特開2015-228304(P2015-228304A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2015228304-燃料電池スタック 図000003
  • 特開2015228304-燃料電池スタック 図000004
  • 特開2015228304-燃料電池スタック 図000005
  • 特開2015228304-燃料電池スタック 図000006
  • 特開2015228304-燃料電池スタック 図000007
  • 特開2015228304-燃料電池スタック 図000008
  • 特開2015228304-燃料電池スタック 図000009
  • 特開2015228304-燃料電池スタック 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-228304(P2015-228304A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/24 20060101AFI20151120BHJP
   H01M 8/10 20060101ALN20151120BHJP
【FI】
   H01M8/24 Z
   H01M8/24 R
   H01M8/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-112920(P2014-112920)
(22)【出願日】2014年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 征治
(72)【発明者】
【氏名】西山 忠志
(72)【発明者】
【氏名】高木 孝介
【テーマコード(参考)】
5H026
【Fターム(参考)】
5H026AA06
5H026CC03
5H026CC08
(57)【要約】
【課題】簡単且つ経済的な構成で、複数の流体連通孔に流体を均一且つ円滑に分散させて各燃料電池に供給することを可能にする。
【解決手段】燃料電池スタック10は、複数の燃料電池12の積層方向一端に、第2エンドプレート18bが配設される。第2エンドプレート18bには、2つの冷却媒体供給連通孔50aに連通する冷却媒体入口流路86aを有する流路部材78aが設けられる。流路部材78aは、冷却媒体入口流路86aを2つの領域に区分する仕切り部88aを有し、且つ、前記仕切り部88aの先端には、切り欠き部90aが設けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を有し、複数の前記燃料電池が積層されるとともに、冷却媒体、前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスである流体を前記燃料電池内に流通させる流体連通孔が、前記燃料電池の積層方向に形成される積層体を備え、前記積層体の積層方向両端にエンドプレートが配設される燃料電池スタックであって、
互いに隣接する複数の前記流体連通孔に一体に連通する流体流路を有する流路部材が、少なくとも一方のエンドプレートに一体又は個別に設けられるとともに、
前記流路部材は、前記流体流路を前記流体連通孔に対応して複数の領域に区分する仕切り部を有し、且つ、前記仕切り部は、前記流体の流入側又は流出側に前記エンドプレートの厚さ方向に切り欠いて切り欠き部を設けることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記仕切り部は、前記切り欠き部に向かって先細り形状を有する先端部を設けることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池スタックにおいて、前記流体連通孔は、前記燃料電池に前記流体を供給する流体供給連通孔であり、前記流体供給連通孔の入口側に前記流路部材を介装して流体供給マニホールド部材が配置されることを特徴とする燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を有し、複数の前記燃料電池が積層されるとともに、積層方向両端にエンドプレートが配設される燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の一方の面側にアノード電極が、他方の面側にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。電解質膜・電極構造体は、セパレータによって挟持されることにより、発電セルが構成されている。燃料電池は、通常、所定の数の発電セルが積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池車両(燃料電池電気自動車等)に組み込まれている。
【0003】
燃料電池では、セパレータの面内に、アノード電極に燃料ガスを流すための燃料ガス流路と、カソード電極に酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路とが設けられている。また、互いに隣接するセパレータ間には、冷却媒体を流すための冷却媒体流路が前記セパレータの面方向に沿って設けられている。
【0004】
燃料電池では、さらに積層方向に貫通して燃料ガスを流通させる燃料ガス連通孔と、酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス連通孔と、冷却媒体を流通させる冷却媒体連通孔とが設けられた内部マニホールド型燃料電池が採用されている。燃料ガス連通孔(流体連通孔)は、燃料ガス供給連通孔及び燃料ガス排出連通孔を有する。酸化剤ガス連通孔(流体連通孔)は、酸化剤ガス供給連通孔及び酸化剤ガス排出連通孔を有し、冷却媒体連通孔(流体連通孔)は、冷却媒体供給連通孔及び冷却媒体排出連通孔を有している。
【0005】
上記の燃料電池では、少なくとも一方のエンドプレートには、各流体連通孔に連なって流体(燃料ガス、酸化剤ガス又は冷却媒体)を供給又は排出する流体マニホールドが設けられている。さらに、流体マニホールドには、流体供給管や流体排出管が接続されている。
【0006】
ところで、燃料電池では、同一の流体連通孔が互いに隣接して複数設けられる場合がある。その際、流体マニホールドは、複数の流体連通孔に一体に連通して設けられている。しかしながら、圧損の上昇や淀み点の発生等により、単一の流体マニホールドから各流体連通孔に流体を均等に供給することが困難になっている。このため、各発電セルへの流体分配性が低下するという問題がある。
【0007】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている冷媒マニホールドが知られている。この冷媒マニホールドは、複数の冷媒供給用連通孔に連通し、該複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室を有するマニホールド本体を備えている。冷媒マニホールドは、さらにマニホールド室と外部とを連通させるとともに、前記マニホールド室において冷媒の旋回流を発生させるように設けられた外部連通孔を有する外部連通部を備えている。そして、外部連通孔の中心を通る軸線と各冷媒供給用連通孔の中心を通る軸線とは、非平行且つ非垂直であることを特徴としている。
【0008】
従って、外部連通孔からの冷媒は、複数の冷媒供給用連通孔の配列方向に伸びたマニホールド室で旋回流等となった後、各冷媒供給用連通孔に均等に流れ込み易くなる。これにより、複数の冷媒供給用連通孔に連通する各単セルの冷媒流路に、冷媒を均等に分配して供給することができ、燃料電池スタックを効率的に冷却することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4971781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、この種の技術に関連してなされたものであり、簡単且つ経済的な構成で、互いに隣接する複数の流体連通孔に流体を均一且つ円滑に分散させることができ、各燃料電池への前記流体の分配性を向上させることが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る燃料電池スタックは、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を有し、複数の前記燃料電池が積層される積層体を備えている。積層体には、冷却媒体、燃料ガス又は酸化剤ガスである流体を燃料電池内に流通させる流体連通孔が、前記燃料電池の積層方向に形成されるとともに、前記積層体の積層方向両端にエンドプレートが配設されている。
【0012】
互いに隣接する複数の流体連通孔に一体に連通する流体流路を有する流路部材が、少なくとも一方のエンドプレートに一体又は個別に設けられている。そして、流路部材は、流体流路を流体連通孔に対応して複数の領域に区分する仕切り部を有し、且つ、前記仕切り部は、流体の流入側又は流出側にエンドプレートの厚さ方向に切り欠いて切り欠き部を設けている。
【0013】
また、この燃料電池スタックでは、仕切り部は、切り欠き部に向かって先細り形状を有する先端部を設けることが好ましい。
【0014】
さらに、この燃料電池スタックでは、流体連通孔は、燃料電池に流体を供給する流体供給連通孔であり、前記流体供給連通孔の入口側に流路部材を介装して流体供給マニホールド部材が配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、流体流路から区分けされた複数の領域に流体が流通するとともに、仕切り部には、前記流体の流入側又は流出側に切り欠き部が設けられている。このため、圧損の低減が図られるとともに、乱流の発生を抑制することができる。従って、簡単且つ経済的な構成で、互いに隣接する複数の流体連通孔に流体を均一且つ円滑に分散させることができ、各燃料電池への前記流体の分配性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの冷却媒体マニホールド部材側の斜視説明図である。
図2】前記燃料電池スタックの一部分解斜視説明図である。
図3】前記燃料電池スタックを構成する燃料電池の要部分解斜視説明図である。
図4】前記燃料電池スタックを構成する第2エンドプレートの一部分解斜視図である。
図5】前記燃料電池スタックの、図1中、V−V線断面図である。
図6】前記燃料電池スタックを構成する冷却媒体供給マニホールド部材と絶縁プレートとの一方の側からの分解斜視説明図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの要部断面説明図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタックの要部断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10は、例えば、図示しない燃料電池電気自動車に搭載される。燃料電池スタック10は、複数の燃料電池12が電極面を立位姿勢にして水平方向(矢印B方向)に積層された積層体12asを備える。なお、複数の燃料電池12を重力方向に積層して積層体12asを構成してもよい。
【0018】
図2に示すように、燃料電池12の積層方向一端(積層体12asの一端)には、第1ターミナルプレート14a、第1絶縁プレート16a及び第1エンドプレート18aが、外方に向かって、順次、配設される。燃料電池12の積層方向他端(積層体12asの他端)には、第2ターミナルプレート14b、第2絶縁プレート16b及び第2エンドプレート18bが、外方に向かって、順次、配設される。
【0019】
横長形状(長方形状)の第1エンドプレート18aの略中央部(中央部から偏心していてもよい)からは、第1ターミナルプレート14aに接続された第1電力出力端子20aが外方に向かって延在する。横長形状(長方形状)の第2エンドプレート18bの略中央部からは、第2ターミナルプレート14bに接続された第2電力出力端子20bが外方に向かって延在する。
【0020】
第1エンドプレート18aと第2エンドプレート18bとの各辺間には、それぞれ各辺の略中央位置に対応して一定の長さを有する連結バー22が配置される。連結バー22の両端は、ねじ24により固定され、積層体12asに積層方向(矢印B方向)の締め付け荷重を付与する。
【0021】
燃料電池スタック10は、必要に応じてケーシング26を備える。ケーシング26は、車幅方向(矢印B方向)両端の2辺(面)が第1エンドプレート18a及び第2エンドプレート18bにより構成される。ケーシング26の車長方向(矢印A方向)両端の2辺(面)は、横長プレート形状の前方サイドパネル28a及び後方サイドパネル28bにより構成される。ケーシング26の車高方向(矢印C方向)両端の2辺(面)は、上方サイドパネル30a及び下方サイドパネル30bにより構成される。上方サイドパネル30a及び下方サイドパネル30bは、横長プレート形状を有する。
【0022】
第1エンドプレート18a及び第2エンドプレート18bには、各辺にねじ穴32が設けられる。前方サイドパネル28a、後方サイドパネル28b、上方サイドパネル30a及び下方サイドパネル30bには、各ねじ穴32に対向して孔部34が形成される。各孔部34に挿入されるねじ36は、各ねじ穴32に螺合することにより、ケーシング26が一体に固定される。
【0023】
図3に示すように、燃料電池12は、電解質膜・電極構造体40と、前記電解質膜・電極構造体40を挟持する第1金属セパレータ(カソード側セパレータ)42及び第2金属セパレータ(アノード側セパレータ)44とを備える。
【0024】
第1金属セパレータ42及び第2金属セパレータ44は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成される。第1金属セパレータ42及び第2金属セパレータ44は、平面が矩形状を有するとともに、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状に成形される。なお、第1金属セパレータ42及び第2金属セパレータ44に代えて、例えば、カーボンセパレータを使用してもよい。
【0025】
第1金属セパレータ42及び第2金属セパレータ44は、横長形状を有するとともに、長辺が水平方向(矢印A方向)に延在し且つ短辺が重力方向(矢印C方向)に延在するように構成される。なお、短辺が水平方向に延在し且つ長辺が重力方向に延在するように構成してもよい。
【0026】
燃料電池12の長辺方向(矢印A方向)の一端縁部には、矢印B方向に互いに連通して、酸化剤ガス供給連通孔46a及び燃料ガス供給連通孔48aが設けられる。酸化剤ガス供給連通孔46aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する一方、燃料ガス供給連通孔48aは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給する。
【0027】
燃料電池12の長辺方向の他端縁部には、矢印B方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔48bと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔46bとが設けられる。
【0028】
燃料電池12の短辺方向(矢印C方向)の両端縁部一方側(水平方向一端側)には、すなわち、酸化剤ガス供給連通孔46a及び燃料ガス供給連通孔48a側には、2組の冷却媒体供給連通孔50aが設けられる。2組の冷却媒体供給連通孔50aは、冷却媒体を供給するために、矢印B方向にそれぞれ連通しており、対向する辺に上下に設けられる。
【0029】
燃料電池12の上方側の冷却媒体供給連通孔50aは、隔壁部51aを介して水平方向に互いに隣接して2分割され、それぞれ独立して冷却媒体を流通させる。燃料電池12の下方側の冷却媒体供給連通孔50aは、隔壁部51aを介して水平方向に互いに隣接して2分割され、それぞれ独立して冷却媒体を流通させる。
【0030】
燃料電池12の短辺方向の両端縁部他方側(水平方向他端側)には、すなわち、燃料ガス排出連通孔48b及び酸化剤ガス排出連通孔46b側には、2組の冷却媒体排出連通孔50bが設けられる。2組の冷却媒体排出連通孔50bは、冷却媒体を排出するために、矢印B方向にそれぞれ連通しており、対向する辺に上下に設けられる。各冷却媒体排出連通孔50bは、隔壁部51bを介して水平方向に互いに隣接して2分割され、それぞれ独立して冷却媒体を流通させる。
【0031】
電解質膜・電極構造体40は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜52と、前記固体高分子電解質膜52を挟持するカソード電極54及びアノード電極56とを備える。
【0032】
カソード電極54及びアノード電極56は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)を有する。白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子は、ガス拡散層の表面に一様に塗布されることにより、電極触媒層(図示せず)が形成される。電極触媒層は、固体高分子電解質膜52の両面に形成される。
【0033】
第1金属セパレータ42の電解質膜・電極構造体40に向かう面42aには、酸化剤ガス供給連通孔46aと酸化剤ガス排出連通孔46bとを連通する酸化剤ガス流路58が形成される。酸化剤ガス流路58は、矢印A方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
【0034】
第2金属セパレータ44の電解質膜・電極構造体40に向かう面44aには、燃料ガス供給連通孔48aと燃料ガス排出連通孔48bとを連通する燃料ガス流路60が形成される。燃料ガス流路60は、矢印A方向に延在する複数本の波状流路溝(又は直線状流路溝)により形成される。
【0035】
第2金属セパレータ44の面44bと隣接する第1金属セパレータ42の面42bとの間には、冷却媒体供給連通孔50a、50aと冷却媒体排出連通孔50b、50bとに連通する冷却媒体流路62が形成される。冷却媒体流路62は、水平方向に延在しており、電解質膜・電極構造体40の電極範囲にわたって冷却媒体を流通させる。
【0036】
第1金属セパレータ42の面42a、42bには、この第1金属セパレータ42の外周端縁部を周回して第1シール部材64が一体成形される。第2金属セパレータ44の面44a、44bには、この第2金属セパレータ44の外周端縁部を周回して第2シール部材66が一体成形される。
【0037】
第1シール部材64及び第2シール部材66としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
【0038】
図2に示すように、第1エンドプレート18aには、例えば、電気絶縁性樹脂からなる酸化剤ガス供給マニホールド部材68a、酸化剤ガス排出マニホールド部材68b、燃料ガス供給マニホールド部材70a及び燃料ガス排出マニホールド部材70bが取り付けられる。酸化剤ガス供給マニホールド部材(流体供給マニホールド部材)68a及び酸化剤ガス排出マニホールド部材68bは、酸化剤ガス供給連通孔46a及び酸化剤ガス排出連通孔46bに連通する。燃料ガス供給マニホールド部材(流体供給マニホールド部材)70a及び燃料ガス排出マニホールド部材70bは、燃料ガス供給連通孔48a及び燃料ガス排出連通孔48bに連通する。
【0039】
図1に示すように、第2エンドプレート(一方のエンドプレート)18bには、一対の冷却媒体供給連通孔50aに連通する射出成形された電気絶縁性樹脂製の冷却媒体供給マニホールド部材(流体供給マニホールド部材)72aがねじにより結合される。第2エンドプレート18bには、一対の冷却媒体排出連通孔50bに連通する射出成形された電気絶縁性樹脂製の冷却媒体排出マニホールド部材72bがねじにより結合される。
【0040】
第2エンドプレート18bを積層体12asから見た図4に示すように、第2エンドプレート18bには、互いに隣接する一対の冷却媒体供給連通孔50aに連通する開口部74aと、互いに隣接する一対の冷却媒体排出連通孔50bに連通する開口部74bとが形成される。開口部74a、74bは、それぞれ上下に一対設けられる。開口部74aは、第2エンドプレート18bの積層体12as側の内面18bsに形成された拡開部76aに連通する。開口部74aには、内面18bs側から流路部材78aがねじ80aを介して固定される。
【0041】
流路部材78aは、拡開部76aに配置されるフランジ部82aを有し、前記フランジ部82aに挿入されるねじ80aを介して第2エンドプレート18bに固定される。流路部材78aは、開口部74aに嵌合する筒状部84aを有し、前記筒状部84aに冷却媒体入口流路(流体流路)86aが貫通形成される。
【0042】
なお、拡開部76aを、第2エンドプレート18bの内面18bsとは反対の外面側に形成し、流路部材78aを前記第2エンドプレート18bの外方から取り付けてもよい。また、流路部材78aは、第2エンドプレート18bと一体に構成してもよい。
【0043】
図1及び図5に示すように、流路部材78aは、冷却媒体入口流路86aを冷却媒体供給連通孔50aに対応して複数、例えば、2つの領域に区分する仕切り部88aを有する。仕切り部88aは、隔壁部51aに隙間なく連続して設けられるとともに、冷却媒体の流入側(冷却媒体供給マニホールド部材72a側)に先端部分を第2エンドプレート18bの厚さ方向に切り欠いて切り欠き部90aを設ける。仕切り部88aは、切り欠き部90aに向かって先細り形状の先端部88asを有する。
【0044】
冷却媒体排出連通孔50bに連通する一対の開口部74bには、流路部材78bが固定される。流路部材78bは、上記の流路部材78aと同様に構成されており、同一の構成要素には、同一の参照数字にaに代えてbを付し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図1及び図6に示すように、冷却媒体供給マニホールド部材72aは、電気絶縁性樹脂等からなる絶縁プレート94aを介装してねじ95により第2エンドプレート18bに固定される。絶縁プレート94aは、略平板状を有し、上方の2分割された冷却媒体入口流路86aに一体に連通する冷却媒体入口96aと、下方の2分割された冷却媒体入口流路86aに一体に連通する冷却媒体入口96aとを有する。
【0046】
冷却媒体供給マニホールド部材72aは、内部空間72acを周回するフランジ部98aを有する。フランジ部98aと絶縁プレート94aとがねじ97を介してねじ止めされることにより、冷却媒体供給マニホールド部材72aが前記絶縁プレート94aに固定される。
【0047】
冷却媒体供給マニホールド部材72aには、矢印C方向の中間位置(冷却媒体流路62の流路幅方向中央部)に冷却媒体供給口である入口管路部100aが、水平方向に向かって又は水平方向から傾斜して設けられる。
【0048】
図1に示すように、冷却媒体排出マニホールド部材72bは、電気絶縁性樹脂等からなる絶縁プレート94bを介装して第2エンドプレート18bに固定される。なお、冷却媒体供給マニホールド部材72aと同一の構成要素には、同一の参照数字にaに代えてbを付し、その詳細な説明は省略する。冷却媒体排出マニホールド部材72bには、矢印C方向の中間位置に、冷却媒体排出口である出口管路部100bが、水平方向に向かって又は水平方向から傾斜して設けられる。
【0049】
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
【0050】
先ず、図2に示すように、第1エンドプレート18aの酸化剤ガス供給マニホールド部材68aから酸化剤ガス供給連通孔46aには、酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。第1エンドプレート18aの燃料ガス供給マニホールド部材70aから燃料ガス供給連通孔48aには、水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。
【0051】
さらに、図1に示すように、第2エンドプレート18bでは、冷却媒体供給マニホールド部材72aの入口管路部100aから内部空間72acには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。冷却媒体は、内部空間72acの上下に連通する一対の冷却媒体入口流路86aに分配された後、上下それぞれ一対の冷却媒体供給連通孔50aに供給される。
【0052】
このため、図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔46aから第1金属セパレータ42の酸化剤ガス流路58に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路58に沿って矢印A方向に移動し、電解質膜・電極構造体40のカソード電極54に供給される。
【0053】
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔48aから第2金属セパレータ44の燃料ガス流路60に供給される。燃料ガスは、燃料ガス流路60に沿って矢印A方向に移動し、電解質膜・電極構造体40のアノード電極56に供給される。
【0054】
従って、電解質膜・電極構造体40では、カソード電極54に供給される酸化剤ガスと、アノード電極56に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
【0055】
次いで、電解質膜・電極構造体40のカソード電極54に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔46bに沿って矢印B方向に排出される。一方、電解質膜・電極構造体40のアノード電極56に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔48bに沿って矢印B方向に排出される。
【0056】
また、上下それぞれ一対の冷却媒体供給連通孔50aに供給された冷却媒体は、第1金属セパレータ42及び第2金属セパレータ44間の冷却媒体流路62に導入される。冷却媒体は、一旦矢印C方向内方(互いに近接する方向)に沿って流動した後、矢印A方向に移動して電解質膜・電極構造体40を冷却する。冷却媒体は、矢印C方向外方(互いに離間する方向)に移動した後、上下それぞれ一対の冷却媒体排出連通孔50bに沿って矢印B方向に排出される。
【0057】
図1に示すように、冷却媒体は、上下それぞれ一対の冷却媒体排出連通孔50bから一対の冷却媒体入口流路86aを通って冷却媒体排出マニホールド部材72bの内部空間72bcに排出される。冷却媒体は、内部空間72bcの中央側に流通した後、出口管路部100bから外部に排出される。
【0058】
この場合、第1の実施形態では、図1及び図5に示すように、流路部材78aは、冷却媒体入口流路86aを、例えば、2つの領域に区分する仕切り部88aを有している。そして、仕切り部88aは、冷却媒体の流入側(冷却媒体供給マニホールド部材72a側)に先端部分を第2エンドプレート18bの厚さ方向に切り欠いて切り欠き部90aを設けている。
【0059】
このため、図5に示すように、冷却媒体供給マニホールド部材72aの内部空間72acを通って流路部材78aの冷却媒体入口流路86aに供給された冷却媒体は、切り欠き部90aに導入された後、仕切り部88aにより分流されている。従って、内部空間72acから冷却媒体入口流路86aに導入された冷却媒体は、圧損の低減が容易に図られるとともに、乱流や淀み点の発生を抑制することができる。
【0060】
しかも、仕切り部88aは、切り欠き部90aに向かって先細り形状の先端部88asを有している。これにより、圧損が可及的に抑制され、各冷却媒体供給連通孔50aに対する冷却媒体の分配性が一層向上する。このため、簡単且つ経済的な構成で、互いに隣接する2つの冷却媒体供給連通孔50aに冷却媒体を均一且つ円滑に分散させて各燃料電池12に供給することが可能になるという効果が得られる。
【0061】
また、冷却媒体排出連通孔50bには、流路部材78bが設けられている。従って、冷却媒体排出連通孔50bから冷却媒体排出マニホールド部材72bに排出される冷却媒体は、圧損が低減されるとともに、円滑に流通することができるという利点がある。
【0062】
図7に示すように、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック110は、流路部材112を備える。なお、第1の実施形態と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0063】
流路部材112は、冷却媒体入口流路86aを複数、例えば、2つの領域に区分する仕切り部114を有する。仕切り部114は、冷却媒体の流出側(冷却媒体供給マニホールド部材72aとは反対側)に第2エンドプレート18bの厚さ方向に切り欠いて切り欠き部116を設ける。切り欠き部116により、仕切り部114と隔壁部51aとが離間する。すなわち、仕切り部114と隔壁部51aの先端の間に隙間が形成される。なお、隔壁部51aの先端は、図7に破線で示すようにR形状にしてもよい。仕切り部114は、切り欠き部116に向かって先細り形状の先端部114sを有する。
【0064】
このように構成される第2の実施形態では、冷却媒体供給マニホールド部材72aの内部空間72acを通って流路部材112の冷却媒体入口流路86aに供給された冷却媒体は、仕切り部114により分流されている。そして、冷却媒体の一部は、仕切り部114と隔壁部51aとの間に形成された切り欠き部116に導入されるとともに、互いに隣接する2つの冷却媒体供給連通孔50aに分散供給されている。
【0065】
従って、内部空間72acから互いに隣接する2つの冷却媒体供給連通孔50aに分散供給された冷却媒体は、圧損の低減が容易に図られるとともに、乱流や淀み点の発生を抑制することができる。しかも、仕切り部114は、切り欠き部116に向かって先細り形状の先端部114sを有している。これにより、圧損が可及的に抑制され、各冷却媒体供給連通孔50aに対する冷却媒体の分配性が向上する等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタック120の要部断面説明図である。
【0067】
燃料電池スタック120では、互いに隣接する3つの冷却媒体供給連通孔50aaが、2つの隔壁部51aaを介して分割形成される。燃料電池スタック120は、流路部材122を備える。流路部材122は、冷却媒体入口流路86aaを複数、例えば、3つの領域に区分する2つの仕切り部124を有する。
【0068】
仕切り部124は、冷却媒体の流入側(冷却媒体供給マニホールド部材72a側)に第2エンドプレート18bの厚さ方向に切り欠いて切り欠き部126を設ける。各仕切り部124は、切り欠き部126に向かって先細り形状の先端部124sを有する。
【0069】
このように構成される第3の実施形態では、内部空間72acから互いに隣接する3つの冷却媒体供給連通孔50aaに分散供給された冷却媒体は、圧損の低減が容易に図られるとともに、乱流や淀み点の発生を抑制することができる。しかも、仕切り部124は、切り欠き部126に向かって先細り形状の先端部124sを有している。これにより、圧損が可及的に抑制され、各冷却媒体供給連通孔50aaに対する冷却媒体の分配性が向上する等、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成を用いているが、第2の実施形態と同様の構成を採用してもよい。また、第1〜第3の実施形態では、冷却媒体供給連通孔50a(50aa)及び冷却媒体排出連通孔50bについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、燃料ガス供給連通孔48aや酸化剤ガス供給連通孔46aに適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10、110、120…燃料電池スタック
12…燃料電池 12as…積層体
18a、18b…エンドプレート 26…ケーシング
40…電解質膜・電極構造体 42、44…金属セパレータ
46a…酸化剤ガス供給連通孔 46b…酸化剤ガス排出連通孔
48a…燃料ガス供給連通孔 48b…燃料ガス排出連通孔
50a…冷却媒体供給連通孔 50b…冷却媒体排出連通孔
52…固体高分子電解質膜 54…カソード電極
56…アノード電極 58…酸化剤ガス流路
60…燃料ガス流路 62…冷却媒体流路
68a…酸化剤ガス供給マニホールド部材
68b…酸化剤ガス排出マニホールド部材
70a…燃料ガス供給マニホールド部材
70b…燃料ガス排出マニホールド部材
72a…冷却媒体供給マニホールド部材
72ac…内部空間 72b…冷却媒体排出マニホールド部材
74a、74b…開口部
78a、78b、112、122…流路部材
84a…筒状部 86a…冷却媒体入口流路
88a、114、124…仕切り部 88as、114s、124s…先端部
90a、116、126…切り欠き部 94a、94b…絶縁プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8