特開2016-172925(P2016-172925A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッドの特許一覧
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-172925(P2016-172925A)
(43)【公開日】2016年9月29日
(54)【発明の名称】グレーゴールド合金
(51)【国際特許分類】
   C22C 5/02 20060101AFI20160902BHJP
   A44C 27/00 20060101ALI20160902BHJP
   C22F 1/14 20060101ALN20160902BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20160902BHJP
【FI】
   C22C5/02
   A44C27/00
   C22F1/14
   C22F1/00 673
   C22F1/00 671
   C22F1/00 681
   C22F1/00 682
   C22F1/00 685Z
   C22F1/00 691B
   C22F1/00 691
   C22F1/00 686A
   C22F1/00 692A
   C22F1/00 691C
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-46671(P2016-46671)
(22)【出願日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】15159421.5
(32)【優先日】2015年3月17日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ドニ・ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ポリクロニス・ナキス・カラパティス
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・キスリング
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ローペル
(72)【発明者】
【氏名】ゲタン・ヴィラール
(72)【発明者】
【氏名】アルバン・デュバック
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA03
3B114JA05
3B114JA07
(57)【要約】
【課題】必要な美観条件を備えつつ、製造工程における扱いやすさや耐性を備えたグレーゴールド合金を提供する。
【解決手段】本発明は、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、ジルコニウムフリー、ニオブフリー、クロムフリー、かつマンガンフリーであり、重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、15〜23%のPd、0.5〜5%のRh、0〜7%のPt、ならびに0〜5%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、全ての合金化元素のそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる、グレーゴールド合金に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレーゴールド合金であって、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、ジルコニウムフリー、ニオブフリー、クロムフリー、かつマンガンフリーであり、かつ重量パーセントで表示して、以下の元素:
75.0〜76.5%のAu、
15〜23%のPd、
0.5〜5%のRh、
0〜7%のPt、
0〜5%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種、を含み、
該合金化元素全てのそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる、
グレーゴールド合金。
【請求項2】
重量パーセントで表示して、0.5〜7%のPtを含む、請求項1に記載のグレーゴールド合金。
【請求項3】
重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、17〜22.5%のPd、0.5〜4%のRh、0〜6%のPt、ならびに0〜5%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、該合金化元素全てのそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる、請求項1に記載のグレーゴールド合金。
【請求項4】
重量パーセントで表示して、0.5〜6%のPtを含む、請求項3に記載のグレーゴールド合金。
【請求項5】
重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、18〜22.5%のPd、1.5〜3%のRh、0〜4%のPt、ならびに0〜4%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、該合金化元素全てのそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる、請求項1に記載のグレーゴールド合金。
【請求項6】
重量パーセントで表示して、1〜4%のPtを含む、請求項5に記載のグレーゴールド合金。
【請求項7】
重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、19〜22%のPd、1.5〜3%のRh、0〜4.5%のPt、ならびに0〜4.5%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、該合金化元素全てのそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる、請求項1に記載のグレーゴールド合金。
【請求項8】
重量パーセントで表示して、1〜4.5%のPtを含む、請求項7に記載のグレーゴールド合金。
【請求項9】
重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、19〜21.5%のPd、1.5〜3%のRh、0〜4%のPt、ならびに0〜4%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、該合金化元素全てのそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる、請求項1に記載のグレーゴールド合金。
【請求項10】
重量パーセントで表示して、1〜4%のPtを含む、請求項9に記載のグレーゴールド合金。
【請求項11】
前記合金は、前記元素Ir、Tiのうち少なくとも1種を、それぞれの元素について0.002〜1重量%の割合で含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のグレーゴールド合金。
【請求項12】
前記合金は、20〜500ppmのTiを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載のグレーゴールド合金。
【請求項13】
前記合金は、0.01〜1重量%のIrを含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載のグレーゴールド合金。
【請求項14】
前記合金は、1〜4重量%のInを含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載のグレーゴールド合金。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のグレーゴールド合金製の部品を少なくとも1つ含む、時計または宝飾品部品。
【請求項16】
前記部品は、時計ケース、文字盤、時計のバンド、ブレスレット、ブレスレット留め具、宝飾品、および付属品からなる群より選択されることを特徴とする、請求項15に記載の時計または宝飾品部品。
【請求項17】
時計または宝飾品部品における、請求項1から14のいずれか1項に記載のグレーゴールド合金の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、ジルコニウムフリー、ニオブフリー、クロムフリー、かつマンガンフリーの、グレーゴールド合金に関する。本発明はまた、そのような合金製の部品を少なくとも1つ含む、時計または宝飾品部品にも関する。
【背景技術】
【0002】
市場には、2種類の主要なグレーゴールド合金がある:金を白くする金属がニッケルである合金、およびそのような金属がパラジウムである合金である。しかしながら、ニッケル含有合金は、肌との接触においてアレルギー性質があるため、時計の外側部品に使用することができず、その使用は減り続けている。その結果、この機能に関してはパラジウム合金が用いられる。
【0003】
時計製造および宝飾品の分野での使用を意図したグレーゴールド合金は、第一にそれらの光輝性/白色度に関する制約、および第二にそれらの変形能に関する制約の2つを満たさなければならない。したがって、これらの合金は、純白色および光輝性を有するとともに延性および腐食耐性に優れていなければならない。より詳細には、望ましいグレーゴールド合金は、L**b色空間(CIE1976)において、L≧80、a*<1.5、およびb*<7、好ましくはb*<6、より好ましくはb*<5という値、ならびに140HV〜225HVのビッカース硬度を有していなければならず、ビッカース硬度は値が小さいほど変形に関して好ましい。
【0004】
パラジウムの白色効果は、ニッケルのものほどではないため、これらの合金は、パラジウム含量が高い必要があるが、高含量になると合金の機械的特性が低下する。さらに、合金が台枠に用いられる場合、宝飾品の光輝性を向上させる目的で、合金の色および反射率を改善するために、しばしばロジウムめっきが用いられる。
【0005】
このロジウムめっきは、長期的には大きな欠点である。なぜなら、ロジウムめっき層は、1〜5ミクロン程度のもので、常に、最終的に摩耗して消えてしまうのである。その結果、合金とロジウム改良層との色の差を隠すことが必要になるため、販売後のサービスは、高額の再めっき処理に直面させられる。
【0006】
これらの色は、上記の複数の参照を通じて比較することが可能である。
【0007】
欧州特許第1010768号明細書(特許文献1)は、パラジウム含量が12〜14%であり、また銅も含む18金グレーゴールド合金に関するもので、この合金は、L**b色空間において、1.8<a*<2.3、および7<b*<10という値を与える。
【0008】
欧州特許第1227166号明細書(特許文献2)は、パラジウムフリーで銅およびマンガンを含む、18金グレーゴールド合金に関するもので、この合金は、L**b色空間において、2.6<a*<6および10<b*<13という値を与える。
【0009】
欧州特許第1245688号明細書(特許文献3)は、パラジウム含量が5〜7%であり、また銅および銀も含む18金グレーゴールド合金に関するもので、この合金は、L**b色空間において、1.5<a*<4.5および10.5<b*<15.2という値を与える。
【0010】
これら3件の特許に記載される合金のa*およびb*表色値は、高すぎて、表面をロジウムめっきで改善する必要がないと主張することができない。
【0011】
欧州特許出願第2546371号明細書(特許文献4)は、パラジウム含量が2〜12%でありクロム含量が13〜23%である18金グレーゴールド合金に関するもので、この合金は、L**b色空間において、0.25<a*<0.7および3<b*<4.2という値を与える。
【0012】
特許出願国際公開第2010/127458号パンフレット(特許文献5)は、パラジウム含量が18〜24%であり、Zr、Nb、またはMnを含む様々な元素の含量が1〜6%である18金グレーゴールド合金に関するもので、この合金は、L**b色空間において、1.1<a*<1.5および4.5<b*<5.7という値を与える。
【0013】
後者の2件の特許出願に記載される合金は、表面をロジウムめっきで改善する必要がないと主張するのに十分なa*およびb*表色値を有する。しかしながら、これらの合金の硬度は高すぎる(注、以下の表1および表2において、合金番号2(370HV)および3(276HV))ため、製造工程の変形における扱いやすさを確保することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第1010768号明細書
【特許文献2】欧州特許第1227166号明細書
【特許文献3】欧州特許第1245688号明細書
【特許文献4】欧州特許出願第2546371号明細書
【特許文献5】特許出願国際公開第2010/127458号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、ジルコニウムフリー、ニオブフリー、クロムフリー、かつマンガンフリーであるグレーゴールド合金を提供することにより、グレーゴールド合金を実質的に改良することであり、これにより、合金の変形特性を低下させることなく、ロジウムめっきを排除することが可能になる。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、ジルコニウムフリー、ニオブフリー、クロムフリー、かつマンガンフリーであり、その変形能によりひび割れの恐れなしに冷間圧延および伸線技法を通じた変形が可能であり、かつ経済的に製造できるグレーゴールド合金を提供することにより、グレーゴールド合金を実質的に改良することである。
【0017】
本発明の別の目的は、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、ジルコニウムフリー、ニオブフリー、クロムフリー、かつマンガンフリーであるグレーゴールド合金を提供することであり、この合金は、十分な白色度という表色と光輝性を有利に両立させて時計の外側部品の分野で必要な美観要件を満たし、それによりロジウムめっき操作を回避するとともに、熱処理、はんだ付け、溶接、溶融、およびレーザーエッチング中の酸化に対する耐性を提供する。
【0018】
本発明の別の目的は、艶出しが容易であり艶出し後の白色度レベルが高い、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、ジルコニウムフリー、ニオブフリー、クロムフリー、かつマンガンフリーであるグレーゴールド合金を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的のため、本発明は、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、ジルコニウムフリー、ニオブフリー、クロムフリー、かつマンガンフリーであるグレーゴールド合金に関し、本合金は、重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、15〜23%のPd、0.5〜5%のRh、0〜7%のPt、ならびに0〜5%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、全ての合金化元素のそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる。
【0020】
上記の定義に従う合金を用いると、時計製造および宝飾品の分野での使用を目的とする合金に要求される条件、特に表色および光輝性ならびにひび割れる恐れのない冷間変形能に関して、条件全てを満たすグレーゴールド合金が得られる。この合金は、優れた腐食耐性も併せ持つ。
【0021】
本発明はまた、上記で定義されるとおりの合金でできた部品を少なくとも1つ含む、時計または宝飾品部品に関する。この部品とは、例えば、時計ケース、文字盤、ブレスレットまたは時計のバンド、ブレスレット留め具、宝飾品、または付属品である。
【0022】
本発明はまた、時計または宝飾品部品における、上記で定義されるとおりの合金の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の合金は、ニッケルフリー、コバルトフリー、鉄フリー、銀フリー、銅フリー、マンガンフリー、ジルコニウムフリー、クロムフリー、かつニオブフリーであるグレーゴールド合金である。
【0024】
第一の実施形態に従って、グレーゴールド合金は、18金合金であり、重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、15〜23%のPd、0.5〜5%のRh、0〜7%のPt、ならびに0〜5%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、全ての合金化元素のそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる。プラチナが存在する場合、そのパーセンテージは、0.5〜7%である。
【0025】
第二の実施形態に従って、グレーゴールド合金は、18金合金であり、重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、17〜22.5%のPd、0.5〜4%のRh、0〜6%のPt、ならびに0〜5%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、全ての合金化元素のそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる。プラチナが存在する場合、そのパーセンテージは、0.5〜6%である。
【0026】
第三の実施形態に従って、グレーゴールド合金は、18金合金であり、重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、18〜22.5%のPd、1.5〜3%のRh、0〜4%のPt、ならびに0〜4%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、全ての合金化元素のそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる。プラチナが存在する場合、そのパーセンテージは、1〜4%である。
【0027】
第四の実施形態に従って、グレーゴールド合金は、18金合金であり、重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、19〜22%のPd、1.5〜3%のRh、0〜4.5%のPt、ならびに0〜4.5%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、全ての合金化元素のそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる。プラチナが存在する場合、そのパーセンテージは、1〜4.5%である。
【0028】
第五の実施形態に従って、グレーゴールド合金は、18金合金であり、重量パーセントで表示して、75.0〜76.5%のAu、19〜21.5%のPd、1.5〜3%のRh、0〜4%のPt、ならびに0〜4%の、Ir、Ru、Ti、In、Ga、B、およびReという合金化元素の少なくとも1種を含み、全ての合金化元素のそれぞれのパーセンテージを合計すると100%になる。プラチナが存在する場合、そのパーセンテージは、1〜4%である。
【0029】
上記実施形態の変形形態に従って、グレーゴールド合金は、Ir、Tiという元素の少なくとも1種を、それぞれの元素について0.002〜1重量%の割合で、含む。
【0030】
合金がIrを含む変形形態において、Irの割合は、好ましくは、0.01〜1重量%である。
【0031】
合金がTiを含む変形形態において、Tiの割合は、好ましくは、20〜500ppmである。
【0032】
合金がReを含む変形形態において、Reの割合は、好ましくは、0.002〜1重量%であり、好ましくは、0.002重量%に近い。
【0033】
合金がInを含む変形形態において、インジウムの割合は、好ましくは、1〜4重量%である。
【0034】
合金がGaを含む変形形態において、Gaの割合は、好ましくは、0.2〜2重量%である。
【0035】
合金がBを含む変形形態において、Bの割合は、好ましくは、0.002〜1重量%であり、より好ましくは0.005〜0.03重量%である。
【0036】
合金がRuを含む変形形態において、Ruの割合は、好ましくは、0.002〜1重量%であり、より好ましくは0.008〜0.015重量%である。
【0037】
本発明のグレーゴールド合金は、時計または宝飾品部品の製造に特に用途を見いだす。この用途において、本合金は、処理される部品に十分な白色表色および光輝性を与えるために時計製造および宝飾品の分野で通常用いられるロジウムめっきをする必要がない。
【0038】
本発明によるグレーゴールド合金を調製するための手順は以下のとおりである:
【0039】
合金の組成に含まれる主要元素は、千分率で999〜999.9の純度を有し、かつ脱酸化されている。
【0040】
合金組成の元素をるつぼに入れて、元素が溶融するまで加熱する。
【0041】
加熱は、密閉誘導炉中、窒素部分圧下で行う。
【0042】
次いで、溶融した合金をインゴット鋳型に注ぐ。
【0043】
固化後、インゴットを水焼入れする。
【0044】
次いで、焼き入れしたインゴットを冷間圧延し、次いで焼きなます。各焼きなまし間のひずみ硬化率は、66〜80%である。
【0045】
各焼きなましは、20〜30分間継続し、N2およびH2を含む還元雰囲気中、900℃で行われる。
【0046】
各焼きなまし間の冷却は、水焼入れにより行う。
【実施例】
【0047】
以下の実施例を、上記の表1の記載に従って製造した。これらは全て市販の18金グレーゴールド合金または合金表色参照と関連する。示されている割合は、重量パーセンテージで表示されている。
【0048】
【表1】
【0049】
以下の表2は、表1の実施例番号1〜22で得られる合金の様々な性質を記載する。
【0050】
表2は、特に、合金の焼きなました状態でのビッカース硬度および三軸座標系で測定した表色に関する数値を与える。
【0051】
この三次元測定系は、CIELabとして知られており、CIEは、国際照明委員会(International Commission on Illumination)の頭示語、およびLabは、三つの座標の軸である;L軸は、白黒成分の尺度であり(黒=0;白=100)、a軸は、赤緑成分の尺度であり(赤=正の値+a;緑=負の値−a)、b軸は、黄青成分の尺度である(黄=正の値+b;青=負の値−b)。(注、ISO7724標準が国際照明委員会により確立されている)。
【0052】
測色値を、MINOLTA CM3610d装置を以下の条件で用いて、測定する:
光源:D65
傾斜:10°
測定:SCI+SCE(正反射光含む+正反射光除去)
UV:100%
焦点距離:4mm
較正:黒体および白体
【0053】
【表2】
【0054】
合金番号1は、二元18金Au−Pd合金である。
【0055】
合金番号2および番号3は先行技術の合金であり、硬度が高すぎるという欠点を有する。
【0056】
合金番号4(18金で15%Pd含有)および番号5(18金で21%Pd含有)は、市場の基準合金である。
【0057】
合金番号22は、ロジウムめっきの比色参照である。
【0058】
本発明の18金グレーゴールド合金を、開発して変形について試験した結果、時計製造および宝飾品の分野での使用を目的とする合金に必要な光輝性/白色度および変形能の2つの制約を満たしていた、すなわちL≧80、a*<1.5、およびb*<5という表色値、ならびに140HV〜225HV、好ましくは140HV〜180HVというビッカース硬度を持っていた。
【0059】
比較例の合金は、この2つの制約を満たしていない。