特開2015-217767(P2015-217767A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-217767(P2015-217767A)
(43)【公開日】2015年12月7日
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/02 20060101AFI20151110BHJP
   A47C 7/14 20060101ALI20151110BHJP
【FI】
   B60N2/02
   A47C7/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-102146(P2014-102146)
(22)【出願日】2014年5月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 大
(72)【発明者】
【氏名】久次米 美紀
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA01
3B087BD14
(57)【要約】
【課題】シートクッションの長さを性能良く可変とすることにある。
【解決手段】バッグ部材30が膨張するに従ってシートパッド4Pの前部が次第に持ち上がることにより、シートクッション4が長くなる構成の乗物用シートにおいて、バッグ部材30を支持する支持部材20が、シートフレーム4Fの前部側に着座側に向けて移動可能に取付けられ、バッグ部材30の膨張に従って支持部材20が着座側に次第に移動しつつシートパッド4Pの前部を持ち上げる構成とした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の着座可能なシートクッションと、前記シートクッションの後部側に起立可能に連結するシートバックとを備えるとともに、前記シートクッションが、シート骨格をなすシートフレームと、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドと、前記シートパッドの着座側を覆うシートカバーと、気体の流入により膨張可能なバッグ部材とを有し、
前記シートパッドの前部側が着座側とは逆向きに屈曲しつつ前記シートフレームの前部側に対面状に配置するとともに、前記シートパッドの前部と前記シートフレームの前部の間に前記バッグ部材が配設されて、前記バッグ部材が膨張するに従って前記シートパッドの前部が次第に持ち上がることにより前記シートクッションが長くなる構成の乗物用シートにおいて、
前記バッグ部材を支持する支持部材が、前記シートフレームの前部側に着座側に向けて移動可能に取付けられ、前記バッグ部材の膨張に従って前記支持部材が着座側に次第に移動しつつ前記シートパッドの前部を持ち上げる構成とした乗物用シート。
【請求項2】
前記シートパッドの前部側を前記シートカバーで覆いながら前記シートカバーの前端を前記支持部材に取付けるとともに、前記支持部材が、前記シートカバーの前端とともに前記バッグ部材の膨張に従って着座側に次第に移動する構成とした請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記バッグ部材が、気体の流入により膨張可能な膨張部と、前記シートフレームに取付けられる第一取付け部と、前記支持部材に取付けられる第二取付け部を有し、前記支持部材が、前記シートフレームの前部側に向けて付勢される請求項1又は2に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグ部材の膨張又は収縮によりシートクッション(乗員の着座可能な部材)の長さが可変となる乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の乗物用シートとして、特許文献1に開示の乗物用シートが公知である。この乗物用シートでは、シートクッション(乗員の着座可能な部材)が、シートフレームと、シートパッドと、シートカバーと、バッグ部材と、硬質部材を備える。シートフレームは、シートパッドを下方から支持する平板部材であり、その前端が段差状に一段低くされる。またシートパッドは略矩形(上方視)の部材であり、前部側に、下方に向けて開口する凹み部が形成される。またバッグ部材は、気体の流入により膨張する袋体である。そして硬質部材は、バッグ部材を支持する略矩形の部材であり、シートパッドよりも硬い(反発係数が高い)材質で形成される。
【0003】
公知技術では、シートパッドをシートフレーム上に乗せ上げつつ、凹み部から先のシートパッド部分(シートパッドの前部)をシートフレームから突出させる。そしてシートパッドの前部側を下方に向けて屈曲させながら(シートフレーム上のシートパッド部分に対面状に配置しながら)シートカバーで被覆する。このときバッグ部材を凹み部内に配設しつつ、他のシートパッド部分に埋設状に固定された硬質部材で支持する。そして乗員の体格に応じて、シートクッションの長さを適宜調節する(長くしたり短くしたりする)。このとき公知技術では、バッグ部材を収縮状態としてシートパッドの先端を下方に屈曲させておくことで、シートクッションを短くする。そしてバッグ部材を膨張させてシートパッドの前部を次第に上方に持ち上げることにより、シートクッションを長くすることができる。このとき公知技術では、硬質部材にてバッグ部材を支持することにより、バッグ部材を、シート前方にスムーズに膨張させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−142120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで公知技術では、専らバッグ部材の膨張と収縮にてシートクッションの長さを可変とする。このためシートクッションの長さを大きく変える場合には、バッグ部材の容量が大きくなるなどしてその膨張及び収縮(特に収縮)に時間がかかることがあった。もっとも複数のバッグ部材を凹み部に配設して、個々のバッグ部材の容量増加を抑えることもできる。しかしそうすると複数のバッグ部材の位置関係が膨張のたびに変わるなどして、シートクッションの形が一様とならない(着座性が悪化する)おそれがあった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートクッションの長さを性能良く可変とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、乗員の着座可能なシートクッションと、シートクッションの後部側に起立可能に連結するシートバックとを備える。そしてシートクッションが、シート骨格をなすシートフレームと、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドと、シートパッドの着座側を覆うシートカバーと、気体の流入により膨張可能なバッグ部材とを有する。本発明では、シートパッドの前部側が着座側とは逆向きに屈曲しつつシートフレームの前部側に対面状に配置する。そしてシートパッドの前部とシートフレームの前部の間にバッグ部材が配設されて、バッグ部材が膨張するに従ってシートパッドの前部が次第に持ち上がることにより、シートクッションが長くなる。この種の構成では、シートクッションの長さを性能良く(例えば素早く)可変とすることが望まれる。
【0007】
そこで本発明では、バッグ部材を支持する支持部材が、シートフレームの前部側に着座側に向けて移動可能に取付けられ、バッグ部材の膨張に従って支持部材が着座側に次第に移動しつつシートパッドの前部を持ち上げる構成とした。本発明では、支持部材が、バッグ部材の膨張に従って着座側に次第に移動する(バッグ部材と支持部材の双方により、シートクッションを長くする)。このためバッグ部材にのみ頼ることなく(例えばバッグ部材を過度に膨張又は収縮させずとも)、シートクッションを適切な長さにすることができる。
【0008】
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、シートパッドの前部側をシートカバーで覆いながらシートカバーの前端を支持部材に取付ける。そして支持部材が、シートカバーの前端とともにバッグ部材の膨張に従って着座側に次第に移動する構成とした。本発明では、支持部材を、シートカバーの前端の取付け箇所として用いることができる。そして支持部材の移動によって、シートクッションの長さが変更される際に生じるシートカバーの過度の周長差を好適に吸収することができる。
【0009】
第3発明の乗物用シートは、第1発明又は第2発明の乗物用シートにおいて、バッグ部材が、気体の流入により膨張可能な膨張部と、シートフレームに取付けられる第一取付け部と、支持部材に取付けられる第二取付け部を有する。そして支持部材が、シートフレームの前部側に向けて付勢される。本発明では、バッグ部材を、第一取付け部を介してシートフレームに安定感良く取付ける。そして支持部材を、第二取付け部を介して膨張する(又は収縮する)バッグ部材にスムーズに追従させることができる。さらにバッグ部材の収縮時において、第二取付け部を介して支持部材の付勢力(シートフレーム側への付勢力)をバッグ部材に伝達してスムーズに収縮させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る第1発明によれば、シートクッションの長さを性能良く可変とすることができる。また第2発明によれば、シートクッションの長さをより性能良く可変とすることができる。そして第3発明によれば、シートクッションの長さを更に性能良く可変とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】乗物用シートの斜視図である。
図2】シートクッション一部の分解斜視図である。
図3】シートクッション一部の透視側面図である。
図4】変形後のシートクッション一部の透視側面図である。
図5】変形例にかかるシートクッション一部の透視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図1図5を参照して説明する。各図には、適宜、乗物用シート前方に符号F、乗物用シート後方に符号B、乗物用シート上方に符号UP、乗物用シート下方に符号DWを付す。図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、シート外形をなすシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。ここでシートクッション4(詳細後述)の後部には、シートバック6が起倒可能に連結しており、ヘッドレスト8が、シートバック6(起立状態)の上部に配設される。
【0013】
[シートクッション]
そしてシートクッション4は、乗員の着座可能な部材(上方視で略矩形)であり、基本構成(4F,4P,4S)と、支持部材20と、バッグ部材30を有する(各部材の詳細は適宜後述、図1及び図2を参照)。そして本実施例では、シートの着座性などを考慮して、小柄な乗員(例えばSAE規格におけるJF05に相当する乗員模型CM1)が着座する場合にシートクッション4のシート前後の寸法が短くされる(図3を参照)。また大柄な乗員(例えばSAE規格におけるAM50に相当する乗員模型CM2)が着座する場合にはシートクッション4のシート前後の寸法が長くされる(図4を参照)。このとき本実施例では、シートクッション4前部のバッグ部材30(詳細後述)を膨張又は収縮させて、シートクッション4の長さを調節する。この種の構成では、シートクッション4の長さを性能良く(例えば素早く)可変にできることが望まれる。そこで本実施例では、後述の構成により、シートクッション4の長さを性能良く可変とすることとした。以下、各構成について説明する。
【0014】
[基本構成]
ここでシートカバー4Sは、シートパッド4P(着座側)を被覆可能な袋状の部材である(図1図3及び図4を参照)。シートカバー4Sの材質として、天然繊維又は合成繊維製の布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示できる。本実施例では、後述するようにシートカバー4Sで、シートパッド4Pの着座側から前部側を覆いつつ、シートカバー4Sの前端を、シートパッド4Pの下方側(後述の支持部材20)に固定する。
【0015】
またシートフレーム4Fは、シート外形に倣った略矩形の枠体であり、前部骨格をなすフロントフレーム11を有する(図2図4を参照)。フロントフレーム11は、シート幅方向に長尺な平板部位であり、前部側がクランク状に屈曲して、上面部11aと、傾斜面部11b(軸受け部11d)と、下面部11cが形成される。上面部11aは、シートパッド4Pを支持可能な平板状の部位であり、後方に向かうにつれて次第に下方に向けて傾斜する。本実施例の上面部11aには複数のボルト孔B1が設けられており、後述のバッグ部材30(取付け部31)を取付け可能である。また傾斜面部11bは、上面部11aの前端から下方に延びる部位であり、下方に向かうにつれて次第に前方に向けて傾斜する。本実施例では、軸受け部11d(略矩形の平板部位)が、傾斜面部11bの両端(シート幅方向の両端)からそれぞれシート前方に突出する。各軸受け部11dの先端側には、後述する軸部22を挿設可能な孔部(符号省略の貫通孔)が設けられる。そして下面部11cは、傾斜面部11bの下端からシート前方に向けて突出する部位であり、上面部11aよりも一段低い位置に配置する。本実施例の下面部11cには、後述の付勢部材24(一方のアーム部24a)を挿設可能な孔部H1(貫通孔)が適所に形成される。
【0016】
そしてシートパッド4Pは、シート外形をなす略矩形(上面視)の部材であり、弾性的に伸縮可能な樹脂を素材として形成できる(図3及び図4を参照)。この種の樹脂として、ポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂を例示できる。本実施例では、シートパッド4Pをシートフレーム4F上に配置しつつ、シートパッド4Pの前部側を、フロントフレーム11からはみ出させて配置する。そして後述するようにシートパッド4Pの前部側を下方(着座側とは逆向きに)屈曲しつつフロントフレーム11(シートフレームの前部側)に対面状に配置する。
【0017】
[支持部材]
支持部材20は、後述のバッグ部材30を支持可能な部材であり、軸部22と、付勢部材24を有する(図2図4を参照)。ここで軸部22は、フロントフレーム11の幅寸法に倣ってシート幅方向に長尺な棒材(円筒状)である。また付勢部材24は、フロントフレーム11側に支持部材20を付勢する部材である。本実施例の付勢部材24は、トーションバネをなすコイル状の部材であり、その両端が軸方向外側に突出する(一対のアーム部24a,24bを有する)。そして本実施例では、複数の付勢部材24を、軸部22の軸方向に適宜の間隔をあけて取付ける(挿設する)ことができる。
【0018】
そして本実施例の支持部材20は、シート幅方向に長尺な平板状の部材である(図2を参照)。支持部材20は、横断面視で略U字状をなしており、両側面(シート幅方向の側面)が略三角形状をなして略直角に屈曲する。また支持部材20は、フロントフレーム11内(一対の軸受け部11dの間)に配置可能な幅寸法を有しており、その両側面の底辺側に、軸部22を挿入可能な孔部(符号省略の貫通孔)が形成されて、軸受け部11dの孔部に対面状に配置可能である。そして支持部材20の内面には、付勢部材24の端部(他方のアーム部24b)を固定可能な固定部位20a(平板状)が一対設けられる。
【0019】
本実施例では、支持部材20(側面の頂点側を下にした状態)を、フロントフレーム11の前側(傾斜面部11b)に対面状に取付ける。このとき軸受け部11dの内面側に支持部材20の側面をあてがいながら、これらの孔部に軸部22を回転可能に挿設する。そして各付勢部材24の一方のアーム部24aを、フロントフレーム11(下面部の孔部H1)に挿入するとともに、他方のアーム部24bを、支持部材20の内面(固定部位20a)に固定する。こうして支持部材20の端部(側面の頂部側)を、軸部22を回転中心として下方を向く位置から着座側に回転移動させることができる。そして本実施例では、各付勢部材24の付勢力にて、支持部材20を、フロントフレーム11に近づく方向に付勢する。
【0020】
[バッグ部材]
バッグ部材30は、気体(エアやガス等)の流入により膨張可能な部材であり、シートクッション4の前部側に配設される(図2図4を参照)。本実施例のバッグ部材30は、シート幅方向に長尺な面状の部材(支持部材20上に配置可能な部材)であり、取付け部31と、膨張部34を有する。膨張部34は、バッグ部材30の略中央に設けられた袋状の部位(シート幅方向に長尺)であり、気体の流入により膨張可能である。また取付け部31は、膨張部34の一側に設けられた面状部位であり、複数のボルト孔B2を有してフロントフレーム11(上面部11a)にボルト止め可能である。
【0021】
本実施例では、バッグ部材30(膨張部34)を支持部材20上に配置しつつ、取付け部31をフロントフレーム11(上面部11a)上に配置する。そしてフロントフレーム11のボルト孔B1と取付け部31のボルト孔B2を位置合わせしたのち、ボルト部材BMを挿入してこれらをボルト止めする(図2図4を参照)。そしてバッグ部材30(膨張部34)を、図示しない気体供給(排出)機構に連通する。こうして本実施例では、バッグ部材30を、取付け部31を介してフロントフレーム11に安定感良く取付けることができる。
【0022】
[シートクッションの組立て作業]
図3を参照して、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置したのちシートカバー4Sで被覆する。このとき本実施例では、シートパッド4Pの前部側を、フロントフレーム11からはみ出させて配置する。そしてシートパッド4Pの前部側を下方(着座側とは逆向きに)屈曲させつつフロントフレーム11の前部(支持部材20に支持されたバッグ部材30)に対面状に配置する。こうしてシートパッド4Pの前部側(屈曲状態)と支持部材20の間にバッグ部材30(収縮状態)を挟みつながら配置する。そしてシートカバー4Sで、シートパッド4Pの着座面から前部側を覆いつつ、シートカバー4Sの前端を支持部材20の端部(側面の頂点側)に取付ける。
【0023】
[シートクッションの使用態様]
図3を参照して、バッグ部材30を収縮状態としてシートパッド4Pの前部を下方に屈曲させておくことで、シートクッション4の長さ寸法を短くする。こうすることで小柄な乗員(CM1)が適度に太腿部をシートクッション4に押し当てながら着座性良く着座できる。そして大柄な乗員(CM2)が着座する場合、バッグ部材30を膨張させてシートクッション4を長くするのであるが、この種の構成では、シートクッション4の長さを性能良く可変にできることが望ましい。
【0024】
そこで本実施例では、バッグ部材30の膨張に従って支持部材20が着座側に次第に移動しつつ、シートパッド4Pの前部側を持ち上げる構成とした(図4を参照)。すなわち本実施例では、バッグ部材30の膨張により、シートパッド4Pの前部側が、シートカバー4Sを着座側に張引しつつ持ち上がる。このシートカバー4Sの張引力により、支持部材20が、付勢部材24の付勢力に抗して軸部22を回転中心として着座側に向けて回転移動する。そして支持部材20が、バッグ部材30とともに着座側に移動することで、バッグ部材30を極度に膨張させることなくシートクッション4を適度に持ち上げる(長くする)ことができる。こうしてシートクッション4を長くすることにより、大柄な乗員が適度に太腿部をシートクッション4(着座面側)に押し当てながら着座性良く着座できる。なお上述の構成では、シートパッド4Pが持ち上がることで、同部材の前部が屈曲状態の場合に比してシートカバー4Sが過度に着座側に張引される(過度の周長差が生じる)ことがある。このとき本実施例では、支持部材20の移動とともにシートカバー4Sの前端が着座側に移動する。このシートカバー4Sの前端(支持部材20)の移動により、シートカバー4Sの周長差を好適に吸収して、シートカバー4Sの過度の張引を回避することができる。
【0025】
そしてバッグ部材30から気体を排出させながら、シートクッション4を元の状態に戻す(長さ寸法を短くする)。本実施例では、シートカバー4Sの張引力が弱まるに従って、支持部材20が、付勢部材24の付勢力によりフロントフレーム11側に次第に引き寄せられる。このとき支持部材20の付勢力にてシートカバー4Sの前端が、シートパッド4Pとともにフロントフレーム11側に引っ張られる。こうしてバッグ部材30が、シートパッド4Pと支持部材20の間に挟まれてこれらから押圧を受けることにより、スムーズに気体を排出して収縮できる(素早く収縮できる)。
【0026】
以上説明下とおり本実施例では、支持部材20が、バッグ部材30の膨張に従って着座側に次第に移動する(バッグ部材と支持部材の双方により、シートクッションを長くする)。このためバッグ部材30にのみ頼ることなく(例えばバッグ部材を過度に膨張させずとも)、シートクッション4を適切な長さにすることができる。また本実施例では、支持部材20を、シートカバー4Sの前端の取付け箇所として用いることができる。また本実施例では、シートクッション4を短くする際に、バッグ部材30が、シートパッド4Pと支持部材20から押圧を受けることにより、スムーズに気体を排出して収縮できる(素早く収縮できる)。そしてシートカバー4Sの前端(支持部材20)の移動によって、シートクッション4の長さが変更される際に生じるシートカバー4Sの過度の周長差を好適に吸収できる。このため本実施例によれば、シートクッション4の長さを性能良く可変とすることができる。
【0027】
[変形例]
ここでバッグ部材30の取付け手法は、上述のほか各種の構成を取り得る。例えば本変形例の支持部材20は、実施例と同一構成であり、付勢部材24にて、フロントフレーム11側に向けて付勢される(図5を参照)。またバッグ部材30は、膨張部34(実施例の膨張部と同一構成)と、第一取付け部31(実施例の取付け部と同一構成)と、第二取付け部32を有する。そして第二取付け部32は、膨張部34の他側に設けられた面状部位であり、支持部材20に取付け可能である(ボルト部材BMにてボルト止め可能である)。本変形例では、バッグ部材30(膨張部34)を支持部材20上に配置しつつ、第一取付け部31を上面部11aにボルト止めするとともに、第二取付け部32を支持部材20の端部(側面の頂点)側に取付ける。
【0028】
こうして本変形例では、バッグ部材30を、第一取付け部31を介してフロントフレーム11に安定感良く取付けることができる。そして支持部材20を、第二取付け部32を介して膨張する(又は収縮する)バッグ部材30にスムーズに追従させることができる。さらにバッグ部材30の収縮時において、第二取付け部32を介して支持部材20の付勢力(シートフレーム側への付勢力)をバッグ部材30に伝達してスムーズに収縮させることができる。
【0029】
本実施形態の乗物用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。例えば本実施形態では、シートカバー4Sの前端を支持部材20に取付ける例を説明した。これとは異なりシートカバーの前端をシート内に引き込みつつシートフレームなどに取付けることができる。この場合にはシートカバーの周長差を吸収するため、弾性的に伸縮可能な部材を介してシートカバーの前端をシートフレームなどに取付けることが好ましい。
【0030】
また本実施形態では、支持部材20の構成(形状,寸法,配設数,移動構造など)を例示したが、同部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば支持部材は、シート下方から着座側に向けてスライド移動する移動機構を備えることができる。また支持部材に駆動機構を設けて、バッグ部材の膨張又は収縮に連動させて支持部材を移動させることもできる。また付勢部材の構成も、支持部材を付勢可能である限り、各種の構成を取り得る。
【0031】
また本実施形態では、バッグ部材30の構成(形状,寸法,配設数,取付け手法など)を例示したが、同部材の構成を限定する趣旨ではない。例えばバッグ部材の各取付け部は、ボルト止めのほか、接着、クリップやフックなどの係止部材を介してシートフレームや支持部材に取付けることができる。また各取付け部を紐状として、シートフレーム等に突出する引掛部に掛け止めることもできる。なおバッグ部材は、シートフレームに複数又は単数配設することもできる。このとき複数のバッグ部材を、シート幅方向に並列して設けることができ、また複数のバッグ部材をシート前後に重ねて設けることもできる。
【0032】
また本実施形態の構成は、車両や航空機や電車などの乗物用シート全般に適用できる。また乗物用シートの構成も適宜変更可能である。例えばシートフレームの前部の形状や寸法は適宜変更可能であり、同部材の構成に応じて支持部材の構成を適宜変更できる。
【符号の説明】
【0033】
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4F シートフレーム
4P シートパッド
4S シートカバー
11 フロントフレーム
20 支持部材
22 軸部
24 付勢部材
30 バッグ部材
31 取付け部(第一取付け部)
34 膨張部
32 第二取付け部
図1
図2
図3
図4
図5