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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-178475(P2016-178475A)
(43)【公開日】2016年10月6日
(54)【発明の名称】通信システムおよび中継制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20160909BHJP
【FI】
   H04L12/46 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-57254(P2015-57254)
(22)【出願日】2015年3月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 泰
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033BA02
5K033CB08
5K033DA05
5K033DB18
(57)【要約】
【課題】ゲートウェイ装置を介してEthernet網に接続された端末装置であっても、トークン網に対してデータを正常に送信する。
【解決手段】中継処理部12が、トークン網NW1から受信したトークンを当該端末装置2へ転送し、これに応じて当該端末装置から返送されたデータまたはトークンからなる応答を受信して、当該応答の宛先となるノード1へトークン網NW1を介して送信し、ドライバ回路21が、ゲートウェイ装置10から転送された自端末宛のトークンの受信に応じて、ゲートウェイ装置10に応答を返送するより前に、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するための擬似的なダミートークンを、ゲートウェイ装置10を介してトークン網NW1上に送信する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ethernet方式でデータ通信を行う端末装置が、Ethernet方式とトークンパッシング方式とを相互にメディア変換するゲートウェイ装置を介して、トークンパッシング方式の通信網であるトークン網に接続されたノードとデータ通信を行う通信システムであって、
前記ゲートウェイ装置は、前記トークン網から受信したトークンを前記端末装置へ転送する中継処理部を有し、
前記端末装置は、前記ゲートウェイ装置から転送された自端末宛のトークンの受信に応じて、当該トークンに対する応答を送信するより前に、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するための擬似的なダミートークンを、当該ゲートウェイ装置を介して当該トークン網上に送信するドライバ回路を有する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記ドライバ回路は、前記ダミートークンを送信する際、前記トークン網上に実在しないノードまたは自端末を宛先として送信することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通信システムにおいて、
前記ドライバ回路は、前記ダミートークンを送信する場合、前記自端末宛のトークンに対して送信タイムアウトが発生する時点から一定の予備時間だけ手前の時点に、前記ダミートークンを送信することを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の通信システムにおいて、
前記ドライバ回路は、前記ダミートークンを送信する場合、前記自端末宛のトークンに対する上位の処理部からの応答指示があるまで、当該ダミートークンを間欠的に繰り返し送信することを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記中継処理部は、前記トークン網から受信したトークンを前記端末装置へ転送した後、これに応じて当該端末装置から返送されたデータまたはトークンからなる応答を受信して、当該応答の宛先となる前記ノードへ前記トークン網を介して送信する機能を更に備えることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
Ethernet方式でデータ通信を行う端末装置が、Ethernet方式とトークンパッシング方式とを相互にメディア変換するゲートウェイ装置を介して、トークンパッシング方式の通信網であるトークン網に接続されノードとデータ通信を行う通信システムで用いられる中継制御方法であって、
前記ゲートウェイ装置が、前記トークン網から受信したトークンを、前記トークン網から受信したトークンを前記端末装置へ転送する中継処理ステップと、
前記端末装置が、前記ゲートウェイ装置から転送された自端末宛のトークンの受信に応じて、当該トークンに対する応答を送信するより前に、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するための擬似的なダミートークンを、当該ゲートウェイ装置を介して当該トークン網上に送信するドライバ処理ステップと
を備えることを特徴とする中継制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の中継制御方法において、
前記中継処理ステップは、前記トークン網から受信したトークンを、前記トークン網から受信したトークンを前記端末装置へ転送した後、これに応じて当該端末装置から返送されたデータまたはトークンからなる応答を受信して、当該応答の宛先となる前記ノードへ前記トークン網を介して送信する手順を更に備えることを特徴とする中継制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信技術に関し、特にトークンパッシング方式の通信網に対して、Ethernet(登録商標)網に接続された端末装置を中継接続するための中継制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プラント、工場、ビルなどの大規模施設では、施設内に設置されている各種の設備機器を、通信ネットワークを介して制御する分散制御システム(DCS:Distributed Control System)などの管理システムが用いられている。このような管理システムでは、高い信頼性の下で設備機器を管理する必要があるため、設備機器間を接続する通信網として、トークンパッシング方式の通信網(以下、トークン網という)が用いられる場合がある。
【0003】
トークンパッシング方式は、トークン網に接続されている複数ノードのうち、トークン(Token)を受け取ることによりアクセス権を得たノードが、一定期間だけ通信ネットワークを占有して任意のノードとの間でデータ通信を行うアクセス制御方式である(例えば、特許文献1など参照)。したがって、このようなトークンパッシング方式では、トークンを各ノードに順に受け渡しするものとなっている。
【0004】
この方法としては、トークンを受信したノードがデータ通信完了やデータ通信不要に応じて、予め決定した周回順序で次のノードにトークンを受け渡しする手順が基本となる。また、トークンの送信管理については、例えば、いずれか1つのノードが親ノードとなって、予め決定した選択順序で選択した子ノードへトークンを送信し、トークンが各子ノードおよび親ノードを周回し終わった時点で、親ノードが選択順序に基づき次の子ノードへ新たなトークンを送信するという手順がある。
【0005】
また、トークン網で用いられる一般的なトークンパッシング方式では、アクセス権を得たノードにおける、トークン受信からデータ送信開始までの送信開始経過時間を管理するための監視時間を設け、送信開始経過時間が監視時間を超えて送信タイムアウトが発生した場合、親ノードがエラー発生と判定して、トークン網上でのデータ通信を一旦中断した後に再開するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−319534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、このようなトークン網に比べて、汎用的でコストの安いEthernet方式の通信網(以下、Ethernet網という)や、これに対応したサーバ装置やパーソナルコンピュータなどの端末装置が広く普及しつつあり、管理システムにおいても、通信網の一部としてEthernet網を採用することも検討されている。また、トークンパッシング方式対応ノードでは、専用ハードウェアを搭載してトークンによるデータ送信処理を行っているが、コスト面や製造面から、専用ハードウェアに代えて、汎用ハードウェアを新たなソフトウェアで制御する構成を用いることも検討されている。
【0008】
このような要請に対応するための接続構成として、Ethernet方式とトークンパッシング方式とを相互にメディア変換するゲートウェイ装置を介して、Ethernet方式のパーソナルコンピュータなどの端末装置を、トークン網に中継接続するという接続構成が考えられる。
【0009】
このような接続構成では、ゲートウェイ装置でトークンが受信された場合、ゲートウェイ装置は、受信したトークンを対応する端末装置へ、Ethernet方式で転送する。端末装置は、ドライバ層に相当するEthernet用のドライバ回路でトークンを受信し、自端末宛のトークンである場合、ネットワークプロトコル層に相当するプロトコル処理部を介して、アプリケーション層に相当するアプリケーション処理部に転送し、アプリケーション処理部がこのトークンに対応する処理を実行する。
【0010】
ここで、送信すべきデータが存在する場合、端末装置は、トークン受信とは逆順に、アプリケーション処理部からプロトコル処理部を介してドライバ回路にデータを転送するものとなる。これにより、データは、端末装置のドライバ回路からEthernet方式でゲートウェイ装置へ転送され、ゲートウェイ装置でメディア変換された後、宛先となるトークン網上のノードに送信されることになる。
【0011】
このため、上記のような接続構成によれば、ゲートウェイ装置でのトークン受信からこれに応じたデータ送信などの応答動作開始までに、ゲートウェイ装置と端末装置との間のEthernet通信、さらには端末装置における各層での処理が必要となる。したがって、これらデータ通信や処理の所要時間がトークンの監視時間を超過し、送信タイムアウトが発生した場合、トークン網上でのデータ通信を一旦中断されるため、端末装置2から正常にデータ送信できないという問題点があった。
【0012】
一般的な構成として、通信速度が100MbpsのEthernet方式を用いるとともに、トークンパッシング方式での監視時間が100μsである場合、この100μsの間にEthernet方式で転送できるデータ量Dは、D=100Mbps×100μs≒1.2KByteとなる。したがって、送信すべきデータのデータ量が1.2KByte以上ある場合は、ゲートウェイ装置と端末装置との間のEthernet通信だけで、監視時間を超過してしまうことになり、データを正常に送信できないことがわかる。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、ゲートウェイ装置を介してトークン網に接続されたEthernet方式の端末装置であっても、トークン網に対してデータを正常に送信できる中継制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明にかかる通信システムは、Ethernet方式でデータ通信を行う端末装置が、Ethernet方式とトークンパッシング方式とを相互にメディア変換するゲートウェイ装置を介して、トークンパッシング方式の通信網であるトークン網に接続されノードとデータ通信を行う通信システムであって、前記ゲートウェイ装置は、前記トークン網から受信したトークンを前記端末装置へ転送する中継処理部を有し、前記端末装置は、前記ゲートウェイ装置から転送された自端末宛のトークンの受信に応じて、当該ゲートウェイ装置を介して前記応答を送信するより前に、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するための擬似的なダミートークンを、当該ゲートウェイ装置を介して当該トークン網上に送信するドライバ回路を有している。
【0015】
また、本発明にかかる上記通信システムの一構成例は、前記ドライバ回路が、前記ダミートークンを送信する際、前記トークン網上に実在しないノードまたは自端末を宛先として送信するようにしたものである。
【0016】
また、本発明にかかる上記通信システムの一構成例は、前記ドライバ回路が、前記ダミートークンを送信する場合、前記自端末宛のトークンに対して送信タイムアウトが発生する時点から一定の予備時間だけ手前の時点に、前記ダミートークンを送信するようにしたものである。
【0017】
また、本発明にかかる上記通信システムの一構成例は、前記ドライバ回路が、前記ダミートークンを送信する場合、前記自端末宛のトークンに対する上位の処理部からの応答指示があるまで、当該ダミートークンを間欠的に繰り返し送信するようにしたものである。
【0018】
また、本発明にかかる上記通信システムの一構成例は、前記中継処理部が、前記トークン網から受信したトークンを前記端末装置へ転送した後、これに応じて当該端末装置から返送されたデータまたはトークンからなる応答を受信して、当該応答の宛先となる前記ノードへ前記トークン網を介して送信する機能を更に備えるものである。
【0019】
また、本発明にかかる中継制御方法は、Ethernet方式でデータ通信を行う端末装置が、Ethernet方式とトークンパッシング方式とを相互にメディア変換するゲートウェイ装置を介して、トークンパッシング方式の通信網であるトークン網に接続されノードとデータ通信を行う通信システムで用いられる中継制御方法であって、前記ゲートウェイ装置が、前記トークン網から受信したトークンを前記端末装置へ転送し、これに応じて当該端末装置から返送されたデータまたはトークンからなる応答を受信して、当該応答の宛先となる前記ノードへ前記トークン網を介して送信する中継処理ステップと、前記端末装置が、前記ゲートウェイ装置から転送された自端末宛のトークンの受信に応じて、当該ゲートウェイ装置を介して前記応答を送信するより前に、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するための擬似的なダミートークンを、当該ゲートウェイ装置を介して当該トークン網上に送信するドライバ処理ステップとを備えている。
【0020】
また、本発明にかかる上記中継制御方法の一構成例は、前記中継処理ステップが、前記トークン網から受信したトークンを、前記トークン網から受信したトークンを前記端末装置へ転送した後、これに応じて当該端末装置から返送されたデータまたはトークンからなる応答を受信して、当該応答の宛先となる前記ノードへ前記トークン網を介して送信する手順を更に備えるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、端末装置宛のトークンを受信した後、データまたはトークンからなる応答を送信するより前に、当該端末装置からトークン網に擬似的なダミートークンが送信される。このため、アクセス権を他のノードに引き渡すことなく、ダミートークンにより監視時間をリスタートさせることができ、結果としてデータ転送時間の増大による送信タイムアウトの発生が抑制される。したがって、ゲートウェイ装置を介してトークン網に接続されたEthernet方式の端末装置であっても、当該端末装置宛のトークンに応じて、当該端末装置からトークン網に対してデータを正常に送信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】トークン受信時処理を示すフローチャートである。
図3】トークン送信処理を示すフローチャートである。
図4】トークン受信時処理(端末装置用)を示すフローチャートである。
図5】トークン受信時動作を示すシーケンス図である。
図6】第2の実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる通信システムSについて説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
【0024】
この通信システムSは、プラント、工場、ビルなどの大規模施設では、施設内に設置されている各種の設備機器を、通信ネットワークを介して制御する分散制御システムなどの管理システム1で用いられて、Ethernet方式でデータ通信を行う端末装置2による、トークンパッシング方式の通信網であるトークン網NW1に接続されたノード1との間のデータ通信を実現する機能を有している。
【0025】
トークン網NW1は、トークンパッシング方式の通信システムからなり、通信回線L1に対して、各種の設備機器からなるN(Nは1以上の整数)個のノード1(#1,#2,〜,#N)が接続されている。
Ethernet網NW2は、Ethernet方式の通信システムからなり、通信回線L2に対して、パーソナルコンピュータやサーバ装置などの情報処理端末からなるM(Mは1以上の整数)個の端末装置2が接続されている。
【0026】
[ゲートウェイ装置]
ゲートウェイ装置10は、トークン網NW1の通信回線L1とEthernet網NW2の通信回線L2とに接続されて、Ethernet方式とトークンパッシング方式とを相互にメディア変換する機能を有している。このゲートウェイ装置10には、主な機能部として、通信I/F部11および中継処理部12が設けられている。
【0027】
通信I/F部11は、通信回線L1と接続して各ノード1との間でトークンバスフレームを用いたデータ通信を行う機能と、通信回線L2と接続して各端末装置2との間でEthernetフレームを用いたデータ通信を行う機能とを有している。
【0028】
中継処理部12は、Ethernet方式とトークンパッシング方式とを相互にメディア変換することにより、ノード1と端末装置2とを中継接続する機能と、トークン網NW1を介してノード1から受信したトークンを当該端末装置2へ転送する機能と、これに応じて当該端末装置2から返送されたデータやトークンなどの応答を、当該応答の宛先となるノード1へトークン網NW1を介して送信する機能とを有している。
【0029】
[端末装置]
端末装置2は、パーソナルコンピュータやサーバ装置などの情報処理端末からなり、Ethernet方式でデータ通信を行う機能と、ゲートウェイ装置10を介してトークン網NW1に接続されたノード1とデータ通信を行うことにより、ノード1の1つとして動作する機能とを有している。この端末装置2には、主な機能として、ドライバ回路21およびアプリケーション処理部22が設けられている。
【0030】
ドライバ回路21は、通信回線L2と接続して各端末装置2およびゲートウェイ装置10との間でEthernet方式によりデータ通信を行う機能と、ゲートウェイ装置10から転送された自端末宛のトークンの受信に応じて、当該トークンをアプリケーション処理部22へ転送する機能と、ゲートウェイ装置10から転送された自端末宛のトークンの受信に応じて、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するための擬似的なダミートークンを、ゲートウェイ装置10を介してトークン網NW1上に送信する機能と、アプリケーション処理部22から転送されたデータやトークンなどの応答を、ゲートウェイ装置10を介してトークン網NW1上に送信する機能とを有している。
【0031】
この際、ドライバ回路21は、ゲートウェイ装置10にデータまたはトークンを返送して応答するより前であって、かつ、送信開始経過時間が監視時間を超える前のタイミングで、ダミートークンを送信するものとされている。このタイミングは、ドライバ回路21での各種処理の所要時間から経験的に設定してもよく、タイマーで時間管理してもよい。
また、ダミートークンは、アクセス権を受け渡しするための通常のトークンのうち、宛先として、トークン網NW1上に実在しない(接続されていない)ノードまたは自己(端末装置2またはゲートウェイ装置10)を設定したトークンである。これにより、アクセス権を他のノードに引き渡すことなく、監視時間をリスタートさせることができ、結果として送信タイムアウトの発生を回避している。
【0032】
アプリケーション処理部22は、ドライバ回路21からの自端末宛のトークン転送に応じて、送信すべきデータの有無を確認し、送信すべきデータがある場合には、ドライバ回路21に対して当該データを返送する機能と、当該データの転送完了に応じてまたは送信すべきデータがない場合、予め決定した周回順序で次のノードにアクセス権を受け渡しするための通常のトークンをドライバ回路21に返送する機能と、ドライバ回路21からの自端末宛のトークン転送に応じて、予め対応付けられている、例えば管理システム用のアプリケーション処理を実行する機能とを有している。
【0033】
トークン網で用いられる一般的なトークンパッシング方式では、アクセス権を得たノードにおける、トークン受信からデータ送信開始までの送信開始経過時間を管理するための監視時間を設け、送信開始経過時間が監視時間を超えて送信タイムアウトが発生した場合、親ノードがエラー発生と判定して、トークン網上でのデータ通信を一旦中断した後に再開するものとなっている。
【0034】
一方、ゲートウェイ装置10からEthernet方式で端末装置2へ、トークン網NW1から受信した端末装置2宛のトークンを転送した場合、このトークンに応じて端末装置2からEthernet方式でゲートウェイ装置10へ送信すべきデータが返送され、ゲートウェイ装置10からトークン網NW1に送信される。
【0035】
この際、ゲートウェイ装置10では、送信すべきデータをすべて受信した後、メディア変換処理を行う必要があるため、データ量が大きいほど、端末装置2からゲートウェイ装置10へのデータ転送に要する時間が増大する。
したがって、送信すべきデータのデータ量の増大により、送信開始経過時間が監視時間を超えた場合、送信タイムアウトが発生して、トークン網NW1上でのデータ通信が一旦中断されるため、端末装置2から正常にデータ送信ができないことになる。
【0036】
ここで、一般的なトークンパッシング方式では、監視時間が経過して送信タイムアウトが発生しても、通信回線L1上でデータ通信が行われている場合には、監視時間の計時をリスタートする手順を有している。
本発明では、トークンパッシング方式におけるこのような手順に着目し、端末装置2が自端末宛のトークンを受信した場合には、ゲートウェイ装置10を介してデータまたはトークンからなる応答を送信するより前に、端末装置2からゲートウェイ装置10を介してトークン網NW1上に擬似的なダミートークンを送信することにより、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するようにしたものである。
【0037】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる通信システムSの動作について説明する。
まず、図2を参照して、トークン網NW1で用いられるノード1で実行するトークン受信時処理について説明する。図2は、トークン受信時処理を示すフローチャートである。
【0038】
まず、ノード1は、トークン網NW1の通信回線L1から受信したトークンを取得し(ステップ100)、当該トークンの宛先を確認して自ノード宛か判定する(ステップ101)。
ここで、自ノード宛ではない場合(ステップ101:NO)、一連のトークン受信時処理を終了する。
【0039】
一方、受信したトークンが自ノード宛である場合(ステップ101:YES)、ノード1は、自ノード内に送信すべきデータがあるか確認する(ステップ102)。
ここで、送信すべきデータがある場合(ステップ102:YES)、ノード1は、当該データを通信回線L1から宛先となる他のノード1へ送信する(ステップ103)。
【0040】
送信終了後、ノード1は、次のノード1に対してトークンを受け渡すためのトークン送信処理を実行し(ステップ104)、一連のトークン受信時処理を終了する。
また、ステップ102において、送信すべきデータがない場合(ステップ102:NO)、ノード1は、ステップ104へ移行して、トークン送信処理を実行し(ステップ104)、一連のトークン受信時処理を終了する。
【0041】
次に、図3を参照して、トークン網NW1で用いられるノード1で実行するトークン送信処理について説明する。図3は、トークン送信処理を示すフローチャートである。
【0042】
まず、ノード1は、予め設定されている周回順序に基づいて、自ノードの次のノード1に対して、通信回線L1からトークンを送信し(ステップ110)、次のノード1におけるトークン受信からデータ送信開始までの送信開始経過時間の計時を開始する(ステップ111)。
続いて、ノード1は、送信したトークンの送信先ノード1から、当該トークンに対する応答、例えばデータまたはトークンを受信したか確認する(ステップ112)。
【0043】
ここで、応答受信が確認された場合(ステップ112:YES)、ノード1は、一連のトークン送信処理を終了する。
一方、応答受信が確認されていない場合(ステップ112:NO)、ノード1は、送信開始経過時間が監視時間を超過したか確認し(ステップ113)、経過していない場合(ステップ113:NO)、ステップ112へ戻る。
【0044】
また、送信開始経過時間が監視時間を超過した場合(ステップ113:YES)、ノード1は、送信開始経過時間の計時を終了した後(ステップ114)、通信回線L1上でデータ通信が行われているか確認する(ステップ115)。
ここで、通信回線L1上にデータが流れており、データ通信が行われている場合(ステップ115:YES)、一連のトークン送信処理を終了する。
【0045】
一方、通信回線L1上にデータが流れておらず、データ通信が行われていない場合(ステップ115:NO)、ノード1は、予め設定されている周回順序に基づいて、ステップ110で送信したトークンの送信先ノード1の次のノード1に対して、通信回線L1からトークンを送信し(ステップ116)、ステップ111へ戻る。
【0046】
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる端末装置2で実行するトークン受信時処理について説明する。図4は、トークン受信時処理(端末装置用)を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ドライバ回路21は、ゲートウェイ装置10から受信したトークンの宛先を確認して自端末宛か判定する(ステップ150)。
ここで、自端末宛ではない場合(ステップ150:NO)、当該トークンを破棄して(ステップ154)、一連のトークン受信時処理を終了する。
【0048】
一方、受信したトークンが自端末宛である場合(ステップ150:YES)、ドライバ回路21は、上位層となるアプリケーション処理部22へ、受信したトークンを転送する(ステップ151)。この際、ネットワークプロトコル層に相当するプロトコル処理部など、再上位層のアプリケーション処理部22までには、階層ごとに処理部が存在するため、実際には、これら処理部を介してアプリケーション処理部22へトークンが転送される。
【0049】
また、ドライバ回路21は、受信したトークンが自端末宛である場合、トークン網NW1上に実在しないノード宛または自端末宛に、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するためのダミートークンを、ゲートウェイ装置10に転送する(ステップ152)。
これにより、データやトークンなどの応答に先立って、ダミートークンが、ゲートウェイ装置10の中継処理部12を介して、トークン網NW1に送信されることになる。したがって、アクセス権を他のノードに引き渡すことなく、監視時間をリスタートさせることができ、結果として送信タイムアウトの発生が回避される。
【0050】
この後、ドライバ回路21は、アプリケーション処理部22から転送された送信すべきデータをゲートウェイ装置10へ転送し(ステップ153)、一連のトークン受信時処理を終了する。
【0051】
[動作例]
次に、図5を参照して、本実施の形態にかかる通信システムSの動作例について説明する。図5は、トークン受信時動作を示すシーケンス図である。
ゲートウェイ装置10が、トークン網NW1からトークンの受信に応じて(ステップ200)、このトークンをEthernet方式で端末装置2へ転送する(ステップ201)。
【0052】
端末装置2のドライバ回路21は、このトークンの受信に応じて、自端末宛か確認し(ステップ202)、自端末宛でない場合(ステップ202:NO)、当該トークンを破棄する(ステップ203)
一方、自端末宛である場合(ステップ202:YES)、ドライバ回路21は、当該トークンをアプリケーション処理部22へ転送し(ステップ210)、これにより、アプリケーション処理部22は、対応する上位処理を実行する(ステップ211)。
【0053】
また、ドライバ回路21は、受信したトークンが自端末宛である場合、トークン網NW1上に実在しないノード宛または自端末宛に、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するためのダミートークンを、ゲートウェイ装置10へ転送する(ステップ212)。このダミートークンについては、アプリケーション処理部22がデータの末尾に付加したものを、データから分離して送信してもよく、ドライバ回路21が予め用意したものを送信してもよい。
これにより、ゲートウェイ装置10は、データやトークンなどの応答に先立って、ダミートークンをトークン網NW1へ送信する(ステップ213)。
【0054】
続いて、ドライバ回路21は、アプリケーション処理部22から返送されたデータを受け取って(ステップ220)、ゲートウェイ装置10へ転送する(ステップ221)。
これにより、ゲートウェイ装置10は、端末装置2から転送されたデータを受け取って、トークン網NW1へ送信する(ステップ222)。
【0055】
この後、ドライバ回路21は、次ノードへアクセス権を引き渡すための通常のトークンをゲートウェイ装置10へ転送する(ステップ223)。このトークンについては、アプリケーション処理部22がデータの末尾に付加したものを、データから分離して送信してもよく、ドライバ回路21が予め用意したものを送信してもよい。
これにより、ゲートウェイ装置10は、端末装置2から転送されたデータを受け取って、トークン網NW1へ送信する(ステップ224)。
【0056】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、中継処理部12が、トークン網NW1から受信したトークンを当該端末装置2へ転送し、これに応じて当該端末装置から返送されたデータまたはトークンからなる応答を受信して、当該応答の宛先となるノード1へトークン網NW1を介して送信し、ドライバ回路21が、ゲートウェイ装置10から転送された自端末宛のトークンの受信に応じて、ゲートウェイ装置10を介して応答を送信するより前に、当該トークンに関する送信タイムアウトの発生を回避するための擬似的なダミートークンを、ゲートウェイ装置10を介してトークン網NW1上に送信するようにしたものである。
【0057】
これにより、自端末宛のトークンの受信に応じて、当該トークンに対するアプリケーション処理部22からの応答を待たずに、ドライバ回路21から擬似的なダミートークンが、ゲートウェイ装置10を介してトークン網NW1上に送信される。このため、Ethernet方式による端末装置2からゲートウェイ装置10へのデータ転送に、監視時間を超えるデータ転送時間を要する場合でも、アクセス権を他のノードに引き渡すことなく、ダミートークンにより監視時間をリスタートさせることができ、結果としてデータ転送時間の増大による送信タイムアウトの発生を抑制される。
【0058】
したがって、ゲートウェイ装置10を介してトークン網NW1に接続されたEthernet方式の端末装置2であっても、自端末宛のトークンに応じて、当該端末装置2からトークン網NW1に対してデータを正常に送信することが可能となる。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、図6を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システムSについて説明する。図6は、第2の実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態では、通信回線L2を介して複数の端末装置2が1つのゲートウェイ装置10に共通接続されている場合を例として説明したが、これに限定されているものではない。
【0060】
図6に示すように、例えば、端末装置2ごとにゲートウェイ装置10を1つずつ設けてもよい。これにより、ゲートウェイ装置10の処理負荷を軽減でき、処理負荷増大による遅延を回避することが可能となる。この際、ゲートウェイ装置10を、ゲートウェイモジュールとして端末装置2内に追加実装する形態であってもよい。これにより、実際には、ノード1と同様に、端末装置2をトークン網NW1の通信回線L1に接続する形態となるため、通信回線L1が配線されている場所であればいずれであっても端末装置2を配置することができ、通信回線L2の配線作業を省くことが可能となる。
【0061】
なお、すべての端末装置2ではなく一部の端末装置2についてだけ、ゲートウェイ装置10を1つずつ設け、残りの端末装置2については、1つまたは複数のゲートウェイ装置10に共通接続する構成であってもよい。
【0062】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる通信システムSについて説明する。
第1の実施の形態では、端末装置2のドライバ回路21が、自端末宛のトークンの受信に応じて、ダミートークンを1回だけ送信する場合を例として説明したが、これに限定されているものではない。
【0063】
例えば、ドライバ回路21において、ダミートークンを送信する場合、自端末宛のトークンに対して送信タイムアウトが発生する時点から一定の予備時間だけ手前の時点に、ダミートークンを送信するようにしてもよい。この予備時間は、各ノード1およびゲートウェイ装置10における送信タイムアウト判定の計時誤差に対して安全を考慮した時間長を有しており、各システムの構成に応じて予め設定すればよい。これにより、自端末宛てのトークン受信に応じて、直ちにダミートークンを送信する場合と比較して、ダミートークン送信後に送信タイムアウトとなるまでの時間を延長させることができる。
【0064】
また、ドライバ回路21において、ダミートークンを送信する場合、自端末宛のトークンに対する、端末装置2側からの送信すべきデータの有無や、次ノードへのトークン送信指示などの、端末装置2からの応答指示があるまで、ダミートークンを繰り返し送信してもよい。この繰り返し周期としては、送信タイムアウトの監視時間以下であればよい。これにより、データ送信量が大きく、トークン網NW1側への応答動作開始までに要する時間が比較的長い場合でも、正常にデータを送信することができる。
【0065】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
10…ゲートウェイ装置、11…通信I/F部、12…中継処理部、1…ノード、2…端末装置、21…ドライバ回路、22…アプリケーション処理部、NW1…トークン網、NW2…Ethernet網、L1,L2…通信回線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6