特開2015-209268(P2015-209268A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧
<>
  • 特開2015209268-エアゾール容器用吐出具 図000003
  • 特開2015209268-エアゾール容器用吐出具 図000004
  • 特開2015209268-エアゾール容器用吐出具 図000005
  • 特開2015209268-エアゾール容器用吐出具 図000006
  • 特開2015209268-エアゾール容器用吐出具 図000007
  • 特開2015209268-エアゾール容器用吐出具 図000008
  • 特開2015209268-エアゾール容器用吐出具 図000009
  • 特開2015209268-エアゾール容器用吐出具 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-209268(P2015-209268A)
(43)【公開日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】エアゾール容器用吐出具
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/40 20060101AFI20151027BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20151027BHJP
【FI】
   B65D83/14 E
   B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-94169(P2014-94169)
(22)【出願日】2014年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PC02
3E014PC03
3E014PC08
3E014PD01
3E014PE14
3E014PE16
3E014PF10
4F033RA02
4F033RB08
4F033RC15
4F033RC21
(57)【要約】
【課題】使用者が深く考えることなく容易に分解及び組立てができるエアゾール容器用吐出具を提供する。
【解決手段】カバー部材20には、固定盤10に設けられた係合孔18に着脱自在に係止される爪部Tを設け、爪部Tを、カバー部材20の側壁を下端から切り欠く一対の縦スリット26によって形成される弾性片27と、該弾性片27の先端外壁面に設けられる外側突起28とで構成し、ノズル30には、弾性片27の内側に配置される脚部32iを設け、弾性片27の内壁面には、脚部32iとの接触を介して、弾性片27の内側への押圧に伴いカバー部材20を上昇させる案内突起29を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器のマウンティングカップに取り付けられる固定盤と、
前記エアゾール容器のステムに着脱自在に取り付けられるノズルと、
前記固定盤に着脱自在に取り付けられて前記ノズルを覆うカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、押圧力の付与にて前記ノズルを押し下げる操作部を備えるエアゾール容器用吐出具において、
前記カバー部材は、前記固定盤に設けられた係合孔に着脱自在に係止される爪部を備え、
前記爪部は、前記カバー部材の側壁を下端から切り欠く一対の縦スリットによって形成される弾性片と、該弾性片の先端外壁面に設けられる外側突起とで構成され、
前記ノズルは、前記弾性片の内側に配置される脚部を備え、
前記弾性片の内壁面には、前記脚部との接触を介して、前記弾性片の内側への押圧に伴い前記カバー部材を上昇させる案内突起を設けたことを特徴とするエアゾール容器用吐出具。
【請求項2】
前記脚部は、前記弾性片に向かう方向から下方へと曲がる屈曲部を備え、
前記案内突起は、下方に向かって外側に傾斜するとともに、前記屈曲部と接触する傾斜面を備える、請求項1に記載のエアゾール容器用吐出具。
【請求項3】
前記固定盤は、上下方向に延在して前記マウンティングカップを囲う垂直環状壁を備え、
前記ノズルは、前記垂直環状壁の外周面によって上下方向に案内される案内筒部を備え、該案内筒部の下端に前記脚部が連設されている、請求項1又は2に記載のエアゾール容器用吐出具。
【請求項4】
前記脚部は、前記固定盤の前記係合孔に挿入されて、該係合孔の内側縁部に係止される内側突起を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアゾール容器用吐出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に装着されるエアゾール容器用吐出具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物とともに加圧ガスを収容しておき、ステムを押し下げることで内容物を外部に吐出させるようにしたエアゾール容器としては、1つの容器内に一の内容物を収容するとともに1本のステムを有するシングルタイプの容器や、シングルタイプの容器を左右に並べて1組とした二連式タイプの容器(例えば特許文献1)の他、1つの容器内に2種類の内容物を別個に収容するとともに2本のステムを有する容器(例えば特許文献2)が知られている。
【0003】
このようなエアゾール容器では、ステムに着脱自在に装着されるノズルを備えるとともに、ノズルの脱落を防止し、また、容器の装飾効果を高めるために、マウンティングカップに固定される固定盤と、該固定盤に着脱自在に取り付けられてノズルを覆うカバー部材とを備えた吐出具が装着されるのが一般的である。カバー部材には操作部が設けられ、この操作部に押圧力を付与することにより、ノズルを押し下げて内容物を外部に吐出させることができる。このような吐出具は、使用後の洗浄時などに、ノズルを取り外すために、カバー部材を固定盤から取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−41510号公報
【特許文献2】特開2012−30886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような吐出具の分解及び組立ての際には、使用者はその要領をよく理解せずに行う場合が多い。このため、使用者が深く考えることなく容易に分解及び組立てができる吐出具が要望されている。
【0006】
本発明は、前記の現状に鑑み開発されたもので、使用者が深く考えることなく容易に分解及び組立てができるエアゾール容器用吐出具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.エアゾール容器のマウンティングカップに取り付けられる固定盤と、
前記エアゾール容器のステムに着脱自在に取り付けられるノズルと、
前記固定盤に着脱自在に取り付けられて前記ノズルを覆うカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、押圧力の付与にて前記ノズルを押し下げる操作部を備えるエアゾール容器用吐出具において、
前記カバー部材は、前記固定盤に設けられた係合孔に着脱自在に係止される爪部を備え、
前記爪部は、前記カバー部材の側壁を下端から切り欠く一対の縦スリットによって形成される弾性片と、該弾性片の先端外壁面に設けられる外側突起とで構成され、
前記ノズルは、前記弾性片の内側に配置される脚部を備え、
前記弾性片の内壁面には、前記脚部との接触を介して、前記弾性片の内側への押圧に伴い前記カバー部材を上昇させる案内突起を設けたことを特徴とするエアゾール容器用吐出具。
なお、本発明において、前記案内突起と前記脚部とは、前記弾性片の内側への押圧に伴って「接触」してもよいし、前記爪部の前記係合孔への係止時点で接触していてもよい。
【0008】
2.前記脚部は、前記弾性片に向かう方向から下方へと曲がる屈曲部を備え、
前記案内突起は、下方に向かって外側に傾斜するとともに、前記屈曲部と接触する傾斜面を備える、前記1のエアゾール容器用吐出具。
【0009】
3.前記固定盤は、上下方向に延在して前記マウンティングカップを囲う垂直環状壁を備え、
前記ノズルは、前記垂直環状壁の外周面によって上下方向に案内される案内筒部を備え、該案内筒部の下端に前記脚部が連設されている、前記1又は2のエアゾール容器用吐出具。
【0010】
4.前記脚部は、前記固定盤の前記係合孔に挿入されて、該係合孔の内側縁部に係止される内側突起を備える、前記1〜3のいずれかのエアゾール容器用吐出具。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吐出具を分解するに際しては、カバー部材の弾性片を内側に押圧することで、該弾性片を撓ませて、その先端に設けられた外側突起と固定盤の係合孔との係合を解除させられるだけでなく、弾性片の案内突起とノズルの脚部の接触を介して、弾性片の内側への押圧に伴いカバー部材を上昇させることができるため、カバー部材の取り外しを誘導することができる。また、吐出具の組立てに際しては、カバー部材の固定盤への取り付け時に、弾性片の案内突起をノズルの脚部で支持させることで弾性片の内側への退避を抑制しつつ、弾性片の外側突起を固定盤の係合孔に挿入させられるため、適度なアンダーカット乗越え感(感触乃至音)を与えることができる。
【0012】
したがって、本発明によれば、使用者が深く考えることなく容易に分解及び組立てができるエアゾール容器用吐出具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態であるエアゾール容器用吐出具をエアゾール容器に装着した状態で示す断面図(エアゾール容器は側面図)である。
図2図1に示すエアゾール容器用吐出具の平面図である。
図3図1に示すエアゾール容器用吐出具のエアゾール容器に装着された状態の正面図である。
図4図1に示すエアゾール容器用吐出具の正面視での断面図(エアゾール容器は正面図)である。
図5図1に示すエアゾール容器用吐出具のエアゾール容器に装着された状態の側面図である。
図6】本発明の他の実施の形態であるエアゾール容器用吐出具をエアゾール容器に装着した状態で示す断面図(エアゾール容器は側面図)である。
図7図6に示すエアゾール容器用吐出具の平面図である。
図8図6に示すエアゾール容器用吐出具の正面視での半断面図(エアゾール容器は正面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面において、「正面側」とは、図1において、ノズルの吐出口が位置する側であり、「背面側」とは、その反対側である。また、「左側」、「右側」とは、正面側から背面側に向かって見る際の左右方向をいう。そして「上側」とは、図1において、エアゾール容器に対してノズルが位置する側であり、「下側」とは、その反対側である。
【0015】
図1図5において、符号1は、本発明に従うエアゾール容器用吐出具(以下、単に「吐出具」と称す場合もある)の一実施形態であり、符号2は、吐出具1を装着するエアゾール容器(以下、単に「容器」と称す場合もある)である。吐出具1は、固定盤10、カバー部材20及びノズル30を有している。
【0016】
エアゾール容器2は、例えば金属製や合成樹脂製となる有底筒状の容器本体2aに、金属製となるマウンティングカップ2bを、その外縁を巻き締め等して固着したものであり、その内部には2種類の内容物が別個に収容されている。また容器2は、それぞれの内容物の収容空間につながる総計2本のステム2cを有している。
【0017】
マウンティングカップ2bの中央部には、その上面からステム2cを突出させるとともに平面視にてトラック状になる上段突起部2dと、上段突起部2dの長辺と略同一長さの直径を有し(図4参照)、上段突起部2dに連結する中段突起部2eと、中段突起部2eよりも大径であって中段突起部2eに連結する下段突起部2fとが設けられている。また、中段突起部2eの根元には環状となる中段凹部2gが設けられ、下段突起部2fの根元には環状となる下段凹部2hが設けられている。なお、上段突起部2dの平面視での形状は、矩形状でも楕円状でもよい。
【0018】
図1に示すように、固定盤10は、中央部に2本のステム2cを露出させる開口11を有する天壁12を備えている。開口11は、上段突起部2dに対応する形状をなし平面視でトラック状となっていて、天壁12の内縁には、上段突起部2dを取り囲むように垂下される内側環状壁13を備えている。また、内側環状壁13の下端においてその正面側及び背面側には、薄肉舌片13aを設けている。薄肉舌片13aは、固定盤10をマウンティングカップ2bに装着する前は、内側環状壁13に沿って下向きに延在するものであるが、装着によって図1に示すように径方向外側に向かって折り曲げられるものである。この点については後述する。
【0019】
天壁12の外縁には、天壁12から垂下される中間環状壁(垂直周壁)14を設けている。中間環状壁14は、ステム2cの軸方向と平行に上下方向に延在しており、マウンティングカップ2bの上段突起部2d及び中段突起部2eを取り囲んでいる。また、図4に示すように、中間環状壁14は、容器2の右側及び左側において内側環状壁13に連続し且つ中段突起部2eに接するように形成されている。そして中間環状壁14の下端には、下段突起部2fの上面に接するとともに径方向外側に向けて延在する上部フランジ15が設けられていて、上部フランジ15の下面には、下段突起部2fと全周に亘って接する内部環状壁15aを設けている。図1に示すように、内部環状壁15aの内面には、マウンティングカップ2bの下段凹部2hに係合する凸部15bを間欠状に設けている。なお、凸部15bを、内部環状壁15aの全周に亘って設けてもよい。また、上部フランジ15の外縁には、下方に向けて延在する外側環状壁16aと、外側環状壁16aの下端から径方向外側に延在する下部フランジ16bとからなる段部16を設けていて、下部フランジ16bの外縁には、マウンティングカップ2bの外縁に向けて垂下される環状の外壁17を設けている。図4に示すように、段部16には、上部フランジ15の一部、外側環状壁16a、及び下部フランジ16bの一部を切り欠く係合孔18を設けている。なお係合孔18は、固定盤10の左側にも同様にして設けられている。
【0020】
カバー部材20は、ノズル30の上方で水平方向に延在する頂壁21を備えている。図2に示すように、頂壁21には、その中央部から背面側に向かって頂壁21の一部を取り除く切り欠き部21aを設けていて、切り欠き部21aの内縁には、下方に向けて延在する内側周壁22を設けている。また、切り欠き部21aには、ノズル30の押し下げに供する操作部23を設けていて、操作部23は薄肉のヒンジ24を介して内側周壁22の正面側に一体連結している。操作部23の上面は下方に向けて湾曲していて、更に左右方向に向けて延在する滑り止め用のリブ23a(本実施形態では3つ)を備えている。
【0021】
カバー部材20には、頂壁21の外縁から下方に向けて延在する外側周壁(側壁)25を設けている。外側周壁25の正面側は正面壁25aとなっており、この正面壁25aには、ノズル30を突出させる窓孔25bを設けている。また、外側周壁25の背面側には、外側周壁25の上端に連なる水平な背面側水平壁25cを設けている。
【0022】
図5に示すように、外側周壁25の右側には、外側周壁25の下端から上方に向けて外側周壁25を切り欠く一対の縦スリット26が間隔を空けて設けられ、これらの縦スリット26の間に弾性片27を形成している。弾性片27は、その上端において外側周壁25に連結されるとともに下端が外側周壁25の下端よりも下方に突出する板状に形成され、外側周壁25への連結部分を支点として弾性変形することができる。また、弾性片27の先端外壁面には外側突起28を設けていて、これら弾性片27及び外側突起28で爪部Tが構成されている。外側突起28の下端外側には傾斜面28aを設けている。なお、爪部Tは、外側周壁25の左側にも同様に設けられていて、2つの爪部Tは、容器2の中心軸線Mを挟んで対向配置で設けられている。
【0023】
図2図5に示すように、カバー部材20の外側周壁25の左右両側における下端には、爪部Tを挟む位置(計4箇所)にフランジ25dを設けている。また、各爪部Tの外壁面には、フランジ25dと同一の高さ位置に下フランジ27aを設けるとともに、下フランジ27aの上方に上フランジ27bを設けている。これらのフランジ25d、下フランジ27a及び上フランジ27bは、ノズルの操作時には、指掛け部として機能する。また、下フランジ27a及び上フランジ27bは、各爪部Tを内側に押圧する際の操作部としても機能する。
【0024】
また、図4に示すように、各弾性片27の内壁面には、後述するノズル30の係止脚部32i(脚部)との接触を介して、弾性片27の内側への押圧に伴いカバー部材20を上昇させる案内突起29を設けている。また、本実施形態では、前記係止脚部32iは、やはり後述するように弾性片27に向かう方向から下方へと曲がる屈曲部32jを備え、案内突起29は、下方に向かって外側に傾斜するとともに、屈曲部32jと接触する傾斜面29aを備えている。なお、本実施形態では、案内突起29は、頂壁21の外縁から下方に向けて延在するリブ状の突起として構成されている。
【0025】
図1に示すように、ノズル30は、薄肉状のヒンジ31を介して下部部材32と上部部材33とを一体連結したものであり、ヒンジ31に沿って折り曲げて下部部材32と上部部材33とを組み合わせることで、図1図4に示す所定の形態をなすものである。
【0026】
図1に示すように、下部部材32は、板状となる基部32aの下面に、ステム2cの外径に対応する内径となる円筒部32bを備えていて、円筒部32bの内側には、貫通孔32cを有する内部壁32dを備えている。なお、円筒部32b、貫通孔32c、及び内部壁32dからなる組みは、図4を参照して明らかなように、2つのステム2cを有する容器2に対応させて総計2組設けられている。基部32aの上面には環状部32eが設けられていて、環状部32eは、正面側から背面側に向かう距離よりも左右間の距離が長くなっている。また、図4に示すように環状部32eの中央部には、間隔をあけて設けた一対の中間壁32fを設けている。更に基部32aの上面正面側には、図1に示すように爪状の下部係合部32gを設けている。
【0027】
さらに、ノズル30の基部32aの下面には、固定盤10の中間環状壁14の外周面によって上下方向に案内される案内筒部32hを一体に設けている。案内筒部32hは、ノズル30がステム2cとともに上下に作動する際に、中間環状壁14の外周面によって上下方向以外への移動が規制される。これにより、内容物の吐出時にノズル30が上下に作動すると、ノズル30の案内筒部32hが中間環状壁14の外周面によって上下方向に案内され、ノズル30の作動安定性が高められる。なお、案内筒部32hは、中間環状壁14の外周面に摺動自在に構成することも可能である。また、ノズル30に案内筒部32hを設けたことにより、ノズル30のステム2cへの装着が容易になる。すなわち、ノズル30の装着に際しては、案内筒部32hを中間環状壁14に被せるように配置することができ、ノズル30の水平方向の位置決めが容易になる。
【0028】
図4に示すように、案内筒部32hの下端には、その左右両側において係止脚部32iを連設している。係止脚部32iには、弾性片27の内側に配置されるとともに該弾性片27に向う方向から下方へと曲がる屈曲部32jが形成されている。案内筒部32hにこのような係止脚部32iを設けたことにより、これらの係止脚部32iと固定盤10の係合孔18との位置関係に基づいて、固定盤10に対するノズル30の回転方向の取り付け角度を目視で確認することができる。したがって、係止脚部32iが設けられることにより、ノズル30をステム2cに装着する際のノズル30の位置決めが容易になる。また、これらの係止脚部32iには、固定盤10の係合孔18に挿入されて、該係合孔18の内側縁部に係止される内側突起32kを設けている。したがって、これらの係止脚部32iを係合孔18に挿入し、内側突起32kによって固定盤10の上部フランジ15にアンダーカット係合させることで、ノズル30のステム2cからの脱落を防止することができる。
【0029】
図1に示すように、上部部材33は、ヒンジ31に沿って折り曲げることで、環状部32eを内側に収めるとともにこれに覆い被さる箱状部33aを備えている。箱状部33aの中央部には、箱状部33aの内側を2つに区画する仕切壁33bを設けている。また、箱状部33aの上面側には、側面視で半円状となる半円リブ33cを設けていて(本実施形態では、左右方向に間隔をあけて総計2つ)、箱状部33aの正面側には、その先端開口を内容物の外界への吐出口33dとする筒状部33eを設けている。本実施形態では仕切壁33bを、箱状部33aと筒状部33eとの境界よりも吐出口33d側へ延長している。さらに、筒状部33eの下側には、下部係合部32gに対応する爪状となる上部係合部33fを設けている。
【0030】
そして、上述したようにヒンジ31に沿って折り曲げることで、下部係合部32gと上部係合部33fとが係合して、2つ折り状態を維持している。また、環状部32eと箱状部33aとが嵌め合わさることで、基部32aと箱状部33aとの内側には内部空間が形成される一方、仕切壁33bは、対をなす中間壁32f間に挟まれて、この内部空間は、それぞれに貫通孔32cがつながる2つの空間に区画される。更にこの2つの空間は、仕切壁33bを越えた吐出口33d側の筒状部33eの内側において合流している。すなわち、2つ折り状態となったノズル30の内側には、一対の円筒部32b側(ステム2c側)では2つに分かれ、吐出口33d側では合流して1つになる通路Rが形成され、この通路Rにより一対の円筒部32bの内側と吐出口33dとが連ねられている。
【0031】
上記のように構成される各部材を容器2に取り付けるにあたっては、まず固定盤10をマウンティングカップ2bに装着する。前述のように薄肉舌片13aは、内側環状壁13の正面側及び背面側に設けられるとともに、固定盤10をマウンティングカップ2bに装着する前では、内側環状壁13に沿って下向きに延在するものである。ここで、マウンティングカップ2bの上段突起部2d、及びこれに嵌め合わさる固定盤10の内側環状壁13は、平面視にてトラック状となるものであるので、固定盤10をマウンティングカップ2bの上方から近づけていくと、互いの向きが合っている時には、薄肉舌片13aの下端が中段突起部2eの上面に当接する高さまで固定盤10が下がることになるが、互いの向きがずれている場合には、薄肉舌片13aの先端が上段突起部2dの上面に当接して所定の高さよりも高い所に位置することとなる。すなわち、固定盤10の高さの違いで両者の向きが合っているか否かを判断することができるので、組み立て作業がより簡単になる。また、固定盤10を回転すると、両者の向きが合ったところで固定盤10が下方に移動するので、触覚をもって位置合わせの完了を知ることもできる。その後、固定盤10を押し込めば、図1に示すように薄肉舌片13aは外側へ折れ曲がり、凸部15bが下段凹部2hに係合して、固定盤10はマウンティングカップ2bに固定される。
【0032】
次いで、2つ折り状態に組み立てたノズル30を上方から、円筒部32bをステム2cに位置合わせしつつ取り付ける。このとき、ノズル30に設けられた係止脚部32iと固定盤10に設けられた係合孔18とを目視して、固定盤10に対するノズル30の回転方向の取り付け角度を確認しつつ、ノズル30に設けられた案内筒部32hを固定盤10の中間環状壁14に被せるように配置して位置決めする。円筒部32bの内部には内部壁32dを設けているので、ステム2cを押し込まない程度に押圧することで、ステム2cの上端が内部壁32dの下面に当接し、ノズル30は所定の高さで装着される。
【0033】
しかる後、カバー部材20を上方から、ノズル30の筒状部33eを窓孔25bより突出させつつ、爪部Tを係合孔18に位置合わせした状態で押圧して、固定盤10に装着する。ここで、爪部Tの外側突起28には傾斜面28aを設けているので、カバー部材20を固定盤10に対して押し付けると、爪部Tは外側突起28の傾斜面28aが下部フランジ16bの内周面に当接することで径方向内側に誘導されて撓みながら係合孔18に挿入される。そして、爪部Tの外側突起28が下部フランジ16bの下面に係合することにより、カバー部材20は固定盤10に着脱自在に装着される。このとき、爪部Tの弾性片27の内壁面に設けた案内突起29を、ノズル30に設けた係止脚部32iで支持させることで、弾性片27の内側への退避を抑制しつつ、弾性片27の外側突起28を固定盤10の係合孔18に挿入させられるため、適度なアンダーカット乗越え感(感触乃至音)を与えることができる。
【0034】
カバー部材20の装着完了後においては、カバー部材20の下端及び弾性片27の下フランジ27aの下面の一部が固定盤10の下部フランジ16bの上面に当接する。これにより、カバー部材20は固定盤10に安定して保持され、使用時におけるぐらつき等が抑えられる。カバー部材20が固定盤10に装着されると、エアゾール容器2のステム2cに取り付けられたノズル30はカバー部材20により覆われる。
【0035】
このようにして各部材を取り付けたエアゾール容器2から内容物を吐出させるには、操作部23の上面に指を当てて下方に向けて押し下げる。ここで、操作部23の上面は下方に向けて湾曲しているので、良好な指当たりを呈することができる。また、リブ23aによって、押圧時の指のずれを抑制することができる。そして、操作部23がヒンジ24を起点として揺動することで、操作部23の下面が半円リブ33cに押し当たり、ノズル30とともに2本のステム2cを押し下げる。これにより、容器2内の2種類の内容物はそれぞれのステム2cから同時に噴出され、ノズル30の内側に形成される通路Rを通して吐出口33dから吐出される。
【0036】
このとき、操作部23の操作によりノズル30が押し下げられると、案内筒部32hが固定盤10の中間環状壁14の外周面によって上下方向に案内されることになるので、内容物の吐出時におけるノズル30の作動安定性を高めることができる。
【0037】
なお、ノズル30の案内筒32hの内面または固定盤10の中間環状壁14の外面の何れか一方に上下に延びる縦リブを設け、この縦リブを、ノズル30の案内筒32hの内面または固定盤10の中間環状壁14の外面の何れか他方に設けた縦溝に係合させることでノズル30の前傾を抑制して、内容物の吐出時におけるノズル30の作動安定性をさらに高める構成とすることもできる。また、このような縦リブと縦溝を、ノズル30の案内筒32hの外面とカバー部材20の外側周壁25との間に設けることもできる。
【0038】
カバー部材20は、爪部Tを径方向内側に押圧することで係合孔18との係合が解除され、固定盤10から取り外すことができる。その際、カバー部材20の爪部Tの弾性片27を径方向内側に押圧することで、該弾性片27を撓ませて、その先端に設けられた外側突起28と固定盤10の係合孔18との係合を解除させられるだけでなく、弾性片27の案内突起29とノズル30の係止脚部32iの接触を介して、弾性片27の内側への押圧に伴いカバー部材20を上昇させることができるため、カバー部材20の取り外しを誘導することができる。なお、本実施形態では、2つの爪部Tを、容器2の中心軸線Mを挟む対向配置で設けているので、これらの爪部Tを親指と他の指とで挟み込むように押圧することで、片手でカバー部材20を容易に取り外すことができる。
【0039】
また、本実施形態では、係止脚部32iは、弾性片27に向かう方向から下方へと曲がる屈曲部32jを備え、案内突起29は、下方に向かって外側に傾斜するとともに、屈曲部32jと接触する傾斜面29aを備えているため、当該接触を介して、弾性片27の内側への押圧に伴いカバー部材20をスムーズに上昇させることができる。なお、本実施形態では、案内突起29と係止脚部32iとは、図4に示すように、爪部Tの係合孔18への係止時点で接触しているが、これらの案内突起29及び係止脚部32iは、爪部Tを係合孔18に係止させる際に案内突起29が係止脚部32iを下方に押し、ステム2cを押し下げて内容物を吐出させてしまうことがないように構成することが好ましい。また、このような構成に代え、案内突起29と係止脚部32iとを、弾性片27の内側への押圧に伴って接触するように構成してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、係止脚部32iを案内筒部32hの下端に連設しているため、前述したカバー部材20の取り付け時及び取り外し時において、案内突起29が係止脚部32iに押し当てられた際に、案内筒部32h及び該案内筒部32hに当接する固定盤10の中間環状壁14によって係止脚部32iを支持し、該係止脚部32iの径方向内側への退避を抑制することができる。したがって、カバー部材20取り付け時におけるアンダーカット乗越え感の向上効果、及びカバー部材20の取り外し時におけるカバー部材20の押し上げ効果をさらに高めることができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、係止脚部32iには、固定盤10の係合孔18に挿入されて、該係合孔18の内側縁部に係止される内側突起32kを設けているので、前述したカバー部材20の取り付け時及び取り外し時において、案内突起29が係止脚部32iに押し当てられた際に、係合孔18の内側縁部によっても係止脚部32iを支持し、該係止脚部32iの径方向内側への退避を抑制することができる。したがって、カバー部材20取り付け時におけるアンダーカット乗越え感の向上効果、及びカバー部材20の取り外し時におけるカバー部材20の押し上げ効果をより一層高めることができる。
【0042】
ノズル30はカバー部材20とは別体に形成されてカバー部材20に対して分離可能となっているので、カバー部材20が固定盤10から取り外されても、ノズル30はステム2cに装着されたまま容器2の側に残り、外部に露出される。そして、外部に露出されたノズル30を上方に向けて引き上げれば、ステム2cからノズル30を簡単に取り外すことができる。その後は、ノズル30の下部部材32及び上部部材33を相互に離反するように開くことでその内側が露出されるので、ノズル30の内部に残った内容物を容易に洗浄することができる。ノズル30の洗浄後は、前述した要領に従って、ノズル30及びカバー部材20を再装着すればよい。
【0043】
次に、本発明の他の実施の形態であるエアゾール容器用吐出具1’について、図6図8を用いて説明する。本実施形態では、吐出具1’を二連式タイプのエアゾール容器2’に対して適用している。すなわち、本実施形態では、1つの容器内に一の内容物を収容するとともに1本のステム2c’を有するシングルタイプのエアゾール容器2’を左右に並べて1組とした二連式タイプのエアゾール容器2’を用いている。なお、符号2iは、シュリンクラベルである。吐出具1’は、固定盤10’、カバー部材20’及びノズル30’を有している。
【0044】
エアゾール容器2’は、例えば金属製や合成樹脂製となる有底筒状の容器本体2a’に、金属製となるマウンティングカップ2b’を、その外縁を巻き締め等して固着したものである。マウンティングカップ2b’の中央部には、その上面からステム2c’を突出させる上段突起部2d’と、上段突起部2d’よりも大径であって上段突起部2d’に連結する下段突起部2f’とが設けられている。また、上段突起部2d’の根元には環状となる中段凹部2g’が設けられ、下段突起部2f’の根元には環状となる下段凹部2h’が設けられている。
【0045】
図6及び図8に示すように、固定盤10’は、2本のステム2c’を露出させる開口11’を上端に形成する垂直環状壁14’を備えている。垂直環状壁14’は、ステム2c’の軸方向と平行に上下方向に延在しており、2つの上段突起部2d’を取り囲む形状をなし、平面視でトラック状となっている。また、図8に示すように、垂直環状壁14’は、その右側及び左側において上段突起部2d’に接するように形成されている。そして垂直環状壁14’の下端には、下段突起部2f’の上面に接するとともに径方向外側に向けて延在する、やはり平面視トラック状の上部フランジ15’が設けられていて、上部フランジ15’の下面には、2つの下段突起部2f’を取り囲む内部環状壁15a’を設けている。内部環状壁15a’は、その右側及び左側において下段突起部2f’に接するように形成されている。内部環状壁15a’の内面には、マウンティングカップ2b’の下段凹部2h’に係合する凸部(図示省略)を間欠状に設けている。なお、当該凸部を、内部環状壁15a’の全周に亘って設けてもよい。
【0046】
また、上部フランジ15’の外縁には、下方に向けて延在する外側環状壁16a’と、外側環状壁16a’の下端から径方向外側に延在する下部フランジ16b’とからなる段部16’を設けていて、下部フランジ16b’の外縁には、マウンティングカップ2b’の外縁に向けて垂下される平面視トラック状の外壁17’を設けている。図8に示すように、段部16’には、上部フランジ15’の一部、外側環状壁16a’、及び下部フランジ16b’の一部を切り欠く係合孔18’を設けている。なお係合孔18’は、固定盤10’の左側にも同様にして設けられている。このように、本実施形態では、固定盤10’は、エアゾール容器2’を二連式タイプにしたことに対応して、平面視トラック状に構成されている。
【0047】
カバー部材20’は、前述したように固定盤10’を平面視トラック状に構成したことに対応し、カバー部材20’もその全体形状を平面視トラック状に構成した点を除いては、図1図5を用いて説明した例の場合と同様の構成になっている。なお、本実施形態では、各爪部T’の外壁面に下フランジ27a’を設ける一方で、前述した例の場合では設けていた上フランジ27b(図4参照)を省略している。
【0048】
また、ノズル30’についても、カバー部材20’の場合と同様であって、ノズル30’は、その全体形状を平面視トラック状に構成した点を除いては、図1図5を用いて説明した例の場合と同様の構成になっている。なお、本実施形態では、基部32a’及び案内筒部32h’が平面視トラック状をなしている。また、ヒンジ31’は、左右2箇所に分割して配置されている。
【0049】
かかる構成になる本発明の他の実施の形態であるエアゾール容器用吐出具1’によれば、図1図6を用いて説明した例の場合と同様の効果を得ることができる。
【0050】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0051】
例えば本実施形態では、マウンティングカップ2b,2b’の下段凹部2h,2h’に、固定盤10,10’の凸部15bを係合するようにしたが、中段凹部2g,2g’に係合させてもよい。
【0052】
さらに、本実施形態の仕切壁33b,33b’は、箱状部33a,33a’内を2つに区画して筒状部33e,33e’の根元を越えて延在しているが、内容物の種類によっては、更に吐出口33d,33d’まで延在させて通路R,R’の全域を2つに分けても、また、仕切壁33b,33b’を取り除いてノズル30,30’の内部全体を1つの通路にしてもよい。
【0053】
さらに、本実施形態の吐出具1,1’は、2本のステム2cを有する容器2、及び二連式タイプの容器2’に装着するように構成したが、シングルタイプの容器に採用することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1,1’ エアゾール用吐出具
2,2’ エアゾール容器
2a,2a’ 容器本体
2b,2b’ マウンティングカップ
2c,2c’ ステム
2d,2d’ 上段突起部
2e 中段突起部
2f,2f’ 下段突起部
2g,2g’ 中段凹部
2h,2h’ 下段凹部
2i シュリンクラベル
10,10’ 固定盤
11,11’ 開口
12 天壁
13 内側環状壁
13a 薄肉舌片
14,14’ 中間環状壁(垂直環状壁)
15,15’ 上部フランジ
15a,15a’ 内部環状壁
15b 凸部
16,16’ 段部
16a,16a’ 外側環状壁
16b,16b’ 下部フランジ
17,17’ 外壁
18,18’ 係合孔
20,20’ カバー部材
21 頂壁
21a 切り欠き部
22 内側周壁
23 操作部
23a リブ
24 ヒンジ
25 外側周壁
25a 正面壁
25b 窓孔
25c 背面側水平壁
25d フランジ
26 縦スリット
27 弾性片
27a,27a’ 下フランジ
27b 上フランジ
28 外側突起
28a 傾斜面
29 案内突起
29a 傾斜面
30,30’ ノズル
31,31’ ヒンジ
32 下部部材
32a,32a’ 基部
32b 円筒部
32c 貫通孔
32d 内部壁
32e 環状部
32f 中間壁
32g 下部係合部
32h,32h’ 案内筒部
32i 係止脚部(脚部)
32j 屈曲部
32k 内側突起
33 上部部材
33a,33a’ 箱状部
33b,33b’ 仕切壁
33c 半円リブ
33d,33d’ 吐出口
33e,33e’ 筒状部
33f 上部係合部
M エアゾール容器の中心軸線
T,T’ カバー部材の爪部
R,R’ ノズルの通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8