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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-228778(P2015-228778A)
(43)【公開日】2015年12月17日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20151120BHJP
【FI】
   H02M7/48 RZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-114493(P2014-114493)
(22)【出願日】2014年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】角谷 啓
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英一
【テーマコード(参考)】
5H007
【Fターム(参考)】
5H007AA07
5H007BB07
5H007CA01
5H007CB02
5H007CB05
5H007CC12
5H007DB02
5H007DC02
5H007DC05
(57)【要約】
【課題】 直流と交流とを変換可能な電力変換装置を備えた電力変換装置において、連系する交流電圧系統の電力の利用状況に応じて変化する三相不平衡に応じて各相の電力を制御しながら、電力変換時の電力変換損失を低減可能な電力変換装置を供することである。
【解決手段】 直流電圧と交流電圧を変換可能な直流交流変換装置を備え、連系する交流電圧系統の電圧の周期に合わせて、直流交流変換装置の直流電圧の大きさを周期的に変更し、出力する交流電圧の一部を、直流電圧の周期的な変化で代替して出力する電力変換装置であって、連系する交流電圧系統の電圧である三相交流電圧のうち、逐次振幅の最も大きい相に合わせて直流電圧を制御し、さらに、交流電圧系統の前記三相交流電圧の相間で振幅、または位相、または振幅と位相に差分がある際には、直流交流変換装置のスイッチング回数を、交流電圧系統の前記三相交流電圧の振幅の相間の逐次差分に応じて、相間で変更する手段を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧と交流電圧を変換可能な直流交流変換回路を備え、
前記直流交流変換回路の交流側接続端に接続する交流電圧系統の電圧の周期に合わせて、前記直流交流変換回路の直流側接続端の電圧である直流電圧の大きさを周期的に変更し、前記交流側接続端の電圧である交流電圧の一部を、前記直流電圧の周期的な変更で代替して出力する電力変換装置であって、
前記直流電圧は前記交流電圧系統の電圧である三相交流電圧のうち、逐次振幅の最も大きい相の電圧に合わせて前記直流電圧を制御することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
周期的に変更する前記直流電圧は、前記交流電圧系統の前記三相交流電圧に基づいて決定され、交流電圧の目標値である交流電圧目標値の絶対値の三相分のうち、逐次最大となる前記交流電圧目標値の絶対値を基に制御することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
周期的に変更する前記直流電圧の振幅は、前記直流交流変換回路と前記交流電圧系統の間で送受する有効電力に基づいて変更することを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
周期的に変更する前記直流電圧の振幅は、前記直流交流変換回路と前記交流電圧系統の間で送受する有効電力が大きいほど、大きくなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記系統電圧の相間で振幅、または位相、または振幅と位相に差分がある際に、
前記直流交流変換回路が直流と交流とを変換する際のスイッチングの回数であるスイッチング回数を、前記交流電圧系統の前記三相交流電圧の振幅が逐次最大となる相の振幅に対する、相間の逐次振幅差分に応じて、相間で変更することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記系統電圧振幅最大値の最も大きい相に合わせて前記直流電圧を周期的に変化させることによって、前記直流交流変換回路の前記交流電圧の一部を、前記直流交流変換回路の前記直流電圧が代替する電力変換装置であって、
前記交流電圧系統の前記三相交流電圧の相間で振幅、または位相、または振幅と位相に差分があり、
前記交流電圧系統の前記三相交流電圧の前記逐次振幅の最大値の相間の差分に応じて、前記直流交流変換回路の前記スイッチング回数を相間で変更する際に、
前記交流電圧系統の前記三相交流電圧の振幅の最大値が三相間で最大となる相Aの逐次振幅を基準逐次振幅として、
前記相A以外の相では、前記基準逐次振幅と自身の逐次振幅の差分が大きいほど、前記基準逐次振幅の相の前記スイッチング回数に対して、前記スイッチング回数を多くすることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の電力変換装置であって、
前記直流交流変換回路を2つ備え、各々の前記直流交流変換回路の前記直流接続端を接続し、交流電圧と交流電圧を変換可能な回路構成を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の電力変換装置であって、
前記直流交流変換回路の前記直流接続端に、直流電圧を直流電圧へと変換可能な直流直流変換回路を接続し、直流電圧と交流電圧を変換可能な回路構成を備えることを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野に関する背景技術として、例えば特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
特許文献1には、無停電電源装置の三相出力電圧を検出し三相全波整流した電圧の平均値と所定の設定電圧との偏差をとる第1つき合わせ回路と、前記無停電電源装置の三相出力の各相電圧を検出し、各々単相全波整流した電圧の各平均値と前記設定電圧との偏差を各相毎に取る第2つき合わせ回路と、前記第2つきあわせ回路の各相偏差電力に前記第1つき合わせ回路の偏差出力を各相毎に加算する加算器とを備え、前記加算器の各相出力信号と、お互いに120°の位相差を有する三相正弦波信号とに基づいて、三相個別のゲート信号を作成し、該ゲート信号によって前記無停電電源装置のインバータを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-38538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、二酸化炭素の排出による地球温暖化や、化石燃料の枯渇が懸念されており、二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下が求められている。二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下を図るためには、風力や太陽光などの自然から得られる再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入が有効であると考えられる。
【0006】
電力を生成する発電所から消費する需要家までは、電力系統を介して電力が送達されているが、その電力は所定の周期内、最大振幅を有する交流電圧の形態で送電されている。
上記再生可能エネルギーで生成された電力は、電力を送達するために、上記電力系統の電圧に対して振幅と位相を合わせる必要がある。そのため、再生可能エネルギーのみならず、電力系統に接続される機器は電力変換装置、特に、直流電圧と交流電圧とを変換可能な直流交流変換装置を備えるものが多い。
【0007】
また、電力変換装置は、電力の回路に設けられ、電力の接続を断続可能な半導体素子を利用した装置が多く用いられている。上記半導体素子の動作の切換え(以下、スイッチング)を多数実施することで、直流から交流への電力変換を実施する。
【0008】
上述のように、電力変換装置を利用して電力系統と接続して電力を送受(以下、連系)する場合、電力系統の電圧の振幅と位相を合わせる必要があるが、電力系統の三相交流電圧は、接続される負荷の状況により、三相間の振幅と位相に偏差が生ずる場合がある(三相不平衡)。
【0009】
特許文献1では上記三相不平衡に対応するために、電力変換装置のスイッチングパターンを上記偏差に合わせて調整する制御技術が開示されている。特許文献1に開示の技術を利用することにより、電力変換装置が電力系統の三相不平衡に合わせた電圧を出力することにより、所望の電力を送受することが可能となる。
【0010】
電力変換装置がスイッチングを実施する際には電力損失が生ずる。少ない投資額で再生可能エネルギーを最大限利用するためには、電力変換装置の変換損失を低減する技術が必須である。特許文献1に開示されている制御技術によれば、電力系統の三相不平衡に対応可能であるが、電力変換装置の電力損失を低減する技術については開示されておらず、電力変換装置の電力損失を低減できないといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願は、上記代表課題を解決する解決手段を複数有するが、そのうちの代表的な手段としては、直流電圧と交流電圧を変換可能な直流交流変換回路を備え、前記直流交流変換回路の交流側接続端に接続する交流電圧系統の電圧の周期に合わせて、前記直流交流変換回路の直流側接続端の電圧である直流電圧の大きさを周期的に変更し、前記交流側接続端の電圧である交流電圧の一部を、前記直流電圧の周期的な変更で代替して出力する電力変換装置であって、前記直流電圧は前記交流電圧系統の電圧である三相交流電圧のうち、逐次振幅の最も大きい相の電圧に合わせて前記直流電圧を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本願の代表的な解決手段によれば、電力変換装置が連系する電力系統の三相不平衡に対応して出力する電圧、電流を調整しながら、電力変換装置のスイッチング動作に伴う電力損失を低減することで、電力変換装置の効率向上をも可能な電力変換装置を供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願の電力変換装置の第1の実施形態の概略構成を示すシステムブロック図。
図2】本願の電力変換装置の第1の実施形態の直流交流変換回路2の概略構成を示す回路図。
図3】本願の電力変換装置の第1の実施形態の直流電圧変換回路3の概略構成を示す回路図。
図4】本願の電力変換装置の第1の実施形態の制御装置1に実装される制御アルゴリズム。
図5】本願の電力変換装置の第1の実施形態における、指令電圧1演算41と、最大振幅1演算43の作動状態の概要を示すタイムチャート。
図6】本願の電力変換装置の第1の実施形態における、指令電圧2演算42と最大振幅2演算44の作動状態の概要を示すタイムチャート。
図7】本願の電力変換装置の第1の実施形態における、振幅比演算45と振幅閾値1演算46の作動状態の概要を示すタイムチャート。
図8】本願の電力変換装置の第1の実施形態における、三相平衡時および三相不平衡時での最大振幅と振幅閾値1の作動状態の概要を示すタイムチャート。
図9】本願の電力変換装置の第1の実施形態における、スイッチングパターン演算47のA相の作動状態概要を示すタイムチャート。
図10】本願の電力変換装置の第1の実施形態における、スイッチングパターン演算47のB相の作動状態概要を示すタイムチャート。
図11】本願の電力変換装置の第1の実施形態における、スイッチングパターン演算47のC相の作動状態概要を示すタイムチャート。
図12】本願の電力変換装置の第2の実施形態の制御装置1に実装される制御アルゴリズム。
図13】本願の電力変換装置の第1の実施形態における、振幅比演算45と調整フラグ演算121の作動状態の概要を示すタイムチャート。
図14】本願の電力変換装置の第2の実施形態における、スイッチングパターン演算122のA相の作動状態概要を示すタイムチャート。
図15】本願の電力変換装置の第2の実施形態における、スイッチングパターン演算122のB相の作動状態概要を示すタイムチャート。
図16】本願の電力変換装置の第2の実施形態における、スイッチングパターン演算122のC相の作動状態概要を示すタイムチャート。
図17】本願の電力変換装置の第3の実施形態の概略構成を示すシステムブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を説明する。
【0015】
<発明の適用アプリケーション>
以下に説明する実施形態は、直流と交流を変換する直流交流変換装置と、直流交流変換装置の直流側の電圧である直流電圧を操作可能な変換装置を備える電力変換装置に適用できる。
【0016】
より具体的には、直流交流変換装置と直流直流変換装置を備えた電力変換装置を備えた、蓄電池システム、無効電力補償システム、太陽光発電システム等に適用できる。
【0017】
また、直流交流変換装置と直流側で接続する直流交流変換装置を備えた回路構成を備える、交流交流変換システム、風力発電システム等にも適用できる。
<電力変換装置の概略構成>
電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換したり、交流電力を直流電力に変換したりする装置である。電力変換装置の直流側に直流電力源を接続し、交流側に交流電圧系統を接続、連系する場合がある。また、交流側に、電動機や発電機を代表とする交流負荷を接続する場合がある。
【0018】
また、電力変換装置は、交流電力を交流電力に変換することが可能な構成を備える装置もある。一端の交流側に交流電圧系統を接続し、他端の交流側にも交流電圧系統を接続、連系する場合がある。また、一端の交流側に交流電圧系統を接続し、他端の交流側に電動機や発電機を代表とする交流負荷を接続する場合がある。
<解決手段による代表的な作用効果>
尚、この他にも解決すべき課題及びその解決手段はある。それらについては、これ以降の各実施形態の中において、課題の裏返しとなる効果に置き換え、その解決手段と共に説明する。
【0019】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
<第1の実施形態の概略構成>
まず、図1を用いて、本願に係る電力変換装置の第1の実施形態の概略構成について説明する。
【0021】
図1は、本願の電力変換装置101を適用した電源システム102の全体の概略構成を示す。
【0022】
電力変換装置101は、制御装置1と、直流と交流を変換可能な直流交流変換回路2と、直流を直流へ変換可能な直流電圧変換回路3と、直流交流変換回路2の直流側端子22または直流電圧変換回路3の接続端子である端子32に並列に接続されるコンデンサ4と抵抗5の直列ストリングと、直流交流変換回路2の交流側端子21に接続されるフィルタ回路6とを備えている。
【0023】
また、図1では明記しないが、電力変換装置101は制御装置や外部の状態を検知するセンサを備えており、制御装置1には、該センサの出力信号に基づいて直流交流変換回路2の作動状態や直流電圧変換回路3の作動状態を変更する信号を演算、出力する制御プログラムがあらかじめ実装している。
【0024】
電力変換装置101の直流電圧変換回路3の接続端子33に、直流電源装置7が接続されている。図1では明記しないが、鉛電池、リチウム二次イオン電池、ニッケル水素電池、燃料電池、キャパシタ、直流電源装置、太陽電池をそれぞれ直並列させる構成のものであっても良いし、複数種を直並列させる構成のものであっても良い。
【0025】
さらに、電力変換装置101は、交流電圧系統8にフィルタ回路6を介して接続され、電源システム102と交流電圧系統8間で電力を送受する。図1には明記しないが、フィルタ6はリアクトルやコンデンサが適宜位置に備えられ、適宜回路構成を備えるものである。
【0026】
以下、本実施形態では、交流電圧系統8は三相交流電圧を生成する系統である例を挙げて詳細を説明するが、発電機などの交流電源負荷を接続しても構わない。
【0027】
<第1の実施形態における直流交流変換回路の構成>
図2は、図1の電力変換装置101を構成する直流交流変換回路2の概略構成を示す。
【0028】
直流交流変換回路2は、交流と接続する端子である交流側端子21と、直流側と接続する端子である直流側端子22を備える。
【0029】
また、直流交流変換回路2は、例えばIGBT(Insulated Gate-emitted Bipolar Transistor)といった半導体スイッチとダイオードを並列接続したスイッチ対2a、2b、2c、2d、2e、2fを備えている。スイッチ対2aと2b、2cと2d、および2eと2fは直列接続され、それぞれ2直列された端子が並列接続されており、直流側端子22と接続されている。また、スイッチ対を2直列した中間点のそれぞれは、交流側端子21と接続されている。この直流交流変換回路2は直流側端子22に接続した直流電圧を、三相交流電圧に変換して交流側端子21より出力可能なフルブリッジ変換器の回路構成を備えている。
【0030】
<第1の実施形態における直流電圧変換回路の構成>
図3は、図1の電力変換装置101を構成する直流電圧変換回路3の概略構成を示す。
【0031】
直流電圧変換回路3は、リアクトル31と、上述のスイッチ対2a、2b、2c、2d、2e、2fと同構成を備えるスイッチ対3aおよび3bと、低電圧側端子32と、高電圧側端子33を備えている。
【0032】
スイッチ対3aと3bは直列接続されており、直列接続した後のそれぞれの端子は、高電圧側端子33を構成しており、スイッチ対3aおよび3bを構成するダイオードの逆方向に電圧を印加する際に、電圧が正となる端子が高電圧側端子の正側端子であり、ダイオードの逆方向に電圧を印加する際に、電圧が負となる端子が高電圧側の負側端子である。
【0033】
また、スイッチ対3aおよび3bの中間点と接続される端子と、上述の高電圧側端子の負側端子と接続される端子の対にて低電圧側端子32を構成しており、スイッチ対3aおよび3bの中間点にリアクトル31を介して接続される端子が、低電圧側端子32の正側端子であり、上述の高電圧側端子33の負側端子と接続される端子が、低電圧側端子32の負側端子である。
【0034】
図3に示す直流電圧変換回路2は、低電圧側端子32に接続する直流電圧源Aと、高電圧側端子33に接続する直流電圧源Bとで、直流の電力を双方向にて送受可能な回路構成であり、非絶縁型の双方向DC-DCコンバータの一部の回路構成と同様の構成を備える。なお、直流電源Aの電圧は直流電源Bの電圧よりも小さい関係を満たす必要がある。
【0035】
第1の実施形態では、電力変換装置101の直流電圧変換回路3が図3に示す構成を備えるものであるが、これに限るものではなく、直流交流変換回路101の直流側端子22に、高電圧側端子33が接続されるような、図1と逆の方向で接続されるものであっても良い。また、上述の通り、図3の直流電圧変換回路3は非絶縁側であるが、絶縁型のDC/DCコンバータと同様の回路構成を備えるものであっても良い。
【0036】
<第1の実施形態における電力変換装置の動作の説明>
次に、図4乃至図11を用いて電力変換装置101の動作の一例について説明する。
【0037】
図4は、電力変換装置101の制御装置1に実装される制御アルゴリズムのブロック線図を示す。
【0038】
第1の実施形態における制御アルゴリズムは指令電圧1演算41、指令電圧2演算42、最大振幅1演算43、最大振幅2演算44、振幅比演算45、振幅閾値1演算46、およびスイッチングパターン演算47により構成される。
【0039】
指令電圧1演算41は、図1には明記しないが、交流電圧系統8の電圧を計測する電圧センサの出力信号であるvk(Kは三相の番号であるA、B、またはC)と、三相の電流を計測する電流センサの出力信号であるikに基づいて、三相不平衡時に交流電圧系統8と直流交流変換回路2とで電力を送受するための直流交流変換回路2のスイッチングパターンを決定する指令電圧である指令電圧1(v*k)を演算する。図4には明記しないが、電力変換装置101が出力する電力の目標値により決定される目標電流と、三相の電流(ik)に基づくフィードバック制御によって上述の指令電圧1を演算する。
【0040】
指令電圧2演算42は、図1には明記しないが、交流電圧系統8の電圧(vk)と、三相の電流(ik)に基づいて、三相平衡時に交流電圧系統8と直流交流変換回路2とで電力を送受するための直流交流変換回路2のスイッチングパターンを決定する指令電圧である指令電圧2(v*0k)を演算する。図4には明記しないが、電力変換装置101が出力する電力の目標値により決定される目標電流と、三相の電流(ik)に基づくフィードバック制御によって上述の指令電圧2を演算する。より具体的には、交流電圧系統8の三相の電圧の中でも、最も振幅の大きい電圧に合わせて仮想的な三相交流電圧を生成し、この仮想的な三相交流電圧と目標電力を送受するための指令電圧を演算し、これを指令電圧2としてセットする。
【0041】
最大振幅1演算は、指令電圧1(v*k)に基づき、指令電圧1(v*k)の逐次振幅の最大値である最大振幅1(amax)を演算する。より具体的には、指令電圧1(v*k)の絶対値を演算し、三相分で最大となる値を選択し、最大振幅1(amax)として出力する。
【0042】
最大振幅2演算は、最大振幅1演算と同様に、指令電圧2(v*0k)に基づき、指令電圧2(v*0k)の逐次振幅の最大値である最大振幅2(a0max)を演算する。より具体的には、指令電圧2(v*0k)の絶対値を演算し、三相分で最大となる値を選択し、最大振幅2(a0max)として出力する。
【0043】
振幅比演算45は、最大振幅1(amax)と最大振幅2(a0max)に基づき、振幅比(H)を演算する。より具体的には、最大振幅1(amax)を最大振幅2(a0max)で除算することで、最大振幅2(a0max)に対する最大振幅2(amax)を振幅比(H)にセットする。
【0044】
振幅閾値1演算46は、振幅比(H)と三相平衡時の振幅閾値2(A0)に基づき、振幅閾値1(Ath)を演算する。振幅閾値2(A0)とは、三相平衡時に、指令電圧2(v*0k)において、直流交流変換回路2が担当するレベルと、直流電圧変換回路3の担当するレベルとを振り分ける値である。振幅閾値2(A0)に振幅比(H)を乗算することにより、三相不平衡時の直流交流変換回路2および直流電圧変換回路3が担当するレベルを規定する振幅閾値1(Ath)を演算する。なお、振幅閾値2(A0)は所定の運転条件では一定値を保持するものであるが、振幅比(H)が逐次変化することにより、指令電圧1(v*k)の逐次変化に合わせて振幅閾値1(Ath)は逐次変化する。
【0045】
スイッチングパターン演算47は、指令電圧1(v*k)と振幅閾値1(Ath)に基づき、直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWkAC)と、直流電圧変換回路3を作動させるためのスイッチングパターン(SWDC)とを演算する。まず、指令電圧1(v*k)と振幅閾値1(Ath)を比較し、振幅閾値1(Ath)よりも指令電圧2(v*k)が小さい部分の指令電圧(指令電圧A)と、振幅閾値1(Ath)よりも指令電圧2(v*k)が大きい部分の指令電圧(指令電圧B)とに分割する。続いて、指令電圧Aと直流交流変換回路2用のキャリア(キャリアA)を比較することにより、指令電圧Aがキャリアよりも大きい場合に、スイッチングパターン(SWkAC)にオンをセットし、逆の場合にスイッチングパターン(SWkAC)にオフをセットする。また、指令電圧Bと直流電圧変換回路3用のキャリア(キャリアB)を比較することにより、指令電圧BがキャリアBよりも大きい場合に、スイッチングパターン(SWDC)にオンをセットし、逆の場合にスイッチングパターン(SWDC)にオフをセットする。
【0046】
図5は、本願の電力変換装置の第1の実施形態における、指令電圧1演算41と最大振幅1演算42の作動状態の概要を示すタイムチャートである。図5は、三相不平衡時の系統電圧系統8の電圧(vk)と、指令電圧1演算41の演算結果である指令電圧1(v*k)と、最大振幅1演算43の演算結果である指令電圧1の最大振幅1(amax)を示す。図5の横軸は時間を示し、図上方より、交流電圧系統8の電圧(vk)が正、指令電圧1(v*k)が正、指令電圧1の最大振幅1(amax)が正、を示す。本実施形態では、交流電圧系統8の電圧(vk)において、C相のみの振幅が小さい場合を想定する。指令電圧1演算41では、交流電圧系統8の電圧(vk)に基づき、基本周波数の3倍の周波数の電圧を重畳した指令電圧1(v*k)を演算する。
上述の3倍の周波数の重畳は、3倍調波注入法と呼ばれ、直流交流変換回路2の直流電力の利用率を向上させることができる手法である。また、最大振幅1演算43では、図5下段に示すように、指令電圧1(v*k)の三相分の絶対値の最大値を演算し、最大振幅1(amax)として出力する。
【0047】
図6は、本願の電力変換装置の第1の実施形態における、指令電圧2演算42と最大振幅2演算の作動状態の概要を示すタイムチャートである。図6の横軸は時間を示し、縦軸は三相平衡時を模擬した系統電圧系統8の模擬系統電圧(v'k)と、指令電圧2演算42の演算結果である指令電圧2(v*0k)と、最大振幅2演算44の演算結果である指令電圧2の最大振幅2(a0max)を示す。図上方より、三相平衡時を模擬した交流電圧系統8の模擬系統電圧(v'k)が正、指令電圧2(v*0k)が正、指令電圧2の最大振幅2(a0max)が正、を示す。まず、指令電圧2演算では、三相不平衡時の交流電圧系統8の三相の電圧(v*k)に基づき、最大振幅の相より、三相平衡時を模擬した模擬系統電圧(v'k)を演算する。上記模擬電圧(v'k)に基づき、上述の3倍調波注入法を用いて、指令電圧2(v*0k)を演算する。指令電圧2(v*0k)は、三相平衡時を模擬した条件下で演算されるために、三相共に1周期での最大振幅は同じであり、位相のみ異なるものとなる。続く最大振幅2演算44では、指令電圧2(v*0k)の絶対値を取り、逐次最大値を最大振幅2(a0max)として出力する。
【0048】
図7は、本願の電力変換装置の第1の実施形態における、振幅比演算45と振幅閾値1演算46の作動状態の概要を示すタイムチャートである。図7の横軸は時間を示し、縦軸はそれぞれ最大振幅、振幅比、および振幅閾値1を示す。図上方より、最大振幅が正、振幅比が正、振幅閾値1が正、を示す。図7上段にしめす最大振幅は、図5および図6に示す最大振幅1(amax)と最大振幅2(a0max)の再掲である。図7中段に示すように、振幅比演算45では、最大振幅1(amax)を最大振幅2(a0max)で乗算した結果を振幅比(H)として出力する。ここで、振幅比(H)は、最大振幅2(a0max)に対する最大振幅1(amax)の比を示す。
図7下段に示すように、振幅閾値1演算46では、三相平衡時の指令電圧2の振幅の振幅閾値2(A0)に、振幅比演算45の演算結果である振幅比(H)を乗算した結果を、振幅閾値1(Ath)として出力する。最大振幅1(amax)と最大振幅2(a0max)の差分が時間変化することから、振幅閾値1は時間に応じて変化する。
【0049】
図8は、本願の電力変換装置の第1の実施形態における、三相平衡時および三相不平衡時での最大振幅と振幅閾値の作動状態の概要を示すタイムチャートである。図8の横軸は時間を示し、縦軸は最大振幅を示す。図上方より最大振幅が正を示す。図8上段に示すように、本願の電力変換装置の第1の実施形態において、交流電圧系統8の電圧が三相平衡の場合には、最大振幅2(a0max)は周期的に変化する共に、振幅閾値2(A0)は一定値を取り、最大振幅2(a0max)の最小値と同等の値となる。また、図8下段に示すように、交流電圧系統8の電圧が三相不平衡の場合には、最大振幅1(amax)は三相不平衡時の指令電圧1(v*k)に合わせて変則的に変化する共に、振幅閾値1(Ath)も最大振幅1(amax)の変化に合わせて逐次変化する。
【0050】
図9は、本願の電力変換装置の第1の実施形態における、スイッチングパターン演算47のA相の作動状態概要を示すタイムチャートである。図9の横軸は時間であり、縦軸はそれぞれA相電圧、A相用フラグ、およびA相の直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWAAC)を示す。図上方より、A相電圧が正、A相用フラグがオン、およびスイッチングパターン(SWAAC)がオンを示す。図9上段に示すように、スイッチングパターン演算47では、振幅閾値1(Ath)より振幅閾値aと振幅閾値bを演算する。振幅閾値aは振幅閾値1(Ath)と等しい値をセットし、振幅閾値bは振幅閾値1(Ath)の符号を逆転させた値をセットする。スイッチングパターン演算47では、振幅閾値aおよび振幅閾値bの絶対値よりも、A相指令電圧(v*A)の絶対値が大きい場合にオンをセットするA相用フラグを演算する。このA相用フラグを利用し、A相用フラグがオンの場合で、A相指令電圧(v*A)が正の場合は直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWAAC)にオンをセットし、A相指令電圧(v*A)が負の場合は直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWAAC)にオフをセットする。A相用フラグがオフの場合には、A相指令電圧(v*A)とキャリア(上述キャリアA)を比較することにより、A相指令電圧(v*A)がキャリアAより大きい場合には直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWAAC)にオンをセットし、A相指令電圧(v*A)がキャリアAより小さい場合には直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWAAC)にオフをセットする。
【0051】
図10は、本願の電力変換装置の第1の実施形態における、スイッチングパターン演算47のB相の作動状態概要を示すタイムチャートである。図10の横軸は時間であり、縦軸はそれぞれB相電圧、B相用フラグ、およびB相の直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWBAC)を示す。図上方より、B相電圧が正、B相用フラグがオン、およびスイッチングパターン(SWBAC)がオンを示す。図10上段に示すように、スイッチングパターン演算47では、振幅閾値1(Ath)より振幅閾値aと振幅閾値bを演算する。振幅閾値aは振幅閾値1(Ath)と等しい値をセットし、振幅閾値bは振幅閾値1(Ath)の符号を逆転させた値をセットする。スイッチングパターン演算47では、振幅閾値aおよび振幅閾値bの絶対値よりも、B相指令電圧(v*B)の絶対値が大きい場合にオンをセットするB相用フラグを演算する。このB相用フラグを利用し、B相用フラグがオンの場合で、B相指令電圧(v*B)が正の場合は直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWBAC)にオンをセットし、B相指令電圧(v*B)が負の場合は直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWBAC)にオフをセットする。B相用フラグがオフの場合には、B相指令電圧(v*B)とキャリア(上述キャリアA)を比較することにより、B相指令電圧(v*B)がキャリアAより大きい場合には直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWBAC)にオンをセットし、B相指令電圧(v*B)がキャリアAより小さい場合には直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWBAC)にオフをセットする。
【0052】
図11は、本願の電力変換装置の第1の実施形態における、スイッチングパターン演算47のC相の作動状態概要を示すタイムチャートである。図11の横軸は時間であり、縦軸はそれぞれC相電圧、C相用フラグ、およびC相の直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWCAC)を示す。図上方より、C相電圧が正、C相用フラグがオン、およびスイッチングパターン(SWCAC)がオンを示す。図10上段に示すように、スイッチングパターン演算47では、振幅閾値1(Ath)より振幅閾値aと振幅閾値bを演算する。振幅閾値aは振幅閾値1(Ath)と等しい値をセットし、振幅閾値bは振幅閾値1(Ath)の符号を逆転させた値をセットする。スイッチングパターン演算47では、振幅閾値aおよび振幅閾値bの絶対値よりも、C相指令電圧(v*C)の絶対値が大きい場合にオンをセットするC相用フラグを演算する。このC相用フラグを利用し、C相用フラグがオンの場合で、C相指令電圧(v*C)が正の場合は直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWCAC)にオンをセットし、C相指令電圧(v*C)が負の場合は直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWCAC)にオフをセットする。C相用フラグがオフの場合には、C相指令電圧(v*C)とキャリア(上述キャリアA)を比較することにより、C相指令電圧(v*C)がキャリアAより大きい場合には直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWCAC)にオンをセットし、C相指令電圧(v*C)がキャリアAより小さい場合には直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWCAC)にオフをセットする。
【0053】
また、スイッチングパターン演算47では、図8に示す最大振幅1(a0max)とキャリア(上述キャリアB)を比較することにより、最大振幅1(a0max)がキャリアBより大きい場合には、直流電圧変換回路3を作動させるためのスイッチングパターン(SWkAC)にオンをセットし、最大振幅1(a0max)がキャリアBより小さい場合には、直流電圧変換回路3を作動させるためのスイッチングパターン(SWDC)にオフをセットする。
【0054】
<第2の実施形態>
<第2の実施形態の概略構成>
次に、図12乃至図16を用いて電力変換装置101の動作の他の一例について説明する。
【0055】
第2の実施形態における電力変換装置101は第1の実施形態と同様に図1に示す構成を備えるため、説明を省略する。
【0056】
<第2の実施形態における電力変換装置の動作の説明>
次に、図12乃至図16を用いて電力変換装置101の動作の一例について説明する。
【0057】
図12は、電力変換装置101の制御装置1に実装される制御アルゴリズムのブロック線図を示す。
【0058】
第2の実施形態における制御アルゴリズムは指令電圧1演算41、指令電圧2演算42、最大振幅1演算43、最大振幅2演算44、振幅比演算45、調整フラグ演算121、およびスイッチングパターン演算122により構成される。
【0059】
指令電圧1演算41、指令電圧2演算42、最大振幅1演算43、最大振幅2演算44、振幅比演算45については、前述の第1の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0060】
また、実施形態では、第1の実施形態と同様に、交流電圧系統8の三相ある電圧の内、C相の電圧の最大振幅のみが小さい場合を想定する。このため、指令電圧1(v*k)、指令電圧2(v*0k)、振幅閾値1(Ath)、および振幅閾値2(A0)は図5および図6に示すものと同様である。
【0061】
調整フラグ演算121は、上述の指令電圧2(v*0k)、最大振幅1(amax)、および最大振幅2(a0max)と、上述の三相平衡時の振幅閾値2(A0)に基づき、調整フラグ(FL)を演算する。最大振幅1(amax)と最大振幅2(a0max)とに差分がある場合には、調整フラグ(FL)にオンをセットし、最大振幅1(amax)と最大振幅2(a0max)とが一致する場合には調整フラグ(FL)にオフをセットする。
【0062】
スイッチングパターン演算122は振幅閾値2(A0)、振幅比(H)、調整フラグ(FL)、および三相平衡時を想定した場合の指令電圧2(v*0k)に基づいて、直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWkAC)と、直流電圧変換回路3を作動させるためのスイッチングパターン(SWDC)とを演算する。後述する各相用フラグと調整フラグ(FL)の作動状態に基づき、各相用フラグがオフの場合は、各相の指令電圧2(v*0k)と直流交流変換回路2を作動させるためのキャリア(キャリアA1)とを比較することにより、スイッチングパターン(SWkAC)を決定する。各相用フラグがオンであり、調整フラグ(FL)がオフの場合の条件下では、指令電圧2(v*0k)が正の場合にスイッチングパターン(SWkAC)にオンをセットし、指令電圧2(v*0k)が負の場合にスイッチングパターン(SWkAC)にオフをセットする。さらに、各相用フラグがオンであり、調整フラグ(FL)がオンの場合の条件下では、指令電圧2(v*0k)が正の場合には振幅閾値1(Ath)と振幅閾値2(A0)より決定される振幅閾値a0と振幅閾値a1との差分を振幅閾値a0より差し引いた値とキャリアAを比較することにより、スイッチングパターン(SWkAC)にオン、オフをセットする。さらに、各相用フラグがオンであり、調整フラグ(FL)がオンの場合の条件下であり、指令電圧2(v*0k)が負の場合には振幅閾値1(Ath)と振幅閾値2(A0)より決定される振幅閾値b0と振幅閾値b1との差分を振幅閾値b0に加算した値とキャリアAを比較することにより、スイッチングパターン(SWkAC)にオン、オフをセットする。
【0063】
なお、スイッチングパターン演算122において、スイッチングパターン(SWDC)は、三相平衡時を模擬した際の最大振幅2(a0max)と直流電圧変換回路3を作動させるためのキャリア(キャリアB1)を比較することにより決定される。最大振幅2(a0max)がキャリアB1よりも大きい場合にはスイッチングパターン(SWDC)にオンをセットし、最大振幅2(a0max)がキャリアB1よりも小さい場合にはスイッチングパターン(SWDC)にオフをセットする。
【0064】
図13は、本願の電力変換装置の第2の実施形態における、振幅比演算45と調整フラグ演算121の作動状態の概要を示すタイムチャートである。図13の横軸は時間であり、図13の縦軸は最大振幅、振幅比(H)、および調整フラグ(FL)を示す。図上方より、最大振幅が正、振幅比が1、調整フラグがオンを示す。第1の実施形態と同様に、振幅比演算45では最大振幅1(amax)と最大振幅2(a0max)が推移し、前者を後者で除算することで、振幅比(H)を決定する。調整フラグ演算121は、最大振幅1(amax)と最大振幅2(a0max)を比較し、双方の差分が存在する場合には調整フラグ(FL)にオンをセットし、差分がなく等しい場合には調整フラグ(FL)にオフをセットする。
【0065】
図14はスイッチングパターン演算122のA相の作動状態概要を表すタイムチャートである。図14の横軸は時間であり、縦軸はそれぞれA相電圧、A相用フラグ、調整フラグ(FL)、およびA相の直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWAAC)を示す。図上方より、A相電圧が正、A相用フラグがオン、調整フラグ(FL)がオン、およびスイッチングパターン(SWAAC)がオンを示す。図14中段に示すA相用フラグは振幅閾値2(A0)と等しい値である振幅閾値a0と、振幅閾値2(A0)との符号を逆転させた振幅閾値b0の絶対値と、A相指令電圧2(v*0A)の絶対値を比較し、A相指令電圧2(v*0A)の絶対値が大きい場合にA相用フラグにオンをセットし、小さい場合にはA相用フラグにオフをセットする。また、図14上段の振幅閾値a1は、A相用フラグと調整フラグ(FL)のAND演算を実施し、結果がオンの場合は振幅閾値a0に振幅比Hを乗算する値をセットし、結果がオフの場合には振幅閾値a0と等しい値をセットする。同様に、振幅閾値b1はA相用フラグと調整フラグ(FL)のAND演算を実施し、結果がオンの場合は振幅閾値b0に振幅比Hを乗算する値をセットし、結果がオフの場合には振幅閾値b0と等しい値をセットする。さらにスイッチングパターンパターン演算122は図14最下段に示すように、調整フラグ(FLL)がオフの条件下で、A相指令電圧2(v*0A)の符号が正の場合はスイッチングパターン(SWAAC)にオンをセットし、A相指令電圧2(v*0A)の符号が負の場合はスイッチングパターン(SWAAC)にオフをセットする。また、A相用フラグがオフかつ調整フラグ(FL)がオンの場合には、A相指令電圧2(v*0A)と、振幅閾値a0から振幅閾値b0を差し引いた振幅を持つキャリア(キャリアC)と比較し、A相指令電圧2(v*0A)がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWAAC)にオンをセットし、A相指令電圧2(v*0A)がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWAAC)にオフをセットする。さらに、A相用フラグがオンかつ調整フラグ(FL)がオンの場合は、A相指令電圧2(v*0A)の符号が正の場合は、振幅閾値a1とキャリアCを比較し、振幅閾値a1がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWAAC)にオンをセットし、振幅閾値a1がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWAAC)にオフをセットする。また、A相用フラグがオンかつ調整フラグ(FL)がオンの場合に、A相指令電圧2(v*0A)の符号が負の場合は、振幅閾値b1とキャリアCを比較し、振幅閾値b1がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWAAC)にオンをセットし、振幅閾値b1がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWAAC)にオフをセットする。
【0066】
図15はスイッチングパターン演算122のB相の作動状態概要を表すタイムチャートである。図15の横軸は時間であり、縦軸はそれぞれB相電圧、B相用フラグ、調整フラグ(FL)、およびB相の直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWBAC)を示す。図上方より、B相電圧が正、B相用フラグがオン、調整フラグ(FL)がオン、およびスイッチングパターン(SWBAC)がオンを示す。図15中段に示すB相用フラグは振幅閾値2(A0)と等しい値である振幅閾値a0と、振幅閾値2(A0)との符号を逆転させた振幅閾値b0の絶対値と、B相指令電圧2(v*0B)の絶対値を比較し、B相指令電圧2(v*0B)の絶対値が大きい場合にB相用フラグにオンをセットし、小さい場合にはB相用フラグにオフをセットする。また、図15上段の振幅閾値a2は、B相用フラグと調整フラグ(FL)のAND演算を実施し、結果がオンの場合は振幅閾値a0に振幅比Hを乗算する値をセットし、結果がオフの場合には振幅閾値a0と等しい値をセットする。同様に、振幅閾値b2はB相用フラグと調整フラグ(FL)のAND演算を実施し、結果がオンの場合は振幅閾値b0に振幅比Hを乗算する値をセットし、結果がオフの場合には振幅閾値b0と等しい値をセットする。さらにスイッチングパターンパターン演算122は図15最下段に示すように、調整フラグ(FL)がオフの条件下で、B相指令電圧2(v*0B)の符号が正の場合はスイッチングパターン(SWBAC)にオンをセットし、B相指令電圧2(v*0B)の符号が負の場合はスイッチングパターン(SWBAC)にオフをセットする。また、B相用フラグがオフかつ調整フラグ(FL)がオンの場合には、B相指令電圧2(v*0B)と、振幅閾値a0から振幅閾値b0を差し引いた振幅を持つキャリア(キャリアC)と比較し、B相指令電圧2(v*0B)がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWBAC)にオンをセットし、B相指令電圧2(v*0B)がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWBAC)にオフをセットする。さらに、B相用フラグがオンかつ調整フラグ(FLL)がオンの場合は、B相指令電圧2(v*0B)の符号が正の場合は、振幅閾値a2とキャリアCを比較し、振幅閾値a2がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWBAC)にオンをセットし、振幅閾値a2がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWBAC)にオフをセットする。また、B相用フラグがオンかつ調整フラグ(FL)がオンの場合に、B相指令電圧2(v*0B)の符号が負の場合は、振幅閾値b2とキャリアCを比較し、振幅閾値b2がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWBAC)にオンをセットし、振幅閾値b2がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWBAC)にオフをセットする。
【0067】
図16はスイッチングパターン演算122のC相の作動状態概要を表すタイムチャートである。図16の横軸は時間であり、縦軸はそれぞれC相電圧、C相用フラグ、調整フラグ(FL)、およびC相の直流交流変換回路2を作動させるためのスイッチングパターン(SWCAC)を示す。図上方より、C相電圧が正、C相用フラグがオン、調整フラグ(FL)がオン、およびスイッチングパターン(SWCAC)がオンを示す。図15中段に示すC相用フラグは振幅閾値2(A0)と等しい値である振幅閾値a0と、振幅閾値2(A0)との符号を逆転させた振幅閾値b0の絶対値と、C相指令電圧2(v*0C)の絶対値を比較し、C相指令電圧2(v*0C)の絶対値が大きい場合にC相用フラグにオンをセットし、小さい場合にはC相用フラグにオフをセットする。また、図16上段の振幅閾値a3は、C相用フラグと調整フラグ(FL)のAND演算を実施し、結果がオンの場合は振幅閾値a0に振幅比Hを乗算する値をセットし、結果がオフの場合には振幅閾値a0と等しい値をセットする。同様に、振幅閾値b3はB相用フラグと調整フラグ(FL)のAND演算を実施し、結果がオンの場合は振幅閾値b0に振幅比Hを乗算する値をセットし、結果がオフの場合には振幅閾値b0と等しい値をセットする。さらにスイッチングパターンパターン演算122は図16最下段に示すように、調整フラグ(FL)がオフの条件下で、C相指令電圧2(v*0C)の符号が正の場合はスイッチングパターン(SWCAC)にオンをセットし、C相指令電圧2(v*0C)の符号が負の場合はスイッチングパターン(SWCAC)にオフをセットする。また、C相用フラグがオフかつ調整フラグ(FL)がオンの場合には、C相指令電圧2(v*0C)と、振幅閾値a0から振幅閾値b0を差し引いた振幅を持つキャリア(キャリアC)と比較し、C相指令電圧2(v*0C)がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWCAC)にオンをセットし、C相指令電圧2(v*0C)がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWCAC)にオフをセットする。さらに、C相用フラグがオンかつ調整フラグ(FL)がオンの場合は、C相指令電圧2(v*0C)の符号が正の場合は、振幅閾値a3とキャリアCを比較し、振幅閾値a3がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWCAC)にオンをセットし、振幅閾値a3がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWCAC)にオフをセットする。また、C相用フラグがオンかつ調整フラグ(FL)がオンの場合に、C相指令電圧2(v*0C)の符号が負の場合は、振幅閾値b3とキャリアCを比較し、振幅閾値b3がキャリアCより大きい場合にはスイッチングパターン(SWCAC)にオンをセットし、振幅閾値b3がキャリアCより小さい場合にはスイッチングパターン(SWCAC)にオフをセットする。
【0068】
<第3の実施形態>
<第3の実施形態の概略構成>
上述の2つの実施形態は電源システム102に電力変換装置101が備えられている場合の作動状態の例を示したものである。上述では、電力変換装置101が直流交流変換装置2と直流電圧変換装置3により構成される例である。本発明はこれに限ったものではなく、図17に示すような、電力変換装置1700に示すように直流交流変換装置1702とその直流側端子に直流交流変換装置1703の直流側端子が接続される構成であっても良い。直流交流変換装置1702および1703の直流側端子1702a、1703aには、コンデンサ1704と抵抗1705を直列接続したストリングが並列接続される。また、直流交流変換装置1702の交流側端子1702bにはフィルタ1706が接続されている。更に、電力変換装置1700は制御装置1701を備えている。電力変換装置1700の直流交流変換装置1703の交流側端子1703bには風力エネルギーを回転エネルギーに変換するロータ1707に接続される発電機1708の電気的接続端子が接続されている。また、フィルタ1706は交流電圧系統1709に接続される。図17に示す構成は、風力発電システム1700Aを構成するものである。制御装置1701による電力変換装置1700の作動状態の例は、前述の第1および第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0069】
<結び>
以上説明した各実施例の電力変換装置は、直流電圧と交流電圧を変換可能な直流交流変換回路を備え、前記直流交流変換回路の交流側接続端に接続する交流電圧系統の電圧の周期に合わせて、前記直流交流変換回路の直流側接続端の電圧である直流電圧の大きさを周期的に変更し、前記交流側接続端の電圧である交流電圧の一部を、前記直流電圧の周期的な変更で代替して出力する電力変換装置であって、前記直流電圧は前記交流電圧系統の電圧である三相交流電圧のうち、逐次振幅の最も大きい相の電圧に合わせて前記直流電圧を制御するものである。このような構成により、電力変換装置が連系する電力系統の三相不平衡に対応して出力する電圧、電流を調整しながら、電力変換装置のスイッチング動作に伴う電力損失を低減することで、電力変換装置の効率向上をも可能な電力変換装置を供することができる。
【0070】
実施例3で示したように、前記直流交流変換回路を2つ備え、各々の前記直流交流変換回路の前記直流接続端を接続し、交流電圧と交流電圧を変換可能な回路構成を備えてもよいし、実施例1で示したように、前記直流交流変換回路の前記直流接続端に、直流電圧を直流電圧へと変換可能な直流直流変換回路を接続し、直流電圧と交流電圧を変換可能な回路構成を備えてもよい。
【0071】
上記の周期的に変更する前記直流電圧は、前記交流電圧系統の前記三相交流電圧に基づいて決定され、交流電圧の目標値である交流電圧目標値の絶対値の三相分のうち、逐次最大となる前記交流電圧目標値の絶対値を基に制御するのが好ましい。この絶対値に一致させる方向に制御するのが理想的である。
【0072】
なお、周期的に変更する前記直流電圧の振幅は、前記直流交流変換回路と前記交流電圧系統の間で送受する有効電力に基づいて変更している。また、周期的に変更する前記直流電圧の振幅は、前記直流交流変換回路と前記交流電圧系統の間で送受する有効電力が大きいほど、大きくなる。
【0073】
各実施例ではまた、前記系統電圧の相間で振幅、または位相、または振幅と位相に差分がある際には、前記直流交流変換回路が直流と交流とを変換する際のスイッチングの回数であるスイッチング回数を、前記交流電圧系統の前記三相交流電圧の振幅が逐次最大となる相の振幅に対する、相間の逐次振幅差分に応じて、相間で変更する。
【0074】
前記系統電圧振幅最大値の最も大きい相に合わせて前記直流電圧を周期的に変化させることによって、前記直流交流変換回路の前記交流電圧の一部を、前記直流交流変換回路の前記直流電圧が代替する場合には、前記交流電圧系統の前記三相交流電圧の相間で振幅、または位相、または振幅と位相に差分があり、前記交流電圧系統の前記三相交流電圧の前記逐次振幅の最大値の相間の差分に応じて、前記直流交流変換回路の前記スイッチング回数を相間で変更する際に、前記交流電圧系統の前記三相交流電圧の振幅の最大値が三相間で最大となる相Aの逐次振幅を基準逐次振幅として、前記相A以外の相では、前記基準逐次振幅と自身の逐次振幅の差分が大きいほど、前記基準逐次振幅の相の前記スイッチング回数に対して、前記スイッチング回数を多くすることで、より高い効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 制御装置
2 直流交流変換回路
2a、2b、2c、2d、2e、2f スイッチ対
3 直流電圧変換回路
4 コンデンサ
5 抵抗
6 フィルタ回路
7 直流電源装置
8 交流電圧系統
21 交流側端子
22 直流側端子
32 端子
33 接続端子
41 指令電圧1演算
42 指令電圧2演算
43 最大振幅1演算
44 最大振幅2演算
45 振幅比演算
46 振幅閾値1演算
47 スイッチングパターン演算
101 電力変換装置
102 電源システム
121 調整フラグ演算
122 スイッチングパターン演算
1700 電力変換装置
1700A 風力発電システム
1701 制御装置
1702、1703 直流交流変換回路
1704 コンデンサ
1705 抵抗
1706 フィルタ回路
1707 ロータ
1708 発電機
1709 交流電圧系統
図1
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