続いた場合に表示位置が頻繁に変更される事態を抑制することができる。これによって、運転者5により見やすく表示させることができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、運転者5の前方に位置するフロントウィンドウ3に対応する領域に情報を表示する車両用情報表示装置1に適用するため、運転により運転者5の視線が左右に大きく移動しても、それに合わせてフロントウィンドウ3の適切位置に運転支援情報GAを表示させることができる。従って、運転者5が、視線を大きくずらして運転支援情報GAを見に行く必要がなく、運転のし易さと情報の見やすさとを両立することができる。
さらに、本実施形態では、表示対象の情報として、運転支援情報GAと非運転支援情報GT(他の情報)とがあり、相対角度Xに基づいて運転支援情報GAの表示位置を変更する一方で、非運転支援情報GTの表示位置を変更させないので、運転支援情報GAを重点的に見やすく表示させることができる。
【0047】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一実施の態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、運転者5の視線が走行先の経路に向くことに着目して、道路リンクの情報を利用して道路の形状を先読みし、運転者5の視線移動先を予測する場合を説明したが、道路リンクの情報に限らず、少なくとも走行可能な経路の形状を含んだデータから走行中区間と、走行中区間の先に位置する走行先区間とを特定することにより道路の形状を先読みするようにしても良い。
【0048】
また、それ以外の先読み方法を適用しても良い。例えば、位置検出部52により検出した現在位置を履歴として記憶することにより、走行履歴を蓄積し、この走行履歴上の地点を走行中の場合、現在の走行中区間の先に位置し、且つ、走行履歴上に位置する区間を走行先区間として特定するようにしても良い。また、車両2の前方を撮影する前方撮影カメラにより撮影された画像から走行先の道路の形状を画像認識し、走行先区間として特定するようにしても良い。
【0049】
また、上述した実施形態では、上記の表示処理等を行うための制御プログラムを車両用情報表示装置1に予め記憶しておく場合について説明したが、これに限らず、この制御プログラムを、磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記録媒体等のコンピューターが読み取り可能な記録媒体に格納し、コンピューターが記録媒体からこの制御プログラムを読み取って実行するようにしても良い。また、この制御プログラムを、通信ネットワーク(電気通信回線)を介して配信サーバー等からダウンロードできるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、運転者5用の情報を表示する車両用情報表示装置1及び車両用情報表示方法に本発明を適用する場合を説明したが、ユーザに情報を表示する表示装置に本発明を広く適用可能である。