特開2015-229403(P2015-229403A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-229403(P2015-229403A)
(43)【公開日】2015年12月21日
(54)【発明の名称】能動型効果音発生装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20151124BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20151124BHJP
【FI】
   B60R11/02 B
   G10K15/04 302J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-115884(P2014-115884)
(22)【出願日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】井上 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】荻田 朋希
(72)【発明者】
【氏名】前坂 拓摩
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BA11
3D020BB01
3D020BC04
3D020BC05
3D020BC06
3D020BE03
(57)【要約】
【課題】より自然な効果音を発生させること及び電動車両にも適用可能であることの少なくとも一方が可能な能動型効果音発生装置を提供する。
【解決手段】能動型効果音発生装置82の制御信号生成手段102は、周波数変化量Δafvと駆動源12の負荷に応じて基準信号Sr1、Sr2、Sr3の振幅を変化させることにより、制御信号Sascの振幅を調整する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1周期分の波形データを格納する波形データテーブルと、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段により検出された前記車速に基づき定義された周波数である車速対応周波数を設定する周波数設定手段と、
前記車速対応周波数に基づく調波の基準信号を、前記波形データテーブルから順次前記波形データを読み込むことにより生成する基準信号生成手段と、
効果音の生成に用いる制御信号を前記基準信号に基づき生成する制御信号生成手段と、
前記制御信号を前記効果音として出力する出力手段と、
前記車速対応周波数の時間微分値である周波数変化量を演算する周波数変化量演算手段と、
車両の駆動源の負荷を検出する駆動源負荷検出手段と
を備え、
前記制御信号生成手段は、前記周波数変化量と前記駆動源の負荷に応じて前記基準信号の振幅を変化させることにより、前記制御信号の振幅を調整する
ことを特徴とする能動型効果音発生装置。
【請求項2】
請求項1記載の能動型効果音発生装置において、
前記周波数設定手段は、基本次数となる周波数が前記車速に応じて予め設定される
ことを特徴とする能動型効果音発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の能動型効果音発生装置において、
前記車両は、駆動源としてエンジン及び電動機を有するハイブリッド車両であり、
前記能動型効果音発生装置は、
前記エンジンの回転周波数を検出する回転周波数検出手段と、
前記回転周波数の時間微分値である回転周波数変化量を演算する回転周波数変化量演算手段と
をさらに備え、
前記駆動源負荷検出手段は、前記エンジンの負荷を検出し、
前記エンジンのみが駆動状態になるとき、前記基準信号生成手段は、前記エンジンの回転周波数に基づき前記基準信号を生成し、
前記エンジン及び前記電動機が共に駆動状態にあるとき、前記基準信号生成手段は、前記車速対応周波数及び前記エンジンの回転周波数を調停又は選択した調停周波数に基づいて前記基準信号を生成する
ことを特徴とする能動型効果音発生装置。
【請求項4】
1周期分の波形データを格納する波形データテーブルと、
エンジンの回転周波数を検出する回転周波数検出手段と、
前記回転周波数に基づく調波の基準信号を、前記波形データテーブルから順次前記波形データを読み込むことにより生成する基準信号生成手段と、
効果音の生成に用いる制御信号を前記基準信号に基づき生成する制御信号生成手段と、
前記制御信号を前記効果音として出力する出力手段と、
前記回転周波数の時間微分値である回転周波数変化量を演算する回転周波数変化量演算手段と、
前記エンジンの負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と
を備え、
前記制御信号生成手段は、
前記回転周波数変化量、前記エンジンの負荷及び前記車速に応じて前記基準信号の振幅を変化させることにより前記制御信号の振幅を調整し、
前記車速検出手段により検出された前記車速が低いほど、前記制御信号の振幅が小さくなるように設定する
ことを特徴とする能動型効果音発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行状態に応じた効果音を発生させる能動型効果音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者による加減速操作を検出し、加減速量に応じた効果音を車室内スピーカを通じて車室内に発生する能動型効果音発生装置{以下、「ASC装置」(Active Sound Control Apparatus)とも称する。}が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
特許文献1では、エンジン回転周波数fe[Hz]の時間微分値である回転数周波数変化量Δaf[Hz/秒]とアクセル開度Aor[%]に応じて基準信号Sr1、Sr2、Sr3の振幅を調整することにより制御信号Scの振幅を設定する(要約)。
【0004】
特許文献2では、エンジン回転周波数feの時間微分値である回転数周波数変化量Δafとシフト位置Psに基づく第1ゲインGΔafを設定する(図1、[0038])。また、エンジン回転周波数feに基づく第2ゲインGfeを設定する([0039])。さらに、アクセル開度θapに基づく第3ゲインGapを設定する([0040])。そして、第2ゲインGfeと第3ゲインGapを乗算し、その積と第1ゲインGΔafとを加算した第4ゲインGcomを算出する([0044]、[0045])。第4ゲインGcomを用いて制御信号Sc2(振幅調整制御信号)を生成する([0046])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−031428号公報
【特許文献2】特開2013−167851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、変速機として無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)を採用する車両、並びに駆動源にモータを採用する電動車両(例えば、ハイブリッド車両、狭義の電気自動車(battery vehicle))が普及している。
【0007】
CVTを有する車両の場合、勾配路等の走行路では運転者によりアクセルペダルが踏み込まれても、エンジン回転周波数の変動がアクセルペダルの操作に追従しない場合がある。例えば、アクセルペダルが急に踏み込まれた場合、CVTによる変速が追いつかず、エンジン回転周波数が先に上がり、車速が直ぐには上昇しないといった状況が考えられる。
【0008】
このような場合、特許文献1、2のように回転周波数変化量及びアクセル開度に応じて効果音の振幅を調整する構成では、回転周波数変化量及びアクセル開度の変化に車速が追従せず、運転者に対して違和感を与えるおそれがある。
【0009】
また、電気自動車では、そもそもエンジンを駆動源として採用していない。さらに、ハイブリッド車両では、エンジンを停止してモータのみで走行する場合がある。このようにエンジンを全く用いない又は一時的に用いない車両では、エンジン回転周波数及びその時間微分値である回転周波数変化量を用いる特許文献1、2の技術を適用することが困難であった。
【0010】
仮に、CVTを備えないエンジン車両等についても、ASC装置の共通化等の観点からすれば、上記のような問題を解消していることが好ましい。
【0011】
本発明は、上記のような問題を考慮してなされたものであり、より自然な効果音を発生させること及び電動車両にも適用可能であることの少なくとも一方が可能なASC装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る能動型効果音発生装置は、1周期分の波形データを格納する波形データテーブルと、車速を検出する車速検出手段と、前記車速検出手段により検出された前記車速に基づき定義された周波数である車速対応周波数を設定する周波数設定手段と、前記車速対応周波数に基づく調波の基準信号を、前記波形データテーブルから順次前記波形データを読み込むことにより生成する基準信号生成手段と、効果音の生成に用いる制御信号を前記基準信号に基づき生成する制御信号生成手段と、前記制御信号を前記効果音として出力する出力手段と、前記車速対応周波数の時間微分値である周波数変化量を演算する周波数変化量演算手段と、車両の駆動源の負荷を検出する駆動源負荷検出手段とを備え、前記制御信号生成手段は、前記周波数変化量と前記駆動源の負荷に応じて前記基準信号の振幅を変化させることにより、前記制御信号の振幅を調整することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、車速に基づき定義された車速対応周波数を設定し、当該車速対応周波数の時間微分値である周波数変化量を演算する。そして、周波数変化量と駆動源の負荷に応じて基準信号の振幅を変化させることにより、制御信号の振幅を調整する。これにより、例えば、アクセルペダルが急に踏み込まれた場合に、エンジン回転周波数の増加に対して車速の上昇が遅れる等の場合でも、エンジン回転周波数に加えて又はこれの代わりに、車速に基づく周波数変化量及び駆動源の負荷に応じて効果音が発生する。従って、車両の挙動により適した効果音の演出を行うことが可能となる。
【0014】
また、駆動源としてエンジンを備えない電動車両であっても、車両の挙動に適した効果音の演出を行うことが可能となる。
【0015】
前記周波数設定手段は、基本次数となる周波数が前記車速に応じて予め設定されていてもよい。これにより、効果音のうち支配的な部分を、車速に応じた基本次数の周波数で表現することが可能となる。このため、運転者にとってより自然な効果音を発生することが可能となる。
【0016】
前記車両が、駆動源としてエンジン及び電動機を有するハイブリッド車両である場合、前記能動型効果音発生装置は、前記エンジンの回転周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記回転周波数の時間微分値である回転周波数変化量を演算する回転周波数変化量演算手段とをさらに備え、前記駆動源負荷検出手段は、前記エンジンの負荷を検出し、前記エンジンのみが駆動状態になるとき、前記基準信号生成手段は、前記エンジンの回転周波数に基づき前記基準信号を生成し、前記エンジン及び前記電動機が共に駆動状態にあるとき、前記基準信号生成手段は、前記車速対応周波数及び前記エンジンの回転周波数を調停又は選択した調停周波数に基づいて前記基準信号を生成してもよい。上記構成によれば、ハイブリッド車両において駆動源の動作状態が変化しても、効果音を適切に出力することが可能となる。
【0017】
本発明に係る能動型効果音発生装置は、1周期分の波形データを格納する波形データテーブルと、エンジンの回転周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記回転周波数に基づく調波の基準信号を、前記波形データテーブルから順次前記波形データを読み込むことにより生成する基準信号生成手段と、効果音の生成に用いる制御信号を前記基準信号に基づき生成する制御信号生成手段と、前記制御信号を前記効果音として出力する出力手段と、前記回転周波数の時間微分値である回転周波数変化量を演算する回転周波数変化量演算手段と、前記エンジンの負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、車速を検出する車速検出手段とを備え、前記制御信号生成手段は、前記回転周波数変化量、前記エンジンの負荷及び前記車速に応じて前記基準信号の振幅を変化させることにより前記制御信号の振幅を調整し、前記車速検出手段により検出された前記車速が低いほど、前記制御信号の振幅が小さくなるように設定することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、エンジンの回転周波数の時間微分値である周波数変化量、駆動源の負荷及び車速に応じて基準信号の振幅を変化させることにより、制御信号の振幅を調整する。これにより、例えば、アクセルペダルが急に踏み込まれた場合に、エンジンの回転周波数の増加に対して車速の上昇が遅れる等の場合でも、エンジン回転周波数に加えて、周波数変化量、駆動源の負荷及び車速に応じて効果音が発生する。従って、車両の挙動により適した効果音の演出を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より自然な効果音を発生させること及び電動車両にも適用可能であることの少なくとも一方が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る能動型効果音発生装置(以下「ASC装置」という。)を搭載した車両の概略的な構成を示す図である。
図2】第1実施形態に係る前記ASC装置及びその周辺の機能的な回路構成を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るASC装置を搭載した車両の概略的な構成を示す図である。
図4】第2実施形態に係る前記ASC装置及びその周辺の概略的な回路構成を示す図である。
図5】第2実施形態に係る前記ASC装置及び比較例に係る効果音発生装置を用いた場合におけるアクセル開度、エンジン回転周波数及び車速の時系列データの一例を示す図である。
図6】前記比較例に係る効果音発生装置を用いた場合における車速、エンジン回転周波数及び制御音(効果音)の音圧レベルの関係の一例を示す図である。
図7】第2実施形態に係る前記ASC装置を用いた場合における車速、エンジン回転周波数及び制御音(効果音)の関係の一例を示す図である。
図8】本発明の第3実施形態に係るASC装置を搭載した車両の概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[A.一実施形態]
A1.全体及び各部の構成
(A1−1.全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る能動型効果音発生装置82(以下「ASC装置82」という。)を搭載した車両10の概略的な構成を示す図である。図2は、第1実施形態に係るASC装置82及びその周辺の機能的な回路構成を示す図である。車両10は、駆動源としての走行モータ12(以下「モータ12」ともいう。)を有する電動車両(特に、駆動源としてモータ12のみを有する電気自動車)である。モータ12は、モータ電子制御装置14(以下「モータECU14」という。)により制御される。
【0022】
車両10は、モータ12及びモータECU14に加え、音響システム20と、複数の前輪用サスペンション22aと、複数の後輪用サスペンション22bと、前輪側のサスペンション22aに設けられた複数の加速度センサユニット24と、車速センサ26と、アクセル開度センサ28と、シフト位置センサ30とを有する。
【0023】
加速度センサユニット24は、車両10の前後方向(図1のX方向)、左右方向(図1のY方向)及び上下方向(図1中、Z方向)におけるサスペンション22aの振動加速度Ax、Ay、Az[mm/s/s]を検出して音響システム20に出力する。
【0024】
車速センサ26は、車両10の車速V[km/h]を検出する。アクセル開度センサ28は、アクセルペダル32の操作量(以下「アクセル開度θap」という。)[deg]を検出する。シフト位置センサ30は、図示しないシフトレバーの位置(以下「シフト位置Ps」という。)を検出する。
【0025】
(A1−2.音響システム20)
(A1−2−1.音響システム20の全体)
音響システム20は、ラジオ放送番組の受信及び出力並びに音楽の再生等を行う機能(オーディオ機能)と、能動型騒音制御を実行する機能(能動型騒音制御機能又はANC機能)と、能動型効果音発生制御を実行する機能(能動型効果音発生制御又はASC制御)とを有する。
【0026】
上記各機能を実現するため、音響システム20は、音響制御電子制御装置40(以下「音響制御ECU40」又は「ECU40」という。)と、音源42と、加算器44と、スピーカ46と、マイクロホン48とを有する。加算器44とスピーカ46の間には、図示しない増幅器を設けてもよい。
【0027】
ECU40は、音響システム20が有する3つの機能のうちANC機能及びASC機能を選択的に実現し、その出力としての制御信号Sxを加算器44に送信する。
【0028】
ANC機能及びASC機能のうちANC機能を実行しているとき、ECU40から出力される制御信号Sxは、車両10の走行中における車輪50と路面300との接触によって車室内に生ずる騒音(ロードノイズNZr)を相殺する相殺音を規定する。また、ASC機能を実行しているとき、制御信号Sxは、エンジンの作動(振動)に応じて車室内に生ずる騒音(エンジンこもり音)と同等の効果音(擬似エンジン音)を規定する。なお、上記の通り、第1実施形態の車両10は、駆動源としてモータ12のみを搭載し、エンジンは搭載していない。このため、擬似エンジン音は、車両10にエンジンが搭載されているものと仮定して、スピーカ46から出力される効果音である。擬似エンジン音の代わりに、他の効果音(例えば、擬似モータ音)を出力してもよい。音響システム20の詳細は後述する。
【0029】
音源42は、オーディオ機器やナビゲーション装置からなり、音楽や経路案内用の音声等を規定するオーディオ信号Sauを加算器44に出力する。
【0030】
加算器44は、ECU40からの制御信号Sxと音源42からのオーディオ信号Sauとを合成して制御信号Sx2を生成し、スピーカ46に出力する。
【0031】
スピーカ46は、車両10の前席52(運転席)側{例えば、両サイドのフロントドアパネル内、両サイドのキックパネル(運転者レッグスペースのドア側内側)内、運転席上方のルーフ内等}に設けられる。スピーカ46は、加算器44からの制御信号Sx2が規定する制御音CSを運転者302(乗員)に対して出力する。これにより、ECU40がANC機能を実行しているとき、ロードノイズNZrを打ち消す相殺音として制御音CSが出力され、ECU40がASC機能を実行しているとき、効果音(擬似エンジン音)として制御音CSが出力される。なお、スピーカ46は、前席52側のみならず、後席54側に設けてもよい。
【0032】
マイクロホン48は、運転者302の耳位置近傍の位置(評価位置)に配置され、当該位置における音を検出する。そして、検出した音に応じた電気信号(マイクロホン信号Smic)を生成し、ECU40に出力する。ECU40がANC機能を実行しているとき、マイクロホン48が検出する音は、相殺音がエンジンこもり音等の室内音を相殺した後の残留騒音である。この場合、マイクロホン信号Smicは、残留騒音を示す誤差信号である。
【0033】
(A1−2―2.音響制御ECU40)
(A1−2−2−1.音響制御ECU40の全体構成)
上記のように、ECU40は、ANC処理及びASC処理を選択的に実行するものであり、ハードウェアとしてマイクロコンピュータ60及びメモリ62(図1)を有する。マイクロコンピュータ60は、ANC機能、ASC機能等の機能を専用回路又はソフトウェア処理により実行可能である。
【0034】
図2に示すように、ECU40は、仮想エンジン回転周波数設定部70(以下「fev設定部70」ともいう。)と、ANC回路72と、ASC回路74と、加算器76と、デジタル/アナログ変換器78(以下「D/A変換器78」ともいう。)とを有する。
【0035】
加速度センサユニット24、スピーカ46、マイクロホン48及びANC回路72は、能動型騒音制御装置80(以下「ANC装置80」という。)を構成する。車速センサ26、アクセル開度センサ28、シフト位置センサ30、スピーカ46及びASC回路74は、ASC装置82を構成する。
【0036】
なお、ANC装置80とASC装置82のいずれを用いるか(換言すると、ANC回路72又はASC回路74いずれの出力を用いるか)は、図示しない切替判定処理により選択する。このため、音響制御ECU40から出力される制御信号Sxは、ANC回路72の出力信号(制御信号Sanc)又はASC回路74の出力信号(制御信号Sasc)のいずれか一方に対応する。
【0037】
(A1−2−2−2.fev設定部70)
fev設定部70は、車速Vに応じて仮想エンジン回転周波数fev(以下「仮想周波数fev」ともいう。)[Hz]を設定し、当該仮想周波数fevをASC回路74に出力する。仮想周波数fevは、実際には車両10にエンジンが搭載されているものと仮定した場合の当該エンジン(仮想エンジン)の回転周波数を意味する。第1実施形態において、仮想周波数fevは、車速Vに基づいて設定される。
【0038】
fev設定部70は、基本次数となる周波数が車速Vに応じて予め設定される。すなわち、車速Vと基本次数の周波数との関係を予め設定したマップを備えている。例えば、車速VがV1である場合、基本次数の周波数がfev1であるというように予め記憶しておく。このため、例えば、車速Vが特定されると、基本次数の周波数の値が特定される。基本次数は、車速Vに応じて1つ又は複数が選択される。
【0039】
(A1−2−2−3.ANC回路72)
上記の通り、ANC回路72は、ANC機能を実行する。ANC回路72の具体的な構成としては、例えば、特開2012−131315号公報に記載のものを用いることができる。
【0040】
(A1−2−2−4.ASC回路74)
(A1−2−2−4−1.ASC回路74の概要)
ASC回路74は、仮想エンジンこもり音としての効果音を発生させることで、車両10の速度変化を強調する等、車室内の音響効果を高める。
【0041】
図2に示すように、ASC回路74からの制御信号Sascは、加算器76でANC回路72からの制御信号Sancと加算される。なお、上記のように、ANC回路72及びASC回路74は選択的に動作する。このため、加算器76の出力としての制御信号Sxは、ASC回路74からの制御信号Sasc又はANC回路72からの制御信号Sancと等しくなる。
【0042】
(A1−2−2−4−2.ASC回路74の全体構成)
図2に示すように、ASC回路74は、倍数器84a、84b、84cと、基準信号生成器86a、86b、86cと、波形データテーブル88と、第1音響補正器90a、90b、90c、第2音響補正器92a、92b、92c、第3音響補正器94a、94b、94c及び加算器96を有する制御信号生成部98(制御信号生成手段の一部)と、周波数変化量検出器100(以下「Δafv検出器100」ともいう。)と、全体音量補正器102とを有する。ASC回路74の各構成要素は、例えば、特許文献2(特開2013−167851号公報)又は特開2006−301598号公報に記載の構成と同様の構成を適用することができる。
【0043】
倍数器84a〜84cは、仮想エンジン回転周波数fevの所定次数(所定倍)の周波数を有する調波信号を生成する。すなわち、倍数器84aは、O1次(例えば、2次)の調波信号を生成し、倍数器84bは、O2次(例えば、3次)の調波信号を生成し、倍数器84cは、O3次(例えば、4次)の調波信号を生成する。
【0044】
基準信号生成器86a〜86cは、倍数器84a〜84cからの調波信号と、波形データテーブル88に格納されている波形データとを用いて基準信号Sr1、Sr2、Sr3を生成し、第1音響補正器90a〜90cに出力する。
【0045】
第1音響補正器90a〜90cは、加速操作に対してリニア感のある効果音としての制御音CSを運転者302の耳元で発生させる平坦化処理を行う(特開2006−301598号公報の段落[0044]〜[0051]参照)。第2音響補正器92a〜92cは、効果音としての制御音CSのうち所望の周波数のみを強調する周波数強調処理を行う(特開2006−301598号公報の段落[0054]〜[0057]参照)。第3音響補正器94a〜94cは、基準信号Sr1〜Sr3を次数に応じて補正する次数毎補正処理を行う(特開2006−301598号公報の段落[0063]参照)。
【0046】
第1音響補正器90a〜90c、第2音響補正器92a〜92c及び第3音響補正器94a〜94cを経た基準信号Sr1〜Sr3は、加算器96で合成されて制御信号Sc1とされる。
【0047】
なお、制御信号生成部98の構成は、これに限らず、適宜変更可能である。例えば、第1音響補正器90a〜90c、第2音響補正器92a〜92c及び第3音響補正器94a〜94cのいずれか1種類又は2種類のみから制御信号生成部98を構成してもよい。
【0048】
Δafv検出器100は、fev設定部70からの仮想周波数fevに基づいて、仮想周波数fevの時間微分値(以下「仮エンジン回転周波数変化量Δafv」又は「変化量Δafv」ともいう。)[Hz/s]を検出し、全体音量補正器102に出力する。
【0049】
全体音量補正器102(制御信号生成手段の一部)は、仮想周波数fev、仮エンジン回転周波数変化量Δafv、アクセル開度θap及びシフト位置Psに応じて制御音CS(効果音)の音量を補正する。
【0050】
(A1−2−2−4−3.全体音量補正器102の詳細)
上記のように、全体音量補正器102は、仮想周波数fev、変化量Δafv、アクセル開度θap及びシフト位置Psに応じて、スピーカ46が出力する制御音CS(効果音)の音量を補正する。
【0051】
図2に示すように、全体音量補正器102は、第1ゲイン設定部110、第2ゲイン設定部112、第3ゲイン設定部114、乗算器116、加算器118及び全体音量補正フィルタ120を有する。
【0052】
第1ゲイン設定部110は、シフト位置Ps及び変化量Δafvに基づくゲイン(以下「周波数変化量ゲインGΔafv」又は「第1ゲインGΔafv」という。)を設定する。より具体的には、周波数変化量Δafvと第1ゲインGΔafvとの関係を規定したマップをシフト位置Ps(1速、2速、3速の組合せ又はDレンジ、Bレンジの組合せ等)毎に予め設定しておく。そして、シフト位置センサ30から通知されるシフト位置Psに基づいてマップを切り替える。その上で、Δafv検出器100からの周波数変化量Δafvに基づいて第1ゲインGΔafvを設定する。なお、第1ゲイン設定部110では、シフト位置Psを用いない構成も可能である。
【0053】
第2ゲイン設定部112は、仮想エンジン回転周波数fevに基づくゲイン(以下「周波数ゲインGfev」又は「第2ゲインGfev」という。)を設定する。より具体的には、仮想周波数fevと第2ゲインGfevとの関係を規定したマップを予め設定しておく。そして、fev設定部70からの仮想周波数fevに基づいて第2ゲインGfevを設定する。
【0054】
第3ゲイン設定部114は、アクセル開度θapに基づくゲイン(以下「アクセル開度ゲインGap」又は「第3ゲインGap」という。)を設定する。より具体的には、アクセル開度θapと第3ゲインGapとの関係を規定したマップを予め設定しておく。そして、アクセル開度センサ28が検出したアクセル開度θapに基づいて第3ゲインGapを設定する。
【0055】
乗算器116は、第2ゲイン設定部112で設定した第2ゲインGfev(周波数ゲインGfev)に、第3ゲイン設定部114で設定した第3ゲインGap(アクセル開度ゲインGap)を乗算して加算器118に出力する。
【0056】
加算器118(第4ゲイン設定部)は、第1ゲイン設定部110で設定した第1ゲインGΔafv(周波数変化量ゲインGΔafv)と、乗算器116で算出した第2ゲインGfevと第3ゲインGapの積とを加算した値(以下「共通補正ゲインGcom」又は「第4ゲインGcom」という。)を算出する。
【0057】
全体音量補正フィルタ120は、加算器96からの制御信号Sc1に、加算器118で算出した第4ゲインGcomを乗算して制御信号Sasc(振幅調整制御信号)を生成する。生成した制御信号Sascは、加算器76に出力される。
【0058】
A2.第1実施形態における効果
以上説明したように第1実施形態によれば、車速Vに基づき定義された仮想エンジン回転周波数fev(車速対応周波数)を設定し、当該仮想周波数fevの時間微分値である周波数変化量Δafvを演算する(図2)。そして、変化量Δafvとアクセル開度θap(駆動源の負荷)に応じて制御信号Sc1(基準信号Sr1、Sr2、Sr3)の振幅を変化させることにより、制御信号Sascの振幅を調整する(図2)。これにより、駆動源としてエンジンを備えない電動車両としての車両10であっても、車両10の挙動に適した効果音の演出を行うことが可能となる。
【0059】
第1実施形態において、fev設定部70(周波数設定手段)は、基本次数となる周波数が車速Vに応じて予め設定される。これにより、効果音としての制御音CSのうち支配的な部分を、車速Vに応じた基本次数の周波数で表現することが可能となる。このため、運転者302にとってより自然な効果音を発生することが可能となる。
【0060】
[B.第2実施形態]
B1.全体及び各部の構成(第1実施形態との相違)
(B1−1.全体構成)
図3は、本発明の第2実施形態に係る効果音発生装置82a(以下「ASC装置82a」という。)を搭載した車両10Aの概略的な構成を示す図である。図4は、第2実施形態に係るASC装置82a及びその周辺の概略的な回路構成を示す図である。第1実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0061】
第1実施形態の車両10は、駆動源として走行モータ12を有する電動車両であったが(図1)、第2実施形態の車両10Aは、駆動源としてエンジン150を有する車両である(図3)。エンジン150は、燃料噴射電子制御装置152(以下「FI ECU152」という。)により制御される(FI ECU:Fuel Injection Electronic Control Unit)。加えて、エンジン150は、無段変速機154(以下「CVT154」という。)に連結されている。CVT154は、図示しないCVT電子制御装置(CVT ECU)により変速比等が制御される。
【0062】
また、第1実施形態の音響システム20が実行するANC機能は、ロードノイズNZrを対象としていた。これに対し、第2実施形態の音響システム20aが実行するANC機能は、ロードノイズNZrに加え、エンジン150の作動(振動)に応じて車室内に生ずる騒音(エンジンこもり音NZe)も対象とする。
【0063】
さらに、第1実施形態の音響システム20が実行するASC機能は、車速V(仮想エンジン回転周波数fev)に基づいて基準信号Sr1、Sr2、Sr3を生成していた(図2)。換言すると、車速Vを基準信号Sr1、Sr2、Sr3の生成に用いた。これに対し、第2実施形態の音響システム20aが実行するASC機能は、FI ECU152から出力されるエンジンパルスEp(エンジン回転周波数fe)に基づいて基準信号Sr1、Sr2、Sr3を生成する。また、第2実施形態の音響システム20aでは、車速Vに基づいて基準信号Sr1、Sr2、Sr3(又はこれに基づく制御信号Sc1)の振幅を調整する。
【0064】
(B1−2.音響システム20a)
(B1−2−1.音響システム20aの全体)
第1実施形態の音響システム20と比較して、第2実施形態の音響システム20aは、音響制御電子制御装置40a(以下「音響制御ECU40a」又は「ECU40a」という。)が、第1実施形態のECU40と異なる。
【0065】
(B1−2−2.音響制御ECU40a)
図4に示すように、ECU40aは、エンジン回転周波数検出部160(以下「fe検出部160」ともいう。)と、ANC回路72aと、ASC回路74aと、加算器76と、デジタル/アナログ変換器78(以下「D/A変換器78」ともいう。)とを有する。
【0066】
加速度センサユニット24、スピーカ46、マイクロホン48、ANC回路72a及びfe検出部160は、能動型騒音制御装置80a(以下「ANC装置80a」という。)を構成する。車速センサ26、アクセル開度センサ28、シフト位置センサ30、スピーカ46、ASC回路74a及びfe検出部160は、ASC装置82aを構成する。
【0067】
(B1−2−3.fe検出部160)
fe検出部160は、FI ECU152からのエンジンパルスEpに基づいてエンジン回転周波数fe[Hz]を検出する。そして、検出したエンジン回転周波数feをANC回路72a及びASC回路74aに出力する。
【0068】
第1実施形態では、仮想的なエンジン回転周波数としての仮想エンジン回転周波数fevを用いていた(図2)。これに対し、第2実施形態では、エンジン150の実際の回転周波数としてのエンジン回転周波数feを用いる。
【0069】
(B1−2−4.ANC回路72a)
上記の通り、第2実施形態のANC回路72aが実行するANC機能は、ロードノイズNZrに加え、エンジン150の作動(振動)に応じて車室内に生ずる騒音(エンジンこもり音NZe)をも対象とする。ANC回路72aの具体的な構成としては、例えば、上記特開2012−131315号公報に加え、特開2004−361721号公報に記載のものを用いることができる。
【0070】
(B1−2−5.ASC回路74a)
第2実施形態のASC回路74aは、第1実施形態のASC回路74と基本的に同じ構成を有する。しかしながら、ASC回路74aの周波数変化量検出器100a(以下「Δaf検出器100a」ともいう。)及び全体音量補正器102aは、ASC回路74のΔafv検出器100及び全体音量補正器102と異なる。
【0071】
Δaf検出器100aは、fe検出部160からのエンジン回転周波数feに基づいて、周波数feの時間微分値(以下「エンジン回転周波数変化量Δaf」又は「変化量Δaf」ともいう。)[Hz/s]を検出し、全体音量補正器102aに出力する。
【0072】
全体音量補正器102aは、エンジン回転周波数fe、エンジン回転周波数変化量Δaf、アクセル開度θap及びシフト位置Psに応じて制御音CS(効果音)の音量を補正する。
【0073】
図4に示すように、全体音量補正器102aは、第1ゲイン設定部110a、第2ゲイン設定部112a、第3ゲイン設定部114、第4ゲイン設定部162、乗算器116、164、加算器118及び全体音量補正フィルタ120を有する。
【0074】
第1ゲイン設定部110aは、第1ゲイン設定部110と同様に、シフト位置Ps及び変化量Δafに基づくゲイン(「周波数変化量ゲインGΔaf」又は「第1ゲインGΔaf」)を設定する。
【0075】
第2ゲイン設定部112aは、第2ゲイン設定部112と同様に、エンジン回転周波数feに基づくゲイン(「周波数ゲインGfe」又は「第2ゲインGfe」)を設定する。
【0076】
第4ゲイン設定部162は、車速Vに基づくゲイン(「車速ゲインGv」)を設定する。より具体的には、車速Vと車速ゲインGvとの関係を規定したマップを予め設定しておく。そして、車速センサ26が検出した車速Vに基づいて車速ゲインGvを設定する。
【0077】
乗算器164は、第3ゲイン設定部114で設定したアクセル開度ゲインGapに、第4ゲイン設定部162で設定した車速ゲインGvを乗算して乗算器116に出力する。従って、乗算器116及び加算器118の出力並びに全体音量補正フィルタ120aで用いられる共通補正ゲインGcomには、車速Vが反映される。
【0078】
B2.第2実施形態を用いた場合のデータの一例
図5は、第2実施形態に係るASC装置82a及び比較例に係る効果音発生装置を用いた場合におけるアクセル開度θap、エンジン回転周波数fe及び車速Vの時系列データの一例を示す図である。図6は、前記比較例に係る効果音発生装置を用いた場合における車速V、エンジン回転周波数fe及び制御音CS(効果音)の音圧レベルLs[dB]の関係の一例を示す図である。図7は、第2実施形態に係るASC装置82aを用いた場合における車速V、エンジン回転周波数fe及び制御音CS(効果音)の関係の一例を示す図である。
【0079】
前記比較例は、例えば、特許文献2のような構成であり、車速Vに応じたゲイン調整は行われない。また、図6及び図7における各実線は、制御音CS(効果音)のうち音圧レベルLsが所定の音圧レベル閾値を超えるものを示している。
【0080】
図5の例において、アクセル開度θapは、時点t1において上昇を開始し、時点t2から時点t3まで急激に上昇するが、その後、低下していき、時点t5以降は、略等しい値に維持される。また、エンジン回転周波数feは、時点t2から時点t4まで急激に上昇し、その後、略等しい値に維持される。車速Vは、時点t1から時点t5まで連続的にするが、アクセル開度θapと比較して車速Vの増加は緩やかである。また、時点t3よりも後は、アクセル開度θapは低下するか又はほとんど変化しないが、車速Vは増加を続ける。
【0081】
比較例(図6)の場合、エンジン回転周波数feに応じて制御音CS(効果音)の音圧レベルLsが設定される。換言すると、図6の各実線(音圧レベル閾値を超える音圧レベルLsに対応するエンジン回転周波数fe)は、車速Vが増加してもほとんど変化しない。このため、図5の例の場合を比較例に適用すると、時点t1から時点t3までは音圧レベルLsが増加するが、その後、音圧レベルLsが一定又は低下することとなる。
【0082】
これに対し、第2実施形態(図7)の場合、エンジン回転周波数feに加え、車速Vに応じて制御音CSの音圧レベルLsが設定される(図4)。換言すると、図7の各実線は、車速Vが増加すると、音圧レベル閾値を超える音圧レベルLsに対応するエンジン回転周波数feが増加する。このため、図5の例の場合を第2実施形態に適用すると、時点t1から時点t5まで及び時点t5以降において車速Vが増加している間、車速Vの増加を音圧レベルLsに反映させることが可能となる。例えば、時点t1から時点t5まで連続的に音圧レベルLsを増加させることが可能となる。或いは、アクセル開度θapが低下を開始する時点t3以降又はエンジン回転周波数feが略一定となる時点t5以降であっても、音圧レベルLsを維持すること又は音圧レベルLsの低下を緩やかにすることが可能となる。
【0083】
B3.第2実施形態における効果
第2実施形態に係るASC装置82aによれば、第1実施形態と同様の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏する。
【0084】
すなわち、第2実施形態によれば、周波数変化量Δaf、アクセル開度θap(駆動源の負荷)及び車速Vに応じて制御信号Sc1(基準信号Sr1、Sr2、Sr3)の振幅を変化させることにより、制御信号Sascの振幅を調整する(図4)。これにより、例えば、アクセルペダル32が急に踏み込まれた場合に、エンジン回転周波数feの増加に対して車速Vの上昇が遅れる等の場合でも、エンジン回転周波数feに加えて、車速Vに基づく周波数変化量Δaf及びエンジン150の負荷に応じて効果音が発生する。従って、車両10の挙動により適した効果音の演出を行うことが可能となる。
【0085】
特に、第2実施形態の車両10AはCVT154を有する(図3)。車両10AがCVT154を有する場合、勾配路等の走行路では運転者302によりアクセルペダル32が踏み込まれても、エンジン回転周波数feの変動がアクセルペダル32の操作に追従しない場合がある。例えば、アクセルペダル32が急に踏み込まれた場合、CVT154による変速が追いつかず、エンジン回転周波数feが先に上がり、車速Vが直ぐには上昇しないといった状況が考えられる。
【0086】
第2実施形態によれば、エンジン回転周波数feに加えて、車速Vに基づく周波数変化量Δaf及びエンジン150の負荷に応じて効果音が発生する。このため、CVT154を有する車両10Aにおける上記のような問題を解消し、車両10Aの挙動により適した効果音の演出を行うことが可能となる。
【0087】
[C.第3実施形態]
C1.全体及び各部の構成(第1・第2実施形態との相違)
(C1−1.全体構成)
図8は、本発明の第3実施形態に係る効果音発生装置(以下「ASC装置82b」という。)を搭載した車両10Bの概略的な構成を示す図である。第1実施形態又は第2実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0088】
第1実施形態の車両10は、駆動源としてモータ12を有する電動車両であり(図1)、第2実施形態の車両10Aは、駆動源としてエンジン150を有する車両であった(図3)。これに対し、第3実施形態の車両10Bは、駆動源として走行モータ12及びエンジン150を有するいわゆるハイブリッド車両である(図8)。モータ12は、モータECU14により制御され、エンジン150は、FI ECU152により制御される。駆動源としてモータ12及びエンジン150の選択は、駆動電子制御装置170(以下「駆動ECU170」という。)が行う。なお、図8では図示していないが、車両10Bは、第2実施形態と同様のCVT154を有してもよい。
【0089】
また、第3実施形態の音響システム20bは、モータ12及びエンジン150からなる駆動源の駆動状態に応じて音響制御(ANC処理及びASC処理)を切り替える。
【0090】
(C1−2.駆動ECU170)
駆動ECU170は、各種センサ及び各電子制御装置(以下「ECU」という。)からの出力に基づいてモータ12及びエンジン150の出力を制御する。駆動ECU170は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を有する。
【0091】
駆動ECU170に対して出力する各種センサには、例えば、車速センサ26、アクセル開度センサ28、シフト位置センサ30が含まれる。
【0092】
(C1−3.音響システム20b)
(C1−3−1.音響システム20bの全体)
第3実施形態の音響システム20bの音響制御電子制御装置40b(以下「音響制御ECU40b」という。)は、第1実施形態と同様のfev設定部70と、第2実施形態と同様のfe検出部160と、調停部180と、ANC回路72aと、ASC回路74bと、加算器76と、D/A変換器78とを備える。
【0093】
fev設定部70からの仮想エンジン回転周波数fevは、調停部180に入力される。fe検出部160からのエンジン回転周波数feは、ANC回路72a及び調停部180に入力される。
【0094】
(C1−3−2.調停部180)
調停部180は、fev設定部70からの仮想周波数fevと、fe検出部160からのエンジン回転周波数feとに基づいて効果音用周波数fascを生成してASC回路74bに出力する。調停部180の処理の詳細は後述する。
【0095】
(C1−3−3.ANC回路72a)
ANC回路72a及びANC装置80aは、第2実施形態及び第3実施形態で共通である。ASC回路74bは、第1実施形態のASC回路74(図2)と、第2実施形態のASC回路74a(図4)とを組み合わせたものである。車速センサ26、アクセル開度センサ28、シフト位置センサ30、スピーカ46、fev設定部70、ASC回路74b、fe検出部160及び調停部180は、能動型効果音発生制御装置82b(以下「ASC装置82b」という。)を構成する。
【0096】
(C1−3−4.ASC回路74b)
ASC回路74bは、例えば、第2実施形態のASC回路74aと同様の構成とすることができる。この場合、ASC回路74bのΔaf検出器100a等は、エンジン回転周波数feの代わりに、効果音用周波数fascを用いた処理を行う。
【0097】
或いは、ASC回路74bは、駆動ECU170からの駆動状態信号Sdに基づいて車両10Bの駆動状態(駆動源の選択)を特定し、駆動状態に応じた処理を行ってもよい。
【0098】
具体的には、ASC回路74bは、車両10Bの駆動源としてモータ12のみが選択されている場合、第1実施形態と同様のASC回路74を選択して用いる。この場合、ASC回路74のΔafv検出器100等は、仮想周波数fevの代わりに、効果音用周波数fascを用いた処理を行う。
【0099】
また、ASC回路74bは、車両10Bの駆動源としてモータ12及びエンジン150の組合せ又はエンジン150のみが選択されている場合、第2実施形態と同様のASC回路74aを選択して用いる。この場合、ASC回路74aのΔaf検出器100a等は、エンジン回転周波数feの代わりに、効果音用周波数fascを用いた処理を行う。
【0100】
C2.各種制御
(C2−1.駆動源の選択)
第3実施形態において、駆動ECU170は、例えば、アクセル開度θapに基づいて駆動源を選択する。例えば、アクセル開度θapが、低負荷状態を判定するための閾値THθap1(以下「低負荷判定閾値THθap1」、「第1開度閾値THθap1」又は「閾値THθap1」ともいう。)以下である場合、駆動ECU170は、駆動源としてモータ12のみを選択する。
【0101】
また、アクセル開度θapが、第1開度閾値THθap1より大きく且つ中負荷状態を判定するための閾値THθap2(以下「中負荷判定閾値THθap2」、「第2開度閾値THθap2」又は「閾値THθap2」ともいう。)以下である場合、駆動ECU170は、駆動源としてエンジン150のみを選択する。この場合、エンジン150の駆動力によりモータ12での発電を行ってもよい。さらに、アクセル開度θapが、閾値THθap2より大きい場合、駆動ECU170は、駆動源としてモータ12及びエンジン150を選択する。
【0102】
各閾値THθap1、THθap2は、車速Vに応じて変更してもよい。また、駆動ECU170は、アクセル開度θap以外の指標(例えば、車速V)を用いて駆動源を選択してもよい。
【0103】
(C2−2.ANC処理及びASC処理の選択)
本実施形態において、ANC処理(ANC装置80a)及びASC処理(ASC装置82b)の選択は、例えば、以下のように行う。具体的には、ANC処理及びASC処理を切り替えるための切替スイッチ(図示せず)を設けておく。そして、音響制御ECU40bは、当該切替スイッチの選択状態に応じてANC処理及びASC処理を切り替える。
【0104】
或いは、駆動ECU170は、車両10Bの加減速状態に応じてANC処理及びASC処理を切り替えてもよい。具体的には、駆動ECU170は、車両10Bが加速状態にあるときにはASC処理を選択し、車両10Bが定速走行状態又は減速状態にあるときにはANC処理を選択してもよい。なお、車両10Bの加減速状態は、例えば、車速Vの時間微分値により判定することが可能である。或いは、アクセル開度θap自体又はアクセル開度θapの時間微分値若しくは二階微分値により判定してもよい。アクセル開度θapに関する値を用いる場合、運転者302の加減速意図によりANC処理及びASC処理を切り替えるということも可能である。
【0105】
(C2−3.調停部180による処理)
上記のように、調停部180は、fev設定部70からの仮想周波数fevと、fe検出部160からのエンジン回転周波数feとに基づいて効果音用周波数fascを生成してASC回路74bに出力する。例えば、調停部180は、仮想周波数fev及びエンジン回転周波数feの平均値として効果音用周波数fascを生成する。
【0106】
或いは、調停部180は、駆動ECU170からの駆動状態信号Sdに基づいて車両10Bの駆動状態(駆動源の選択)を特定し、駆動状態に応じた処理を行ってもよい。
【0107】
具体的には、調停部180は、車両10Bの駆動源としてモータ12のみが選択されている場合、仮想エンジン回転周波数fevを効果音用周波数fascとして出力する。また、調停部180は、車両10Bの駆動源としてエンジン150のみが選択されている場合、エンジン回転周波数feを効果音用周波数fascとして出力する。
【0108】
さらに、調停部180は、車両10Bの駆動源としてモータ12及びエンジン150の両方が選択されている場合、仮想周波数fev及びエンジン回転周波数feそれぞれを重み付けして効果音用周波数fascを算出する。ここでの重み付けは、例えば、モータ12及びエンジン150の目標トルクの割合を、仮想周波数fev及びエンジン回転周波数feそれぞれの割合とすることができる。前記目標トルクは、例えば、駆動ECU170から取得する。
【0109】
C3.第3実施形態における効果
第3実施形態に係るASC装置82bによれば、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果に加え又はこれに代えて、以下の効果を奏する。
【0110】
すなわち、第3実施形態によれば、ハイブリッド車両である車両10Bにおいて駆動源(モータ12及びエンジン150)の動作状態が変化しても、効果音を適切に出力することが可能となる。
【0111】
[D.変形例]
【0112】
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0113】
D1.移動体
上記各実施形態では、ASC装置82、82a、82bの適用対象として車両10、10A、10Bを挙げたが、例えば、駆動源又は振動源の動作に応じた効果音を生成する観点からすれば、これに限らない。例えば、ヘリコプター、飛行機、プレジャーボート等の移動物体に本発明を適用してもよい。
【0114】
D2.仮想エンジン回転周波数設定部70
第1実施形態及び第3実施形態のfev設定部70では、基本次数となる周波数を車速Vに応じて予め設定していた。しかしながら、例えば、車速Vに基づいて仮想周波数fevを算出する観点からすれば、これに限らず、基本次数を1つのみとしてもよい。
【0115】
D3.基準信号及び各構成要素の数
上記各実施形態では、3つの基準信号Sr1、Sr2、Sr3を用いたが(図2図4参照)、ASC装置の仕様に応じて基準信号の数は任意に設定可能である。必要とされる基準信号の数に応じて、その他の構成要素(倍数器、基準信号生成器等)の数も変化する。
【0116】
また、上記各実施形態では、倍数器84a〜84c、基準信号生成器86a〜86c等の構成要素の数を、基準信号Sr1、Sr2、Sr3の数と同じ3つとしたが(図1)、1つ又は2つの構成要素で処理させることも可能である。
【0117】
D4.全体音量補正器102、102a
第1実施形態及び第3実施形態の全体音量補正器102は、共通補正ゲインGcomを算出するために第1ゲイン設定部110、第2ゲイン設定部112及び第3ゲイン設定部114を設けた(図2及び図8参照)。しかしながら、例えば、共通補正ゲインGcomを算出する観点からすれば、いずれかのゲイン設定部を設けないことも可能である。
【0118】
同様に、第2実施形態及び第3実施形態の全体音量補正器102aは、共通補正ゲインGcomを算出するために第1ゲイン設定部110a、第2ゲイン設定部112a、第3ゲイン設定部114及び第4ゲイン設定部162を設けた(図4及び図8参照)。しかしながら、例えば、共通補正ゲインGcomを算出する観点からすれば、いずれかのゲイン設定部を設けないことも可能である。
【0119】
上記各実施形態の第3ゲイン設定部114では、駆動源(モータ12及び/又はエンジン150)の負荷を示すものとしてアクセル開度θapを利用した(図2図4図8)。しかしながら、例えば、駆動源の負荷を示すものであれば、これに限らない。例えば、モータ12を備える車両10、10Bであれば、モータ12のトルク又は入力電流を駆動源(モータ12)の負荷として用いることもできる。また、エンジン150を備える車両10A、10Bであれば、スロットル開度、エンジン150のトルク、インテークマニホールド内の負圧を駆動源(エンジン150)の負荷として用いることもできる。
【0120】
上記各実施形態では、共通補正ゲインGcomを用いて基準信号Sr1、Sr2、Sr3(制御信号Sc1)の振幅を調整した(図2図4図8)。しかしながら、例えば、基準信号Sr1、Sr2、Sr3の振幅を調整する観点からすれば、これに限らない。例えば、基準信号Sr1、Sr2、Sr3それぞれに分けて、振幅を調整することも可能である。
【符号の説明】
【0121】
10、10A…車両 10B…車両(ハイブリッド車両)
12…走行モータ(駆動源、電動機) 26…車速センサ(車速検出手段)
28…アクセル開度センサ(駆動源負荷検出手段、エンジン負荷検出手段)
46…スピーカ(出力手段)
70…仮想エンジン回転周波数設定部(周波数設定手段)
86a〜86c…基準信号生成器(基準信号生成手段)
88…波形データテーブル
98…制御信号生成部(制御信号生成手段の一部)
100…周波数変化量検出器(周波数変化量演算手段)
100a…周波数変化量検出器(回転周波数変化量演算手段)
102、102a…全体音量補正器(制御信号生成手段の一部)
150…エンジン(駆動源)
160…エンジン回転周波数検出部(回転周波数検出手段)
180…調停部
fasc…効果音用周波数(調停周波数)
fe…エンジン回転周波数
fev…仮想エンジン回転周波数(車速対応周波数)
Sasc…制御信号 Sr1、Sr2、Sr3…基準信号
V…車速 Δaf…回転周波数変化量
Δafv…仮エンジン回転周波数変化量
θap…アクセル開度(駆動源の負荷)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8