特開2015-222109(P2015-222109A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-222109(P2015-222109A)
(43)【公開日】2015年12月10日
(54)【発明の名称】液圧ダンパ
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/08 20060101AFI20151113BHJP
   F04B 53/16 20060101ALI20151113BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20151113BHJP
   F16L 55/02 20060101ALI20151113BHJP
【FI】
   F15B1/047
   F04B21/00 K
   F04B21/00 M
   F16L55/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-106909(P2014-106909)
(22)【出願日】2014年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋田 浩一
【テーマコード(参考)】
3H025
3H071
3H086
【Fターム(参考)】
3H025CA02
3H025CB41
3H071AA03
3H071BB01
3H071CC21
3H071DD35
3H071DD36
3H086AA01
3H086AA25
3H086AD07
3H086AD13
3H086AD36
3H086AD39
(57)【要約】
【課題】小さい体積にて大きな液圧変動吸収効果を得ること。
【解決手段】液圧ダンパは、ゴム等弾性材料製のブラダ10と、金属等硬質材料製のコア20と、金属等硬質材料製のプラグ30を備え、液圧ポンプの吐出側通路に配設されている。ブラダ10は、一端が閉じ他端が開口していて、球面状の閉塞端部11を除いて円筒状に形成されており、開口端部12に環状の外向フランジ部13を一体的に有している。コア20は、ブラダ10内に挿入される挿入部21と、ブラダ10の開口端面に当接する環状の外向フランジ部22を有し、挿入部21がブラダ10の開口端部12内に嵌合されて同開口端部12を液封する大径部21aと、ブラダ10内にて大径部21aからブラダ10の閉塞端部11に向けて延出してブラダ10内に空気室Raを形成する徐変径部21bおよび小径部21cを備えている。プラグ30は、外向フランジ部13、22を収容し、コア20に対してブラダ10を拘束している。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が閉じ他端が開口していて、球面状の閉塞端部を除いて円筒状に形成されており、開口端部に環状の外向フランジ部を一体的に有しているゴム等の弾性材料製のブラダと、
前記ブラダ内に挿入される挿入部と、前記ブラダの開口端面に当接する環状の外向フランジ部を有し、前記挿入部が前記ブラダの前記開口端部内に嵌合されて同開口端部を液封する大径部と、前記ブラダ内にて前記大径部から前記ブラダの前記閉塞端部に向けて延出して前記ブラダ内に空気室を形成する徐変径部および小径部を備えている硬質材料製のコアと、
前記ブラダの前記外向フランジ部と前記コアの前記外向フランジ部を収容し、前記コアに対して前記ブラダを前記外向フランジ部にて拘束する硬質材料製のプラグ
を備えていて、液圧ポンプの吐出側通路に配設される液圧ダンパ。
【請求項2】
請求項1に記載の液圧ダンパにおいて、
前記ブラダの円筒状部は、内径が外径の1/2以下に設定されていることを特徴とする液圧ダンパ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液圧ダンパにおいて、
前記コアの小径部は、前記ブラダにおける円筒状部の外圧による座屈荷重に基づいて設定されていて、前記ブラダにおける円筒状部の内径が前記コアの小径部に当接することにより前記ブラダにおける円筒状部の座屈変形が規制されていることを特徴とする液圧ダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧ダンパに係り、特に、液圧ポンプの吐出側通路に配設されて液圧ポンプの吐出脈動(高圧側の液圧変動)を吸収する液圧ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液圧ダンパは、例えば、下記特許文献1に記載されていて、同特許文献1に記載されている液圧ダンパにおいては、液圧ポンプの吐出脈動(高圧側の液圧変動)に応じて弾性変形する弾性壁部材が、ばね鋼からなるプレート状の板(ダイアフラム)とこのダイアフラムを支承するゴム製のボディの二部材で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−532957号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、上記した特許文献1に記載されている液圧ダンパにおいては、ダイアフラムの外周がボディによって支承されていて、液圧ポンプの吐出脈動(高圧側の液圧変動)に応じてダイアフラムが弾性変形する際には、ダイアフラムの弾性変形に伴ってダイアフラムの外周がボディと擦れる。このため、摩擦によるヒステリシス損失が大きくて、小さい体積にて大きな液圧変動吸収効果(ダンパ効果)を得ることが難しい。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたもの(小さい体積にて大きな液圧変動吸収効果(ダンパ効果)を得ること)であり、
一端が閉じ他端が開口していて、球面状の閉塞端部を除いて円筒状に形成されており、開口端部に環状の外向フランジ部を一体的に有しているゴム等の弾性材料製のブラダ(弾性壁部材)と、
前記ブラダ内に挿入される挿入部と、前記ブラダの開口端面に当接する環状の外向フランジ部を有し、前記挿入部が前記ブラダの前記開口端部内に嵌合されて同開口端部を液封する大径部と、前記ブラダ内にて前記大径部から前記ブラダの前記閉塞端部に向けて延出して前記ブラダ内に空気室を形成する徐変径部および小径部を備えている硬質材料製のコア(芯部材)と、
前記ブラダの前記外向フランジ部と前記コアの前記外向フランジ部を収容し、前記コアに対して前記ブラダを前記外向フランジ部にて拘束する硬質材料製のプラグ(栓部材)
を備えていて、液圧ポンプの吐出側通路に配設される液圧ダンパ
に特徴がある。
【0006】
上記した本発明の実施に際して、前記ブラダの円筒状部は、内径が外径の1/2以下に設定されていること、または、前記コアの小径部は、前記ブラダにおける円筒状部の外圧による座屈荷重に基づいて設定されていて、前記ブラダにおける円筒状部の内径が前記コアの小径部に当接することにより前記ブラダにおける円筒状部の座屈変形が規制されていることも可能である。
【0007】
上記した本発明による液圧ダンパにおいては、その使用時において、ブラダの外側に液圧ポンプの吐出脈動(高圧側の液圧変動)が負荷されると、吐出脈動(高圧側の液圧変動)に応じてブラダが空気室に向けて弾性的に圧縮変形する。このときには、ブラダが開口部近傍を除きコアと摩擦係合しないため、摩擦によるヒステリシス損失を最小限にした状態で高圧側の液圧変動を吸収することができる。このため、小さい体積にて大きな液圧変動吸収効果(ダンパ効果)を得ることができる。また、本発明による液圧ダンパにおいては、空気室が液封(密封)状態とされている。このため、ブラダが空気室に向けて弾性的に圧縮変形する際には、空気室がエアバネとして機能し、ブラダの耐圧アップに寄与する。
【0008】
上記した本発明の実施に際して、前記ブラダの円筒状部は、内径が外径の1/2以下に設定されている場合には、ブラダの外圧による座屈荷重を高めることができて、当該液圧ダンパの耐圧性能を十分に高めることができる。
【0009】
また、上記した本発明の実施に際して、前記コアの小径部が、前記ブラダにおける円筒状部の座屈荷重に基づいて設定されていて、前記ブラダにおける円筒状部の内径が前記コアの小径部に当接することにより前記ブラダにおける円筒状部の座屈変形が規制されている場合には、コアの小径部によって、ブラダにおける円筒状部の座屈変形が規制されていて、ブラダの局部的過大変形を防ぐことができるため、当該液圧ダンパの耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による液圧ダンパの一実施形態を示す概略的な全体構成図である。
図2図1示した液圧ダンパの主要構成部材の拡大断面図である。
図3】本発明による液圧ダンパにおけるプラグの他の実施形態を示す図2相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1および図2は本発明による液圧ダンパの一実施形態を示していて、この実施形態の液圧ダンパ100は、ゴム(例えば、エチレン・プロピレンゴム)等の弾性材料製のブラダ10と、金属(例えば、ステンレス鋼)等の硬質材料製のコア20と、金属(例えば、ステンレス鋼)等の硬質材料製のプラグ30を備えていて、プラグ30にてハウジング(アクチュエータのボディ)40に組付けられており、液圧ポンプ50の吐出側通路Poに配設されている。なお、液圧ダンパ100の出口側には、絞り60が設置されていて、液圧ポンプ50の回転に同期した流量変動が高圧の液圧変動に変換されている。
【0012】
ブラダ10は、図2に示したように、一端(図2下方の先端)が閉じ、他端(図2上方の基端)が開口していて、球面状の閉塞端部11を除いて円筒状に形成されており、開口端部12に環状の外向フランジ部13を一体的に有している。ブラダ10の円筒状部14は、内径が外径の1/2に設定されていて、厚肉に形成されている。なお、円筒状部14の内径は、外径の1/2以下に設定して実施することも可能である。
【0013】
コア20は、ブラダ10内に挿入される挿入部21と、ブラダ10の開口端面に当接する環状の外向フランジ部22を有している。挿入部21は、ブラダ10の開口端部12内に嵌合されて同開口端部12を液封する大径部21aと、ブラダ10内にて大径部21aからブラダ10の閉塞端部11に向けて延出してブラダ10内に空気室Raを形成する徐変径部21bおよび小径部21cを備えている。なお、小径部21cの先端は球面状に形成されている。
【0014】
コア20における小径部21cの太さ(外径)は、ブラダ10における円筒状部14の外圧による座屈荷重(予め解析により求めることができるものである)に基づいて設定されている。このため、ブラダ10における円筒状部14の内径がコア20の小径部21c外周に当接することにより、ブラダ10における円筒状部14の座屈変形が規制されている。徐変径部21bは、全体の断面形状が曲線状に形成されているが、中間部分の断面形状を直線状(中間部分を円錐台形状)に形成して実施することも可能である。
【0015】
プラグ30は、ブラダ10の外向フランジ部13とコア20の外向フランジ部22を収容する本体部31と、コア20に対してブラダ10を外向フランジ部13・22にて拘束する環状の拘束部32を備えるとともに、ハウジング40に固定するための環状段部33を備えている。なお、拘束部32では、その一部をかしめることにより、コア20に対してブラダ10が拘束されていて、ブラダ10とコア20とプラグ30が一体化されている。また、環状段部33では、図1に示したように、ハウジング40の一部がかしめられることにより、プラグ30がハウジング40に対して液密的に固定されている。
【0016】
上記のように構成したこの実施形態の液圧ダンパ100においては、その使用時において、ブラダ10の外側に液圧ポンプ50の吐出脈動(高圧の液圧変動)が負荷されると、高圧の液圧変動に応じてブラダ10が空気室Raに向けて弾性的に圧縮変形する。このときには、ブラダ10が開口部近傍を除きコア20と摩擦係合しないため、摩擦によるヒステリシス損失を最小限にした状態で高圧の液圧変動を吸収することができる。このため、小さい体積にて大きな液圧変動吸収効果(ダンパ効果)を得ることができる。また、この実施形態の液圧ダンパ100においては、空気室Raが液封(密封)状態とされている。このため、ブラダ10が空気室Raに向けて弾性的に圧縮変形する際には、空気室Raがエアバネとして機能し、ブラダ10の耐圧アップに寄与する。
【0017】
また、この実施形態の液圧ダンパ100において、ブラダ10の円筒状部14は、内径が外径の1/2に設定されていて厚肉に形成されているため、ブラダ10の外圧による座屈荷重を高めることができて、当該液圧ダンパ100の耐圧性能を十分に高めることができる。
【0018】
また、この実施形態の液圧ダンパ100においては、コア20の小径部21cが、ブラダ10における円筒状部14の外圧による座屈荷重に基づいて設定されていて、ブラダ10における円筒状部14の内径がコア20の小径部21cに当接することによりブラダ10における円筒状部14の座屈変形が規制されている。このため、コア20の小径部21cによって、ブラダ10における円筒状部14の座屈変形が規制されていて、ブラダ10の局部的過大変形を防ぐことができる。したがって、当該液圧ダンパ100の耐久性を高めることができる。
【0019】
上記した実施形態では、図2に示したように、プラグ30において拘束部32の一部をかしめることにより、コア20に対してブラダ10を拘束して実施したが、図3に示した実施形態のように構成して実施することも可能である。図3に示した実施形態では、プラグ30において拘束部(円筒部)32に拘束リング34が圧入により嵌合固定されていて、コア20に対してブラダ10が抜け止めされている。
【符号の説明】
【0020】
100…液圧ダンパ、10…ブラダ、11…閉塞端部、12…開口端部、13…外向フランジ部、14…円筒状部、20…コア、21…挿入部、21a…大径部、21b…徐変径部、21c…小径部、22…外向フランジ部、30…プラグ、31…本体部、32…拘束部、34…拘束リング、40…ハウジング、50…液圧ポンプ、60…絞り、Po…吐出側通路、Ra…空気室

図1
図2
図3